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JP3119412B2 - 天然皮革加色方法及びインクジェット天然皮革加色装置 - Google Patents
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JP3119412B2 - 天然皮革加色方法及びインクジェット天然皮革加色装置 - Google Patents

天然皮革加色方法及びインクジェット天然皮革加色装置

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JP3119412B2
JP3119412B2 JP06012767A JP1276794A JP3119412B2 JP 3119412 B2 JP3119412 B2 JP 3119412B2 JP 06012767 A JP06012767 A JP 06012767A JP 1276794 A JP1276794 A JP 1276794A JP 3119412 B2 JP3119412 B2 JP 3119412B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮革に対して行われる
染色や塗装等の加色方法及び装置に関し、特に簡便にか
つ高速に行うことのできる染色処理方法の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】皮革に対する処理は、一般に次のような
工程で進められる。まず原皮に対し、水漬及び水洗、裏
打、石灰漬、脱毛、裏漉分割、垢出、水洗からなる準備
工程、ついで脱灰、水洗、浸酸、なめしからなる鞣製工
程を経て皮革となし、その後、水絞、裏削、中和、染
色、加脂からなる染色・加脂工程を終え、最後に水絞、
延伸、乾燥、味付、張革、縁たち、銀むき、艶塗、艶
出、計量からなる仕上げ工程に至る。これらの工程の後
に最終製品たる革製品となる。
【0003】
【技術課題】この中で皮革に対する染色あるいは塗装等
の加色方法に関しては、染料や顔料によって行われてい
るが、これらの色材は、従来から繊維の染色に用いられ
ている染料や顔料からとり入れられているものがほとん
どである。そして原皮、なめし方法、用途に応じてそれ
ぞれに適した着色の方法がとられている。たとえば、ロ
ーケツ染め、浸染法、捺染法などの方法がある。
【0004】しかし、皮革はその種類により性質が多様
であり、実際の作業は経験に頼るところがいまだに多い
のが実情であり、着色が単一の色のみであっても、皮革
の種類によっては、着色のための作業に長時間を要した
り、あるいは作業工程が複雑であったり、また何回も同
じ工程を繰り返さなければならないものもあった。した
がって同一の染色物を大量に生産したり、また高精細な
画像や多色画像を染色したりすることは非常に困難であ
った。
【0005】一方、皮革の表面、特に、天然皮革の表面
は、生皮の状態ですでに存在していた毛穴や、各種のし
わ等により、凹凸や、大きなくぼみが存在しており、こ
のまま加色を行うと、この部分に顕著に染色剤が集中し
て、濃度の濃い部分を引き起こす。あるいは、凹凸や、
大きなくぼみを加工工程で平滑化処理を施した後に染色
を行う場合でも、完全な平滑化ができることは難しく、
結果として、一回の加色操作では色むらや色抜けを生じ
やすく、この欠点を解決するために、多くの工程を改良
したり、染色、水洗いの操作を複数回繰り返す必要も生
じている。ここで、重要なことは、所望の染色状態、色
合いが得にくく、結果として、色合いの変化がある革製
品しか提供できない問題が存在するという点である。
【0006】一般に、日常の生活用品あるいは装飾品に
おいて高級感のある製品を切望する傾向の中で、皮革に
対しても高精細の画像染色物を容易に得ることができれ
ば、本来皮革のもつ高級感をさらに高めることが可能で
あり、また多色画像や部分染め等も容易に行うことが可
能となれば、染色された皮革の応用範囲も広がってく
る。
【0007】しかし前述したように従来から知られてい
る皮革の染色、塗装方法では、濃度と堅牢性を維持する
ため、その工程数も多く、したがって処理時間も長くか
かっていた。さらに従来はもっぱら単色の染色でほとん
ど行われており、多色画像を皮革上で表現するために
は、異なる色で加色された複数の皮革を張り合わせた
り、縫い合わせたりする必要があった。また同一の皮革
上に対してもある程度複数種の色を表現することができ
ても、その数には限りがあった。いずれにしても、色ご
とに染色や塗装の手法が異なることも多く、またその処
理は人手によるところが多く、経験が大きな要素となら
ざるを得なかった。このように皮革に対する染色は、従
来からノウハウの占める部分がほとんどであったため、
自動化することも困難であり、その結果コストが高くつ
いてしまうものであった。
【0008】
【本発明の概要】本発明は、上記従来の問題点に鑑みて
なされたものであって、その目的は皮革に対する染色を
安価で迅速に行い、しかもその工程も簡略で、多色染色
を可能とする方法を提供するものである。これによって
従来にはなかった染色皮革の利用分野をも拡大するもの
である。
【0009】本発明の代表的な1発明は、部分的脱脂或
は低水準脱脂が行われた天然皮革の、該部分的脱脂或は
低水準脱脂された領域内に、インク噴射による加色を行
う工程を有することを特徴とする天然皮革加色方法であ
る。この発明によれば、従来の皮革加色方法の課題を一
