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JP3333817B2 - 遺伝的アルゴリズムを用いた多層膜フィルタの製造方法 - Google Patents
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JP3333817B2 - 遺伝的アルゴリズムを用いた多層膜フィルタの製造方法 - Google Patents

遺伝的アルゴリズムを用いた多層膜フィルタの製造方法

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JP3333817B2 JP27257399A JP27257399A JP3333817B2 JP 3333817 B2 JP3333817 B2 JP 3333817B2 JP 27257399 A JP27257399 A JP 27257399A JP 27257399 A JP27257399 A JP 27257399A JP 3333817 B2 JP3333817 B2 JP 3333817B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光波長多重通信の
送受信を行う光通信システム等において、波長多重され
た信号光を適切に合分波する光学多層膜フィルタの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光波長多重通信の発達に伴い、狭帯域や
小さな副反射特性を有する多層膜合分波フィルタが要求
されている。
【0003】所望の光学特性から各層の屈折率Niおよび
膜厚Diの多層膜フィルターの設計を行う方法としては、
特許第2650048号のようにあらかじめフィルターを構成
する各層の屈折率Niを決定しておき、膜厚Diを仮定して
おき、それぞれの波長に対して光学特性を求め、膜厚Di
を変化させ、光学特性が極大値となるように膜厚最適化
法を用いて膜厚Diを最適化する方法が一般的であった。
また更なる最適化方法としては、ある層の屈折率を変化
させ、再度すべての膜について膜厚を最適化するといっ
た試行錯誤的方法しかなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記の方法では
屈折率Niをあらかじめ決定してしまうため、設計の自由
度が損なわれるばかりか、得られた結果が局所解に陥っ
てしまう場合も多かった。また多層膜フィルタにおける
NiとDiの組み合わせの個数は非常に多く、最適組み合わ
せを抽出するには、非常に多くの時間を必要とし、実際
上不可能であった。このため、従来は上記の膜厚最適化
法を用いて得られる局所的な解で満足するしかなかっ
た。本発明の課題は、上述の複雑な組み合わせを有する
多層膜光フィルターの設計において、局所解に陥ること
なく最適な各層の屈折率Niと膜厚Diの組み合わせを抽出
して、多層膜光フィルタを製造することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の多層膜フィルタ
の製造方法は、S(Sは1以上の整数)層の多層膜光フ
ィルタのi(iは1以上の整数)層の屈折率と膜厚とを
要素とする行列Xiをさらに一つの要素として次式1: P=(X1,X2,X3…、XS) …(1) で表わされる行列からなる初期パターンを生成する工程
と、前記初期パターンに基づいて、該初期パターン中の
任意の要素Xiにおいて、初期パターン中の屈折率を所
定値増減させるか又は膜厚を所定値増減させて互いに異
なる変異パターンを所定数生成する増殖・変異工程と、
該増殖・変異工程にて生成した変異パターン群と前記初
期パターンのなかから一対のパターンを少なくとも一組
選び、選んだ対のパターン同士においてパターン中の前
記行列Xi及び/又は該行列Xiを前記所定値変異させ
てなる行列を入れ替えて交叉パターンを所定数生成する
交叉工程と、前記増殖・変異工程にて生成した変異パタ
ーン群と前記交叉パターン群と前記初期パターンとから
なるパターン群から、それらパターンの光学特性が所望
の光学特性に近いパターンを順番に所望数選択する淘汰
工程と、ついで前記初期パターンに代えて前記淘汰工程
にて選択した所定数のパターンに基づいて、前記増殖・
変異工程、前記交叉工程、前記淘汰工程とからなる一連
のアルゴリズム工程を、該アルゴリズム工程にて得た直
前の淘汰パターンの光学特性の値が前記所望の光学特性
の値に対する所望の差の値の範囲内になるまで繰り返し
行なう工程とからなるものである。
【0006】本発明の多層膜フィルタの製造方法によれ
ば、一連のアルゴリズム工程を繰り返すことによって、
光学特性の値が所望の範囲内に収まるようにして多層膜
光フィルターの各層を設定することができ、よって従来
の設計方法に比べてより良好な多層膜光フィルターを設
計できそして製造できる。
【0007】前記増殖・変異工程、前記交叉工程、前記
選択淘汰工程とからなる一連のアルゴリズム工程を繰り
返し行った際に、該アルゴリズム工程にて得た淘汰パタ
ーンの光学特性の値が、それ以前の前記アルゴリズム工
程にて得た淘汰パターンの光学特性の値と一致した場
合、前記初期パターンと異なる第2の初期パターンを設
定し、この第2の初期パターンを用いて、前期アルゴリ
ズム工程を繰り返し行なうことが望ましい。かかる方法
によれば、一連のアルゴリズム工程の繰り返しにおいて
得られた設計の光学特性に向上が見られないような状態
に陥ったとしても、第2の初期パターンから再度アルゴ
リズムを始めることにより、そのような停滞状態から強
制的に回避する事が可能となる。
【0008】また第2の初期パターンを、それまでの工
程で得られた最良の光学特性を有する淘汰パターン中の
屈折率を所定値増減させるか又は膜厚を所定値増減て生
成したパターンとすることが好ましい。かかる方法によ
り、光学特性の値が一致するまでに作成されたパターン
内の、光学特性を向上させるために有効な光学要素の情
報を第2の初期パターンに活用でき、高速に、かつ、よ
り良好な光学特性を有する多層膜フィルタを設計でき
る。
【0009】本発明の他の多層膜フィルタの製造方法
は、S(Sは1以上の整数)層の多層膜光フィルタのi
(iは1以上の整数)層の屈折率と膜厚とを要素とする
行列Xiをさらに一つの要素として次式1: P=(X1,X2,X3…、XS) …(1) で表わされる行列からなる初期パターンを生成する工程
と、前記初期パターンを所定数複製し、該複製したパタ
ーン中の要素Xiにおいて、初期パターン中の屈折率を
所定値増減させるか又は膜厚を所定値増減させる第1の
複製増殖・変異工程と、該工程で生成した変異パターン
と初期パターンとからなる群におけるパターンから、そ
れらパターンの光学特性が所望の光学特性に近いパター
ンを順番に所望数選択する第1の選択淘汰工程と、該選
択淘汰工程にて生成した淘汰パターン群から一対のパタ
ーンを少なくとも一組選び、選んだ対のパターン同士に
おいてパターン中の前記行列Xi及び/又は該行列Xi
を前記所定値変異させてなる行列を入れ替えて交叉パタ
ーンを所定数生成する交叉工程と、該交叉パターン群と
前記淘汰パターン群とからなるパターン群から少なくと
も一つの任意のパターンを選択しついで複製して、該複
製したパターン中の前記行列Xi及び/又は該行列Xi
を前記所定値変異させてなる行列中の要素において屈折
率を所定値増減させるか又は膜厚を所定値増減させて変
異パターンを生成する第2の複製増殖・変異工程と、該
変異パターン群と前記交叉パターン群と前記淘汰パター
ン群とからなるパターン群から、それらパターンの光学
