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JP3298665B2 - 溶接継手用高疲労強度鋼板の製造方法 - Google Patents
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JP3298665B2 - 溶接継手用高疲労強度鋼板の製造方法 - Google Patents

溶接継手用高疲労強度鋼板の製造方法

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JP3298665B2 JP20395292A JP20395292A JP3298665B2 JP 3298665 B2 JP3298665 B2 JP 3298665B2 JP 20395292 A JP20395292 A JP 20395292A JP 20395292 A JP20395292 A JP 20395292A JP 3298665 B2 JP3298665 B2 JP 3298665B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接継手用高疲労強度鋼
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】構造物の軽量化、大容量化の要求に応
え、構造用鋼板の高強度化が急速に進んでいる。しかし
ながら、繰り返し荷重を受ける構造物では、降伏強度の
みならず疲労強度を考慮しなければならず、高強度化の
ニーズに応えることができない場合があり、疲労強度の
向上が切望されている。特に、溶接構造物では溶接止端
部から疲労亀裂の発生する場合が多く、鋼材の強度を向
上させても疲労強度は殆ど向上しない。
【0003】溶接構造物の疲労強度は、主として溶接部
の止端部形状によって支配されることが知られており、
溶接部の止端部処理等の疲労強度向上策が適用されるこ
とがある。しかし、止端部処理は、構造物の建造工数を
増大させるばかりでなく、溶接部位によっては止端部処
理が実施できない場合も多く、鋼材面から疲労強度向上
が切望されている。
【0004】溶接継手部の疲労破壊は一般に応力集中の
大きな溶接止端部から発生するため、発生特性は溶接止
端部形状に大きく影響され、鋼材組成、組織には殆ど影
響しないことが知られている。そこで、鋼材組織を制御
して疲労特性を向上させるためには、止端部で発生した
板厚方向への疲労亀裂の伝播を遅延させることが有効で
ある。
【0005】一方セパレーションを発生させて、疲労伝
播を遅延させる手段は応力の大きい範囲でしかセパレー
ションは発生せず、またこの効果は応力範囲の小さい領
域でしか有効でないため、工業的に疲労強度を向上させ
るのは難しい。
【0006】本発明者らは特願平4−68497号明細
書においてAc3 点以上の温度の鋼片もしくは鋼板を、
圧延中途中水冷時の板厚をt0 とした時、表層から少な
くとも板厚方向に0.05×t0 (mm)以上の領域を2
℃/sec以上の冷速でAr1 点以下に急冷して、その後、
当該表層部がAr3 点以上の温度から圧延を開始もしく
は再開し、(Ac3 点−100)℃点からAc3 点の温
度範囲で圧延を終了し、その後Ac3 点以上に復熱させ
ることなく少なくともAr1 点までを当該表層部を1℃
/sec以上の冷速で冷却し、鋼板表裏面から少なくとも板
厚の5%以上の範囲にわたって、隣接する結晶粒同士で
結晶方位の等しい粒から構成されるコロニーのアスペク
ト比(長軸径/短軸径の比)が4以上でかつその短軸径
が5μm以下の組織を得る疲労特性の優れた鋼板の製造
方法を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶接部の疲
労強度を向上させるために、疲労亀裂の初期過程の伝播
を阻止し得る製造技術を提供することを課題とするもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、Ac3
点以上の温度の鋼片もしくは鋼板を、圧延中途中水冷時
の板厚をt0 、製品板厚をtとした時、表から少なく
とも板厚方向に2×t0 /t(mm)以上、0.3×t0
以下の表層領域を2℃/sec以上の冷速でAr1点以下ま
で急冷して、その後、当該表層領域がAr3 以下の温度
から圧延を再開し、(Ac3 −50)℃からAc3 ℃の
範囲で圧延を終了し、その後、当該表層領域をAc3
以上に復熱させることなく少なくともAr1 点まで
