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JP3051411B2 - 新規dnaならびにそれを含有する発現プラスミド - Google Patents
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JP3051411B2 - 新規dnaならびにそれを含有する発現プラスミド - Google Patents

新規dnaならびにそれを含有する発現プラスミド

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JP3051411B2
JP3051411B2 JP1061702A JP6170289A JP3051411B2 JP 3051411 B2 JP3051411 B2 JP 3051411B2 JP 1061702 A JP1061702 A JP 1061702A JP 6170289 A JP6170289 A JP 6170289A JP 3051411 B2 JP3051411 B2 JP 3051411B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、生理活性物質の組換えDNA技術を用いた生
産において、有用なプロモーター領域を含有する新規DN
Aおよび該DNAを含有する発現プラスミドに関する。さら
に詳しくは、ヒトポリペプチド鎖延長因子遺伝子のプロ
モーター領域を含有する新規DNAおよび該DNAを含有する
発現プラスミドに関する。
<従来技術とその問題点> 近年、遺伝子工学の研究が進展し、組換えDNA技術に
よる物質生産が実施されている。現在、宿主として大腸
菌を用いた組換え技術による異種蛋白質の生産方法はほ
ぼ完成されたが、糖鎖の付加が必須な物質あるいは異種
細胞による生産ではその生理活性または抗原性に変化の
生じるような物質の生産には、大腸菌の使用は不適当で
ある。
最近では本問題を解決するために、動物細胞を宿主と
して用いた系が各種開発されている。一般に動物細胞で
の遺伝子発現には、3種のシグナルが必要とされてい
る。すなわち、プロモーター、RNAスプライシングシグ
ナルおよびポリA付加のシグナルである。このうち、目
的の蛋白質を高発現させるためには、プロモーターの選
択が重要である。現在、よく用いられているプロモータ
ーとしては、パポーバウイルスの一種であるSV40の初期
プロモーター、アデノウイルスのメジャーレイトプロモ
ーター、マウス等のメタロチオネインプロモーター等が
知られている。特に、最も繁用されているのはSV40の初
期プロモーターであるが、これにおいても、発現量およ
び宿主域の点で問題が残されている。すなわちSV40の初
期プロモーターを用いても、発現に組織特異性があり、
細胞種により発現量にばらつきが認められ、例えば、リ
ンパ球系細胞や神経系細胞では他の細胞種に比べ、発現
量が極めて低いのが現状である。
最近、武部等[モレキュラー アンド セルラー バ
イオロジー(Mol.Cell.Biol.)、8巻、466頁、1988
年]は、SV40初期プロモーター下流にヒトT細胞白血病
ウイルス−1の末端反復配列の一部を組み込んたSRαプ
ロモーターを構築した。そしてある種のリンパ球細胞を
宿主として用いた結果、SRαプロモーターがSV40初期プ
ロモーターに比べ、その下流の遺伝子の発現効率を10〜
100倍程度高める事を発表した。しかし、SRαプロモー
ターが他の宿主細胞においても高発現率を維持するか否
かは不明である。さらに今後のDNA組換え技術を用いて
生産される有用生理活性物質の多様性を考慮すると、よ
り広い宿主細胞域で使用できかつ高発現率を維持できる
プロモーターの探索および発現プラスミドの開発が望ま
れている。
<本発明が解決しようとする課題> 本発明の目的は、既知のプロモーターおよび該プロモ
ーターを含有する発現プラスミドに比べ、広い宿主細胞
域で使用可能かつ高い発現効率を示すプロモーター領域
を含有する新規DNAおよび該DNAを用いた発現プラスミド
を提供することにある。
<課題を解決するための手段> このような現状に鑑み、本発明者らは、広い宿主細胞
域で高い発現効率を示すプロモーター領域を含有する新
規DNAの探索および該DNAを含有する発現プラスミドの開
発を実施した。この過程において本発明者らは、すべて
の細胞で構成的に強く発現しているヒトポリペプチド鎖
延長因子−1α(Human polypeptide chain elogation
factor−1α、以下ヒトEF−1αと略す)の染色体遺伝
子を単離し、当該遺伝子の塩基配列を初めて決定し、そ
の構造を明らかにした。次いで該遺伝子のプロモーター
領域を含む新規DNAを用い、発現プラスミドを作製し
た。該発現プラスミドは、従来使用されている発現プラ
スミドに比し、広い宿主細胞域で使用可能かつ高発現効
率を示すことを証明し、本発明を完成した。
ポリペプチド鎖延長因子は、遺伝子翻訳におけるポリ
ペプチド鎖延長反応に関与する蛋白質因子であり、機能
的に大別して二種類に分類されている。すなわちmRNAの
暗号に対応したアミノアシル−tRNAをリボソームのA部
位へ結合させる因子と、ペプチド転移反応の結果リボソ
ームのA部位に結合することになったペプチジル−tRNA
を再びP部位へ転位させる因子である。
原核細胞では上記二種類のポリペプチド鎖延長因子
(以下EFと略す)が、各々EF−T、EF−Gと命名され、
EF−TはさらにEF−TuとEF−Tsに分別されている。一
方、真核生物においては、細胞質およびミトコンドリア
内にそれぞれ独立したEFが存在している。細胞質内のEF
の一つとして、大腸菌のEF−Tuの機能に対応するEF−1
αが知られており、酵母やブタ肝をはじめ種々の組織か
ら精製されている。
ヒトEF−1α cDNAは、ブランツ等[ヨーロピアン
ジャーナル オブ バイオケミストリー(Eur.J.Bioche
m.)、155巻、167頁、1986年]によりすでに一次構造が
決定されたが、染色体遺伝子のDNA配列は明らかではな
かった。これは後述のごとく染色体遺伝子中にヒトEF−
1α遺伝子の偽遺伝子が存在するため、ヒトEF−1α染
色体遺伝子の単離が困難であったことによる。前述のご
とく本発明者らは、ヒトEF−1αの染色体遺伝子を単離
し、ついで塩基配列を決定し、ヒトEF−1α遺伝子のプ
ロモーター領域を含む新規DNA配列ならびにイントロン
のDNA配列を初めて明らかにした。ついで該プロモータ
