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JP3140458B2 - 非通常ウイルスによる汚染のないグリコスフィンゴ脂質混合物の製造および精製方法 - Google Patents
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JP3140458B2 - 非通常ウイルスによる汚染のないグリコスフィンゴ脂質混合物の製造および精製方法 - Google Patents

非通常ウイルスによる汚染のないグリコスフィンゴ脂質混合物の製造および精製方法

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JP3140458B2 JP02515353A JP51535390A JP3140458B2 JP 3140458 B2 JP3140458 B2 JP 3140458B2 JP 02515353 A JP02515353 A JP 02515353A JP 51535390 A JP51535390 A JP 51535390A JP 3140458 B2 JP3140458 B2 JP 3140458B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、ガングリオシド混合物の中枢および末梢神
経系への作用に関係したその生物学的および薬理学的性
質を変えることなく、非通常の生命を脅かすウイルスに
関連した不純物を選択的に除去する方法によって得られ
る、特定のガングリオシド混合物の製造方法およびこの
ような方法によって得られる生成物に関する。
発明の背景 シアル酸を含むグリコスフィンゴ脂質であるガングリ
オシドは、哺乳動物の全ての細胞膜の普通の構成成分で
あり、神経組織に多く含まれている[Ando S.:Neuroche
m.Int.,507(1983)]。4種類のガングリオシド、即
ちGM1、GD1a、GD1bおよびGT1b[Svennerholm L.:J.Neur
ochem.10,613(1963)に従った命名]が、哺乳動物脳の
全ガングリオシド含量の80〜90%を構成する。ガングリ
オシドは形質膜の外層に特異的に局在し、このことはこ
れらが多くの生物学的活性に、例えば種々の分子の「セ
ンサー」および/または受容体として、および細胞膜を
経る情報の移転に重要な役割を果たしていることを示唆
する[Fishmanら:Science 194,906(1976)]。従っ
て、これらはニューロン成長の調節ならびに中枢および
末梢神経系の修復に重要な役割を果たしている。
ガングリオシドが、ニューロン培養物でのインビトロ
の研究によって明らかにされたような神経栄養因子との
相互作用により、および特異的な膜機序の関与により、
末梢神経系(PNS)および中枢神経系(CNS)の損傷の後
の機能的な回復に好ましい影響を与えうることについて
は実に多くの文献が存在する[Doherty P.ら:J.Neuroch
em.44,1259(1985);Skaper S.ら:Molecular Neurobiol
ogy ,173(1989)]。
特に、インビボでガングリオシドを投与すると病的状
態のPNSにおいて神経再生および機能的回復が促進され
ることが報告されている:即ち、外傷清の神経障害[Ce
ccarelli B.ら:Adv.Exp.Med.Biol.71,275,Plenum Pres
s,New York(1976);Gorio A.ら:Brain Res.,236(19
80):Gorio A.ら:Neuroscience ,417(1983)]、代
謝性の神経障害[Norido F.ら:Exp.Neurol.83,221(198
4)]および毒物性の神経障害[Di Gregorio F.ら:Canc
er Chemother.,Pharmacol.26,31(1990)]のモデルに
おいてポジティブな作用が記載されている。
CNSについては、異なる動物種の種々のニューロン系
の虚血[Cuello A.C.ら,Brain Res.376,373(1986);Ka
rpiak S.E.ら,Neurobiology,Vol.5中のCRC Critical Re
v.(1990年3月発行)]、外傷性の損傷[Toffano G.
ら,Brain Res.296,233(1984)]および神経毒損傷[Jo
hnsson J.,Dev.Brain Res.16,171(1984)]のモデルに
おいて、モノシアロガングリオシドGM1により誘導され
る回復についてポジティブな作用が広く報告されてい
る。最近になって、ガングリオシドがグルタメートによ
って誘導されるタンパク質キナーゼCの転移および活性
化を抑制しうることが見い出された[Vaccarino F.ら,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 84,8707(1987)]。この作用
は虚血損傷の状態では極めて重要である(この状態にお
いて、ニューロンの死を導く現象のカスケードの引き金
となるグルタメートなどの興奮性のアミノ酸によって果
たされる決定的な役割が報告されている)。この機序
は、損傷の周辺領域のニューロンの生存を助け、逆行性
の退化を妨げ、そして局所栄養因子に対する回復成長反
応を促進する。
これら実験的研究の結果は、ガングリオシドの臨床使
用による結果によって十分に確認されている。10年以上
にわたり、機械的損傷に由来する形態から毒性因子もし
くは欠損によって引き起こされる形態に至るまで、感染
性および炎症性障害から代謝性機能障害に至るまでのほ
とんど全ての形態の末梢性神経障害においてガングリオ
シドが治療薬物として使用されている。この薬物は、単
神経障害および多発神経障害において、感覚−運動障害
において、および自律神経系に影響を及ぼす病変におい
て、例えば頭蓋神経に影響を及ぼす多くの神経障害、例
えばベル麻痺、三叉神経痛、および帯状ヘルペスによっ
て引き起こされる神経痛において等しく有効であること
が示された。ガングリオシド、特にモノシアロガングリ
オシドは、脈管または外傷型のCNSにおける急性損傷に
関係した全ての病変において、およびこのような病変
(大脳虚血、頭蓋および脊椎損傷)の続発症において広
く用いることができる。
また、CNSにおいて証明されたこれらの修復活性は、
パーキンソン病およびアルツハイマー病などの慢性の神
経退化性の病変においてこれらを使用することを支持す
る。これらが本質的に「エンドコイド(endocoid)」
(内生の薬物)であり、ニューロン膜の天然の構成成分
であるという事実は、これらの優れた寛容性、および高
用量による長期治療においても副作用がないこと(末梢
神経障害の通常の治療法の一部において非常に多い)を
示すものである。
通常、適当なガングリオシド混合物、例えば18%〜24
%のGM1、36%〜44%のGD1a、12%〜18%のGD1bおよび1
