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JP3299227B2 - エッチング加工性に優れたFe−Ni系リードフレーム用材料 - Google Patents
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JP3299227B2 - エッチング加工性に優れたFe−Ni系リードフレーム用材料 - Google Patents

エッチング加工性に優れたFe−Ni系リードフレーム用材料

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JP3299227B2 JP22294299A JP22294299A JP3299227B2 JP 3299227 B2 JP3299227 B2 JP 3299227B2 JP 22294299 A JP22294299 A JP 22294299A JP 22294299 A JP22294299 A JP 22294299A JP 3299227 B2 JP3299227 B2 JP 3299227B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、良好なエッチング特性を有する
Fe−Ni系リードフレーム用材料に関するものであり、と
くに極点図で示される集合組織において立方体方位(10
0)<001>とその双晶方位である(221)<212>との割合を好
適に制御することにより、エッチングの加工精度ならび
に加工速度等のエッチング特性に優れるリードフレーム
用材料を提供しようとするものである。なお、本発明
は、シャドウマスク用材料としても使用することができ
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、フラットパッケージに代表される
ように、リードフレームの多ピン化が進んでおり、微細
化加工における要求水準はますます高くなっている。一
般に、リードフレーム用素材は、打ち抜き加工で製造さ
れるパンチング用途のものと、塩化第二鉄溶液によるエ
ッチング用途のものとの2つに分けられるが、後者の方
がより微細な使途に供される。
【0003】さて、リードフレームを用いたIC半導体
パッケージは一般に、以下のような工程を経て製造され
る。 1.素材 (リードフレーム材) のフォトエッチングによ
るエッチング加工、 2.リードフレームを樹脂モールドにマウントするマウ
ント工程、 3.リードフレームと半導体素子を導線で接続するため
のボンディング工程、 上記工程1では、良好なエッチング性が要求され、工程
2ではプレス成形性が要求され、そして工程3ではめっ
き性およびはんだ性が要求される。また、加工後の強度
も必要であり、これはボンディング時に反りや曲がりな
どの変形を起こりにくくすることと、取り扱い時の変形
による歩留り低下を防ぐために必要である。さらには、
リードに流れる電流による発熱を抑え、半導体素子の動
作の安定性を確保するためには電気伝導性も必要であ
る。
【0004】こうした理由により、エッチング処理にま
わされるリードフレーム用材料については、エッチン
グ特性に優れること、プレス加工時における加工性に
優れること、良好なはんだ性、めっき性を有し、半導
体素子とのボンディング時に支障がないこと、加工後
の強度が高く変形しにくいこと、電気伝導性が高く、
実作動温度である200 ℃以下での熱膨張係数が低いこと
などの諸特性に優れることが要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年のFe−Ni系合金
は、電導性が高く半導体素子の安定性向上、放熱性の改
善、リードの形状改善 (薄肉化) による実効比抵抗の減
少などの点で大きな進歩を遂げており、さらにはプレス
性やめっき性、はんだ付け性などの改善も顕著である。
しかしながら、このFe−Ni系合金のエッチング性の改善
についてはあまり検討されていないのが実情である。と
ころが、このエッチングの工程は、製品品質のばらつ
き, 製品歩留りに与える影響が大きく、実装技術の高精
細化や多ピン化の動向と併せて、今後は重要な研究課題
と考えられる。
【0006】本発明の目的は、エッチング加工精度なら
びに加工速度等のエッチング特性に優れたFe−Ni系リー
