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JP3077995B2 - 永久磁石材料、永久磁石材料製造用冷却ロールおよび永久磁石材料の製造方法 - Google Patents
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JP3077995B2 - 永久磁石材料、永久磁石材料製造用冷却ロールおよび永久磁石材料の製造方法 - Google Patents

永久磁石材料、永久磁石材料製造用冷却ロールおよび永久磁石材料の製造方法

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JP3077995B2 JP02131492A JP13149290A JP3077995B2 JP 3077995 B2 JP3077995 B2 JP 3077995B2 JP 02131492 A JP02131492 A JP 02131492A JP 13149290 A JP13149290 A JP 13149290A JP 3077995 B2 JP3077995 B2 JP 3077995B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、R(RはYを含む希土類元素である。以下
同じ。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含むFe−R
−B系およびFe−Co−R−B系の永久磁石材料と、この
永久磁石材料の製造に用いる冷却ロールと、この永久磁
石材料の製造方法とに関する。
<従来の技術> 高性能を有する希土類磁石としては、粉末冶金法によ
るSm−Co系磁石でエネルギー積32MGOeのものが量産され
ている。
しかし、このものは、Sm、Coの原料価格が高いという
欠点を有する。希土類元素の中では原子量の小さい元
素、例えば、セリウムやプラセオジム、ネオジムは、サ
マリウムよりも豊富にあり価格が安い。また、FeはCoに
比べ安価である。
そこで、近年Nd−Fe−B等のR−Fe−B系磁石が開発
され、特開昭60−9852号公報では高速急冷法によるもの
が開示されている。
高速急冷法では、金属の溶湯を冷却基体表面に衝突さ
せて急冷し、薄帯状、薄片状、粉末状などの金属を得る
方法であり、冷却基体の種類により、片ロール法、双ロ
ール法、ディスク法等に分類される。
これらの高速急冷法のうち、片ロール法では冷却基体
として1個の冷却ロールを用いる。そして、溶湯状の合
金をノズルから射出し、ノズルに対して回転している冷
却ロールの表面に衝突させ、冷却ロール表面と接触させ
ることにより合金を一方向から冷却し、通常、薄帯状の
急冷合金を得る。合金の冷却速度は、通常、冷却ロール
の周速度により制御される。
片ロール法は、機械的に制御する部分が少なく安定性
が高く、経済的であり、また、保守も容易であるため汎
用されている。
また、双ロール法は、一対の冷却ロールを用い、これ
らの冷却ロール間に溶湯状の合金を挟んで対向する二方
向から冷却する方法である。
<発明が解決しようとする課題> 片ロール法では、一般に、合金の冷却ロール表面に接
触する側(以下、ロール面側という。)の冷却速度を最
適範囲に設定すると、その反対側(以下、フリー面側と
いう。)の冷却速度が不十分となり、ロール面側では好
ましい結晶粒径となるが、フリー面側では粗大粒となっ
て高い保磁力が得られなくなる。
一方、フリー面側の結晶粒径が好ましい範囲となるよ
うに冷却すると、ロール面側の冷却速度が極端に大きく
なり、ロール面側は殆どアモルファス状態となって高い
磁気特性が得られなくなる。
このため、従来は急冷合金全体として好ましい粒径の
結晶粒が最も多くなるように冷却ロールの周速度を設定
し、これを最適周速度としている。
しかし、上記のようにして決定された最適周速度は極
めて狭い範囲となり、合金の組成によっても異なるが、
例えば25m/sを中心として±0.5〜2m/s程度である。この
ため、周速度を厳密に制御しなければならず、低コスト
にて量産することが困難である。
ところで、好ましい結晶粒径の領域の範囲(冷却方向
の厚さ)はほぼ一定であり、薄帯の厚さにあまり依存し
ないため、薄帯の厚さを薄くしたほうが薄帯全体として
の磁気特性は向上する。溶湯状合金のノズルからの射出
量が一定である場合、薄帯の厚さは冷却ロールの周速度
に依存するため、周速度を速くすれば薄い薄帯が得られ