ー領域を含有する新規DNAが、下流の遺伝子の発現効率
を高めることを見いだし、該DNAを含有する高発現プラ
スミドを作製した。
すなわち本発明は、図2および図7に示された制限酵
素地図で示される配列を含むヒトEF−1α染色体遺伝子
の開始コドンの上流約2.5kbpの全部あるいはそのTATAボ
ックスを含む一部であって、その下流の遺伝子の発現効
率を高める機能を有する新規DNAを提供する。
上記DNAが下記式(I)で表される塩基配列の全部あ
るいはそのTATAボックスを含む一部である新規DNAを提
供する。
式(I): ここで、上記下流の遺伝子の発現効率を高める機能に
負の影響を及ぼさない範囲で、上記DNAが、前記式
(I)から1つ以上の塩基が欠失しているか、置換して
いるか、および/または前記式(I)に1つ以上の塩基
が挿入されている配列である新規DNAである。
さらに、上記DNAが、図2および図7に示された制限
酵素地図で示される配列を含むヒトEF−1α染色体遺伝
子の開始コドンの上流約2.5kbpのDNAフラグメントを1
種以上の制限酵素で切断して得られた断片、もしくはそ
れらをライゲーションさせた断片である新規DNAであ
る。
また本発明は、新規DNAを用いた発現プラスミドを提
供する。
ここで新規DNAは、本発明のDNAの全部または一部を含
有することが好ましい。
なお、現在の染色体DNA配列に関する常識として、構
造遺伝子以外のDNA配列は、細胞の種類により、また突
然変異等により主たる活性に変化を与えることなく微妙
に異なっている。従って本発明の新規DNAおよび式
(I)で示される新規DNAにおいても、その作用が同一
である限り、人工的に変異せしめることも含め塩基配列
に多少の差異が認められても本発明のDNAに含まれる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ヒトEF−1αの染色体遺伝子は、ヒト遺伝子ライブラ
リーを適当なプローブを使用して核酸ハイブリダイゼ−
ション法にて得ることが可能である。ヒト遺伝子ライブ
ラリーは、ヒト胎児肝より構築された遺伝子ライブラリ
ー[ローン等(R.M.Lawn et al.)、セル(cell)、1
5巻、1157頁、1978年]やヒト胎盤より構築された遺伝
子ライブラリー[松七五三等(H.Matsushimeet a
l.)、モレキュラー アンド セルラー バイオロジー
(Mol.Cell.Biol.)、6巻、3000頁、1986年]等が、使
用可能である。
一方、スクリーニングに使用するプローブにはEF−1
αの遺伝子配列または相補的な配列を有するDNAあるい
はRNAであれば可能であり、このDNAあるいはRNAはいか
なる真核生物由来のものであってもよいが、ヒト由来で
あることが好ましい。さらに好ましくはヒトEF−1α
cDNA、またはcDNAと相補的な塩基配列を有するオリゴヌ
クレオチドが適当である。ヒトEF−1α cDNAの放射標
識は、市販のニックトランスレーションキット等を用い
ることにより実施される。また、cDNAあるいはcDNAと相
補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドはDNA合成
機等で合成したものを、[γ−32P]で標識してプロー
ブとして用いることができる。ヒト染色体遺伝子上に
は、ある特定の遺伝子と共通のDNA配列を持つが、実際
には機能していない偽遺伝子の存在が知られている。こ
の偽遺伝子のクローニングを避けるために、ヒトEF−1
α cDNAとEF−1αの偽遺伝子との間で相同性のないDN
A配列を使用することが好ましく、ヒトEF−1α cDNA
の3′側のノンコーディング領域の塩基配列を用いるこ
とが適当である。
この場合、得られた陽性クローンが、ヒトEF−1α
cDNAのコ−ディング領域をプローブとしたサザンハイブ
リダイゼ−ション法等により、コーディング領域を含有
することを確認する必要がある。さらにシークエンシン
グにより塩基配列を確認し、これがヒトEF−1α cDNA
と同一の塩基配列を有し、欠失、挿入または変異等を有
する偽遺伝子とは異なり目的の染色体遺伝子であること
を確認する必要がある。
次に、得られたヒトEF−1α染色体遺伝子を既知のプ
ラスミドへサブクローニングする。プラスミドはいかな
る種類のものでもよいが、好ましくはpUC系プラスミド
がよい。作製したプラスミドを適当な制限酵素で消化す
ることにより制限酵素地図を作製することができる。さ
らにヒトEF−1α染色体遺伝子を制限酵素地図に従い適
当な大きさのDNAフラグメントとし、これらDNAフラグメ
ントをファ−ジベクターM13mp8またはM13mp9へサブクロ
ーニングする。1本鎖DNAを単離し、ジデオキシチェー
ンターミネ−ション法により塩基配列を決定する。各DN
Aフラグメントの塩基配列より、ヒトEF−1α染色体遺
伝子の全DNA配列を決定することができる。さらにヒトE
F−1α cDNAの配列と、ヒトEF−1α染色体遺伝子のD
NA配列を比較することにより、エクソンならびにイント
ロンの位置を決定する。また、転写開始部位は、細胞よ
り抽出したmRNAと、ヒトEF−1α cDNAと相補的な合成
オリゴヌクレオチドを用いたプライマ−エクステンショ
ン法により決定することができる。ヒトEF−1α遺伝子
のプロモーター領域に見いだされるTATAボックスは、転
写開始部位[式(I)に示した*位置]より上流約30塩
基付近[式(I)に示した下線の位置]に確認される。
本発明の新規DNAは、図2および図7に示された制限
酵素地図で示される配列を含むヒトポリペプチド鎖延長
因子−1α遺伝子の開始コドンの上流約2.5kbpの全部あ
るいはそのTATAボックスを含む一部であって、その下流
の遺伝子の発現効率を高める機能を有するもの、また
は、上記DNAが前記式(I)で表される塩基配列の全部
あるいはそのTATAボックスを含む一部であるもの、ある
いは主たる活性に変化を与えることなく、これらで示さ
れるDNAの少なくとも1つが、変異、欠失、挿入された
ものであってもよい。
これらの本発明の新規DNAは、有機化学合成してもよ
いし、上述の方法で得られるものでもよい。
ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を含有する新
規DNAを用いた発現プラスミドの構築の1例は、以下の
ように実施することが可能である。
まず、クローニングされたヒトEF−1α染色体遺伝子
をEcoR Iで消化後、アガロースゲル電気泳動等で単離す
る。このDNAフラグメントを、ヒトEF−1α遺伝子の単
