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JP3225890B2 - 原子炉炉内構造物の補修方法 - Google Patents
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JP3225890B2 - 原子炉炉内構造物の補修方法 - Google Patents

原子炉炉内構造物の補修方法

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JP3225890B2 JP15188897A JP15188897A JP3225890B2 JP 3225890 B2 JP3225890 B2 JP 3225890B2 JP 15188897 A JP15188897 A JP 15188897A JP 15188897 A JP15188897 A JP 15188897A JP 3225890 B2 JP3225890 B2 JP 3225890B2
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電プラン
トの供用機器の期間中における、原子炉圧力容器内部を
構成する構造物及び機器の補修方法に係り、特に中性子
照射を受けておりかつ亀裂状の欠陥の発生している構造
物及び機器に対し、補修後の健全性に関し信頼性の高い
補修を可能にするための、板材を被覆して構造物と接合
させる補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉圧力容器内部の構造物及び機器
は、高温高圧水等の環境において応力腐食割れなどの経
年的な亀裂状欠陥の発生が懸念されている。応力腐食割
れは、材料自身の局部的な組成変化などの劣化因子,溶
接施工などで構造物に負荷されている引張残留応力の応
力因子、及び高温高圧水での腐食環境因子の重畳によっ
て発生し、また亀裂は進展する。この亀裂が上記構造物
及び機器を貫通すると、上記原子力プラントの重大な事
故につながる恐れがあり、亀裂が発生した構造物に対し
て、亀裂貫通を防止する補修技術が必要とされる。
【0003】このような亀裂貫通を防止する補修技術と
して、図33(a)に示すように、亀裂状の欠陥1を含
む領域に板材3を被覆して板材3の縁部と構造物2と
を、フィラー材5を添加しつつアーク放電6による入熱
を利用してスミ肉溶接することにより、該欠陥1を腐食
環境から隔離して亀裂の進展を防止する補修方法が知ら
れている。
【0004】しかしながら、中性子の照射を受けた構造
物は、材料構成元素の核変換でHeが発生し、発生した
Heを内部に含有している。このようなHeを含有した
材料に対し、上に述べたように板材を被覆して板材の縁
部と構造物とをスミ肉溶接する場合、アーク放電等によ
る溶接等の従来技術では、フィラー材および母材や板材
の一部を溶融せしめるだけの入熱量が不可避的に投入さ
れるため、図18〜図33に示すように、亀裂状の欠陥
1の発生している中性子の照射を受けた構造物2に対
し、板材3を構造物2とスミ肉溶接するような補修を行
うと、補修部分においてスミ肉溶接部7の周囲の構造物
側の熱影響部8が新たな欠陥9の発生部になってしまう
恐れがあった。
【0005】上記問題点は、例えばオーステナイト系ス
テンレス鋼に対し、Journal ofMaterial Science Vol.
26(1991),p2063−2070で報告されてい
るように、積算的に1.0×1020n/m2以上の全中性
子が照射された状態で生成Heが内包された上記合金製
の材料に対し、熱を与えて溶接施工した場合、溶融部周
囲の溶接熱影響部が高温に加熱され熱活性化によってH
eの結晶粒界への拡散が容易になり、かつ粒界に集まっ
たHe気体は集合してμm単位の大きさの気泡を形成
し、そのため粒界の強度が低下して、さらに溶接後の凝
固収縮に伴う引張応力が加わった際に非溶融熱影響部で
粒界割れが発生する認識に基づいたものである。
【0006】ここで本発明の目的である亀裂状欠陥が発
生した構造物の補修施工において、板材を被覆してスミ
肉溶接する従来技術による補修方式では、板材と構造物
とを密着させて板材縁部側面と構造物表面の両面に接す
るような形でフィラーワイヤーを供給しつつ熱エネルギ
ーを投入し、フィラーワイヤー及び板材縁部側面と構造
物表面を溶融させて溶接するので、構造物に加わる入熱
量が局所的に高くなる場合がある。このような溶接条件
下では、上述したように、溶接熱影響部が高温に加熱さ
れ熱活性化によってHeの結晶粒界への拡散が容易にな
り、構造物側の熱影響部が新たな不具合の発生部になっ
てしまう恐れがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の補修方法の問題点を考慮し、中性子の照射を受け
た原子炉圧力容器内部を構成するステンレス鋼,Ni基
合金,低合金鋼製の構造物及び機器に発生した応力腐食
割れなどの亀裂状欠陥を補修する際、補修部の健全な補
修方法提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は原子力発電プラ
ントの供用期間中における、原子炉圧力容器内部を構成
するステンレス鋼,Ni基合金、低合金鋼製の0〜5.
0×1027n/m2の中性子照射を受けておりかつ亀裂
状の欠陥の発生している構造物及び機器に対し、亀裂状
の欠陥の発生している部分を含む領域に板材を被覆し、
上記被覆板材と構造物との接合面に局所的に圧力を付与
し、発生する抵抗によって生じるエネルギーを駆動力と
して接合することを特徴とする原子炉炉内構造物の補修
方法にある。この際、本発明では、被覆板材と構造物と
の間にPdとPtの少なくとも一方を0.05〜2.0w
t%の範囲で含む材料からなる中間層を介在させること
を特徴とする。
【0009】また、本発明は、上記の接合を行う手段と
して、接合施工当該部を加圧しながら電流を流して、発
生する抵抗熱で加熱して接合することを特徴とする原子
炉炉内構造物の補修方法を提供するものである。また、
本発明は、上記の抵抗熱で加熱して接合を行う手段とし
て、回転電極を用いて構造物に被覆板材を電縫溶接する
ことを特徴とする原子炉炉内構造物の補修方法を提供す
るものである。また、本発明は、上記の抵抗熱で加熱し
て接合を行う手段として、スポット状に溶接することを
特徴とする原子炉炉内構造物の補修方法を提供するもの
である。また、本発明は、上記の抵抗熱で加熱してスポ