るが、上記したように合金の組成により最適周速度が決
まっているので、周速度を速くして薄帯の厚さを減少さ
せるためには冷却ロール自体を換える必要があり、実用
的ではない。
一方、溶湯状合金の射出量を少なくすれば薄帯の厚さ
は減少するが、R−Fe−B系合金の溶湯はノズル構成材
料と反応し易いため、連続使用したときにノズルが閉塞
し易い。このため、工業的に量産する場合、ノズル径を
むやみに細くすることはできない。
さらに、上記の最適周速度で冷却を行なった場合で
も、ロール面側とフリー面側とでは結晶粒径に10倍程度
前後の差が生じ、好ましい結晶粒径が得られる領域が極
めて狭くなってしまい、急冷合金の冷却方向で各種磁気
特性が不均一となってしまう。
このため、急冷合金を粉砕したとき、得られる磁石粉
末中には高磁気特性の磁石粒子と低磁気特性の磁石粒子
とが混在することになり、この磁石粉末を樹脂バインダ
中に分散しボンディッド磁石とした場合、磁石全体とし
て高磁気特性が得られない。
一方、双ロール法ではフリー面が存在しないので、薄
帯の対向する表面での結晶粒径はほぼ同等となる。しか
し、ロール面と薄帯中央付近では冷却速度が違うため、
片ロール法と同様に結晶粒径の違いが問題となる。
本発明は、これらの事情からなされたものであり、溶
湯状の合金を冷却ロール表面と接触させて急冷すること
によりR−Fe−B系永久磁石材料を製造するに際し、永
久磁石材料内の広い領域で好ましい結晶粒径を実現して
高い磁気特性の永久磁石材料を得、しかも、高い磁気特
性を有する永久磁石材料を得るための冷却ロールの周速
度範囲を広げること、すなわち磁気特性の周速度依存性
を低くすることを目的とする。
<課題を解決するための手段> このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明によ
り達成される。
(1)R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以上
である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含有する
溶湯状の合金を冷却ロール表面と接触させることにより
一方向または対向する二方向から冷却して製造された永
久磁石材料であって、 基材と、この基材表面に形成された表面層とを有し、
この表面層の熱伝導度が基材の熱伝導度より低く、 かつこの表面層を構成する材質が、Cr、Ni、Co、Vの
単体あるいはこれらの元素のうちの1種以上を含有する
合金である冷却ロールを用いて製造され、 この冷却ロール表面に接触した表面の中心線平均粗さ
Raが0.05〜1.5μmであり、 磁石厚さの1/5の単ロール法を用いた場合のフリー面
近傍領域または双ロール法を用いた場合の対向する両主
面間の中央領域における平均結晶粒径dが0.01〜2μm
であり、dと、磁石厚さの1/5のロール面近傍領域にお
ける平均結晶粒径pとのの比d/pが4以下である永久磁
石材料。
(2)R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以上
である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含有する
溶湯状の合金を冷却ロール表面と接触させることにより
一方向または対向する二方向から冷却して製造された永
久磁石材料であって、 基材と、この基材表面に形成された表面層とを有し、
表面層の熱伝導度が0.6J/(cm・s・K)以下であり、 この表面層を構成する材質が、Cr、Ni、Co、Vの単体
あるいはこれらの元素のうちの1種以上を含有する合金
である冷却ロールを用いて製造され、 この冷却ロール表面に接触した表面の中心線平均粗さ
Raが0.05〜1.5μmであり、 磁石厚さの1/5の単ロール法を用いた場合のフリー面
近傍領域または双ロール法を用いた場合の対向する両主
面間の中央領域における平均結晶粒径dが0.01〜2μm
であり、dと、磁石厚さの1/5のロール面近傍領域にお
ける平均結晶粒径pとの比d/pが4以下である永久磁石
材料。
(3)一方向から冷却されることにより製造され、冷却
ロールに接触した面の法線方向の厚さが45μm以下であ
る上記(1)または(2)に記載の永久磁石材料。
(4)対向する二方向から冷却され、冷却ロールに接触
した面の法線方向の厚さが90μm以下である上記(1)
または(2)に記載の永久磁石材料。
(5)冷却ロールに接触した面の中心線平均粗さRaが、
前記冷却ロール表面の中心線平均粗さRa以下である上記