6%〜22%のGT1bの配合の混合物、または単一のガング
リオシド分画、特にモノシアロガングリオシドGM1が、
記載されているような生物学的活性を提供する。適当な
混合物または単一分画、特にモノシアロガングリオシド
GM1などのこれらガングリオシド類は哺乳動物の脳から
抽出され、従って、末梢および中枢神経系に対してこれ
まで記載されていたこれら物質の特定の生物学的機能お
よびこれら物質の治療学的応用が得られるよう、生物学
的および化学的不純物を含まない完全に純粋な最終産物
を保証する精製法を用いることが必要である。
研究レベルでガングリオシド混合物の抽出が可能であ
ることが既知となって久しいが[Tettamantiら,Biochi
m.e Biopkys.Acta 296,160(1973);Tramsら,Biochim.e
Biopkys.Acta 60,350(1962);Bogochら,British J.Ph
arm.18,625(1962);Wiegandtら,Angew Chem.80,89(19
68);米国特許No.3,436,413;およびC.A.61,9851c,9895
d]、これら方法はいずれも非通常ウイルスに関連した
成分の除去および破壊の観点から開発されたものではな
い。この理由の1つは、この当時、脳の抽出に用いる哺
乳動物種に罹患するそのような疾患が未知であったこと
である。別の理由は、危険の可能性がある成分を特異的
に同定する試薬がなかったことであるが、今日では、分
子生物学的方法の科学的発展によって集められた新たな
知識に基づいて開発された特異的な方法によりこのよう
な試薬が利用可能になっている。
病原物質または物質群を同定することができない種類
の病的状態が発生することがある。このような病的状態
の1つは、1986年に英国で初めて報告されたウシ海綿状
脳障害(BSE)である[Wells G.ら,Vet.Record,419,198
6]。この名称は、罹患した動物の脳組織の海綿状の見
掛けに由来する。組織切片を顕微鏡で調べると、主な損
傷には広範囲なニューロン小胞が関与している。
利用可能な全ての証拠は、BSEが中枢神経系の退化性
脳障害の群に属し、その結果が間違いなく致死性であ
り、一群の非通常の感染性媒体によって引き起こされる
ことを示す[fraserら,Vet.Record 123,472(1988);Ho
peら,Nature 336,390(1988)]。また、この群には、
ヒツジおよびヤギのスクラピー、捕らえたシカが罹患す
る慢性の痩せ疾患、ミンク飼育場のミンクの感染性の脳
障害、ならびに2つのヒト疾患、即ちクル病およびクロ
イツフェルト−ヤーコプ病が含まれる。これら疾患によ
って脳に引き起こされる組織病理学的な損傷は全ての場
合に類似しており、BSEによって引き起こされる損傷と
共通点が存在する。多数の理論がこれら病因媒体、即ち
細菌でもウイルスでもなく、あらゆる他の既知生物とは
類似しておらず、従って非通常ウイルスとして知られて
いる媒体の性質に対して提出されている。感染の時から
賞状の始まりに至る長い潜伏期間の故に、これらウイル
スは「スローウイルス」としても知られている。
1986年に観察されたいくつかの例から、英国でこの病
気が広がり、流行性の比率に達した(約14,000のウシが
罹患し、毎週約250〜300の例で着実に増加した)。感染
したウシは数年間は病気の徴候を示さないが(潜伏期間
は4〜5年である)、一度症状が現れるとこの動物は急
速に悪化し、死に至る。
Central Veterinary Laboratory of British Ministr
y of Agricultureによる疫学的研究[Wilesmithら,Vet.
record.123,638(1988)]は、粉末の肉または骨の形態
で売られている他の反芻動物の加工された死骸を用いて
調製された動物飼料が感染源であることを示した。脳障
害は広範囲な動物種に伝染することができるので、これ
ら汚染された食糧によってヒツジから伝染したスクラピ
ーの原因である病因学的媒体による感染の結果がBSEで
あると仮定するのが妥当と考えられる[Morgan KL,Vet.
Record 122,445(1988)]。
この研究の結果に基づいて、英国政府は反芻動物由来
の動物タンパク質を含有する動物飼料の販売および供給
を1988年7月18日発効の政令により禁止した。
一般的な見解は、多くの因子が一緒になって英国での
突然のBSEの出現に寄与しているというものである[Che
rfas J.,Science,523(1990年2月)]。
始めに、英国でのヒツジの数が70年代後期および80年
代初期に急速に増加し、これに伴って250年以上にわた
る欧州のヒツジの風土病であるスクラピーの発生が増加
した[Pattisonら,Vet.Record 90,465(1972)]。これ
と同時に、石油危機に引き続いて、動物飼料を製造して
いる工場は死骸を加工する方法を比較的低温の系に変え
た(耐性の高いスクラピー媒体を破壊する効率が恐らく
は低い)。これら飼料の製造元の一部を除く全ては、大
豆および骨粉から過剰の脂肪を除去するための溶媒(ベ
ンゼン、ヘキサンおよびトリクロロエチレンなど)の使
用をやめた。全ての中で最も重要なことは、恐らく、生
成物を加熱して溶媒を除去するための最後の段階を結果
的にやめたことであろう。実際的には、この段階は極め
て高い温度を必要としていた。
さらに、政府の政策は飼育家がさらに多くの牛乳を生
産することを奨励しており、子牛をタンパク質に富む食
餌で飼育することにより早期に乳離れさせることを奨励
していた。これらは品質に劣っていることが多かった
が、これは肉および骨から調製した粉末がより確かなタ
ンパク質供給源である大豆および魚を用いて調製した製
品よりも安かったためである。どのようにして病気が伝
染するかを見つける研究がBSE研究の基礎である。これ
ら実験の最も重要な側面は、病原媒体の伝播に対する種
間の障壁の限界を同定することによって、いずれかの種
に対するBSE感染の危険を評価しうるということであ
る。Fraserら[Vet.Record 123,472(1988)]は、この
病気がウシからマウスに伝わりうることを示した。彼等
は、BSEで死んだウシの脳からの抽出物をマウスの脳に
接種した。すると後にマウスにこの病気が現れた。Late
r、Barlowら[Vet.Record(1990年2月3日)]は、感
染した脳でマウスを飼育することによりマウスにこの病
気を伝染させた。これが、感染した物質を食べることに
よってBSEに罹患させうることの最初の証明であった。
罹患動物の他のいずれの組織(脾臓、脊椎、リンパ組
織、乳など)もマウスにこの病気を起こすことはできな
かった。
スクラピーは母から子羊に伝染しうることが証明され
ているが、ウシにおけるBSEの病因学的媒体の垂直伝播
または水平伝播の可能性を証明するものはこれまでなか
った。
亜急性の感染性脳障害を引き起こす媒体は通常の浄化
