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JP3167653B2 - 可溶性ガラス質材料溶射被覆部材およびその製造方法 - Google Patents
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JP3167653B2 - 可溶性ガラス質材料溶射被覆部材およびその製造方法 - Google Patents

可溶性ガラス質材料溶射被覆部材およびその製造方法

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JP3167653B2
JP3167653B2 JP24114897A JP24114897A JP3167653B2 JP 3167653 B2 JP3167653 B2 JP 3167653B2 JP 24114897 A JP24114897 A JP 24114897A JP 24114897 A JP24114897 A JP 24114897A JP 3167653 B2 JP3167653 B2 JP 3167653B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板表面に対して
直接、耐食性および耐溶融金属性に優れる可溶性ガラス
質溶射材料を、単層に被覆してなる部材およびその製造
方法に関し、とくに溶融亜鉛めっき, 溶融亜鉛−アルミ
ニウム合金めっき, および溶融アルミニウムめっきなど
の分野で用いられる各種ロール類、軸受け、スリーブ、
ブッシュ、めっき量調整用金具などの耐溶融金属用部材
として好適に用いられるものであって、耐食性にも優れ
ているので、酸, アルカリおよび溶融塩環境下などの分
野で用いられる部材としても有効である。
【0002】
【従来の技術】一般に、連続式溶融亜鉛めっき装置に
は、めっき浴中に浸漬されているシンクロール、めっき
浴中の表面近傍に配設されるサポートロール及びこれら
のロールを通過した後のめっき鋼板を案内するガイドロ
ールなどに対して、耐溶融金属用部材を用いるのが普通
である。これらの部材は、めっき浴中に浸漬されるか、
溶融亜鉛が飛散付着しやすい箇所に設置されており、ま
た溶融亜鉛が付着した高温の鋼板と接触するように使わ
れるので、次のような性質を具えることが求められてい
る。 (1) 溶融亜鉛による侵食が起こり難いこと。 (2) 通板材 (鋼板) と接触しても摩耗しにくいこと。 (3) めっき用部材としての寿命が長く低コストであるこ
と。 (4) 高温の溶融亜鉛浴中に浸漬した際の熱衝撃によく耐
えること。
【0003】このような要求に応えるために従来、シン
クロール用皮膜を例にとると、(1) 特開昭64−79356 号
公報および特開平2−125833号公報などに開示されてい
るようなCo基自溶合金の皮膜を形成したもの、(2) 特公
平3−54181 号公報および特公平4−27290 号公報など
に開示されているような、ZrO2とAl2O3 からなる酸化物
系セラミックス皮膜を溶射形成したもの、(3) 特開平4
−13857 号公報および特開平4−346640号公報などに開
示されているような、炭化物や窒化物,硼化物などの非
酸化物系セラミックスに、CrやNi, Coなどの金属を共存
させてなるサーメット溶射皮膜を形成したもの、(4) 特
開平4−13857 号公報などに開示されているような、前
記(1) と(3) の技術を組み合わせたもの、(5) さらに、
耐溶融金属を溶接肉盛した特公昭52−22934 号公報や、
Wを溶射成膜した特開昭53−128538号公報、Crを溶射成
膜した特開平4−165058号公報、などが提案されてい
る。
【0004】上記のような既知技術に対し、発明者らも
同種技術の研究開発を行なってきた。例えば、(6) 特願
昭63−49846 号(特開平1−225761号) で、WCサーメッ
トにおいて、Coを5〜28%含み、その皮膜の気孔率を1.
8 %以下、膜厚を 0.040〜0.10mm未満とした溶射皮膜、
(7) 特願昭63−192753号(特開平2−43352 号) におい
て、硼化物またはこれにCoを5〜28%含ませた材料を減
圧プラズマ溶射法によって形成したもの、(8) 特願平1
−54883 号(特開平2−236266号) において、ZrB2, Ti
B2および各種炭化物に5〜40%のTa, Nbを含ませた材料
を用い、減圧プラズマ溶射法によって、その皮膜表面粗
さRaを 0.01 〜5μm 、気孔率1.8 %以下の皮膜を形成
したもの、(9) 実願平1−124010号(実開平3−63565
号) において、炭化物を主体とするサーメット溶射皮膜
上に、化学的緻密化法によってCr2O3 を形成した皮膜、
(10) 特願平2−201187号(特開平4−88159 号) にお
いて、炭化物溶射皮膜の一部を硼化処理によって硼化物
に変化させた皮膜、(11) 特願平3−31448 号(特開平
4−254571号)において、各種炭化物、硼化物またはそ
のサーメット溶射皮膜にAlまたはAl−Zn合金を加熱拡散
することによって、耐溶融亜鉛性を向上させたもの、(1
2) 特願平3−31448 号(特開平4−254571号) におい
て、非酸化物系セラミックスの溶射皮膜にAlまたはAl−
Znを拡散浸透させたもの、(13) 特願平3−222425号
(特開平4−358055号) において、非酸化物系セラミッ
ク粉末またはこれに金属を混合してなる粉末に、Alまた
はAl−Zn合金を添加してなる溶射材料を用いて形成した
溶射皮膜、(14) 特願平3−213143号(特開平5−33113
号) において、非酸化物系セラミック粉末またはこれ
に金属を混合してなる粉末に、Al−Fe合金またはAl−Fe
−Zn合金を添加してなる溶射材料を用いて形成した溶射
皮膜、(15) 特願平3−266874号(特開平5−78801 号)
において、鋼製のロールの表面に、Al含有量22%以上
のAl−Fe合金層を形成したもの、などである。
【0005】一方、最近の耐溶融金属用溶射皮膜に対す
る要求性能は、一段と高度, 高級化指向が強くなり、溶
射皮膜の気孔部をB2O3, P2O5, SiO2等のガラス質形成化
合物によって封孔し、溶融金属の皮膜内部への侵入を極
力防止しようとする考え方が主力となり、このような技
術の例としては、(16) 特開平 6−330278号公報や特開
平 7−268594号公報などが公開されている。
【0006】発明者らも、ガラス質成分を利用する耐溶
融金属用溶射皮膜についての研究を続け、これまでに、
酸化物系および非酸化物系サーメット溶射皮膜をアンダ
ーコートとするか、これらの溶射皮膜上にガラス質材料
やほうろう質材料を被覆した耐溶融金属用溶射皮膜を開
発し、特開平9−41118 号公報、特願平7-48639 号とし
て提案してきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、発明者ら
の最近の研究では、上掲の溶射皮膜が有する耐溶融金属
性に関し、なお解決すべき問題点が残されていることが
わかった。例えば、 (1) 大気中で成膜した溶射皮膜には、必ず気孔が存在す
るとともに酸化物が混在する。このため、溶射皮膜材料
が、溶融金属と冶金反応を起こさない物質であっても、
この気孔部を通って溶融金属が内部へ侵入し、母材金属
と反応することによって、皮膜を根底から剥離, 破壊す
る。 (2) また、溶融アルミニウムのように、酸化物生成自由
エネルギーの小さい金属は、皮膜中に含まれている酸化