(1)ないし(4)のいずれかに記載の永久磁石材料。
(6)冷却ロールに接触した面の近傍領域が、冷却ロー
ル表面付近の構成元素を含有する上記(1)ないし
(5)のいずれかに記載の永久磁石材料。
(7)R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以上
である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含有する
溶湯状の合金を冷却して 磁石厚さの1/5の単ロール法を用いた場合のフリー面
近傍領域または双ロール法を用いた場合の対向する両主
面間の中央領域における平均結晶粒径dが0.01〜2μm
であり、dと、磁石厚さの1/5のロール面近傍領域にお
ける平均結晶粒径pと比d/pが4以下である永久磁石材
料を製造するための冷却ロールであって、 前記冷却ロールは基材と、この基材表面に形成された
表面層とを有し、溶湯状の合金と接触する表面の中心線
平均粗さRaが0.07〜1.7μmであり、表面層の熱伝導度
が基材の熱伝導度より低く、 かつこの表面層を構成する材質が、Cr、Ni、Co、Vの
単体あるいはこれらの元素のうちの1種以上を含有する
合金である永久磁石材料製造用冷却ロール。
(8)R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以上
である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含有する
溶湯状の合金を冷却して 磁石厚さの1/5の単ロール法を用いた場合のフリー面
近傍領域または双ロール法を用いた場合の対向する両主
面間の中央領域における平均結晶粒径dが0.01〜2μm
であり、dと、磁石厚さの1/5のロール面近傍領域にお
ける平均結晶粒径pとの比d/pが4以下である永久磁石
材料を製造するための冷却ロールであって、 前記冷却ロールは基材と、この基材表面に形成された
表面層とを有し、溶湯状の合金と接触する表面の中心線
平均粗さRaが0.07〜1.7μmであり、表面層の熱伝導度
が0.6J/(cm・s・K)以下であり、 かつこの表面層を構成する材質が、Cr、Ni、Co、Vの
単体あるいはこれらの元素のうちの1種以上を含有する
合金である永久磁石材料用冷却ロール。
(9)R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以上
である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含有する
溶湯状の合金をノズルから射出し、ノズルに対して回転
している冷却ロールの表面と接触させることにより前記
合金を一方向または対向する二方向から冷却する工程を
有する永久磁石材料の製造方法であって、 上記(7)または(8)に記載の永久磁石材料製造用
冷却ロールを用いる永久磁石材料の製造方法。
<作用> 本発明では、R−Fe−B系合金溶湯を片ロール法また
は双ロール法により急冷して永久磁石材料を製造する。
片ロール法および双ロール法では、冷却ロールの周速
度が速くなるほど合金の冷却速度は増加する。これは、
周速度が速くなると、単位時間あたりに供給される冷却
ロール表面積が増加するためである。
本発明では、これらの高速急冷法において、冷却ロー
ルとして、合金溶湯と接触する表面の中心線平均粗さRa
が上記範囲のものを用いる。
急冷時にこのような冷却ロール表面と接触した合金溶
湯は、冷却ロール表面の凸部とは密着するが凹部との密
着性が低く、周速度が速くなるほど凹部との密着性はさ
らに低下する。このため、周速度が速いほど冷却ロール
表面と合金との接触面積が小さくなり、冷却速度は低下
する。
このため、本発明において冷却ロールの周速度を増加
させると、供給される冷却ロール表面積増大による冷却
速度増加と、上記Raの冷却ロール表面に起因する冷却速
度低下とが総合され、結果として合金の冷却速度は殆ど
変わらない。従って、本発明により得られる永久磁石材
料は、冷却ロールの周速度が変動しても結晶粒径が殆ど
変化せず、磁気特性の周速度依存性が極めて低い。
このため、冷却ロールの周速度管理を厳密にする必要
がなく、また装置の実用的な寿命も伸び、低コストにて
量産することができる。
そして、広範囲の周速度にてほぼ一定の冷却速度が得
られるため、周速度変更により永久磁石材料の厚さ変更
を自在に行なうことができ、このときの磁気特性変動が
極めて小さい。
従って、合金溶湯射出ノズル径を細くすることなく薄