法に対して極めて耐性が高い。この側面での利用可能な
データのほとんどはスクラピーおよびクロイツフェルト
−ヤーコプ病の媒体の不活性化に基づく研究に由来して
いる。スルラピーの病因学的媒体は温度変化に対して極
めて耐性が高い。80℃までの温度に暴露してもその感染
性はわずかに減少するのみである:しかし、さらに高い
温度は感染性を顕著に減少させる[Hunterら,J.Gen.Mic
robiol.37,251(1964)]。感染した物質の懸濁液を100
℃で1時間または118℃で10分間加熱したときに、少量
の感染性「ウイルス」が残存することがある。
最近になって、オートクレーブ中の高水蒸気圧のもと
でこれら感染性媒体を滅菌する標準を新たにする必要が
気付かれた。米国におけるクロイツフェルト−ヤーコプ
病浄化のためのオートクレーブ処理を規定する現在の標
準は132℃で1時間の処理からなり[Rosenbergら,Annal
s of Neurology 19,75(1986)]、これはスクラピーま
たはクロイツフェルト−ヤーコプ媒体を含む脳ホモジネ
ートで行った研究に基づいている[Brownら,J.of Infec
tious Diseases 153,1145(1986)]。英国におけるク
ロイツフェルト−ヤーコプ病からの浄化のためのオート
クレーブ処理の現在の標準は134〜138℃で18分間オート
クレーブ処理することからなり、これはKimberlinら[J
ournal of Neurological Science 59,355(1983)]に
よる研究を含むいくつかの研究に基づいている。
残念なことに、ウシ海綿状脳障害媒体は、通常の化学
的処理ならびに物理的処理に対して極めて耐性が高い。
ベンゼン、ヘキサン、石油およびトリクロロエチレンな
どの溶媒が抽出溶媒として使用されたが、感染性に対す
るこれらの作用はわずかしか知られていない。感染性媒
体の化学的不活性化についてはほんのわずかのデータし
か利用できないが、これは主として多数の動物と長期の
観察期間が研究に必要とされるためである。0.3%〜2.5
%の濃度の次亜塩素酸ナトリウムは、使用された生物学
的検定において感染性を大きく減少させたが、それを完
全には排除しないことが多かった[Walkerら,Am.J.Pub
l.Health 73,661(1983)]。0.25Nまでの水酸化ナトリ
ウムによる処理に関するデータは極めて一定しないが、
1Nを越える濃度では、これが調べたもの全ての中で最も
有効な化学的試薬であるようであった。また、6M〜8M尿
素による処理も極めて一定しないものであることが報告
されている。
このように、浄化についての研究結果は、感染性の大
部分は多数の異なる物理的および化学的処理によって迅
速に破壊されるが、少量の耐性感染性媒体のサブ集団の
存在が実施の上で汚染物質の滅菌を極めて困難なものに
することを示している。
BSEが「スクラピー様」の疾患であると同定されたと
きに、重要な疑問が疫学的レベルおよび分析レベルで問
われ始め、特にこの後者は感染性に関連した媒体を同定
することに照準が当てられていた。しかし、病因媒体に
関係した核酸を同定するためにこれまで為された全ての
努力は好結果をもたらすものではなかった。感染作用に
明確に関係している唯一の単離された成分は、スクラピ
ー・プライオン(prion)タンパク質(PrPSc)と呼ばれ
るシアロ糖タンパク質である。
このタンパク質で行われた遺伝的な研究は次にいくつ
かの驚くべき情報を提供した。このタンパク質のN末端
配列に従って合成されたいくつかのDNAプローブは、感
染動物の脳におけると同様、健康な動物の脳においても
同じ制限パターンを示す個々のコピーにおける染色体遺
伝子の存在を示すことを可能にした。極めて異なった種
においてさえも保存されているこの遺伝子は、見掛け分
子量33〜35.0キロダルトン(kd)を有する細胞性プライ
オンタンパク質(PrPC)と呼ばれるタンパク質をコード
しており、これがPrPScに対して特に明確な相違を示し
た: 1)PrPCはプロテアーゼに対して感受性であるが、PrP
Scは耐性である。特に、PrPCは酵素プロテイナーゼKに
よって完全に分解されるが、PrPScは約5kdのフラグメン
トにN末端のレベルで加水分解され、PrP27-30と呼ばれ
るタンパク質を生じる。この形態が感染性と同時精製さ
れ、感染性物質の調製において得られる最も量の多い成
分である。
2)PrPCおよびPrPScの両方は膜タンパク質であり、第
1のものは清浄剤による処理によって溶解するが、第2
のものはアミロイド線維状の構造にポリマー化する傾向
にある。同様の構造(スクラピー関連の原線維、SAF)
が感染した脳に見い出され、これはこの型の感染に特有
である。不活性化に体するこの感染性タンパク質の耐性
は独特なものである:例えば、これは濃タンパク溶液に
よる処理に対して、または120℃以上の温度への暴露に
対して、およびこれらの組合せもしくは別の変性剤との
組合せに対して感受性である。従って、これら海綿状脳
障害の絶対的な同定のために利用できる唯一の診断方法
は、感染した脳組織、抽出物中のSAFの存在の確認、お
よびタンパク質PrP27-30の免疫化学的同定であり、病理
学的解剖のときだけに適用できる方法である。
SAFが感染したウシ脳において同定され、PrPScの同族
体が単離され、マウスSAFに対して得た血清との反応性
が示された。さらに、最初の12アミノ酸のN末端配列は
ヒツジのPrPScとの100%の相同性を示し、ただ1つのグ
リシンの挿入によってマウス、ハムスターおよびヒトの
ものとの相違を示した。BSEが「スクラピー様」疾患で
あることが確かめられてすぐに、いくつかの重要な疑問
が疫学レベルおよび分析レベルで生じ、特にこの後者が
感染性に関係したタンパク質を同定するために充てられ
た。
これらの神経学的疾患においてなお説明されるべき全
ての側面およびBSEの予想外の出現は、この問題に考慮
を払うべき必要性を、特にウシ原料から導かれる産物の
製造に関与している者に引き起こした。
実際のところ、食品用途に保証された粗原料を医薬的
に興味ある化合物またはそれらの混合物を得るために使
用するのが十分ではないこともある。従って、感染性に
関係したタンパク質および感染性それ自体の排除を保証
する抽出法を用いて問題の産物を製造する方法を開発す
ることが必要である。感染性が活性である分画の抽出法
が、同時に、最終産物として所望の活性成分の生物学的
活性を保存するものであるべきなのは明白である。
ヒト用のこれら調製物のレベルで危険の可能性がある
他のタンパク質は、ミエリンの塩基性タンパク質(MB
P)である。
これは、ヒトおよびほとんどの脊椎動物において約1
9.5kdの分子量(Mw)を有するタンパク質である。これ
は、ヒトミエリンでは3種の分子形態で存在し、マウス
ミエリンでは6種の形態で存在し、染色体18に位置する
1個の遺伝子によってコードされ、全ミエリンタンパク