物(溶射材料が溶射熱源中で酸化してそのまま皮膜中に
含まれているもの)を還元するため、気孔を拡大する一
方、還元して生成した金属とも冶金反応を起こして体積
変化を招き、皮膜を破壊する。 (3) 耐溶融金属用溶射皮膜として、WC−Coで代表される
炭化物サーメットなどが使われているが、この溶射皮膜
中に含まれている金属成分に溶融金属が付着したり、冶
金的に反応する場合、ドロス成分の付着を招き、最終的
にはめっき鋼板の品質を低下させることとなる。 (4) 溶融金属浴中で使用される溶射部材は、すべて高温
環境中で使用されるので、耐熱性と熱衝撃にも強い抵抗
を有することが必要である。 (5) 溶射皮膜の気孔部をガラス質材料で封孔することに
よって、溶融金属の内部侵入を防ごうとする技術では、
試験片程度の小さい面積ではほぼ完全な封孔処理は行う
ことができるが、大面積の実機浸漬用ロールに対しては
未だに十分とは言いがたい状況にある。 (6) これに対し、溶射皮膜上にガラス質材料をライニン
グ法や溶射法によって厚く成膜する方法では、欠陥の発
生率は低いが、コストアップとなる欠点があった。
【0008】本発明の主たる目的は、溶融金属用部材と
して好適に用いられる耐食性および耐熱衝撃性に優れる
皮膜を有する鋼部材、とくに耐溶融金属性に優れたガラ
ス質溶射皮膜もしくはガラス質材料中に、酸化物系, 非
酸化物系のセラミックスもしくはそれらのサーメットの
粒子を含む複合ガラス質材料を溶射被覆した鋼部材を提
供することにある。また、本発明の他の目的は、溶射皮
膜の剥離や破壊に対して抵抗力が大きいうえ、たとえ強
度的に強い機械的衝撃を受けて微小な割れが発生して
も、簡単に補修可能なガラス質溶射皮膜を提案すること
にある。本発明の他の目的は、アンダーコートを必要と
せず、基材表面に直に可溶性ガラス質材料もしくはセラ
ミックス, サーメット粒子を含む可溶性ガラス質複合材
料を単層で成膜し、そして該皮膜に水もしくはアルカリ
水溶液を噴霧, 塗布などの方法によって濡らし、溶射皮
膜の気孔を簡単に封孔し、必要に応じてさらに加熱する
ことによって、低コストの耐溶融金属用溶射皮膜を提案
することにある。本発明の他の目的は、基材表面に直に
完全な無気孔状態の溶射皮膜を形成することにより、溶
融金属はもとより酸、アルカリ、硫酸塩、炭酸塩、水酸
化物、塩化物、硝酸塩などを含む水溶液、溶融塩に対し
ても優れた耐食性を示す鋼鉄製基材保護用溶射皮膜を提
案することである。本発明のさらに他の目的は、可溶性
ガラス質溶射皮膜を水分との共存下において二酸化炭素
ガスと作用させることにより、ガスと接触する可溶性ガ
ラス質溶射皮膜の表面に可溶性ガラス質成分の炭酸塩
(炭酸化合物) の層を生成させることによって、緻密化
と同時に封孔した溶射皮膜を提案する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述のような課題を解決
するものとして本発明は、鋼鉄製基材の表面に直に、
水, アルコール類, 中性塩水溶液, アルカリ性もしくは
酸性の水溶液のいずれかに対して溶出する性質を示す可
溶性ガラス質溶射皮膜が、50〜1500μmの厚さに形成さ
れており、かつその溶射皮膜は、水, アルコール類なら
びに前記水溶液による封孔処理が施されていることを特
徴とする可溶性ガラス質材料溶射被覆部材を提案する。
【0010】 本発明において、上記可溶性ガラス質
溶射皮膜は、水, アルコール類, 中性塩水溶液, アルカ
リ性もしくは酸性の水溶液のいずれかに対して溶出する
性質を示す可溶性ガラス質材料、または該可溶性ガラス
質材料95〜5wt%と、酸化物系もしくは非酸化物系のセ
ラミックスまたはそれらのサーメットから選ばれるいず
れか1種以上の強化材料を5〜95wt%混合してなる可溶
性ガラス質複合溶射材料を、厚さが30〜1000μmの範囲
内となるように溶射して形成されたものであることが好
ましい。また、上記可溶性ガラス質材料が、少なくとも
Li2O, B2O3を含み残部がSiO2からなることが好ましい。 本発明において、上記可溶性ガラス質溶射皮膜のガ
ラス質成分が、水, アルコール類, 中性塩水溶液, pH3
以上のアルカリもしくは酸性の水溶液のいずれかに対し
て溶出する性質のある、SiO2, Na2O, K2O, B2O3, MgO,
CaO, Li2O, SrO, CoO, Al2O3, Cr2O3 , MnO2, TiO2およ
びZnO のなかから選ばれる2種以上の酸化物を主成分と
するガラス, ガラスセラミックス, ほうろう質成分のい
ずれかの材料であることが好ましい。 本発明において、鋼鉄製基材の表面に直に形成した
可溶性ガラス質溶射皮膜は、線膨張係数が5〜14×10-6
/℃、融点が 500〜750 ℃の範囲にあることが好まし
い。 本発明において、上記可溶性ガラス質溶射皮膜は、
その表面に炭酸化合物層を有することが好ましい。
【0011】次に、本発明は、鋼鉄製基材の表面に直
に、可溶性ガラス質溶射皮膜を形成するに際し、基材温
度を予め 200〜500 ℃に加熱した後、可溶性ガラス質材
料を溶射し、その後、水, アルコール類, 中性塩水溶
液, 酸性もしくはアルカリ性の水溶液を用いて封孔処理
することを特徴とする可溶性ガラス質材料溶射被覆部材
の製造方法を提案する。
【0012】また、本発明は、鋼鉄製基材の表面に直
に、可溶性ガラス質溶射皮膜を形成するに際し、表面が
200 ℃未満の温度の基材表面に直接、可溶性ガラス質材
料を溶射し、次いで可溶性ガラス質溶射皮膜を成膜した
後の部材を 400〜850 ℃, 0.1〜5時間の条件で加熱処
理し、さらにその後、水, アルコール類, 中性塩水溶
液, 酸性もしくはアルカリ性の水溶液を用いて封孔処理
することを特徴とする可溶性ガラス質材料溶射被覆部材
の製造方法を提案する。
【0013】また本発明は、鋼鉄製基材の表面に直に、
可溶性ガラス質溶射皮膜を形成するに際し、その基材温
度を予め 200〜500 ℃に加熱し、その基材表面に直接、
可溶性ガラス質材料を溶射し、その後、このガラス質溶
射皮膜を成膜した後の部材を400〜850 ℃、0.1 〜5時
間の条件で加熱処理し、さらにその後、水, アルコール
類, 中性塩水溶液, 酸性もしくはアルカリ性の水溶液を
用いて封孔処理することを特徴とする可溶性ガラス質材
料溶射被覆部材の製造方法を提案する。
【0014】本発明において、上記可溶性ガラス質材料
は、少なくともLi2O, B2O3を含み残部がSiO2からなるも
のを用いることが好ましい。本発明において、鋼鉄製基
材の表面に直に形成した可溶性ガラス質溶射皮膜につい
て、さらにそのままの状態もしくは一旦加熱した後、
水, アルコール類およびアルカリ性水溶液のいずれかを
噴霧, 塗布またはそれらの液体中に浸漬することによっ
て、前記溶射皮膜中のガラス質成分を溶出させ、その
後、水分を加熱除去して前記溶射皮膜の封孔を行うこと
が好ましい。本発明において、上記可溶性ガラス質材料
として、水, アルコール, アルカリ性もしくは酸性の水
溶液のいずれかに可溶性のSiO2, Na2O, K2O, B2O3, Mg
O, CaO, Li2O, SrO, CoO, Al2O3, Cr2O3 ,MnO2, TiO2
およびZnO のなかから選ばれる2種以上の酸化物を主成
分とするガラス, ガラスセラミックス, ほうろう質成分
のいずれかを用いることが好ましい。本発明において、
可溶性ガラス質材料として、水, アルコール, アルカリ
性もしくは酸性の水溶液のいずれかに可溶性のSiO2, Na
2O, K2O, B2O3, MgO, CaO, Li2O, SrO, CoO, Al2O3, Cr
