JP3093979B2 - ベーンおよびその製造方法 - Google Patents
ベーンおよびその製造方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容積型の各種アク
チュエータに用いられるベーンおよびその製造方法の技
術分野に属する。
チュエータに用いられるベーンおよびその製造方法の技
術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】まず、ベーンを用いたアクチュエータの
作動について、油圧用ベーンポンプの断面図の一例であ
る図8で述べる。図8において、紙面に直角方向の一対
のサイドブロック18と該サイドブロック18間に挟持
されたカムリング13からなる閉空間内に、ロータ11
が回転可能に軸支されている。ベーン1は概略直方体状
の外形形状を有し、その厚み方向の両面を前記ロータ1
1の放射状溝12で、また両端面をサイドブロック18
の端面で、それぞれ摺動可能に案内されており、該ロー
タ11とともに矢印20の方向に回転する。ここで、各
ベーン1は、回転による遠心力と、またはさらにばね力
や後述により加圧された作動油が各ベーン1とロータ1
1の放射状溝12との隙間から入ることにより生じるベ
ーン1を押し出す力等で、各案内面に直角方向の一方の
面であり厚み方向に関して中高形状である頂面を、カム
リング13のカム面14と常に圧接しつつ厚み方向に相
対摺動しながら回転する。ロータ11と各ベーン1とカ
ムリング13のカム面14およびサイドブロック18と
で区画されたポンプ室15は、図中左上および右下側で
最大容積、左下および右上側で最小容積となるから、前
記回転により作動油は、サイドブロック18に設けられ
た吸入ポート16,16から吸入され、ポンプ室15を
経てサイドブロック18に設けられた吐出ポート17,
17より吐出される。
作動について、油圧用ベーンポンプの断面図の一例であ
る図8で述べる。図8において、紙面に直角方向の一対
のサイドブロック18と該サイドブロック18間に挟持
されたカムリング13からなる閉空間内に、ロータ11
が回転可能に軸支されている。ベーン1は概略直方体状
の外形形状を有し、その厚み方向の両面を前記ロータ1
1の放射状溝12で、また両端面をサイドブロック18
の端面で、それぞれ摺動可能に案内されており、該ロー
タ11とともに矢印20の方向に回転する。ここで、各
ベーン1は、回転による遠心力と、またはさらにばね力
や後述により加圧された作動油が各ベーン1とロータ1
1の放射状溝12との隙間から入ることにより生じるベ
ーン1を押し出す力等で、各案内面に直角方向の一方の
面であり厚み方向に関して中高形状である頂面を、カム
リング13のカム面14と常に圧接しつつ厚み方向に相
対摺動しながら回転する。ロータ11と各ベーン1とカ
ムリング13のカム面14およびサイドブロック18と
で区画されたポンプ室15は、図中左上および右下側で
最大容積、左下および右上側で最小容積となるから、前
記回転により作動油は、サイドブロック18に設けられ
た吸入ポート16,16から吸入され、ポンプ室15を
経てサイドブロック18に設けられた吐出ポート17,
17より吐出される。
【0003】ベーン1のカムリング13と接触摺動する
頂面は、カム面との相対角度変化に対応して良好な摩擦
とシール状態を得るごとく、相対運動方向、つまり厚み
方向に関して中高形状とされており、摺動しつつシール
作用を保持する。このため、該面は形状精度、面粗度と
も高精度の仕上が要求される。カムリング13は、通常
サイドブロックで両側(紙面の表裏側)から挟持されて
いる。
頂面は、カム面との相対角度変化に対応して良好な摩擦
とシール状態を得るごとく、相対運動方向、つまり厚み
方向に関して中高形状とされており、摺動しつつシール
作用を保持する。このため、該面は形状精度、面粗度と
も高精度の仕上が要求される。カムリング13は、通常
サイドブロックで両側(紙面の表裏側)から挟持されて
いる。
【0004】このポンプは、そのまま油圧モータとして
用いることができる。ベーンを用いるアクチュエータに
は、上記のタイプの他にベーンがその頂面を偏心ロータ
の外周面と摺動しつつシール作用をなすもの等、種々の
型式のものがあり、さらに作動流体として気体を扱うも
のもあり、本発明のベーンおよびその製造方法は、これ
らのいずれにも適用される。本発明において、ベーンが
その頂面を摺動しつつシール作用をなす、カムリング1
3等の部材を相手部材と呼称するが、これらの相手部材
は、その少なくとも一方端(通常は両端)をサイドブロ
ックと隣接している。
用いることができる。ベーンを用いるアクチュエータに
は、上記のタイプの他にベーンがその頂面を偏心ロータ
の外周面と摺動しつつシール作用をなすもの等、種々の
型式のものがあり、さらに作動流体として気体を扱うも
のもあり、本発明のベーンおよびその製造方法は、これ
らのいずれにも適用される。本発明において、ベーンが
その頂面を摺動しつつシール作用をなす、カムリング1
3等の部材を相手部材と呼称するが、これらの相手部材
は、その少なくとも一方端(通常は両端)をサイドブロ
ックと隣接している。
【0005】ベーンの頂面は、上記のように形状精度、
面粗度とも高精度を要求されるため、その加工方法は、
一般にドレッシング工具により正規形状の凹溝を成形さ
れた研削といし9を、図9に示すごとく被加工材である
ベーン1に対し、紙面に垂直の方向に相対的に移動しつ
つ行なうクリープフィード研削により高真直度かつ微細
表面粗さの研削が行なわれている。しかし、この加工法
は低能率、かつ加工費を上昇させやすい。
面粗度とも高精度を要求されるため、その加工方法は、
一般にドレッシング工具により正規形状の凹溝を成形さ
れた研削といし9を、図9に示すごとく被加工材である
