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JP3322611B2 - 工作機械の熱変位量算出装置及び記憶媒体 - Google Patents
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JP3322611B2 - 工作機械の熱変位量算出装置及び記憶媒体 - Google Patents

工作機械の熱変位量算出装置及び記憶媒体

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JP3322611B2
JP3322611B2 JP21192197A JP21192197A JP3322611B2 JP 3322611 B2 JP3322611 B2 JP 3322611B2 JP 21192197 A JP21192197 A JP 21192197A JP 21192197 A JP21192197 A JP 21192197A JP 3322611 B2 JP3322611 B2 JP 3322611B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械に装備さ
れ、その工作機械で発生する熱変位量を算出する工作機
械の熱変位量算出装置及びその装置を実現するための記
憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばワークに切削や穴開け等を
施したり基板に部品を組み付けるための加工手段と、こ
の加工手段とワークや基板等の被加工物との相対位置を
変動させる駆動手段とを有する工作機械がある。一般
に、切削等の加工を行う工作機械では、例えばドリルや
タップ等の工具を保持するための保持機構、これに保持
された工具を回転駆動するための主軸駆動機構、工具の
X軸方向の送りのためのX軸送り機構、工具のY軸方向
の送りのためのY軸送り機構、工具のZ軸方向の送りの
ためのZ軸送り機構、これらの送り機構を制御するため
の制御装置等を備えている。
【0003】一例をあげると、図12および図13に示
される工作機械10がある。図12に示すように、この
工作機械10は、切削屑の飛散を防止するためのスプラ
ッシュガード12の内側にワーク(図示しない)を載置
するためのテーブル14、例えばドリルやタップ等の工
具交換のためのATCマガジン16、工作機械本体(以
下単に本体ともいう)20等が配置されている。またス
プラッシュガード12には、操作パネル22、ワークの
入出やメンテナンスのためのワーク交換口24、主にメ
ンテナンス用の点検ハッチ26等が設けられている。
【0004】図13に示すように、本体20は、ドリル
やタップ等の工具を保持するための主軸28、主軸28
を回転駆動するための主軸モータ30、多数の鋼球を内
蔵して主軸側に固着されているナット部32とナット部
32に内挿されるボールネジ34とからなるボールネジ
機構36、ボールネジ34を回転駆動するためのZ軸モ
ータ38、ボールネジ34と平行に配されているガイド
レール40、ガイドレール40と主軸28側とを連結す
るスライド42等を備えている。
【0005】この本体20においては、ボールネジ機構
36とZ軸モータ38とでZ軸方向の送りのためのZ軸
送り機構が構成され、Z軸モータ38によりボールネジ
34を回転させることで主軸28のZ軸方向の移動が行
われる。また図12に示されるテーブル14をX軸およ
びY軸方向に移動させることができ、主軸28のZ軸方
向の移動と併せて、ワークと工具のX、Y、Z軸方向の
相対位置を変化させることができる。
【0006】このような工作機械では、例えばボールネ
ジ機構36の稼働に伴って摩擦熱が発生してボールネジ
34が延びることがある。また、他の機構においても発
熱がある。そうした発熱によって工作機械に熱変位が発
現する。この熱変位が例えばZ軸方向に発現すると、ワ
ークに施される溝の深さや段差の高さ等に誤差が生じ
る。公差が熱変位量よりも十分に大きい場合にはこのよ
うな熱変位による加工誤差はあまり問題とはならない
が、そうでない場合には熱変位に対する補正が必要とな
る。そこで、工作機械の熱変位量を算出する熱変位量算
出装置を設け、予め定められている加工プログラムに従
って駆動手段を制御するに当たって、その熱変位量に応
じた補正を行いながら駆動手段を制御することが提案さ
れている(例えば特開昭62−88548号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
工作機械の熱変位量算出装置においては、工作機械の稼
働中を通して熱変位量を算出する形態であったので、そ
の処理を実行するためのシステムを常時動かしておく必
要があった。このため、その算出処理に関わる負担が大
きかった。そこで、本願出願人は、工作機械が稼働を続
けることによって温度が上昇すると、やがて発熱量と放
熱量とが均衡する状態になることに着目し、次のように
熱変位量を算出することを提案した。すなわち、工作機
械の駆動中は、飽和熱変位量(上記均衡状態における熱
変位量)と工作機械の駆動時間とに基づいて各時点にお
ける熱変位量を算出し、その熱変位量が飽和熱変位量に
ほぼ等しくなると、それ以降は熱変位量として飽和熱変
位量の値を代用するのである(特願平8−298866
号)。この場合、正確な飽和熱変位量が与えられれば、
各時点における熱変位量を正確に算出でき、しかもその
算出処理に関わる負担を小さくすることができる。
【0008】ところが、飽和熱変位量は、継続される工
作機械の駆動状態に依存して変動するので、従来より実
測やシュミレーションによって算出しなければならない
と考えられていた。このため、加工プログラムの変更等
がなされると、熱変位量の算出がきわめて困難になって
いた。
【0009】そこで、本発明は、加工プログラムの変更
に柔軟に対応でき、しかも、正確に熱変位量を算出する
ことのできる工作機械の熱変位量算出装置及びその装置
を実現するための記憶媒体を提供することを目的として
なされた。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的