一の切断部位をイントロン1中に持つ制限酵素Sac Iで
切断し、プロモーター領域を含みイントロン1の途中ま
でを含むDNAフラグメントと、エクソン2以降のすべて
のエクソンを含むDNAフラグメントに分離し、これら2
種のDNAフラグメントを単離する。各々のDNAフラグメン
トを、EcoR IおよびSac Iの制限酵素認識部位を一箇所
ずつ有する適当なプラスミド、好ましくはpUC119にサブ
クローニングする。得られた2種のプラスミドのうち、
プロモーター領域を含むプラスミドを制限酵素Pst Iで
切断し、Bal31ヌクレアーゼで処理する。ついでHind II
Iリンカーを結合して環状プラスミドを構築する。Bal31
ヌクレアーゼの作用の程度によりHind IIIの挿入位置の
異なるプラスミド、すなわちエクソン1までを含むプラ
スミドならびにエクソン1をまったく含まないプラスミ
ドが得られる。
またエクソン2に存在するヒトEF−1α遺伝子の開始
コドンATGの直前までを含むプラスミドは、以下のよう
にして構築できる。すなわち、エクソン2以降のすべて
のエクソンを含む上述のプラスミドを制限酵素Bgl IIで
切断し、Bal31ヌクレアーゼで処理する。ついでEcoR I
リンカ−を結合させ環状プラスミドを構築することによ
り、イントロン1のSac I部位から開始コドンの直前ま
でを含むプラスミドを得ることができる。次にEcoR Iで
消化し、その末端をT4DNAポリメラーゼで平滑化後Hind
IIIリンカ−を連結し、ヒトEF−1α染色体遺伝子由来
のSac I−Hind IIIフラグメントを単離し、pUC119にサ
ブクローニングする。さらにSac IおよびHind IIIで消
化することで得られたDNAフラグメントをさきに作製し
たヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を含みイント
ロン1のSca I部位までを含有するプラスミドのSac I−
Hind III間に挿入することで、ヒトEF−1α遺伝子のプ
ロモーター領域を含みエクソン2の開始コドンの直前ま
でを含むプラスミドが構築できる。
発現効率の測定には種々の方法を用い得るが、たとえ
ばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ
(以下CATと略す)遺伝子等を用いるのが測定の容易さ
から好ましい。すなわち発現されたCAT量を、クロラム
フェニコールのアセチル化体の生成率として薄層プレ−
ト等で測定することが可能である。またCAT以外の遺伝
子を用いる場合には蛍光抗体法等によって測定可能であ
る。
発現プラスミドの構築は具体的には以下の操作によっ
て実施できる。ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域
を含むDNAフラグメントは、上述の各種プラスミドをSca
IおよびHind IIIで消化することで得られる。CAT遺伝
子をコードするDNAフラグメントは、それを含有するプ
ラスミド等から適当な制限酵素で切り出すことにより得
られる。例えばプラスミドpSV2−CATからHind IIIおよ
びBamH Iで切り出すことができる。そのDNAフラグメン
トをBamH IおよびHinc II等で開環させた適当なプラス
ミドに、ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を含有
するDNAフラグメントとともに挿入することで目的の発
現プラスミドを構築できる。
例えば、本発明者等はヒトEF−1α染色体遺伝子のプ
ロモーター領域を含むDNAフラグメントが式(I)に示
した5′末端より、220↑、223↑、204↑または321↑の
位置までを含有する発現プラスミドpEF220−CAT、pEF22
3−CAT、pEF204−CATおよびpEF321−CATを構築した。こ
れら4種類のプラスミドは本発明者らにより平成1年3
月2日に、微工研菌寄第10595号(FERM P−10595)識
別表示E.coli DH5(pEF220−CAT)、微工研菌寄第1059
6号(FERM P−10596)識別表示E.coli DH5(pEF223
−CAT)、微工研菌寄第10594号(FERM P−10594)識
別表示E.coli DH5(pEF204−CAT)および微工研菌寄第
10597号(FERM P−10597)識別表示E.coli DH5(pEF
321−CAT)として寄託されている。
さらにこの発現プラスミド中のCAT遺伝子を、他の生
理活性物質をコードする遺伝子に置換することにより、
本発明の発現プラスミドを用い所望の生理活性物質を生
産することができる。置換には、当該分野で通常行われ
ている必要な処理を行うことができ、これらの処理の1
例としては、あらかじめプラスミド由来のHind III認識
部位を消去しておくことが好ましい。またポリA付加が
可能となるように、ポリA付加シグナル領域を残してお
くことが好ましい。
<実施例> 本発明を以下の実施例により一層具体的に説明する
が、本発明は、これらの例により何等限定されるもので
はない。
なお、以下の実施例で細胞培養に用いた培地を以下に
示したが、調製方法はそれぞれの指示書に従い、イーグ
ルMEM以下はさらにカナマイシンを終濃度60mg/L添加し
て使用した。
DM−160AU培地 (極東製薬工業) イーグルMEM培地(MEM) (日本水産) ダルベッコ変法イーグル培地 (日本水産) (DMEM) ハムF12培地 (日本水産) (Ham'sF12) RPMI 1640培地 (日本水産) また、以下の記載において用いる略号は、特に断わら
ない限り当該分野における慣用略号に基づくものであ
る。
さらに以下の実施例における操作は、いずれも一般的
な遺伝子操作法であり、モレキュラークローニング ア
ラボラトリーマニュアル(マニアティスら、コールド
スプリング ハーバー ラボラトリー 1982年)、ラ
ボマニュアル遺伝子工学(村松正窯實編、丸善 1988
年)等の、一般に使用されている実験書に記載されてお
り、その指示に従って実施できる。
実施例1 ヒトEF−1α染色体遺伝子の単離および同定 (1)ヒトEF−1α cDNAの単離 長島等[ジーン(Gene)、45巻、265頁、1986年]に
よって構築された酵母EF−1α染色体遺伝子を含むプラ
スミドpNK1を、Cla IおよびHind IIIで消化し、約1Kbp
のCla I−Hind IIIフラグメントをアガロ−スゲル電気