ット状に接合を行う施工において、複数の電極に電流を
流して、構造物と被覆板材との複数個所を同時に接合す
ることを特徴とする。
【0010】また、本発明は、上記の接合を行う手段と
して、構造物と被覆板材との接合面を機械的に摩擦し、
摩擦抵抗を駆動力として接合することを特徴とする原子
炉炉内構造物の補修方法を提供するものである。また、
本発明は、上記の摩擦抵抗を駆動力として接合を行う手
段として、接合当該部を加圧しながら機械振動を与えて
接合面を機械的に摩擦することを特徴とする。また、本
発明は、上記の機械振動を与えて接合面を機械的に摩擦
して接合を行う手段として、高周波エネルギーを磁気歪
現象によって機械振動に変換し、得られた機械振動を接
合当該部に与えて接合面を機械的に摩擦することを特徴
とする、原子炉炉内構造物の補修方法を提供するもので
ある。
【0011】また、本発明は、上記施工において、被覆
板材に凸型の突起を設け、突起部を接合面とすることを
特徴とする原子炉炉内構造物の補修方法を提供するもの
である。また、本発明は、構造物側の被覆板材との接触
部に凹型の切欠きを設け、上記被覆板材の突起部と組み
合わせて被覆板材を設置し、接合することを特徴とす
る。
【0012】また、本発明は、上記施工において、炉内
構造物あるいは機器を支持部とすることによって、圧力
を付与する際に生じる反作用を封じる手段を有すること
を特徴とする原子炉炉内構造物の補修方法を提供するも
のである。また、本発明は、上記の圧力を付与する際に
生じる反作用を封じる手段として、炉内構造物の上部格
子板と炉心支持板との間に支持ピラーを導入し、上部格
子板と炉心支持板によって支えられたピラーを支持部と
することによって、圧力を付与する際に生じる反作用を
封じることを特徴とする原子炉炉内構造物の補修方法を
提供するものである。また、本発明は、上記の圧力を付
与する際に生じる反作用を封じる手段として、圧力容器
と炉心シュラウドとの間に支持ピラーを導入し、圧力容
器内面によって支えられたピラーを支持部とすることに
よって、圧力を付与する際に生じる反作用を封じること
を特徴とする。
【0013】また、本発明は、炉水に接している原子炉
炉内構造物に対する上述の施工を行う補修施工におい
て、被覆板材を構造物施工当該部に設置する前に、構造
物の被覆板材との接合面を含む領域の酸化皮膜を除去す
る施工を行った後に、被覆板材を設置し、上述の接合施
工を行うことを特徴とする。また、本発明は、上述の原
子炉炉内構造物の補修施工において、構造物の被覆板材
との接合面を含む領域の酸化皮膜を除去する施工を行っ
た後、構造物あるいは被覆板材の接合面を含む領域に、
平均表面粗さを0.2 〜10μmの範囲に仕上げる表面
処理を行い、上記表面処理施工の後に、被覆板材を設置
し、上述の接合施工を行うことを特徴とする。
【0014】また、本発明は、上述の接合施工におい
て、上記被覆板材と上記構造物の接合面を含む領域との
間に、上記被覆板材と上記構造物の少なくともいずれか
とは組成あるいは結晶構造の異なる中間層が挿入されて
いることを特徴とする。また、本発明は、上記挿入され
る中間層として、肉盛層あるいは溶射層が形成されてい
ることを特徴とする原子炉炉内構造物の補修方法を提供
するものである。また、本発明は、上記挿入される肉盛
層あるいは溶射層の形成手段として、レーザ光あるいは
アーク光の照射によって上記中間層を形成することを特
徴とする。また、本発明は、上記挿入される中間層とし
て、ろう付け層が形成されていることを特徴とする。
又、本発明は、上記挿入される中間層の成分として、P
dあるいはPtの少なくともいずれかが0.05〜2.0
wt%の範囲で含有されていることを特徴とする。ま
た、本発明は、上記接合施工において、上記構造物と接
合する側の上記被覆板材表面に上記中間層を表面層とし
て形成した後に、被覆板材と構造物との接合施工を行な
うことを特徴とする。また、本発明は、上記接合施工に
おいて、上記構造物表面に上記中間層を表面層として形
成した後に上記被覆板材を設置し、被覆板材と構造物と
の接合施工を行なうことを特徴とする。
【0015】また、本発明は、上述の接合施工におい
て、上記構造物表面の上記被覆板材との接合当該部を含
む領域に表面溶融層が形成されていることを特徴とす
る。また、本発明は、上記表面溶融層の形成手段とし
て、レーザ光あるいはアーク光の照射によって上記表面
溶融層を形成することを特徴とする。
【0016】また、本発明は、上述の施工によって、被
覆する板材と被補修構造物との接触面における外周部の
一部あるいは全周部が金属結合によって接合されている
ことを特徴とする。
【0017】また、本発明は、上述の施工を行なうため
の、圧力を付与する際に生じる反作用を封じる手段を具
備していることが望ましい。また、本発明は、上記の圧
力を付与する際に生じる反作用を封じる手段として、軽
水炉炉内構造物の上部格子板と炉心支持板によって上記
反作用方向に対して支えられるピラーを具備すること
望ましい
【0018】発明者らは、全中性子の照射量が5.0×
1027n/m2以下の状態の上記合金製の材料に対し、
Heの活性化を引き起こす温度における保持時間が短い
施工では、非溶融熱影響部でのHeの拡散が抑止されて
溶融部のみならず周囲の熱影響部においても割れの発生
しないことを発見し、本発明に至った。
【0019】ここで構造物と被覆した板材とを接合する
施工方式として、添加するフィラー材を溶融させるスミ
肉溶接施工の代わりに、接合面に局所的に圧力を付与し
つつ、物理的手段によって接合面に抵抗を生じさせ、生
じた抵抗によって発生する熱あるいは塑性変形等の力学
的エネルギーによって当該部を接合させる施工方式によ
れば、付与する圧力および抵抗を生じさせる時間を制御
することによって、上記のHeの活性化を引き起こす温
度における保持時間を短くすることが可能であり、割れ
が発生しない接合が可能である。
【0020】接合面を加圧した状態で抵抗を与える物理
的手段としては、電流を流して接触面に電気抵抗を発生
させ、発生した抵抗熱で加熱して接合する施工や、機械
的な摩擦抵抗を用いる施工が挙げられる。
【0021】まず、電流を流して接合させる方式の原理
と作用について以下に説明する。
【0022】図28は構造物と被覆板材とを加圧しなが
ら電流を流してスポット的に接合させる施工を表した模
式図である。電極A10は被覆板材3に接触し、電極B
11は構造物2の表面に接触し、両電極は電気的に接続