特性が前記所望の光学特性に近いパターンを順番に所望
数選択する第2の選択淘汰工程と、ついで前記初期パタ
ーンに代えて前記第2の選択淘汰工程にて選択した所定
数のパターンに基づいて、前記第1の複製増殖・変異工
程、前記第1の選択淘汰工程、前記交叉工程、前記第2
の複製増殖・変異工程及び前記第2の選択淘汰工程とか
らなる一連のアルゴリズム工程を、該アルゴリズム工程
にて得た直前の第2の淘汰パターンの光学特性の値が前
記所望の光学特性の値に対する所望の差の値の範囲内に
なるまで繰り返し行なう工程とからなるものである。本
発明の他の多層膜フィルタの製造方法によれば、一連の
アルゴリズム工程を繰り返すことによって、光学特性の
値が所望の範囲内に収まるようにして多層膜光フィルタ
ーの各層を設定することができ、よって従来の設計方法
に比べてより良好な多層膜光フィルターを設計できそし
て製造できる。
【0010】前記第1の複製増殖・変異工程、前記第1
の選択淘汰工程、前記交叉工程、前記第2の複製増殖・
変異工程及び前記第2の選択淘汰工程とからなる一連の
アルゴリズム工程を繰り返し行った際に、該アルゴリズ
ム工程にて得た第2の淘汰パターンの光学特性の値が、
それ以前の前記アルゴリズム工程にて得た第2の淘汰パ
ターンの光学特性の値と一致した場合、該アルゴリズム
に用いた初期パターンと異なる第2の初期パターンを設
定し、この第2の初期パターンを用いて、再度前期アル
ゴリズム工程を繰り返し行なうことが望ましい。かかる
方法によれば、一連のアルゴリズム工程の繰り返しにお
いて得られた設計の光学特性に向上が見られないような
状態に陥ったとしても、第2の初期パターンから再度ア
ルゴリズムを始めることにより、そのような停滞状態か
ら強制的に回避する事が可能となる。
【0011】さらに第2の初期パターンを、それまでの
工程で得られた最良の光学特性を有する第2の淘汰パタ
ーン中の屈折率を所定値増減させるか又は膜厚を所定値
増減て生成したパターンとすることが好ましい。かかる
方法により、光学特性の値が一致するまでに作成された
パターン内の、光学特性を向上させるために有効な光学
要素の情報を第2の初期パターンに活用でき、高速に、
かつ、より良好な光学特性を有する多層膜フィルタを設
計できる。
【0012】前記淘汰工程もしくは前記第1及び前記第
2の選択淘汰工程における淘汰を、次式2:
【0013】
【数2】
【0014】(ただし、式中、 Rj(λ)は前記行列Xi
の要素の組み合わせパターンから得られるそれぞれの波
長λにおける反射特性を示し、Rr (λ)は所望の反射特
性を示す。)で表わされる値Qjの大きい方から小さい
方の順に従って行なうことは望ましい。
【0015】ある組み合わせパターンの反射特性の所望
の反射特性からの乖離度χ、即ちQの分母部分が収束に
より小さくなり、かつパターン間でχの値の差が小さく
なってしまった場合でも、その逆数Qを適応度としてい
るため、パターン間での差をより大きくすることができ
る。従って、パターン間でχの値の差が小さい場合でも
精度よい抽出が可能となる。
【0016】第1の複製増殖・変異工程において屈折率
を増減させる前記所定値及び膜厚を増減させる前記所定
値に対し、前記第2の複製増殖・変異工程において屈折
率を増減させる前記所定値及び膜厚を増減させる前記所
定値が、それぞれ2ないし50倍とすることによって、
解の近傍での収束性が上昇し、より高速に最適解を抽出
することができる。
【0017】第1の複製増殖・変異工程において屈折率
を増減させる前記所定値及び膜厚を増減させる前記所定
値に対し、前記第2の複製増殖・変異工程において屈折
率を増減させる前記所定値及び膜厚を増減させる前記所
定値を、それぞれ2ないし25倍とすることによって、
より収束性が上昇し、高速に最適解を抽出できる。
【0018】
【発明の実施形態】(第一の実施の形態)以下に、図面
を参照して本発明の第一の実施の形態を説明する。第一
の実施の形態では、図1に示す基板1上に形成した第1
層2ないし第5層6からなる5層多層膜フィルタについ
て最適化計算の説明を行う。第一の実施の形態は、初期
パターンの生成工程、第1の複製増殖・変異工程、第1
の選択淘汰工程、交叉工程、第2の複製増殖・変異工程
及び前記第2の選択淘汰工程とからなるアルゴリズムを
用いたものである。
【0019】図2に本発明の第一の実施の形態における
の5層膜構造をもつ多層膜光フィルターの設計のフロー
チャートを示す。また、第1の複製増殖・変異工程は、
複製増殖・小規模変異工程とし、第2の複製増殖・変異工
程は選択・複製増殖・中/大変異工程とする。
【0020】本実施の形態では、ステップS2〜ステッ
プS8までの工程における選択、選出、淘汰、交叉、変
異の操作において乱数α(=A,B,C,D,E,F,G,H)を用いるこ
ととする。この乱数αの発生方法としては次式(3)及び
式(4)で表される合同法を用いる。 α=Mn+2/10000 …(3) Mn+2=MOD(Mn+1+Mn,10000) …(4) (ただしMODは剰余を表わす関数とする)
【0021】まずステップS1において計算に必要な初
期値(所望の光学特性、膜総数、基板の屈折率、入射光
の入射角度、複製増殖・小規模変異工程後のパターンの
総数、第1の選択・淘汰工程後のパターンの総数、交叉工
程後のパターンの総数、選択・複製増殖・中/大変異工程
後のパターンの総数、第2の選択・淘汰工程後のパター
ンの総数、小規模変異量、中/大規模変異量、中/大規模
変異工程の繰り返し数、適応度の目標値)あるいは数値
範囲の指定を行う。
【0022】その後、多層膜jのi層を屈折率Niと膜
厚Diを要素とする行列Xiは、式5: Xi=(Ni,Di) …(5) にて示される。各層の要素Xi=(Ni,Di)の初期値を入力す
ることで、多層膜jをあらわすXiの組み合わせからな
り、式6で示される行列パターンPjを生成させる。(初
期パターン集団の生成工程) Pj=(X1,X2,…,Xi,…) …(6)
【0023】本実施の形態では表1に示す値をステップS
1における計算に必要な初期値とする。上記操作により
式7で示される1つの要素組み合わせパターンP1を作成
する。 P1=(X1,X2,X3,X4,X5) …(7)
【表1】
【0024】次にステップS2において、まず初期パタ
ーンの複製を作成することで、増殖工程後のパターンの
個数までパターン集団の総数を増やす(図3に示す。)。
本実施の形態ではこの操作により全体のパターン集団は
P1〜P20となり、すべてのパターンは式8で示される。 P1=P2=P3=…=P20 …(8) その後それぞれの複製パターンP2〜P20に小規模変異を
与える(図4に示す。)。まず1≦A≦5(=層数)の範囲での乱
数Aを発生させ、その乱数Aによりパターンの中の1つの
要素であるXi={(Ni,Di)}を選び出す(ステップS2-2)。そ
の後0≦B≦1の範囲で乱数Bを発生させ(ステップS2-3)、
その乱数Bが0.5以上であったならばDiを(ステップS2-4
a)、0.5未満であったならばNiを選ぶ(ステップS2-4b)。
そしてその後さらに0≦C≦1の範囲で乱数をC発生させ(S
2-5a, S2-5b)、その乱数Cが0.5未満であったならば+を
(ステップS2-6a, S2-6d)、0.5以上であったならば−を
選ぶ(ステップS2-6b, S2-6c)。以上の操作により、Niあ
るいはDiに正負どちらかの小規模変異(+もしくは‐の
Δnz、あるいは+もしくは‐のΔdz)を与える。(複製
増殖・小規模変異工程S2)本実施の形態において、複
製パターンP2に対して、乱数A=3、乱数B=0.2、乱数C=0.