を達するためになされた請求項1記載の発明は、被加工
物に加工を施すための加工手段と、該加工手段と被加工
物との相対位置を変動させる駆動手段とを有する工作機
械に装備され、該工作機械の熱変位量を算出する工作機
械の熱変位量算出装置であって、上記工作機械の駆動状
態を検出する駆動状態検出手段と、該駆動状態検出手段
の検出結果に基づき、上記駆動手段が上記加工手段また
は上記被加工物を単位距離移動させるのに要した経過時
間を算出する経過時間算出手段と、上記工作機械が同様
の駆動状態を続けた場合における上記工作機械の熱変位
の最大値としての飽和熱変位量を、上記算出された経過
時間に基づいて算出する飽和熱変位量算出手段と、該算
出された飽和熱変位量と上記工作機械の駆動時間とに基
づき、上記工作機械の熱変位量を算出する変位量算出手
段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】このように構成された本発明では、駆動状
態検出手段は工作機械の駆動状態を検出し、その検出結
果に基づき、経過時間算出手段は、駆動手段が加工手段
または被加工物を単位距離移動させるのに要した経過時
間を算出する。次に飽和熱変位量算出手段は、工作機械
同様の駆動状態を続けた場合におけるその工作機械の
熱変位の最大値としての飽和熱変位量を、上記算出され
た経過時間に基づいて算出する。本願出願人は、加工手
段または被加工物が単位距離移動するのに要した経過時
間と、その駆動状態を続けた場合における工作機械の熱
変位量の最大値としての飽和熱変位量との間には、比較
的再現性のよい対応関係があることを発見した。飽和熱
変位量算出手段は、その対応関係を参照して、上記経過
時間に対応する飽和熱変位量を算出するのである。
【0012】すると、変位量算出手段が、該算出された
飽和熱変位量と工作機械の駆動時間とに基づき、工作機
械の熱変位量を算出する。工作機械の熱変位量は駆動時
間に応じて増加し、その変化は上記飽和熱変位量に対す
る漸近線を描く。例えば、飽和熱変位量をL、駆動時間
をtとした場合、熱変位量lの変化を、l=L・{1−
exp(−γt)} 但し、γは工作機械固有の定数
なる式で表すことも提案されている。そこで、変位量算
出手段は、上記駆動時間と飽和熱変位量とに基づいて各
時点における工作機械の熱変位量を算出するのである。
もちろん、変位量算出手段は上記以外の式を用いて熱変
位量を算出してもよい。このように、本発明では、加工
手段または被加工物が単位距離移動するのに要した経過
時間に基づいて飽和熱変位量を算出し、その飽和熱変位
量に基づいて工作機械の熱変位量を算出している。この
ため、加工プログラムが変更されたか否かに関わらず、
正確かつ容易に熱変位量を算出することができる。
【0013】しかも、本発明では、上記経過時間に基づ
いて熱変位量を算出しているので、加工手段または被加
工物の移動速度が速いほど上記経過時間は短くなり、短
い時間で熱変位量を算出することが可能となる。従っ
て、本発明では、加工プログラムの変更に柔軟に対応で
き、しかも、加工手段または被加工物の移動速度の変化
が激しい場合にも、きわめて正確に熱変位量を算出する
ことができる。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の構
成に加え、上記飽和熱変位量算出手段が、上記経過時間
に対応する飽和熱変位量を算出するに当たって、両者の
対応関係を表す折れ線または曲線からなるグラフを参照
することを特徴する。加工手段または被加工物が単位距
離移動するのに要する経過時間があまり変化しない範囲
では、経過時間の増加に応じて飽和熱変位量もほぼ一定
の割合で減少する。ところが、経過時間が大きく(すな
わち加工手段または被加工物の移動速度が高速に)なる
に従って、空冷効果等の種々の要因が熱変位量に大きな
影響を及ぼすようになる。このため、両者の対応関係を
直線的な対応関係で規定した場合、上記経過時間の変動
幅が大きいと高速域または低速域で正確な熱変位量が算
出困難となる。そこで、本発明では、経過時間に対応す
る飽和熱変位量を算出するに当たって、両者の対応関係
を表す折れ線または曲線からなるグラフを参照してい
る。このため、飽和熱変位量を正確に算出することがで
きる。従って、本発明では、請求項1記載の発明の効果
に加えて、加工手段または被加工物の移動速度に関わら
ず熱変位量を一層正確に算出することができ、加工プロ
グラムの変更に一層柔軟に対応することができるといっ
た効果が生じる。なお、本発明で参照するグラフは、数
式やデータテーブルの形態で提供されてもよい。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の構成に加え、上記飽和熱変位量算出手段及び上記
変位量算出手段が、上記駆動手段が上記加工手段または
上記被加工物を上記単位距離移動させる毎に上記算出を
行うと共に、上記変位量算出手段が以前に熱変位量を算
出しているとき、その熱変位量の影響を上記変位量算出
手段が新たに算出した熱変位量に加算して、現在の上記
工作機械の熱変位量とする変位量加算手段を、更に備え
たことを特徴とする。
【0016】加工プログラムには、工作機械を高速で駆
動するステップと低速で駆動するステップとを含むもの
がある。この場合、上記飽和熱変位量を、上記加工手段
または上記被加工物が上記単位距離移動するのに要した
平均的な経過時間に応じて算出すると、熱変位量が工作
機械を高速で駆動するステップでは熱変位量が小さめ
に、低速で駆動するステップでは大きめに算出されてし
まう。そこで、本発明では、飽和熱変位量算出手段及び
変位量算出手段が、上記駆動手段が上記加工手段または
上記被加工物を上記単位距離移動させる毎に、その時点
で算出されている経過時間に基づいて上記計算を行って
いる。このため、工作機械の各時点における駆動状態に
応じて、正確な熱変位量を算出することができる。な
お、各時点で算出された熱変位量は、その後徐々に減少
しながらも影響を及ぼす。例えば、熱変位量が飽和熱変
位量Lに達するまで工作機械を駆動した後、駆動を停止