℃/sec以上の冷速で冷却し、更に(Ac1 −100)℃
から(Ac1 )℃の範囲で120秒以上滞留させながら
Ac3 以上の温度にさせた後、10℃/sec以上の冷速で
急冷したことを特徴とする溶接継手用高疲労強度鋼板の
製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において対象とする構造用
鋼は、通常の溶接構造用鋼が所用の材質を得るために定
めている添加元素の種類と量を含む鋼である。
【0010】これ等の各成分元素とその添加理由と量を
以下に示す。Cは、鋼の強度を向上する有効な成分とし
て添加するものであるが、0.20%を超える過剰な含
有量では、2相域圧延時の変形抵抗を増して圧延を困難
にするばかりか、溶接部に島状マルテンサイトを析出
し、鋼の靭性を著しく劣化させるので、0.20%以下
に規制する。
【0011】Siは溶鋼の脱酸元素として必要であり、
また強度増加元素として有用であるが、1.0%を超え
て過剰に添加すると、鋼の加工性を低下させ、溶接部の
靭性を劣化させる。また、0.01%未満では脱酸効果
が不十分なため、添加量を0.01〜1.0%に規制す
る。
【0012】Mnも脱酸成分元素として必要であり、
0.3%未満では鋼の清浄度を低下し、加工性を害す
る。また鋼材の強度を向上する成分として0.3%以上
の添加が必要である。しかし、Mnは変態温度を下げる
ので、過剰の添加により2相域圧延温度が下がりすぎ、
変形抵抗の上昇をきたすので、2.0%を上限とする。
【0013】Al及びNは、Al窒化物による鋼の微細
化の他、圧延過程での固溶、析出により、鋼の結晶方位
の整合及び再結晶に有効な働きをさせるために添加す
る。しかし、添加量が少ない時にはその効果がなく、過
剰の場合には鋼の靭性を劣化させるので、Al:0.0
01〜0.20%、N:0.020%以下に限定する。
以上が、本発明が対象とする鋼の基本成分であるが、好
ましくはNb0.2%以下、Ceq0.4%以下を含む
ことができる。更に母材強度の上昇あるいは、継手靭性
の向上の目的のため、要求される性質に応じて、合金元
素を添加する場合は、変態温度を下げすぎると2相域で
の変形抵抗が増し、圧延が困難になるので、合金の添加
量としては、Ni,Cr,Mo,Cu,W,Co,V,
Ti,Zr,Ta,Hf,希土類元素,Y,Ca,M
g,Te,Se,Bを1種類以上添加してよいが、合計
で4.5%以内に規制する。
【0014】溶接部では、疲労亀裂が溶接止端部から発
生することが知られている。これは、溶接のミクロ欠陥
の存在を100%否定しきれず、疲労亀裂の発生を阻止
するのは困難である。また鋼板表層部に隅肉溶接される
と熱影響により鋼板の組織、硬さが変化するが、熱影響
範囲外で、溶接金属より硬い層が存在すると、疲労亀裂
先端の塑性域の広がりが阻止されるため、疲労亀裂伝播
が大幅に遅延する。この亀裂伝播の遅延は、周囲の硬さ
分布により決まる。
【0015】発明者らの知見によると疲労亀裂先端にお
いて、図1に示す硬さ分布で疲労亀裂伝播試験繰り返
した結果、表層部(前記表面から少なくとも板厚方向に
2×t 0 /t(mm)以上、0.3×t 0 以下の領域)の
硬さとこれより内部の硬さの差がビッカース硬さHv
(10)で50ポイント以上あると、疲労亀裂伝播を大
きく遅延できることがわかった。
【0016】本発明では板厚の2mm以上、30%以下の
範囲にわたって硬さの差を設けるが、溶接部の熱影響幅
以上の領域で周囲より硬ければよい。実験によると対象
とする隅肉溶接止端部の熱影響幅が1mm〜1.5mmであ
るので、2mm以上とした。
【0017】また板厚の30%までで板厚方向へ進展す
る疲労破壊の寿命の大部分をしめるので、30%以上硬
くする必要がない。また板中央部の板厚30%以上を硬
くすると、著しく靭性が劣化する。従って板厚30%以
下とした。
【0018】鋼板表層部に本発明の組織を形成せしめる
ためには、例えば、圧延中に鋼板表面を水冷し、Ar1
点以下とすることで一旦フェライト変態させてしまい、
冷却によっても殆ど温度の低下しない板厚中心部の顕熱
を利用して、表層部のフェライト組織を昇温させながら
更に圧延を行い、表層部を1℃/sec以上の冷速で冷却
し、表層部に残留転位密度の高い改質組織を形成する。
【0019】更に(Ac1 −100)℃−(Ac1 )℃
の範囲で120秒以上滞留させながらAc3 以上の温度
にさせた後10℃/sec以上の冷速で冷却すると、120
秒以上の滞留によって加工フェライト粒は成長して粒径