ドフレーム用材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題に
ついて検討する中で、エッチング加工の際に得られるエ
ッチング面の観察、およびエッチング加工の速度の指標
であるエッチングファクター等の観察結果から、エッチ
ング加工精度についてはエッチング面の内壁面に認めら
れるファセットが緻密で均一であることが重要であり、
また、エッチングファクターが大きいことがエッチング
加工速度の点から重要であることがわかった。さらに、
エッチングは、圧延方向からの角度によるエッチング速
度の角度依存性 (異方性) があり、この角度依存性を加
工精度の範囲内でできるだけ抑えることが有効であり、
そしてエッチングをより迅速に行うためにはエッチング
速度の速い材料であることが必要となることがわかっ
た。
【0008】そこで発明者らは、上述した知見に基づき
鋭意研究を続けた結果、Fe−Ni系合金のリードフレーム
材料のエッチング性については、エッチング時の加工
精度を左右する要因と、エッチング速度に影響する要
因とに分類して把握することが有効であり、そのために
は成分組成とくに結晶粒の配向による集合組織を制御す
ることが有効であるとの結論に達した。即ち、本発明
は、Ni:30〜80wt%を含有し、残部が実質的にFeよりな
る合金であって、板厚中央および板厚の少なくとも80%
以上の領域において、板面法線方向の(111) 極点図にお
ける立方体方位である(100)<001>とその双晶方位である
(221)<212>とのX線強度比 (X線カウント数比) Ir:(1
00)<001>/(221)<212>が 1.0〜15であることを特徴とす
るエッチング加工性に優れたFe−Ni系リードフレーム用
材料である。なお、本発明において、上記X線強度比Ir
の望ましい比率は1.5 〜10、より好ましくは3.0 〜10の
範囲と言える。
【0009】また、本発明において、上記合金の主要成
分組成が、C:0.1 wt%以下、Si:0.5 wt%以下、Mn:
1.0 wt%以下、Cr:0.5 wt%以下、Ni:40〜60wt%およ
び残部が主としてFeと不可避的不純物からなるものにす
ることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成につき、エッ
チング時の加工精度、エッチング速度の両面からその詳
細を明らかにする。 エッチング時の加工精度について エッチング時の加工精度、即ちエッチング精度を高める
方法としては、まず結晶粒度の制御、つまり結晶粒を微
細かつ均一にしてエッチング面のざらつきを抑える方法
が考えられる。これは、結晶粒が大きくなると、エッチ
ング面を構成しているファセットサイズが大きくなり、
その結果、エッチング面の凹凸が大きくなってリード部
の形状、特にエッチング面と素地との界面がジクザク状
となって好ましくない。例えば、JIS G 0551の規定によ
るG.S.No. を適正範囲 (6 〜12)内に制御することも有
効な方法と考えられる。
【0011】また、このエッチングの精度を高めるに
は、集合組織の制御も有効であり、これは結晶粒度の制
御のようにエッチング面のザラツキを抑えて加工精度を
向上させようとするものではなく、エッチング後の断面
形状そのものを改善する試みである。こうした断面形状
は、エッチングファクターと呼ばれる指標に影響を受け
る。即ち、エッチングファクターは横方向に進行するエ
ッチング (サイドエッチング) に対して、エッチング深
さがどれだけ進んでいるかを知るための目安であり、こ
の値が大きいほど板厚方向にエッチングが進み易く加工
精度上望ましいものとなる。このエッチングファクター
に影響する因子としては、エッチング条件からのものと
しては、エッチング液の比重、温度、エッチングスプレ
ーの圧力、等が挙げられ、一方、材料の要因としては、
集合組織、表面性状 (レジスト膜との密着性) などが挙
げられる。
【0012】このような知見の下で、本発明者らは、材
料側の要因として大きな影響を与える集合組織に着目し
て検討を行った。その結果、エッチングファクターは、
立方体方位(100)<001>を発達させると高まることがわか
った。そして、そのエッチングファクターは極点図形に
おいて立方体方位である(100)<001>とその双晶方位であ
る(221)<212>との割合 (比率) に強く影響されることも