6とすると、上記操作によってP2は式9で表わされる。 P2=(X1,X2,X3',X4,X5)={X1,X2,(N3+Δnz,D3),X4,X5}…(9)
【0025】次に図2に示すようにステップS3におい
て、ステップS2までに生じたすべての要素組み合わせ
パターンP1〜P20において、それぞれ光学特性を計算
し、所望の光学特性値との差異を計算する。光学特性と
しては、多層膜光フィルターに角度θで入射する入射光
の多層膜光フィルターによる反射特性を参照する。ここ
で光学特性としては反射特性でなく透過特性を利用して
も構わない。各々の要素組み合わせパターンPjに対して
入射光の各波長λに対する反射特性をRj(λ)とし、所望
の反射特性をRr(λ)とし、さらに所望の反射特性の波長
範囲をλ1〜λ2として、λ1〜λ2におけるRj(λ)とRr
(λ)の差の2乗をχとした場合、χは式10:
【0026】
【数3】
【0027】適応度Qjは式2:
【0028】
【数4】
【0029】であらわされる。つまり、Qjの値の大きい
ほどその要素組み合わせパターンをもつの多層膜光フィ
ルターの光学特性は所望の値に近いことをあらわす。
【0030】次に図2に示すように、ステップS3で計算
した、要素組み合わせパターンPjの所望の光学特性に対
する適応度Qjをもとに、要素組み合わせパターンの選択
・淘汰を行う(図5に示す。)。まずPjを適応度Qjの値が高
い順に並べ替えた後、それら並べ替え後のパターンを上
位から順に選択・淘汰工程後のパターン総数だけ残す。
生き残ったパターン以外のパターンは淘汰される。(一
次選択・淘汰工程S4)本実施の形態において適応度Q1
〜Q20が式11: Q20>Q19>Q18>……>Q3 >Q2>1 …(11) で表される大きさの順番であったとすると、淘汰工程後
の個体数は10個であるので、上記操作により抽出される
要素組み合わせパターンはP11〜P20となる。
【0031】次に図2のステップS5に示すように、パタ
ーンの交叉を行う(図6及び図7に示す。)。ただし図6は1
回の交叉工程によるパターンの生成について説明した図
であり、図7は繰返しを含めた交叉工程を説明するフロ
ーチャートである。まず1≦D,E≦10(=選択・淘汰工程後
のパターン総数)の範囲で2つの乱数D、Eを発生させ、そ
の2つの乱数D、Eをもとに、ステップS4で選択・淘汰さ
れた要素組み合わせパターン集団P1〜P10の中から、2
つのパターンPj'及びPj''(ただし1≦j',j''≦j)を選び
出す(ステップS5-1)。
【0032】本実施の形態において、2つのパターンP
j'及びPj''がそれぞれ式12、式13のように表わされ
るとする(ステップS5-2)。 Pj'=(X1',X2',X3',X4',X5') …(12) Pj''=(X1'',X2'',X3'',X4'',X5'') …(13) 2つのパターンPj'及びPj''において、さらに1≦F≦4(=
膜数‐1)の範囲での乱数Fを発生させ、その乱数Fにもと
づいて、2つのパターンの交叉を与える要素間の位置を
決定する(ステップS5-3)。
【0033】本実施の形態においてF=3とすると、Pj'及
びPj''の交叉を与える要素間の位置は式14のように表
わされる。
【0034】
【数5】
【0035】その要素間位置で2つのパターンの交叉を
行い、式16及び式17に示される2つの組み合わせパ
ターンCk及びCk+1を新たに作成する(ステップS5-4, S5-
5)。 Ck =(X1',X2',X3', X4'',X5'') …(16) Ck+1=(X1'',X2'',X3'',X4',X5') …(17)
【0036】その後上記ステップS5-1〜S5-5の操作を全
体のパターン集団の数があらかじめ決めておいた交叉工
程後のパターン総数になるまで繰り返す。(交叉工程S
5)本実施の形態では交叉工程後のパターン総数が20個
であり、交叉工程前のパターンの総数は10個であるた
め、その後上記ステップS5-1〜S5-5の操作をC10が生成
されるまで繰り返す(ステップS5-6)。
【0037】次に図2に示したステップS6において、交
叉工程後のパターンPj及びCkに中/大規模変異を与え、
新しいパターンCRpを生成させる(図8に示す。)。ただし
ステップS6における中規模もしくは大規模変異の選択
は、交叉工程終了時に0≦G≦1の範囲で乱数Gを発生さ
せ、その乱数Gが0.8未満であったならば中規模変異と
し、0.8以上であったならば大規模変異とすることで決
定する。
【0038】ステップS6では、まず0≦H≦(j+k)の範囲
で乱数Hを発生させ、その乱数Hにもとづいて交叉工程後
のパターンPj及びCkの中から、1つのパターンを選び出
し、その選出されたパターンの複製を行う事で新しいパ
ターンCRp-aを生成させる。そしてこの選択・複製操作を
全体のパターン集団の数があらかじめ決めておいた中/
大規模変異工程後のパターン総数である40個になるまで
繰り返す。この選択・複製操作によりCR1-a〜CR20-aが生
成される。その後、このCRp-aに中/大規模変異を与える
ことで、中/大規模変異を与えたパターンCRpを生成させ
る。(選択・複製増殖・中/大規模変異工程S6)
【0039】はじめに中規模変異を与える場合について
説明する。図9に示すように中規模変異工程では、まず1
≦A≦5(=層数)の範囲での乱数Aを発生させ、その乱数A
によりパターンCRp-aの中の1つの要素であるXi={(Ni,D
i)}を選び出す(ステップS6-1-2)。その後0≦B≦1の範囲
で乱数Bを発生させ(ステップS6-1-3)、その乱数Bが0.5
以上であったならばDiを (ステップS6-1-4a)、0.5未満
であったならばNiを選ぶ(ステップS6-1-4b)。そしてそ
の後さらに0≦C≦1の範囲で乱数をC発生させ(ステップS
6-1-5a, S6-1-5b)、その乱数Cが0.5未満であったならば
+を(S6-1-6a, S6-1-6d)、0.5以上であったならば−を
選ぶ(ステップS6-1-6b, S6-1-6c)。以上の操作により、
NiあるいはDiに正負どちらかの中規模変異(+もしくは
‐のΔnc、あるいは+もしくは‐のΔdc)を与える。以
上S6-1-2〜S6-1-6 a,6b,6c ,6dまでの操作をあらかじめ
決めておいた回数Nc(=5回)だけ繰り返し(ステップS6-1-
7)、中規模変異を与えたパターンCRpを生成させる(ステ
ップS6-8)。
【0040】次に大規模変異を与える場合について説明
