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JP3346068B2 - 内燃機関のピストン - Google Patents
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JP3346068B2 - 内燃機関のピストン - Google Patents

内燃機関のピストン

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JP3346068B2
JP3346068B2 JP32573694A JP32573694A JP3346068B2 JP 3346068 B2 JP3346068 B2 JP 3346068B2 JP 32573694 A JP32573694 A JP 32573694A JP 32573694 A JP32573694 A JP 32573694A JP 3346068 B2 JP3346068 B2 JP 3346068B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関のピストンに関
する。
【0002】
【従来の技術】ピストンの周面に該ピストンの頂面側か
ら順に整列されたコンプレッションリングとオイルリン
グとを具備した内燃機関のピストンが公知である(実開
昭60−89462号公報参照)。通常、コンプレッシ
ョンリングおよびオイルリングはピストン周面に形成さ
れたコンプレッションリング受容溝およびオイルリング
受容溝内にそれぞれ受容される。また、コンプレッショ
ンリングは通常金属から形成されており、コンプレッシ
ョンリングがコンプレッションリング受容溝の頂面に接
触しかつシリンダボア内壁面に接触することによりピス
トンからコンプレッションリングを介してシリンダボア
内壁面に放熱し、それによりピストンをできるだけ冷却
するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、これらコンプレ
ッションリングおよびオイルリングは、燃焼室内の燃焼
ガス、すなわちいわゆるブローバイガスがクランク室内
に漏れないようにシール作用をも果たしている。ところ
が、これらコンプレッションリングおよびオイルリング
と対応する受容溝間およびシリンダボア内壁面間に小さ
なブローバイガス漏洩路が形成され、これらのブローバ
イガス漏洩路を介してクランク室内にブローバイガスが
漏れてしまう。特に、通常の金属製のコンプレッション
リングには、コンプレッションリングをコンプレッショ
ンリング受容溝内に受容せしめるために合い口が設けら
れており、このためコンプレッションリング周りに形成
されるブローバイガス漏洩路の流路面積が比較的大きく
されていることになる。この場合、コンプレッションリ
ング周りのブローバイガス漏洩路を介して漏れたブロー
バイガスが次いでオイルリング周りに形成されるブロー
バイガス漏洩路を介して比較的容易に漏れるとコンプレ
ッションリングの頂面には燃焼室内の圧力に近い高圧が
作用するにもかかわらずコンプレッションリングの底面
には比較的低い圧力が作用することとなる。ところが、
このようにコンプレッションリングの頂面に作用する圧
力が底面に作用する圧力よりも極めて大きくなるとコン
プレッションリングがコンプレッションリング受容溝の
頂面に接触しない状態に保持されることとなる。しかし
ながら、コンプレッションリングが、温度が高いコンプ
レッションリング受容溝の頂面に接触しない状態に保持
されるとコンプレッションリングを介して行われるピス
トンからシリンダボア内壁面への放熱作用を良好に行う
ことができなくなるという問題がある。上述の公報では
この問題点について何ら示唆していない。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに1番目の発明によれば、ピストンの周面に該ピスト
ンの頂面側から順に整列された少なくとも1つの金属製
のコンプレッションリングとオイルリングとを具備した
内燃機関のピストンにおいて、コンプレッションリング
周りに形成されるブローバイガス漏洩路の流路抵抗を、
オイルリング周りに形成されるブローバイガス漏洩路の
流路抵抗よりも小さくし、上記オイルリングを、合い口
を有することなく連続的に延びる樹脂製環状体から形成
している。
【0005】また、上記問題点を解決するために2番目
の発明によれば、ピストンの周面に該ピストンの頂面側
から順に整列された少なくとも1つの金属製のコンプレ
ッションリングとオイルリングとを具備した内燃機関の
ピストンにおいて、コンプレッションリング周りに形成
されるブローバイガス漏洩路の流路抵抗を、オイルリン
グ周りに形成されるブローバイガス漏洩路の流路抵抗よ
りも小さくし、上記オイルリングを受容するピストンの
オイルリング受容溝内にオイルリングをシリンダボア内
壁面に向けて付勢する付勢部材を設け、上記付勢部材を
熱膨張性材料から形成し、上記コンプレッションリング
のうち少なくとも1つのコンプレッションリングに合い