わかった。即ち、図1に示すように、エッチングファク
ターは、この比率 (X線強度比Ir:(100)<001>/(221)<
212>) が高くなるに従って次第に増大し (エッチングフ
ァクターF=kln (Ir)、ただし、k=0.12) 、Irの対数
と直線関係にあることがわかった。従って、このX線強
度比Irの高いものがエッチング加工の精度が良好とな
る。
【0013】ただし、このX線強度比Irを極端に大きく
してゆくと、別の問題が発生する。それは、エッチング
の角度依存性、すなわち圧延方向からの角度に応じてエ
ッチング速度が異なる現象 (異方性) が生じることであ
る。例えば、極めて高い(100)<001>の集積があると、エ
ッチング性が圧延方向と圧延直角方向に進行し易くな
り、ファセット形状がある特定の方向を持ち、全体の形
状が加工形状に従わなくなり、図1中に定義した真円度
(1〜5段階) に差が生じるという問題が生じる。この
真円度に与える影響は、X線強度比:Irが15以上になる
と強く現われる。従ってエッチング加工精度の観点から
見たX線強度比Irの適正範囲は 1.0〜15、好ましくは
1.5〜10、より好ましくは3.0 〜10の範囲となる。
【0014】 エッチング速度について (図2) エッチング速度の向上は、目標とする加工形状にするた
めの時間を短縮し生産性の向上に寄与するだけでなく板
厚方向のエッチング量が大きくなるためエッチングファ
クターを高め、その結果として加工精度の向上に寄与す
る。ここで、エッチング時の加工速度 (エッチング速
度) を高めるためには、エッチング速度の支配因子、即
ち、エッチング条件 (エッチング液の比重、温度、スプ
レー圧力等) 、材料因子 (化学成分の影響、集合組織)
を制御する必要がある。これらの因子のうち、化学成分
についてはC, Si, Crが影響するが、これらはいずれも
エッチング速度を低くする作用を有するので、できるだ
け低い方が望ましい。一方、上述したように、集合組織
の制御もまたエッチング速度を左右する重要な要素であ
る。即ち、優先溶解方位である(100)<001>方位の集積が
エッチング速度を高めるために必要な要素であり、エッ
チング速度の向上のためにはこの方位の集積を高める必
要がある。
【0015】なお、これまでも、エッチング加工性につ
いて、結晶方位に着目した技術は、特開平3-97831 号公
報等にも言及されており、「X線回折による結晶面の相
対X線強度比において(200)面の強度が50%以上である
Fe-Ni 系」という記述がある。ただし、このディフラク
トメータでのBragg の法則に基づく回折線強度は、多結
晶組織がもつ集合組織のうち特定の情報しか得られず、
一般的には(111),(200),(220),(311) 面等の特定の低指
数面の回折強度が得られるにすぎない。例えば、実際に
エッチング特性にとって重要な双晶方位である(221) 面
は、Fe-Ni 合金のような面心立方格子の回折において
(X線回折の種々の強度因子により)現れてこない。そ
こで、本発明では、このような点を考慮し、エッチング
特性に対して重要と考えられた極点図における二つの方
位、すなわち(100)<001>とその双晶方位である(221)<21
2>との関係からエッチング性を整理し、さらに有効な指
標とすることにしたものである。
【0016】なお、上記材料は、例えば、Ni:30〜80wt
%を含有し残部が実質的にFeよりなる合金を、常法に従
って処理して得た冷間圧延材の焼鈍に当たり、最終圧延
の前に、焼鈍温度:900 〜1150℃、均熱時間:5 〜60秒
の中間焼鈍を施し、その後、少なくとも50%以上の冷間
圧延を行なった後、焼鈍温度:700 〜900 ℃、均熱時
間:60〜600 秒の最終焼鈍を施すことにより製造するこ
とができる。また、その後、必要に応じ、用途に応じ
て、数%から20%の範囲内の調質圧延を行ない、製品の
硬さを調整する。最終焼鈍条件において均熱時間を長く
するのはエッチング優先方位である(100)<001>の発達を
促すためである。なお、上記製造方法において、各焼鈍
条件は、図7のa,b,c およびd に図示された範囲内で行
うことが好ましい。
【0017】さて、本発明者らの知見によれば、エッチ
ング速度とエッチング加工精度とに影響するエッチング
ファクターは対応関係にあり、これも上述したと同様の
指標:X線強度比Irに依存し、このIrが大きくなるに従