ベーン1に対し、紙面に垂直の方向に相対的に移動しつ
つ行なうクリープフィード研削により高真直度かつ微細
表面粗さの研削が行なわれている。しかし、この加工法
は低能率、かつ加工費を上昇させやすい。
【0006】このため、前記クリープフィード研削を省
略してベーンを製造する方法の提案がなされている。す
なわち、特開昭58−206896号は、素材として少
なくとも一方の縁面を円弧状の凸面とした平線材料を焼
ならし処理した後、所定長さに切断してベーン素材と
し、これを熱処理により硬化した後、上記円弧状凸面を
除く各面を研削により所定寸法に仕上げてベーンとし、
この円弧状凸面を頂面として、この面をカムリングのカ
ム面に対峙するごとくポンプに組み込んでならし運転
し、該ならし運転中に前記焼ならし処理中に生じさせた
脱炭層を初期摩耗させることで、カムリング形状に適合
した形状とすることを提案している。しかし、上記の方
法では、多量の摩耗粉が発生し、これがトラブルの原因
となり易い等の理由で応用されていない。
略してベーンを製造する方法の提案がなされている。す
なわち、特開昭58−206896号は、素材として少
なくとも一方の縁面を円弧状の凸面とした平線材料を焼
ならし処理した後、所定長さに切断してベーン素材と
し、これを熱処理により硬化した後、上記円弧状凸面を
除く各面を研削により所定寸法に仕上げてベーンとし、
この円弧状凸面を頂面として、この面をカムリングのカ
ム面に対峙するごとくポンプに組み込んでならし運転
し、該ならし運転中に前記焼ならし処理中に生じさせた
脱炭層を初期摩耗させることで、カムリング形状に適合
した形状とすることを提案している。しかし、上記の方
法では、多量の摩耗粉が発生し、これがトラブルの原因
となり易い等の理由で応用されていない。
【0007】また、特開平2−308993号は、塑性
加工(引抜きまたは押出し加工)により、図11におけ
る頂面30cおよび底面30dとなる両縁面を有する所
定断面形状の平線素材30を、図に示すように一対のロ
ール21,22で、面取部30e,30f,前面30
a,後面30b,曲面30h,30iをロール孔形2
3,24で規制(両縁面30cおよび30dは拘束せ
ず)して圧延した後、得られたフラットバーを所定長さ
に、望ましくはバンドソーで、またはプレスカット(剪
断)により切断し、該切断面を研削するベーンの製造方
法を提案している。しかし、この方法は引抜きまたは押
出し加工により得られた帯状素材の頂面となる面30c
が、たとえ高い中高形状精度および高真直性で仕上げら
れたものであっても、上記厚み方向からの圧延によりこ
の真直性と中高の頂面の形状が乱れ易く、その結果、頂
面のシール性が劣ること、またこの提案が推奨するバン
ドソー切断では十分な、製造コスト低減が図れないこと
が本発明者のテストの結果判明した。
加工(引抜きまたは押出し加工)により、図11におけ
る頂面30cおよび底面30dとなる両縁面を有する所
定断面形状の平線素材30を、図に示すように一対のロ
ール21,22で、面取部30e,30f,前面30
a,後面30b,曲面30h,30iをロール孔形2
3,24で規制(両縁面30cおよび30dは拘束せ
ず)して圧延した後、得られたフラットバーを所定長さ
に、望ましくはバンドソーで、またはプレスカット(剪
断)により切断し、該切断面を研削するベーンの製造方
法を提案している。しかし、この方法は引抜きまたは押
出し加工により得られた帯状素材の頂面となる面30c
が、たとえ高い中高形状精度および高真直性で仕上げら
れたものであっても、上記厚み方向からの圧延によりこ
の真直性と中高の頂面の形状が乱れ易く、その結果、頂
面のシール性が劣ること、またこの提案が推奨するバン
ドソー切断では十分な、製造コスト低減が図れないこと
が本発明者のテストの結果判明した。
【0008】前記二つの提案も含め、ベーン材製造用素
材として一般に平線材料が使用され、この平線材料はい
ずれかの段階で、バンドソー等の鋸切断、砥石切断、プ
レス機による剪断等により所定の長さに切断される。そ
して、それぞれの切断方法では、切断面の精度(長さ精
度、表面粗さ、疵、直角度、真直度等)が不十分であ
り、かつ剪断においては断面形状の乱れが生ずるので、
切断面を適当な研削代を以って仕上研削する必要があ
る。したがって、切断方法とそれによる面の研削代もベ
ーンの製造コストを決定する重要な要因となる。
材として一般に平線材料が使用され、この平線材料はい
ずれかの段階で、バンドソー等の鋸切断、砥石切断、プ
レス機による剪断等により所定の長さに切断される。そ
して、それぞれの切断方法では、切断面の精度(長さ精
度、表面粗さ、疵、直角度、真直度等)が不十分であ
り、かつ剪断においては断面形状の乱れが生ずるので、
切断面を適当な研削代を以って仕上研削する必要があ
る。したがって、切断方法とそれによる面の研削代もベ
ーンの製造コストを決定する重要な要因となる。
【0009】また、アクチュエータの総合効率を向上す
るためには、ベーンと相手部材との摩擦、およびリーク
を低減することが重要である。このため、ベーンの頂面
と同様に相手部材は、正確かつ十分微細な表面粗さとす
る必要があり、該相手部材が特にシリンダまたはカムリ
ング等のように内径を使用するものでは、その内径加工
法として通常内径研削盤が用いられる。この内径研削盤
による加工法は、小径のかつ片持軸で支持された砥石に
よるものであるため、低剛性であり、かつ加工能率が低
く、また加工能率を重視するほどスパークアウト(研削
火花が出なくなる状態)までの作業続行が不十分となり
やすい。このため、端面から、例えば0.5mm程度の
範囲内で加工ダレ(開口側に開くテーパ状)が生じる。
ベーンの頂面が相手部材の外周面と摺動する場合の相手
部材でも程度の差はあるが、やはりダレが生ずる。
るためには、ベーンと相手部材との摩擦、およびリーク
