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JP3295259B2 - 耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製シートおよびその製造方法 - Google Patents
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JP3295259B2 - 耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製シートおよびその製造方法 - Google Patents

耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製シートおよびその製造方法

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JP3295259B2
JP3295259B2 JP29908394A JP29908394A JP3295259B2 JP 3295259 B2 JP3295259 B2 JP 3295259B2 JP 29908394 A JP29908394 A JP 29908394A JP 29908394 A JP29908394 A JP 29908394A JP 3295259 B2 JP3295259 B2 JP 3295259B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非常に優れた耐傷付き性
を有し、さらには透明性を有するポリプロピレン系樹脂
製シートおよびその製造方法に関する。詳しくは、食品
向け熱成形容器、蓋、トレー、ブリスターパック、文具
ファイル、クリヤケース等の折り曲げ加工品、医薬錠
剤、食品等のPTP(プレス スルー パック)等の用
途に使用するシートであって、光学特性、機械特性等に
優れ、さらにシート表面の耐傷付き性に優れたシートで
あり、しかも厚肉シートであっても高速で、光学特性、
機械特性、耐傷付き性等に優れるポリプロピレン系樹脂
製シートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、ポリプロピレン製シートの透明性を
改良する一般的な方法としては、ポリプロピレンシート
を急冷する方法、造核剤を添加して結晶化を制御する方
法等が知られている。例えば、結晶性ポリプロピレンに
脂環族系石油樹脂等を配合し、急冷成形してスメチカ構
造を有する透明性ポリプロピレンシートの製造方法(特
開昭51−91955号公報、特開昭55−27203
号公報)、結晶性ポリプロピレンにソルビトール系造核
剤を添加したポリプロピレンの改質方法(特開昭56−
45934号公報)、Tダイから溶融押出した配向促進
剤を含むポリプロピレン原反を圧延する方法(特開昭5
8−185224号公報)等が提案されている。しか
し、これらの方法ではシート厚が厚くなると均一な冷却
が行われなくなり、光学特性が改良されないという問題
点を有している。また、ポリプロピレン製シートの成形
方法としては、従来、エアーナイフ法、ポリシングロー
ル法等がある。しかし、エアーナイフ法は、シートをエ
アー圧でロールに圧着しているだけであるので、シート
の偏肉や平滑性を矯正できず、かつ急冷ができないので
高透明性シートにはならない。また、成形速度も遅く、
厚肉シートには不向きである。一方、ポリシングロール
法は、Tダイから押出された膜状の溶融樹脂を一対の金
属ロールの接線で挟圧してシート化する方法であり、光
沢のあるシートが成形できるものの、一対の金属ロール
間の接線部で挟圧しているのみであるため成形速度を上
げることが難しく、かつ急冷ができず、高透明性シート
を得ることができない。さらに、透明性に優れたポリプ
ロピレン製シートの成形方法としては、ポリプロピレン
膜を特殊な水冷装置で急冷成形する方法(特開昭61−
189920号公報)、金属製無端ベルトと冷却ロール
間に導入し、透明性シートを製造する方法(特開平5−
286020号公報、特開平6−55613号公報)等
が提案されている。しかし、これらの方法では、光学特
性は改良されるが、溶融樹脂を水冷する際、水中にシー
トを引き込むときの波打ちによりシートに横縞が発生す
る欠点がある。さらに、昨今の生産性の向上から、厚肉
シートをより高速で、かつ機械的強度が高く、高透明な
シートの製造という要望を充分に満足するものであると
はいえない。さらに、ポリプロピレン系重合体を主成分
とするシートは、高透明であればあるほどシート表面に
傷が付き易くなる欠点がある。すなわち、シート同士が
こすれたり、あるいはシート表面に布、紙等が擦れたり
するとシート表面に擦り傷が残ってしまう。ポリプロピ
レン系重合体を主成分とするシートの耐傷付き性を改良