い永久磁石材料が得られ、好ましい粒径の結晶粒の含有
率が高い永久磁石材料を、量産性高く製造することがで
きる。
また、最適周速度にて同じ厚さの永久磁石材料を製造
する場合でも、上記Raの冷却ロールを用いることにより
高い磁気特性が得られる。
上記本発明の冷却ロールを用いて得られた永久磁石材
料は、ロール面のRaが上記範囲のものとなり、また、ロ
ール面のRaは、通常、冷却ロール表面のRa以下となる。
これは、上記したように冷却ロールの周速度が増加する
ほど合金と冷却ロールとの密着性が低下するためであ
る。
<具体的構成> 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明では、R(ただし、RはYを含む希土類元素の
1種以上である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを
含有する溶湯状の合金をノズルから射出し、ノズルに対
して回転している冷却ロールの表面と接触させることに
より前記合金を一方向または対向する二方向から冷却し
て永久磁石材料を製造する。
すなわち、本発明では、溶湯状合金の急冷に片ロール
法または双ロール法を用いる。
本発明では、片ロール法および双ロール法に用いる冷
却ロールとして、溶湯状合金と接触する表面の中心線平
均粗さRaが0.07〜1.7μm、好ましくは0.15〜1.2μmで
ある冷却ロールを用いる。冷却ロールのRaが前記範囲未
満であると、周速度を増加させても冷却ロール表面と合
金との密着性が低下せず、冷却速度の周速度依存性が高
くなってしまう。冷却ロールのRaが前記範囲を超える
と、薄帯状永久磁石材料の厚さに対して冷却ロールの表
面粗さが無視できない程大きくなり、薄帯厚さの不均一
をまねくので好ましくない。
なお、中心線平均粗さRaは、JIS B 0601に規定されて
いる。
表面のRa以外に冷却ロールの各種構成に特に制限はな
いが、冷却ロール表面のRaを所定範囲内に保持するた
め、本発明では、基材とこの基材表面に形成された表面
層とを有する冷却ロールを用いることが好ましい。
冷却ロールの基材は、例えば、銅、銅系合金、銀、銀
系合金等から選択され、融点の低い合金の高速急冷に用
いる場合にはアルミニウム、アルミニウム系合金も用い
ることができるが、熱伝導度が高いこと、安価であるこ
となどから、銅または銅系合金が好ましく用いられ、銅
系合金としては、銅ベリリウム合金等が好ましく用いら
れる。
このような基材表面に形成される表面層は、合金溶湯
の衝突、接触による冷却ロール表面のRa変化を防止する
ものであり、基材よりも硬度の高く、耐摩耗性の高い材
質で構成される。
このような表面層構成材質としては、Cr、Ni、Co、N
b、Vの単体あるいはステンレス、焼き入れ鋼など、前
記元素のうちの1種以上を含有する合金である。合金で
ある場合、これらの元素は20wt%以上含有される。
また、本発明で用いる冷却ロールは、表面層の熱伝導
度が基材の熱伝導度より低いものであることが好まし
い。このような冷却ロールを用いることにより、永久磁
石材料の冷却ロールと接触した面から最も遠い領域(以
下、領域Dという。)の冷却速度と、冷却ロールに接触
した面の近傍領域(以下、領域Pという。)の冷却速度
との差を小さくすることができ、結果として、領域Dに
おける平均結晶粒径と領域Pにおける平均結晶粒径との
差を小さくすることができる。
具体的には、表面層の熱伝導度は、0.6J/(cm・s・
K)以下、特に0.45J/(cm・s・K)以下であることが
好ましい。熱伝導度が上記範囲を超えると永久磁石材料
の冷却ロール側だけが急速に冷却されて結晶粒径が小さ
くなり、領域Pと領域Dの平均結晶粒径の差が増大す
る。また、表面層の熱伝導度の下限に特に制限はない
が、0.1J/(cm・s・K)未満になると熱移動が悪くな
るため表面層の表面付近のみが高温となり、焼き付きが
発生する場合もある。
なお、本明細書における熱伝導度は、常温、常圧での
値である。
上記したような冷却ロール表面のRaの安定性および冷
却ロールの耐久性を考慮すると、表面層を構成する材質
は融点および耐摩耗性が高い材質から選択されることが
好ましく、具体的には上記した各種材質から選択され
る。
このような表面層の厚さに特に制限はなく、表面層の
形成方法、表面層構成材料の熱伝導度、冷却ロールの寸
法、冷却ロールと金属溶湯との相対速度などの種々の条
件を考慮して最適な厚さとすればよいが、片ロール法や
双ロール法に適用する場合、0.005〜3mm、特に0.01〜0.