され、変圧器12によって電極/材料間に流れる電流は
制御される。また、被覆板材3に接触する電極A10に
は圧力付与機構14が設けられ、板材3と構造物2との
接触面に局所的に圧力が付与されるようになっている。
圧力付与機構14によって電極A10直下の被覆板材3
と構造物2との接触部に圧力を付与し、加圧下において
電流を通電すると該接触部の電気抵抗によって抵抗熱が
発生し、被覆板と構造物それぞれが局所的に溶融し、通
電停止あるいは圧力除去とともに凝固して接合部15が
形成される。ここで発生する抵抗発熱量は、 Q=ρ・j2・t〔J/m3〕 ρ:比抵抗 j:電流密度 t:通電時間 で表される。一定加圧条件下において、大電流を短時間
通電した場合、被覆板と構造物それぞれが局所的に溶融
して接合部15が形成されるだけの熱を発生させる施工
において、0.1sec以下の極めて短時間の通電で接合施
工が可能である。このような短時間の通電による施工で
は、溶融部周囲の熱影響部において、Heが活性化する
温度領域の保持時間が極めて短時間であり、Heの拡散
あるいは粒界での気泡形成に寄与するような熱影響をほ
とんど母材に与えずに接合することが可能である。
【0023】また、図29に示すように、複数の電極の
両方に圧力を付与する機構14を具備することによっ
て、複数の電極直下の接触面を同時に接合させることも
可能である。
【0024】上に述べたスポット状に接合させる方式で
は、1個所の接合施工終了後、電極を順次移動させて施
工していくことで、図6に示すように、被覆板3は構造
物2に隙間なく接合される。
【0025】さらに、図30に示すように、円板上の回
転電極16を用いて回転させながら圧力を付与しつつ通
電することによって、連続した接合部が容易に形成され
る。この方式の場合、連続的に通電を行う方式では容易
に連続接合部が形成されるが、通電を断続的に繰り返す
方式でも、通電の周期や施工速度等を制御することによ
って接合部15を連続的に形成することが可能である。
【0026】次に、機械的な摩擦抵抗を用いる施工の一
例として、機械振動を与えて接触面に摩擦抵抗を発生さ
せて接合させる方式の原理と作用について以下に説明す
る。図31は、機械振動を与える手段として、超音波発
振を用いた施工を表したものである。磁性材料およびコ
イルからなる振動子17に超音波発振器18を用いて高
周波の電流を流すと、振動子17は磁気歪現象によって
振動する。発生した振動は共鳴子19によって振幅を増
大させ、施工端子20が増大した振幅によって矢印方向
に振動する。被覆板材3と構造物2との圧力付与機構1
4によって加圧された接合面は、上記振動によって摩擦
が発生する。接触面は摩擦によって加熱されると同時に
塑性変形が生じる。塑性変形された面は、圧力および再
結晶温度以上への加熱による原子移動の効果によって原
子間力の作用する距離にまで近接し、結合を生じて接触
面は接合される。施工条件として、超音波の出力および
周波数,増幅された振幅,加圧力などが因子となるが、
溶体化温度以上に加熱されることを避けて施工条件を設
定することによって、上述したHeの粒界での気泡形成
を生じることなしに接合することが可能である。また、
この方式における施工時間は極めて短時間であるため、
溶体化温度以上への加熱が部分的に生じても、Heの粒
界での気泡形成にはほとんど寄与しない接合が可能であ
る。
【0027】被覆板材と構造物との接合施工の場合、1
個所の接合施工終了後、施工端子を順次移動させて施工
していくことで、被覆板は構造物に隙間なく接合され
る。また、上述の通電による施工と同様に、円板上の施
工端子を用いて回転させながら圧力を付与しつつ振動を
与えることによって、連続した溶接部を形成することも
可能である。
【0028】次に本発明による、被覆板材に突起を設け
て接合する施工の作用について説明する。図4(a)は
突起部21を設けた被覆板材3を構造物2に設置した模
式図である。図28〜図31に示したように、加圧付与
機構によって電極直下の接触面は加圧されるが、突起部
21を接触面とすることによって、付与される圧力が集
中され、接触面での圧力分散による施工不具合を防止す
ることが可能である。上述の摩擦を付与する施工の場合
でも、同様の効果がある。
【0029】また、図4(b)は突起部21を被覆板材
の横側に設けた場合であり、板厚の大きい被覆板を設置
する場合、突起部21を接触面とすることによって付与
する圧力を集中する効果がある。
【0030】また、図4(c)は構造物側に凹型の切欠
き22を設け、上記の突起部を設けた被覆板材を切欠き
と組み合わせて設置した模式図である。構造物側の切欠
き部22および被覆板材側の突起部21を接触面とする
ことによって、付与される圧力が集中されると同時に被
覆板材3と構造物2が密着した施工が可能である。
【0031】ここで、本発明による上記施工は、いずれ
も被覆板材と構造物との接触面に局所的に圧力を付与す
ることが前提である。従って、軽水炉の炉内で施工を行
う場合、上記接触面に一定の加圧力を付与するためは、
付与する際に生じる付与方向と逆方向の反作用力を封じ
ることが必要である。例えば、配管内面等に対する施工
では、施工当該部の反対側を圧力支持部とすることで容
易であるが、炉内の複雑形状の構造物に対しては、上記
反作用力を封じるために、上記接触面に付与する圧力を
支持する支点を、炉内に具備させる手段が必要である。
本発明では、炉内構造物あるいは機器を支持部とするこ
とによって、圧力を付与する際に生じる反作用を封じる
手段とすることが可能である。例えば、図15に示す炉
内構造物のシュラウド44の内面に対する施工では、炉
内構造物の上部格子板43と炉心支持板45との間に支
持ピラー53を導入し、上部格子板と炉心支持板によっ
て支えられたピラーを支持部とすることによって、圧力
を付与する際に生じる反作用を封じることが可能であ
る。また、図18に示す上記シュラウド44の外面に対
する施工では、圧力容器42とシュラウド44との間に
支持ピラーを導入し、圧力容器42の内面によって支え
られたピラーを支持部とすることによって、圧力を付与
する際に生じる反作用を封じることが可能である。施工
の詳細は実施例にて後述する。
【0032】次に本発明による、構造物の酸化皮膜を除
去した後に上述の接合を行う施工の作用について説明す
る。軽水炉の炉内構造物は水中に位置しているので、供
用中に酸化皮膜が付着している場合がある。この酸化皮
膜が付着したまま上述の接合を行った場合、電気抵抗あ