大となり、更にγ相を得て、10℃/sec以上の急冷によ
ってマルテンサイトに相変態し、焼入性向上をもたら
す。
【0020】図は本発明における加工熱履歴を示し、
は本発明の鋼板の表層部及び内部の粒径変化を模式
的に示す。10は外層、11は内層を示す。
【0021】
【実施例】供試鋼の成分を表1に、製造条件及び得られ
た材質を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】
【表7】
【0029】表2の試験番号1〜12は本発明例、試験
番号13〜24は比較例を示している。本発明例による
ものは各部位の平均硬さが表層部と内部とは、ビッカー
ス硬さHv(10)で50ポイント以上の差を有し、疲
労強度、継手靭性に優れている。
【0030】一方比較例13は所定の途中冷却、圧延過
程を経ているが、Ac1 −100〜Ac1 の間の滞留時
間が短かかったので、旧オーステナイト粒径が小さく充
分な硬さが得られなかった。
【0031】比較例14,17〜24は昇温中圧延とな
っていないため表層部での残留転位密度が内部とかわら
ず、その後熱処理を適用した14,19,20において
も表層部のみ粗大オーステナイト粒とする作用を活用で
きなかった。比較例14は熱処理の保持温度が高かった
ため表層部の硬度は高くなったが、内部も硬化してしま
い、靭性、伸びが充分ではなかった。
【0032】比較例15は昇温圧延後の最高復熱温度が
Ac3 以上となり、残留転位密度が減少してしまったた
め、その後Ac1 −100〜Ac1 での保持でも粒の成
長は顕著でなく、旧オーステナイト粒径を粗大化でき
ず、充分な表層硬さを得られなかった。
【0033】比較例16は所定の昇温圧延を経たもの
の、熱処理の保持温度が低かったため、マルテンサイト
率が充分でなく所定の硬さレベルに達しなかった。
【0034】比較例17,18,21〜24は熱処理を
適用していないので、表層部の硬さは内部とかわらず一
般的な疲労強度レベルとなっている。
【0035】比較例19は熱処理を適用しているので表
層硬化されているが、その厚みが30%以上あり、加工
時の必要荷重の改善がされていない。
【0036】更に比較例20は熱処理後の冷速が小さか
ったためマルテンサイトが得られず、表層部が硬化され
ていない。尚、表層硬化させているにもかかわらず化学
成分で硬化をさせていないので溶接継手靭性の劣化はな
い。
【0037】
【発明の効果】本発明によると表層部に溶接金属より硬
い層が存在すると、疲労亀裂先端の塑性域の広がりが阻
止され、疲労亀裂伝播が大幅に遅延するので、溶接継手
用高疲労強度鋼としてその用途が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】伝播遅延と硬さの差との関係を示す図表であ
る。
【図2】本発明の加工熱履歴の図表である。
【図3】本発明の鋼板組織の模式図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−271856(JP,A) 特開 平5−271860(JP,A) 特開 平6−49596(JP,A) 特開 平6−49595(JP,A) 特開 平3−187738(JP,A) 特開 平4−141517(JP,A) 特開 平3−104820(JP,A) 特開 昭53−80317(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/02 C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ac3 点以上の温度の鋼片もしくは鋼板
    を、圧延中途中水冷時の板厚をt0 、製品板厚をtとし
    た時、表から少なくとも板厚方向に2×t0 /t(m
    m)以上、0.3×t0 以下の表層領域を2℃/sec以上
    の冷速でAr1点以下まで急冷して、その後、当該表層
    領域がAr3 以下の温度から圧延を再開し、(Ac3
    50)℃からAc3 ℃の範囲で圧延を終了し、その後
    当該表層領域をAc3 点以上に復熱させることなく少な
    くともAr1 点まで1℃/sec以上の冷速で冷却し、更
    に(Ac1 −100)℃から(Ac1 )℃の範囲で12
    0秒以上滞留させながらAc3 以上の温度にさせた後、
    10℃/sec以上の冷速で急冷したことを特徴とする溶接
    継手用高疲労強度鋼板の製造方法。
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