質の約30%を構成する。その正確な局所解剖学的な局在
は今なお確かではない。これは、髄鞘形成のときにだけ
乏突起膠細胞の細胞質において観察された。同一と考え
られるタンパク質が末梢神経系に存在し(プロテインP
1)、実験室動物において実験的なアレルギー性脳脊椎
炎(EAE)を誘導する末梢ミエリンの能力はそれによっ
ている。
MBPの全分子が脳炎誘発性ではなく、種によって異な
るその一部にすぎない:即ち、ウサギでの脳炎誘発性部
分はアミノ酸フラグメント64〜73であり、Lewisラット
では71〜85であり、モルモットでは113〜121であり、SJ
L/Jマウスでは89〜169である。このEAEは典型的な細胞
依存性の自己免疫疾患である:実に、これは感作された
Tリンパ球の注入によってある動物から他の動物に移す
ことができるが、血清の注入によっては移すことができ
ない。この場合、この疾患は移入されたリンパ球によっ
て維持されるが、受乳体のそれによっては維持されな
い。別の細胞依存性の自己免疫形態はアレルギー性の実
験的な神経炎(EAN)である。これも、完全フロインド
・アジバント中の末梢ミエリンの粗製ホモジネートの接
種によって高等脊椎動物の全ての種に誘導することがで
きる。この自己免疫化の主な原因である抗原は、末梢神
経系に存在するMw12.0kdを有するプロテインP2であると
考えられる。
これら調製物において考慮されるべき他の不純物はウ
シのゲノムDNAである。薬学物質として使用することが
できる生物学的に活性なタンパク質を組換えDNA法によ
って製造しうる可能性は、所望のタンパク質を発現する
細胞に帰属されるDNA残基の存在を最終産物において分
析することを必要なものにした。ヒトにおいて用いよう
としている医薬調製物中のDNAフラグメントの存在は、
これらフラグメントをゲノム中に導入する危険の問題を
引き起こし、これは遺伝型情報のコントロールされない
移転の可能性を伴う。組換えDNA法によってガングリオ
シドを得ることは今なお可能ではないが、動物由来の粗
原料を用いる抽出産物にこの型のコントロール分析法を
適用することが必要である。
最後に、インビトロおよびインビボの研究で用いるガ
ングリオシドは、非シアロガングリオシドおよびグリコ
セレブロシドなどの他の化合物を含まないものであるべ
きである。これらの物質が高濃度で存在していると、重
要かつ密接な免疫学的関係を有することがあり、また、
間違った実験考察を導くこともある。
BSEの突然の始まりおよびこれら神経学的疾患におい
て今なお明らかにされるべき他の全ての側面は、特にウ
シ原料から得られる産物の製造に関与している者によっ
て、この問題に対して考慮が払われるべき必要を引き起
こした。
上に挙げたような以前のガングリオシドの製造方法
は、この産物が、健康に害を与える可能性があることが
その当時知られていた生物学的不純物を含まない薬学的
に許容しうるものであることを必要としていた。しか
し、その後の成体ウシにおける上記異常の始まりによっ
て、上記の治療学的性質を失うことなく非通常ウイルス
媒体を確実に含まないことを特徴とする活性成分を得る
こと、これら非通常ウイルス媒体の不活性化および感染
成の完全な除去を保証する特異的な方法を使用すること
によってこれを達成すること、およびこのような媒体を
同定するための特異的な方法を使用することが必要にな
ったことが明らかである。実際には、消費用に適当であ
ると保証された粗原料を用いて医薬目的用の化合物また
はその混合物を得ることが十分でないこともある。BSE
の開始は、インビボでのその生物学的作用を考慮に入れ
て評価されなければならないことが明白であり、これは
この過程の種々段階の確認の例とみなされなければなら
ず、その結論とみなしてはならない。このインビボでの
生物学的作用の分析は、感染をPrP27-30などのある種の
タンパク質と関連させることについて科学者が今なお一
致してないので必要である。感染活性を除去する抽出法
が、同時に、活性成分の生物学的活性を無傷のまま残す
ものでなければならないことは明白であるが、これはそ
れが治療学的使用のために必須であるからである(生物
工学/薬学に関するAd hoc専門委員会:ウイルス除去お
よび不活性化方法の認可,Commission of the European
Communities,1990年3月)。科学的な研究によって、一
方ではタンパク質、化学的および生物学的不純物を含ま
ない形態で適当なガングリオシド混合物またはその単一
の分画を得ることを保証する方法が得られ、また、他方
ではスローウイルスに関係した感染性を破壊するのに効
果を示した方法が得られた。しかし、ある産物の同様の
未知の結果物を、スローウイルスとして定義しうる病原
媒体に関係した感染性のない所望の純粋かつ薬理学的に
活性な産物として、工業的スケールでも得ることができ
る方法は知られていない。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の方法を図式的に示すものである。
図2は、抗PrP27-30抗体を用い、ウエスタン・ブロッ
ト法により、本発明方法の中間段階で採取したいくつか
の試料を分析することによって得た結果を示す写真であ
る。
図3は、本発明方法の種々段階で採取したいくつかの
試料についてウシゲノムDNAを分析した結果を示す写真
である。
図4は、ウエスタン・ブロット法において抗MBP抗体
を用い、本発明方法の中間段階で採取したいくつかの試
料を分析することによって得た結果を示す写真である。
図5は、本発明方法に従って調製したガングリオシド
混合物のシリカゲル・クロマトグラフィー分析の結果を
示す写真である。
図6は、本発明に従って調製したガングリオシド混合
物の生物学的活性を示す写真である。
図7は、本発明方法の中間段階で採取した試料の抗Pr
P27-30抗体による免疫化学的分析の結果を示す写真であ
る。
発明の詳細な説明 本発明の目的は、工業生産に適用しうる有利な方法、
および種々の抽出段階の適切な配列に基づく新規な方法
によって得られる、スローウイルスが存在しないことを
特徴とする産物を提供することである。ウシ海綿状脳障
害などのスローウイルスに関係した感染性不純物を種々
の段階の間に排除する本方法は、産物それ自体の治療学
的活性を示すものである混合物の活性が変化しないまま
であることを可能にする。本方法によって得られる産物
は、ウシ脳またはその部分から得られる一定のガングリ
オシド混合物または単一の分画からなる。
本発明に係る方法は、上に記した理由から、以下の主
要な段階からなる: a)ウシ脳組織をアセトン中で脂質除去にかけ; b)アセトン沈澱物を塩化メチレン/メタノール/水酸
化ナトリウムの混合物中、30℃〜35℃の温度で少なくと
も3時間懸濁させて、疎水性物質と親水性物質を分配
し; c)この沈澱物を水/クロロホルム/メタノールおよび
水酸化ナトリウム(pH12)により、38℃〜43℃で4〜8