5mmとすることが好ましい。
表面層の形成方法に特に制限はなく、その材質などに
応じて、液相めっき、気相めっき、溶射、薄板の接着、
円筒状部材の焼きばめ等の種々の方法から選択すること
ができる。なお、表面層形成後、必要に応じてその表面
を研磨することにより所定のRaとすることもできる。
冷却ロールの基材は、上記のような熱伝導度の関係を
満たす材質から構成されれば、その他特に制限はなく選
択することができ、例えば、前記した銅や銅系合金等の
各種材質から選択されればよい。
なお、基材の好ましい熱伝導度の範囲は、1.4J/(cm
・s・K)以上、特に2J/(cm・s・K)以上である。
基材構成材質と表面層構成材質の好ましい組み合わせ
は、銅系合金の基材とNi、CoまたはCrの表面層であり、
これらのうちCoまたはCrの表面層がより好ましく、Crの
表面層がよりいっそう好ましい。
表面層を有する冷却ロールを用いた場合、領域Pに
は、冷却基体表面付近の構成元素、すなわち、表面層の
構成元素であるCr、Co、Ni、V、Nb等が含有される。こ
れは、高速急冷時に冷却基体表面から永久磁石材料に拡
散されたものである。この場合、表面層構成元素の含有
量は、主面から厚さ方向に20nm以下の範囲で、10〜500p
pm程度である。
以下、高速急冷法に片ロール法を用いる場合について
詳細に説明する。
冷却ロールの寸法に特に制限はなく、目的に応じて適
当な寸法とすればよいが、通常、直径150〜1500mm、幅2
0〜100mm程度である。また、ロール中心には、水冷用の
孔が設けられていてもよい。
ロールの周速度は、ロール表面層の組成、永久磁石材
料の組成、目的とする組織構造、熱処理の有無等の各種
条件によっても異なるが、好ましくは1〜50m/s、特に
5〜35m/sとすることが好ましい。
周速度が上記範囲未満であると、得られる永久磁石材
料の大部分の結晶粒が大きくなりすぎる。また、周速度
が上記範囲を超えると、大部分が非晶質となり磁気特性
が低下する。
本発明では、冷却ロールの周速度が変化した場合でも
冷却速度の変化率は極めて小さいので、上記のような広
い周速度範囲において磁気特性の良好な永久磁石材料が
得られる。
なお、片ロール法を用いた場合、通常、薄帯状の永久
磁石材料が得られる。
また、この場合の永久磁石材料の厚さは、45μm以下
とすることが好ましい。このような厚さとすることによ
り、ロール面側とフリー面側との平均結晶粒径の差を小
さくすることができる。そして本発明によれば、広い周
速度範囲においてほぼ一定の冷却速度が得られるため、
溶湯状合金の射出ノズルの径を絞ることなく45μm以下
の厚さの薄帯状永久磁石材料を得ることができる。
なお、永久磁石材料の厚さは、10μm以上とすること
が好ましい。厚さが10μm未満となると、ボンド磁石に
する際の粉末化工程およびそのハンドリングにおいて不
必要に表面積が増大し、酸化しやすくなるからである。
高速急冷法に双ロール法を用いる場合、ロール寸法お
よび両ロールの間隔に特に制限はないが、通常、直径50
〜300mm、幅20〜80mm程度であり、両ロールの間隔は、
0.02〜2mm程度とすることが好ましい。
なお、溶湯冷却時に両ロール間に圧力を印加し、急冷
圧延を行なってもよい。
また、双ロール法における製造条件は上記した片ロー
ル法に準じればよいが、冷却ロールの周速度は0.3〜20m
/sとすることが好ましい。
双ロール法により得られる永久磁石材料の形状は、通
常、薄帯状あるいは薄片状である。そして、その厚さは
90μm以下とすることが好ましい。この理由は、上記し
た片ロール法の場合と同様に、永久磁石材料内の結晶粒
径の差を小さくするためであり、また、本発明によれば
溶湯状合金の射出ノズルの径を絞ることなく、冷却ロー
ルの周速度を速くすることによりこのような厚さの永久
磁石材料が容易に得られる。
なお、双ロール法においても、永久磁石材料の厚さは
10μm以上とすることが好ましい。
上記のようにして得られる本発明の永久磁石材料は、
ロール面のRaが0.05〜1.5μm、好ましくは0.13〜1.0μ
mとなる。
本発明の永久磁石材料は、実質的に正方晶系の結晶構
造の主相のみを有するか、このような主相と、非晶質お
よび/または結晶質の副相とを有することが好ましい。
R−T−B化合物(TはFeおよび/またはCo)として
安定な正方晶化合物はR2T14B(R=11.76at%、T=82.