を低減することが重要である。このため、ベーンの頂面
と同様に相手部材は、正確かつ十分微細な表面粗さとす
る必要があり、該相手部材が特にシリンダまたはカムリ
ング等のように内径を使用するものでは、その内径加工
法として通常内径研削盤が用いられる。この内径研削盤
による加工法は、小径のかつ片持軸で支持された砥石に
よるものであるため、低剛性であり、かつ加工能率が低
く、また加工能率を重視するほどスパークアウト(研削
火花が出なくなる状態)までの作業続行が不十分となり
やすい。このため、端面から、例えば0.5mm程度の
範囲内で加工ダレ(開口側に開くテーパ状)が生じる。
ベーンの頂面が相手部材の外周面と摺動する場合の相手
部材でも程度の差はあるが、やはりダレが生ずる。
【0010】一方、ベーン材は、仕上処理として、通常
バレル処理されるので、その頂面もその最端部から約
0.1mm程度またはそれ以下の部分にダレが生ずる。
したがって、このベーンと上記相手部材を組み立てたと
き、両部材のダレが相加されてリークを増加する原因と
なる。
バレル処理されるので、その頂面もその最端部から約
0.1mm程度またはそれ以下の部分にダレが生ずる。
したがって、このベーンと上記相手部材を組み立てたと
き、両部材のダレが相加されてリークを増加する原因と
なる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、相手部材と
の摺動部におけるリークを低減し、もしくは、相手部材
の加工ダレをより大きく許容することが可能なベーンま
たは自身の製造コストを低減したベーンを提供するこ
と、およびベーン自身の加工コストを低減可能なベーン
の製造方法を提供することを目的とする。
の摺動部におけるリークを低減し、もしくは、相手部材
の加工ダレをより大きく許容することが可能なベーンま
たは自身の製造コストを低減したベーンを提供するこ
と、およびベーン自身の加工コストを低減可能なベーン
の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、相手部材の
加工ダレが避け得ないものなら、ベーンの頂面の形状
を、そのダレを補償するごとく端部で膨出した形状とす
ることに着目し、膨出させる具体的方法について検討し
た。その結果、ベーンの製造において、長尺の平線材料
から個取り切断した後、図6のD1(端面間方向)およ
びD2(厚み方向)のいずれか1方向または両方向から
加圧することで頂面1aを最端部近傍で相手部材側(図
では上方)へ膨出させることができること、しかし、最
も望ましい膨出加工方法は、ベーン素材として平線材料
(フラットバー)をその厚み方向が剪断方向となるごと
く剪断して個取切断すると、その剪断加工費は最も低廉
で、かつその剪断部は、剪断工具により、図6のD2方
向の圧力を受けることになって幅方向に膨出するので、
その切断面を少研削代で研削することで膨出形状を完全
に除去することなく残存させ得られ、低コスト切断と膨
出加工が一挙に得られ、かつこの場合の膨出量は、該切
断時の被加工材の硬さ(要すれば仮の焼入れ焼戻しによ
る硬さ調整)や切断刃の形状やクリアランスを変化する
ことで、6〜10μmとか、4〜6μmまたは4μm以
下等調整可能なこと等がわかった。
加工ダレが避け得ないものなら、ベーンの頂面の形状
を、そのダレを補償するごとく端部で膨出した形状とす
ることに着目し、膨出させる具体的方法について検討し
た。その結果、ベーンの製造において、長尺の平線材料
から個取り切断した後、図6のD1(端面間方向)およ
びD2(厚み方向)のいずれか1方向または両方向から
加圧することで頂面1aを最端部近傍で相手部材側(図
では上方)へ膨出させることができること、しかし、最
も望ましい膨出加工方法は、ベーン素材として平線材料
(フラットバー)をその厚み方向が剪断方向となるごと
く剪断して個取切断すると、その剪断加工費は最も低廉
で、かつその剪断部は、剪断工具により、図6のD2方
向の圧力を受けることになって幅方向に膨出するので、
その切断面を少研削代で研削することで膨出形状を完全
に除去することなく残存させ得られ、低コスト切断と膨
出加工が一挙に得られ、かつこの場合の膨出量は、該切
断時の被加工材の硬さ(要すれば仮の焼入れ焼戻しによ
る硬さ調整)や切断刃の形状やクリアランスを変化する
ことで、6〜10μmとか、4〜6μmまたは4μm以
下等調整可能なこと等がわかった。
【0013】また、頂面が最端部近傍で相手部材側へ膨
出したベーンを組み込んだポンプの実験では、ベーンの
膨出部の存在でリークが減少することによる総合効率の
向上を確認するには至らなかったが、適当量膨出させる
ことで、他に支障を与えることなくリークが低下できる
筈である。また、テストの結果、相手部材のダレの形状
以上に膨出したベーンを組み合わせた場合でも、少なく
とも頂面が過剰に膨出していることによる不都合は見出
せなかった。このことから、切断方法として、といし切
断や鋸切断に比し、数倍高能率かつ安価である剪断法を
利用し、かつこの切断に伴う断面形状変化(頂面が膨
出)部分を多量の研削代の研削で除去することなく、し
たがって該剪断と端面研削の合計加工費を従来の加工法
よりも十分低減することが可能であることを本発明者は
見出した。
出したベーンを組み込んだポンプの実験では、ベーンの
膨出部の存在でリークが減少することによる総合効率の
向上を確認するには至らなかったが、適当量膨出させる
ことで、他に支障を与えることなくリークが低下できる
筈である。また、テストの結果、相手部材のダレの形状
以上に膨出したベーンを組み合わせた場合でも、少なく
とも頂面が過剰に膨出していることによる不都合は見出
せなかった。このことから、切断方法として、といし切
断や鋸切断に比し、数倍高能率かつ安価である剪断法を
