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JP3122762B2 - 2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素、アミノ酸配列、遺伝子塩基配列 - Google Patents
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JP3122762B2 - 2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素、アミノ酸配列、遺伝子塩基配列 - Google Patents

2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素、アミノ酸配列、遺伝子塩基配列

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JP3122762B2 JP11042955A JP4295599A JP3122762B2 JP 3122762 B2 JP3122762 B2 JP 3122762B2 JP 11042955 A JP11042955 A JP 11042955A JP 4295599 A JP4295599 A JP 4295599A JP 3122762 B2 JP3122762 B2 JP 3122762B2
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グルコース−6−
リン酸より2−デオキシ−シロ−イノソース(2−De
oxy−scyllo−inosose)を合成する反
応を触媒する、2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵
素、当該酵素のアミノ酸配列、及びアミノ酸配列をコー
ド化する遺伝子塩基配列に関する。
【0002】
【従来の技術】2−デオキシ−シロ−イノソース(DO
I)合成酵素は、グルコース−6−リン酸(G−6−
P)を基質として、2−デオキシ−シロ−イノソース
(DOI)を合成する反応を触媒する環化酵素である
(図1)。DOI合成酵素は2−デオキシストレプタミ
ンをアグリコンとして含有するアミノグリコシド抗生物
質の生合成に関与する酵素であり、その生成物であるD
OIは、医薬原料や化学工業資源として有用な物質であ
る。これまでDOIを合成する方法は多段階の反応と有
害又は高価な金属を使用する方法があるのみで、短工程
の方法はこれまで知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】DOI合成酵素の特性
を考えると、当該酵素を他の微生物に導入する事によ
り、多量に存在しているグルコースを原料として、有用
資源であるDOIを効率的に、短工程で生産できる可能
性がある。これまで、DOI合成酵素について、その存
在は予想されていたものの、実態は明らかではなく、当
該酵素の性質は明らかにされていなかった。また、当該
酵素の単離、精製は成功しておらず、産業上利用するに
は至らなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、DOI合成酵素
を産業上利用する手段を得る目的で、本発明者らは土壌
より分離した細菌バチルスサーキュランスSANK72
073よりDOI合成酵素を精製し、その酵素の特性を
明らかにした。更に、当該酵素のアミノ酸配列及びアミ
ノ酸配列をコード化する遺伝子の塩基配列を初めて明ら
かにした。更にDOI合成酵素を大腸菌に発現させて、
組み換えDOI合成酵素の性質を明らかにした。
【0005】
【実施例】(細菌の培養)ブチロシン生産菌バチルスサ
ーキュランス(B.circulans)SANK72
073の懸濁液を、栄養グリセロール培地(1%肉エキ
ス、1%ペプトン、0.5%NaCl、1%グリセロー
ル)中で培養した。660nmにおけるODが7.0−
9.0になるまで、28℃においてロータリーシェーカ
ー上で前培養を行った。前培養を行った一部を採取し
て、ODが8.0−9.0になるまで更に培養を行っ
た。遠心分離(6000g、30分、4℃)を行って細
胞を回収し、50mMのTris−HClバッファー溶
液(pH7.7)で洗浄した(6000g、30分、4
℃)。
【0006】(DOI合成酵素の精製)回収したB.c
irculans細胞(湿重量で80g)を、50μM
phenylmethanesulfonyl fl
uoride(PMSF)と50μM EDTAを含む
240mlのTris−HClバッファー中に懸濁し、
氷浴中0℃において、ブランソンソニファイアー250
型でソニケーションを行った。ソニケーションの後、6
000gで30分間遠心分離を行い、上清について定法
により硫酸アンモニウム(硫安)沈殿を行った。40−
70%飽和の硫安沈殿で得られた沈殿物につき、50μ
M PMSFと50μM EDTAを含む50mM T
ris−HClバッファー(pH7.7)中で4℃で一
晩透析を行った。透析物を50mM Tris−HCl
バッファー(pH7.7)で平衡化したDEAEセルロ
ファインA−800カラム(チッソ)に流し込み、カラ
ムに吸着したタンパク質を0M(300ml)から0.