2O3 ,MnO2, TiO2 およびZnO のなかから選ばれる2種以
上の酸化物を主成分とするガラス, ガラスセラミック
ス, ほうろう質成分のいずれかを95〜5wt%と、酸化物
系もしくは非酸化物系セラミックスまたはそれらのサー
メットのいずれか少なくとも1種を5〜95wt%混合して
なる複合溶射材料を用いることが好ましい。本発明にお
いて、鋼鉄製基材の表面に直に形成する可溶性ガラス質
溶射皮膜に含まれている酸化物系, 非酸化物系セラミッ
クスもしくはこれらのサーメットなどの粉末粒子の混合
形態が、均一分散、段階的可変分散もしくは漸変的可変
分散のいずれかになるように施工することが好ましい。
本発明において、鋼鉄製基材の表面に直に形成した可溶
性ガラス質溶射皮膜を、さらに水分の存在下において二
酸化炭素ガスに接触させることにより、その二酸化炭素
ガスと接触する可溶性ガラス質溶射皮膜の少なくとも表
面を炭酸塩化させて炭酸化合物層を形成することが好ま
しい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成の詳細につい
て、鋼鉄製基材の表面に、耐溶融金属性に優れた水, ア
ルコール, アルカリ性もしくは酸性の水溶液に対して溶
出する性質を示す可溶性ガラス質溶射皮膜 (ガラス質材
料単体および酸化物系もしくは非酸化物系セラミックス
およびそれらのサーメットなどの粉体を含むガラス質複
合溶射皮膜) の形成工程に従って説明する。
【0016】(1) 可溶性ガラス質材料のみによる溶射皮
膜の形成 鋼鉄製基材の表面を脱脂し、グリットブラストにて粗面
化処理し、次いで、処理後の基材表面に可溶性ガラス質
材料 (粉末) のみを溶射して溶射皮膜を形成する。この
溶射法による皮膜の形成は、常温でも可能であるが、で
きれば鋼鉄製基材を 200〜500 ℃の温度に予熱すること
が望ましい。なお、基材を大気中で予熱することによっ
て、その表面に薄い酸化皮膜が生成しても、アルカリ金
属およびアルカリ土類金属の酸化物とは強い親和力をも
っているので、可溶性ガラス質溶射皮膜の密着性が低下
することはない。
【0017】可溶性ガラス質溶射皮膜を形成した後、そ
の溶射皮膜を電気炉や可燃性ガスの燃焼炎を用いて 400
〜850 ℃、0.1 〜5時間加熱すると、可溶性ガラス質溶
射皮膜に存在する微小な割れや空気を含む気孔などが消
滅して、緻密な皮膜となるので好都合である。
【0018】とくに、本発明においては、室温〜200 ℃
未満の基材表面に溶射したり、基材を予め200 〜500 ℃
に加熱した後溶射して成膜した可溶性ガラス質溶射皮膜
は、水, アルコール類, 中性塩水溶液, アルカリ性もし
くは酸性の水溶液を噴霧したり、これらを刷毛で塗るこ
とによってマトリックスのガラス質成分を一部溶解して
欠陥を補修した点に特徴がある。すなわち、該溶射皮膜
には、局部的に微小な割れがあったり、溶射皮膜に傷が
あったりするのであり、また、目視によっては欠陥は認
められないものの、完全には無気孔ではない溶射皮膜が
要求されるような場合にこのような封孔処理が有効であ
る。
【0019】本発明に特有のこのような封孔処理は、後
述するように、本発明で用いる溶射用ガラス質材料が、
水分, アルコール, 中性塩水溶液、アルカリもしくは酸
性水溶液に溶解する性質を利用したものである。このよ
うにして可溶性ガラス質溶射皮膜に対し、水, アルコー
ル類, 中性塩水溶液, アルカリもしくは酸性の水溶液な
どを塗布することによって封孔したものを、さらに 110
℃以上の温度に加熱すると、水分が蒸発するとともに、
ガラス質が緻密化され、さらに水に対する溶解度が低下
する傾向があるので、ガラス質本来の皮膜性能を一層効
果的に発揮させることができる。
【0020】本発明において、基材表面に直接形成する
可溶性ガラス質溶射皮膜の厚さは50〜1500μmの範囲が
よく、特に 100〜 500μmが好適である。この皮膜の厚
さが50μmより薄いと、耐溶融金属浴中で使用したとき
の寿命が短く、一方、1500μmより厚い場合と経済的に
不利となるほか、熱衝撃性が低下する傾向がある。
【0021】次に、本発明において、基材表面に直に形
成する可溶性ガラス質溶射皮膜について詳述する。上記
可溶性ガラス質溶射皮膜 (以下、可溶性ガラス質溶射皮
膜と言うときは、いわゆる“ほうろう”を含めて言う)
の特徴の一つは、その線膨張係数が5〜14×10-6/℃の
範囲のものにしたことにある。この理由は、鋼鉄製基材
は一般に、その線膨張係数が10〜18×10-6/℃の範囲に
あり、かかる基材にアンダーコートを省略して、可溶性
ガラス質溶射皮膜を直接形成する場合、この皮膜は5〜
14×10-6/℃の線膨張係数であれば成膜後に急激な熱的
な変化を受けても、健全な状態を維持できるからであ
る。
【0022】可溶性ガラス質溶射皮膜の線膨張係数を5
〜14×10-6/℃の範囲に限定したもう一つの理由は、後
述するように、ガラス質をマトリックスとし、この中に
酸化物、非酸化物 (耐火物, 硼化物, 窒化物, 珪化物な
ど) 粉末を添加混合した複合溶射皮膜を形成した場合、
これらの添加粒子の線膨張係数もほぼ同じ範囲内にある
ため、かかる複合溶射皮膜を実環境下で使用する場合、
ガラス質マトリックスと添加セラミックス粒子との接触
界面の融合状態が維持され、微小亀裂の発生を防止する
ことができるからである。
【0023】上記可溶性ガラス質溶射皮膜の線膨張係数
を5〜14×10-6/℃の範囲に限定したさらにもう一つの
理由は、線膨張係数が5×10-6/℃未満のガラス質材料
では、これを溶射法によって成膜することが困難なう
え、たとえ成膜できたとしても、僅かな温度変化によっ
てもガラス質材料部分に微細な亀裂が発生するからであ
る。一方、この線膨張係数が14×10-6/℃を超えるガラ
ス質材料は、工業的に製造が困難だからである。
【0024】上記ガラス質材料, ほうろうなどの線膨張
係数の調整は、主としてガラス質材料中のSiO2, K2O ,
Na2O, Li2Oの含有量を制御することによって行う。一般
に、SiO2含有量を多くすると線膨張係数が小さくなり、
アルカリ成分を多くすると同係数が大きくなる。
【0025】また、ガラス質溶射皮膜のさらに他の特徴
は、ガラス質材料の融点が 500〜750 ℃の範囲内のガラ
ス質材料を使用することにある。この温度範囲のガラス
質材料であれば、 200〜500 ℃に予熱した鋼鉄製基材と
のなじみがよく、また溶射成膜後 400〜850 ℃に加熱し
た場合にもよく軟化して溶射皮膜の成膜直後に残存して
いる気孔を消滅させることができる。ここで、ガラス質
材料の融点が 500℃未満のガラスでは、溶融金属中では
使用ができず、一方 750℃超のガラス質材料は線膨張係
数が5×10-6/℃未満となるため、本発明で用いるガラ
ス質材料としては適当でない。
【0026】本発明において、水, アルコール類, 中性
塩水溶液, アルカリもしくは酸性の水溶液に溶出する性
質を有する可溶性ガラス質材料とは、元素の周期律表で
区分すると、アルカリ金属 (I価) , 亜鉛族を含むアル
カリ土類金属 (II価) , 土類金属族を含む稀金属 (III
価) および炭素族を含む稀金属 (IV価) の化合物が好適
である。
【0027】なお、上記ガラス質材料 (粉末) として
は、具体的には次のような化合物を主成分とするものが
有利に使用できる。 (a) ガラス質材料:Na2O, K2O, BaO, B2O3, SiO2, MgO,