るいは摩擦抵抗が不安定となり、施工不良の原因となり
うる。従って、軽水炉の炉内構造物に上記施工を行う場
合、構造物の被覆板材との接触面を含む領域の酸化皮膜
を放電加工あるいはグラインダあるいはエメリ等で除去
した後で、被覆板材を設置し、上述の接合施工を行うこ
とが望ましい。また、上述の接合施工を行う場合、接合
面の電気抵抗あるいは摩擦抵抗が適正に均一化している
ことが望ましい。一般に接触面の表面粗さが大きい場
合、電気抵抗あるいは摩擦抵抗が大きくなり、通電量あ
るいは振動出力等が比較的小さい条件で接合が可能とな
るが、表面粗さが大きくなり過ぎると上記抵抗が不均一
になり、施工不良の原因となりうる。従って、本発明の
対象であるステンレス鋼,Ni基合金,低合金鋼製の構
造物の場合、平均表面粗さを上記の手段で0.2 〜10
μmに仕上げた後に、被覆板材を設置し、上述の接合施
工を行うことが望ましい。
【0033】また、上述の接合施工を行う場合、図32
(a)に示すように、接合部の外部が隙間構造となる場
合が考えられる。隙間部59は水環境に接しているた
め、隙間内の水質が劣化した条件下においては、応力腐
食割れ等の亀裂の発生部位となる可能性を有する。この
様な場合、図32(b)に示すように高耐食の中間層6
0を形成することによって隙間部59における亀裂の発
生を防止することが可能である。例えば、中間層にPd
あるいはPtを0.05〜2.0wt%含む組成とするこ
とによって、上記成分の水素吸着効果により上記隙間部
59の水質が改善され、応力腐食割れの発生が防止され
る。上記中間層60は、肉盛あるいは溶射あるいはイン
サート材の挿入あるいはろう付けによって形成すること
ができる。また、上記中間層60の形成を炉内で行う場
合は、上記中間層60を構造物2の表面に表面層として
形成しておき、その後被覆板材3を設置して上述の接合
施工を行う方式となり、上記中間層の形成を炉外で行う
場合は、上記中間層60を被覆板材3の接合する側に形
成しておき、その後被覆板材3を設置して上述の接合施
工を行う方式が望ましい。
【0034】また、上述の接合施工を行う場合、図26
に示すように上記隙間部の外周部を金属結合させて隙間
部を炉水と遮断させてもよい。上記金属結合部61の形
成には入熱量を低くしたレーザ光あるいはアーク光の照
射が望ましい。
【0035】また、上述の接合施工を行う場合、図25
に示すように構造物の接合面を含む領域に表面溶融部を
形成しておき、その後上述の接合施工を行えば、接合施
工時の割れ感受性をさらに低減することが可能である。
上記表面溶融部62の形成には、入熱量を低くしたレー
ザ光あるいはアーク光の照射が望ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】
(実施例1)原子炉炉内構造物の補修施工は、γ線環境
下にあるため、水中で施工することが望ましい。以下
に、実施例として本発明の具体的な施工例を、板材の構
造物試験片を用いた水中での実験例および原子炉炉内構
造物に適用する例で説明する。本発明の実施例として、
構造物に被覆板材を設置して、接合面に圧力を付与しな
がら電流を流してスポット状に接合を行っていく施工に
おいて、水中で横向きに施工した実験例を図1〜図7を
用いて以下に説明する。
【0037】1.0×1020n/m2以上5.0×1027
n/m2以下の全中性子が照射された状態でかつ亀裂上
の欠陥1が存在しているSUS304ステンレス鋼製の構造物
2に対し、SUS316L ステンレス鋼製の被覆板材3を設置
する。ここで、本実施例では板材3の設置方法として、
図2に示すように、板材3の背側に凸部29を設け、固
定治具24によって凸部をホールドしながら施工当該部
に固定する。凸部29のホールド方法としては、例えば
図3に示すように、ホールド部32をホールド用アーム
30を用いて駆動させて、凸部29をホールドすれば良
い。
【0038】次に、図1に示すように、電極10および
電極移動ステージ25を具備した装置を設置する。電源
13,変圧器12等は水面上に設置され、アーム28あ
るいは電極10が水平/垂直に移動可能なスライド機構
26を用いた遠隔操作で施工を行う。ここで、本実施例
では、支持ピラー27は水面上で固定され、圧力支持部
となっている。また、電線23を含む伝送部等は、漏電
を防止するため、ゴム等の絶縁物で包囲して施工する。
【0039】次にアーム28あるいはスライド機構26
によって電極10を施工当該部に設置する。被覆板材に
接触させる電極(以下電極A)10は被覆板材部にセッ
トされ、構造物に接触させる電極(以下電極B)11は
構造物表面に接触される。両電極は電気的に接続され、
変圧器12によって電極/材料間に流れる電流は制御さ
れる。また、被覆板材に接触する電極A10には圧力付
与機構14が設けられ、板材3と構造物2との接触面に
局所的に圧力が付与されるようになっている。加圧力を
増すためには、図4(a)(b)に示すように、被覆板材
3に突起部21を設けるか、あるいは図4(c)に示す
ように、構造物2に切欠き22を設けて被覆板材3の突
起部21と組み合わせるように板材3を設置すれば良
い。圧力付与機構14によって電極A10直下の被覆板
3と構造物2との接触部に圧力を付与し、加圧下におい
て電流を通電すると該接触部の電気抵抗によって抵抗熱
が発生し、被覆板と構造物それぞれが局所的に溶融して
接合部15が形成される。上記の一連の施工は、装置に
具備した監視機構によって監視される。
【0040】本実施例では、板厚10〜40mmの構造物
2に対し、板厚10〜20mmの被覆板材を設置し、施工
条件として図5に示す条件範囲で施工した結果、構造物
2と被覆板材3は接合されたと同時に、構造物2には新
たな割れは発生しなかった。1ヶ所の接合施工終了後、
電極A10を順次移動させて施工していくことで、連続
した接合部が形成される。ここで、本実施例のように固
定治具24等を用いる場合は、図2に示すところの板材
3の周端部の垂直方向をまず接合し、板材3のホールド
が不要になった時点で、治具24を外し、次いで水平方
向を接合すれば良い。
【0041】以上の施工によって、図6に示すように、
被覆板材3は構造物2に隙間なく接合され、構造物2の
亀裂1発生部は水環境から隔離され、応力腐食割れ等に
よる亀裂の進展は防止された。
【0042】本実施例では、水の電導度が1.5μS/c
m 以下にある状態で上記施工を行ったため、水が絶縁効
果を発揮し、漏電することはなかったが、水の電導度の
高くなる場合など漏電の恐れのある場合は、図7に示す