4M(300ml)のNaCl濃度勾配により溶出し
た。DOI合成酵素活性は、NaCl濃度が0.2M付
近で検出された。
【0007】活性画分をセントリプレップ−10(アミ
コン)で10mlまで濃縮し、50mM Tris−H
Clバッファー(pH7.7)で平衡化した、TSK−
gel AF−Blue Toyopearl 650
ML(トーソー)に濃縮サンプルを流し込んだ。吸着し
たタンパク質を、1MのNaClを含む同様のバッファ
ーで溶出した。活性画分を同様に2mlまで濃縮して、
0.1MのNaClを含む50mM Tris−HCl
バッファー(pH7.7)で平衡化したHiLoad
26/60 Superdex 200pg(FPL
C)に、濃縮サンプルを流し込んだ。活性画分を同様に
2mlまで濃縮して、0.1MのNaClを含む50m
M Tris−HClバッファー(pH7.7)で平衡
化したMono Q HR10/10(FPLC)に、
濃縮サンプルを流し込んだ。吸着したタンパク質は、N
aCl濃度0.13Mから0.16Mにおいて溶出され
た。酵素活性は、NaCl濃度0.14Mにおいて検出
された。図2に、DOI合成酵素の精製の各段階におけ
るSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−P
AGE)のパターンを示す。レーン1は精製前の細胞抽
出液、レーン2は硫安沈殿後、レーン3はDEAE精製
後、レーン4はTSK−gel AF−Blue To
yopearl 650ML精製後、レーン5はSup
erdex200精製後、レーン6はMonoQ精製
後、レーン7は分子量マーカーを示す。また、表1にD
OI精製の各段階における精製率を示す。
【0008】
【表1】 B.circulans由来のDOIの
精製 段階 総タンパク量 総活性 比活性b)精製ファクターb)回収率b) (mg) (U) (U/mg) (%) 抽出物 5516 n.d. a) n.d. a) n.d.a) n.d. a) 40-70% 2431 n.d. a) n.d. a) n.d. a) n.d. a) (NH4)2SO4 DEAE 817 99.7 0.122 1 100 BlueC) 119 42.4 0.356 2.87 42.5 Sephadex 200 9.787 60.8 6.23 51.1 61.0 Mono Q 0.778 14.1 18.1 148 14.1 a)未決定 b)DEAEクロマトグラフィーの後に計算した c)TSK−gel AF−Blue Toyopearl 650ML
【0009】(DOI合成酵素の分子量の決定)精製に
より得られた酵素の分子量をSDS−PAGEにより解
析したところ、42kDaと23kDaの二つのペプチ
ドが検出された(図2、レーン7)。一方、ネイティブ
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native−PA
GE)を行ったところ単一のバンドが検出された(図
3)。更に、ゲル濾過クロマトグラフィー(TSK−g
el G3000SW)を行ったところ、未変性条件下
では単一のバンドとして検出されたが、0.1%SDS
を含有する変性条件下では二つのペプチドに分離して検
出され、等電点クロマトグラフィー(Mono PHR
5/20)を行ったところ、単一のバンドが検出され
た。以上の結果は、得られた酵素は42kDaと23k
Daのペプチドより成る、65kDaの二量体タンパク
質である事を示している。
【0010】(DOI合成酵素活性の測定)2−デオキ
シ−シロ−イノソース(DOI)合成酵素活性は、HP
LC法を用いて検出した。一定量の酵素溶液(70μ
l)を、5mM G−6−P、5mMNAD+ 及び5m
M CoCl2 を含む50mMのTris−HCl(p
H7.7、最終容量100μl)と混合し、46℃で一
時間インキュベートした。100μlのメタノールを添
加して、反応を停止した。得られた混合液に、塩酸O−
(4−ニトロベンジル)ヒドロキシルアミン(NBH
A)のピリジン溶液(5mg/ml)を20μl添加し
て、オキシム誘導体を生成させた。溶液全体を60℃で
一時間加熱した後、空気を流し込んで溶媒を除去した。
残査を2mlのクロロフォルムとメタノールの混合液
(20:1)に溶解し、Sep−Pakプラスシリカに
流し込んだ。DOIのO−(4−ニトロベンジル)オキ
シム誘導体を、クロロフォルムとメタノールの混合液
(5:1)により溶出した。溶出液をエバポレートし