いエッチング速度が増大する。従って、リードフレーム
材のエッチング性を評価する場合、エッチングファクタ
ーのみを評価基準として考えれば問題ないものと予想さ
れるが、以下に述べる理由からエッチング速度の観点か
ら適正範囲を限定する必要がでてくる。即ち、図2に示
すように、エッチング速度は、エッチングファクターと
同様、X線強度比Irの対数に比例して向上し、X線強度
比Irが1以下になるとエッチング速度が急激に低下す
る。このため安定したエッチング速度を確保するには、
X線強度比Irが3以上の材料を用いることが望ましい。
ただし、この強度比Irが一定値以上の大きさになると問
題が生じ、局部的なエッチング速度の均一性が失われ
る。例えば、局部的にエッチング速度の速い領域と遅い
領域ができ、これにより形状の精度が悪化する。このた
め、これを抑えるために適度なインヒビターの役割をす
る双晶方位(221)<212>の存在が必要であり、その上限は
ほぼIrで15である。
【0018】以上説明したように、良好なエッチング加
工精度とエッチング速度を有するリードフレーム材料と
して具備すべき要素としては、結晶粒が十分に微細で
かつ均一であること、エッチングを阻害する微量成分
を抑制すること、集合組織において極点図形における
X線強度比Ir:(100)<001>/(221)<212>が適正な範囲に
あること、が挙げられる。
【0019】このことから、本発明は、エッチング加工
精度とエッチング速度の両面からリードフレーム材とし
て好ましいエッチング特性を有する範囲として次の範囲
を限定する。すなわち、本発明は、Ni:30〜80wt%を含
有し、残部が実質的にFeよりなる合金であって、板厚中
央および板厚の少なくとも80%以上の領域において、板
面法線方向の(111) 極点図における立方体方位である(1
00)<001>とその双晶方位である(221)<212>とのX線強度
比Ir (X線カウント数比) (100)<001>/(221)<212>が1.
0 〜15であるリードフレーム用材料としたのである。
【0020】本発明において、X線強度比Irの測定条件
および定義は次の通りである。すなわち、試料板表面に
おいてschulzの反射法による(100) 極点測定を表1の測
定条件で実施し、これにより得られた極点図をもとに(1
00)<001>方位のX線強度と(221)<212>方位のX線強度を
求める。ここで、それぞれのX線強度は最大X線強度
(最大X線カウント数) から求め、その強度を15等分
し、得られた極点図から(100)<001>および(221)<212>に
対応する強度に該当する等高線強度を読み取り、この強
度をそれぞれのX線強度と定義する。そして、X線強度
比Irは、このようにして求められた(100)<001>方位およ
び(221)<212>方位それぞれのX線強度をもとに、以下の
式に基づいて求めたものである。 Ir=立方体方位(100)<001>のX線強度/双晶方位(221)<
212>のX線強度
【0021】
【表1】
【0022】以上の条件により得られた(100)<001>方位
および(221)<212>方位それぞれのX線強度比をもとに、
以下の式に基づいて求めたものである。 Ir=立方体方位(100)<001>のX線強度/双晶方位(221)<
212>のX線強度
【0023】これらの関係に基づく種々の代表的な極点
図形を図3〜図6に示す。これらの図はそれぞれ、表3
の試料, , , 合金に対応する極点図である。例
えば、図3の試料合金は、X線強度比Irが1.4 で本発
明に適合する例であって、エッチング後のエッチング孔
の性状は肌荒れ、真円性とも良好である。ただし、やや
エッチングファクター、エッチング速度が小さく加工精
度が最適ではなく、わずかに加工精度不良が発生してい
る。また、図4の試料合金もまた本発明に適合する例
であって、X線強度比Irは3.5 で適正範囲である。そし
て、エッチング後のエッチング孔の性状は肌荒れ、真円
性とも良好であり、また、エッチングファクター、エッ
チング速度とも十分で加工精度の不良は発生していな
い。ただし、図5の試料合金は、X線強度比Irが0.79
と低く、本発明不適合の例であって、エッチングファク
ター、エッチング速度ともやや低くエッチング加工精度
が悪い。
【0024】一方、図6の試料の合金は、X線強度比
Irが21.2と大きすぎるため本発明不適合の例であり、エ