36at%、B=5.88at%)であり、主相は実質的にこの化
合物から形成される。また、副相は、主相の結晶粒界と
して存在する。
前記したような表面層を有する冷却ロール、すなわち
表面層の熱伝導度が基材の熱伝導度より低いものである
冷却ロールを用いて製造された永久磁石材料は、領域D
における平均結晶粒径dと、領域Pにおける平均結晶粒
径pとの関係を、d/p≦4、特にd/p≦2.5とすることが
できる。
なお、d/pの下限は通常1であるが、上記したような
冷却ロールを用いれば1.5≦d/p≦2程度の良好な値を容
易に得ることができる。
本明細書において、領域Dおよび領域Pは下記のよう
に定義される。
片ロール法や双ロール法により製造された永久磁石材
料は、冷却ロールに接触した面およびそれと対向する面
が主面となる。本明細書において永久磁石材料の厚さ方
向とは、この主面の法線方向を意味する。
片ロール法を用いた場合、上記した領域Dは、冷却時
に冷却ロールに接触した主面と対向する主面近傍領域、
すなわち、いわゆるフリー面近傍領域であり、領域P
は、いわゆるロール面近傍領域となる。
この場合、領域Dおよび領域Pの磁石厚さ方向の幅
は、いずれも磁石厚さの1/5とする。
また、双ロール法を用いた場合、領域Dは、対向する
両主面間の中央領域であり、領域Pは、ロール面近傍領
域である。
この場合も、領域Dおよび領域Pの磁石厚さ方向の幅
は、いずれも磁石厚さの1/5とする。
これらの領域中における平均結晶粒径の測定は、透過
型電子顕微鏡によって行なうことができる。
前記冷却ロールを用いれば、領域Dにおける平均結晶
粒径dとして、0.01〜2μm、特に0.02〜1.0μmが容
易に得られ、領域Pにおける平均結晶粒径pとして、0.
005〜1μm、特に0.01〜0.75μmが容易に得られる。
平均粒径がこの範囲未満であるとアモルファス状態に
近いため保磁力が低下し、この範囲を超えると高いエネ
ルギー積が得られない。
また、結晶粒界の幅は、領域Dにおいて0.001〜0.1μ
m、特に0.002〜0.05μm程度とでき、領域Pにおいて
0.001〜0.05μm、特に0.002〜0.025μm程度とするこ
とができる。結晶粒界の幅がこの範囲未満であると高い
保磁力が得られず、この範囲を超えると飽和磁束密度が
低下する。
なお、本発明により製造された永久磁石材料には、特
性改善のための熱処理が施されてもよい。
本発明で用いる合金溶湯の組成は、R(ただし、Rは
Yを含む希土類元素の1種以上である。)と、Feまたは
FeおよびCoと、Bとを含有するものであれば組成に特に
制限はなく、どのような組成であっても本発明の効果は
実現するが、永久磁石としたときの磁気特性が高いこと
から下記の組成を有することが好ましい。
R:5〜20at%、 B:2〜15at%および Co:0〜55at% を含み、残部が実質的にFeであるもの。
より好ましくは R:5〜17at%、 B:2〜12at%および Co:0〜40at% を含み、残部が実質的にFeであるもの。
Rについてさらに説明すれば、RはYを含む希土類元
素の1種以上であるが、高い磁気特性を得るために、R
として特にNdおよび/またはPrを含むことが好ましい。
Ndおよび/またはPrの含有量は、R全体の60%以上であ
ることが好ましい。
上記各元素の他、添加元素として、Zr、Nb、Mo、Hf、
Ta、W、Ti、VおよびCrの1種以上が含有されていても
よい。これらの元素は、結晶成長を抑制する作用を有す
る。また、Cu、MnおよびAgの1種以上が含有されていて
もよい。これらの元素は、塑性加工時の加工性を改善す
る作用を有する。これら添加元素の総含有量は、全体の
15at%以下であることが好ましい。さらに、耐食性を向
上させるためには、Niが含有されることが好ましい。Ni
の含有量は、上記添加元素と合わせて30at%以下である
ことが好ましい。
なお、Bの一部を、C、N、Si、P、Ga、Ge、Sおよ
びOの1種以上で置換してもよい。置換量は、Bの50%
以下であることが好ましい。
このような組成は、原子吸光法、蛍光X線法、ガス分
析法等によって容易に測定できる。
<実施例> 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。
[片ロール法を用いた永久磁石材料の製造] 直径500mm、幅60mmの銅ベリリウム合金製基材の表面
に電解めっきにより形成された厚さ0.12mmのCr製表面層
を有する冷却ロールを用いて、永久磁石材料を作製し
た。なお、基材の熱伝導度は3.6J/(cm・s・K)であ
り、表面層の熱伝導度は0.43J/(cm・s・K)であっ
た。
表面層のRaを下記表1に示す。
まず、8.5Nd−4Zr−7.5B−80Feの組成(数値は原子百
分率を表わす)を有する合金インゴットをアーク溶解に
より作製した。得られた合金インゴットを石英ノズルに