する方法として、特開昭61−118448号公報、特
開昭63−17947号公報、特開平5−163393
号公報に記してあるように、ポリプロピレン系重合体に
ポリスチレン、ゴム状物質あるいはメタクリル樹脂等を
配合している。しかしながら、かような方法ではシート
の透明性が不十分であったり、コスト高であったりす
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐傷
付き性が良好で、さらには厚肉シートを熱劣化なく、色
相が良く、高速で成形が可能であり、光学特性(透明
性、光沢性)、外観特性(表面平滑性)および機械特性
が格段に優れたポリプロピレン系樹脂製シートおよびそ
の製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題に
鑑み、鋭意検討した結果、特定のポリプロピレン樹脂組
成物を使用することにより、格段に優れた耐傷付き性を
有したポリプロピレン系樹脂製シートが得られることを
見出した。その効果はシートの透明性が良好なほど大き
いことが判り、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレ
ンランダム共重合体またはそれらの混合物100〜50
重量%、ポリエチレン系重合体50%までの混合組成物
から選択された少なくとも1種からなるポリプロピレン
系重合体を主成分とする樹脂成分100重量部に対し
て、(1)リン系酸化防止剤0.01〜0.5重量部お
よび/またはフェノール系酸化防止剤0.01〜0.5
重量部、(2)グリセリン脂肪酸エステル0.01〜
0.5重量部および脂防酸アミド0.01〜0.5重量
部、並びに(3)造核剤0.02〜1.0重量部を含む
組成物から得られ、(a)厚み0.05〜2.0mm、
(b)透明性(クラリティー)65%以上、(c)透明
性(ヘイズ)15%以下、(d)曲げこわさ7500〜
25000Kgf/cm2 、の性状を満足することを特
徴とする、耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製シートで
ある。また、本発明は、プロピレン単独重合体、プロピ
レン−エチレンランダム共重合体またはそれらの混合物
100〜50重量%、ポリエチレン系重合体50重量%
までの混合組成物から選択された少なくとも1種からな
るポリプロピレン系重合体を主成分とする樹脂成分10
0重量部に対して、(1)リン系酸化防止剤0.01〜
0.5重量部および/またはフェノール系酸化防止剤
0.01〜0.5重量部、(2)グリセリン脂肪酸エス
テル0.01〜0.5重量部および脂防酸アミド0.0
1〜0.5重量部、並びに(3)造核剤0.02〜1.
0重量部、を含む組成物を用いて、少なくとも、(A)
Tダイから膜状の溶融樹脂を押出し、(B)該膜状の溶
融樹脂を、キャストロールと該ロールに沿って円孤状に
形成された無端ベルトとの間で挟圧し、前記ロールと前
記無端ベルトは加熱油で内部から加熱されて、前記ロー
ルと前記無端ベルトの温度が60〜110℃になってお
り、(C)挟圧されて得られたシートを冷却媒体で急冷
して得られるシートが下記(a)〜(d):(a)厚み
0.05〜2.0mm、(b)透明性(クラリティー)
65%以上、(c)透明性(ヘイズ)15%以下、
(d)曲げこわさ7500〜25000Kgf/cm
2 、の性状を満足することを特徴とする耐傷付き性ポリ
プロピレン系樹脂製シートの製造方法である。
【0005】以下、本発明を詳述する。本発明における
樹脂成分は、ポリプロピレン系重合体100〜50重量
%およびポリエチレン系重合体50重量%までの混合組
成物から選択された少なくとも1種である。該ポリエチ
レン系重合体の配合量が、50重量%を超えるとシート
の剛性が低下し、シートが軟くなり好ましくない。ま
た、該樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は0.
1〜10g/10分、好ましくはMFR0.5〜8g/
10分の範囲で選択されることが望ましい。MFRが
0.1g/10分未満では押出加工性が悪く、MFRが
10g/10分を超えるとシート成形時あるいはシート
の熱成形時にドローダウン発生し好ましくない。
【0006】本発明で用いるポリプロピレン系重合体と
は、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とする
α−オレフインとの共重合体であり、具体的にはプロピ
レン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレ
ンランダム共重合体またはこれらの混合物が挙げられ
る。該ポリプロピレン系重合体のメルトフローレート
(MFR)は0.1〜10g/10分、好ましくは0.