CaO, PbO, Li2O, SrO,SnO2などを主成分とするもの (b) ほうろう材料:天然の長石, 天然の珪石, ソーダ灰
(Na2CO3), 硼砂(Na2B4O7) などを原料とし、SiO2, Al2O
3, B2O3, CaF, Na2O, K2O を主成分とし、微量成分とし
て CoO, MnO, NiO, TiO2, ZnO などを添加したもの
【0028】また、本発明において、基材表面に直に被
覆形成した可溶性ガラス質溶射皮膜は、次に示すような
液体によって溶出する性質を持っていることが必要であ
る。それは、溶出成分は、一般に粘度が高く、溶射皮膜
の気孔部に残留するものが多いので、溶射皮膜を乾燥さ
せると、粘稠な溶出成分が恰も封孔剤のような作用を示
して気孔を充填することとなるからである。このような
作用機構を示すものを列挙すれば次の通りである。(1)
水:純水, 水道水, 工業用水など (2) アルコール類:エチルアルコール, メチルアルコー
ル (工業用アルコール), プロピルアルコール, イソプ
ロピルアルコール, グリセリン (3) アルカリ水溶液:LiOH, KOH, NaOH, NaHCO3, Na
2O3, Na3PO4, Na2B2O7, Ba(OH)2, Ca(OH)2, CaCO3, Sr
(OH)2 (4) 酸性塩水溶液:FeCl, FeCl3, FeSO4 (但し、PH>3の
もの) (5) 中性塩水溶液:NaCl, Na2SO4, NaNO3, KCl, K2SO4,
KNO3
【0029】このように、中性塩を含む各水溶液に対し
ても可溶性ガラス質成分は溶出現象を示すが、その内容
を化学的に考察すると、この場合でもガラス質は溶媒と
しての水に溶出しており、溶質とは関係がないことがう
かがえる。したがって、本文中に記載する水の意味は、
中性塩, 酸性塩, 塩基性塩などを含む水をも包含してい
るものである。
【0030】以上のほか、本発明におけるガラス質溶射
皮膜は、HCl, H2SO4, HNO3, CH3COOH(酢酸) などの無機
および有機酸にも溶出するが、このような酸性水溶液に
溶出するガラス質成分は、多くの場合、粘稠性がないた
め、水やアルカリ性水溶液に接したときほどの封孔作用
を示さない傾向がある。したがって、このような環境で
使用する場合には、SiO2含有量の多いガラス質材料を用
いるとともに溶射成膜後には加熱処理を行うことが好ま
しいと言える。
【0031】以上のガラス質材料の溶射用材料粉末の粒
径は、10〜150 μmの範囲内の大きさのものが使用で
き、特に30〜90μmのものが好適である。それは、粒径
が10μmよりも小さいと、溶射熱源中において加熱され
て飛散する確率が高く、皮膜として付着する率( 歩留)
が小さくなる。一方、 150μmよりも大きい粒子では、
セラミックス粒子との混合状態が悪いうえ、成膜した際
に気孔が大きくかつ多いため、燃焼を行っても気孔の消
滅に長時間を要し、コストアップを招くこととなるので
得策でないからである。
【0032】(2) セラミックスやサーメットによって強
化した可溶性ガラス質溶射皮膜の形成 鋼鉄製基材の表面を脱脂し、ブラスト処理による粗面化
を行った後、可溶性ガラス質材料 (粉末) 中に、下記の
酸化物系もしくは非酸化物系のセラミックス、またはそ
れらのサーメットなどの強化材料粉末を単独または2種
以上添加した複合溶射材料を溶射する。この複合溶射材
料による溶射皮膜もまた、鋼鉄製基材の表面に直接成膜
するが、必要に応じ、上述したガラス質溶射皮膜上に形
成してもよい。 (A) 酸化物系セラミックス:Al2O3, TiO2, MgO, ZrO2,
Ta2O5, Nb2O5, SiO2, Cr 2O3, NiO (B) 非酸化物系セラミックス:WC, Cr3C2, NbC, TaC, H
fC, MoC, TiC, ZrC などの炭化物、NiB2, CrB2, W2B5,
TiB2, ZrB2, NbB2, TaB2などの硼化物、TiN, VN,NbN, T
aN, HfN, ZrN, BN, Si3N4, CrN などの窒化物 (C) サーメット用金属 (上記(A) もしくは(B) に含ませ
る金属) :Ni, Fe, Mo,Cr, Co, Ti, Ta, Nb, AlおよびW
と、これらの合金
【0033】これらのセラミックス, サーメットなどの
強化材料粉末は、ガラス質溶射皮膜の強度や耐磨耗性を
向上させるために使用するものであるから、ガラス質材
料からなるマトリックス中によく分散させることが必要
である。このため、これらの材料の粒子は平均粒径1〜
80μmのものがよい。その理由は、80μmより大きいと
ガラス質材料との融合性が悪く、1 μmより小さい場合
にはその取り扱いが困難になるからである。
【0034】さて、本発明において、可溶性ガラス質溶
射皮膜を形成するには、プラズマおよび可燃性ガスの燃
焼炎を熱源とする溶射法を用いて施工することができ、
必要に応じ皮膜形成後、電気炉などで 400〜850 ℃で
0.1〜5 時間加熱すると、基材との密着性のよい緻密な
皮膜となる。
【0035】なお、セラミックス等の粒子を含む複合溶
射材料を用いた溶射皮膜は、30〜1000μmの厚さに形成
する。それは、この厚さが30μmより薄いと複合ガラス
質溶射皮膜としての機能が不十分となり、一方1000μm
よりも厚くなると、複合ガラス質溶射皮膜としての機能
は保持していても、成膜に長時間を要し、コストアップ
となるので得策でない。
【0036】複合溶射材料中のセラミックスの粉末とガ
ラス質材料の粉末との混合割合は、セラミックス等を5
〜95wt%、ガラス質材料を95〜5wt%とする。この理由
は、セラミックスの混合割合が5%より少ないと、骨材
としての機能が不足し、一方、セラミックスが95%以上
だとガラス質材料の特質が十分に発揮できない。
【0037】なお、混合する両者の比重差が大きい場
合、たとえば、タングステンカーバイド (比重:15) と
ガラス質材料 (比重:4.5)を混合して普通に溶射する
と、皮膜中の両者の混合割合は粉末状態の時の割合と溶
射成膜の場合とでは相当異なる。したがって、このよう
な場合は、メカニカルアロイング法や加熱焼結法または
造粒法などによって、両成分をあらかじめ結合させた溶
射材料を調整し、これを溶射するようにすればよい。
【0038】図1(a) は、ガラス質溶射皮膜のみの例で
あり、図1(b) はセラミックス粒子がガラス質材料 (マ
トリックス) 中に均一分散した状態のセラミックス強化
ガラス質溶射皮膜の例である。図1(c) は、セラミック
ス粒子の含有量が異なる皮膜(2-1, 2-2, 2-3) を段階的
に溶射した段階的可変分散皮膜の例であり、皮膜の表面
側ほどセラミックス粒子含有量が少なくなっているが、
必要に応じその逆組成の構造とすることもできる。図1
(d) は、図1(c) のセラミックス粒子の含有量の変化を
見掛け上連続的に変化させた漸次的可変分散とした溶射
皮膜の例であり、この場合にもセラミックス粒子の含有
量を逆組成の構造とすることができる。なお、図におい
て、1は被処理基体、2はガラス質溶射皮膜、3はセラ
ミックス粒子、4はガラス質マトリックスを示す。
【0039】上述したようにして形成された可溶性ガラ
ス質溶射皮膜は、マトリックスであるガラス質材料の部
分で、主として水分, 酸, アルカリ, 海水などの腐食成
分の侵入を防ぎ、一方、骨材として添加したセラミック
ス粒子が皮膜の機械的性質の向上を図る。特に、部材が
溶融めっき浴中ロールなどのように高温(450〜630 ℃)
で使用される場合には、基材表面に形成した溶射皮膜中
のガラス質材料は軟化して耐摩耗性が甚だしく低下す