掃して、部分領域を所望の加色状態にすることができ、
部分的な多色プリントを行うことができる。無論、この
発明を皮革全体に変更することで、加色されるべき皮革
全体にインク噴射による加色を行うことも本発明の応用
として否定するものではない。
【0010】この発明は、インク噴射による加色を高効
率化できる利点があり、特に、低水準脱脂された領域
は、皮革の状態を回復する上で、短時間に対処できる利
点もある。
【0011】本発明の別の代表発明は、部分的脱脂或は
低水準脱脂が行われた天然皮革の、該部分的脱脂或は低
水準脱脂された領域内に、インク受容層を形成した後イ
ンク噴射による加色を行うことを特徴とする天然皮革加
色方法である。この発明は、インク受容層の存在によっ
て、皮革自体への染色とその高濃度化を総合的に達成で
きるもので、インク受容層自体をも皮革に対して定着し
やすく、それゆえ、皮革全体として高品質化が達成でき
る。この発明の特徴部分である本発明の代表発明は、天
然皮革或は脱脂工程を経た天然皮革に対し加色を行う天
然皮革加色方法であって、インク受容層が形成された天
然皮革の部分領域にインク噴射による加色を行う工程を
有することを特徴とする天然皮革加色方法である。つま
り、インク受容層が形成された天然皮革を提供すること
自体が本発明としてより好ましいものであるし、この天
然皮革加色方法は、より実用的な発明である。
【0012】本発明の更に発展した発明は、天然皮革或
は脱脂工程を経た天然皮革に対し加色を行う天然皮革加
色方法であって、60度C以下の所定温度に加熱された
該天然皮革にインク噴射による加色を行う工程を有する
ことを特徴とする天然皮革加色方法である。この発明
は、皮革自体を熱によって劣化させることなく、加色状
態を効率よく得ることができるので好ましいものであ
る。この場合、インク噴射による方式を、膜沸騰を利用
した、キヤノン株式会社提唱の「バブルジェット」方式
で行うと、インク温度が加温されてはいるが、60度C
以下(57〜58度C)の状態で皮革に到達するので、
一層、加色状態を向上できるものである。
【0013】本発明の実用的な装置発明は、加色される
天然皮革に応じて、加色信号に応じたインク噴射による
インク量を変更する手段と、インク噴射手段と、天然皮
革を該インク噴射手段の加色領域に該インク噴射手段に
非接触で搬送するための搬送手段と、を有するインク噴
射天然皮革加色装置である。この発明によれば、上述し
た方法発明に加えて、皮革に対してのインク量を適正な
ものに変更できるので、加色状態を一層向上できるもの
である。
【0014】この装置発明を向上させた自動化及びカラ
ー化を達成できる発明として、天然皮革に加色すべき複
数カラー情報を出力するホストと、カラーインク噴射手
段と、該加色される天然皮革に応じて複数カラー情報に
応じたインク噴射によるインク量を変更する手段と、天
然皮革を該インク噴射手段の加色領域に該インク噴射手
段に非接触で搬送するための搬送手段と、を有するイン
ク噴射天然皮革加色装置である。
【0015】本発明は、上記発明に限定するものではな
く、上記発明によって得られた中間物品、最終物品をも
含むもので、さらには、上記発明の任意の機能的な組み
合わせや皮革へのインクジェットによる加色から、乾
燥、インクジェットによる加脂までの工程を備えたイン
クジェット加色システムを含むものである。
【0016】尚、ここで言う加色とは、従来から一般的
な技術用語として使用されている、単色あるいは複色
の、染色、塗装、着色等を含んだ総称である。従って、
加色の操作の後、色の素となる色材は、皮革の内部に浸
透した形態、皮革の表層部付近にのみ付着あるいは一部
浸透した形態、皮革の表面上に積層された形態など、い
ずれの形態も含むものである。
【0017】ここで、本発明に使用されるインク噴射手
段としてのインクジェット方式は、画像を300dpi
や360dpi或はこれ以上の600dpi等の密度に
分割されたドットで構成し、それらの個々のドットを微
細なノズルから噴射される着色された液滴で媒体である
天然皮革に着弾させることができるため、ドット単位の
着色で鮮明に達成でき、しかも均一な色調が得られるの
で、画像全体としても均一なものとすることが可能であ
る。また、インクジェット方式は、非接触で行われる記
録方式であるため、皮革表面の平滑性および皮革の背面
の支持等において、厳密な均一性を必ずしも保つ必要性
はなく、さらに複数色の液滴を1回の工程で付着させる
ことが可能で、その後に行われる皮革処理工程に対して
も非常に大きな時間短縮につながるものである。
【0018】また、インクジェット方式においては、イ
ンク噴射手段の複数のノズル列をインクの噴射と共に皮
革に対して相対的に移動させて加色を行うことで、一層
の高密度化や加色領域の鮮明さを向上できる。さらに
は、本発明によれば、インクジェット方式により、皮革
表面の特定部分領域にのみ、インク噴射による単色或は
複合色による画像やマークを特定色で形成できるので、
部分的な特色領域を強調、或は軟化した領域にすること
も可能である。特に、部分的な特色領域のみに対する前
処理工程をマスク等で異ならせることによって、インク
噴射による加色領域を一層強調することができる。さら
に、インク噴射による皮革表面の加色の利点を挙げれ
ば、皮革表面上で毛穴やしわ等の非平滑部分が存在して
いても、その部分のみインクの噴射量を調節して、他の
部分(平滑部分や周辺領域)との色むらや色抜けが生じ
ないようにすることもできる。逆に、皮革表面が均一で