チャンバ内での施工を行い、チャンバ34内を気中雰囲
気とすると同時に施工当該部の水分を除去し、乾燥した
上で施工することが有効である。
【0043】(実施例2)本発明の実施例として、構造
物に被覆板材を設置して、接合面に複数の電極に圧力を
付与しながら電流を流してスポット状に接合を行ってい
く施工において、水中で横向きに施工した実験例を図8
〜図10および図6を用いて以下に説明する。
【0044】1.0×1020n/m2以上5.0×1027
n/m2以下の全中性子が照射された状態でかつ亀裂上
の欠陥が存在しているSUS304ステンレス鋼製の構造物に
対し、SUS316L ステンレス鋼製の被覆板材を設置する。
次に、電極および電極移動機構を具備した装置を設置す
る。
【0045】次に電極移動機構によって電極を施工当該
部に設置する。複数の電極の両方に加圧を付与する機構
以外は、施工は実施例1と同様であるが、複数の電極の
両方に加圧を付与する機構14を具備することによっ
て、複数の電極直下の接触面を同時に接合させることが
可能である。
【0046】図8は電極駆動のための装置を省略して、
2個の電極10を設置する部分のみを示した立体図であ
り、図9はステージ25等の装置を設置して施工した状
態を上方向からみた断面模式図である。本実施例の場
合、同図に示すように、実施例1と同様に、板材3を治
具24でホールドしたまま垂直方向に施工する場合、2
個の電極10で同時に圧力を付与して接合施工すること
によって垂直方向の両周端部を同時に施工することが可
能である。
【0047】本実施例では、板厚10〜40mmの構造物
に対し、板厚10〜20mmの被覆板材を設置し、施工条
件として図10に示す条件範囲で施工した結果、構造物
と被覆板材は接合されたと同時に、構造物には新たな割
れは発生しなかった。
【0048】1個所の接合施工終了後、電極を順次移動
させて施工していくことで、図6に示すように、被覆板
材3は構造物2に隙間なく接合され、構造物2の亀裂1
発生部は水環境から隔離され、応力腐食割れ等による亀
裂の進展は防止された。
【0049】(実施例3)本発明の実施例として、構造
物に被覆板材を設置して、円板上の電極を用いて回転さ
せながら圧力を付与しつつ通電することによって、連続
した接合部を形成する施工において、水中で横向きに施
工した実験例を図11〜図12および図6を用いて以下
に説明する。
【0050】図11は、回転電極を用いた施工を横から
みた断面模式図であり、図1〜図3に示したピラーやア
ーム等は省略してある。また、図11は片方の電極のみ
に圧力付与機構を具備して、板材に接触させている図で
あるが、実施例2に述べたように、両方の電極を圧力付
与機構を具備した回転電極として施工することも可能で
ある。
【0051】1.0×1020n/m2以上5.0×1027
n/m2以下の全中性子が照射された状態でかつ亀裂上
の欠陥1が存在しているSUS304ステンレス鋼製の構造物
2に対し、SUS316L ステンレス鋼製の被覆板材3を設置
する。次に、円板上の回転電極16およびステージ25
を具備した装置を設置する。
【0052】次に電極を施工当該部に設置する。被覆板
材に接触させる回転電極A16は被覆板材部にセットさ
れ、構造物に接触させる電極B11は構造物表面に接触
される。両電極は電気的に接続され、変圧器によって電
極/材料間に流れる電流は制御される。円板上の電極1
6を用いて回転させながら圧力を付与しつつ通電するこ
とによって、連続した接合部が形成される。
【0053】この方式の場合、連続的に通電を行う方式
では容易に連続接合部が形成されるが、通電を断続的に
繰り返す方式でも、通電の周期や施工速度等を制御する
ことによって接合部を連続的に形成することが可能であ
る。本実施例では、通電を断続的に繰り返す方式で施工
を行った。
【0054】本実施例では、板厚10〜40mmの構造物
に対し、板厚10〜20mmの被覆板材を設置し、施工条
件として図12に示す条件範囲で施工した結果、構造物
2と被覆板材3は接合されたと同時に、構造物2には新
たな割れは発生しなかった。実施例1〜2と同様に、図
2に示すところの板材3の周端部の垂直方向をまず接合
し、板材3のホールドが不要になった時点で、治具24
を外し、次いで水平方向を接合するように、回転電極1
6を順次移動させて施工していくことで、図6に示すよ
うに、被覆板材は構造物に隙間なく接合され、構造物の
亀裂発生部は水環境から隔離され、応力腐食割れ等によ
る亀裂の進展は防止された。
【0055】(実施例4)本発明の実施例として、構造
物に被覆板材を設置して、超音波発振を用いた機械振動
を与えて接触面に摩擦抵抗を発生させて接合させる施工
において、水中で横向きに施工した実験例を図13〜図
14および図6を用いて以下に説明する。1.0×10
20n/m2以上5.0×1027n/m2以下の全中性子が
照射された状態でかつ亀裂上の欠陥1が存在しているSU
S304ステンレス鋼製の構造物2に対し、SUS316L ステン
レス鋼製の被覆板材3を設置する。次に、図13に示す
ように、振動子17,共鳴子19,施工端子20及び圧
力付与機構14を具備したチャンバ38を設置し、チャ
ンバ38内をガス注入機構36によって気中雰囲気とす
ると同時にノズル39を通じて施工当該部の水分を除去
し、乾燥する。
【0056】電源13,超音波発信器18等は水面上に
設置され、実施例1と同様にピラー27およびアーム2
8を用いた遠隔操作で施工を行った。ここで電線23を
含む伝送部等は、漏電を防止するため、ゴム等の絶縁物
で包囲して施工した。
【0057】次に施工端子20を被覆板材3の施工当該
部に設置する。超音波発信器18から20〜50Hzの
高周波の電流が振動子に流すと、振動子17は磁気歪現
象によって振動する。発生した振動は共鳴子19によっ
て振幅を増大させ、施工端子20が増大した振幅によっ
て振動する。加圧付与機構14によって加圧された施工
端子20直下の被覆板材3と構造物2との接合面は、上
記振動によって摩擦が発生する。接触面は摩擦によって
加熱されると同時に塑性変形が生じる。塑性変形された
面は、圧力および再結晶温度以上への加熱による原子移
動の効果によって原子間力の作用する距離にまで近接
し、結合を生じて接触面は接合され、接合部15が形成
される。
【0058】加圧力を増すためには、図4(a)(b)に
示すように被覆板材3に突起部2を設けるか、あるいは
図4(c)に示すように構造物2に切欠き22を設けて