する(図10に示す。)。大規模変異工程では、まず1≦A≦
5(=層数)の範囲での乱数Aを発生させ、その乱数Aにより
パターンCRp-aの中の1つの要素であるXi={(Ni,Di)}を選
び出す(ステップS6-2-2)。その後0≦B≦1の範囲で乱数B
を発生させ(ステップS6-2-3)、その乱数Bが0.5以上であ
ったならばDiを (ステップS6-2-4a)、0.5未満であった
ならばNiを選ぶ(ステップS6-2-4b)。そしてその後さら
に0≦C≦1の範囲で乱数をC発生させ(ステップS6-2-5a,
S6-2-5b)、その乱数Cが0.5未満であったならば+を(ス
テップS6-2-6a, S6-2-6d)、0.5以上であったならば−を
選ぶ(ステップS6-2-6b, S6-2-6c)。以上の操作により、
NiあるいはDiに正負どちらかの中規模変異(+もしくは
‐のΔnd、あるいは+もしくは‐のΔdd)を与える。以
上S6-2-2〜S6-2-6 a,6b,6c ,6dまでの操作をあらかじめ
決めておいた回数Nd(=10回)だけ繰り返し(ステップS6-2
-7)、大規模変異を与えたパターンCRpを生成させる(ス
テップS6-8)。
【0041】以上の中/大規模変異工程を経ることによ
り、まったく異なった要素パターンをもつ要素の組み合
わせパターン集団をパターン集団の中に組み入れること
が出来る。
【0042】ステップS6の選択・複製・中/大変異工程が
終了したら、次にステップS7においてS6を経たパター
ンPj、Ck、CRpの光学特性を計算し、所望の光学特性値
との差異を計算する。光学特性としては、前記ステップ
S3と同様に多層膜光フィルターに角度θで入射する入射
光の多層膜光フィルターによる反射特性を参照する。上
記方法により、各パターンの適応度Qm(ただし1≦m≦j+k
+p)を算出する。
【0043】次にステップS8において、ステップS7で計
算した要素組み合わせパターンPj、Ck、CRpの所望の光
学特性に対する適応度Qmをもとに、要素組み合わせパタ
ーンの選択・淘汰を行う(図11に示す。)。まずPj、Ck、C
Rpを適応度Qmの値が高い順に並べ替えた後、それら並べ
替え後のパターンを上位から順に選択・淘汰工程後のパ
ターン総数だけ残す。生き残ったパターン以外のパター
ンは淘汰される。(二次選択・淘汰工程S8) 本実施の形態において適応度Qmにもとづく並べ替えによ
りパターンが式18に示される順序になったとすると、 C1,…,C10,P11,…,P20,CR1,…,CR20 …(18) 選択・淘汰工程後の個体数は10個であるので、上記操作
により抽出される要素組み合わせパターンはC1〜C10と
なる。
【0044】以上ステップS1からステップS8までを1
世代とする。ここでステップS8を終了した時に最大の
適応度Qmを有する要素組み合わせパターンをその世代で
の最良組み合わせパターンとする。本実施の形態ではC1
が1世代目の最良組み合わせパターンとなる。
【0045】1世代目が終了したらステップS8で得られ
た10個の要素の組み合わせパターン集団に対して、ステ
ップS2からステップS8までの繰返しを、各世代の組み合
わせパターンの適応度の最良値Qmが、あらかじめ決めて
おいた値Q0以上になるまで繰り返す。(ステップS29) 上記ステップの繰返しを行う事で得られる適応度の最良
値Qmを有する要素組み合わせパターンを多層膜フィルタ
ーの設計値とする。
【0046】(第二の実施の形態)本発明の第二の実施
の形態では、図1に示したものと同様な、5層多層膜フ
ィルタについて最適化計算の説明を行う。本発明の第二
の実施の形態は、ある世代のアルゴリズム工程にて得た
淘汰パターンの光学特性の値を、それ以前の世代のアル
ゴリズム工程にて得た淘汰パターンの光学特性の値と比
較し、それらが一致した場合、それまでのアルゴリズム
工程に用いた初期パターンと異なる第2の初期パターン
を設定し、この第2の初期パターンを用いて、再度アル
ゴリズム工程を繰り返し行なうものである。ここでは、
第2の初期パターンを用いる工程について中心的に説明
するため、第一の実施の形態と同一内容の場合、その説
明を省略する。
【0047】図14に本発明の第二の実施の形態におけ
るの5層膜構造をもつ多層膜光フィルターの設計のフロ
ーチャートを示す。第二の実施の形態では、ステップS2
1〜ステップS29までの工程における選択、選出、淘汰、
交叉、変異の操作において乱数α(=A,B,C,D,E,F)を用い
ることとする。この乱数αの発生方法としては第一の実
施の形態と同様に、合同法を用いる。
【0048】まずステップS21において計算に必要な
初期値(所望の光学特性、膜総数、基板の屈折率、入射
光の入射角度、複製増殖・変異工程後のパターンの総
数、変異量、変異工程の繰り返し数、交叉工程後のパタ
ーンの総数、選択・淘汰工程後のパターンの総数、比較
世代数、第2の初期パターン生成工程における変異量、
第2の初期パターン生成工程における変異工程の繰り返
し数、適応度の目標値)あるいは数値範囲の指定を行
う。
【0049】その後、第一の実施の形態と同様に、多層
膜jのi層を屈折率Niと膜厚Diを要素とする行列Xi
=(Ni,Di)を用いて、式6で示される初期パターンPjを
生成させる。(初期パターン集団の生成工程) Pj=(X1,X2,…,Xi,…) …(6)
【0050】第二の実施の形態では表2に示す値をステ
ップS1における計算に必要な初期値とする。上記操作に
より式7で示される1つの要素組み合わせパターンP1を
作成する。 P1=(X1,X2,X3,X4,X5) …(7)
【表2】
【0051】次にステップS22において、まず初期パ
ターン集団の複製を作成することで、増殖工程後のパタ
ーンの個数までパターン集団の総数を増やす(図15に
示す。) 本実施の形態ではこの操作により全体のパターン集団は
P1〜P20となり、すべてのパターンは式8で示される。 P1=P2=P3=…=P20 …(8) その後それぞれの複製パターンP2〜P20に変異を与える
(図16に示す。)。まず1≦A≦5(=層数)の範囲での乱数A
を発生させ、その乱数Aによりパターンの中の1つの要素
であるXi={(Ni,Di)}を選び出す(ステップS22-2)。そ
の後0≦B≦1の範囲で乱数Bを発生させ(ステップS22-
3)、その乱数Bが0.5以上であったならばDiを (ステップ
S22-4a)、0.5未満であったならばNiを選ぶ(ステップS
22-4b)。そしてその後さらに0≦C≦1の範囲で乱数をC