3〜8g/10分、さらに好ましくは0.5〜5g/1
0分である。該MFRが、0.1g/10分未満である
と押出加工が悪くなり、10g/10分を超えるものは
シート成形時あるいはシートの熱成形時にドローダウン
が発生し、好ましくはない。これらの中でも機械的強度
に重点をおいた場合には、プロピレン単独重合体が好ま
しく、透明性に重点をおいた場合には、プロピレン−エ
チレンランダム共重合体が好ましい。また、機械的強度
と透明性の両特性をバランスよく保持するためには、プ
ロピレン単独重合体95〜70重量%、プロピレン−エ
チレンランダム共重合体5〜30重量%の割合で混合す
ることが好ましい。該ポリプロピレン単独重合体は、沸
騰n−ヘプタン不溶分が92〜99重量%であることが
好ましい。さらに好ましくは94〜98重量%である。
また、プロピレン−エチレンランダム共重合体のエチレ
ン含有量は、0.3〜10重量%、好ましくは1〜7重
量%である。
【0007】本発明で用いるポリエチレン系重合体とは
高・中密度ポリエチレン(HDPE、MDPE)、線状
低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチ
レン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDP
E)、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチ
レン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレ
ンー(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が
挙げられる。これらのポリエチレン系重合体の密度は
0.88〜0.97g/cm3、好ましくは0.89〜
0.94g/cm3、メルトフローレート(MFR)
は、0.1〜10g/10分、好ましくは0.3〜0.
7g/10分、さらに好ましくは0.3〜5.0g/1
0分である。これらの中でも、LDPE、LLDPE、
VLDPEが好ましい。
【0008】本発明で使用するリン系酸化防止剤とは一
般的にはリンがフォスファイト構造またはフォスフォナ
イト構造の有機化合物からなる酸化防止剤であれば望ま
しく、特に限定するものではないが、次のような化合物
から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
すなわち、有機フォスファイト系酸化防止剤としては、
トリス(ジブチルフェニル)フォスファイト(商品名:
イルガフォス168、チバガイギー社製)、サイクリッ
クネオペンタテトライルビス(オクタデシルフォスファ
イト)(商品名:アデカスタブPEP−8M、旭電化工
業社製)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペ
ンタエリスリトールジフォスファイト(商品名:アデカ
スタブPEPー24G、旭電化工業社製;商品名:ウル
トラノックス626、ジェネラル・エレクトロニクス社
製)、トリス(ミックスドモノおよびジーノニルフェニ
ル)フォスファイト(商品名:アデカスタブ329K、
旭電化工業社製)等が挙げられ、特にトリス(ジブチル
フェニル)フォスファイトが好ましい。また、有機フォ
スフォナイト系酸化防止剤としては4,4′−ビフェニ
レンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)(商品名:サンドスタブP−EPQ、サン
ド社製)等が挙げられる。該酸化防止剤の添加量は樹脂
成分100重量部に対して、0.01〜0.5重量部、
好ましくは0.03〜0.2重量部であり、該酸化防止
剤の添加量が、0.01重量部未満では酸化防止効果が
得られず、シートのMFRが増大し、シート成形時また
は熱成形時にシートのドローダウンが発生するので好ま
しくない。また、添加量を0.5重量部を超えて添加し
ても効果が向上せず、コスト高となる。
【0009】本発明で使用するフェノール系酸化防止剤
は特に限定するものではないが、次のような化合物から
選択された少なくとも1種であることが好ましい。具体
的にはテトラキス(メチレンジブチルヒドロキアナイ
ト)メタン(商品名:イルガノックス1010、チバガ
イギー社製)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシル)
ベンゼン(商品名:イルガノックス1330、チバガイ
ギー社製)、オクタデシルブチルヒドロキシハイジロシ
アナイト(商品名:イルガノックス1076、チバガイ