泳動で単離した。このDNAフラグメントを[α−32P]dC
TPを用いたニックトランスレーション法により[32P]
標識しプローブを作製した。
岡山およびバーグ[モレキュラー アンド セルラー
バイオロジー(Mol.Cell.Biol.)、3巻、280頁、198
3年]により構築されたヒト線維芽細胞GM637のcDNAライ
ブラリー[ナショナル インスティテュート オブ ヘ
ルス(National Institute of Health)の岡山博士より
供与]の約40,000コロニーを上述のプローブを用いてコ
ロニーハイブリダイゼーション法によりスクリーニング
した。条件は長田等の方法[プロシーディグス オブ
ザ ナショナルアカデミー オブ サイエンス オブ
U.S.A.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、80巻、6192頁、19
83年]に従って実施した。
すなわちコロニーのレプリカフィルターを作製し、各
ニトロセルロースフィルターと95℃で5分間加熱後急冷
したプローブを、28℃でハイブリダイゼーションさせ
た。洗浄後、オートラジオグラフィーにより目的のクロ
ーンを探索した。
得られた陽性クローン中のヒトEF−1α cDNAの長さ
をアガロースゲル電気泳動で解析し、最長のcDNA(約1.
8Kbp)を含むプラスミドのpAN7と命名した。ついでヒト
EF−1α cDNAの全塩基配列をジデオキシチェーンター
ミネーション法で決定した。得られたヒトEF−1α cD
NAの全塩基配列を第1図に示した。
その結果、ヒトEF−1α cDNA遺伝子のコーディング
部位は1386bpからなり、ブランツ等[ヨーロピアン ジ
ャーナル オブ バイオケミストリー(Eur.J.Bioche
m.)、155巻、167頁、1986年]によって発表されたヒト
EF−1α cDNAのコーディング領域の塩基配列と同一で
あった。
(2)ヒトEF−1α染色体遺伝子のクローニング ヒトEF−1αの染色体遺伝子を単離するために、まず
(1)で調製したヒトEF−1α cDNAをプローブとして
ヒト遺伝子ライブラリーをスクリーニングした。用いた
ヒト遺伝子ライブラリーは、ハーバード大学のマニアテ
ィス(T.Maniatis)博士より供与されたヒト胎児肝より
構築された遺伝子ライブラリー[ローン等(R.M.Lawn e
t al.)、セル(Cell)、15巻、1157頁、1978年]およ
び東京大学医科学研究所の渋谷博士より供与されたヒト
胎盤より構築された遺伝子ライブラリー[松七五三等
(H.Matsushime et al.)、モレキュラー アンド セ
ルラー バイオロジー(Mol.Cell.Biol.)、6巻、3000
頁、1986年]である。前述のpAN7のヒトEF−1α cDNA
のBamH Iフラグメント約2Kbpを(1)と同様にニックト
ランスレーション法により[32P]標識し、プローブを
作製した。
両ヒト遺伝子ライブラリーの総計約1,500,000個のプ
ラークをプラークハイブリダイゼーション法によりスク
リーニングし、その結果218個の陽性クローンが得られ
た。任意の5個のプラークを選定し、クローニングされ
ている染色体DNAフラグメントを単離した。これら5個
のクロ−ンに含まれる染色体DNAフラグメントはヒトEF
−1α cDNAプロ−ブと強くハイブリダイズするが、そ
の制限酵素地図およびジデオキシチェーンターミネーシ
ョン法を用いたシークエンスの結果より、まったくイン
トロンを含まずかつ一部変異、欠失または挿入が認めら
れた。以上の結果からこれらの染色体DNAはヒトEF−1
αの偽遺伝子と判断された。
ついで真のヒトEF−1α染色体遺伝子を単離、同定す
る目的で、ヒトEF−1α cDNAの3′側ノンコ−ディン
グ領域に存在する18塩基(終止コドンより約120塩基下
流に存在するDNA配列、5′−GATAACAATGCATCGTAA−
3′)をDNA合成装置(アプライトバイオシステム社、
モデル380A)を用いて合成した。このオリゴヌクレオチ
ドをT4−ポリヌクレオチドカイネースおよび[γ−
32P]ATPを用いて標識し、プローブを作製した。このプ
ローブを用いて上述の陽性クローン70個をプラークハイ
ブリダイゼーションにより再スクリーニングした。その
結果5個のクローンが陽性と判明し、そのうちのλEFg5
8が約7KbpのEcoR Iフラグメントを含有し、かつこのDNA
フラグメントがヒトEF−1α cDNAプローブとハイブリ
ダイズすることによりヒトEF−1α染色体遺伝子を含有
することを確認した。
(3)ヒトEF−1α染色体遺伝子のシークエンシング (2)で得られたλEFg58にクローニングされている
ヒトEF−1α染色体DNAを、EcoR Iにより切り出しアガ
ロ−スゲル電気泳動により単離した。この7KbpのEcoR I
フラグメントをプラスミドpUC119のEcoR I部位にサブク
ローニングし、得られたプラスミドをpEFg1と命名し
た。
ついでプラスミドpEFg1を各種制限酵素で処理し、ア
ガロースゲル電気泳動によるバンド数と移動度により制
限酵素部位を確認し、制限酵素地図を作製した。さらに
塩基配列を決定するために、各種制限酵素を切断単離し
たDNAフラグメントをM13mp8またはM13mp9へサブクロー
ニングした。常法に従い1本鎖DNAを単離し、ジデオキ
シチェーンターミネーション法により塩基配列を決定し
た。その結果、プラスミドpEFg1中のDNAフラグメントは
ヒトEF−1α cDNAとまったく同一の塩基配列を含有
し、目的のヒトEF−1α染色体遺伝子であることが確認
された。ヒトEF−1α染色体遺伝子の制限酵素地図とシ
ークエンシングの方向を第2図に、またシークエンシン
グの結果得られたSma I部位から約4.7Kbの塩基配列を第
3図に示した。
(4)ヒトEF−1α染色体遺伝子の構造 (1)で得られたヒトEF−1α cDNAと(3)で得ら
れたヒトEF−1α染色体遺伝子を比較し、エクソンおよ
びイントロンの位置を決定した。その結果、染色体遺伝
子は8個のエクソンと7個のイントロンからなることが
判明した(第2図)。
さらに転写開始部位はプライマーエクステンション法
により決定した。すなわちヒトHL−60細胞より得られた
mRNA5μg、[32P]標識したオリゴヌクレオチド5′−
TGTGTTCTGGCGGCAAACCCGTTG−3′5pmol(第3図の584−
607の位置に示されるDNAと相補的な塩基配列)、AMV逆
転写酵素25単位およびRNase阻害剤40単位を用いて1本