て、残査を100μlのメタノールに溶解した。溶液の
一部(5μl)をTSK−gel ODS−80TM
CTRカラム(東ソー)に注入して、262nmにおけ
る紫外線吸収を測定した。DOIのO−(4−ニトロベ
ンジル)オキシム誘導体の量を、標準曲線法により定量
した。酵素活性の1ユニットは、1分間に1nmolの
DOIを生成すると定義した。
【0011】(DOI合成酵素の性質)DOI合成酵素
活性に及ぼすpHの影響を検討したところ、pH7.5
から8.5にかけて最大活性が検出された(図4)。N
AD+ 及びコバルトイオンの存在下における温度の影響
を検討したところ、DOI合成酵素は46℃において最
大活性を示した(図5)。一方、NAD+ 及びコバルト
イオンの非存在下では46℃において活性が失われ、N
AD+ 及びコバルトイオンは酵素反応に用いられるのみ
ならず、DOI合成酵素の安定化に作用しているものと
思われる。更に、種々の二価金属イオンが、DOI合成
酵素活性に及ぼす影響を検討した(表2)。EDTAの
存在下においては酵素活性が認められなかった事より、
金属イオンの存在はDOI合成酵素反応に必須であると
思われる。また、コバルトイオンは最も酵素活性を高め
る作用を有したが、マグネシウム、カルシウム、マンガ
ンイオンは酵素活性に影響を与えなかった。一方、銅、
亜鉛イオンは酵素活性を低下させた。
【0012】
【表2】 二価金属イオンがDOI合成酵素活性に及
ぼす影響 添加イオン Vmax 添加イオン Vmax なし 0.353 Co2+ 1 Mg2+ 0.398 Ni2+ 0.163 Ca2+ 0.367 Cu2+ 0 Mn2+ 0.376 Zn2+ 0 Fe2+ 0.099 EDTA 0
【0013】(DOI合成酵素の反応速度論)反応速度
論の解析に先立ち、DOI合成酵素反応の経時変化を検
討したところ、反応開始より2時間後に反応速度は低下
した。そこで、反応速度論解析においては反応開始後1
時間で反応を停止した。酵素反応の速度定数(Kcat
及びK m 値)を、DOI合成反応の初期速度よりライン
ウェーバーバークプロットを行う事により求めた。その
結果、46℃、pH7.7におけるG−6−Pに対する
m 値は9.0X10-4M、NADに対するKm 値は
1.7X10-4Mであり、Kcat 値は7.3X10-2
-1、そしてKcat /Km は82M-1-1であった。
【0014】(DOI合成酵素N末端アミノ酸配列の決
定)B.circulansより精製されたDOI合成
酵素の42kDaと23kDaのサブユニットを、1
2.5%のトリシン−SDS−PAGEで分離を行っ
た。電気泳動を行った後、エレクトロブロッティングに
より、タンパク質をゲルからPVDF膜へ転写した。ク
マシーブリリアントブルーにより染色を行って二つのバ
ンドを切り取り、ペプチドシークエンサー(島津、PP
SQ−21)により配列決定を行った。
【0015】(DOI合成酵素遺伝子のクローニング)
決定されたN末端アミノ酸配列の一部分(FNFAFG
EHV)に基づき、40kA(5’−TTYGCNTT
YGGNGARCAYGT−3’)と40kB(5’−
TCNCCRAANGCRAARTTRAA−3’)の
オリゴヌクレオチドを設計して合成して、3’末端をD
IG(ジゴキシゲニン−11−dUTP)でラベルし
た。B.circulansの染色体DNAを制限酵素
により切断し、得られた加水分解物をアガロースゲル電
気泳動で分離を行い、DNA断片をブロッティング膜
(ゼータプローブGTゲノミックテスティッドブロッテ
ィング膜 バイオラッド)に転写した。ハイブリダイゼ
ーションは、キットの標準プロトコールに従って行っ
た。オリゴヌクレオチド(20mer)については50
℃、より長いサイズのDNAについては65℃でハイブ
リダイゼーションを行った。オリゴヌクレオチドについ
ては2XSSCで50℃、大きなサイズのDNAについ
ては1XSSCで65℃で、洗浄を行った。ハイブリダ
イズしたバンドは、DIG蛍光検出キット(ベーリンガ
ーマンハイム)で検出した。
【0016】両者のプローブとハイブリダイズしたDN
A断片の中で、染色体DNAをEcoRIで分解して得
られた4.2kbpの断片を選択し、pUC19と結合
させた。得られたプラスミドを用いて、大腸菌JM10
5の形質転換を行った。形質転換体を、アンピシリン
(50μg/ml)、イソプロピル−β−D−チオガラ
クトピラノシド(IPTG)(200μg/ml)及び