ギー社製)、特にテトラキス(メチレンジブチルヒドロ
キアナイト)メタン、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシル)ベンゼンが好ましい。該酸化防止剤の添加量は
樹脂成分100重量部に対して、0.01〜0.5重量
部、好ましくは0.03〜0.2重量部であり、該酸化
防止剤の添加量が、0.01重量部未満では酸化防止効
果が得られず、シートのMFRが増大し、シート成形時
または熱成形時にシートのドローダウンが発生するので
好ましくない。また、添加量を0.5重量部超えて添加
しても効果が向上せず、コスト高となる。該リン系酸化
防止剤、フェノール系酸化防止剤は各々単独で使用して
も良いが併用することにより、酸化防止効果は増大す
る。
【0010】本発明に使用するグリセリン脂肪酸エステ
ルは、通常モノグリセライドとも言われ、ステアリン酸
モノグリセライド(融点約65℃)、オレイン酸モノグ
リセライド(融点約40℃)、リノール酸モノグリセラ
イド等が本発明で使用されるが、ステアリン酸モノグリ
セライドが特に効果的に使用される。また、本発明に使
用する脂肪酸アミドは、不飽和脂肪酸アミドおよび飽和
脂肪酸アミドであり、不飽和脂肪酸アミドはオレイン酸
アミド(融点72〜77℃)、エルカ酸アミド(融点7
9〜84℃)等が代表的であり、飽和脂肪酸アミドはス
テアリン酸アミド(融点99から105℃)、ベヘニン
酸アミド(融点105〜115℃)等がある。さらに、
本発明においては融点が90℃以下である不飽和脂肪酸
アミドが好ましく、とりわけオレイン酸アミドが効果的
に使用ができる。グリセリン脂肪酸エステルおよび/ま
たは脂肪酸アミドの添加量は樹脂成分100重量部に対
して各々0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03
〜0.35重量部であり、添加量が0.01重量部未満
では耐傷付き性効果が得られないので好ましくない。ま
た、添加量を0.5重量部を超えて添加しても効果は向
上せず、逆にシート表面へのブリード量が増大し、べた
つき等の弊害を招くので好ましくない。
【0011】本発明に使用する造核剤は、タルク、有機
カルボン酸またはその金属塩、有機リン酸金属塩、ソル
ビトール系化合物の中から選択された少なくとも1種で
あることが好ましい。該有機カルボン酸の金属塩として
は、ヒドロキシージ(t−ブチル安息香酸)アルミニウ
ム(商品名:Al−PTBBA、シェル化学社製)等が
挙げられる。該有機リン酸金属塩としては、リン酸ビス
(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム(商品名:アデ
カスタブNA−10、旭電化工業社製)、リン酸−2,
2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ナトリウム(商品名:アデカスタブNA−11、旭
電化工業社製)等が挙げられる。また、ソルビトール系
化合物としては、1・3、2・4ージ(P−メチルベン
ジリデン)ソルビトール(商品名:ゲルオールMD,ゲ
ルオールMDR、新日本理化社製)、1・3、2・4−
ジベンジリデンソルビトール(商品名:EC−1、イー
シー化学社製)、1・3、2・4ージ(P−エチルベン
ジリデン)ソルビトール(商品名:NC−4、三井東圧
化学社製)等が挙げられ、シートの透明性を優先する場
合にはソルビトール系化合物、剛性を優先する場合には
有機リン酸金属塩を使用するのが好ましい。また、アデ
カスタブNA−21(商品名:旭電化工業社製)は透明
性と剛性とがバランスされた造核剤であり、本発明に好
適に使用される。該造核剤の添加量は樹脂成分100重
量部に対して、0.02〜1.0重量部、好ましくは
0.05〜0.4重量部であり、該造核剤の添加量が
0.02重量部未満では透明性が得られず、1.0重量
部を超えて添加しても効果が向上せず、コスト高とな
る。
【0012】本発明で使用する昨今のポリプロピレン系
重合体およびポリエチレン系重合体は、触媒除去工程を
経ていないので、一般的には酸性触媒成分が微量存在す
るので酸吸収剤を添加することが望まれる。該酸吸収剤
としては、高級脂肪酸の周期律表第I族金属塩、高級脂
肪酸の周期律表第II族金属塩、ハイドロタルサイト類等
が挙げられる。該高級脂肪酸の周期律表第I族金属塩と
しては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウ
ム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられ、高級脂肪酸