も、インク付与量をプログラムやシステムのホスト上で
の画像処理等で調整或は変更することで、所望の濃度分
布や諧調を得ることが可能で、従来の皮革加色方法の欠
点を一掃できる。
【0019】普通紙を用いて記録を行う場合には、解像
性の低下、色間の滲み出し、裏抜け及び定着時間増大な
どの点でインクの最大打込量は制限されるので、通常は
インクの最大打ち込み量は水系インクの場合には16〜
28nl/mm2 程度に収める様に設計するのが一般的
である。しかしながら、本発明の様に皮革加色方法の場
合には、皮革にもよるが、さらに多くのインクを与える
ことが好ましく、数値を挙げれば、通常の2倍以上で、
16〜50nl/mm2 程度が好ましく、インク受容層
の存在により一層の加色やその安定化が達成できる。特
に、加色としての記録における周波数に対応する速度
りも小さい速度で高密度記録、たとえば1/2の速度
倍密度記録したり、同一の記録領域を複数回の記録走査
重ねて記録したり、インクの吐出量を増加させるため
のインクジェットヘッド駆動制御により一層の改善が達
成できる。
【0020】これに加えて、本発明の加脂工程を経る発
明によって、加色部分をより高濃度に、より高強度にす
ることができるため、堅牢性においても従来の染色方法
に劣らず達成できるものである。一方、この加脂処理は
植物油で行われることが多いが、この処理液の付与をも
インクジェット方法で行えばさらに工程時間短縮にもつ
ながるものである。
【0021】インクジェット方式の記録液(インク)と
しては、従来紙に対して行っているため、一般に水を多
く含有しているが、本発明では特にこのインクに限定す
るものではなく、皮革の種類や加色前の処理等の内容で
異なった性質に合わせて、油性のインクなど、適宜適切
な成分をもつインクとすればよい。またインクジェット
方式としては、荷電制御型、ピエゾ素子による噴射方
式、発熱素子による噴射方式等が採用できるが、この中
でも発熱素子による噴射方式は記録ヘッドの高密度化を
行いやすいという点で好適である。
【0022】本発明における好ましいものとしては、更
に、皮革中においてインクの定着を促進する構成、工程
或は手段を持つことである。具体的には、皮革表面の湿
潤性を低下させることや加色領域の脱脂水準を高めた
り、インク受容層を付加したりすることを挙げることが
でき、これらのいずれか或は複合等により加色効率を向
上することができる。このインク受容層としては、用い
るインク溶媒が水系の場合は、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、セルロース等の水溶性樹脂が好
適である。皮革表面の湿潤性を低下させることは、加熱
手段を設けることが好ましく、本発明の場合、皮革のた
んぱく質等の構成成分の分解を抑制するために、低温加
熱が好ましい。特に、皮革の高級感を呈するとされるコ
ラーゲンが分解することは、収縮、変質或は、質感の低
下となりやすく、後の工程による皮革質の向上処理が更
に必要となるために、加熱を行う上記発明では、皮革の
インク噴射加色の前後、或は加色中の皮質自体が最高で
も60度C以下(好ましくは50度C程度)の加熱温度
に維持されるように加温する。本発明の加熱手段として
は、熱板による皮革の加色面とは反対側から加熱する方
法、熱ローラによる皮革の加色面からの加熱方法、或は
上記設定温度を維持できるような温度調節機能を有する
送風手段を設けた加熱方法等が利用できる。
【0023】本発明のインク噴射により加色された皮革
の加色表面に保護層を形成する本発明は、トップコート
としてのポリアミドが一般的であり、本発明にとって
も、インク染料の移動を抑制し、好ましくは、耐光性や
耐腐食性等を発揮できる保護層を設けても好ましいもの
となる。
【0024】さらに、加色のための色材としては、従来
からある染料や顔料を用いることができるが、そのうち
顔料は、これまでの皮革の染色方法においては仕上げ工
程に用いる方が一般的であり、また効果的であった。イ
ンクジェットにより加色を行う場合でも染料・顔料のい
ずれかに限定する必要はないが、顔料の場合は通常溶剤
不溶で皮革そのものには染着性を示さないため、合成
樹脂によるエマルジョン形態で分散状態にして使用する
ことが好ましい。一方、染料の場合は水やアルコ−ルに
溶けやすいものが多く、使用も容易である。利用できる
染料としては各種のものがあげられるが、たんぱく質繊
維によく用いられる染料であれば比較的利用が容易であ
る。たとえば、酸性染料、金属錯塩染料、塩基性染料、
媒染染料、酸性媒染染料、可溶性バット染料などは従来
の皮革の染色にもよく用いられている。この他にも主に
セルロ−スやポリエステル系の繊維などに使用される直
接染料、カチオン染料、硫化染料、ナフト−ル染料、酸
化染料、分散染料、反応染料等も利用可能である。ただ
し皮革の染色に用いる場合には、耐水性、耐汗性、耐溶
剤性、あるいは日光堅ろう性などの特性が重要視される
ため、これらの染料の中でも特に金属醋塩染料は好まし
いが、他の染料でもこれらの特性を満たすために、染色
後にさらに染料固着処理を行ったり、染料の活性を減少
させる処理を加えてもよい。他にこれらの特性を発現さ
せるために、染料と顔料とを混合して用いることもでき
る。
【0025】
【実施例】(実施例1) 図1は本発明で採用される皮革の処理手順の一例を示す
もので、原皮から、準備工程、鞣製工程、加色工程、仕
上げ工程を経て、革製品に至るまでの手順からなってい