してから時間t経過したときの熱変位量lを、 l=L・exp(−γt) 但し、γは工作機械固有の定数 なる式で表すことも提案されている。そこで、本発明で
は、変位量算出手段が以前に熱変位量を算出していると
き、変位量加算手段により、その熱変位量の影響を変位
量算出手段が新たに算出した熱変位量に加算して、現在
の上記工作機械の熱変位量としている。
【0017】従って、本発明では、請求項1または2記
載の発明効果に加えて、工作機械の各時点における駆動
状態に応じて、一層正確な熱変位量を算出することがで
きるといった効果が生じる。また、本発明では、前述の
ように工作機械が高速で駆動されるほど熱変位量を頻繁
に算出することができるので、工作機械の速度変化に一
層良好に対応して、きわめて正確な熱変位量を算出する
ことができる。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項3記載の構
成に加え、上記飽和熱変位量算出手段及び上記変位量算
出手段が、上記加工手段または上記被加工物が低速で移
動し、または完全に停止している場合には、所定時間毎
に上記算出を行うことを特徴としている。
【0019】飽和熱変位量算出手段及び変位量算出手段
が、駆動手段が加工手段または被加工物を単位距離移動
させる毎に上記算出を行う場合、加工手段または被加工
物がきわめて低速で移動し、または完全に停止している
と、飽和熱変位量算出手段及び変位量算出手段が上記算
出を行う間隔がきわめて長くなる。そこで、本発明で
は、飽和熱変位量算出手段及び変位量算出手段に、加工
手段または被加工物が低速で移動し、または完全に停止
している場合には、所定時間(通常時における上記経過
時間より充分に長い)毎に上記算出を行わせている。こ
のため、加工手段または被加工物が殆ど停止している場
合にも熱変位量の変化を良好に追跡することができる。
従って、本発明では、請求項3記載の発明の効果に加
え、熱変位量の変化を一層良好に追跡して、装置の信頼
性を一層向上させることができるといった効果が生じ
る。
【0020】請求項5記載の発明は、請求項3または4
記載の構成に加え、上記工作機械の熱変位量の影響が残
存する保持時間を記憶する保持時間記憶手段を、更に備
え、上記変位量加算手段が、上記変位量算出手段が算出
してから上記保持時間以上経過した熱変位量は無視して
現在の上記熱変位量を算出することを特徴とする。
【0021】工作機械の熱変位量はある期間の間はその
影響が残存するが、その後は影響がなくなる。なお、こ
こで影響がなくなるとは、数学的な意味でなくなること
をいうわけではなく、熱変位量の影響が、工作機械の仕
様やワークに要求される公差等を考慮して設定される誤
差の範囲に収まることをいう。そこで、本発明では、保
持時間記憶手段により工作機械の熱変位量の影響が残存
する保持時間を記憶しておき、変位量加算手段が、変位
量算出手段が算出してから上記保持時間以上経過した熱
変位量は無視して現在の熱変位量を算出する。このた
め、変位量加算手段は、上記保持時間内に変位量算出手
段が算出した熱変位量のみを考慮して上記加算を行えば
よく、その算出処理に関わる負担を小さくすることがで
きる。
【0022】従って、本発明では、請求項3または4記
載の発明の効果に加えて、算出処理に関わる負荷を小さ
くして、その処理に関わるソフト構成等を簡略化すると
共に処理速度を向上させることができるといった効果が
生じる。請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれ
かに記載の構成に加え、上記熱変位量に影響を及ぼす条
件に対応して定められた調整値を、上記変位量算出手段
または上記変位量加算手段によって算出された熱変位量
に加算または減算して上記工作機械の熱変位量とする変
位量調整手段を、更に備えたことを特徴とする。
【0023】工作機械の熱変位量には、上記移動距離や
駆動時間の他、種々の条件が影響を及ぼす。例えば朝等
の気温が比較的低いとき等では工作機械の温度上昇が緩
やかになり、算出された熱変位量と実際の熱変位量との
誤差が無視できない程度になることもある。そこで、本
発明では、変位量調整手段により、熱変位量に影響を及
ぼす条件に対応して定められた調整値を、変位量算出手
段または上記変位量加算手段によって算出された熱変位
量に加算または減算して上記工作機械の熱変位量として
いる。このため、本発明では、請求項1〜5のいずれか
に記載の発明の効果に加えて、工作機械の熱変位量を一
層正確に算出することができるといった効果が生じる。
なお、上記調整値は、例えばオペレータが、操作パネル
等の調整入力手段によって入力してもよく、熱変位量算
出装置側で、予め設定されている手順で決められる調整
値を求めてもよい。
【0024】請求項7記載の発明は、請求項6記載の構
成に加え、上記調整値は時刻に対応して定められてい
て、上記変位量調整手段は時刻に基づいて上記調整値を
選択して使用することを特徴とする。この構成とすれ
ば、例えば1日の時間帯(朝、昼、夜等)に応じて、算
出された熱変位量と実際の熱変位量との誤差を自動的に
解消することができる。従って、本発明では、請求項6
記載の発明の効果に加えて、時刻に関わらず常に正確な
熱変位量を算出することができるといった効果が生じ
る。
【0025】請求項8記載の発明は、請求項6記載の構
成に加え、上記調整値は上記工作機械の環境温度に対応
して定められていて、上記変位量調整手段は該環境温度
に基づいて上記調整値を選択して使用することを特徴と
する。この構成とすれば、工作機械が設置されている場
所の気温すなわち環境温度に応じて、算出された熱変位
量と実際の熱変位量との誤差を自動的に解消することが
できる。従って、本発明では、請求項6記載の発明の効
果に加えて、環境温度に関わらず常に正確な熱変位量を
算出することができるといった効果が生じる。
【0026】請求項9記載の発明は、被加工物に加工を
施すための加工手段と、該加工手段と被加工物との相対
位置を変動させる駆動手段とを有する工作機械に対して
使用され、該工作機械の熱変位量を算出するためのコン
ピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、上記