の周期律表第II族金属塩としては、ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。また、ハイド
ロタルサイト類の具体的な例としては、商品名:DHT
−4A(協和化学社製)が挙げられる。該酸吸収剤の添
加量は樹脂成分100重量部に対して、0.005〜
0.5重量部、好ましくは0.05〜0.2重量部であ
る。該酸吸収剤の添加量が0.005重量部未満では酸
吸収効果が発揮されず、成形機の腐食を招く虞を生ず
る。また、添加量を0.5重量部を超えて添加しても、
それ以上の効果の向上が望めず、コスト高になるため好
ましくない。
【0013】本発明の透明ポリプロピレン樹脂シートの
製造は、上記組成物を用いて、少なくとも、(A)Tダ
イから膜状の溶融樹脂を押出し、(B)該膜状の溶融樹
脂をキャストロールと該ロールに沿って円弧状に形成さ
れた無端ベルトとの間で挟圧することにより得ることが
できる。
【0014】以下、本発明のシートの製造方法を図面に
基づいて詳述する。図1は、本発明のシートの一実施例
の製造工程概略図を示したもので、主に(A)押出機に
具備したTダイから膜状の溶融樹脂を押出す押出工程、
(B)該膜状の溶融樹脂をキャストロールと該ロールに
沿って円弧状に形成された無端ベルトとの間で挟圧する
第1冷却工程、(C)水冷等のように冷却媒体で急冷す
る第2冷却工程、(D)アニール工程、(E)巻取り工
程または(F)切断工程(図示せず)等から構成され、
これらの工程を経て製品化される。図2は、(B)該膜
状の溶融樹脂をキャストロールと該ロールに沿って円弧
状に形成された無端ベルトとの間で挟圧する第1冷却工
程の拡大図を示したものである。
【0015】この図2に示される第1冷却工程等を以下
に説明する。図1の押出工程において、所定のポリプロ
ピレン系樹脂を押出機原料投入口から供給し、押出機先
端のTダイ1から押出された膜状の溶融樹脂2は、第1
冷却工程のキャストロール3と該ロールに沿って円弧状
に形成された無端ベルト4との間の円弧状挟圧部8で挟
圧されシート9が形成される。該無端ベルト4をキャス
トロール3に円弧状に沿わせるために無端ベルト4はロ
ール5、ロール6およびロール7に掛合され、テンショ
ンをコントロールすることができ、かつキャストロール
3とロール5との間隔距離で得られるシート9の厚みが
調整される。また、ロール6の位置を動かすことにより
円弧状に沿わせる距離が調整できる。前記キャストロー
ル3と該ロールに沿って円弧状に形成された無端ベルト
4の温度はポリプロピレン系樹脂の軟化温度以下、ガラ
ス転移温度以上であり、好ましくは30〜110℃であ
る。すなわち、キャストロール3と無端ベルト4は加熱
油等で内部から加熱された、もしくは必要により冷媒に
より冷却されたロール5、ロール7とによってポリプロ
ピレン系樹脂の軟化温度以下、ガラス転移温度以上に保
たれている。次いで前記円弧状挟圧部8より送り出され
るシート9は、好ましくは第2冷却工程の水槽で2次冷
却される。この2次冷却される際の温度は、ポリプロピ
レン系樹脂の軟化温度以下、好ましくはポリプロピレン
系樹脂の熱変形温度から軟化温度の温度範囲に前記キャ
ストロール3と無端ベルト4の温度設定により制御され
る。軟化温度を超える温度だとシートが軟らかすぎてキ
ャストロール3や無端ベルト4からの剥離性が低下し、
シート表面に微少な傷が多発したり、後の工程でしわが
発生して良好なシートができなくなる虞が生じる。前記
キャストロール3および/または無端ベルト4の材質
は、通例金属製ロールもしくは金属製無端ベルトで構成
されるが、場合によってはフッ素樹脂等の樹脂コーテン
グしてもよい。該金属製ロールもしくは金属製無端ベル
トの表面粗度は0.5μm以下、好ましくは0.3μm
以下のものが好適である。表面粗度は0.5μm以下に
することによりキャストロール3および/または金属無
端ベルト4の表面は鏡面状態になり、シートの透明性や
表面平滑性が得られる。また、キャストロール3には、
無端ベルト4を挟圧させるための金属ロール5の表面は
耐熱性のシリコンゴムないし弾性を有するエラストマー
で被覆してもよい。使用するエラストマーの硬度は55
〜85度が適当である。前記円弧状挟圧部8で挟圧され
たシート9は(C)冷却媒体で急冷する第2次冷却工程
で直ちに冷却媒体で急冷される。該冷却媒体は特に限定
はないが、水を使用するのが簡便である。冷却媒体の温
度は水の場合50℃以下、好ましくは25℃以下であ
る。また、(C)冷却媒体で急冷する第2次冷却工程の