入れ、高周波誘導加熱により溶湯とした。
この溶湯を、上記冷却ロールを用いた片ロール法によ
り高速急冷し、永久磁石材料サンプルを得た。得られた
永久磁石材料サンプルは薄帯状であった。
なお、ノズル径は1.2mmφ、ノズル先端と冷却ロール
表面との間隔は0.5mm、溶湯射出圧力は1kg/cm2とし、加
圧にはArガスを用いた。また、溶湯射出時の雰囲気は、
15TorrのArガス雰囲気とした。
冷却ロールの周速度と、各サンプルの厚さ、Ra、iHc
および(BH)maxとを、表1に示す。
また、表1に示すサンプルNo.1−1〜1−3では同一
の冷却ロールを用いており、2−1〜2−3および3−
1〜3−3でもそれぞれ同一の冷却ロールを用いた。こ
れらの各冷却ロールを用いた場合に、iHcがその最大値
の80%以上となる周速度の幅をv80として表1に示す。
この値が大きいほど磁気特性の周速度依存性は低いこと
になる。
また、各サンプルを、その断面が容易に観察できる方
向に切断し、フリー面から薄帯厚さの1/5までの範囲
(領域D)の平均結晶粒径dおよびロール面から薄帯厚
さの1/5までの範囲(領域P)の平均結晶粒径pを、透
過型電子顕微鏡で測定し、d/pを算出した。結果を表1
に示す。
[双ロール法を用いた永久磁石材料の製造] 直径200mm、幅40mmの銅製基材表面に電解めっきによ
り形成された厚さ0.12mmのCr製表面層を有する冷却ロー
ルを用いて、永久磁石材料を作製した。
表面層のRaを下記表2に示す。
まず、11.5Nd−8B−80.5Feの組成(数値は原子百分率
を表わす)を有する合金インゴットをアーク溶解により
作製した。得られた合金インゴットを石英ノズルに入
れ、高周波誘導加熱により溶湯とした。
この溶湯を、上記冷却ロールを用いた双ロール法によ
り高速急冷し、永久磁石材料サンプルを得た。得られた
永久磁石材料サンプルは薄片状であった。
なお、両ロールの間隔は0.2mm、溶湯射出圧力は1.2kg
/cm2とし、加圧にはArガスを用いた。
冷却ロールの周速度と、各サンプルの厚さ、Ra、iHc
および(BH)maxと、前記したv80とを、表2に示す。
得られた薄帯を、その断面が容易に観察できる方向に
切断し、両主面間の中央部分において薄帯厚さの1/5幅
の範囲の平均結晶粒径dおよびロール面から薄帯厚さの
1/5までの範囲の平均結晶粒径pを、透過型電子顕微鏡
で測定して算出した。結果を表2に示す。
上記実施例の結果から、本発明の効果が明らかであ
る。
すなわち、本発明範囲のRaを有する冷却ロールを用い
て製造された永久磁石材料は、極めて広い周速度範囲に
おいて高い保磁力iHcを示す。
なお、上記表1および表2に示される各サンプルのロ
ール面から20nm以下の範囲において、100ppmのCr含有が
認められた。また、Ni無電解めっき膜、Co溶射膜、Vの
焼ばめまたはNb薄板の接着により表面層を形成した冷却
ロールを用いた場合でも、Cr表面層の場合と同様にd/p
の減少が認められ、永久磁石材料のロール面から20nm以
下の範囲において10〜500ppmの表面層構成元素の含有が
認められた。
<発明の効果> 本発明によれば、永久磁石材料の磁気特性の周速度依
存性を低くでき、優れた磁気特性の永久磁石材料を高い
量産性にて製造することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−170553(JP,A) 特開 平2−54718(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06 C22C 38/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】R(ただし、RはYを含む希土類元素の1
    種以上である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含
    有する溶湯状の合金を冷却ロール表面と接触させること
    により一方向または対向する二方向から冷却して製造さ
    れた永久磁石材料であって、 基材と、この基材表面に形成された表面層とを有し、こ
    の表面層の熱伝導度が基材の熱伝導度より低く、 かつこの表面層を構成する材質が、Cr、Ni、Co、Vの単
    体あるいはこれらの元素のうちの1種以上を含有する合
    金である冷却ロールを用いて製造され、 この冷却ロール表面に接触した表面の中心線平均粗さRa
    が0.05〜1.5μmであり、 磁石厚さの1/5の単ロール法を用いた場合のフリー面近
    傍領域または双ロール法を用いた場合の対向する両主面
    間の中央領域における平均結晶粒径dが0.01〜2μmで
    あり、dと、磁石厚さの1/5のロール面近傍領域におけ
    る平均結晶粒径pとの比d/pが4以下である永久磁石材
    料。