工作機械の駆動状態を検出する駆動状態検出処理と、該
駆動状態検出処理の検出結果に基づき、上記駆動手段が
上記加工手段または上記被加工物を単位距離移動させる
のに要した経過時間を算出する経過時間算出処理と、
記工作機械が同様の駆動状態を続けた場合における上記
工作機械の熱変位の最大値としての飽和熱変位量を、上
記算出された経過時間に基づいて算出する飽和熱変位量
算出処理と、該算出された飽和熱変位量と上記工作機械
の駆動時間とに基づき、上記工作機械の熱変位量を算出
する変位量算出処理と、を実行させるコンピュータプロ
グラムを記憶したことを特徴とする。
【0027】本発明の記憶媒体はこのように構成されて
いるので、工作機械に接続されたコンピュータ等の制御
手段に本発明に記憶されたコンピュータプログラムを実
行させれば、請求項1記載の駆動状態検出手段、経過時
間算出手段、飽和熱変位量算出手段、及び変位量算出手
段に相当する駆動状態検出処理、経過時間算出処理、飽
和熱変位量算出処理、及び変位量算出処理を実行させる
ことができる。従って、本発明に記憶されたコンピュー
タプログラムを上記制御手段に実行させれば、請求項1
記載の発明と同様の効果が生じる。また、本発明に記憶
された各処理のプログラムに、請求項2,3,4,5,
6,7,または8記載の発明に限定した要件を付加すれ
ば、それを実行させたとき、対応する請求項2,3,
4,5,6,7,または8記載の発明と同様の効果が生
じる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面を参
照して説明することにより、発明の実施の形態を具体的
に説明する。
【0029】
【実施例】本実施例の工作機械のメカニカルな構成は従
来例として図12及び図13に示したものと同じである
ので、これらを使用して工作機械10のメカニカルな構
成の説明は省略する。
【0030】図1は、第1実施例としての工作機械10
の制御系の構成を表すブロック図である。図1に示すよ
うに、この制御系は、主軸28の回転を制御するための
主軸制御系50、主軸28のZ軸位置を制御するための
Z軸制御系60、この制御系の中枢となる本発明の工作
機械の熱変位量算出装置としてのマイコン部70、操作
パネル22、及びテーブル14のX軸位置を制御するた
めのX軸制御系(図示略)やテーブル14のY軸位置を
制御するためのY軸制御系(図示略)等から構成されて
いる。
【0031】主軸制御系50は、主軸モータ30、主軸
モータ30に電力を供給するための主軸サーボアンプ5
2、及び主軸サーボアンプ52の供給電力を制御するた
めの軸制御回路54からなり、軸制御回路54はマイコ
ン部70のCPU72からの指示に従って主軸サーボア
ンプ52の動作を制御する構成である。Z軸制御系60
は、Z軸モータ38、Z軸モータ38に電力を供給する
ためのZ軸サーボアンプ62及びZ軸サーボアンプ62
の供給電力を制御するための軸制御回路64からなり、
軸制御回路64はマイコン部70のCPU72からの指
示に従ってZ軸サーボアンプ62の動作を制御する構成
である。また、図示を省略したX軸制御系及びY軸制御
系も、これら主軸制御系50並びにZ軸制御系60とほ
ぼ同様の構成である。
【0032】マイコン部70は、制御プログラム等を格
納しているROMや入出力ポート等を内蔵するワンチッ
プ型のCPU72、RAM74及び時計76等からな
り、周知のマイクロコンピュータとして構成されてい
る。このマイコン部70(厳密にはCPU72)は、制
御プログラムに従って主軸制御系50、Z軸制御系60
等を制御して、ワークに所定の加工を施させるのであ
る。また、マイコン部70は操作パネル22に接続され
ており、マイコン部70は、操作パネル22からの入力
信号を取得したり、操作パネル22に信号を送って操作
パネル22の液晶ディスプレイの画像や文字の表示を制
御することやLEDの点滅を制御すること等ができる。
【0033】RAM74は、周知のようにCPU72の
ワークエリアとなるが、本実施例では、このRAM74
上に図2に示される構成のピッチ誤差補正テーブルが設
けられている。このピッチ誤差補正テーブルは、例えば
ボールネジ機構36の駆動誤差を補正するためのテーブ
ルである。
【0034】Z軸移動を受け持つボールネジ機構36
は、製造公差等によりボールネジ34の回転量とナット
部32の移動量(すなわち主軸28のZ軸方向移動量)
との誤差が避けられないので、それを補正する必要があ
る。そこで適当な数の補正ポイントを設定し(ボールネ
ジ34の長さが500mmで20mm毎に補正するとす
れば、補正ポイントは25箇所となる。)、その補正ポ
イント毎にボールネジ34の回転による移動量の計算値
と実測値との誤差を求め、その誤差に相当するボールネ
ジ34の回転量(ピッチ)をピッチ誤差補正テーブルに
書き込んでおき、各補正ポイント毎にそのピッチ分だけ
ボールネジ34を正あるいは逆回転させることによって
主軸28のZ軸位置を正確ならしめている。X軸及びY
軸についても同様である。
【0035】時計76は、いわゆる電子時計であって、
年月日時刻を算出してそのデータをCPU72に送るこ
とができる。なおCPU72は、一定の周期例えば1/
1000秒毎にカウント値をインクリメントするカウン
タを内蔵していて、そのカウンタを使用することによ
り、例えばある加工の開始から終了までの所要時間のよ
うな、経過時間を計測することもできる。
【0036】さて、この工作機械10を駆動すると、例
えばそのZ軸方向に、ボールネジ34の膨張等によって
熱変位が発生する。そこで、CPU72は、その熱変位
を補正しつつ加工プログラムを実行するため、図3の熱
変位量算出処理を実行している。なお、CPU72は、
電源投入後この熱変位量算出処理を所定タイミングで割
り込み処理として実行し、加工プログラムの実行等によ
って発生する熱変位量を算出している。
【0037】図3に示すように、CPU72は処理を開
始すると、先ず、S11(Sはステップを表す:以下同
様)にて、電源OFFの間の移動距離を0と見なす処理
を行う。後述のように、過去に熱変位量が算出されてそ
の影響が現在も残存している場合、その影響を考慮して