後、シートは必要に応じて(D)アニール工程へ導かれ
る。アニール工程でシートのカールの矯正が可能である
と共に、ポリプロピレン系樹脂の結晶化が充分に進んで
いないため、シートの剛性を改善できる。アニール工程
は加熱オーブンもしくは加熱金属ロールでよい。加熱温
度は使用するポリプロピレン系樹脂の熱変形温度−40
℃、好ましくは−30℃から熱変形温度+15℃、さら
に好ましくは+5℃の温度範囲である。熱変形温度−4
0℃未満の温度ではカールの修正や剛性の改善効果が小
さく、熱変形温度+15℃を超える温度だとシートが軟
化状態になり透明性や光沢性等の外観を損ねるようにな
る。前記(D)アニール工程を経たシートは(E)巻取
り工程で巻取られて製品にされる。また、場合により、
前記(D)アニール工程を経たシートは(F)切断工程
で所望の寸法に裁断され、スタッカー等に載置され、製
品として出荷される。
【0016】本発明で使用するシート成形装置の成形速
度(シート引取速度)は特に制限はないが、ベルト法成
形法なので従来の速度より大幅に高速化が可能であり、
好ましくは3〜30m/分である。
【0017】このような工程を経て得られるシートは、
(a)厚み0.05〜2.0mm、(b)透明性(クラ
リティー)が65%以上、(c)透明性(ヘイズ)が1
5%以下、(d)曲げこわさが7500〜25000K
gf/cm2の性状を満足することが肝要である。すな
わち、シート厚みが、(a)0.05〜2.0mmの範
囲、(b)透明性(クラリティー)が65%以上、
(c)透明性(ヘイズ)が15%以下、(d)曲げこわ
さが7500〜25000Kgf/cm2の性状を満足
する本発明のシートは、従来法によるシートに比較し
て、非常に優位性を有するものである。上記シートの厚
みは0.05〜2mm、好ましくは0.07〜1.8m
m、さらに好ましくは0.1〜1.5mmの範囲で選択
される。シートの厚みが0.05mm未満ではフイルム
となり、シートとしての機能が発揮されない。また、シ
ートの厚みが2.0mm超では、シートが厚くなり、要
望するシートの透明性が向上しないか、高速化のメリッ
トが減殺される虞が生じる。また、本発明のシートの特
徴は光学特性に優れており、透明性(クラリティー)は
65%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは
80%以上である。透明性(ヘイズ)は15%以下、好
ましくは10%以下、さらには7%以下が好ましい。本
発明のシートは機械特性、特にシートが硬くて腰がある
のが特徴であり、曲げこわさが7500〜25000K
gf/cm2、好ましくは10000〜22000Kg
f/cm2の範囲である。本発明のシートの耐傷付き性
は良好であり、シートの表面を布、紙等で擦っても傷は
付かない。さらにシート同士で擦る過酷な状況でもシー
ト表面には傷がつき難い。この光学特性および機械特
性、さらには耐傷付き性を備えたシートは上述の本発明
で規定する組成物とシート製造工程で初めて得られるも
のである。
【0018】本発明のシートの他の特徴は、前記(C)
冷却媒体で急冷する第2次冷却工程で(e)スキン層の
厚みが20%以下、(f)コアー層の構造を微細結晶構
造に形成せしめることにより、透明性を保持しながら、
機械的強度に優れるシートとすることができる。すなわ
ち、図2においてTダイ1から押し出された膜状の溶融
樹脂2を鏡面仕上げのされたキャストロール3と該ロー
ルに沿って円弧状に形成された無端ベルト4との間の円
弧状挟圧部8で挟圧して、膜状の溶融樹脂2の両面に表
面平滑なスキン層を形成させる。該各スキン層の厚さは
全シート厚さの20%以下が好ましく、20%を超える
とシートの透明性が低下する虞を生じる。一方、シート
のコアー層は円弧状挟圧部、および円弧状挟圧部出口近
傍では完全には冷却固化しない状態で、(C)冷却媒体
で急冷することによりコアー層を微細結晶構造とする。
このような微細結晶構造は、透明性を阻害する球晶がな
いのが特徴である。本発明に使用する組成物以外、例え
ば造核剤無添加のポリプロピレン系樹脂を使用した場
合、このコアー層は微細結晶構造ではなく大きいもので
は10μm程度の球晶がありシートの透明性が悪くなる
虞が生じる。該シートのスキン層およびコアー層は偏光
光学顕微鏡で200倍程度で観察できる。また、コアー
層の微細結晶構造あるいは球晶は電子顕微鏡で3500
倍程度で観察できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例で説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例1〜13および比較例1〜6 図1に示す装置にてポリプロピレン系樹脂製シートまた