5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガ
ラクトピラノシド(40μg/ml)を含むLuria
−Bertani(LB)寒天培地で選択を行った。形
質転換体をハイボンド−N+膜(アマシャム)に転写し
て、可溶化し、DNAを固定した。同じDIGプローブ
を用いてコロニーハイブリダイゼーションをして、更に
スクリーニングを行った。
【0017】(DOI合成酵素遺伝子の塩基配列の決
定)その結果、陽性クローンであるpDS1が得られ、
その塩基配列を決定した。。pDS1の、種々の制限酵
素断片の塩基配列を、サーモシークエナーゼサイクルシ
ークエンシングキット(アマシャム)、M13順方向プ
ライマー、M13逆方向プライマー(アマシャム)、及
びDNAシークエンサー(Li−cor4200型)を
用いて、ジデオキシヌクレオチド法により決定した。両
鎖の全配列は、DNAを用いて決定した。DNA配列は
GENETYXプログラム(ソフトウェアディベロップ
メント)により解析し、3つの読み枠が存在することが
判った。ネット上においてBLAST及びFESTAソ
フトウェアを用いて、EMBL、ジーンバンク又はSW
ISSPROTデータライブラリーに対して相同性検索
を行った。その結果、pDS1がコード化する推定アミ
ノ酸配列には、上述したDOI合成酵素のN末端アミノ
酸配列と完全に一致する部分が含まれていた。しかし、
pDS1には42kDaサブユニットをコード化する遺
伝子の一部しか含まれていなかった。
【0018】そこで、DIGラベルしたpDS1のBa
mHI−EcoRI断片を、全体の遺伝子を拾うプロー
ブとして設計した。そのプローブを用いて同様のサザン
ハイブリダイゼーションを行った結果、4.0kbpの
BamHI−PstI断片(pDS2)が同定され、p
UC19と結合させて、得られた形質転換体について同
様のプローブを用いて、コロニーハイブリダイゼーショ
ンでスクリーニングを行った。その結果pDS2を同定
することができ、その塩基配列をpDS1と同じ方法で
決定した。そのようにして、pDS2にはDOI合成酵
素の配列番号1に示す42kDaサブユニット遺伝子の
全体が含まれていると、分子サイズから推定された。D
OI合成酵素遺伝子の配列より、当該遺伝子は368ア
ミノ酸より成る、分子量40746Daのポリペプチド
(配列番号2)をコード化していることが判った。
【0019】(DOI合成酵素遺伝子の発現)DOI合
成酵素遺伝子の機能を確認するために、当該遺伝子の大
量発現を試みた。pDS2をテンプレートとして、40
kf(5’−GGTGGAGGATCCATATGAC
GACTAA−3’)及び40kr(5’−AAAGC
AAGCTTATCCTGGTTCATCC−3’)
(アマシャムファルマシア)をプライマーとして用い
て、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、DOI合
成酵素遺伝子を増幅した。PCRは、UITma DN
Aポリメラーゼ(ロッシュ)を用いて、遺伝子増幅PC
Rシステム9700(パーキンエルマー、アプライトバ
イオサイエンス)により行った。50μgのpDS2
DNA、60pmolの両プライマー及び0.25mM
のdNTPsを、インキュベーションバッファー中に添
加して、反応(100μl)を行った。PCRは、95
℃で1分間最初に変性を行った後に酵素を添加して、引
き続き95℃で30秒間、60℃で45秒間、72℃で
30秒間を30サイクル行い、更に72℃で7分間反応
する事により行った。PCRにより増幅された生成物を
BamHI及びHindIIIにより分解して、更にp
UC19の適切な部位中へクローン化して、得られたp
DS3を単離した。
【0020】pDS3の塩基配列を決定した後、Nde
I−HindIIIで分解する事により、挿入したDN
Aをプラスミドから切り離して、発現ベクターpET3
0b(+)のNdeI−HindIIIサイトへ結合し
た。得られたpDS4により、大腸菌BL21(DE
3)を形質転換した。pDS4を含む形質転換体を、6
00nmにおけるODが0.6に達するまで、37℃で
前培養して、その一部分を培養培地に接種した。600
nmにおけるODが0.6に達するまで37℃で震盪培
養を行い、IPTGを添加して(最終濃度0.4m
M)、培養を更に2−3時間続けた。遠心分離(400
0g、10分、4℃)により細胞を回収して、0.2m
M CoCl2 を含む50mM Tris−HClバッ
ファー(pH7.7)で洗浄した。大腸菌(pDS4)