工作機械10の熱変位量を算出する必要がある。また、
このような熱変位量は、工場の休憩時間等に工作機械1
0の電源が一時的にOFFされた後にも残存している場
合がある。そこで、このS11では、電源がOFFされ
ていた間の主軸28のZ軸方向の移動距離を0とするの
である。
【0038】続くS13では、工作機械10の駆動状態
を検出し、それに基づいて主軸28がZ軸方向に単位距
離移動したか否かを判断する。単位距離移動していない
場合は(S13:NO)、S15へ移行してサンプリン
グタイムとなったか否かを判断し、サンプリングタイム
でなければ(S15:NO)前述のS13へ移行する。
ここで、本処理におけるサンプリングタイムは充分に長
く設定されており、通常は、サンプリングタイムとなる
前に主軸28が単位距離移動して(S13:YES)、
S17へ移行する。S17では、S13及びS15で形
成されたループ処理を継続した時間、すなわち主軸28
が単位距離移動するのに要した経過時間を算出する。そ
の後、S19へ移行して、飽和熱変位量としての最大変
位量Lを次のように算出する。
【0039】工作機械10の駆動を続けることによって
温度が上昇すると、やがて発熱量と放熱量とが均衡す
る。このときの熱変位量が最大変位量Lである。工作機
械10を一定の状態で駆動し続けた場合、最大変位量L
は、上記経過時間に対して図4に示す対応関係を有す
る。経過時間が長いほど主軸28の移動速度が小さいの
で、図4に示すように、経過時間が増加するに従って最
大変位量Lは減少する。また、この対応関係は、経過時
間が所定値以下であると傾きがなだらかになる折れ線グ
ラフによって表される。これは、主軸28が高速で移動
する(経過時間が短い)と、空冷効果によって放熱量が
増加し、熱変位が抑制されるためである。S19では、
S17にて算出した経過時間(min)に基づき、図4の
グラフを参照して対応する最大変位量Lを算出するので
ある。なお、図4のグラフは、数式やデータテーブルの
形態でCPU72に格納されてもよい。
【0040】続くS21では、主軸28が上記単位距離
移動する間(すなわち上記経過時間の間)の熱変位量l
を、次のように算出する。図5に例示するように、最大
変位量がL1aであった場合、工作機械10駆動中の熱変
位量lは、直線l=L1aに対する漸近線102を描く。
また、熱変位量lが最大変位量L1aに達した後(図5で
はt=8hourの時点)、工作機械10を停止する
と、熱変位量lは直線l=0に対する漸近線104を描
く。ここで、漸近線102は、 l=L1a・{1−exp(−γt)} ……(1) で、漸近線104は、 l=L1a・exp(−γt) ……(2) で、それぞれ表される。但し、γは工作機械10固有の
定数であり、t及びlの単位はそれぞれhour,μm
である。従って、この式より、工作機械10の駆動開始
後a分後の熱変位量l1aは、 l1a=L1a・{1−exp(−γ・a/60)} となる。また、工作機械10停止後a分後の熱変位量l
-1a は、 l-1a =L1a・exp(−γ・a/60) となる。S21では、主に式(1)を用いて上記経過時
間の間の熱変位量lを算出する。更に、続くS23で
は、後述の保持時間以内の熱変位量lを加算して、次の
ように総熱変位量を算出した後、S13及びS15のル
ープ処理へ移行して待機する。なお、以下の説明では、
工作機械10の駆動後、時刻t1,t2,……(分)に
おいてS13からS17へ移行したものとして説明す
る。すなわち、時刻t1,t2,……の間隔がそれぞれ
の処理における経過時間である。
【0041】本実施例では、上記経過時間に基づいて熱
変位量lを算出した場合(S13〜S21)、熱変位量
lはその後式(2)に従って減少するものと考える。す
なわち、図6(A)に曲線201で例示するように、時
刻0から時刻t1までの間の経過時間に基づいて算出さ
れた熱変位量lt1の時刻t1における値lt1-1は、前述
のように、 lt1-1=Lt1・{1−exp(−γ・t1/60)} となる。但し、Lt1は時刻0から時刻t1間での経過時
間に基づいて算出された最大変位量である。そして、時
刻t2における熱変位量lt2の値lt1-2は、式(2)よ
り、 lt1-2=lt1-1・exp{−γ・(t2−t1)/60} 以下同様に、時刻t3,t4における熱変位量lt1の値
t1-3,lt1-4は、 lt1-3=lt1-1・exp{−γ・(t3−t1)/60} lt1-4=lt1-1・exp{−γ・(t4−t1)/60} となる。同様に、時刻t1から時刻t2までの間の経過
時間に基づいて最大変位量Lt2が算出されたとすると、
それに対応する熱変位量lt2は図6(B)に曲線202
で例示するように変化し、その時刻t2,t3,t4に
おける値lt2-1,lt2-2,lt2-3は、それぞれ、 lt2-1=Lt2・[1−exp{−γ・(t2−t1)/60}] lt2-2=lt2-1・exp{−γ・(t3−t2)/60} lt2-3=lt2-1・exp{−γ・(t4−t2)/60} となる。S23では、このようにして算出された熱変位
量lt1,lt2,……のその時刻における値を加算して総
熱変位量を算出するのである。例えば、時刻t1,t
2,t3,t4,t5,……の間の経過時間に基づい
て、図6(C)に曲線201,202,203,20
4,205,……で例示する熱変位量lが算出されたと
すると、S23で算出される総熱変位量は、図6(C)
に曲線200で例示するように変化する。
【0042】また、各時刻で算出された熱変位量lは、
前述のように時間の経過に伴って減少するので、S21
にて算出してから所定の時間(例えば120分)を経過
した熱変位量lが総熱変位量に及ぼす影響は無視するこ
とが可能となる。そこで、CPU72は、上記所定の時
間を保持時間としてROMに記憶しており、保持時間以
内に算出された熱変位量lについてのみ上記加算を行っ
て総熱変位量を算出している。このため、S23の処理
で加算しなければならない熱変位量lの個数が少なくな
り、その算出処理に関わる負担を小さくすることができ
る。従って、その処理に関わるソフト構成等を簡略化す
ると共に処理速度を向上させることができる。