利用し、かつこの切断に伴う断面形状変化(頂面が膨
出)部分を多量の研削代の研削で除去することなく、し
たがって該剪断と端面研削の合計加工費を従来の加工法
よりも十分低減することが可能であることを本発明者は
見出した。
【0014】すなわち、本願の第1発明は、厚み方向に
関して中高の頂面を相手部材と摺動しつつシール作用を
保持するベーンにおいて、前記頂面はその最端部近傍で
前記相手部材側へ膨出していることを特徴とするベーン
である。さらに本発明のベーンを詳述すると、概略直方
体状の外形形状を有し、その厚み方向の両面および両端
面を被案内面として摺動可能に装着され、これらの各被
案内面に直角方向の一方の面である頂面は前記厚み方向
に関して中高であり、該頂面を相手部材と摺動しつつシ
ール作用を保持するベーンにおいて、前記頂面は少なく
とも一方の前記端面側の最端部近傍が前記相手部材側へ
膨出していることを特徴とするベーンである。
関して中高の頂面を相手部材と摺動しつつシール作用を
保持するベーンにおいて、前記頂面はその最端部近傍で
前記相手部材側へ膨出していることを特徴とするベーン
である。さらに本発明のベーンを詳述すると、概略直方
体状の外形形状を有し、その厚み方向の両面および両端
面を被案内面として摺動可能に装着され、これらの各被
案内面に直角方向の一方の面である頂面は前記厚み方向
に関して中高であり、該頂面を相手部材と摺動しつつシ
ール作用を保持するベーンにおいて、前記頂面は少なく
とも一方の前記端面側の最端部近傍が前記相手部材側へ
膨出していることを特徴とするベーンである。
【0015】また、本発明者は、例えば塑性加工ままの
帯状材(フラットバー)でも、ベーンの頂面となる一方
の縁面の凸状面の表面粗さや真直度を十分高くし得るこ
と、これによりベーンの頂面の表面粗さを、従来のクリ
ープ研磨による表面粗さ(例えば0.4Rz程度)と同
等またはそれ以上(例えば0.3Rz程度)とし得るこ
と、および頂面の両端部の膨出部を除く中央部分の真直
度を5μm以下、望ましくは3μm以下、さらには1μ
m以下とすることは可能であり、これらの表面粗さや真
直度を保持したベーンは、自動車のパワーステアリング
用等の用途に対し、十分適用可能であることをそれぞれ
見出した。
帯状材(フラットバー)でも、ベーンの頂面となる一方
の縁面の凸状面の表面粗さや真直度を十分高くし得るこ
と、これによりベーンの頂面の表面粗さを、従来のクリ
ープ研磨による表面粗さ(例えば0.4Rz程度)と同
等またはそれ以上(例えば0.3Rz程度)とし得るこ
と、および頂面の両端部の膨出部を除く中央部分の真直
度を5μm以下、望ましくは3μm以下、さらには1μ
m以下とすることは可能であり、これらの表面粗さや真
直度を保持したベーンは、自動車のパワーステアリング
用等の用途に対し、十分適用可能であることをそれぞれ
見出した。
【0016】したがって、頂面としてこの塑性加工まま
の表面を残存させて使用することは可能であり、かつこ
の面を使用すれば、クリープ研磨を省略でき、かつ、上
記剪断法を採用すればベーンの製造コスト上非常に有利
となること、さらに上記パワーステアリング用途におけ
る膨出量は10μm以下が望ましいこと、を見出した。
したがって、本願のベーンの製造方法発明は、少なくと
も一方の縁面を厚み方向に関して中高形状に塑性加工し
て得られた平線材料を、その前記厚み方向が剪断方向と
なるごとく所定長さに剪断した後、その剪断面を研削
し、前記剪断による幅方向の膨出形状を最端部である前
記の研削面の近傍に残存させることを特徴とするベーン
の製造方法である。
の表面を残存させて使用することは可能であり、かつこ
の面を使用すれば、クリープ研磨を省略でき、かつ、上
記剪断法を採用すればベーンの製造コスト上非常に有利
となること、さらに上記パワーステアリング用途におけ
る膨出量は10μm以下が望ましいこと、を見出した。
したがって、本願のベーンの製造方法発明は、少なくと
も一方の縁面を厚み方向に関して中高形状に塑性加工し
て得られた平線材料を、その前記厚み方向が剪断方向と
なるごとく所定長さに剪断した後、その剪断面を研削
し、前記剪断による幅方向の膨出形状を最端部である前
記の研削面の近傍に残存させることを特徴とするベーン
の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のベーンにおいて、頂面の
最端部近傍における膨出量およびその形状は、相手部材
の加工ダレの大きさおよび形状に準じて決定するとよい
が、後述の実施例から判るように膨出量や形状の高度な
一致性は要しない。通常、相手部材の加工ダレは端部と
なる程、漸増的かつ最端部で急激に増加する形状であ
り、図6による加工法や剪断によるベーン材の膨出形状
もこれにほぼ近似するので、これらの加工方法は適当で
ある。相手部材の最端部における加工ダレが10μmを
越えることは一般に稀で、通常は8μm〜5μm、また
は3μm以下であり、また、加工ダレがほぼ0となる点
までの端面からの距離は、1.5mm以下、または1.
0mm以下程度で、通常は0.5mm以下である。した
がって、ベーンの端部の膨出形状は上記に準ずるもの、
またはこれより小さいものとするとよい。
最端部近傍における膨出量およびその形状は、相手部材
の加工ダレの大きさおよび形状に準じて決定するとよい
が、後述の実施例から判るように膨出量や形状の高度な
一致性は要しない。通常、相手部材の加工ダレは端部と
なる程、漸増的かつ最端部で急激に増加する形状であ
り、図6による加工法や剪断によるベーン材の膨出形状
もこれにほぼ近似するので、これらの加工方法は適当で
ある。相手部材の最端部における加工ダレが10μmを
越えることは一般に稀で、通常は8μm〜5μm、また
は3μm以下であり、また、加工ダレがほぼ0となる点
までの端面からの距離は、1.5mm以下、または1.