被覆板材3の突起部21と組み合わせるように板材を設
置すれば良い。また、上記の一連の施工は、監視機構に
よって監視される。
【0059】本実施例では、板厚10〜40mmの構造物
に対し、板厚2〜20mmの被覆板材を設置し、施工条件
として図12に示す条件範囲で施工した結果、構造物と
被覆板材は接合されたと同時に、構造物には新たな割れ
は発生しなかった。
【0060】1個所の接合施工終了後、電極を順次移動
させて施工していくことで、図6に示すように、被覆板
材は構造物に隙間なく接合され、構造物の亀裂発生部は
水環境から隔離され、応力腐食割れ等による亀裂の進展
は防止された。
【0061】(実施例5)本発明を原子炉炉内構造物へ
適用する一実施例として、実施例1〜4に述べた施工を
炉内構造物のシュラウド内面あるいは外面に適用する例
を、図15〜図18を用いて以下に説明する。
【0062】図15は、運転を停止して圧力容器42の
上蓋を取外し、蒸気乾燥器,気水分離器,燃料チャンネ
ルを順次外し、さらに制御棒を圧力容器の下方から抜き
出す。必要に応じて中性子計測管も圧力容器の下方から
抜き出して、炉心部を炉水で満たされた状態での、補修
施工中の圧力容器42の内部の断面図である。補修施工
の前にシュラウドの受けている中性子照射線当量、及び
亀裂上の欠陥の発生している位置と欠陥部を被覆する領
域の面積を測定しておく。次にシュラウド44内面の施
工対象部位に対して、施工対象部位表面の酸化皮膜を機
械的に除去すると同時に平均表面粗さを0.2 〜10μ
mの範囲に仕上げる。この機械的表面処理は、紙やすり
が電動回転によって、機械的に表面の酸化皮膜及び表面
の金属光沢を機械的に除去する処理である。
【0063】上記の機械的表面処理後、被覆板材を板材
固定治具を用いて欠陥部を被覆する施工当該領域に設置
する。
【0064】次に、図15および図16に示した構造を
有する施工装置をアクセスする。施工装置は、支持ピラ
ー53および伸縮機構を有する2次アーム54の先端に
具備した構造となっている。2次アーム54は支持ピラ
ーに垂直な方向への伸縮機構55を有し、かつアーム先
端は施工装置がスライドして移動可能なスライド機構5
6および垂直に導入されたスライド機構を施工当該部の
接合施工線に沿って施工装置をスライドさせる方向への
回転機構57を有している。この支持ピラー53および
2次アーム54によって、施工装置は被覆板材3とシュ
ラウド44とを接合させる施工当該部にアクセスされ
る。
【0065】次に、実施例1〜4に記述したように、被
覆板材3とシュラウド44内面との接合施工を行う。こ
こで、各種駆動/制御は遠隔操作室48内より操作され
る。オペレーティングフロア47上の遠隔操作室48内
には、実施例1〜3に記載の通電による接合を行う場合
は、電源や変圧器が設置され、実施例4に記載の機械振
動による接合を行う場合は、電源や超音波発振器が設置
される。図16および図18では一例として、実施例2
に述べた、両者に圧力付与機構を有する2個の電極を具
備した装置を示しているが、図17に示すように回転電
極16を具備した装置や、実施例1〜4に述べた他の装
置を具備しても良い。さらに、いずれの施工の場合で
も、支持ピラー導入,2次アームの駆動,電極あるいは
施工端子の位置調整及び駆動,付与する加圧力,施工状
況の監視,照明等の制御を含む各種制御系が、遠隔操作
室48内に設置されている。
【0066】また、水排除用チャンバを用いた施工の場
合は、上記2次アーム先端にチャンバが具備され、チャ
ンバ内のシールドガス注入,施工状況の監視,照明,水
排除,ガス注入,排ガスあるいは排塵,ガス流量監視,
ガス圧監視,温度監視,湿度監視等もまた同遠隔操作室
48に設置の各制御機構によって遠隔操作される。
【0067】ここで、圧力付与機構14によって電極あ
るいは施工端子直下の接合面に圧力を付与しつつ接合施
工を行う訳であるが、本実施例のような炉内施工の場
合、板材固定治具24やステージ25を含む接合装置は
クレーン49で昇降してアクセスするため、圧力を付与
した際に生じる反作用を封じる必要がある。炉内施工に
おける反作用を封じるための圧力を支持する手段を以下
に説明する。
【0068】シュラウド44の内面に対して、被覆板材
3を設置して上記の施工を行う場合、まず、図15に示
すように、板材固定治具24はその上部を上部格子板4
3に固定する。次に支持ピラー53は上部格子板43を
通過して炉心支持板45に差し込む形で挿入し、上部格
子板43と炉心支持板45によって固定される。上部格
子板43と炉心支持板45によって固定された支持ピラ
ー53は、固定部が支点となって、上記反作用を封じる
ための圧力支持部となり、図16に示すように、上記の
施工の際、圧力付与機構14によって施工当該部に圧力
を付与することが可能である。
【0069】また、シュラウド44の外面に対して、被
覆板材3を設置して上記の施工を行う場合、まず、板材
固定治具24はその上部をシュラウド付属あるいは周辺
の機器あるいは金具に固定する。次に図18に示すよう
に、圧力支持板58を具備した支持ピラー53を挿入し
て、圧力容器42の内面に対して圧力支持板42を設置
し、圧力容器42内面と接触させる。圧力容器42内面
と接触した支持ピラー53は、接触した圧力支持板58
が支点となって、上記反作用を封じるための圧力支持部
となり、上記の施工の際、圧力付与機構によって施工当
該部に圧力を付与することが可能である。
【0070】上記一連の施工は常に施工状況の監視機構
で監視する。最後に監視機構で補修施工部及びその周囲
に割れの発生がないことを確認して、補修施工が終了す
る。 (実施例6)本発明の実施例として、構造物に設置する
被覆板材を薄くして接合を行う場合の施工について、図
1,図19および及び図6を用いて以下に説明する。
【0071】実施例1〜5に述べた施工では、加圧力を
増すために、図4(a)(b)に示すように、被覆板材3
に突起部21を設けるか、あるいは図4(c)に示すよ
うに、構造物2に切欠き22を設けて被覆板材3の突起
部21と組み合わせるように板材3を設置して施工する
場合について説明したが、被覆板材3の板厚自体を薄く
して接合することも可能である。被覆板材3の板厚を薄
くすることによって、実施例1〜3に述べた通電や実施
例4に述べた機械振動が安定し、施工不具合が防止され
て、施工部の信頼性がより向上する。
【0072】本実施例では、実施例1に述べた施工方法
によって、板厚5〜40mmの構造物2に対し、板厚0.