【0043】一方、S13,S15のループ処理を継続
する間にサンプリングタイムとなった場合(S15,Y
ES)、この場合は主軸28が殆ど停止していると考え
られる。そこで、この場合はその間の熱変位量lを0と
見なして(S25)、総熱変位量の算出を行う(S2
3)。このため、主軸28が殆ど停止している場合にも
総熱変位量を定期的に算出して、その変化を良好に追跡
することができる。
【0044】また、CPU72は、各時刻で算出された
熱変位量lを、それを算出した時刻と対応づけてRAM
74のテーブルに記憶しており、その記憶内容を電源O
FFの間にも、図示しないバックアップ電源により保持
している。また、その時点で算出されている主軸28の
移動距離(上記単位距離未満の端数)も同様に保持して
いる。このため、電源が一旦OFFされて再びONされ
たときには、S11にて電源OFFの間の移動距離を0
と見なすと共に、S23へ移行したとき、前回の電源O
Nの期間中に算出された熱変位量lの内、算出されてか
ら保持時間を経過していないものの影響を加算して総熱
変位量を算出することができる。
【0045】以上説明したように、本実施例のマイコン
部70では、主軸28が単位距離移動するのに要した経
過時間に基づいて最大変位量Lを算出し、その最大変位
量Lに基づいて工作機械10の熱変位量lを算出してい
る。このため、加工プログラムが変更された否かに関わ
らず、正確かつ容易に熱変位量lを算出することができ
る。また、最大変位量Lを算出する際に参照した図4の
グラフは、経過時間が短い(すなわち移動速度が速い)
領域では傾きがなだらかになる折れ線形状を呈してい
る。このため、空冷効果の影響を考慮して、最大変位量
Lをきわめて正確に算出することができる。従って、本
実施例のマイコン部70では、加工プログラムの変更に
柔軟に対応でき、しかも、きわめて正確に総熱変位量を
算出することができる。
【0046】また、マイコン部70では、主軸28が単
位距離移動する毎にその間の経過時間を算出し、その時
点で算出された移動距離に基づいて最大変位量L及び熱
変位量lを算出し、更に算出後の熱変位量lに過去に算
出された熱変位量lの影響を加算している。このため、
各時刻における工作機械10の駆動状態に応じて、総熱
変位量をきわめて正確に算出することができる。従っ
て、加工プログラムに工作機械10を高速で駆動するス
テップと低速で駆動するステップとが含まれていても、
各時刻における総熱変位量をきわめて正確に算出するこ
とができる。また、本処理では、主軸28が単位距離移
動する毎に総熱変位量を算出しているので、主軸28の
移動速度が速いほど頻繁に総熱変位量を算出することが
できる。従って、主軸28の移動速度の変化が激しい場
合にも、きわめて正確に総熱変位量を算出することがで
きる。更に、本処理では、主軸28が殆ど停止している
場合には上記サンプリングタイム毎に総熱変位量を算出
している。このため、主軸28が殆ど停止している場合
にも総熱変位量の変化を良好に追跡することができ、装
置の信頼性を一層向上させることができる。
【0047】なお、上記実施例において、主軸28が加
工手段に、ボールネジ機構36及びZ軸モータ38が駆
動手段に、CPU72内のROMが保持時間記憶手段
に、CPU72が駆動状態検出手段,経過時間算出手
段,飽和熱変位量算出手段,変位量算出手段,及び変位
量加算手段に相当し、CPU72の処理の内、S13が
駆動状態検出手段に、S17が経過時間算出手段に、S
19が飽和熱変位量算出手段に、S21が変位量算出手
段に、S23が変位量加算手段に、それぞれ相当する処
理である。
【0048】次に、本発明の第2実施例を説明する。図
7は、第2実施例としての工作機械10の制御系の構成
を表すブロック図である。なお、本実施例の工作機械1
0もメカニカルな構成は従来例と同じであり、制御系の
構成は次の点で第1実施例と異なる。
【0049】すなわち、図7に示すように、マイコン部
70は前述の構成に加えてインタフェース(I/F)7
8を備えており、このインタフェース78を介してパソ
コン80に接続されている。パソコン80は、制御プロ
グラム等を格納しているROMや入出力ポート等を内蔵
するワンチップ型のCPU82、RAM84、時計8
6、及びマイコン部70と接続されるインタフェース
(I/F)88等からなり、周知のマイクロコンピュー
タとして構成されている。また、パソコン80には、キ
ーボード91及びCRT92も接続されている。この制
御系では、加工プログラムに基づいて、マイコン部70
が工作機械10を制御しており、マイコン部70からパ
ソコン80へは主軸28の移動距離等、総熱変位量の算
出に必要なデータが送信される。また、パソコン80は
後述する熱変位量算出処理を行い、算出した総熱変位量
をマイコン部70へ送信する。すると、マイコン部70
は、送信された総熱変位量に基づき、補正を行いつつ上
記加工プログラムを実行する。図8は、パソコン80
(厳密にはCPU82)が実行する熱変位量算出処理を
表すフローチャートである。なお、CPU82は、工作
機械10の電源の状態を監視しており、その電源がON
されると図8の処理を所定タイミングで繰り返し実行す
る。図8に示すように、この熱変位量算出処理は、図3
に示した熱変位量算出処理と殆ど同じであるので、異な
る部分についてのみ説明する。
【0050】S13に代えて実行されるS13aでは、
主軸28の移動距離をCPU82が自ら算出して単位移
動距離に達したか判断するのではなく、マイコン部70
から送信される移動距離に基づいて判断する。また、S
23に代えて実行されるS23aでは、総熱変位量をS
23と同様に算出した後、その総熱変位量をマイコン部
70に送信する。その他の処理は第1実施例と同様であ
るので、図3で使用した符号をそのまま使用して詳細な
説明を省略する。
【0051】このように構成された本実施例でも、第1
実施例とほぼ同様の作用・効果が生じる。なお、本実施
例でもCPU82は、主軸28が単位距離移動する毎に
算出された熱変位量lを、それを算出した時刻と対応づ
けてRAM84のテーブルに記憶するが、この記憶内容
は必ずしもバックアップしなくてもよい。これは、工作