る。この点、セラミックス粒子は上記の温度では室温と
同じ高強度があり、それゆえに複合溶射皮膜全体として
は優れた耐摩耗性を発揮することとなる。しかも、この
溶射皮膜を、ガラス質材料の融点以上に加熱した場合
に、溶融ガラスの流動を防ぐ作用がある。
【0040】(3) 可溶性ガラス質溶射皮膜の炭酸塩によ
る改質 発明者らの知見によると、鋼鉄製基材の表面に形成した
可溶性ガラス質溶射皮膜を、水分存在下において二酸化
炭素ガスと反応させると、ガラス質を構成する各種のア
ルカリ元素が下記のような化学反応によって炭酸塩に変
化することがわかった。そこで、本発明においては、前
記化学反応を利用して、可溶性ガラス質溶射皮膜, とく
にこの溶射皮膜中に存在する気孔部などに侵入させてこ
の部分を炭酸塩に変化させることにより、炭酸化合物の
層を生成させる。これを化学反応式で示すと次の通りで
ある。 MO+CO2 → MCO3 (ここで、Mは、ガラス質を構成するアルカリ性を示す
金属元素、例えば、Li,K,Na, Sr, Ca, Mg, Baなどで
ある。)
【0041】上記化学反応は、空気中に溶射皮膜を放置
していても、空気中の湿分と微量の二酸化炭素ガスによ
って徐々に進行する可能性はあるが、工業的にはドライ
アイス, 炭酸ガスボンベから供給するガスによって反応
させることが望ましい。さらにこの化学反応は、水分を
共存させておくと、可溶性ガラス質溶射皮膜構成成分が
水に溶解して水酸化物 (MOH)を生成するので、この
ような水酸化物に対して二酸化炭素ガスを作用させる
と、炭酸塩生成の反応が迅速に行われる。 MO+H2 O → M(OH)2 M(OH)2+CO2 → MCO3 +H2
【0042】なお、ここで生成するH2O は、110 ℃以上
の温度に維持すると蒸発するので、炭酸塩のみが可溶性
ガラス質溶射皮膜上に残留することとなる。
【0043】
【実施例】
実施例1 この実施例は、鋼鉄製基材上に形成した可溶性ガラス質
溶射皮膜、およびガラス質溶射材料中に酸化物, 炭化物
などの硬質粉末を添加含有させたガラス質複合強化溶射
皮膜の貫通気孔の有無とその封孔処理の効果について調
べたものである。 1.供試基材 一般構造用鋼板(SS400) を幅50mm、長100 mm、厚さ5mm
の寸法に仕上げたものを用意し、これを脱脂、ブラスト
処理したものを基材とした。 2.溶射皮膜材料 2-1. 本発明に適合する溶射皮膜 ガラス質材料のみからなる溶射皮膜用材料 (単体)
の組成 (wt%) a.17Li2O-9B2O3-4Al2O3 -2SrO-CaO-残SiO2 b.25Na2O-10B2O3-5CaO-11Li2O-残SiO2 複合溶射皮膜用材料 (複合) の組成 (wt%) c.aのガラス質材料にAl2O3 を10%添加したもの d.bのガラス質材料にCr3C2 を8%添加したもの 上記Al2O3 , Cr3C2 の粒径は10〜90μmの範囲にあり、
それぞれ造粒法によってガラス質と一体化して溶射材料
とした。 2-2. 比較例の溶射皮膜 (wt%) e.アンダーコートとして80Ni-20Cr を80μm厚に溶射
し、その上にAl2O3 を100 μm厚に施工 f.アンダーコートとして18Cr-8 Ni ステンレス鋼を80
μm厚に溶射し、その上に20Ni-7Cr- Cr3C2 を100 μm
厚に施工 2-3. 溶射法と本発明の溶射皮膜厚さとの関係 供試した溶射皮膜は、全てプラズマ溶射法によって施工
し、本発明に適合する皮膜の厚さは100 μmに統一し
た。また、基材は、300 ℃に予熱して成膜した。 2-4. 溶射皮膜の封孔処理 本発明に適合するガラス質材料のみからなる溶射皮膜、
セラミックスなどを添加した材料を用いたガラス質複合
溶射皮膜とも皮膜の成膜後、イオン交換水を皮膜全面に
わたって霧吹きで濡らした後、200 ℃×30分間乾燥し
た。一方、比較例の溶射皮膜については、市販の珪素樹
脂系塗料の塗布を追加した。
【0044】2-5. 溶射皮膜の貫通気孔の有無の判定方
法 溶射皮膜の貫通気孔を非破壊的に直接判定する方法がな
いため、供試皮膜をJIS Z 2371 (1988) 塩水噴霧試験方
法によって24時間の腐食試験を行った。すなわち、貫通
気孔を有する皮膜では、塩水が気孔部を通って基材に達
し、これを腐食することによって気孔部に赤さびが発生
する現象を利用し、貫通気孔の有無を判定することとし
た。
【0045】2-6. 試験結果 試験結果を表1に整理して示した。この試験結果から明
らかなように、比較例として示したアンダーコートを有
する多層セラミックス溶射皮膜 (No.9〜14) では、溶射
のまま (No.9,12)はもとより水を噴霧 (No.10, 13)した
ものは、すべて皮膜全面にわたって赤さびが発生してい
ることが確認された。これは、溶射皮膜特有の気孔が全
面にわたって存在していることを示しており、耐食性に
乏しい原因となっている。市販の珪素樹脂塗料を塗布
(No.11, 14)することによって貫通気孔がなくなり、耐
食性を発揮するようになることがわかる。これに対し、
本発明に適合する可溶性ガラス質材料のみからなる溶射
皮膜 (No.1〜4 ) では、溶射のまま (No.1, 3)でも赤さ
びの発生は1〜2カ所に限定されるとともに、この赤さ
びも水を噴霧することによって完全に消失し、優れた耐
食性を示すことがわかる。また、ガラス質にAl2O3 やCr
3C2 粉末を添加したガラス質複合溶射皮膜でも、単味の
ガラス質溶射皮膜とほぼ同様な傾向を示すことがわかっ
た。
【0046】このような結果から、本発明に適合する可
溶性ガラス質溶射皮膜は、鋼鉄製基材に対し、アンダー
コートを施工せず直接成膜しても、優れた耐食性を示
し、特に水の噴霧操作のみでも封孔効果を発揮すること
が明らかとなった。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2 実施例1で確認したように、本発明に適合する可溶性ガ
ラス質溶射皮膜については、水を噴霧するだけでも封孔
に効果のあることが判明したので、この実施例では工業
用アルコールおよび水素イオン濃度(pH)の異なる各種水
溶液についての封孔処理の効果について調査した。 1.供試基材 実施例1と同じ 2.溶射皮膜材料 2-1. 本発明に適合する溶射皮膜 ガラス質材料のみからなる溶射皮膜用材料 (単体)
の組成 (wt%) a.21B2O3-17Li2O-5TiO2-5ZnO-4ZrO2-4SrO-3SnO2-3Al2
O3-2.5BaO-残SiO2 b.27B2O3-18Li2O-4SrO-3CaO-2Al2O3-2TiO2-2ZnO-2ZrO
2-2SnO-2.5BaO- 残SiO2 複合溶射皮膜用材料 (複合) の組成 (wt%) c.aのガラス質材料にTiO2を20%添加した。粉末の粒
径およびガラス質への混合方法は実施例1に同じ。 2-2. 比較例の溶射皮膜 (wt%) d.80Ni-20Cr を150 μm厚に施工 e.アンダーコートとして80Ni-20Cr を100 μm 厚に施
工後、その上にトップコートとしてAl2O3 を100 μm厚
に施工 2-3. 溶射法と本発明の溶射皮膜厚さとの関係 実施例1に同じ 2-4. 溶射皮膜の封孔処理条件 工業用アルコール (エタノール98%) 高濃度アルカリ水溶液 (NaOH 40 wt%) NaOHおよびHCl を用いて下記のpHに調整した水溶液 pH 14, 8.5, 4.0, 3.0 なお、封孔処理方法は、とは刷毛を用いて塗布、
は噴霧方法により、溶射皮膜面が完全に濡れた状態にな