鎖cDNAを合成した。得られたDNAを7M尿素を含む8%ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動で解析し、転写開始位置
を決定した(第3図の*印の位置)。
以上の結果、エクソン1は33塩基で構成されているこ
とが、また開始コドンATGはエクソン2に存在し、エク
ソン1とエクソン2の間のイントロン1は943塩基の長
さから成ることが判明した。
実施例2 ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を含
むCAT遺伝子発現プラスミドの構築 (1)プラスミドpEF−2およびpEF−3の構築(第4図
参照) プラスミドpEFg1のヒトEF−1α遺伝子を含むEcoR I
フラグメント(約7Kbp)をSac Iで消化し、アガロース
ゲル電気泳動で2種のDNAフラグメント(約2.5Kbpおよ
び約4.5Kbp)に分離した。単離した両DNAフラグメント
を各々プラスミドpUC119のEcoR I−Sac I間にサブクロ
ーニングした。ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域
とエクソン1を含むプラスミドをpEF−2と、またエク
ソン2からエクソン8を含むプラスミドをpEF−3と命
名した。
(2)プラスミドpEF−220、pEF−223およびpEF−204の
構築(第5図参照) (1)で作製したプラスミドpEF−2(10μg)をPst
Iで消化後、Bal31−Sヌクレアーゼ3単位を用い、30
℃、10分間反応させた。ついで5′端がリン酸化された
Hind IIIリンカーpCAAGCTTG(宝酒造社)1μgをT4DNA
リカーゼで結合させた。さらにHind IIIで消化後、T4DN
Aリカーゼで環状化させ、プラスミド中にHind III認識
部位を導入した。Hind III認識部位の導入位置は得られ
たプラスミドにより差異が認められたが、プラスミドDN
Aを鋳型としてジデオキシチェーンターミネーション法
により塩基配列を決定(Hind III部位より上流に向かっ
てシークエンシング)することにより、各プラスミド中
に含まれるヒトEF−1α染色体DNA部分を正確に決定し
た。このうちヒトEF−1α染色体遺伝子上流のEcoR I部
位からエクソン1の21塩基上流[式(I)の220↑の位
置]までを含むプラスミドpEF−220、EcoR I部位からエ
クソン1の8塩基[式(I)の223↑の位置]までを含
むプラスミドpEF−223およびEcoR I部位からエクソン1
の24塩基[式(I)の204↑の位置]までを含むプラス
ミドpEF−204の3種のプラスミドを選定し、発現プラス
ミドの構築に使用した。
(3)プラスミドpEF−321の構築(第6図参照) (1)で作製したプラスミドpEF−3(5μg)をBal
IIで消化後、Bal31−Fヌクレアーゼ1.3単位を用い30
℃、8分間反応させた。次いで5′末端がリン酸化され
たEcoR IリンカーpGGAATTCC(宝酒造社)1μgをT4DNA
リガーゼで結合させた。さらにEcoR Iで消化後、T4DNA
リカーゼで環状化させ、Sac I部位よりエクソン2の一
部を含むプラスミドを作製した。EcoR I認識部位の導入
位置は、(2)と同様シークエンシングにより決定し、
Sac I部位よりエクソン2の5′部分10塩基[式(I)
の321↑の位置]までを含むプラスミドを選定した。
得られたプラスミドをさらにEcoR Iで消化し、T4DNA
ポリメラ−ゼにより平滑化した。ついで(2)と同様に
Hind IIIリンカーを連結した。このDNAよりエクソン2
の一部(10塩基)を含むSac I−Hind IIIフラグメント
(396bp)を単離し、pUC119のSac I−Hind III間にT4DN
Aリガーゼで連結した。得られたプラスミドより再度Sac
I−Hind IIIフラグメントを単離し、(1)で作製した
プラスミドpEF−2のSac I−Hind III間にT4DNAリカー
ゼで連結し、プラスミドpEF−321を作製した。プラスミ
ドpEF−321は、ヒトEF−1α染色体遺伝子上流のEcoR I
部位よりエクソン2の10塩基まで(開始コドンATGの上
流21塩基まで)を含有するプラスミドである。
(4)プラスミドpEF204−CAT、pEF223−CAT、pEF220−
CATおよびpEF321−CATの構築(第7図参照) (2)または(3)で得られたプラスミドpEF−220、
pEF−223、pEF−240またはpEF−321をSca IおよびHind
IIIで消化し、ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域
を含むSca I−Hind IIIフラグメントを単離した。CAT遺
伝子は、バーク博士(P.Berg、スタンフォード大学)よ
り供与されたプラスミドpSV2−CAT[ゴーマン等(C.M.G
orman et al.)、モレキュラー アンド セルラー バ
イオロジー(Mol.Cell.Biol.)、2巻、1044頁、1982
年]をHind IIIおよびBamH Iで消化し、約1.6KbpのDNA
フラグメントとして単離した。
これら両DNAフラグメントと、プラスミドpUC119のHin
c II−BamH Iラージフラグメント(3.2kbp)の3種DNA
フラグメントをT4DNAリガーゼを用いて連結し、プラス
ミドpEF220−CAT、pEF223−CAT、pEF204−CATおよびpEF
321−CATを作製した(ただし、各々のSca I−Hind III
フラグメントは式(I)で示される5′末端よりさらに
約950bpのDNAを含んでいる)。
実施例3 ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を含
むSV40T抗原発現プラスミドの構築(第8図参照) (1)プラスミドpEF204α−CATおよびpEF321α−CATの
構築 pUC119由来のHind III認識部位のみを消去するため、
プラスミドpEF204−CATまたはpEF321−CAT4μgをHind
III6単位を用いて37℃、10、15、25または40分間反応さ
せ不完全切断をおこなった。1カ所のみ切断されている
DNAフラグメントを、アガロースゲル電気泳動で単離精
製した。このDNAフラグメントをT4DNAポリメラーゼで平
滑化後T4DNAリガーゼで連結した。各々のプラスミドをH
ind IIIおよびBamH Iで消化した時、CAT遺伝子由来の1.