はポリエチレン系樹脂製シートをそれぞれ製造した。使
用したポリプロピレン樹脂組成物およびシート製造条件
は、各々表1〜5に示す通りである。またシート成形装
置仕様は次の通りである。 [シート成形装置仕様] 押出機スクリュー:直径=90mm、L/D=36 Tダイ:面長=1250mm、ダイリップ=1〜3
mm 金属製無端ベルト:SUS製、厚み0.8mm、表
面粗度0.3mμ キャストロール:表面粗度0.3mμ 冷却媒体で急冷工程:水槽(長さ4m、温度15
℃) アニール工程:金属製ロール(100℃) 上記条件で得られたシートを評価した各物性を表1〜5
に示した。なお、本発明で使用される物性値は以下の試
験法および測定法による。 [試験法および測定法] メルトフローレイト:JIS K 6758に準
拠、230℃、2.16Kg荷重 透明性(クラリティー):(株)村上色彩研究所の
クラリティーメーターTM−1D型によるシートの透過
光量測定 透明性(ヘイズ):ASTM D 1003ー61
準拠 曲げこわさ:JIS K 7106準拠 熱変形温度:JIS K 7207準拠 軟化温度:JIS K 6758準拠 耐傷付き性:染色堅ろう度試験用摩擦試験機II型・
スガ試験機(株)(JIS L 0823準拠)、摩擦
子200g/300回 耐傷付き性判定 ◎:良好(傷もなく、表面変化なし) ○:良(傷が殆ど付かない) △:不良(多少傷が付く) ×:不良(傷付きがひどい)
【0020】比較例7〜8 図1に記載された金属製無端ベルト法シート成形装置を
使用しないで、通常のエアーナイフ法にてシート成形し
た。すなわち、Tダイから溶融状態で押出された膜状の
樹脂を上記実施例で使用したキャストロールと同じタイ
プのロールに円弧状に沿わせ、キャストロール反対側か
らエアーを吹き付けた。使用したポリプロピレン系樹脂
成分および、得られたシート物性を表6に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【発明の効果】本発明では、特定のポリプロピレン樹脂
組成物と特定のシート成形方法を使用することにより、
厚肉シートでも、光学特性(透明性、光沢性)、外観特
性(表面平滑性)、耐傷付き性および機械特性が格段に
優れるシートが得られる。また、厚肉シートでも、高速
で、格段に優れた光学特性、耐傷付き性と機械特性を有
するシートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシートを製造するための製造工程概
略図。
【図2】 金属製無端ベルト法シート製造装置の第1冷
却工程の拡大図。
【符号の説明】
1:Tダイ、2:溶融樹脂、3:キャストロール、4:
無端ベルト、5,6,7:ロール、8:円弧状挟圧部、
9:シート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/51 C08K 5/51 C08L 23/10 C08L 23/10 // B29K 23:00 B29K 23:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 23:10 C08L 23:10 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 B29C 43/22 C08K 5/103 C08K 5/13 - 5/138 C08K 5/20 C08K 5/51 - 5/5397 C08L 23/10 - 23/14

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン単独重合体、プロピレン−エ
    チレンランダム共重合体またはそれらの混合物100〜
    50重量%、ポリエチレン系重合体50%までの混合組
    成物から選択された少なくとも1種からなるポリプロピ
    レン系重合体を主成分とする樹脂成分100重量部に対
    して、 (1)リン系酸化防止剤0.01〜0.5重量部および
    /またはフェノール系酸化防止剤0.01〜0.5重量
    部、 (2)グリセリン脂肪酸エステル0.01〜0.5重量
    および脂防酸アミド0.01〜0.5重量部、並びに (3)造核剤0.02〜1.0重量部 を含む組成物から得られ、(a)厚み0.05〜2.0mm、 (b)透明性(クラリティー)65%以上、 (c)透明性(ヘイズ)15%以下、 (d)曲げこわさ7500〜25000Kgf/cm
    2 の性状を満足することを特徴とする、耐傷付き性ポリプ