ッチング孔の真円性が悪く、またエッチング面の肌荒れ
が発生するためリードフレーム素材として不適格であ
る。
【0025】本発明はこのような極点図形による方位成
分の適正範囲を規定し、それによりリードフレーム用素
材のエッチング加工精度を改善しようとするものである
が、そのためには次のような製造条件を採用することが
有効である。まず、所定の成分組成の合金材を鋳造し、
これを常法に従って熱間圧延し、必要に応じて再結晶焼
鈍は酸洗等を施したのち、例えば中間冷間圧延を行い、
その後、少なくとも50%以上の冷間圧延を行なう最終圧
延前に中間焼鈍を施す。この中間焼鈍は、立方体方位(1
00)<001>の発達を制御するために行うものである。この
中間焼鈍は 900〜1150℃の温度で行う。その温度が低す
ぎる場合( <900 ℃)、最終製品での立方体方位が発達
しすぎて、双晶方位(221)<212>の割合が低くなってしま
うことから、エッチング面の肌荒れが生じたり、真円性
が乱れるといった問題が生じる。相対的に双晶方位の割
合が少なくなることにより、いわゆるエッチングのイン
ヒビターの効果がなくなり、ある特定の面の方向に急速
にエッチングが進むため、このような現象が生じるもの
と考えられる。一方、中間焼鈍の温度が高温の場合( >
1150℃) 、立方体方位の発達が悪くエッチング速度が低
下し、リードフレームにおけるフォトファブリケーショ
ンエッチング時において加工精度が低下する。
【0026】また、この中間焼鈍における均熱時間は、
5 〜60秒の範囲が好適であり、この時間が5秒よりも短
い場合には回復・再結晶が十分になされず、混粒状態の
組織のままとなりエッチング加工精度が低下する。一
方、この時間が60秒よりも長い場合には粗粒となり、立
方体方位の発達が低下し、やはり混粒組織となるために
エッチング加工精度の低下を招く。
【0027】次に、本発明にあっては、上述した中間焼
鈍の条件のみならず、さらに最終焼鈍の条件についても
規制することが有効である。即ち、その最終焼鈍は、(1
00)<001>の発達を促すとともに製品の結晶粒を微細かつ
均一に整え、エッチング速度を維持するとともに加工精
度を損なわないようにするものであって、700 〜900℃
の焼鈍温度で、60〜600 秒の均熱時間で処理することが
有効である。その理由は、かかる最終焼鈍において、焼
鈍温度が700 ℃よりも低い場合、再結晶が不十分とな
り、一方、900 ℃よりも高い場合、粗粒化しエッチング
加工精度が低下するからである。
【0028】なお、この焼鈍のための均熱時間は、個々
の結晶粒の成長および結晶方位の発達の程度に応じて60
〜600 秒の範囲内が好ましい。例えば、その均熱時間が
短い( <60秒) と立方体方位の発達が不十分となり、ま
たエッチング速度の低下により加工精度の悪化が生じ
る。一方、この均熱時間が長い( >60秒) 場合は、結晶
粒が粗大化するほか、立方体方位に対し双晶方位の方が
発達しすぎてしまい、やはり加工精度が低下する。
【0029】これらの焼鈍条件については、適性範囲と
いうものがあり、図7のa,b,c,d で囲まれた領域が好適
である。
【0030】次に、本発明の成分範囲の限定理由につい
て述べる。 C:Cは、0.01wt%以上含有すると炭化物が析出しエッ
チング速度を低下させる。また、耐力が上昇するととも
にスプリングバックが大きくなることから、成型時の加
工性を劣化させる。このことから、Cは0.01wt%以下に
限定した。Si:Siは、脱酸成分の一つであるが、これが
多くなるとCと同様エッチング速度を低下させる。ま
た、それ自体の偏析によるエッチングの不均一によりエ
ッチング速度がばらつきリード形状を悪化させる。従っ
て、Si量は0.5 wt%以下に限定した。 Mn:MnもSi同様、脱酸成分の一つであるが、熱間加工性
に有害なSと結合してMnSを形成することから、適量の
添加は熱間加工性の改善に有効である。一方、添加量が
多すぎると熱膨張係数を高めるため、半導体素子との熱
膨張係数の差が大きくなって基盤材として不適当にな
る。このことを考えると、適正な範囲は0.05〜1.0 wt
%、好ましくは 0.1〜1.0 wt%、より好ましくは 0.5〜
1.0 wt%である。 Ni:Niは、本発明材料の主要構成元素であり、この含有
量が30wt%より少ないと熱膨張係数が大きくなり、ま
た、マルテンサイト変態を生じるおそれがある他、エッ