時間加熱することによって可溶化し; d)この沈澱物を1N水酸化ナトリウムにより、室温で少
なくとも1時間可溶化し;そして e)このガングリオシド混合物を含有する溶液を中和
し、10kdの分子量(Mw)排除の膜で透析する。
以下に限定のためではなく例示のために実施例を挙げ
る。これら実施例は、海綿状脳障害の形態の感染ウシ脳
から、または263Kスクラピー株由来の感染物質を一定量
加えた未感染ウシ脳から得たタンパク質粗原料から調製
した産物を説明するものである。
原料および方法 ガングリオシド混合物を抽出するための方法に用いた
ウシ脳は、感染動物由来の原料に帰属される組織に典型
的な原線維を組織学的な分析により示した。
製造例 実施例1 製造法の工程図を図1に示す。
粉砕し蒸留水に懸濁した感染ウシ脳(1000g)を、撹
拌しながら室温で約3時間、アセトン(300〜600ml)と
接触させた(1:5の重量/容量比)。次いで、この溶液
を、沈澱が完結するまで7℃〜4℃の温度および6000xg
で遠心した。次に、溶媒を除去し、適当なガラス容器に
入れたこの湿潤粉末に塩化メチレン/メタノール/水酸
化ナトリウムの混合物(180〜350ml)を加え、30℃〜35
℃の温度で少なくとも3時間、さらに磁気撹拌下に置い
た。これを最後に冷却し、次いで10℃、6000xgで20分間
遠心した。この液相を、4℃の温度で濾過ロートによっ
て濾過した。この液体に適切量の塩化カルシウムおよび
アセトンを加え、約30分間撹拌下に置き、10℃および60
00xgで遠心した。この沈澱物(粗原料1)を最後に一晩
乾燥させ、次いで高真空下で5時間乾燥させた。回収し
た粗原料1を水/クロロホルム/メタノールの混合物
(10〜18ml)に再懸濁した。5N NaOHを用いてそのpHを1
2近辺に調節した。この全体を4〜8時間、38℃〜43℃
に加熱し、撹拌下に置いた。この終了時点で冷却した
後、これを6N HClで中和し、必要量の水/n−ブタノール
/クロロホルムを加えた。これを15〜30分間撹拌し、2
〜4時間そのままにした。最後に、下方の有機相を捨
て、残りの水相にアセトンおよび塩化ナトリウムを加
え、これを約30分間撹拌し、15℃および6000xgで20分間
遠心した(粗原料2)。
この産物を高真空下で乾燥し、無水メタノール(6〜
15ml)に再懸濁し、次いで液を時々撹拌しながら約2時
間熱く維持した。次いで、この懸濁液を6000xgで素早く
遠心し、その上清を冷凍庫に約2時間入れた。次に、乳
白光を発する白色溶液を0℃および600xgで遠心し、そ
の沈澱を高真空下で乾燥した。この産物を1N水酸化ナト
リウム中に集め、室温で少なくとも1時間、この溶液と
接触させた。最後に、この懸濁液のpHを約9の値とし、
10kdの分子量排除を有する膜を用い、適切量の蒸留水に
対して透析した。適切量の塩化ナトリウムおよびアセト
ンを加え、5℃および6000xgで遠心し、次いで高真空下
で乾燥した(最終産物)。この試料を10mMのリン酸緩衝
液(pH7.2)に取り、121℃で30分間滅菌した(滅菌した
最終産物)。
方法の評価 先に説明したように、本発明方法の重要な側面は、望
ましくない不純物を含まない、特に非通常ウイルスを含
まないガングリオシド産物を提供することである。この
方法を評価するために、工程の種々の試料について不純
物の可能性を試験した。
生物学的/臨床的試験の方法および結果を以下に示
す。
スクラピーに対する生物学的試験 これらの実験に用いた動物はGolden Syrianハムスタ
ー(LVG/Lak)である。感染試験は、滅菌PBSで10倍希釈
した試料(0.05ml)を大脳内(i.c.)接種しておいた4
匹の乳離れさせた雌性動物の群で行った。この大脳内接
種は、26G、3/8インチの滅菌針を備えた使い捨てのガラ
ス製注射器を用いて熟練職員が行った。
20倍濃縮した滅菌最終産物をそのまま次のように用い
た: ・4.0mlを40匹の動物に大脳内注射; ・1:20希釈した3.0mlを未希釈のまま50匹の動物に大脳
内注射および22匹の動物に腹腔内注射した;腹腔内注射
の量は2.5mlであった。
これら動物について、特徴的な神経学的および臨床的
症状の始まりを12ヶ月間にわたり週2回またはそれ以上
調べた。それぞれの動物の初期症状の始まりを記録し、
動物を犠牲にし、疾患を十分に確かめた。これら動物の
脳を半分に分け、一方は10%ホルマリン中で固定し、他
方は−70℃で保存した。病理学的な診断は、疑わしい原
因で死んだ動物および神経学的疾患の徴候を示した動物
の全てにおいて行った。観察期間の終了時に全ての生存
動物を犠牲にし、これらの脳について病理学的な評価を
行った。
感染力価はReedおよびMunchの方法に従って「最終終
点」で計算し、logLD50/mlで表した。
試験した試料を以下に示すが、これらは図1に記した
産物の名称を用いている。
出発物質である16.7%(w/v)ホモジネートに対して
同次の力価/容量を確保するように計算して、以下に示
す容量の滅菌PBSに全ての試料を再懸濁した: 生物学的/臨床的試験の結果を以下の表1に挙げる。
別の評価 スクラピータンパク質PrPの測定は、ウシ由来のスク
ラピーPrPと交差反応する、ネズミ脳由来の精製タンパ
ク質類似体に対して特異的なポリクローナル抗体によっ
て行った。ウエスタン・ブロット法をこの測定に用い
た。スクラピーPrPの存在は、種々の分子量を有するタ
ンパク質標準との比較によって評価した。
MBPタンパク質の測定は、ウシ大脳組織由来の精製タ
ンパク質類似体に対して特異的なポリクローナル抗体に
よって行った。この測定に用いた方法はウエスタン・ブ
ロット法である。MBPの存在は、種々の分子量を有する
タンパク質標準との比較によって評価した。
ウシゲノムDNAの測定は、当業者には既知の方法に従
い、異なる処理段階で採取した試料についてドット・ブ
ロット法により行った。試料が有効であるとみなすため
には、スポットが異種DNAの供託物中に存在しているべ
きではない。ラジオオートグラフィーで試験した試料中
にスポットが存在しないことは、ウシゲノムDNAが存在
しないことを示すものである。
図2は、ガングリオシドの調製および精製工程のいく
つかの中間段階から得た試料を抗PrP27-30抗体による免
疫化学的分析によって測定した結果を示すものである。
分析した試料の数字による表示は、図1の精製工程図に
示したカッコ内の数字に対応している。
レーン1:数字1の試料; レーン2:数字2の試料; レーン3:数字3の試料; レーン4:数字4の試料; レーン5:数字5の試料; レーン6:最終産物; レーン7:標準分子量のタンパク質(下方に向かって、
そのkdは97.4、66.2、45.0、31.0、21.5である)。
星印を付したバンドは、検定の増幅システムに起因す
る非特異的な交差反応を示すものである。
図3は、工程の種々の段階で採取した試料のドット・
ブロット法によるウシゲノムDNAの分析を示すものであ
る。
数字と文字の交点は以下のことを示す。