6KbpのDNAフラグメントが切り出されるプラスミドを選
定し、各々プラスミドpEF204α−CAT、pEF321α−CATと
命名した。
(2)プラスミドpEF204α−TおよびpEF321α−Tの構
築 SV40T抗原のコ−ディング領域を含有するプラスミドp
MT1[菅野等(S Sugano et al.)、ジャーナル オブ
バイロロジー(J.Virol.)、52巻、884頁、1984年]をH
ind IIIおよびTaq Iで消化しSV40T抗原のコーディング
領域の上流部分432bpを単離した。またこれとは別にプ
ラスミドpMT1をTaq IおよびBamH Iで消化し、初期ポリ
A付加シグナル配列を含むSV40T抗原のコーディング領
域の下流部分2.2Kbpを単離した。
(1)で作製したプラスミドpEF204α−CATまたはpEF
321α−CATを各々Hind IIIおよびBamH Iで消化してCAT
遺伝子を除去した。このHind III−BamH I部位間に、上
述のHind III−Taq IフラグメントおよびTaq I−BamH I
フラグメントを挿入してSV40T抗原の全コーディング領
域を含むプラスミドpEF204α−TおよびpEF321α−Tを
作製した。
実施例4 ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を含
むヒトCD4cDNA発現プラスミドの構築(第9図参照) ヒトCD4cDNAを含有するプラスミドT4−pMV7[マドン
等(P.J.Maddon et at.)、セル(Cell)、47巻、333
頁、1986年]からヒトCD4cDNA(約1.7Kbp)をEcoR I−B
amH Iフラグメントとして切り出し、プラスミドpCU8に
挿入した。ことプラスミドをHind IIIで消化しT4DNAポ
リメラーゼで平滑化後、さらにEcoR Iで消化しヒトCD4c
DNAフラグメントを単離した。
実施例3で作製したプラスミドpEF321α−Tを実施例
3の(1)と同様に、pUC119由来のEcoR I認識部位を消
去し、プラスミドpEF321β−Tを得た。次いでプラスミ
ドpEF321β−TをEcoR IおよびHpa Iで消化して得られ
たラ−ジフラグメントに、上述のヒトCD4cDNAフラグメ
ントをT4DNAリガーゼで結合させ、プラスミドpEF321β
−CD4を作製した。
実施例5 CAT遺伝子の発現 4種のヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を含有
する発現プラスミドpEF220−CAT、pEF223−CAT、pEF204
−CATおよびpEF321−CATの発現効率を他の発現プラスミ
ドpSV−CATおよびpSRα−CAT(国立予防衛生研究所の武
部博士より供与)と比較した。
(1)発現プラスミドの各種細胞株へのトランスフェク
ション 用いた細胞株、培地、プレートに植え込む時の細胞密
度(細胞数/10cm2プレート)および培養時間を以下に示
す。
CHO−K1(チャイニーズハムスター卵巣細胞 ATCC C
CL61) 10%FCS含有Ham'sF12培地 1.2×106個、48時間 IMR−32(ヒト神経芽細胞 ATCC CCL127) 10%FCS含有MEM培地 2.0×106個、48時間 3Y1(ラット線維芽細胞) 8%FCS含有DMEM培地 2.0×106個、24時間 CV−1(サル腎臓細胞 ATCC CCL70) 8%FCS含有DMEM培地 2.0×106個、24時間 COS−1(SV40による形質転換サル腎臓細胞 ATCC C
RL1650) 8%FCS含有DMEM培地 2.0×106個、24時間 T22(SV40による形質転換サル腎臓細胞) 8%FCS含有DMEM培地 2.0×106個、24時間 BrA2−227(SV40変異株T抗原A2によって不朽化した
ラット脳細胞) 8%FCS含有DMEM培地 2.0×106個、24時間 BrA2−SS(SV40変異株T抗原A2によって不朽化したラ
ット脳細胞) 8%FCS含有DMEM培地 2.0×106個、24時間 JTC−16・P3(ラット肝癌細胞 JCRB 0714) 1%FCS含有DM−160AU培地 約50%コンフルエント、48時間 NY(ヒト骨肉腫細胞 JCRB 0614) 8%FCS含有DMEM培地 2.0×106個、72時間 MT−1(ヒトT細胞白血病細胞 JCRB 0063) 10%FCS含有RPMI 1640培地 浮遊細胞を2.0×106個に調製して使用 各細胞は上記の条件でプラスミドDNA添加前に植え込
み、添加約1時間前に培養液を交換した。
一方、各々のプラスミドDNA10−20μgを含む水溶液
0.45mlに50μlの2.5MCaCl2を加え、さらに溶液を攪拌
しつつ、0.5mlの2×HBS[280mM NaCl/50mM HEPES/2.