    ロピレン系樹脂製シート。
  2. 【請求項2】 前記ポリプロピレン系重合体が、プロピ
    レン単独重合体95〜70重量%とプロピレン−エチレ
    ンランダム共重合体5〜30重量%からなる請求項
    記載の耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製シート。
  3. 【請求項3】 前記グリセリン脂肪酸エステルがステア
    リン酸モノグリセライドであることを特徴とする請求項
    1または2に記載の耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製
    シート。
  4. 【請求項4】 前記造核剤が、タルク、有機カルボン酸
    またはその金属塩、有機リン酸金属塩、ソルビトール系
    化合物の中から選択された少なくとも1種であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の耐傷付
    き性ポリプロピレン系樹脂製シート。
  5. 【請求項5】 プロピレン単独重合体、プロピレン−エ
    チレンランダム共重合体またはそれらの混合物100〜
    50重量%、ポリエチレン系重合体50 重量%までの混
    合組成物から選択された少なくとも1種からなるポリプ
    ロピレン系重合体を主成分とする樹脂成分100重量部
    に対して、 (1)リン系酸化防止剤0.01〜0.5重量部および
    /またはフェノール系酸化防止剤0.01〜0.5重量
    部、 (2)グリセリン脂肪酸エステル0.01〜0.5重量
    および脂防酸アミド0.01〜0.5重量部、並びに (3)造核剤0.02〜1.0重量部、 を含む組成物を用いて、少なくとも、 (A)Tダイから膜状の溶融樹脂を押出し、 (B)該膜状の溶融樹脂を、キャストロールと該ロール
    に沿って円孤状に形成された無端ベルトとの間で挟圧
    し、前記ロールと前記無端ベルトは加熱油で内部から加
    熱されて、前記ロールと前記無端ベルトの温度が60〜
    110℃になっており、 (C)挟圧されて得られたシートを冷却媒体で急冷 して
    得られるシートが下記(a)〜(d): (a)厚み0.05〜2.0mm、 (b)透明性(クラリティー)65%以上、 (c)透明性(ヘイズ)15%以下、 (d)曲げこわさ7500〜25000Kgf/cm
    2 、 の性状を満足することを特徴とする耐傷付き性ポリプロ
    ピレン系樹脂製シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ポリプロピレン系重合体が、プロピ
    レン単独重合体95〜70重量%とプロピレン−エチレ
    ンランダム共重合体5〜30重量%からなる請求項
    記載の耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製シートの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記グリセリン脂肪酸エステルがステア
    リン酸モノグリセライドであることを特徴とする請求項
    またはに記載の耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製
    シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記造核剤が、タルク、有機カルボン酸
    またはその金属塩、有機リン酸金属塩、ソルビトール系
    化合物の中から選択された少なくとも1種であることを
    特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の耐傷付
    き性ポリプロピレン系樹脂製シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記冷却媒体が水である請求項5〜8の
    いずれか1つに記載の耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂
    製シートの製造方法。
  10. 【請求項10】 冷却媒体で急冷されたシートがさら
    に、(D)アニール工程に導かれる請求項5〜9のいず
    れか1つに記載の耐傷付き性ポリプロピレン系樹脂製シ
    ートの製造方法。
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