発生させ(S22-5a, S22-5b)、その乱数Cが0.5未満で
あったならば+を(ステップS22-6a, S22-6d)、0.5
以上であったならば−を選ぶ(ステップS22-6b, S22
-6c)。以上の操作により、NiあるいはDiに正負どちらか
の変異(+もしくは‐のΔn、あるいは+もしくは‐のΔ
d)を与える。以上S22-2〜S22-6a,6b,6c ,6dまでの
操作をあらかじめ決めておいた回数Nhだけ繰り返し(ス
テップS22-2-7)、変異を与えたパターンPjを生成させ
る(ステップS22-8)。(複製増殖・変異工程:S22) 本実施の形態において、複製パターンP2に対して、乱数
A=3、乱数B=0.2、乱数C=0.6、Nh=1回とすると、上記操
作によってP2は式9で表わされる。 P2=(X1,X2,X3',X4,X5)={X1,X2,(N3+Δn,D3),X4,X5}…(9)
【0052】次に図14のステップS23に示すように、
パターンの交叉を行う(図17及び図18に示す。)。た
だし図17は1回の交叉工程によるパターンの生成につ
いて説明した図であり、図18は繰返しを含めた交叉工
程を説明するフローチャートである。まず1≦D,E≦20(=
複製増殖・変異工程後のパターン総数)の範囲で2つの乱
数D、Eを発生させ、その2つの乱数D、Eをもとに、ステ
ップS22までに作成されたパターン集団P1〜P20の中か
ら、2つのパターンPj'及びPj''(ただし1≦j',j''≦j)
を選び出す(ステップS23-1)。
【0053】本実施の形態において、2つのパターンP
j'及びPj''がそれぞれ式12、式13のように表わされ
るとする(ステップS23-2)。 Pj'=(X1',X2',X3',X4',X5') …(12) Pj''=(X1'',X2'',X3'',X4'',X5'') …(13) 2つのパターンPj'及びPj''において、さらに1≦F≦4(=
膜数‐1)の範囲での乱数Fを発生させ、その乱数Fにもと
づいて、2つのパターンの交叉を与える要素間の位置を
決定する(ステップS23-3)。
【0054】本実施の形態においてF=3とすると、Pj'及
びPj''の交叉を与える要素間の位置は式14のように表
わされる。
【0055】
【数6】
【0056】その要素間位置で2つのパターンの交叉を
行い、式16及び式17に示される2つの組み合わせパ
ターンCk及びCk+1を新たに作成する(ステップS23-4, S2
3-5)。 Ck =(X1',X2',X3', X4'',X5'') …(16) Ck+1=(X1'',X2'',X3'',X4',X5') …(17)
【0057】その後上記ステップS23-1〜S23-5の操作を
全体のパターン集団の数があらかじめ決めておいた交叉
工程後のパターン総数になるまで繰り返す。(交叉工程
S23)本実施の形態では交叉工程後のパターン総数が30
個であり、交叉工程前のパターンの総数は20個であるた
め、その後上記ステップS23-1〜S23-5の操作をC10が生
成されるまで繰り返す(ステップS23-6)。
【0058】ステップS23の交叉工程が終了したら、次
にステップS24においてS23を経たパターンPj、Ckの光学
特性を計算し、所望の光学特性値との差異を計算する。
光学特性としては、第一の実施の形態と同様に多層膜光
フィルターに角度θで入射する入射光の多層膜光フィル
ターによる反射特性を参照する。上記方法により、各パ
ターンの適応度Qm(ただし1≦m≦j+k)を算出する。
【0059】次にステップS25において、ステップS24で
計算した要素組み合わせパターンPj、Ck、の所望の光学
特性に対する適応度Qmをもとに、要素組み合わせパター
ンの選択・淘汰を行う(図19に示す。)。まずPj、Ckを
適応度Qmの値が高い順に並べ替えた後、それら並べ替え
後のパターンを上位から順に選択・淘汰工程後のパター
ン総数だけ残す。生き残ったパターン以外のパターンは
淘汰される。(選択・淘汰工程S25)本実施の形態にお
いて適応度Qmにもとづく並べ替えによりパターンが式1
9に示される順序になったとすると、 C1,…,C10,P1,…,P20 …(19) 選択・淘汰工程後の個体数は10個であるので、上記操作
により抽出される要素組み合わせパターンはC1〜C10と
なる。
【0060】以上ステップS21からステップS25までを1
世代とする。ここでステップS25を終了した時に最大の
適応度Qmを有する要素組み合わせパターンをその世代で
の最良組み合わせパターンとする。本実施の形態ではC1
が1世代目の最良組み合わせパターンとなる。1世代目が
終了したら、ステップS25で得られた10個の要素の組み
合わせパターン集団に対して、適応度の最良値Qmが、あ
らかじめ決めておいた値Q0以上になるか否かを判断する
(ステップS26)。組み合わせパターンの適応度の最良
値Qmが、あらかじめ決めておいた値Q0以上になった場
合、適応度の最良値Qmを有する要素組み合わせパターン
を多層膜フィルターの設計値とする。
【0061】組み合わせパターンの適応度の最良値Qmが
あらかじめ決めておいた値Q0以上になっていない場合
は、得られた組み合わせパターンの局所収束性を判定す
る。(ステップS27)ステップS27では組み合わせパター
ンの適応度の最良値Qmが、現在の世代からNN世代前まで
に得られた組み合わせパターンの適応度の最良値と一致
しているか否かを判断する。或いは、組み合わせパター
ンの適応度の最良値Qmが、現在の世代までNN世代のあい
だ同じ値であるか否かをを判断する。
【0062】組み合わせパターンの適応度の最良値Qm
が、現在の世代からNN世代前まで得られた組み合わせパ
ターンの適応度の最良値と一致していない場合、局所収
束を生じていないと判断して、ステップS25で得られた1
0個の要素の組み合わせパターン集団を次世代目のステ
ップS22における初期パターンとする(ステップS28)。
【0063】一致が認められた場合は、パターンが局所
収束を生じていると判断して、第2の初期パターンの生
成(ステップS29)を行う。第2の初期パターンは、1世
代目から一致が認められた世代までに得られた要素組み
合わせパターンの中で、最良の適応度を持つ要素組み合
わせパターンに変異を与えることによって生成する(図
20に示す。)。まず1≦A≦5(=層数)の範囲での乱数Aを
発生させ、その乱数Aにより最良適応度パターンの中の1
つの要素であるXi={(Ni,Di)}を選び出す(ステップS29-