る。また図2は皮革の加色に用いることのできる記録装
置の中における染色(記録)手段の主要構成を示す。本
実施例の皮革染色処理を図1および図2を用いて簡単に
説明すると、以下のような手順である。
【0026】まず記録媒体としての皮革の作製である
が、これは従来から行われている鞣製工程よりできあが
ってくる。ここまでの工程について概略を述べると、以
下のとおりとなる。まず、牛、馬、豚等の動物生皮たる
原皮を、汚染物、皮下結締組織部、毛の除去後に、所望
の厚さに分割する裏漉分割を行い、さらに脂肪や色素分
を除去(垢出)の後に水洗して裸皮をきれいにする準備
工程を経る。続いて鞣製工程に入るが、ここでは石灰分
の除去(脱灰)、水洗を行った後、穏和な酸性水性媒体
中で浸漬処理された後になめしにはいる。なめしの方法
については、大きく分けてクロムなめしとタンニンなめ
しとがあるが、それぞれ染料のイオン性に対して親和性
が異なり、一般にクロムなめし後の場合にはアニオン染
料と親和性があり、タンニンなめし後の場合にはカチオ
ン染料との間で親和性がある。これらのなめしの種類に
ついては、できあがりの皮革の状態や加色時に使用する
染料の種類によって適宜選択すればよい。
【0027】本例においては、原皮として馬の皮を用
い、上記の準備工程を経た後にクロムなめしで処理を行
って、その後脱水、裏削り、脱酸中和の前処理を行って
加色用の皮革を得た。さらに次のインクジェット加色
よる染着性を確保するためにカゼインの尿素溶液による
目止め処理を施す。なお、ここで行われる目止め処理剤
としては一般に皮革染色で行われているものであって、
ほかにアクリル、ウレタン等の溶液も用いることができ
る。そしてこれをA3版長辺の寸法を幅とする大きさに
切断して分けた後、インクジェット加色(記録)装置3
加色媒体搬送経路に通過可能な形態1とした。
【0028】続いてこの皮革に対して行う加色について
説明する。前述のように切断の済んだ皮革1を、インク
ジェット加色(記録)装置2における加色媒体の搬送手
段である搬送ローラ対(搬送駆動ローラ23および搬送
従動ローラ24)の搬送方向上流側にセットする。イン
クジェット加色(記録)の準備(インクジェットヘッド
の回復処理および画像データの設定など)が行われて、
加色工程を開始すると、まず搬送駆動ローラ23および
それに従動する搬送従動ローラ24が回転を始め、搬送
駆動ローラ23に先端部がつき当たっている皮革1が回
転している搬送ローラ対の圧接部に引き込まれることに
よって、皮革1が搬送手段に自動的に装着される。次い
でこの皮革1の搬送に同期をとって、搬送路上に設けら
れたインクジェット記録部22が動作して、皮革1上に
画像データに応じた加色(記録)が行われる。記録が終
了して搬送手段によってインクジェット加色(記録)装
置から排出された加色済みの皮革1を自然乾燥させる。
このような工程を経て加色された皮革1は、その後魚油
や植物油などの油脂を用いて加脂処理を施し、加色工程
を終了する。ここで行われる加脂工程は、従来から行わ
れている手法を用いればよい。ここでは太鼓を用いて、
オリ−ブ油を混合、55℃で30分間加脂処理を行い、
柔軟性と強度が付加された皮革を得た。
【0029】このようにしてできあがった加色皮革は、
さらに延伸、縁たち、艶出等の仕上工程に移行し、その
後各種の用途に必要な加工を施し、革製品とする。
【0030】次に本発明で使用するインクジェット加色
(記録)装置2について説明する。図2は本実施例のイ
ンクジェット加色(記録)装置の構成例の主要部を示し
たものであるが、この図において、キャリッジ26に
は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のイ
ンクがそれぞれ詰め込まれた4個のインクタンク21
と、4色のインクを吐出するための4個のインクジェッ
トヘッド3を一体化した一体ヘッドカートリッジ22が
搭載されている。これらのインクタンクには以下に挙げ
る(A)〜(D)のインクがそれぞれ充填されている。
なお、文中で部とあるものは特に断りのない限り重量基
準である。
【0031】 インク(A)の製造 ・酸性染料(C.I.Acid Brown 13) 2部 ・酸性染料(C.I.Acid Orange 67) 1.5部 ・酸性染料(C.I.Acid Blue 92) 0.5部 ・チオジグリコール 5部 ・イソプロピルアルコ−ル 3部 ・硫酸カリウム 0.01部 ・メタケイ酸ナトリウム 0.001部 ・硫酸鉄 0.0005部 ・硫酸ニッケル 0.0003部 ・硫酸亜鉛 0.0003部 ・水 59部
【0032】上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナ
トリウムでpH8.2に調整し、2時間撹拌した後、フ
ロロポアフィルターFP−100(商品名、住友電工
製)にて濾過し、インクジェットインク(A)を得た。
【0033】 インク(B)の製造 ・酸性染料(C.I.Acid Blue 185) 9部 ・チオジグリコール 23部 ・トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6部 ・塩化カリウム 0.05部 ・メタケイ酸ナトリウム 0.001部 ・塩化鉄 0.0005部 ・塩化亜鉛 0.0003部 ・水 62部
【0034】上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナ
トリウムでpH8.3に調整し、2時間撹拌した後、フ