8mM Na2hPO4(pH 7.05)]を滴下後、10分間室温で放
置した。ついで上記細胞を含む培地中にこれを加え6時
間培養した。約10mlのPBS−で洗浄後、20%DMSO/培地で
3分間処理してトランスフェクタントを得た。得られた
トランスフェクタントはPBS−で洗浄後、培地を添加
し、5%CO2存在下37℃で維持した。
(2)CATアッセイ CATアッセイは、ゴーマン等の方法[モレキュラー
アンド セルラー バイオロジー(Mol.Cell.Biol.)、
2巻、1044頁、1982年]に従った。各々の細胞を5%CO
2存在下37℃で48時間培養後、2回PBS−で洗浄し、1000
r.p.m.で3分間遠心して細胞を集めた。0.25MTris−HCl
(pH7.8)200μlに懸濁後凍結−融解を3回繰り返し、
さらに超音波処理により細胞を破壊した。4℃、15,000
r.p.m.で15分間遠心し、得られた上清の一部を用いてブ
ラッドフォード等の方法[アナリティカル バイオケミ
ストリー(Anal.Biochem.)、72巻、248頁、1976年]に
従い上清中の蛋白質量を定量した。
この結果に基づき約150μg(ただしCHO−K1は2μ
g、NYは18μg、JTC−16・P3は6μg、MT−1は41μ
gおよびIMR−32は760μg)の蛋白質量を含有すると考
えられる上清を分取し、終濃度0.2μCi[14C]クロラム
フェニコール/1mMアセチルCoA/0.25MTris−HCl(pH7.
8)となるように[14C]クロラムフェニコール(アマシ
ャム社)およびアセチルCoAを添加した。37℃、2時間
(ただしCHO−K1およびNYは30分間、JTC−16・P3は40分
間)インキュベートした後、反応液を酢酸エチルで抽出
し、次いで酢酸エチルを蒸発乾固させた。再度15μlの
酢酸エチルに溶解させ、20cmのシリカゲル薄層プレート
(メルク社)上にスポット後、クロロホルムーメタノー
ル(95:5)を展開溶媒としてクロマトグラフィーを行っ
た。上端より13cmまで展開し乾燥後、X線フィルムを薄
層プレートに重ね、18〜20時間(ただしMT−1は3日
間)放置してオートラジオグラフをとった。
各トランスフェクタントにより発現されたCAT量は、
アセチル化された[14C]クロラムフェニコールの割合
から推定された。さらに定量的な測定法としてラジオア
ナリティックラベリングシステム(AMBIS System In
c.)を用い薄層プレート上の放射活性を直接カウントし
た。
代表例としてIMR−32細胞におけるCAT遺伝子の発現効
率を、ラジオアナリティックラベリングシステムで測定
した結果を第10図に示した。図中の数字は各々[14C]
クロラムフェニコールまたはアセチル化[14C]クロラ
ムフェニコールの放射活性の強さを示している。従って
アセチル化[14C]クロラムフェニコールの割合は(ア
セチル化体)/(アセチル化体+未変化体)で示され
る。この結果、SV40プロモーターを含有する発現プラス
ミドでは発現効率の非常に低い神経芽細胞(IMR−32)
においても、ヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を
含有する4種の発現プラスミドは、いずれも高発現率を
示した。特にエクソン2までを含有するプラスミドpEF3
21−CATはpSV2−CATの約100倍、pSRα−CATの約10倍の
発現効率を示した。
また、各発現プラスミドによるアセチル化体の割合を
表1にまとめた。
CHO−K1およびIMR−32細胞で、4種のヒトEF−1α遺
伝子のプロモーター領域を含有する発現プラスミドの発
現効率を比較すると、pEF321−CAT>pEF204−CAT、pEF2
23−CAT>pEF220−CATの順であった。さらに上記2種の
細胞で最大発現効果を示したプラスミドpEF321−CAT
は、作用したいずれの細胞株においても、SV40プロモー
ター含有の2種のプラスミドに比べ同等またはそれ以上
の発現効率を示した。
実施例6 SV40T抗原遺伝子の発現 プラスミドpEF204α−T、pEF321α−TおよびpMT1を
実施例5の(1)に従ってIMR−32細胞にトランスフェ
クションした。48時間後、細胞をエタノール−アセトン
(1:1)溶液で−20℃、18分間固定し免疫蛍光アッセイ
を行った。一次抗体としてハムスターのSV40に対する抗
血清を作製して使用した。すなわち生後3〜4カ月のハ
ムスタ−の皮下にSV40トランスフォーム細胞約2×106
個を接種し腫瘍の形成を待ち(通常2〜6カ月)、1日
の絶食後全採血を実施し、抗血清を得た。上記の固定さ
れた細胞を抗血清とともに37℃、1時間インキュベート
した。PBS−で細胞を洗浄後、FITC結合ウサギ抗ハムス
ターIgG(富士臓器)とともに37℃、1時間インキュベ
ートした。PBS−で細胞を洗浄後、落斜式蛍光顕微鏡BH2
(オリンパス社)で蛍光を観察した。
その結果、T抗原の発現は、プラスミドpEF204α−T
およびプラスミドpEF321α−Tでは確認できたが(第11
図および第12図)、プラスミドpMT1では確認できなかっ
た。
実施例7 発現プラスミドの安定性の測定 3Y1細胞に対して実施例6と同様にトランスフェクシ
ョンを行った。24時間培養後、トリプシン溶液(0.05%
トリプシン/PBS−)を用いて細胞をまき直し、その後37
℃、5%CO2存在下で1カ月間培養した。
その結果プラスミドpEF204α−T、pEF321α−Tまた
はpMT1によってトランスフェクトされた細胞は、すべて
高密度のフォーカスを形成した。しかし、プラスミドpE
F204α−TまたはpEF321α−Tでトランスフェクトされ
た細胞は、プラスミドpMT1によりトランスフェクトされ
た細胞に比べフォーカスが多数存在していた。
さらにそれらのフォーカスの1つをトリプシン溶液で
処理後、実施例6に従い免疫蛍光アッセイを行った。そ
の結果、プラスミドpEF204α−TおよびプラスミドpEF3
21α−Tによってトランスフェクトされた細胞は、細胞
核にT抗原が検出され(第13図および第14図)、細胞内
のプラスミドDNAが1カ月間安定に存在していることが
示された。
実施例8 ヒトCD4遺伝子の発現 プラスミドpEF321β−CD4を実施例6に従いCHO−K1細
胞にトランスフェクションした。一次抗体としてヒトCD