標準曲線 1A−7A:ウシDNA(1mg); 1B−7B:ウシDNA(1ng); 1C−7C:ウシDNA(100pg); 1D−7D:ウシDNA(10pg); 1E−7E:ウシDNA(1pg); 1F−7F:ウシDNA(0pg)。
被験試料 2A−2F:数字1の試料; 2B :数字2の試料; 2C :数字3の試料; 2D :数字5の試料; 2E :数字6の試料; 3A :粗製の3の試料; 3B :最終産物; 3C :滅菌最終産物。
標準曲線と分析試料の各点は二重に示されている。
図4は、調製および精製工程のいくつかの中間段階か
ら得た試料の抗MBP抗体による免疫化学的分析の結果を
示すものである。試料の番号は、図1の精製工程図に示
した数字に対応する。
レーン1 :数字1の試料; レーン2 :数字2の試料; レーン3 :数字3の試料; レーン4 :数字4の試料; レーン5 :数字5の試料(粗原料1); レーン6 :粗製の2の試料; レーン7 :数字6の試料; レーン8 :粗製の3の数字の試料; レーン9 :最終産物; レーン10:滅菌最終産物。
使用したポリクローナル抗体によって認識される種々
形態のMBPをカッコ内に示す。
図5は、以下の試料(図1に示した工程に従う)のシ
リカゲル・クロマトグラフィーの結果を示すものであ
る。
レーン1:滅菌最終産物; レーン2:最終産物; レーン3:トリシアロガングリオシドGT1bの標準; レーン4:ジシアロガングリオシドGD1bの標準; レーン5:ジシアロガングリオシドGD1aの標準; レーン6:モノシアロガングリオシドGM1の標準。
図6は、本発明に従って調製したガングリオシド混合
物の末梢神経に対する生物学的活性を示すための例示写
真である(矢印は成長を示す)。
図7は、ガングリオシドの精製および調製工程のいく
つかの中間段階から採取した試料の抗PrP27-30抗体によ
る免疫化学的分析の結果を示すものである。分析した試
料の数字は、図1の精製工程図に示した数字に対応して
いる。
レーン1:1.5μg/mlのPrP27-30を加えた粗原料1の溶
液; レーン2:粗原料2の試料; レーン3:数字6の試料; レーン4:粗原料3の試料; レーン5:最終産物; レーン6:滅菌最終産物。
実施例2 感染した脳からの浄化されたホモジネートの調製 263Kスクラピー株に感染させた正味重量3.9gの4個の
ハムスター脳を蒸留水(10ml)中でホモジナイズした。
次いで、この容量を15.5mlにして25%(w/v)のホモジ
ネートを得た。この懸濁液を4℃および1800xgで40分間
遠心した。7.5mlの上清を回収し、少量づつ分け、使用
時まで−70℃で維持した。
試料の調製 感染ホモジネート(5ml)、メタノール/塩化メチレ
ン(120ml)および5.7N水酸化ナトリウム(0.71ml)
を、ウシ脳のアセトン粉末(10g)に加えた。この添加
は、水性相の全体容量を溶媒一定に保つため、および最
も適切な操作条件を得るために行った。出発溶液の最終
力価は1%(w/v)であった。この懸濁液を33℃の温度
で3時間磁気撹拌した。次いで、この液を冷却し、10℃
および6000xgで20分間遠心した。この液相をGoochロー
ト(孔サイズNo.3)により4℃の温度で濾過して溶媒の
蒸発を避けた。この段階の終了時に78mlの液相を回収し
た。この2mlを生物学的検定用に取った。この両方に適
切量の塩化カルシウムおよびアセトンを加え、室温で約
30分間磁気撹拌した後、この試料を10℃および6000xgで
10分間遠心した。この沈澱物(粗原料1)をフード中で
一晩乾燥し、次いで高真空下で2時間乾燥した。この一
方を生物学的検定用に−70℃で維持した。
反応容器から回収した粗原料1(925mg)をクロロホ
ルム/メタノール/水の混合物(18.5ml)およびホモジ
ネート(0.74ml)に再験濁して1%(w/v)の力価を得
た。5N NaOHを加えてpHを約12(リトマス紙で測定)に
調節し、この混合物を40℃で6時間磁気撹拌した。室温
まで冷却した後、この溶液を6N NClで中和し、250μl
量を生物学的検定用に取った。
この両方を適切量のn−ブタノール/クロロホルム/
水で処理し、15分間撹拌した後、これらを4時間放置し
た。最後に、下方の有機相を捨てた。残りの水性相に塩
化ナトリウムおよびアセトンを加え、室温で約30分間磁
気撹拌した後、これらを15℃および6000xgで10分間遠心
した(粗原料2)。
この産物を高真空下で乾燥し、その一部を生物学的検
定用に取り、−70℃で保存した。残りの物質を無水メタ
ノール(6.5ml)に再験濁し、50℃で2時間放置し、時
々撹拌した。この懸濁液を6000xgで素早く遠心し、その
上清を−20℃の冷凍庫中に2時間入れた。次いで、この
冷却した白色の乳白光を発する溶液を0℃および6000xg
で5分間遠心し、その沈澱を高真空下で乾燥した。この
時点での収量は産物6mgであった。次に、これを水酸化
ナトリウム(500μl)、蒸留水(460μl)およびホモ
ジネート(40μl)に再懸濁し、室温で1時間、この溶
液と接触させた。最後に、この懸濁液のpHを約9(リト
マス紙で測定)に調節し、10kdの分子量排除を有する膜
を用いて20000容量の蒸留水に対して4時間透析した。
透析後の最終容量は980μlであった。これをそれぞれ5
00μlおよび480μlの2つの部分に分けた。
この第1の部分に必要量の塩化ナトリウムおよびアセ
トンを加え、5℃および6000xgで10分間遠心した。この
試料を高真空下で乾燥した(最終産物)。
第2の部分にはホモジネート(20μl)および10xPBS
(50μl)を加え、これを121℃で30分間滅菌した(滅
菌最終産物)。
方法の評価 先の実施例1に記載したように、工程の種々段階から
採取した試料について不純物の存在の可能性を試験し
た。
被験試料および結果を以下に示す。
出発物質である1%(w/v)ホモジネートに対して同
次の力価/容量を確保するように計算して、以下に示す
容量の滅菌PBSに全ての試料を集めた: 以下の表2は生物学的検定によって得られた結果を示
すものである。
実施例3 ガングリオシド混合物の生物学的活性 ガングリオシド混合物(上記方法に従って得た)が末
梢神経系(PNS)および中枢神経系(CNS)の異常を治療
するための治療学的応用を予測させるいずれかの生物学
的活性を保持しているか否かを確認するために、一連の
実験をインビトロで行った。特に、神経芽腫細胞(N
2A)の培養物における軸索形成を調べるために、ガング
リオシドの活性をインビトロで試験した。この細胞は、
文献[Denis−Doniniら,Neuronal Development,part I
I,323,348−Academic Press,NY(1980);Leonら,dev.Ne
urosci.,108(1982)]に記載されているように、あ
る種の条件においては成熟ニューロンに特有の種々の機
能の発現を誘導することができ、従って、発生の各段階