ロロポアフィルターFP−100(商品名、住友電工
製)にて濾過し、インクジェットインク(B)を得た。
【0035】 インク(C)の製造 ・酸性染料(C.I.Acid Red 266) 7部 ・チオジグリコール 15部 ・ジエチレングリコール 10部 ・テトラエチレングリコールジメチルエーテル 5部 ・塩化カリウム 0.04部 ・硫酸ナトリウム 0.01部 ・メタケイ酸ナトリウム 0.001部 ・塩化鉄 0.0005部 ・塩化ニッケル 0.0002部 ・水 63部
【0036】上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナ
トリウムでpH7.9に調整し、2時間撹拌した後、フ
ロロポアフィルターFP−100(商品名、住友電工
製)にて濾過し、インクジェットインク(C)を得た。
【0037】 インク(D)の製造 ・酸性染料(C.I.Acid Yellow 110) 7部 ・チオジグリコール 24部 ・ジエチレングリコール 11部 ・塩化カリウム 0.004部 ・硫酸ナトリウム 0.002部 ・メタケイ酸ナトリウム 0.001部 ・塩化鉄 0.0005部 ・水 58部
【0038】上記の全成分を混合し、混合液を水酸化ナ
トリウムでpH8.4に調整し、2時間撹拌した後、フ
ロロポアフィルターFP−100(商品名、住友電工
製)にて濾過し、インクジェットインク(D)を得た。
【0039】続いて本実施例のインクジェット加色(記
録)装置の動作について説明する。図2で、本実施例で
は鞣製行程を終了し、所定の大きさに切断された皮革1
を安定してインクジェット加色(記録)部に送り込むた
めに傾斜した給送トレイ25を設け、この給送トレイに
沿って皮革1が搬送駆動ローラ23と搬送従動ローラ2
4とのあいだに正しく挿入される構成としている。この
状態で搬送駆動ローラ23を矢印Aの方向に回転駆動す
ることにより、皮革1が搬送ローラ対の圧接部で導か
れ、インクジェット加色(記録)部に順次送られてい
く。キャリッジ26は記録を行っていないとき、あるい
はインクジェットヘッドの回復作業などを行うときには
ホームポジション(不図示)に待機するようになってい
る。
【0040】加色開始前、図の位置(ホームポジショ
ン)にあるキャリッジ26は、記録開始命令がくると、
キャリッジガイド軸27に沿って移動しながら、リニア
エンコーダの読み取り信号に基づいてタイミングを取っ
て記録ヘッド上のマルチノズルより記録信号に応じて4
色のインクを吐出することにより、被加色面上に加色
dだけの記録を行う。この加色(記録)走査により被
面上には、ブラックインク、シアンインク、マゼンタ
インク、イエローインクの順でインクが着弾してドット
が形成される。被加色面端部までデータの印字が終了す
るとキャリッジ26は元のホームポジションに戻り、再
び次の行の印字を行う。この最初の印字が終了してから
2回目の印字が始まる前までに、搬送駆動ローラ23が
回転することにより加色幅dだけの皮革1の搬送を行
う。このようにしてキャリッジの1走査ごとにインクジ
ェット記録ヘッドの加色幅dだけの記録と皮革搬送を行
う繰り返しにより、被加色面上のデータ印字が完成す
る。加色が終了した時点で搬送手段による排出を行うと
同時に、印字時に平坦な加色面を形成していたプラテン
28が排出方向に傾斜して、後端部の排出を補助する構
成としている。排出の補助を行うために、加色部の下流
側に拍車ローラなどの手段を設けてもよい。
【0041】また、皮革の場合、原皮の種類あるいは準
備工程や鞣製工程の手法によって、その厚さは各種のも
のが生ずる。したがって一体ヘッドカートリッジ22の
インク吐出面とプラテン28との間の距離を、加色しよ
うとする皮革の厚さに合わせて各種設定出来る機構を設
けると、より有効的である。
【0042】図3はインクを吐出する記録ヘッド3の構
成についての説明図である。配線基板30の一端は、ヒ
ーターボード31の配線部分と相互に接続され、さらに
配線基板30の他端部には、本体装置からの電気信号を
受け入れるための各電気・熱エネルギー変換体に対応し
た複数個のパッドが設けられている。このことにより本
体装置からの電気信号は、それぞれの電気・熱エネルギ
ー変換体に供給されるようになる。配線基板30の裏面
を平面で支持する金属製の支持体32は、インクジェッ
トユニットの底板となる。押さえバネ33は溝つき天板
34のインク吐出口近傍の領域を線上に弾性的に押し圧
を作用するために断面略U字形状に折り曲げ形成した部
分と金属製の支持体32に設けた逃げ穴を利用して引っ
かける爪と、バネに作用する力を金属製の支持体32で
受ける一対の後脚を有している。このバネ力により、配
線基板30の取り付けは、溝つき天板34とを圧接して
いる。支持体に対する配線基板30の取り付けは、接着
剤などによる貼り付けで行われる。
【0043】インク供給管35の端部にはフィルター3
6が設けられている。インク供給部材37は、モールド
成型で作られ、溝つき天板34もオリフィスプレート部
341と各インク供給口へと導く流路が一体的に形成さ
れている。インク供給部材37の支持体32に対する固
定は、インク供給部材37の裏面側の2本のピン(不図
示)を支持体32の2つの穴38および39にそれぞれ
貫通突出させ、これを熱融着することにより簡単に行わ
れる。この際、オリフィスプレート部341とインク供
給部材37との隙間を封止し、さらに支持基板32に設
けられた溝40を通り、オリフィスプレート部341と
支持基板32前端部との隙間を完全に封止する。