中において発現したDOI合成酵素(組み換えDOI合
成酵素)は全可溶性タンパク質の20%にも達した。図
6はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動のパターン
であり、レーン1は分子量マーカー、レーン2はpET
30bを含む大腸菌抽出物、レーン3はIPTG誘導後
のpET30bを含む大腸菌抽出物、レーン4はpDS
4を含む大腸菌抽出物、レーン5はIPTG誘導後のp
DS4を含む大腸菌抽出物、レーン6はB.circu
lans由来の天然DOI合成酵素である。
【0021】(組み換えDOI合成酵素の活性確認)p
DS4により形質転換した大腸菌を0.2mM CoC
2 を含む50mMTris−HClバッファー(pH
7.7)に懸濁して(150ml中に、湿細胞5g)、
氷冷下(0℃)ブランソンソニファイアー250型によ
り細胞破砕(2分間、10回)を行った。細胞破砕の後
に遠心分離(12000g、30分)を行い、上清を採
種して無細胞系の酵素反応に使用した。5mlの無細胞
抽出液に、基質としてグルコース6−リン酸又は[6,
6− 22 ]−グルコース6−リン酸、5mMのNAD
+ 及び5mMのCo2+を添加して、46℃で2時間イン
キュベートして酵素反応を行った。反応生成物のO−
(4−ニトロベンジル)オキシム誘導体化を行い、薄層
クロマトグラフィーにより精製した(メルク、キーゼル
ゲルF254 )。8.4mgのグルコース6−リン酸よ
り、予期した反応産物である、約3mgのDOIのO−
(4−ニトロベンジル)オキシム誘導体が得られた。生
成物について1 H−NMR及び2 H−NMRスペクトル
により確認を行った。 1H−NMR(300MHz,C
3 OD)δ:1.90(dd,J=10.9,13.
8Hz,H−2ax)、3.19(t,J=8.8H
z,H−4)、3.51(dd,J=4.9,13.8
Hz,H−2eq)、3.3−3.4(H−3、H−
5)、4.03(d,9.0Hz,H−6)、5.25
(s)、7.58(d,8.5Hz)、8.21(d,
8.5Hz)。[6,6− 2 2 ]−グルコース6−リ
ン酸由来のDOI生成物の類似の誘導体の2 H−NMR
(61.4MHz,CH3 OH)δ:1.82、3.4
6。これらの結果より予期した反応生成物が確認され、
23kDaサブユニットの非存在下においても大腸菌発
現産物はDOI合成酵素反応を触媒し、得られたタンパ
ク質は組み換えDOI合成酵素である事が証明された。
【0022】(組み換えDOI合成酵素の精製)精製し
ている間、DOI合成酵素は硫安沈殿及び透析の条件
下、凝集する傾向を示した。また、コバルトイオンの非
存在下で50mMTris−HClバッファー中におい
て貯蔵した場合には短期間の貯蔵であっても酵素活性は
消失した。これらの結果は、組み換えDOI合成酵素は
天然の酵素と比較して、タンパク質安定性という点にお
いて異なっている。そこで、組み換え2−DOI合成酵
素の場合には、下記に示す、天然酵素と異なる精製方法
を用いた。組み換え2−DOI合成酵素は、0.2mM
CoCl2 を含む50mMTris−HClバッファ
ー(pH7.7)中において取り扱った。4℃又−75
℃で貯蔵した場合でさえも、10日間貯蔵した後には精
製した酵素の約60%が失活した。
【0023】無細胞系抽出溶液を、0.2mM CoC
2 を含む50mM Tris−HClバッファー(p
H7.7)で平衡化したDEAE−Sepharose
Fast Flowカラムにかけた。吸着したタンパ
ク質を0M NaCl(300ml)から0.4M N
aCl(300ml)のリニアグラジエントにより溶出
した。DOI合成酵素活性は、0.2MのNaCl画分
付近で検出された。活性画分をセントリプレップ−10
(アミコン)により10mlまで濃縮した。濃縮液を
0.1M NaClと0.2mM CoCl2 を含む5
0mMTris−HClバッファー(pH7.7)で平
衡化したHiLoad26/60Superdex20
0pg(FPLC)にかけて、同様に活性画分を得た。
図6のレーン7は組み換えDOI合成酵素はSDSポリ
アクリルアミドゲル電気泳動のパターンであり、42k
Daの単一のバンドを示した。表3に組み換えDOI精
製の各段階における精製率を示す。
【0024】