機械10の電源をOFFしてもパソコン80の電源をO
Nに保持しておけば、記憶内容は消失しないからであ
る。この点は移動距離の端数に対しても同様である。ま
た、本実施例では、インタフェース88を介して接続さ
れる工作機械10を変更すれば、一つのパソコン80に
よって複数の工作機械10に対する総熱変位量の算出を
行うことができる。
【0052】以上、実施例を挙げて本発明を説明した
が、本発明は上記実施例になんら限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施
することができる。例えば、図3及び図8のS25では
熱変位量を0と見なしているが、サンプリングタイム間
の主軸28の移動距離に基づいて熱変位量を算出しても
よい。また、上記実施の形態では、主軸28がZ軸方向
に単位距離移動するのに要した経過時間から工作機械1
0のZ軸方向の熱変位量を算出しているが、主軸28が
回転すると主軸28自身に熱変位が発生する。そこで、
主軸モータ30が単位距離(単位回転量)回転するのに
要した時間を経過時間として算出して、その経過時間か
らZ軸方向の熱変位量を算出してもよい。また、図3ま
たは図8の処理によって算出された前述の総熱変位量
に、主軸28の回転に要した経過時間から算出した熱変
位量を加算して、工作機械10全体としてのZ軸方向の
熱変位量を算出してもよい。この場合、Z軸方向の熱変
位量を一層正確に算出することができる。更に、本発明
はワークを移動させる機構に適用してもよい。
【0053】また、最大変位量Lを求めるためのグラフ
は図4のものに限定されるものではなく、図9に例示す
るように直線で形成してもよい。また、3種類以上の傾
きを有する折れ線で形成してもよく、曲線で形成しても
よく、更に必要に応じて、経過時間の短い部分で傾きが
急になるようなグラフを使用したり、多数段の曲線でグ
ラフを構成したりしてもよい。また更に、これらのグラ
フも前述のように、数式やデータテーブルで構成しても
よい。
【0054】また、過去に算出された熱変位量lの影響
を加算する形態も種々考えられ、例えば、図10に例示
する形態を採用してもよい。図10では、時刻t1で算
出された熱変位量l1 を起点として、時刻t2における
熱変位量l2 を算出するための曲線を描き、こうして算
出された熱変位量l2 を起点として、時刻t3における
熱変位量l3 を算出するための曲線を描いている。
【0055】ここで、時刻t1,t2,t3で算出され
る最大変位量は、L1 ,L2 ,L3と変化している。熱
変位量l1 は前述の方法と同様に算出できるが、時刻t
2以降における熱変位量lは次のように算出することが
できる。例えば、時刻t2における熱変位量l2 を算出
するには、最大変位量L2 に対応した前述の式(1) l=L2 ・{1−exp(−γ・t/60)} よりl=l1 となるtの値tl1を求め、時刻t2はその
(t2−t1)分後と外挿して l2 =L2 ・[1−exp{−γ・(tl1+t2−t1)/60}] とするのである。このような算出方法を採用しても、前
述の算出方法(図6)と同様の作用・効果が生じる。但
し、前述の算出方法では、一時的に誤ったデータが入力
されても、少なくとも120分後にはその影響が排除さ
れるといった効果が生じる。また、本発明の実施の形態
としては、このような加算処理を行わず、最大変位量L
を一度算出したらその後ずっとそのLの値を用いて式
(1)により熱変位量lを算出するものも含まれること
はいうまでもない。
【0056】更に、工作機械10の熱変位量には、主軸
28が単位距離移動するのに要した経過時間やその主軸
28の駆動時間の他、種々の条件が影響を及ぼす。例え
ば朝等の気温が比較的低いとき等では工作機械10の温
度上昇が緩やかになり、算出された総熱変位量と実際の
熱変位量との誤差が無視できない程度になることもあ
る。そこで、例えば図3のS23を図11のように変更
し、各種調整を行えるようにしてもよい。
【0057】すなわち、S23bでは、S23と同様に
総熱変位量を算出する。続くS23cでは、CPU72
は、S23bで算出した総熱変位量に対する調整の要否
を判断する。この要否判断は、(1)操作パネル22を
介して調整値が入力されている、(2)時刻に対応して
設定された調整値がある、(3)環境温度に対応して調
整値を使用する必要がある、等の条件が成立しているか
否かによってなされる。条件が成立していれば、調整要
(S23c:YES)であり、S23dにて総熱変位量
に調整値を加算あるいは減算して調整する。一方、調整
不要(S23:NO)であれば、S23bにて算出され
た総熱変位量をそのまま保持してS13(図3)の処理
へ移行する。すなわち、S23dは変位量調整手段に相
当する処理である。
【0058】この場合、例えば、調整値を時刻に対応し
て定めれば、1日の時間帯(朝、昼、夜等)に応じて、
算出された総熱変位量と実際の熱変位量との誤差を自動
的に解消することができる。従って、時刻に関わらず常
に正確な総熱変位量を算出することができる。また、調
整値を工作機械10の環境温度に対応して定めれば、工
作機械10が設置されている場所の気温すなわち環境温
度に応じて、算出された総熱変位量と実際の熱変位量と
の誤差を自動的に解消することができる。従って、環境
温度に関わらず常に正確な総熱変位量を算出できる。な
お、図3のS21,図8のS21またはS23aをこの
ように変更しても同様の効果が生じる。
【0059】また更に、上記実施の形態では、図3,図
8,または図11の処理を実行するためのプログラムを
CPU72または82のROMに記憶しているが、これ
らのプログラムはフロッピディスクやCD−ROM等の
記憶媒体に記憶しておいてもよいことはいうまでもな
い。この場合、一般のコンピュータ等、任意の制御手段
に上記処理を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の工作機械の制御系の構成を表す
ブロック図である。
【図2】 その工作機械のピッチ誤差補正テーブルの構
成を表す説明図である。
【図3】 その工作機械のCPUが実行する熱変位量算