【0044】図4はブラック、シアン、マゼンタ、イエ
ローの4色のインクをそれぞれ吐出可能な上記4つのヘ
ッド3をフレーム枠50で一体的に組み立てた4ヘッド
一体インクジェットカートリッジ22のインクタンクを
取り外した部分の構造を示している。4つのインクジェ
ットヘッドはフレーム50内に所定の間隔で取りつけら
れ、しかもノズル列方向のレジストも調整された状態で
固定される。本実施例ではインクジェットヘッドの機械
的な基準面を用いて調整して色間の相互着弾位置精度を
向上させているが、フレーム枠に記録ヘッドを仮止めし
た上で実際に吐出させて着弾位置を測定したデータを基
にして直接的に色間の相互着弾位置を調整してさらに精
度を高めてもよい。51はフレームのカバーであり、5
3は4つのインクジェットヘッドのそれぞれの配線基板
30に設けられたパッドと記録装置本体からの電気信号
をつなぐためのコネクタである。4ヘッドを一体的に組
み立てることは取り扱い上の優位性に加えて、前述のご
とくヘッド間の相互着弾位置精度を向上させる点で有効
であるが、記録装置本体との信号線接続数を少なくでき
る点でも大きな効果がある。たとえば、GNDラインな
ど4ヘッド共通の信号線はコネクタ基板52上で共通化
して線数をそのまま減らすことができ、また、一体化回
路基板を設けてヘッドごとに時分割駆動を行うようにす
れば記録信号線の共通化も可能となる。こうした電気的
接続数の減少はカラー機や多ノズル高速機のように信号
線数の多い装置で有効である。
【0045】以上説明したように、加色の工程をインク
ジェット染色(記録)装置で実施したことにより、従来
は1日近くかかっていた、なめし後の脱水、裏削り、脱
酸中和を含めた染色・加脂工程のうち、最も所要時間を
要する加色をわずか数十分で済ませることができ、しか
も版を用いることなく多色の加色をも可能とした。
【0046】(実施例2) 図5はインクジェット加色(記録)装置の別の形態を示
す図で、皮革を定形の大きさにする必要がない装置の一
例を表している。皮革は原皮の種類によって大きさが異
なり、鞣製工程を経た後でも、先の実施例1で述べたよ
うなA3版よりも大きな面積を有するものが多い。そこ
で本例においては、加色媒体たる皮革の大きさに左右さ
れずに染色が可能であるインクジェット加色(記録)装
置6を提供するものである。
【0047】この図において、基本的な染色の動作は実
施例1で述べた加色装置と同様であるが、大判の加色
体(皮革)にも対応できるようにするため、インクジェ
ット加色(記録)部は多くのノズルを持った大型のイン
クジェットヘッド60と、また大量のインクを供給でき
るようにした大型のインク供給装置61を、それぞれキ
ャリッジ62およびキャリッジ63に設けている。そし
てこれらはチューブ64を介して接続することによって
インク供給装置61からインクジェットヘッド60への
インク供給を行い、また電装系65からインクジェット
ヘッド60へ送られてくる信号によって、2つのキャリ
ッジはフレーム枠66に取り付けられたガイドレール6
7およびガイドレール68に沿って、図の矢印C方向に
往復移動して走査するとともに、インクジェットヘッド
60から画像信号に応じたインクの噴射を開始し、皮革
9に加色可能としている。
【0048】このインクジェット加色(記録)装置を用
いて皮革に加色を行う場合の動作を説明すると以下のと
おりである。まず原皮として牛の皮を用い、これを実施
例1と同様にして加色の前段階までの処理を施して加色
用の皮革とする。これの背面の一端をプラテン69に合
わせて装着する(装着部は不図示)。その後、別に用意
されている画像信号発生装置から電装系65に供給され
てくる画像信号からインクジェットヘッドの各ノズルご
とのインク噴射タイミング信号を作り出し、加色のため
のインクを皮革9に噴射する。そしてインクジェットヘ
ッドの1回の走査が終了するたびに、その際に加色を行
った幅の分だけ皮革を矢印Bの方向に移動させる。以下
この動作を繰り返すことによって、皮革9上に順次加色
部分91が現れ、最終的に皮革9の全面にわたって加色
を完了する。
【0049】なお、鞣製工程から出てきた皮革は、一般
に形状が一定しておらず、また端部も直線形態をとって
いない。したがってこの形状のままで図5のインクジェ
ット加色(記録)装置に通すと、皮革面上から画像を形
成するインク噴射がはみ出す場合がありうる。この結果
プラテン69上にインク噴射を行うこととなり、プラテ
ンの表面を汚染する。このような症状が発生すると、続
いて加色しようとする皮革を通した際に加色面の背面を
汚染したり、またプラテン上に噴射されたインクが乾
燥、堆積することによりプラテン上での皮革の滑りを阻
害したりして皮革の搬送不良を起こしうる。これを回避
するために、皮革にインクジェット加色(記録)装置に
装着する際に、加色終了後に容易に剥離可能な接着剤を
塗布してなる紙をその皮革の非加色面に張り付けておい
たり、また加色動作中のキャリッジ走査のたびにプラテ
ン上における皮革の端部を検知して、そこから外れてい
る部分から画像デ−タを削除するような処理を加えたり
することも有効である。
【0050】さらに加色が終了した皮革9は実施例1と
同様に加脂処理を施し、仕上げ工程に移行して製品加工
を行って革製品とすることができる。
【0051】以上説明した例によれば、なめした後の皮
革を定形の形状に切断する必要もなく、加色工程のさら
なる効率化と迅速化が達成できる。また自由な形状の処
理を実現することができる。