るようにした後、200 ℃で30分間乾燥した。2-5. 皮膜
の貫通気孔の有無の判定方法実施例1に同じ
【0049】2-6. 試験結果 試験結果を表2に示した。この結果から明らかなよう
に、比較例の皮膜 (No.4, 5)のようにガラス質を含まな
い溶射皮膜では、アルコール, 高濃度アルカリ,各種pH
水溶液による封孔処理の効果はなく、塩水噴霧試験によ
って赤さびの発生が顕著であった。これに対し、本発明
に適合する溶射皮膜では、ガラス質材料のみからなる溶
射皮膜 (No.1, 2)はもとより、セラミックス粒子を含む
複合溶射皮膜においても赤さびの発生は認められなかっ
た。これは、アルコール, 高濃度アルカリ, 各種pH水溶
液によってガラス質が局部的に溶出して、この成分が非
常に粘稠であるため、皮膜の気孔部を充填するようにな
って封孔したり、また溶出しなくても膨潤することによ
って封孔する作用が効果を発揮したものと考えられる。
ただ、pH:3.0 未満の弱酸性水溶液による封孔処理皮膜
では、比較例に比べると耐食性に優れているものの、1
〜2ヵ所で赤さびの発生が認められた。これは、ガラス
質中のアルカリ成分が、弱酸性水中では溶解するもの
の、粘性が低いため封孔処理効果が比較的低く、皮膜の
気孔部を通して内部に侵入した酸成分によって鋼基材が
腐食されたものと考えられる。
【0050】
【表2】
【0051】実施例3 この実施例は、基材の予熱温度とその基材表面上に直に
施工するガラス質溶射皮膜の性状およびガラス質溶射皮
膜形成後の熱処理による皮膜の特性について、塩水噴霧
試験によって調査したものである。 1.供試基材 実施例1と同じ材質、形状寸法のものを用いた。 2.溶射皮膜材料 2-1. 本発明に適合する溶射皮膜 ガラス質材料のみからなる溶射皮膜用材料 (単体)
の組成 (wt%) a.17Li2O-9B2O3-4Al2O3 -2SrO-CaO-残SiO2 b.21B2O3-17Li2O-5TiO2-5ZnO-4ZrO2-4SrO-3SnO2-3Al2
O3-2.5BaO-残SiO2 複合溶射皮膜用材料 (複合) の組成 (wt%) c.aのガラス質材料にCrB を20%添加した複合溶射材
料を用いた。CrB の粒径およびガラス質への混合方法は
実施例1に同じ。 2-2. 基材の予熱温度と溶射法 溶射に先立ってブラスト処理後の基材を電気炉中で予め
100〜700 ℃の範囲に予熱し、その上にプラズマ溶射法
によって前記材料を 100μm厚に施工した。なお、比較
のため、予熱しない基材に対しても同材質の溶射材料を
100μm厚に施工した。
【0052】2-3. 溶射皮膜の後熱処理 成膜後の溶射皮膜を電気炉中で 100〜850 ℃の範囲で10
〜30分間加熱する後熱処理を施し、ガラス質成分の軟
化, 溶融による封孔作用を促した。 2-4. 水噴霧による溶射皮膜の封孔処理 実施例1と同じ方法により実施した。表2は、溶射皮膜
材料とこれを形成するときの基材の予熱温度および成膜
後の加熱ならびに水噴霧による封孔処理の関係を一覧表
として取りまとめたものである。 2-5. 皮膜の貫通気孔の有無の判定方法 実施例1に同じ。
【0053】2-6. 試験結果 試験結果を図2に示した。この図に表示されている数字
は、表3に示す溶射材料No. であり、それぞれの熱処理
条件で成膜および後熱処理を施した溶射皮膜を示す。ま
た、二重丸つきのものは水噴霧による封孔処理を実施し
たものである。この図に示すように、本発明に適合する
ガラス質単体およびガラス質とセラミックスの複合型溶
射皮膜とも、基材の予熱温度を 200〜500 ℃の範囲にす
れば、溶射皮膜を後熱処理しなくても、鉄さびの発生は
全面積中1〜2ヵ所程度にとどまることがわかる。一
方、基材を予熱しない場合でも、成膜後これを 400〜85
0℃に加熱すれば、ガラス質成分の軟化によって気孔が
消滅し、鉄さびの発生は1〜2ヵ所にとどまる。最も良
好な皮膜は、基材の予熱温度を 200〜500 ℃、溶射皮膜
の後熱処理温度を 400〜850 ℃にすることによって得ら
れ, この範囲であれば赤さびの発生は全く認められず、
この範囲の条件で得られる皮膜は水噴霧処理の有無の影
響を受けない。なお、基材の予熱温度を 500℃以上にす
ると、赤さびの発生は少ないものの、基材の酸化が激し
く、実用的でないことがわかった。本発明の水噴霧によ
る皮膜の封孔効果は、基材の予熱および後処理を行なわ
ない場合に顕著に現れ (図2中の表示1, 6, 12の皮膜)
、予熱や後熱処理の困難な部材に対して特に有効な手
段と考えられる。
【0054】
【表3】
【0055】実施例4 この実施例は、本発明に適合する溶射皮膜の耐溶融亜鉛
性と亜鉛浴中における加熱と引き上げ操作による冷却の
繰返しによって負荷される熱衝撃に対する抵抗性を調査
したものである。 1.供試基材 SUS 410(アェライト系ステンレス鋼) を直径20mm、長さ
200 mmに仕上げて使用した。 2.溶射皮膜材料 2-1. 本発明に適合する溶射皮膜材料と溶射皮膜の厚さ 実施例1に同じ 2-2. 比較例の溶射皮膜材料と溶射皮膜の厚さ 実施例1の比較例に下記の溶射皮膜を追加した。 92wt%WC−8wt%Co 100 μm
【0056】3.溶射皮膜の封孔処理 水を噴霧後、電気炉中で 200℃×30分間乾燥 溶射皮膜を電気炉中で 650℃×1時間加熱してガラ
ス質を軟化させた。 4.評価方法 亜鉛浴条件:0.1 wt%Alを含む亜鉛浴 480 ℃ 亜鉛浴中浸漬時間:5時間浸漬後、25℃の室温空気
を送風機によって冷却する操作を1サイクルとして10回
繰返した。試験終了後の皮膜の外観を目視にて、亜鉛の
付着状況、皮膜の亀裂および剥離の有無を調査した。
【0057】5.試験結果 試験結果を要約して表4に示した。この結果から明らか
なように、比較例の皮膜(No.5〜6)では、92wt%WC−8 w
t%Co皮膜を除きすべて溶融亜鉛によって激しく侵食さ
れ、SUS 410 基材も損傷を受けており、この種溶融亜鉛
に対しては使用できないことがわかる。ただ、WC−8Co
皮膜のみは、少量の亜鉛が薄膜状態で付着する程度であ
ったが、この薄膜にドロス粒子 (Zn−Fe合金) が付着し
ているので、実作業下においてはめっき鋼板に対し疵を
発生させる可能性がある。WC−8 wt%Co皮膜でも、予め
650℃×1時間の加熱をした皮膜では、亜鉛の付着が多
いうえ、皮膜そのものも多数の亀裂が発生していた。こ
れは、空気中の加熱によってWC−8 wt%Co皮膜が過度に
酸化され、耐溶融亜鉛性が低下したためと考えられる。
これに対し、本発明に適合する溶射皮膜 (No.1〜4)で
は、アンダーコートをしなくても水噴霧, 後熱処理など
の封孔処理によって皮膜を構成するガラス質が局部的に
溶解、溶融することによって気孔部を封孔するうえ、溶
融亜鉛に対しても優れた耐侵食性を発揮するため、亜鉛
の付着は殆ど認められず、また、加熱−冷却の繰返しに
よる熱衝撃にも耐え、皮膜に全く異常は認められなかっ
た。
【0058】
【表4】
【0059】実施例5 この実施例は、セラミックスとガラス質材料の配合割合
を傾斜的に変化させた溶射皮膜について、その耐溶融亜
鉛性、耐熱衝撃性などを調査したものである。 1.供試基材 SUS 410(フェライト系ステンレス鋼) を直径20mm、長さ
200 mmに仕上げて使用した。 2.溶射皮膜材料 2-1. 本発明に適合する溶射皮膜 ガラス質溶射材料 (wt%) a.22Li2O-9B2O3-3Al2O3-2SrO-1Cr2O3-残SiO2 セラミックス系およびサーメット系溶射材料 (wt