出処理を表すフローチャートである。
【図4】 最大変位量の算出に使用するグラフの構成を
表す説明図である。
【図5】 最大変位量に対応した熱変位量の経時変化を
例示する説明図である。
【図6】 熱変位量から総熱変位量を算出する処理を例
示する説明図である。
【図7】 第2実施例の工作機械の制御系の構成を表す
ブロック図である。
【図8】 その工作機械に接続されたパソコンが実行す
る熱変位量算出処理を表すフローチャートである。
【図9】 最大変位量の算出に使用する他のグラフの構
成を表す説明図である。
【図10】 熱変位量から総熱変位量を算出する他の処
理を表す説明図である。
【図11】 熱変位量算出処理の更に他の形態を表すフ
ローチャートである。
【図12】 実施例および従来例の工作機械の構成を表
す説明図である。
【図13】 実施例および従来例の工作機械の構成を表
す説明図である。
【符号の説明】
10…工作機械 14…テーブル 16…ATCマ
ガジン 20…本体 28…主軸 30…主軸モータ 36…ボール
ネジ機構 38…Z軸モータ 70…マイコン部 72,
82…CPU 74,84…RAM 76,86…時計 80
…パソコン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 15/00 - 15/28 B23Q 17/00 - 23/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物に加工を施すための加工手段
    と、該加工手段と被加工物との相対位置を変動させる駆
    動手段とを有する工作機械に装備され、該工作機械の熱
    変位量を算出する工作機械の熱変位量算出装置であっ
    て、 上記工作機械の駆動状態を検出する駆動状態検出手段
    と、 該駆動状態検出手段の検出結果に基づき、上記駆動手段
    が上記加工手段または上記被加工物を単位距離移動させ
    るのに要した経過時間を算出する経過時間算出手段と、上記工作機械が 同様の駆動状態を続けた場合における上
    記工作機械の熱変位の最大値としての飽和熱変位量を、
    上記算出された経過時間に基づいて算出する飽和熱変位
    量算出手段と、 該算出された飽和熱変位量と上記工作機械の駆動時間と
    に基づき、上記工作機械の熱変位量を算出する変位量算
    出手段と、 を備えたことを特徴とする工作機械の熱変位量算出装
    置。
  2. 【請求項2】 上記飽和熱変位量算出手段が、上記経過
    時間に対応する飽和熱変位量を算出するに当たって、両
    者の対応関係を表す折れ線または曲線からなるグラフを
    参照することを特徴する請求項1記載の工作機械の熱変
    位量算出装置。
  3. 【請求項3】 上記飽和熱変位量算出手段及び上記変位
    量算出手段が、上記駆動手段が上記加工手段または上記
    被加工物を上記単位距離移動させる毎に上記算出を行う
    と共に、 上記変位量算出手段が以前に熱変位量を算出していると
    き、その熱変位量の影響を上記変位量算出手段が新たに
    算出した熱変位量に加算して、現在の上記工作機械の熱
    変位量とする変位量加算手段を、 更に備えたことを特徴とする請求項1または2記載の工
    作機械の熱変位量算出装置。
  4. 【請求項4】 上記飽和熱変位量算出手段及び上記変位
    量算出手段が、上記加工手段または上記被加工物が低速
    で移動し、または完全に停止している場合には、所定時
    間毎に上記算出を行うことを特徴とする請求項3記載の
    工作機械の熱変位量算出装置。
  5. 【請求項5】 上記工作機械の熱変位量の影響が残存す
    る保持時間を記憶する保持時間記憶手段を、更に備え、 上記変位量加算手段が、上記変位量算出手段が算出して
    から上記保持時間以上経過した熱変位量は無視して現在
    の上記熱変位量を算出することを特徴とする請求項3ま
    たは4記載の工作機械の熱変位量算出装置。
  6. 【請求項6】 上記熱変位量に影響を及ぼす条件に対応
    して定められた調整値を、上記変位量算出手段または上
    記変位量加算手段によって算出された熱変位量に加算ま
    たは減算して上記工作機械の熱変位量とする変位量調整
    手段を、 更に備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の工作機械の熱変位量算出装置。
  7. 【請求項7】 上記調整値は時刻に対応して定められて
    いて、上記変位量調整手段は時刻に基づいて上記調整値
    を選択して使用することを特徴とする請求項6記載の工
    作機械の熱変位量算出装置。
  8. 【請求項8】 上記調整値は上記工作機械の環境温度に
    対応して定められていて、上記変位量調整手段は該環境
    温度に基づいて上記調整値を選択して使用することを特
    徴とする請求項6記載の工作機械の熱変位量算出装置。
  9. 【請求項9】 被加工物に加工を施すための加工手段
    と、該加工手段と被加工物との相対位置を変動させる駆
    動手段とを有する工作機械に対して使用され、該工作機
    械の熱変位量を算出するためのコンピュータプログラム
    を記憶した記憶媒体であって、 上記工作機械の駆動状態を検出する駆動状態検出処理
    と、 該駆動状態検出処理の検出結果に基づき、上記駆動手段
    が上記加工手段または上記被加工物を単位距離移動させ
    るのに要した経過時間を算出する経過時間算出処理と、上記工作機械が 同様の駆動状態を続けた場合における上
    記工作機械の熱変位の最大値としての飽和熱変位量を、
    上記算出された経過時間に基づいて算出する飽和熱変位
    量算出処理と、 該算出された飽和熱変位量と上記工作機械の駆動時間と
    に基づき、上記工作機械の熱変位量を算出する変位量算
    出処理と、 を実行させるコンピュータプログラムを記憶したことを
    特徴とする記憶媒体。
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