【0052】(実施例3) 図6は、本発明を適用して加色後の加脂処理をもインク
ジェット記録装置を用いて実施した場合の工程の概略図
である。ここで加色の前工程まで、すなわち準備工程、
鞣製工程、および脱水、裏削り、脱酸中和までは実施例
1と同様であるため、説明を省略する。脱酸中和まで終
了した加色用の皮革は、A3版の大きさに切断し、イン
クジェット記録による加色部10に導かれる。この加色
部10における皮革への加色は、実施例1と同様の装置
を用いることができる。このインクジェット加色(記
録)装置によって加色を行い、送り出されてきた皮革は
続いて乾燥装置11に入り、ここで50℃、1分間乾燥
され、定着する。
【0053】これらの後に加脂装置12に皮革は移送さ
れ、加脂処理に入るが、ここでインクジェットを利用す
る場合、油脂を飛翔させる必要があるという点、および
ドット密度は画像形成時に対して細かく設定する必要が
ないという点より、前述の染色で説明した電気・熱変換
体によるインクジェット方式よりも電気・機械変換体に
よるインクジェット方式、すなわち圧電素子によって液
滴を飛翔させるインクジェット方式が好ましい。この加
脂装置の中では、油脂を付着させた後に太鼓処理を行
う。本例によればこの加脂処理に用いる処理液は、噴射
時の特性を考慮して比較的粘度の低いものが好ましい。
ここでは25℃における粘度が100cPであるヒマシ
油を使用した。この加脂処理を終えた皮革は続いて仕上
げ工程に入り、革製品へとつながっていく。
【0054】以上述べたように、加色および加脂の工程
をインクジェット加色(記録)装置で実施しているた
め、加色・加脂にかかる時間を短縮できることはもちろ
ん、加色にかかわる工程を一連の流れとして自動化する
ことも容易であり、処理コストの低下にもつながるもの
である。
【0055】(実施例4) 図7は、本発明を適用して加色の工程において、各種の
皮革を同一の装置で処理できるようにシステム化した一
例を示している。この例では1つのシステムの中で多種
類の皮革が処理できるように、3種類のインクジェット
加色(記録)装置が組み込まれている。まず加色しよう
とする皮革に対し、皮革特性設定部13によって、その
皮革に加色を行うに当たって必要とされるデータ、すな
わち、原皮の種類、鞣製工程でなめしたときの方法、皮
革の厚さ、加色前に行われる被加色面の処理方法(目止
め処理)、被加色面の寸法あるいは面積、加色時におけ
る温・湿度等のデータを、使用者が装置に対して、キー
ボードやパネル上のスイッチより設定を行う。この設定
されたデ−タに基づいて、演算部14において加色する
に当たって最適な手法を自動的に求める。この演算部1
4にはCPU141が接続されて、その処理を管理する
構成になっている。先に皮革特性設定部13において設
定されたデ−タはRAM143に格納され、これとすで
に各種の皮革の条件によってあらかじめ定められている
適切な処理法のデ−タが格納されているROM142の
内容と加色画像格納部のデ−タとによって演算が行わ
れ、その結果が加色方法決定部15に出力される。加色
方法決定部15では加色時における皮革の取り付け方
法、加色に使用するインクジェットヘッドの種類および
インクジェットヘッドの走査回数を含めた駆動条件、
走査方法(多色加色の場合には色の順番および各色の
噴射する間隔等)、加色画像の基本構成単位、加色する
際の色材種(染料や含量の種類及びそれらを含有する
液の種類)などが決定されて出力される。これらの決
定はインクジェット加色装置を動作させるに必要な動力
源に伝達されると共に、その内容がCRT146にも表
示され、使用者に確認を求める。ここで使用者によって
加色方法の変更が必要な場合には、キーボード146よ
りさらにデータ入力を行い、設定を変更できるようフィ
ードバック回路が組み込まれている。以上のようにして
決定された加色方法に基づき、インクジェット加色装置
161より163のいずれかに信号が送出される。決定
されたインクジェット加色装置に、皮革をそれぞれの適
切な方法でセットすることで、その皮革に対して最良の
方法で加色が行われる。
【0056】これらのインクジェット加色装置はそれぞ
れ次に述べるような構成をとっている。インクジェット
加色装置161は実施例1および実施例2で述べた手法
によって行われるもので、ここでは詳細を省略する。イ
ンクジェット装置162は、皮革は固定し、その被加色
面にインクジェットヘッドを移動させ、走査しつつ染色
させるものであって、被加色面が複雑な形状、あるいは
平面的でなくとも対応できるものである。インクジェッ
ト装置163は、大型の皮革の場合に適するものであっ
て、装置外で皮革を立体的に固定し、加色可能な形態に
した後に装置を移動させるものであり、皮革の加色前の
処理を十分に行えなかった際にも利用できる。なお、こ
れらの装置は、単色の加色、多色の加色、いずれの場合
であっても同様に適用することができ、またインクジェ
ットによる一連の加色工程を、同一の皮革に対して複数
回行ってもよい。
【0057】インクジェット加色装置161から163
のいずれかによって、インクジェット加色が完了した皮
革は、乾燥部17および加脂部18を経た後に仕上げ工
程と移り、最終製品へと加工される。
【0058】以上述べた例においては、加色方法を自動
的に判別することが可能なため、多品種の皮革を任意に
加色処理することが可能であり、要求に応じた少ロット
による生産が低コストで実現できるものである。
【0059】また、これまで述べたいくつかの実施例で