%) b.73Cr3C2 −20Ni−7Cr c.75WC−20Ni−5Cr d.100 Si4C3 上記材料を用いて、その配合割合いを次のように段階的
に変化させた溶射皮膜を基材上に形成させた後、これを
10wt%NaOH中に1分間浸漬して封孔処理を行い、200 ℃
で30分間乾燥させた。 (A) セラミックス材料/ガラス質=重量比95/ 5 (B) セラミックス材料/ガラス質=重量比50/50 (C) セラミックス材料/ガラス質=重量比20/80 (D) セラミックス材料/ガラス質=重量比 5/95 なお、溶射にあたっては、との粉末を自動供給装置
を用いて混合割合を変化させ、基材側ほどセラミックス
含有量が多く、上層部になるにしたがってガラス質成分
が多くなるように調整しつつ、(A) 〜(D) それぞれの層
の厚さが50μmとなるようにプラズマ溶射法によって成
膜した。そして、さらに上記複合溶射皮膜の最表層部に
は、ガラス質のみの皮膜を30μm厚に形成させた。 2-2. 比較例の溶射皮膜 比較例として、ガラス質を含まないb, c, dの溶射材
料を用いて 200μm厚に成膜した試験片を用いたが、10
0 wt%Si4C3 は基材に直接成膜することが困難であった
ため、アンダーコートとして60μmの80Ni−20Crを形成
させた。
【0060】3.評価方法 3-1. 耐溶融亜鉛性 480 ℃に保持した 0.2wt%Al−Zn浴中に 500時間連続浸
漬した後、浴中から引き上げ、外観状態を観察すること
によって判定した。なお、24時間毎に浴中から引き上
げ、その時点で皮膜に大きな損傷が認められるものは以
降の試験を中止した。 3-2. 耐熱衝撃性 上記亜鉛浴中に1時間浸漬した後、これを引き上げ、送
風機によって試験片を100℃以下に冷却する操作を1サ
イクルとして10回繰返して熱衝撃性を調べた。
【0061】4.試験結果 試験結果を表5に示した。この結果から明らかなよう
に、比較例のガラス質を含まない皮膜 (No.4〜6)は、溶
融亜鉛中に 500時間連続浸漬して引き上げると、皮膜全
面にわたって亜鉛が付着し、局部的に厚く固着している
ものがあった (No.5) 。また、アンダーコートとしてNi
−Cr合金を施工したSi4C3 皮膜 (No.6) では、アンダー
コートが溶融亜鉛によって激しく侵食され、基材そのも
のの侵食も認められた。この皮膜は熱衝撃にも弱く、ト
ップコートのSi4C3 は完全に剥離した。これに対し、本
発明に適合する皮膜 (No.1〜3)は、長時間にわたる溶融
亜鉛の浸漬に耐えるとともに、熱衝撃に対しても強い抵
抗力を有し、両試験後の皮膜はすべて健全な状態を維持
していた。
【0062】
【表5】
【0063】実施例6 この実施例は、本発明において基材表面に形成するガラ
ス質溶射皮膜の二酸化炭素ガスによる炭酸塩化処理によ
る封孔効果を調査したものてある。 1.供試基材 実施例1の基材と同じものを用いた。 2.溶射皮膜材料 2-1. 本発明に適合する溶射皮膜 ガラス質溶射材料 (単体) の組成 (wt%) a.22Li2O-9B2O3-3Al2O3-2SrO-1CaO-残SiO2 セラミックス含有溶射材料 (複合) の組成 (wt%) b.88Al2O3 −12TiO2 上記溶射材料を用いてプラズマ溶射法により 250℃に予
熱した基材上に、下記溶射皮膜を形成し、成膜後 500℃
×0.5h加熱した。 1) 100 wt%ガラス質溶射皮膜 150μm 2) 80wt% (Al2O3 −TiO2) −20wt%ガラス質混合溶射
皮膜 200 μm 3.炭酸塩化処理 上記の要領によって準備したガラス質溶射皮膜は、水
(pH7)、pH12(NaOH により調整) 、pH3 (HClにより調
整) の水溶液をそれぞれ噴霧した後、ガラス製の密閉容
器内に静置し、この中にCO2 ガスを送供しつつ24時間放
置した。
【0064】4.評価方法 評価は、実施例1の塩水噴霧試験方法 (96時間) による
皮膜の貫通気孔の有無、および480 ℃の溶融亜鉛中96時
間浸漬による耐溶融金属性試験により実施した。
【0065】5.試験結果 試験結果を表6に示した。この表から明らかなように、
ガラス質溶射皮膜の炭酸塩化は、中性の水 (No.1,4,7,1
0)、アルカリ性水溶液 (No.2,5,8,11)などを噴霧した
後、CO2 を作用させたものに効果的にあらわれ、皮膜の
気孔部はもとより表面全体が炭酸塩に変化し、96時間後
でも赤さびの発生は全く認められなかった。ただ、pH3
の酸性水による噴霧皮膜 (No.3,6,9,12)では炭酸化が弱
いため、24時間後では1ヵ所、96時間では全体の10%が
赤錆の発生が認められた。また、溶融亜鉛浴中に浸漬し
た結果によると、pH3の水溶液噴霧皮膜 (No.3,6,9,12)
のみに若干の亜鉛の付着は認められるものの、皮膜その
ものには全く異常は認められなかった。なお、炭酸化処
理した皮膜の表面に生成している炭酸塩層にも異常は認
められなかったが、この原因は、ガラス質成分のアルカ
リ金属の炭酸塩の分解温度が、溶融亜鉛の温度 (480
℃) より高く、熱的に安定しているためと考えられる。
例えば、ガラス質成分の炭酸塩化合物として下記の化合
物の存在が推定されるが、それぞれの分解温度は下記の
とおりである。 LiCO3 (618℃) , SrCO3(1340℃) , K2CO3 (891℃) , Na
2CO3(851℃)
【0066】
【表6】
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、皮膜を直接形成し
た本発明にかかる可溶性ガラス質材料溶射被覆部材の場
合、水分, アルコールなどによって封孔が可能であるう
え、炭酸塩化処理によってガラス質成分の緻密化を容易
に行い得るため、耐食性はもとより耐熱衝撃性に加え、
耐溶融金属性にも優れ、かつ長寿命化を達成できる。ま
た、本発明製造方法については、アンダーコートが不要
となるから低コスト溶射皮膜を得ることができるから、
工業的に有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可溶性ガラス質溶射皮膜の断面構造の
模式図である。
【図2】実施例3に示した溶射皮膜に与える予熱温度と
後熱処理との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 被処理体 (基体) 2 可溶性ガラス質材料からなる溶射皮膜 3 セラミック粒子 4 可溶性ガラス質材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸越 健一郎 兵庫県神戸市垂水区学ケ丘6丁目1番33 号 35号室 (56)参考文献 特開 平3−180457(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 4/00 - 4/12

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼鉄製基材の表面に直に、水, アルコー
    ル類, 中性塩水溶液, アルカリ性もしくは酸性の水溶液
    のいずれかに対して溶出する性質を示す可溶性ガラス質
    溶射皮膜が、50〜1500μmの厚さに形成されており、か
    つその溶射皮膜は、水, アルコール類ならびに前記水溶
    液による封孔処理が施されていることを特徴とする可溶
    性ガラス質材料溶射被覆部材。
  2. 【請求項2】 上記可溶性ガラス質溶射皮膜は、水, ア
    ルコール類, 中性塩水溶液, アルカリ性もしくは酸性の
    水溶液のいずれかに対して溶出する性質を示す可溶性ガ