2)。その後0≦B≦1の範囲で乱数Bを発生させ(ステップS
29-3)、その乱数Bが0.5以上であったならばDiを (ステ
ップS29-4a)、0.5未満であったならばNiを選ぶ(ステッ
プS29-4b)。そしてその後さらに0≦C≦1の範囲で乱数を
C発生させ(ステップS29-5a, S29-5b)、その乱数Cが0.5
未満であったならば+を(ステップS29-6a, S29-6d)、0.
5以上であったならば−を選ぶ(ステップS29-6b, S29-6
c)。以上の操作により、NiあるいはDiに正負どちらかの
中規模変異(+もしくは‐のΔnss、あるいは+もしくは
‐のΔdss)を与える。以上S29-2〜S29-6 a,6b,6c ,6d
までの操作をあらかじめ決めておいた回数Nssだけ繰り
返し(ステップS29-7)、変異を与えた第2の初期パターン
PP1を生成させる(ステップS29-8)。この第2の初期パタ
ーンPP1を次世代目のステップS22における初期パターン
として、前期ステップS22以降の操作を行う。本実施の
形態において、ある世代における最良の要素組み合わせ
パターンの光学特性が、10世代前の該アルゴリズムの選
択・淘汰工程で得られたパターンの光学特性と一致した
とする。 一致した世代まででの最良の光学特性を持つ
要素組み合わせパターンがC1{=(X1',X2',X3',X4',X
5'))であるとすると、ステップS29において乱数A=4、
乱数B=0.2、乱数C=0.6、Nh=1回とすると、第2の初期パ
ターンPP1は、前期操作によって、式20で表わされ
る。 PP1={X1',X2',X3',(N4+Δn,D4),X5'} …(20)
【0064】以上のステップS22からステップS29までの
繰返しを、各世代の組み合わせパターンの適応度の最良
値Qmが、あらかじめ決めておいた値Q0以上になるまで繰
り返す。上記ステップの繰返しを行う事で得られる適応
度の最良値Qmを有する要素組み合わせパターンを多層膜
フィルターの設計値とする。
【0065】本発明の第一の実施の形態においては、本
発明の第二の実施の形態におけるステップS27及びステ
ップS29のステップ、つまりでステップS26を経たパター
ンの局所収束性を判定するステップを採用していない
が、この局所収束性を判定するステップを、本発明の第
一の実施の形態に実施することも可能である。また、本
発明の第一の実施の形態においては、複製増殖・変異工
程及び選択淘汰工程をそれぞれ2度づつ行なっている
が、本発明の第二の実施の形態と同様に第1の選択淘汰
工程及び第2の複製増殖・変異工程を省略することも可
能である。
【0066】以上、本発明の第一及び第二の実施の形態
のような方法により、従来の多層膜光フィルタの膜厚最
適化法では設計の自由度が低く、所望の光学特性から大
きく乖離した光学特性を有する多層膜構造しか得られな
かったのに対し、所望の光学特性からの乖離が少ない多
層膜構造を得ることができるようになる
【0067】
【実施例】以下、本発明の実施例を、表および図面を参
照して説明する。まず初めに、初期パターンの生成工
程、第1の複製増殖・変異工程、前記第1の選択淘汰工
程、前記交叉工程、前記第2の複製増殖・変異工程及び
前記第2の選択淘汰工程とからなるアルゴリズムを用い
た実施の例(実施例1及び実施例2)について説明す
る。次にあるアルゴリズム工程にて得た淘汰パターンの
光学特性の値を、それ以前の前記アルゴリズム工程にて
得た淘汰パターンの光学特性の値と比較し、一致した場
合、該アルゴリズムに用いた初期パターンと異なる第2
の初期パターンを設定し、この第2の初期パターンを用
いて、再度前期アルゴリズム工程を繰り返し行なう場合
の実施の例(実施例3)について説明する。本実施の例
で使用する多層膜構造の初期値は、高屈折率層と低屈折
率層の交互多層膜とし、各層の厚さは550nmに反射中心
波長を有するλ/4光学多層膜となるようにした。また目
標とする光学特性は、反射率が200〜450nmおよび650〜1
000nmで0.1であり、450〜650nmで0.5とした。
【0068】(実施例1)本実施の例では5層多層膜に
ついて最適化を行った結果を示す。表3に本実施の例で
使用する5層多層膜構造の初期値を示す。また本手法を
用いて最適化を行う場合の各種パラメーターを表4に示
す。
【表3】
【表4】
【0069】膜厚最適化法による最適化では反射ピーク
強度は目標値に近づくものの、大きな副反射帯が生じて
しまう。また膜厚最適化法による最大の適応度Qの値は
0.1618であった。表5に膜厚最適化法により最適化され
た5層多層膜構造を示す。
【表5】
【0070】一方、本案の手法を表4のパラメーターを
用いて計算を行った場合、適応度Qは49世代目に最良値
0.6090となり、Q0より大きな値となった。この適応度Q
の値は膜厚最適化法よりも大きく、本手法により膜厚最
適化法に比べて、目標となる光学特性に近い光学特性を
有する多層膜構造が得られていることを示すものであ
る。図12にその最大の適応度Qを有する光学多層膜の
光学特性10を示す。また比較のため膜厚最適化法での結
果9と、目標の光学特性7をあわせて示す。
【0071】図12から本手法により、膜厚最適化法に
比べて副反射帯の小さく目標の光学特性に近い光学特性
を有する多層膜構造が得られることが分かる。表6に本
手法により最適化された5層多層膜構造を示す。
【表6】
【0072】(実施例2)本実施の例では15層多層膜につ
いて最適化を行った結果を示す。表7に本実施の例で使
用する15層多層膜構造の初期値を示す。最適化を行う場
合の各種パラメーターを表4に示す。
【表7】 図13に15層膜において、本手法による最適化を表4の
パラメーターを用いて行った場合の、最大の適応度Qを
有する光学多層膜の光学特性11を示す。図13から本手
法は多層膜構造の層数を増加させても適用できるばかり
か、層数を増加させる事によりさらに所望の光学特性に
近い光学特性を有する多層膜光フィルターをも得る事が
できることが分かる。表8に本手法により最適化された
15層多層膜構造を示す。以上のように本手法を用いるこ
とにより、所望の光学特性を有する多層膜光合分波フィ
ルターを容易に得ることができる。
【表8】
【0073】(実施例3)本実施の例では3層多層膜につ
いて最適化を行った結果を示す。表9に本実施の例で使
用する3層多層膜構造の初期値を示す。また最適化を行
う場合の各種パラメーターを表10に示す。
【表9】
【表10】