0mm以下程度で、通常は0.5mm以下である。した
がって、ベーンの端部の膨出形状は上記に準ずるもの、
またはこれより小さいものとするとよい。
【0018】本発明のベーンの概略形状を図1で述べ
る。図1aは、本発明のベーンの斜視図の一例であり、
ベーン1は、外形形状として、厚み方向(紙面に直角方
向)の2面と、両端面(図の左右方向)と、頂面1aお
よび頂面1aと逆側の縁面を有する概略直方体状であ
る。頂面1aは厚み方向に関して中高であり、該頂面は
その少なくとも一方の最端部近傍が、相手部材側(上
方)に1bのように膨出している。但し図1aで膨出量
は誇張して示してある。
る。図1aは、本発明のベーンの斜視図の一例であり、
ベーン1は、外形形状として、厚み方向(紙面に直角方
向)の2面と、両端面(図の左右方向)と、頂面1aお
よび頂面1aと逆側の縁面を有する概略直方体状であ
る。頂面1aは厚み方向に関して中高であり、該頂面は
その少なくとも一方の最端部近傍が、相手部材側(上
方)に1bのように膨出している。但し図1aで膨出量
は誇張して示してある。
【0019】図1のc,dは、膨出の形状例を示してお
り、例えば破線状に突出した形状のベーンを直接
(c)、または例えばハンドラッパで手入れしてやや平
坦化(d)した後、バレル処理したものをそれぞれ表わ
している。なお、図1bはaに示したベーンの製造工程
中の平線材料の断面形状を示すものである。ただし、頂
面1aの幅方向両サイドに図11で述べた面取り部30
e,30fのごとき欠肉部があるもの、また頂面30c
の逆側に図11の曲面30h,30iがあってもよい。
また、さらに頂面1a(図1a)の逆側に破線で示すよ
うにばねまたはその端部を受入れるための窪み部があっ
てもよく、本願で言う概略直方体状の外径形状とはこれ
らを包含するものである。本発明のベーンでいう実質的
塑性加工肌とは、孔ダイス引抜きやロールによる引抜
き、圧延による塑性加工肌またはその後バレル処理され
た肌をいう。また、図1aは図上で上下寸法より左右方
向寸法が大きいものを描いたが、本発明はこれに限定さ
れない。なお図上左右の面を端面という。
り、例えば破線状に突出した形状のベーンを直接
(c)、または例えばハンドラッパで手入れしてやや平
坦化(d)した後、バレル処理したものをそれぞれ表わ
している。なお、図1bはaに示したベーンの製造工程
中の平線材料の断面形状を示すものである。ただし、頂
面1aの幅方向両サイドに図11で述べた面取り部30
e,30fのごとき欠肉部があるもの、また頂面30c
の逆側に図11の曲面30h,30iがあってもよい。
また、さらに頂面1a(図1a)の逆側に破線で示すよ
うにばねまたはその端部を受入れるための窪み部があっ
てもよく、本願で言う概略直方体状の外径形状とはこれ
らを包含するものである。本発明のベーンでいう実質的
塑性加工肌とは、孔ダイス引抜きやロールによる引抜
き、圧延による塑性加工肌またはその後バレル処理され
た肌をいう。また、図1aは図上で上下寸法より左右方
向寸法が大きいものを描いたが、本発明はこれに限定さ
れない。なお図上左右の面を端面という。
【0020】次に、本発明のベーンの製造方法について
述べる。本発明で用いるフラットバー素材は、その少な
くとも一方の縁面が、ベーンの頂面の形状に対応して厚
み方向に関して中高形状であり、かつこの面は塑性加工
で形成された面とするのが好ましい。塑性加工法は切削
や研削加工法よりも同一形状の表面を高能率、高歩留で
成形するのに有利であるから、特定の形状、精度を要求
される物品の製造コスト上好都合である。該平線材料用
の素材は、熱間圧延後脱スケールした材料を、その少な
くともベーンの縁面となる一方の縁面の表面層を除去し
て、脱炭、疵等の欠陥のない状態とした後、上記塑性加
工されたものが望ましい。
述べる。本発明で用いるフラットバー素材は、その少な
くとも一方の縁面が、ベーンの頂面の形状に対応して厚
み方向に関して中高形状であり、かつこの面は塑性加工
で形成された面とするのが好ましい。塑性加工法は切削
や研削加工法よりも同一形状の表面を高能率、高歩留で
成形するのに有利であるから、特定の形状、精度を要求
される物品の製造コスト上好都合である。該平線材料用
の素材は、熱間圧延後脱スケールした材料を、その少な
くともベーンの縁面となる一方の縁面の表面層を除去し
て、脱炭、疵等の欠陥のない状態とした後、上記塑性加
工されたものが望ましい。
【0021】この平線材料は、縁面の高真直性の点か
ら、その実質的最終の断面形状成形加工法として、縁面
を加工代を以って圧下する塑性加工法で得たものが望ま
しい。また、この塑性加工によると、頂面となる縁面の
表面粗さは1.0Rz以下、さらには0.5Rz以下と
することが可能である。この面の表面粗さを微細にする
にはロール加工法が望ましい。また、曲りは1m当り1
0mm以下、さらには5mm以下、捩じれは1m当り1
0°以下、さらには5°以下としておくのがそれぞれ望
ましい。また、これらの精度維持のためには冷間加工、
または温間加工(特に300℃以下)が望ましい。
ら、その実質的最終の断面形状成形加工法として、縁面
を加工代を以って圧下する塑性加工法で得たものが望ま
しい。また、この塑性加工によると、頂面となる縁面の
表面粗さは1.0Rz以下、さらには0.5Rz以下と
することが可能である。この面の表面粗さを微細にする
にはロール加工法が望ましい。また、曲りは1m当り1
0mm以下、さらには5mm以下、捩じれは1m当り1
0°以下、さらには5°以下としておくのがそれぞれ望
ましい。また、これらの精度維持のためには冷間加工、
または温間加工(特に300℃以下)が望ましい。
【0022】剪断による頂面の膨出形状に影響を与える
重要な要因は、被加工材の硬さ、剪断クリアランス、刃
先形状である。被加工材として、工具鋼 JIS G
4403(SKH)、同4404(SKS,SKT,S
KD)等とした場合、適当な頂面膨出形状を得るための
被加工材の硬さは、25〜45HRCであることがわか
った。すなわち、25HRC未満では膨出量が過多とな
り易く、45HRCを越えると膨出量が不足となるとと
もに、剪断工具が破損し易い。望ましくは27〜35H
RCである。冷間加工による加工硬化ままで25〜30
HRC硬さ範囲に容易に収め得る。さらに高い硬さを望
む場合は、被加工材として、上記工具鋼を用いる時は、
仮熱処理(焼入れ焼戻し・・・連続炉によるものが曲り発
生防止、表面保護の点から望ましい)によるのが適当で
あり、この焼入れ焼戻しによれば上記のうち、任意の硬
さ(25〜45HRC)とし得る。
重要な要因は、被加工材の硬さ、剪断クリアランス、刃