    ラス質材料、または該可溶性ガラス質材料95〜5wt%
    と、酸化物系もしくは非酸化物系のセラミックスまたは
    それらのサーメットから選ばれるいずれか1種以上の強
    化材料を5〜95wt%混合してなる可溶性ガラス質複合溶
    射材料を、厚さが30〜1000μmの範囲内となるように溶
    射して形成されたものであることを特徴とする請求項1
    記載の可溶性ガラス質材料溶射被覆部材。
  3. 【請求項3】 上記可溶性ガラス質材料が、少なくとも
    Li2O, B2O3を含み残部がSiO2からなる請求項2に記載の
    可溶性ガラス質材料溶射被覆部材。
  4. 【請求項4】 上記可溶性ガラス質溶射皮膜のガラス質
    成分が、水, アルコール類, 中性塩水溶液, pH3以上の
    アルカリもしくは酸性の水溶液のいずれかに対して溶出
    する性質のある、SiO2, Na2O, K2O, B2O3, MgO, CaO, L
    i2O, SrO, CoO, Al2O3, Cr2O3 , MnO2, TiO2およびZnO
    のなかから選ばれる2種以上の酸化物を主成分とするガ
    ラス, ガラスセラミックス, ほうろう質成分のいずれか
    の材料からなることを特徴とする請求項1または2に記
    載の可溶性ガラス質材料溶射被覆部材。
  5. 【請求項5】 鋼鉄製基材の表面に直に形成した可溶性
    ガラス質溶射皮膜は、線膨張係数が5〜14×10-6/℃、
    融点が 500〜750 ℃の範囲にあることを特徴とする請求
    項1, 2, 3または4に記載の可溶性ガラス質材料溶射
    被覆部材。
  6. 【請求項6】 上記可溶性ガラス質溶射皮膜の少なくと
    もその表面に炭酸化合物層を有することを特徴とする請
    求項1, 2, 3, 4または5に記載の可溶性ガラス質溶
    射被覆部材。
  7. 【請求項7】 鋼鉄製基材の表面に直に、可溶性ガラス
    質溶射皮膜を形成するに際し、基材を予め 200〜500 ℃
    の温度に加熱した後、可溶性ガラス質材料を溶射し、そ
    の後、水, アルコール類, 中性塩水溶液, 酸性もしくは
    アルカリ性の水溶液を用いて封孔処理することを特徴と
    する可溶性ガラス質材料溶射被覆部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 鋼鉄製基材の表面に直に、可溶性ガラス
    質溶射皮膜を形成するに際し、表面が 200℃未満の温度
    の基材表面に直接、可溶性ガラス質材料を溶射し、その
    後、この可溶性ガラス質溶射皮膜を成膜した後の部材を
    400〜850 ℃, 0.1 〜5時間の条件で加熱処理し、さら
    にその後、水, アルコール類, 中性塩水溶液, 酸性もし
    くはアルカリ性の水溶液を用いて封孔処理することを特
    徴とする可溶性ガラス質材料溶射被覆部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 鋼鉄製基材の表面に直に、可溶性ガラス
    質溶射皮膜を形成するに際し、基材を予め 200〜500 ℃
    に加熱し、その基材表面に直接、可溶性ガラス質材料を
    溶射し、その後、この可溶性ガラス質溶射皮膜を成膜し
    た後の部材を400〜850 ℃, 0.1 〜5時間の条件で加熱
    処理し、さらにその後、水, アルコール類, 中性塩水溶
    液, 酸性もしくはアルカリ性の水溶液を用いて封孔処理
    することを特徴とする可溶性ガラス質材料溶射被覆部材
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記可溶性ガラス質材料が、少なくと
    もLi2O, B2O3を含み残部がSiO2からなる、請求項7,
    8, 9に記載の可溶性ガラス質材料溶射被覆部材の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 請求項7, 8または9のいずれかに記
    載の製造方法において、可溶性ガラス質溶射皮膜の封孔
    処理は、溶射皮膜を無処理のままもしくは一旦加熱した
    後、水, アルコール類, 中性塩水溶液およびpH3以上の
    アルカリ性もしくは酸性の水溶液のいずれか1種を噴霧
    し、塗布しまたはそれらの液体中に浸漬することによっ
    て、前記可溶性ガラス質溶射皮膜中のガラス質成分の少
    なくとも一部を溶出させ、その後、加熱によって水分を
    除去することによって行うことを特徴とする可溶性ガラ
    ス質材料溶射被覆部材の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項7, 8または9のいずれかに記
    載の製造方法において、可溶性ガラス質材料として、
    水, アルコール類, 中性塩水溶液, アルカリ性もしくは
    酸性の水溶液のいずれかに対して溶出する性質のある,
    SiO2, Na2O, K2O, B2O3, MgO, CaO, Li2O, SrO, CoO, A
    l2O3, Cr2O3 ,MnO2, TiO2 およびZnO のなかから選ばれ
    る2種以上の酸化物を主成分とするガラス, ガラスセラ
    ミックス, ほうろう質成分のいずれかの材料を用いるこ
    とを特徴とする可溶性ガラス質材料溶射被覆部材の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 請求項7, 8または9のいずれかに記
    載の製造方法において、可溶性ガラス質材料として、
    水, アルコール類, 中性塩水溶液, アルカリ性もしくは
    酸性の水溶液のいずれかに対して溶出する性質のあるSi
    O2, Na2O, K2O,B2O3, MgO, CaO, Li2O, SrO, CoO, Al2O
    3, Cr2O3 ,MnO2, TiO2 およびZnO のなかから選ばれる
    2種以上の酸化物を主成分とするガラス, ガラスセラミ
    ックス,ほうろう質成分のいずれかの材料を95〜5wt%
    と、酸化物系もしくは非酸化物系セラミックスまたはそ
    れらのサーメットのいずれか少なくとも1種を5〜95wt
    %混合してなる複合溶射材料を用いることを特徴とする
    可溶性ガラス質材料溶射被覆部材の製造方法。
  14. 【請求項14】 鋼鉄製基材の表面に直に形成する可溶
    性ガラス質溶射皮膜に含まれている酸化物系, 非酸化物
    系セラミックスもしくはこれらのサーメットなどの粉末
    粒子の分散形態が、均一分散、段階的可変分散もしくは
    漸変的可変分散のいずれかの分布になるように施工する
    ことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項7〜14のいずれかに記載の製
    造方法において、鋼鉄製基材の表面に直に形成した可溶
    性ガラス質溶射皮膜を、さらに水分の存在下において二
    酸化炭素ガスに接触させることにより、その二酸化炭素
    ガスと接触する可溶性ガラス質溶射皮膜の少なくとも表
    面を炭酸塩化させて炭酸化合物層を形成することを特徴
    とする可溶性ガラス質材料溶射被覆部材の製造方法。
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