  2. 【請求項2】R(ただし、RはYを含む希土類元素の1
    種以上である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含
    有する溶湯状の合金を冷却ロール表面と接触させること
    により一方向または対向する二方向から冷却して製造さ
    れた永久磁石材料であって、 基材と、この基材表面に形成された表面層とを有し、表
    面層の熱伝導度が0.6J/(cm・s・K)以下であり、 この表面層を構成する材質が、Cr、Ni、Co、Vの単体あ
    るいはこれらの元素のうちの1種以上を含有する合金で
    ある冷却ロールを用いて製造され、 この冷却ロール表面に接触した表面の中心線平均粗さRa
    が0.05〜1.5μmであり、 磁石厚さの1/5の単ロール法を用いた場合のフリー面近
    傍領域または双ロール法を用いた場合の対向する両主面
    間の中央領域における平均結晶粒径dが0.01〜2μmで
    あり、dと、磁石厚さの1/5のロール面近傍領域におけ
    る平均結晶粒径pとの比d/pが4以下である永久磁石材
    料。
  3. 【請求項3】一方向から冷却されることにより製造さ
    れ、冷却ロールに接触した面の法線方向の厚さが45μm
    以下である請求項1または2に記載の永久磁石材料。
  4. 【請求項4】対向する二方向から冷却され、冷却ロール
    に接触した面の法線方向の厚さが90μm以下である請求
    項1または2に記載の永久磁石材料。
  5. 【請求項5】冷却ロールに接触した面の中心線平均粗さ
    Raが、前記冷却ロール表面の中心線平均粗さRa以下であ
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の永久磁石材料。
  6. 【請求項6】冷却ロールに接触した面の近傍領域が、冷
    却ロール表面付近の構成元素を含有する請求項1ないし
    5のいずれかに記載の永久磁石材料。
  7. 【請求項7】R(ただし、RはYを含む希土類元素の1
    種以上である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含
    有する溶湯状の合金を冷却して 磁石厚さの1/5の単ロール法を用いた場合のフリー面近
    傍領域または双ロール法を用いた場合の対向する両主面
    間の中央領域における平均結晶粒径dが0.01〜2μmで
    あり、dと、磁石厚さの1/5のロール面近傍領域におけ
    る平均結晶粒径pとの比d/pが4以下である永久磁石材
    料を製造するための冷却ロールであって、 前記冷却ロールは基材と、この基材表面に形成された表
    面層とを有し、溶湯状の合金と接触する表面の中心線平
    均粗さRaが0.07〜1.7μmであり、表面層の熱伝導度が
    基材の熱伝導度より低く、 かつこの表面層を構成する材質が、Cr、Ni、Co、Vの単
    体あるいはこれらの元素のうちの1種以上を含有する合
    金である永久磁石材料製造用冷却ロール。
  8. 【請求項8】R(ただし、RはYを含む希土類元素の1
    種以上である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含
    有する溶湯状の合金を冷却して 磁石厚さの1/5の単ロール法を用いた場合のフリー面近
    傍領域または双ロール法を用いた場合の対向する両主面
    間の中央領域における平均結晶粒径dが0.01〜2μmで
    あり、dと、磁石厚さの1/5のロール面近傍領域におけ
    る平均結晶粒径pとの比d/pが4以下である永久磁石材
    料を製造するための冷却ロールであって、 前記冷却ロールは基材と、この基材表面に形成された表
    面層とを有し、溶湯状の合金と接触する表面の中心線平
    均粗さRaが0.07〜1.7μmであり、表面層の熱伝導度が
    0.6J/(cm・s・K)以下であり、 かつこの表面層を構成する材質が、Cr、Ni、Co、Vの単
    体あるいはこれらの元素のうちの1種以上を含有する合
    金である永久磁石材料用冷却ロール。
  9. 【請求項9】R(ただし、RはYを含む希土類元素の1
    種以上である。)と、FeまたはFeおよびCoと、Bとを含
    有する溶湯状の合金をノズルから射出し、ノズルに対し
    て回転している冷却ロールの表面と接触させることによ
    り前記合金を一方向または対向する二方向から冷却する
    工程を有する永久磁石材料の製造方法であって、 請求項7または8に記載の永久磁石材料製造用冷却ロー
    ルを用いる永久磁石材料の製造方法。
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