【表3】 組み換えDOI合成酵素の精製 段階 総タンパク量 総活性 比活性 精製ファクター 回収率 (mg) (U) (U/mg) (%) 抽出物 364 65.0 0.179 - - DEAE 84.7 57.4 0.678 3.8 88.3 Sephadex 200 45.9 49.1 1.07 6.0 75.5
【0025】(組み換えDOI合成酵素の性質)pH、
添加する金属イオン又は温度に対する、組み換えDOI
合成酵素の活性の特性を検討した。pH6.5から8.
0については50mMのMOPS−KOHバッファー、
pH7.0−9.0についてはTris−HClバッフ
ァーを用いて検討した。組み換えDOI合成酵素の活性
は、天然DOI合成酵素で用いたHPLC法にを改変し
て測定した。1μlの酵素調製液を、10μlの50m
Mグルコース6−リン酸、10μlの50mM NAD
+ 及び79μlの0.2mM CoCl2 を含む50m
MTris−HClバッファー(pH7.7、最終反応
量100μl、グルコース6−リン酸及びNAD+ の最
終濃度5mM)と混合して、46℃で5分間インキュベ
ートを行った。その後は、前に述べたHPLC法によ
り,酵素活性を測定した。組み換えDOI合成酵素の酵
素反応に及ぼすpHの影響を、図7に示す。図7より、
最大活性は、pH7.5から8.5の間で認められた。
図7において、四角の点はMOPS−KOHバッファ
ー、丸の点はTris−HClバッファーを用いて検討
した結果を示す。
【0026】酵素反応の温度条件及び温度安定性につい
て検討を行った。至適な反応温度条件については、15
℃から55℃の間で酵素反応を行う事により検討した。
図8の四角の点に示すように、5分間の酵素反応では、
NAD+ 及びCo2+を含む条件下では、55℃付近で最
大活性が認められた。20℃から60℃で5分間処理し
た後に残った酵素活性を測定する事により温度安定性を
検討したところ、図8の丸の点で示すように、50℃以
上では酵素活性が低下した。組み換えDOI合成酵素
は、50℃以上で変性してしまうものと思われる。更
に、二価金属イオン要求性について、1mMのコバル
ト、マグネシウム、マンガン、銅、鉄、カルシウム、亜
鉛及びニッケルイオンの存在下で解析を行った(表
4)。コバルトイオンの存在は組み換えDOI合成酵素
にとって必須であり、前に述べた様に、コバルトイオン
の非存在下においては組み換えDOI合成酵素を精製す
る事はできなかった。また、EDTAの存在下において
は、酵素活性は消失した。マグネシウム、カルシウム、
マンガン及び鉄は酵素活性を促進も抑制も行わなかった
が、銅及び亜鉛は酵素活性を強力に抑制した。
【0027】
【表4】 二価金属イオンが組み換えDOI合成酵素に
及ぼす影響 添加イオン 相対的Vmax 添加イオン 相対的Vmax なし 1.00 Co2+ 1 Mg2+ 1.06 Ni 0.79 Ca2+ 0.87 Cu 0.43 Mn2+ 0.93 Zn 0.05 Fe2+ 0.93 EDTA 0
【0028】(組み換えDOI合成酵素の反応速度論)
2μMの組み換えDOI合成酵素を用いて、酵素反応の
経時変化を検討した。その結果、反応開始後30分間は
一定の初速度を示した。反応開始後5分で反応を止め
て、DOI合成反応の初期速度よりラインウェーバーバ
ークプロットを行う事により、酵素反応の速度定数(K
cat 値及びKm 値)を求めた。その結果、46℃、pH
7.7におけるグルコース−6−リン酸に対するKm
は2.1X10-4M、Kcat 値は1.0s-1であり、K
cat /Km は4.8X103 -1 -1であった。また、
NADに対するKm 値は2.3X10-5Mであった。
【0029】
【発明の効果】本発明により、グルコース−6−リン酸
より2−デオキシ−シロ−イノソースを合成する反応を
触媒する2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素が精
製されて、当該酵素のアミノ酸配列、及びアミノ酸配列
をコード化する遺伝子塩基配列が与えられた。
【0030】