2 〜10mmの被覆板材を設置し、施工条件として図1
9に示す条件範囲で施工した結果、構造物2と被覆板材
3は接合されたと同時に構造物2には新たな割れは発生
しなかった。
【0073】以上の施工によって、図6に示すように、
被覆板材3は構造物2に隙間なく接合され、構造物2の
亀裂1発生部は水環境から隔離され、応力腐食割れ等に
よる亀裂の進展は防止された。
【0074】(実施例7)本発明における中間層挿入施
工の一実施例として、構造物の被覆板材設置当該部に溶
射層を形成した後に、被覆板材を設置して接合を行う施
工について、図20〜図24を用いて以下に説明する。
【0075】図20(a)は、構造物の被覆板材設置当該
部に溶射層を形成した後に、被覆板材を設置して接合を
行った断面を示している。1.0×1020n/m2 以上
5.0×1027n/m2 以下の全中性子が照射された状
態でかつ亀裂上の欠陥1が存在しているSUS304ステンレ
ス鋼製の構造物2に対し、プラズマアーク等の手段によ
って、膜厚約50〜200μmの溶射層63を形成す
る。溶射層63の組成(重量%)は、C0〜0.02
%,Si0〜1.00%,Mn0〜2.00%,P0〜
0.0045%,Ni10.50〜15.00%,Cr1
6.50〜24.00%,Mo2.00〜3.00%,N0
〜0.22%,Nb0〜0.50%,Ti0〜0.50
%,Zr0〜0.50%,Pt0〜0.50%,Pd0〜
0.50%,残部Feの範囲が望ましいが、構造物2あ
るいは被覆板材3の材質に応じて、ステンレス成分でな
くてもよく、PtあるいはPdが含有しておれば良く、
例えばろう付け成分でもよい。
【0076】次に、SUS316L ステンレス鋼製の被覆板材
3を設置し、実施例1〜6に述べた接合施工を行う。
【0077】図20(b)には、上記接合部の拡大した
断面を示す。実施例1〜6に述べた接合施工の条件ある
いは状況によって、同図に示すように接合部15近傍の
構造物2と被覆板材3との間に隙間部59が形成される
場合がある。軽水炉炉内における高温水中での隙間構造
を有する部位では、隙間の状況によって隙間内の溶存酸
素濃度が増加し、応力腐食割れ発生の可能性が生じるこ
とがある。そのような場合、本実施例では、同隙間部5
9に水素吸着効果を有するPtあるいはPdを含有した
成分を有する溶射層63が形成されているため、隙間内
の溶存酸素濃度が低減され、応力腐食割れが防止され
る。
【0078】この接合部近傍の隙間部位における応力腐
食割れの防止としては、図20に示すように接合当該部
のみに溶射層63を形成するだけで良いが、図21に示
すように、被覆板材3の設置当該部全域に溶射層63を
形成して被覆板材3を接合させた場合、万一接合部内に
水が浸入しても、当初存在する亀裂上の欠陥1の応力腐
食割れの進展は上記の効果により防止される。
【0079】また、本実施例では溶射層63を挟んで接
合施工を行うので、構造物側の入熱がより小さくなり、
Heの拡散が防止されて構造物2の新たな割れの発生の
可能性がさらに低減される。
【0080】以上、本実施例では、構造物表面に溶射層
を形成して被覆板材を設置し、接合する施工について説
明したが、図22に示すように、溶射層の代わりに上記
成分を有する厚さ約50〜500μmの肉盛層64を形
成しても同様の効果を発揮する。さらに、図23に示す
ように、PtあるいはPdを含有した厚さ約50〜50
0μmの板状のインサート材65を挿入しても本実施例
と同様の効果を発揮する。
【0081】炉内施工において構造物表面に上記の溶射
層あるいは肉盛層を形成する、あるいは板状インサート
材を設置することが困難である場合、図27(a)に示
すように、あらかじめ被覆板材3に上記の溶射層63を
形成させておくか、あるいは同図(b)に示すように肉
盛層64を形成させておくか、あるいは同図(c)に示
すように板状インサート材65を取り付けておいて、被
覆板材3を施工当該部に設置し、接合施工を行えば良
い。
【0082】さらに、上記のように中間層を挿入する代
わりに、被覆板材3自体を上記成分としても良い。ま
た、図24に示すように、被覆板材3の構造物2の表面
に接する面を上記成分となるようにコーティングあるい
は表面処理による表面改質層66を形成しておき、その
後被覆板材3を設置して、接合施工を行っても良い。こ
の場合、表面改質層66の形成手段としては、溶射によ
って溶射層を形成する、あるいはメッキによってメッキ
層を形成する、あるいは、TIGアーク等によって肉盛
層を形成する、あるいは上記の手段による合金元素添加
の後レーザ光を照射して合金化層を形成する等の手段が
望ましい。ここで、表面改質層66を形成した後は、必
要に応じて被覆板材3を設置する前に機械的表面仕上げ
を行って、表面粗さ等を調整しておいた上で被覆板材3
を設置し、接合施工を行うことが望ましい。
【0083】以上の施工によって、被覆板材3は構造物
2に接合され、構造物2の亀裂1発生部は水環境から隔
離され、応力腐食割れ等による亀裂の進展は防止される
と同時に、施工後の隙間部での応力腐食割れの発生は防
止された。
【0084】(実施例8)本発明の実施例として、構造
物表面の上記被覆板材との接合当該部を含む領域に表面
溶融層を形成した後に、被覆板材を設置して接合を行う
施工について、図25を用いて以下に説明する。
【0085】図25は、構造物の被覆板材設置当該部に
表面溶融層を形成した後に、被覆板材を設置して接合を
行った断面を示している。1.0×1020n/m2 以上
5.0×1027n/m2 以下の全中性子が照射された状
態でかつ亀裂上の欠陥1が存在しているSUS304ステンレ
ス鋼製の構造物2に対し、レーザ光あるいはアーク光の
照射によって、深さ約50〜500μmの表面溶融層6
2を形成する。この表面溶融層62の形成に要する入熱
量が例えばTIGアーク,プラズマアーク,レーザ等の
いずれかをエネルギー源として、入熱量を1×101
1×103J/mmの範囲に制御した場合割れの発生が防
止されることは、特願平5−79254号に開示されている。
【0086】上記表面溶融層62内では、Heが蒸発し
て低減されるため、表面溶融層62を接触面として実施
例1〜7に記した被覆板材3の接合施工の際の構造物側
の割れ感受性は、さらに低減される。
【0087】以上の施工によって、被覆板材3は構造物
2に接合され、構造物2の亀裂1発生部は水環境から隔
離され、応力腐食割れ等による亀裂の進展は防止される
と同時に、接合部での割れ発生が防止された。
【0088】(実施例9)本発明の実施例として、構造
物表面の上記被覆板材との接合部の外周部を金属結合さ
せた施工について、図26を用いて以下に説明する。
【0089】図26は、構造物と被覆板材との接合部の
外周部に局部溶融によって金属結合させた断面を示して
いる。1.0×1020n/m2以上5.0×1027n/m2
以下の全中性子が照射された状態でかつ亀裂上の欠陥1
が存在しているSUS304ステンレス鋼製の構造物2に対
し、実施例1〜6あるいは実施例8に記した施工で被覆
板材を接合させた後、レーザ光あるいはアーク光の照射
によって、深さ約50〜500μmの局部溶融した金属
結合部61を形成する。この金属結合部61の形成に要
する入熱量については、実施例8と同様に例えばTIG
アーク,プラズマアーク,レーザ等のいずれかをエネル
ギー源として、入熱量を1×101〜1×103J/mmの
範囲に制御した場合割れの発生が防止されることが特願
平5−79254号に開示されている。
【0090】この接合面外周の金属結合部61の形成に
よって、構造物2と被覆板材3の接合強度が向上すると
同時に、実施例7で述べた隙間部が炉水環境と遮断さ
れ、隙間部での亀裂発生が防止される。
【0091】以上の施工によって、被覆板材3は構造物
2に接合され、構造物2の亀裂1発生部は水環境から隔
離され、応力腐食割れ等による亀裂の進展は防止される
と同時に、接合部の強度が向上し、接合部での割れ発生
が防止された。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、原子炉圧力容器内の中
性子照射を受けており、かつ亀裂上の欠陥が発生してい
る構造物に対して、亀裂進展を防止すると同時に補修時
の割れ発生を防止することが可能であり、原子力プラン
トの応力腐食割れによる事故の防止や、プラントの健全
性を長期化させるのに効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】水中で構造物に被覆板材を設置して、加圧通電
によって接合する施工の断面図。