は、インクジェット加色後にさらに加色処理を行うこと
も可能であり、捺染分野で使用される染料固着剤等を
終了から加脂までの間に使用してもよい。さらに加色
後の乾燥を速やかに行うために、インクジェット加色
(記録)装置の加色ずみ皮革排出部に加熱手段または温
風送出手段を必要に応じて併設してもよい。そして加色
前に色材の付着を促進させるため、一般に行われている
カチオン化処理やアルカリ処理など色材の特性に合あわ
せて行ったり、また加色直前に皮革を加湿したりするこ
とも有効な手段である。
【0060】ほかに、インクジェット加色部において、
皮革の種類に応じてインク打ち込み量を調節・選択でき
る様にすることも効果的である。さらに、インクジェッ
トによる加色の工程は、これまで1回のヘッド走査を例
示してきたが、とくにこれに限定する必要はなく、同一
の工程を複数回繰り返して皮革の同一箇所に色を重ねて
いくことも本発明には含まれる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来人手と時間を要して、しかも多色ができにくかった
皮革の加色に対し、多色はもちろん、処理時間の短縮も
可能で、さらに自動化も容易な皮革加色方法を達成する
ことができた。このことは大量に処理することと共に、
少量多品種の生産も可能であり、市場の細かな要求にも
対応可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例における皮革処理の手順を示
す説明図。
【図2】本発明第1実施例におけるインクジェット加色
装置の主要構成図。
【図3】本発明に適用できるインクジェットヘッドの構
成図。
【図4】本発明に適用できるカラーインクジェットヘッ
の構成図。
【図5】本発明第2実施例におけるインクジェット加色
装置の主要構成図。
【図6】本発明第3実施例におけるインクジェット加色
の概念図。
【図7】本発明第4実施例におけるインクジェット加色
システムの概念図。
【符号の説明】
1、9 皮革 2、6 インクジェット加色装置 3 インクジェットヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平林 弘光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 秋山 勇治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 松原 美由紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 太田 徳也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−363363(JP,A) 特開 平5−246977(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C14C 11/00 B41J 2/01

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部分的脱脂或は低水準脱脂が行われた天
    然皮革の、該部分的脱脂或は低水準脱脂された領域内
    に、インク噴射による加色を行う工程を有することを特
    徴とする天然皮革加色方法。
  2. 【請求項2】 部分的脱脂或は低水準脱脂が行われた天
    然皮革の、該部分的脱脂或は低水準脱脂された領域内
    に、インク受容層を形成した後インク噴射による加色を
    行うことを特徴とする天然皮革加色方法。
  3. 【請求項3】 天然皮革或は脱脂工程を経た天然皮革に
    対し加色を行う天然皮革加色方法であって、インク受容
    層が形成された天然皮革の部分領域にインク噴射による
    加色を行う工程を有することを特徴とする天然皮革加色
    方法。
  4. 【請求項4】 天然皮革或は脱脂工程を経た天然皮革に
    対し加色を行う天然皮革加色方法であって、60度C以
    下の所定温度に加熱された該天然皮革にインク噴射によ
    る加色を行う工程を有することを特徴とする天然皮革加
    色方法。
  5. 【請求項5】 加色される天然皮革に応じて、加色信号
    に応じたインク噴射によるインク量を変更する手段と、
    インク噴射手段と、天然皮革を該インク噴射手段の加色
    領域に該インク噴射手段に非接触で搬送するための搬送
    手段と、を有するインク噴射天然皮革加色装置。
  6. 【請求項6】 天然皮革に加色すべき複数カラー情報を
    出力するホストと、カラーインク噴射手段と、該加色さ
    れる天然皮革に応じて複数カラー情報に応じたインク噴
    射によるインク量を変更する手段と、天然皮革を該イン
    ク噴射手段の加色領域に該インク噴射手段に非接触で搬
    送するための搬送手段と、を有するインク噴射天然皮革
    加色装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項いずれかによって
    インク噴射加色がなされた皮革及び皮革製品。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項いずれかによって
    インク噴射加色がなされた天然皮革の加色表面に保護層
    を有する皮革及び皮革製品。
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