【配列表】 <110>出願人氏名:東京工業大学長 <120>発明の名称:2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素、アミノ酸配 列、遺伝子塩基配列 <160>配列の数:2 <210>配列番号:1 <211>配列の長さ:1107 <212>配列の型:核酸 <213>起源:Bacillus circulans SANK72073 2−デオキシ−シロ−イノソ ース合成酵素 42kDaサブユニット <400>配列 ATGACGACTA AACAAATTTG TTTTGCGGAC CGGTGTTTTA ACTTTGCATT CGGCGAACAT 60 GTTTTGGAAT CGGTTGAATC CTATATTCCC CGGGATGAAT TCGATCAATA TATCATGATT 120 TCGGACTCGG GGGTACCGGA CTCGATTGTT CATTATGCGG CCGAATACTT CGGCAAACTC 180 GCCCCTGTAC ATATTCTTCG CTTTCAGGGC GGAGAAGAAT ACAAAACACT TTCAACCGTG 240 ACAAATTTGC AAGAGCGGGC AATTGCTCTG GGAGCCAACC GAAGAACCGC TATCGTAGCG 300 GTTGGCGGAG GGTTAACCGG AAACGTTGCC GGAGTGGCGG CCGGCATGAT GTTTCGCGGG 360 ATTGCGCTTA TTCACGTTCC GACCACGTTT TTGGCGGCCT CCGATTCGGT TCTTTCGATT 420 AAGCAGGCTG TTAATTTAAC GAGCGGAAAG AACCTGGTCG GCTTTTATTA TCCGCCACGC 480 TTCGTGTTCG CCGATACCCG AATCTTGTCG GAGTCGCCGC CCCGTCAGGT GAAAGCGGGA 540 ATGTGCGAGC TGGTAAAAAA TATGCTGATT CTGGAAAACG ACAACAAGGA ATTTACAGAG 600 GATGATTTAA ATTCAGCCAA TGTGTATTCT CCGAAGCAGC TGGAGACGTT TATCAACTTC 660 TGCATATCGG CCAAAATGTC GGTATTAAGC GAAGATATTT ACGAGAAAAA GAAGGGCCTG 720 ATCTTTGAGT ACGGCCATAC GATCGGTCAT GCGATCGAGC TTGCCGAGCA GGGAGGGATC 780 ACGCACGGAG AAGCCATTGC AGTGGGCATG ATTTACGCCG CTAAAATAGC GAACCGGATG 840 AACCTGATGC CCGAACATGA CGTGTCCGCC CATTACTGGC TTTTAAATAA AATCGGGGCC 900 TTGCAGGATA TTCCGCTCAA ATCGGACCCG GATTCGATCT TCCATTATTT AATCCACGAT 960 AACAAGAGGG GCTACATTAA GCTGGATGAG GATAATTTGG GTATGATTTT ACTTAGCGGA1020 GTCGGTAAAC CGGCGATGTA TAACCAAACG CTGCTTACAC CGGTCAGAAA AACGCTCATA1080 AAAGAAGTGA TCCGGGAAGG GCTGTAA 1107 <210>配列番号:2 <211>配列の長さ:368 <212>配列の型:アミノ酸 <213>起源:Bacillus circulans SANK72073 2−デオキシ−シロ−イノソ ース合成酵素 42kDaサブユニット <400>配列 MTTKQICFAD RCFNFAFGEH VLESVESYIP RDEFDQYIMI SDSGVPDSIV HYAAEYFGKL 60 APVHILRFQG GEEYKTLSTV TNLQERAIAL GANRRTAIVA VGGGLTGNVA GVAAGMMFRG 120 IALIHVPTTF LAASDSVLSI KQAVNLTSGK NLVGFYYPPR FVFADTRILS ESPPRQVKAG 180 MCELVKNMLI LENDNKEFTE DDLNSANVYS PKQLETFINF CISAKMSVLS EDIYEKKKGL 240 IFEYGHTIGH AIELAEQGGI THGEAIAVGM IYAAKIANRM NLMPEHDVSA HYWLLNKIGA 300 LQDIPLKSDP DSIFHYLIHD NKRGYIKLDE DNLGMILLSG VGKPAMYNQT LLTPVRKTLI 360 KEVIREGL 368
【図面の簡単な説明】
【図1】2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素によ
り触媒される反応。
【図2】精製した2−デオキシ−シロ−イノソース合成
酵素のSDS−PAGEのパターン。
【図3】精製した2−デオキシ−シロ−イノソース合成
酵素のnative PAGEのパターン。