【0074】図21に最適化計算における世代数に対す
る適応度の変化を示す。第2の初期パターンを生成させ
ない場合、いくつかの世代で最適化計算が停滞してしま
い、停滞が長い場合は適応度が飽和してしまう(破線1
2)。一方本手法では、停滞を判断したら、第2の初期パ
ターンを生成してアルゴリズムを繰り返す。第2の初期
パターンは停滞を判断した世代までで最良の適応度を持
つパターンに変異を与えたものである。本手法における
世代数に対する適応度の変化(実線13)は、停滞を判断し
た時には、一旦急峻に低下するものの、適応度の長期の
停滞を回避できる。表11に第2の初期パターンなしで
長期停滞を生じた場合と、本手法で長期停滞を回避した
場合の、それぞれ最大の適応度Qを有する3層光学多層
膜構造を示す。第2の初期パターンを用いる事により、
適応度の飽和を回避でき、異なる多層膜構造が得られて
いることが分かる。
【表11】 以上のように本手法を用いることにより、さらに所望の
光学特性に近い光学特性を有する多層膜光合分波フィル
タを設計・製造することができる。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多層膜フ
ィルタの製造方法によれば、所望の光学特性を有する多
層膜フィルターを設計する場合において、局所解に陥る
ことなく、最適なNi、Diを有する多層膜構造をもつ光フ
ィルターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態により製造された5
層多層膜光フィルターを示す断面図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態を説明するためのフ
ローチャートである。
【図3】図2に示したフローチャートにおける複製増殖
・小規模変異工程を説明するための模式図である。
【図4】図2に示したフローチャートにおける小規模変
異工程を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2に示したフローチャートにおける一次選択
・淘汰工程を説明するための模式図である。
【図6】図2に示したフローチャートにおける交叉工程
を説明するための模式図である。
【図7】図2に示したフローチャートにおける交叉工程
を説明するためのフローチャートである。
【図8】図2に示したフローチャートにおける選択複製
・中/大規模変異工程を説明するための模式図である。
【図9】図2に示したフローチャートにおける中規模変
異工程を説明するためのフローチャートである。
【図10】図2に示したフローチャートにおける大規模
変異工程を説明するためのフローチャートである。
【図11】図2に示したフローチャートにおける二次選
択・淘汰工程を説明するための模式図である。
【図12】本発明方法の実施例1により作られた5層多
層膜光フィルターの最適化結果の反射特性を示したグラ
フである。
【図13】本発明方法の実施例2により作られた15層多
層膜光フィルターの最適化結果の反射特性を示したグラ
フである。
【図14】本発明の第二の実施の形態を説明するための
フローチャートである。
【図15】図14に示したフローチャートにおける複製
増殖・変異工程を説明するための模式図である。
【図16】図14に示したフローチャートにおける変異
工程を説明するためのフローチャートである。
【図17】図14に示したフローチャートにおける交叉
工程を説明するための模式図である。
【図18】図14に示したフローチャートにおける交叉
工程を説明するためのフローチャートである。
【図19】図14に示したフローチャートにおける選択
・淘汰工程を説明するための模式図である。
【図20】図14に示したフローチャートにおける第2
の初期パターン生成工程を説明するためのフローチャー
トである。
【図21】本発明方法の実施例3おいて得られた3層多
層膜光フィルターの最適化計算過程での世代数に対する
適応度の変化を示したグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2 第1層 3 第2層 4 第3層 5 第4層 6 第5層 S1、S21 初期パターン生成工程 S2 第1の複製増殖・変異工程 S4 第1の選択淘汰工程 S5、S23 交叉工程 S6 第2の複製増殖・変異工程 S8 第2の選択淘汰工程 S22 複製増殖・変異工程 S25 選択淘汰工程 S29 第2の初期パターン生成工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水関 博志 宮城県仙台市青葉区米ヶ袋1丁目4番13 −104号 審査官 吉野 公夫 (56)参考文献 特開 平10−232312(JP,A) 特開 平8−160220(JP,A) 特開 平6−167726(JP,A) 特許2650048(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/28 G02B 1/10

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 S(Sは1以上の整数)層の多層膜光フ
    ィルタのi(iは1以上の整数)層の屈折率と膜厚とを
    要素とする行列Xiをさらに一つの要素として次式1: P=(X1,X2,X3…、XS) …(1) で表わされる行列からなる初期パターンを生成する工程
    と、前記初期パターンに基づいて、該初期パターン中の
    任意の要素Xiにおいて、初期パターン中の屈折率を所
    定値増減させるか又は膜厚を所定値増減させて互いに異
    なる変異パターンを所定数生成する増殖・変異工程と、
    該増殖・変異工程にて生成した変異パターン群と前記初
    期パターンのなかから一対のパターンを少なくとも一組
    選び、選んだ対のパターン同士においてパターン中の前
    記行列Xi及び/又は該行列Xiを前記所定値変異させ
    てなる行列を入れ替えて交叉パターンを所定数生成する
    交叉工程と、前記増殖・変異工程にて生成した変異パタ
    ーン群と前記交叉パターン群と前記初期パターンとから
    なるパターン群から、それらパターンの光学特性が所望
    の光学特性に近いパターンを順番に所望数選択する淘汰
    工程と、ついで前記初期パターンに代えて前記淘汰工程
    にて選択した所定数のパターンに基づいて、前記増殖・
    変異工程、前記交叉工程、前記淘汰工程とからなる一連