【図2】構造物に被覆板材を設置した状況を表した図。
【図3】固定治具が被覆板材をホールドする方式を表し
た図。
【図4】突起部を設けた被覆板材を構造物に設置した断
面図。
【図5】1個の電極に加圧通電して接合する施工の施工
条件範囲。
【図6】構造物と被覆板材との接合施工が完了した図。
【図7】水排除チャンバを用いて水中でスポット状に接
合する施工の断面図。
【図8】2個の加圧電極を設置する方式を示した立体
図。
【図9】ステージ等の装置を設置して施工した状態を上
方向からみた断面図。
【図10】2個の電極に加圧通電して接合する施工の施
工条件範囲。
【図11】回転電極を用いた加圧通電による接合施工の
断面図。
【図12】回転電極を用いた加圧通電による接合施工の
施工条件範囲。
【図13】超音波発振を用いた摩擦抵抗による接合施工
の断面図。
【図14】超音波発振を用いた摩擦抵抗による接合施工
の施工条件範囲。
【図15】原子炉炉内構造物へアクセスする施工の断面
図。
【図16】シュラウド内面にアクセスする場合の、スポ
ット電極を具備した施工装置を表した断面図。
【図17】シュラウド内面にアクセスする場合の、回転
電極を具備した施工装置を表した断面図。
【図18】シュラウド外面にアクセスする場合の、支持
ピラーと施工装置を表した断面図。
【図19】薄板を用いた場合の、加圧通電して接合する
施工の施工条件範囲。
【図20】溶射層を中間層として挿入した場合の接合施
工部の断面図。
【図21】板材設置当該部全域に溶射層を形成した場合
の接合施工部の断面図。
【図22】肉盛層を中間層として挿入した場合の接合施
工部の断面図。
【図23】板状インサート材を中間層として挿入した場
合の接合施工部の断面図。
【図24】表面改質層を有する被覆板材を用いた場合の
接合施工部の断面図。
【図25】構造物に表面溶融部を形成した場合の接合施
工部の断面図。
【図26】外周部を金属結合させた施工部の断面図。
【図27】あらかじめ中間層を被覆板材に形成させた場
合の接合施工の断面図。
【図28】1個の電極に加圧通電する接合施工の原理を
表す断面図。
【図29】2個の電極に加圧通電する接合施工の原理を
表す断面図。
【図30】回転電極に加圧通電する接合施工の原理を表
す断面図。
【図31】超音波発振を用いた摩擦抵抗による接合施工
の原理を表す断面図。
【図32】隙間構造を有した接合部の断面図。
【図33】従来技術による、中性子照射を受けており、
かつ亀裂上の欠陥が発生している構造物に板材を被覆
し、アークによるスミ肉溶接施工を示した断面図。
【符号の説明】
1…き裂状の欠陥、2…中性子照射を受けた構造物、3
…被覆板材、4…アーク溶接トーチ、5…フィラー材、
6…アーク放電、7…スミ肉溶接部、8…構造物側の溶
接熱影響部、9…熱影響部に発生する欠陥、10…板材
に接触させて接合させる電極、11…構造物表面に接触
させる電極、12…変圧器、13…電源、14…圧力付
与機構、15…接合部、16…回転電極、17…振動
子、18…超音波発生器、19…共鳴器、20…施工端
子、21…突起部、22…切欠き部、23…電線、24
…板材固定治具、25…移動ステージ、26…スライド
機構、27…支持ピラー、28…アーム、29…被覆板
の凸部、30…ホールド部駆動用アーム、31…ホール
ド部駆動用アーム駆動機構、32…ホールド部、33…
水面、34…電極アクセス用チャンバ、35…絶縁部、
36…ガス注入機構、37…排水/排ガス機構、38…
超音波振動装置アクセス用チャンバ、39…ノズル、4
0…チャンバ駆動機構、41…振動子支持機構、42…
原子炉圧力容器、43…上部格子板、44…シュラウ
ド、45…炉心支持板、46…ジェットポンプ、47…
オペレーティングフロア、48…遠隔操作室、49…昇
降クレーン、50…被覆板固定治具昇降駆動機構、51
…炉内施工用支持ピラー昇降駆動機構、52…伝送系、
53…炉内施工用支持ピラー、54…2次アーム、55
…2次アーム駆動機構、56…移動ステージのスライド
機構、57…回転機構、58…圧力支持板、59…隙間
部、60…中間層、61…金属結合部、62…表面溶融
層、63…溶射層、64…肉盛層、65…インサート
材、66…表面改質層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 薩田 寿隆 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 中村 満夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 小沼 昭 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 小沼 勉 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 加藤 隆彦 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 玉井 康方 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 森沢 潤一郎 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 鈴木 国彦 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平8−1344(JP,A) 特開 平4−289183(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04G 23/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉圧力容器内部を構成する高エネルギ
    ー粒子線照射を受けた構造材の補修方法であって、補修
    する部分を含む領域を板材で覆い、この被覆板材と被補
    修構造物との接触面に局所的に圧力を付与し、該圧力を
    付与した部分にエネルギーを加えて前記接触面に熱エネ
    ルギーを生じさせることにより前記被覆板材と前記被補
    修構造物とを接合する方法において、前記被覆板材と前
    記被補修構造物との間にPd及びPtの少なくとも一方
    を0.05〜2.0wt%の範囲で含む材料からなる中間
    層を介在させ、その状態で前記接合を行なうことを特徴
    とする原子炉炉内構造物の補修方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の補修方法において、前記
    被覆板材と前記被補修構造物のいずれか一方に、前記中
    間層として肉盛層,溶射層及びろう付け層のいずれかを
    形成することを特徴とする原子炉炉内構造物の補修方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の補修方法において、前記
    中間層としてインサート材を挿入することを特徴とする
    原子炉炉内構造物の補修方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の補修方法において、前記
    中間層を介在させた状態での前記被覆板材と前記被補修
    構造物との接合を、接合施工当該部を加圧しながら電流
    を流して、発生する抵抗熱で加熱して接合する方法と、
    回転電極を用いて構造物に前記被覆板材を電縫溶接する
    方法、又はスポット状に接合する方法のいずれかによっ
    て行なうことを特徴とする原子炉炉内構造物の補修方
    法。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の補修方法において、前記
    中間層を介在させた状態での前記被覆板材と前記被補修
    構造物との接合を、接合施工当該部を加圧しながら前記
    被補修構造物と前記被覆板材との接合面を機械的に摩擦
    し、摩擦抵抗によって接合すること、前記摩擦抵抗によ
    って接合を行なうにあたり、接合当該部を加圧しながら
    機械振動を与えて接合面を機械的に摩擦すること、前記
    機械振動を与えて接合 面を機械的に摩擦して接合を行な
    うにあたり、高周波エネルギーを磁気歪現象によって機
    械振動に変換し、得られた機械振動を接合当該部に与え
    て接合面を機械的に摩擦することを特徴とする原子炉炉
    内構造物の補修方法。
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