4特異的マウスモノクローナル抗体(OKT4、オ−ソ
社)、二次抗体としてFITC結合ウサギ抗マウスIgG(医
学生物学研究所)を使用して実施例6に従い免疫蛍光ア
ッセイを実施した。
結果を第15図に示すが、CD4蛋白質がトランスフェク
ションされた細胞表面に検出され、プラスミドpEF321β
−CD4がCHO−K1細胞でCD4を発現していることが証明さ
れた。
<発明の効果> 本発明のヒトEF−1α遺伝子のプロモーター領域を含
有する新規DNA配列を用いた発現プラスミドは、従来繁
用されているSV40初期プロモーターを用いた発現プラス
ミドに比べ、広宿主細胞域でより強力な発現効率を示し
た。さらにこの発現プラスミドは細胞内で約1カ月間安
定に存在した。したがって本発明の発現プラスミドを用
いることにより、より広範囲の哺乳動物細胞を宿主とし
て各種有用生理活性物質をより効率的に、なおかつ長期
間産生させ得ることが期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ヒトEF−1αのcDNAの塩基配列を示す図であ
る。 第2図は、ヒトEF−1α染色体遺伝子の構造およびシー
クエンシングの方向を示す線図である。 第3図は、ヒトEF−1α染色体遺伝子の全塩基配列を示
す図である。 第4図は、プラスミドpEF−2およびpEF−3、第5図は
プラスミドpEF−220、pEF−223およびpEF−204、第6図
はプラスミドpEF−321、第7図はプラスミドpEF220−CA
T、pEF223−CAT、pEF204−CATおよびpEF321−CAT、第8
図はプラスミドpEF204α−TおよびpEF321α−T、第9
図はプラスミドpEF321β−CD4の各々の構築図を示す図
である。 第10図は、IMR−32細胞におけるCATアッセイの結果を示
す図である。 第11図、第12図、第13図、第14図および第15図は、生物
の形態を示す図面代用写真である。 すなわち、第11図および第12図は、IMR−32細胞におけ
る、また第13図および第14図は3Y1細胞におけるT抗原
の蛍光抗体による検出結果を示す。 第15図はCHO−K1細胞におけるヒトCD4の蛍光抗体による
検出結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 上代 淑人 東京都練馬区石神井町6―22―10 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12P 21/00 - 21/08 C12N 5/00 - 5/28 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】図2および図7に示された制限酵素地図で
    示される配列を含むヒトEF−1α染色体遺伝子の開始コ
    ドンの上流約2.5kbpの全部あるいはそのTATAボックスを
    含む一部であって、その下流の遺伝子の発現効率を高め
    る機能を有する新規DNA。
  2. 【請求項2】前記DNAが下記式(I)で表される塩基配
    列の全部あるいはそのTATAボックスを含む一部である請
    求項1に記載の新規DNA。 式(I):
  3. 【請求項3】前記下流の遺伝子の発現効率を高める機能
    に負の影響を及ぼさない範囲で、前記DNAが、前記式
    (I)から1つ以上の塩基が欠失しているか、置換して
    いるか、および/または前記式(I)に1つ以上の塩基
    が挿入されている請求項1または2に記載の新規DNA。
  4. 【請求項4】前記DNAが、図2および図7に示された制
    限酵素地図で示される配列を含むヒトEF−1α染色体遺
    伝子の開始コドンの上流約2.5kbpのDNAフラグメント
    を、1種以上の制限酵素で切断して得られた断片、もし
    くはそれらをライゲーションさせた断片である請求項1
    ないし3のいずれかに記載の新規DNA。
  5. 【請求項5】請求項1に記載のDNAを含有する発現プラ
    スミド。
  6. 【請求項6】請求項2に記載のDNAを含有する発現プラ
    スミド。
  7. 【請求項7】請求項3に記載のDNAを含有する発現プラ
    スミド。
  8. 【請求項8】前記DNAが、図2および図7に示された制
    限酵素地図で示される配列を含むヒトEF−1α染色体遺
    伝子の開始コドンの上流約2.5kbpのDNAフラグメント
    を、1種以上の制限酵素で切断して得られた断片、もし
    くはそれらをライゲーションさせた断片である請求項5
    ないし7のいずれかに記載の発現プラスミド。
  9. 【請求項9】請求項1ないし4のいずれかに記載のDNA
    および、その下流に発現させようとする蛋白質をコード
    する遺伝子を含有する発現プラスミド。
  10. 【請求項10】前記蛋白質をコードする遺伝子が、生理
    活性物質をコードする遺伝子である請求項9に記載の発
    現プラスミド。
  11. 【請求項11】請求項9に記載の発現プラスミドで宿主
    細胞を形質転換することを特徴とする蛋白質の生産方
    法。
  12. 【請求項12】請求項10に記載の発現プラスミドで宿主
    細胞を形質転換することを特徴とする生理活性物質の生
    産方法。
  13. 【請求項13】(a)プラスミドpEF204−CAT、pEF220
    −CAT、pEF223−CATまたはpEF321−CATのプラスミド中
    のCAT遺伝子もしくはその一部を除去する、 (b)必要があれば、(a)で得られるプラスミド中の
    任意の制限酵素部位を除去する、 (c)(a)または(b)のプラスミド中の遺伝子の下
    流に発現させようとする生理活性物質をコードする遺伝
    子を挿入する、 上記工程で得られることを特徴とするプラスミド。
  14. 【請求項14】請求項13で得られるプラスミドで宿主細
    胞を形質転換し、生理活性物質を発現させることを特徴
    とする蛋白質の生産方法。
JP1061702A 1989-03-14 1989-03-14 新規dnaならびにそれを含有する発現プラスミド Expired - Lifetime JP3051411B2 (ja)

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