    のアルゴリズム工程を、該アルゴリズム工程にて得た直
    前の淘汰パターンの光学特性の値が前記所望の光学特性
    の値に対する所望の差の値の範囲内になるまで繰り返し
    行なう工程とからなることを特徴とする遺伝的アルゴリ
    ズムを用いた多層膜フィルタの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記増殖・変異工程、前記交叉工程、前
    記淘汰工程とからなる一連のアルゴリズム工程を繰り返
    して行った際に、該アルゴリズム工程にて得られた淘汰
    パターンの光学特性の値がそれ以前の前記アルゴリズム
    工程にて得られた淘汰パターンの光学特性の値と一致し
    た場合、前記初期パターンと異なる第2の初期パターン
    を設定し、前記増殖・変異工程、前記交叉工程、前記淘
    汰工程とからなる一連のアルゴリズム工程を繰り返し行
    なうことを特徴とする請求項1記載の遺伝的アルゴリズ
    ムを用いた多層膜フィルタの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の初期パターンが、それまでの
    工程で得られた最良の光学特性を有する淘汰パターンを
    変異させて生成したパターンであることを特徴とする請
    求項2記載の遺伝的アルゴリズムを用いた多層膜フィル
    タの製造方法。
  4. 【請求項4】 S(Sは1以上の整数)層の多層膜光フ
    ィルタのi(iは1以上の整数)層の屈折率と膜厚とを
    要素とする行列Xiをさらに一つの要素として次式1: P=(X1,X2,X3…、XS) …(1) で表わされる行列からなる初期パターンを生成する工程
    と、前記初期パターンを所定数複製し、該複製したパタ
    ーン中の要素Xiにおいて、初期パターン中の屈折率を
    所定値増減させるか又は膜厚を所定値増減させる第1の
    複製増殖・変異工程と、該工程で生成した変異パターン
    と初期パターンとからなる群におけるパターンから、そ
    れらパターンの光学特性が所望の光学特性に近いパター
    ンを順番に所望数選択する第1の選択淘汰工程と、該選
    択淘汰工程にて生成した淘汰パターン群から一対のパタ
    ーンを少なくとも一組選び、選んだ対のパターン同士に
    おいてパターン中の前記行列Xi及び/又は該行列Xi
    を前記所定値変異させてなる行列を入れ替えて交叉パタ
    ーンを所定数生成する交叉工程と、該交叉パターン群と
    前記淘汰パターン群とからなるパターン群から少なくと
    も一つの任意のパターンを選択しついで複製して、該複
    製したパターン中の前記行列Xi及び/又は該行列Xi
    を前記所定値変異させてなる行列中の要素において屈折
    率を所定値増減させるか又は膜厚を所定値増減させて変
    異パターンを生成する第2の複製増殖・変異工程と、該
    変異パターン群と前記交叉パターン群と前記淘汰パター
    ン群とからなるパターン群から、それらパターンの光学
    特性が前記所望の光学特性に近いパターンを順番に所望
    数選択する第2の選択淘汰工程と、ついで前記初期パタ
    ーンに代えて前記第2の選択淘汰工程にて選択した所定
    数のパターンに基づいて、前記第1の複製増殖・変異工
    程、前記第1の選択淘汰工程、前記交叉工程、前記第2
    の複製増殖・変異工程及び前記第2の選択淘汰工程とか
    らなる一連のアルゴリズム工程を、該アルゴリズム工程
    にて得た直前の第2の淘汰パターンの光学特性の値が前
    記所望の光学特性の値に対する所望の差の値の範囲内に
    なるまで繰り返し行なう工程とからなることを特徴とす
    る遺伝的アルゴリズムを用いた多層膜フィルタの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記第1の複製増殖・変異工程、前記第
    1の選択淘汰工程、前記交叉工程、前記第2の複製増殖
    ・変異工程及び前記第2の選択淘汰工程とからなる一連
    のアルゴリズム工程を繰り返して行った際に、該アルゴ
    リズム工程にて得られた第2の淘汰パターンの光学特性
    の値がそれ以前の前記アルゴリズム工程にて得られた第
    2の淘汰パターンの光学特性の値と一致した場合、前記
    初期パターンと異なる第2の初期パターンを設定し、前
    記第1の複製増殖・変異工程、前記第1の選択淘汰工
    程、前記交叉工程、前記第2の複製増殖・変異工程及び
    前記第2の選択淘汰工程とからなる一連のアルゴリズム
    工程を繰り返し行なうことを特徴とする請求項4記載の
    遺伝的アルゴリズムを用いた多層膜フィルタの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記第2の初期パターンが、それまでの
    工程で得られた最良の光学特性を有する第2の淘汰パタ
    ーンを変異させて生成したパターンであることを特徴と
    する請求項5記載の遺伝的アルゴリズムを用いた多層膜
    フィルタの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記淘汰工程もしくは前記第1及び前記
    第2の選択淘汰工程における淘汰を、次式2: 【数1】 (ただし、式中、 Rj(λ)は前記行列Xiの要素の組み
    合わせパターンから得られるそれぞれの波長λにおける
    反射特性を示し、Rr (λ)は所望の反射特性を示す。)
    で表わされる値Qjの大きい方から小さい方の順に従っ
    て行なうことを特徴とする請求項1又は4記載の遺伝的
    アルゴリズムを用いた多層膜フィルタの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の複製増殖・変異工程において
    屈折率を増減させる前記所定値及び膜厚を増減させる前
    記所定値に対し、前記第2の複製増殖・変異工程におい
    て屈折率を増減させる前記所定値及び膜厚を増減させる
    前記所定値が、それぞれ2ないし50倍であることを特
    徴とする請求項4記載の遺伝的アルゴリズムを用いた多
    層膜フィルタの製造方法。
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