に関係した生化学的パラメーターの定性および定量分析
を可能にする。
即ち、このモデルで行った評価(軸索形成した細胞の
割合、軸索の長さおよび相対的分枝度)は、神経系の機
能回復におけるある薬物の治療学的応用の可能性を調べ
る際の有効な手段となる。
原料および方法 細胞培養 America Cell Type Collection(Bethesda,Marylan
d)から供給されるマウスC1300細胞、クローンN2Aを、P
/G(100Uペニシリン/ml)および10%ウシ胎児血清(Ser
omedからのFCS、バッチ4−CO4)を含むDulbeccoの改良
Eagle培地(DMEM)の存在下、ウエル(24−容器)あた
り10,000細胞の濃度でプレートした。
この翌日に、培養培地を同じ容量のガングリオシド含
有の新鮮な培地に変えた(後記を参照)。この培養物を
湿気を含む大気中、5%CO2および37℃で維持した(Hae
rusインキュベーター)。次に、この培養物を定めた時
間(24時間後)に2%グルタルアルデヒドで固定した。
生成物の試験溶液の調製 ガングリオシド混合物(3つの異なるバッチ;No.1、
2、3)をクロロホルム/メタノール(2:1)に溶解
し、窒素気流中で乾燥し、所望の濃度に達するまでDMEM
+P/G+10%FCSに再懸濁した。
試験した濃度は、1x10-4M、5x10-5Mおよび1x10-5Mで
ある。
次のように4つの異なる試験を行った: ・1x10-4Mの濃度でのガングリオシド混合物(バッチNo.
1および2)の効果を調べるための3つの実験; ・試験下のガングリオシド混合物(バッチNo.3)の異な
る濃度(1x10-4、5x10-5および1x10-5M)の用量−応答
効果を調べるための1つの実験。
方法 ウエルから培地を除き、350μlのDMEM+P/G+10%FC
S±試験下の産物(上記の濃度)で置換した。
対照の培養物は、ガングリオシド混合物を加えること
なく同じ方法で処理した。次いで、この培養物を24時
間、インキュベーター内に保ち、次に2%グルタルアル
デヒドで固定し、顕微鏡下で観察した。
パラメーター 形態学的検査を行って以下について評価した: ・軸索を有する細胞の割合(%); ・軸索の長さおよび相対的な分枝度。
結果 表3に示すように、試験下の産物がN2A細胞において
軸索の形成を誘導するのに有効(1x10-4M)であること
が明確である。ガングリオシド混合物の作用は用量依存
性であり、1x10-4Mの用量のときに最大の効果を有する
(表4)。
インビトロでの生物学的活性のデータの統計学的な評
価は、異なるバッチのガングリオシド混合物の間に有意
の差が存在しないことを示す(表5)。
さらに、軸索の形態学的評価によって、ガングリオシ
ド混合物で処理された細胞が長くかつ分枝度の高い軸索
(即ち、顕著な分枝)を与えることが示される。
結論 このように、上記の観察は試験下のガングリオシド混
合物が生物学的活性を有することを確かめるものであ
り、実際に、ガングリオシドの特定の性質を保証する方
法によって得られた生成物はN2A細胞において軸索の形
成を誘導することができる。この事実は、この生成物が
末梢および中枢神経系の修復現象において有効であるこ
とを示すものである。また、危険の可能性がある非通常
ウイルスに関係した不純物を含まない本明細書記載のよ
うにして得たガングリオシド混合物を、モノシアロガン
グリオシドGM1などの個々の成分またはガングリオシド
混合物の製造用に用いることもできる。
上記の薬理学的性質に鑑みて、ガングリオシド混合物
を末梢および中枢の両神経系における多数の病変(種々
の発生原因を有する)の薬物として広く用いることがで
きる。治療することができる具体的な症状は、球後視神
経炎、動眼神経の麻痺、三叉神経痛、顔面神経の麻痺お
よびベル麻痺、ガルシン症候群、神経根炎、末梢神経の
外傷性損傷、糖尿性およびアルコール性多発神経炎、分
娩麻痺、麻痺性座骨神経痛、運動ニューロン障害、筋萎
縮側索硬化、脊髄障害性筋萎縮、進行性球麻痺、重症筋
無力症およびランバート−イートン症候群、筋ジストロ
フィー、CNSおよびPNSにおけるシナプス神経伝達の障
害、意識欠損、例えば錯乱、振とう、血栓、大脳塞栓、
大脳および脊髄外傷である。
通常の投与は、注射、筋肉内、皮下もしくは静脈内に
よるか、または経皮、肺もしくは経口経路によるが、適
切に緩衝化された水溶液中であるのが好ましい。以下に
挙げる医薬調製物の例に示したように、産物の溶液を含
むバイアルの形態で、所望により他の補助成分と共に医
薬調製物を製造することによって、その信頼性ある保存
を確保することができる。上記の非経口経路による治療
学的適用または予防適用のためには、その用量は10〜10
0mg/日の活性物質であるのが好ましい。
以下に本発明に従って調製した医薬組成物の例を挙げ
るが、これらは説明のためのみのものであって、限定の
ためのものではない。
製剤例1 1個のバイアルは以下の成分を含有している: 活性成分 ・ガングリオシドのナトリウム塩 10.0mg ・モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GM1) ・ジシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GD1a) ・ジシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GD1b) ・トリシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GT1b) 他の成分 ・リン酸水素二ナトリウム12H2O 6.0mg ・リン酸二水素ナトリウム2H2O 0.5mg ・塩化ナトリウム 16.0mg ・注射用水 2.0mlまで 製剤例2 1個のバイアルは以下の成分を含有している: 活性成分 ・ガングリオシドのナトリウム塩 20.0mg ・モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GM1) ・ジシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GD1a) ・ジシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GD1b) ・トリシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GT1b) 他の成分 ・リン酸水素二ナトリウム12H2O 6.0mg ・リン酸二水素ナトリウム2H2O 0.5mg ・塩化ナトリウム 16.0mg ・注射用水 2.0mlまで 製剤例3 1個のバイアルは以下の成分を含有している: 活性成分 ・ガングリオシドのナトリウム塩 100.0mg ・モノシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GM1) ・ジシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GD1a) ・ジシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GD1b) ・トリシアロテトラヘキソシルガングリオシド(GT1b) 他の成分 ・リン酸水素二ナトリウム12H2O 12.0mg ・リン酸二水素ナトリウム2H2O 1.0mg ・塩化ナトリウム 32.0mg ・注射用水 4.0mlまで 以上に本発明を説明したが、これが多くの態様で変化