チングの不均一を生じて加工精度が劣化する。ただし、
80wt%より多くなるとやはり熱膨張係数が増大し、半導
体素子の基盤材として不適当になる。好ましいNi含有量
の範囲は30〜60wt%、より好ましくは40〜50wt%であ
る。 Cr:Crは、耐火物やスクラップ等の原料から不可避的に
混入する元素であり、これが高くなると熱膨張係数が増
大するとともに、エッチング速度が低下する。このた
め、Cr量は 0.5wt%以下に限定した。
【0031】また、本発明において、上記X線強度比Ir
を特定する領域に関し、板厚中央および板厚の少なくと
も80% (板面側を板厚中心部側) に限定した理由は、調
質圧延 (通常20〜40%の圧下率) によって、板表面の集
合度が低下することから、この部分を除く領域における
集合度を特定する方が板全体の平均をよりよく示すこと
ができるからである。なお、調質圧延後、SR処理 (応
力除去焼鈍) を行うが、上記集合組織には影響しない。
【0032】
【実施例】表2に示される成分の本発明合金の鋼塊を、
真空脱ガスプロセスにより溶製した後、熱間圧延により
5mm の熱延板とし、これを表4に示す条件で冷間圧延お
よび焼鈍を繰り返して製造し、0.22t の製品厚さに調整
した後、実際のフォトエッチングプロセスを経てリード
フレーム製品とした後評価を行った。表中1 〜5 が本発
明の製造条件より得られた試料であり、6 〜10は比較材
である。6 〜8 はX線強度比Irの値が低くエッチングフ
ァクターが小さく、エッチング速度が低いためエッチン
グ精度不良が多く発生している。また、9 についてはX
線強度比が高すぎエッチング形状の不良(真円性の劣
化)、エッチング面の肌荒れが発生している。さらに、
10、11についてはそれぞれC,Siの範囲が規定範囲を外れ
るためエッチング速度の低下とエッチング面の肌荒れを
生じエッチング精度不良の発生が増えている。なお、本
発明により得られたリードフレーム製品のエッチング後
の特性を評価したところプレス性、メッキ性ならびには
んだ付け性に関してはいずれも良好であった。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、と
くにエッチング加工精度ならびにエッチング加工速度等
のエッチング特性の良好なFe−Ni系リードフレーム用材
料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線強度比 (Ir) とエッチングファクターなら
びにエッチング異方性 (真円度) との関係を示すグラフ
である。
【図2】X線強度比 (Ir) とエッチング速度との関係を
示すグラフである。
【図3】表3, 試料No. の極点図である。
【図4】表3, 試料No. の極点図である。
【図5】表3, 試料No. の極点図である。
【図6】表3, 試料No. の極点図である。
【図7】本発明で採用する焼鈍条件の適正範囲を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−302793(JP,A) 特開 平6−172928(JP,A) 特開 平6−264190(JP,A) 特開 平1−247559(JP,A) 特開 平3−97831(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:30〜80wt%を含有し、残部が実質的
    にFeよりなる合金であって、板厚中央および板厚の少な
    くとも80%以上の領域において、板面法線方向の(111)
    極点図における立方体方位である(100)<001>とその双晶
    方位である(221)<212>とのX線強度比Ir:(100)<001>/
    (221)<212>が 1.0〜15であることを特徴とするエッチン
    グ加工性に優れたFe−Ni系リードフレーム用材料。
  2. 【請求項2】 上記合金の主要成分組成が、C:0.1 wt
    %以下、Si:0.5 wt%以下、Mn:1.0 wt%以下、Cr:0.
    5 wt%以下、Ni:40〜60wt%および残部が主としてFeと
    不可避的不純物であることを特徴とする請求項1に記載
    のリードフレーム用材料。
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