先形状である。被加工材として、工具鋼 JIS G
4403(SKH)、同4404(SKS,SKT,S
KD)等とした場合、適当な頂面膨出形状を得るための
被加工材の硬さは、25〜45HRCであることがわか
った。すなわち、25HRC未満では膨出量が過多とな
り易く、45HRCを越えると膨出量が不足となるとと
もに、剪断工具が破損し易い。望ましくは27〜35H
RCである。冷間加工による加工硬化ままで25〜30
HRC硬さ範囲に容易に収め得る。さらに高い硬さを望
む場合は、被加工材として、上記工具鋼を用いる時は、
仮熱処理(焼入れ焼戻し・・・連続炉によるものが曲り発
生防止、表面保護の点から望ましい)によるのが適当で
あり、この焼入れ焼戻しによれば上記のうち、任意の硬
さ(25〜45HRC)とし得る。
【0023】図7に示す剪断時のクリアランスδは、被
加工材の厚みtが2mm程度の時、0.02〜0.2m
m、望ましくは0.04〜0.08mmとするとよく、
被加工材の厚みが2mmに対して異なる場合は、厚みに
ほぼ比例すると考えてよい。また、図7に示す角度θは
刃先の摩耗の影響を少なくすべく5°以下程度とすると
よいが、θ=0°としてもよい。しかし、θ=0°とす
る場合は、摩耗幅が刃先から0.1mm以下、望ましく
は0.05mm以下となるように管理するのがよい。
加工材の厚みtが2mm程度の時、0.02〜0.2m
m、望ましくは0.04〜0.08mmとするとよく、
被加工材の厚みが2mmに対して異なる場合は、厚みに
ほぼ比例すると考えてよい。また、図7に示す角度θは
刃先の摩耗の影響を少なくすべく5°以下程度とすると
よいが、θ=0°としてもよい。しかし、θ=0°とす
る場合は、摩耗幅が刃先から0.1mm以下、望ましく
は0.05mm以下となるように管理するのがよい。
【0024】平線材料から個取り剪断した後、本熱処理
を施す。該本熱処理は剪断後、切断端面の荒研削後行な
ってもよい。該本熱処理のうち、特に焼入れ工程は、高
温のため、頂面の酸化、脱炭が生じ易いから、H2ガス
またはH2と不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で行なう
ことが望ましく、また外傷が発生し易いから、相互の衝
突や落下の少ないトレイを利用する方式が望ましい。本
熱処理後、研削仕上げをする。仕上面は両端面と、要す
れば表裏面であり、頂面は研削しない(頂面の逆側の面
は一般に研削不要)。
を施す。該本熱処理は剪断後、切断端面の荒研削後行な
ってもよい。該本熱処理のうち、特に焼入れ工程は、高
温のため、頂面の酸化、脱炭が生じ易いから、H2ガス
またはH2と不活性ガスとの混合ガス雰囲気中で行なう
ことが望ましく、また外傷が発生し易いから、相互の衝
突や落下の少ないトレイを利用する方式が望ましい。本
熱処理後、研削仕上げをする。仕上面は両端面と、要す
れば表裏面であり、頂面は研削しない(頂面の逆側の面
は一般に研削不要)。
【0025】端面の研削仕上げで重要な点は、その直角
度を正確に保持することであり、そのための加工法の一
例としては、治具の基準面に、ベーンの頂面の膨出部分
を除く中央部分を正しく接触させて、研削時のベーンの
角度を規制して研削する方法である。前述の縁面を加工
代を以って圧下して正しく塑性加工した平線材料は、中
高の縁面と、該縁面の逆側の縁面とが正確に平行である
とみなし得るから、上記端面研削時の治具の基準面に接
触させるべき面として、頂面の逆側の面を用いてもよ
い。
度を正確に保持することであり、そのための加工法の一
例としては、治具の基準面に、ベーンの頂面の膨出部分
を除く中央部分を正しく接触させて、研削時のベーンの
角度を規制して研削する方法である。前述の縁面を加工
代を以って圧下して正しく塑性加工した平線材料は、中
高の縁面と、該縁面の逆側の縁面とが正確に平行である
とみなし得るから、上記端面研削時の治具の基準面に接
触させるべき面として、頂面の逆側の面を用いてもよ
い。
【0026】端面の総研削代は十分な精度の端面を得る
に必要な最小限度とすべきで、剪断条件は、このときの
膨出量およびその形状が望ましい範囲内となるよう、平
線材料の硬さ、クリアランス、角度θ等を設定するとよ
い。一般には厚み方向の両面も研削して所定の厚み精
度、平面精度、表面粗さとする。ただし、この面の端部
の個取り剪断時のダレの残存は、致命的でないので一般
に許容される。ベーンは一般に上記各工程の加工処理
後、バレル処理される。この処理の目的は、研削による
微小バリの除去、角部の微小面とり、研削表面性状の改
善等である。
に必要な最小限度とすべきで、剪断条件は、このときの
膨出量およびその形状が望ましい範囲内となるよう、平
線材料の硬さ、クリアランス、角度θ等を設定するとよ
い。一般には厚み方向の両面も研削して所定の厚み精
度、平面精度、表面粗さとする。ただし、この面の端部
の個取り剪断時のダレの残存は、致命的でないので一般
に許容される。ベーンは一般に上記各工程の加工処理
後、バレル処理される。この処理の目的は、研削による
微小バリの除去、角部の微小面とり、研削表面性状の改
善等である。
【0027】
【実施例】高速度工具鋼であるSKH51の熱間圧延後
焼鈍した平線材料を準備し、その全周面を研削により除
去した後、4方ロールにより図1(b)の断面形状(幅
12mm×2.0mm厚み)に冷間圧延してベーン用素
材を得た。但し、コイルの加工法として圧延またはロー
ルダイス引抜加工方法は、平方向の圧下とエッジ方向の
圧下を分離して交互に圧下してもよい。この場合、エッ
ジ方向(縁面方向)の圧下を最終圧下とすることが、ベ
ーンの頂面となる中高縁面の中高形状および真直度保持
の点から望ましい。頂面となる一方の中高縁面は1.0
Rz以下、望ましくは0.5Rz以下の十分に高い表面
粗さとしておくことおよび曲り捩じれを十分に抑制する
ことが重要である。
焼鈍した平線材料を準備し、その全周面を研削により除
去した後、4方ロールにより図1(b)の断面形状(幅
12mm×2.0mm厚み)に冷間圧延してベーン用素
材を得た。但し、コイルの加工法として圧延またはロー
ルダイス引抜加工方法は、平方向の圧下とエッジ方向の
圧下を分離して交互に圧下してもよい。この場合、エッ
ジ方向(縁面方向)の圧下を最終圧下とすることが、ベ
ーンの頂面となる中高縁面の中高形状および真直度保持
の点から望ましい。頂面となる一方の中高縁面は1.0
Rz以下、望ましくは0.5Rz以下の十分に高い表面
粗さとしておくことおよび曲り捩じれを十分に抑制する
ことが重要である。
【0028】次に、上記圧延材を高速プレス機により約
15mm長さに、厚み方向が剪断方向となるように剪断