しうることは明らかであろう。このような変法は本発明
の思想および範囲から逸脱するものとみなすべきではな
く、当業者に明らかなこれら変法の全ては以下の請求の
範囲内に含まれているものとする。
フロントページの続き (72)発明者 ロレンジ,シルバナ イタリア35100パドバ、ピアッザ・ナポ リ,17番 (56)参考文献 特開 昭61−30521(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 1/08 C07H 15/10 A61K 31/70 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガングリオシド混合物の製造方法であっ
    て、 a)ガングリオキドを含有する組織をアセトンによる脂
    質除去にかけてアセトン沈澱物を得; b)該アセトン沈澱物を、親水性物質から疎水性物質を
    分配することができる、塩化メチレン、メタノールおよ
    び水酸化ナトリウムを含む第1の溶媒混合物中に懸濁さ
    せ; c)該分配配合物を濾過して第1の液相を得; d)塩化カルシウムおよびアセトンを加えることにより
    該第1の液相を沈澱させて第1の粗原料を得; e)水、クロロホルムおよびメタノールを含む混合物中
    で該第1の粗原料を可溶化し、この可溶化した第1の粗
    原料をpH約12で加熱し; f)該加熱して可溶化した第1の粗原料を、親水性物質
    から疎水性物質を分配することができる、水、クロロホ
    ルムおよびn−ブタノールを含む第2の溶媒混合物中で
    第2の分配にかけ; g)該第2の分配混合物を分離して有機相を除去し、そ
    して水性相を残し; h)塩化ナトリウムおよびアセトンを加えることにより
    該水性相を沈澱させて第2の粗原料を得; i)該第2の粗原料をメタノール中で可溶化し、これを
    冷却して第3の粗原料を得; j)該第3の粗原料を塩基中で可溶化し; k)該可溶化した第3の粗原料を中和し;そして l)該可溶化して中和した第3の粗原料を約10kdの分子
    量排除の膜で透析してガングリオシド混合物を得る; ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】アセトン沈澱物を含む第1の溶媒混合物が
    約30〜35℃で少なくとも約3時間加熱される請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】第1の粗原料の加熱が約38〜43℃で約4〜
    8時間行われる請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】第3の粗原料の可溶化が1N水酸化ナトリウ
    ム中においてである請求項1〜3のいずれかに記載の方
    法。
  5. 【請求項5】ガングリオシドを含有する組織がウシ脳組
    織である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】得られたガングリオシド混合物を乾燥して
    ガングリオシド混合物の最終産物を得る請求項1〜5の
    いずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】ガングリオシド混合物の最終産物を緩衝液
    に懸濁させ、滅菌してガングリオシド混合物の滅菌最終
    産物を得る請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】ガングリオシド混合物の製造方法であっ
    て、 a)ウシ脳組織をアセトンによる脂質除去にかけてアセ
    トン沈澱物を得; b)該アセトン沈澱物を、塩化メチレン、メタノールお
    よび水酸化ナトリウムからなる第1の溶媒混合物中に懸
    濁させ; c)該アセトン沈澱物を含む該第1の溶媒混合物を濾過
    して第1の液相を得; d)該第1の液相を塩化カルシウムの添加によって沈澱
    させて第1の粗原料を得; e)該第1の粗原料を水、クロロホルムおよびメタノー
    ル中で可溶化し、この可溶化した第1の粗原料をpH約12
    および約38〜43℃の温度で少なくとも約4〜8時間加熱
    し; f)該加熱して可溶化した第1の粗原料を、水、n−ブ
    タノールおよびクロロホルムの混合物中で第2の分配に
    かけ; g)該第2の分配混合物を分離して有機相を除去し、そ
    して水性相を残し; h)該水性相をアセトンと塩化ナトリウムの添加および
    遠心によって沈澱させて第2の粗原料を得; i)該第2の粗原料をメタノール中で可溶化し、加熱
    し; j)該可溶化して加熱して第2の粗原料を遠心して上清
    を得; k)該上清を冷却して第3の粗原料を得; l)該第3の粗原料を水酸化ナトリウム中で約1時間可
    溶化し; m)該可溶化した第3の粗原料を中和し;そして n)該可溶化して中和した第3の粗原料を約10kdの分子
    量排除の膜で透析してガングリオシド混合物を得る; ことを特徴とする方法。
  9. 【請求項9】第3の粗原料の可溶化が1N水酸化ナトリウ
    ム中においてである請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】ガングリオシドを含有する組織がウシ脳
    組織である請求項8または9に記載の方法。
  11. 【請求項11】得られたガングリオシド混合物を乾燥し
    てガングリオシド混合物の最終産物を得る請求項8〜10
    のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】ガングリオシド混合物の最終産物を緩衝
    液に懸濁させ、滅菌してガングリオシド混合物の滅菌最
    終産物を得る請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】ガングリオシド混合物を個々のガングリ
    オシド成分に分離することをさらに包含する請求項1〜
    12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】ガングリオシド混合物からガングリオシ
    ドGM1を分離する請求項13に記載の方法。
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