【図4】2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素活性
に及ぼす、pHの影響。
【図5】2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素活性
に及ぼす、温度の影響。
【図6】pET30b及びpDS4を含む大腸菌抽出物
の、IPTG誘導前後のSDS−PAGEのパターン、
及び精製した、天然及び組み換え2−デオキシ−シロ−
イノソース合成酵素のSDS−PAGEのパターン。
【図7】組み換え2−デオキシ−シロ−イノソース合成
酵素活性に及ぼす、pHの影響。
【図8】組み換え2−デオキシ−シロ−イノソース合成
酵素活性に及ぼす、温度の影響。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 9/54 C12R 1:19) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG) CAS ONLINE(STN) DDBJ/EMBL/GenBank

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の性質を有する2−デオキシ−シロ
    −イノソース合成酵素: (1)グルコース−6−リン酸より2−デオキシ−シロ
    −イノソースを生成する反応を触媒し; (2)42kDaと23kDaのペプチドより成る二量
    体タンパク質であり; (3)コバルトイオンの存在下において酵素活性が促進
    され; (4)鉄、亜鉛、銅イオンの存在下において酵素活性が
    抑制され; (5)NAD+ を補酵素として反応を行う。
  2. 【請求項2】 以下の(a)または(b)に示す塩基配
    列からなることを特徴とする、遺伝子。 (a)配列表の配列番号1に示す、塩基番号1−110
    7で示される塩基配列からなることを特徴とする、遺伝
    。 (b)2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素活性を
    有するポリペプチドをコードし、(a)の一部が欠失、
    置換若しくは付加された、遺伝子
  3. 【請求項3】 バチルスサーキュランスSANK720
    73の2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素42k
    Daサブユニットを暗号化する、請求項2記載の遺伝
  4. 【請求項4】 以下の(c)または(d)に示すアミノ
    酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。 (c)配列表の配列番号2に示す、アミノ酸番号1−3
    68で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とす
    る、ポリペプチド。 (d)2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素活性を
    有し、(c)の一部が欠失、置換若しくは付加された、
    ポリペプチド
  5. 【請求項5】 バチルスサーキュランスSANK720
    73の2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵素42k
    Daサブユニットに由来する、請求項4記載のポリペプ
    チド
  6. 【請求項6】 グルコース−6−リン酸を原料として、
    請求項1記載の2−デオキシ−シロ−イノソース合成酵
    素を用いた触媒反応により2−デオキシ−シロ−イノソ
    ースを製造する、製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項2記載の遺伝子を挿入した、大腸
    菌形質転換体。
  8. 【請求項8】 請求項2記載の遺伝子を大腸菌内で発現
    させる事により得られる、組み換え2−デオキシ−シロ
    −イノソース合成酵素。
  9. 【請求項9】 グルコース−6−リン酸を原料として、
    請求項8記載の組み換え2−デオキシ−シロ−イノソー
    ス合成酵素を用いた触媒反応により2−デオキシ−シロ
    −イノソースを製造する、製造方法。
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