した。なお、仮熱処理を行なう場合、連続焼入れ焼戻し
炉を用いることが、頂面となる一方の中高縁面の外傷の
発生の防止、該縁面の真直度、表面粗さ保持の点から望
ましい。剪断における角度θは0°、但し刃物の摩耗幅
を0.05mm以内にそれぞれ保持した。続いて、上記
個取り切断した材料に保護雰囲気中で焼入れ焼戻しの本
熱処理を施し、約63HRCの硬さとした後、厚み方向
の両面である表裏面および両端面の仕上研削とバレル処
理を施して仕上製品とした。上記仕上研削の研削代は表
裏面は約0.05mm/片側、両端面は約0.2mm/
片側であり、該端面の研削は前述の治具による直角度規
制研削法を用いた。
15mm長さに、厚み方向が剪断方向となるように剪断
した。なお、仮熱処理を行なう場合、連続焼入れ焼戻し
炉を用いることが、頂面となる一方の中高縁面の外傷の
発生の防止、該縁面の真直度、表面粗さ保持の点から望
ましい。剪断における角度θは0°、但し刃物の摩耗幅
を0.05mm以内にそれぞれ保持した。続いて、上記
個取り切断した材料に保護雰囲気中で焼入れ焼戻しの本
熱処理を施し、約63HRCの硬さとした後、厚み方向
の両面である表裏面および両端面の仕上研削とバレル処
理を施して仕上製品とした。上記仕上研削の研削代は表
裏面は約0.05mm/片側、両端面は約0.2mm/
片側であり、該端面の研削は前述の治具による直角度規
制研削法を用いた。
【0029】バレル処理後のベーン全体の斜視図を図1
(a)(但し頂面1aの両端部近傍の膨出1bと逆側縁
面の膨出は誇張して描いてある)に示す。このベーンの
頂面の厚み方向中央の真直性と表面粗さの測定結果の一
例を図2と図3にそれぞれ示す。図2から、このベーン
は最端部近傍で一方端側は4μm、他端側は3.5μm
だけ相手部材側へ膨出しており、この膨出は最端部から
それぞれ1.0mmおよび2.0mmの点でほぼ消失し
ていること、両端の膨出部を除く中央部は、約0.8μ
mと、1.0μm以下の高真直度であること、また図3
から該ベーンの頂面は約0.3Rzの微細な表面粗さと
なっていることがそれぞれわかる。しかし、上記中央部
の真直度は自動車のパワーステアリング用等において
は、5μm以下であれば十分使用可能であり、用途によ
って3μm以下またはさらに2μm以下としてもよい。
(a)(但し頂面1aの両端部近傍の膨出1bと逆側縁
面の膨出は誇張して描いてある)に示す。このベーンの
頂面の厚み方向中央の真直性と表面粗さの測定結果の一
例を図2と図3にそれぞれ示す。図2から、このベーン
は最端部近傍で一方端側は4μm、他端側は3.5μm
だけ相手部材側へ膨出しており、この膨出は最端部から
それぞれ1.0mmおよび2.0mmの点でほぼ消失し
ていること、両端の膨出部を除く中央部は、約0.8μ
mと、1.0μm以下の高真直度であること、また図3
から該ベーンの頂面は約0.3Rzの微細な表面粗さと
なっていることがそれぞれわかる。しかし、上記中央部
の真直度は自動車のパワーステアリング用等において
は、5μm以下であれば十分使用可能であり、用途によ
って3μm以下またはさらに2μm以下としてもよい。
【0030】次に上記本発明製造方法により得たベーン
のみ、および頂面をクリープフィード研削して得た従来
のベーンのみをそれぞれ組み込んだオイルポンプ(カム
リングの加工ダレは約3μm)について、比較耐久試験
を実施した。試験中は、いずれも順調であり、本発明製
造方法により得たベーンを組み込んだポンプが従来のベ
ーンを組み込んだポンプに対し劣る点は見られなかっ
た。該試験の概要を表1に示す。
のみ、および頂面をクリープフィード研削して得た従来
のベーンのみをそれぞれ組み込んだオイルポンプ(カム
リングの加工ダレは約3μm)について、比較耐久試験
を実施した。試験中は、いずれも順調であり、本発明製
造方法により得たベーンを組み込んだポンプが従来のベ
ーンを組み込んだポンプに対し劣る点は見られなかっ
た。該試験の概要を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】上記耐久テスト後の本発明製法によるベー
ンの頂面およびこれらを組み合わせられたカムリングの
内面の真直度測定結果をそれぞれ図4および図5に示
す。図2の耐久試験前のベーンと図4の試験後のベーン
の頂面真直度を比較すると、使用前の最端部近傍の最大
膨出量 4μmおよび3.5μmは、テスト後1.0μ
mおよび0.6μmに減少するとともに、端面から膨出
が消失する点までの距離は、1.0mmと2.0mmか
ら、それぞれ1.5mmと2.4mmに増加しているこ
とがわかる。
ンの頂面およびこれらを組み合わせられたカムリングの
内面の真直度測定結果をそれぞれ図4および図5に示
す。図2の耐久試験前のベーンと図4の試験後のベーン
の頂面真直度を比較すると、使用前の最端部近傍の最大
膨出量 4μmおよび3.5μmは、テスト後1.0μ
mおよび0.6μmに減少するとともに、端面から膨出
が消失する点までの距離は、1.0mmと2.0mmか
ら、それぞれ1.5mmと2.4mmに増加しているこ
とがわかる。
【0033】前者の最大膨出量が試験後、減少する理由
は、最大膨出量を意図的に過多としたものが、使用中に
減少したものと考えられるが、この程度の過多による悪
影響は見られなかった。しかし、テスト後の最端部の膨
出量1.0μmと0.6μmが、図5のテスト後のカム
リングの開口部のダレ1.8μmと1.0μm以下に減
少する理由や、端面から膨出が消失する点までの距離が
増加する理由等は不明である。恐らく、ポンプの始動、
停止や高圧力と低圧力の切り換え時等の過渡期に、ベー
ン1が図10に示すように、カム面14に対し平行でな
い過程があるためと思われ、このことは図5のカムリン
グ内面のダレが消失する点までの距離が、3.6mmお
よび2.8mmと大きくなっていることと符合している
と思われる。 なお、図10で18は前述のサイドブロ
ックである。
は、最大膨出量を意図的に過多としたものが、使用中に
減少したものと考えられるが、この程度の過多による悪
影響は見られなかった。しかし、テスト後の最端部の膨
出量1.0μmと0.6μmが、図5のテスト後のカム
リングの開口部のダレ1.8μmと1.0μm以下に減
少する理由や、端面から膨出が消失する点までの距離が
増加する理由等は不明である。恐らく、ポンプの始動、
停止や高圧力と低圧力の切り換え時等の過渡期に、ベー
ン1が図10に示すように、カム面14に対し平行でな
い過程があるためと思われ、このことは図5のカムリン
グ内面のダレが消失する点までの距離が、3.6mmお
よび2.8mmと大きくなっていることと符合している
と思われる。 なお、図10で18は前述のサイドブロ
ックである。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のベーンは頂
面を最端部近傍で膨出させることにより、カムリングと
の隙間をなくして気密性を向上し、もしくは相手部材の
加工ダレをより大きく許容して、その生産性を向上可能
とするものであり、また、頂面が端部で膨出しているこ
とによる不都合がなく、かつこの膨出を許容することに
より、高能率、低コストの切断法である剪断法の採用
と、小研削代の端面研削を可能として、ベーンの加工費
の増加を抑制するものである。また、本発明のベーンの
製法発明は、所定断面形状の塑性加工による平線材料に
上記の剪断切断と小研削代の端面研削を施し、かつ頂面
の高コストのクリープフィード研削を省略したベーンの
製造方法であって、ベーンの低コスト製造を可能とする
ものである。
面を最端部近傍で膨出させることにより、カムリングと
の隙間をなくして気密性を向上し、もしくは相手部材の
加工ダレをより大きく許容して、その生産性を向上可能
とするものであり、また、頂面が端部で膨出しているこ
とによる不都合がなく、かつこの膨出を許容することに
より、高能率、低コストの切断法である剪断法の採用
と、小研削代の端面研削を可能として、ベーンの加工費
の増加を抑制するものである。また、本発明のベーンの
製法発明は、所定断面形状の塑性加工による平線材料に
上記の剪断切断と小研削代の端面研削を施し、かつ頂面
の高コストのクリープフィード研削を省略したベーンの
製造方法であって、ベーンの低コスト製造を可能とする
ものである。
【図1】本発明の頂面1aの最端部近傍の膨出1bを誇
張して示したベーンの斜視図(a)と製造方法発明の実
施例のベーン用素材の断面形状を示す図(b)および膨
出部の形状例を示す図(c,d)である。
張して示したベーンの斜視図(a)と製造方法発明の実
施例のベーン用素材の断面形状を示す図(b)および膨
出部の形状例を示す図(c,d)である。
【図2】耐久試験前のベーンの頂面の真直性測定結果と
測定要領説明図である。
測定要領説明図である。
【図3】耐久試験前のベーンの頂面の表面粗さ測定結果
を示す図である。
を示す図である。
【図4】耐久試験後のベーンの頂面の真直性測定結果を
示す図である。
示す図である。
【図5】耐久試験後のカムリングの内径面の真直性測定
結果を示す図である。
結果を示す図である。
【図6】頂面の最端部近傍を膨出させる加工法の例を示
す図である。
す図である。
【図7】ベーン素材に対する剪断工具の形状を示す図で
ある。
ある。
【図8】ベーンポンプの構造例を示す図である。
【図9】クリープフィード研削法を説明する図である。
【図10】ベーンの過渡期の状態を説明する想像図であ
る。
る。
【図11】提案の発明を説明する図である。
1 ベーン、1a 頂面、1b 膨出部、9 研削とい
し、11 ロータ、12放射状溝、13 カムリング
(相手部材)、14 カム面、15 ポンプ室、16
吸入ポート、17 吐出ポート、20 矢印、21,2
2 ロール、23,24 ロール孔型、30 平線素
材、D1,D2 方向を示す矢印、R 半径、t 厚
み、θ 角度、δ クリアランス
し、11 ロータ、12放射状溝、13 カムリング
(相手部材)、14 カム面、15 ポンプ室、16
吸入ポート、17 吐出ポート、20 矢印、21,2
2 ロール、23,24 ロール孔型、30 平線素
材、D1,D2 方向を示す矢印、R 半径、t 厚
み、θ 角度、δ クリアランス
Claims (6)
- 【請求項1】 厚み方向に関して中高の頂面を相手部材
と摺動しつつシール作用を保持するベーンにおいて、前
記頂面はその最端部近傍で前記相手部材側へ膨出してい
ることを特徴とするベーン。 - 【請求項2】 概略直方体状の外形形状を有し、その厚
み方向の両面および両端面を被案内面として摺動可能に
装着され、これらの各被案内面に直角方向の一方の面で
ある頂面は前記厚み方向に関して中高であり、該頂面を
相手部材と摺動しつつシール作用を保持するベーンにお
いて、前記頂面は少なくとも一方の前記端面側の最端部
近傍が前記相手部材側へ膨出していることを特徴とする
ベーン。 - 【請求項3】 頂面は実質的塑性加工肌を残存する請求
項1または2のベーン。 - 【請求項4】 膨出の高さは10μm以下である請求項
1、2または3のベーン。 - 【請求項5】 頂面の端部の膨出部を除く部分の真直度
が5μm以下である請求項1〜4のいずれかのベーン。 - 【請求項6】 少なくとも一方の縁面を厚み方向に関し
て中高形状に塑性加工して得られた平線材料を、その前
記厚み方向が剪断方向となるごとく所定長さに剪断した
後、その剪断面を研削し、前記剪断による幅方向の膨出
形状を最端部である前記の研削面の近傍に残存させるこ
とを特徴とするベーンの製造方法。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP08304688A JP3093979B2 (ja) | 1996-04-22 | 1996-11-15 | ベーンおよびその製造方法 |
| US08/956,791 US6015279A (en) | 1996-11-15 | 1997-10-23 | Vane and method for producing same |
| US09/399,184 US6178633B1 (en) | 1996-11-15 | 1999-09-20 | Vane and method for producing same |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9996196 | 1996-04-22 | ||
| JP8-99961 | 1996-04-22 | ||
| JP08304688A JP3093979B2 (ja) | 1996-04-22 | 1996-11-15 | ベーンおよびその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH109153A JPH109153A (ja) | 1998-01-13 |
| JP3093979B2 true JP3093979B2 (ja) | 2000-10-03 |
Family
ID=26441055
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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