口を形成すると共に該合い口を画定するコンプレッショ
ンリングの両端が組付け後において互いに重なり合うよ
うにしている。
【0006】さらに、3番目の発明によれば1番目又は
2番目の発明において、上記オイルリングを繊維複合樹
脂から形成している。また、4番目の発明によれば1番
目又は2番目の発明において、上記オイルリングに合い
口を形成すると共に該合い口を画定するオイルリングの
両端が組付け後において互いに重なり合うようにしてい
る。
【0007】また、5番目の発明によれば1番目又は2
番目の発明において、上記オイルリングにより掻き取ら
れた潤滑油をピストン周面から逃がす潤滑油逃がし通路
を具備し、該潤滑油逃がし通路を、オイルリングを受容
するピストンのオイルリング受容溝内に開口させること
なくオイルリング受容溝とピストン底端部間のピストン
周面内に開口させている。
【0008】
【作用】請求項1又は2に記載の発明では、コンプレッ
ションリング周りのブローバイガス漏洩路の流路抵抗
を、オイルリング周りのブローバイガス漏洩路の流路抵
抗よりも小さくしているのでコンプレッションリング周
りのブローバイガス漏洩路を介して漏れたブローバイガ
スがオイルリングによってシールされる。この場合、コ
ンプレッションリングの頂面側と底面側間の圧力差が低
減され、それによりコンプレッションリングがコンプレ
ッションリング受容溝内でピストンに対して上下動す
る、いわゆるフラッタリングが生じ易くなる。コンプレ
ッションリングがフラッタリングを生ずるとコンプレッ
ションリングの頂面がコンプレッションリング受容溝の
頂面に接触する頻度が多くなるのでピストンからシリン
ダボア内壁面への良好な放熱作用が確保される。
【0009】請求項に記載の発明ではさらに、オイル
リングを、合い口を有することなく連続的に延びる環状
体から形成しているのでオイルリング周りのブローバイ
ガス漏洩路の流路抵抗が極めて大きくされる。請求項2
に記載の発明ではさらに、オイルリング受容溝内に設け
られた付勢部材によりオイルリングをシリンダボア内壁
面に向けて付勢するようにしているのでオイルリングと
シリンダボア内壁面間に形成されるブローバイガス漏洩
路の流路抵抗が極めて大きくされる。しかも、付勢部材
を熱膨張性材料から形成しているので冷間運転時に付勢
部材が収縮することによりオイルリングとシリンダボア
内壁面間の摩擦抵抗が低減される。この場合、オイルリ
ングによるシール作用が低下されるが、コンプレッショ
ンリングの両端が重なり合うようにしているのでクラン
ク室にまで到るブローバイガス量が低減される。請求項
3に記載の発明では、オイルリングを、線熱膨張率が小
さい繊維複合樹脂から形成しているのでオイルリングに
合い口を形成した場合であってもオイルリング周りのブ
ローバイガス漏洩路の流路抵抗が極めて大きくされる。
【0010】請求項4に記載の発明では、オイルリング
の両端部が互いに重なり合うのでオイルリング周りのブ
ローバイガス漏洩路の流路抵抗が極めて大きくされる
【0011】
【0012】請求項に記載の発明では、潤滑油逃がし
通路をオイルリング受容溝とピストン底端部間のピスト
ン周面内に開口させているのでオイルリングがオイルリ
ング受容溝の底面に常時接触する場合であっても余分な
潤滑油が良好に除去される。
【0013】
【実施例】図1を参照すると、1はシリンダブロック2
のシリンダボア3内に往復動可能に挿入された内燃機関
のピストン、4はピストン1の頂面1aと図示しないシ
リンダヘッド間に形成された燃焼室、5はクランク室を
それぞれ示す。ピストン1の周面1aには、ピストン1
の頂面1bから順に整列された第1のコンプレッション
リング受容溝6、第2のコンプレッションリング受容溝
7およびオイルリング受容溝8が形成される。これら第
1コンプレッションリング受容溝6、第2コンプレッシ
ョンリング受容溝7およびオイルリング受容溝8はそれ
ぞれ環状をなしており、また矩形状の断面を有してい
る。
【0014】第1コンプレッションリング受容溝6内に
は金属、例えばステンレス鋼形成された第1のコンプレ
ッションリング9が受容される。第1コンプレッション
リング9には図2に示すような合い口10が設けられ、
この場合合い口10を画定する第1コンプレッションリ
ング9の両端部には互いに重なり合うことなく対面する
一対の端面11,12が設けられている。第1コンプレ
ッションリング9に合い口10を設けることにより第1
コンプレッションリング9を第1コンプレッションリン
グ受容溝6内に挿着するのが容易になる。なお以下で
は、図2に示すような合い口を通常合い口と称する。
【0015】第2コンプレッションリング受容溝7内に
は第1コンプレッションリング9と同様な第2のコンプ
レッションリング13が受容される。すなわち、第2コ
ンプレッションリング13は金属から形成され、また通
常合い口を有する。
【0016】一方、オイルリング受容溝8内には樹脂、
例えばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂か
ら形成されたオイルリング14が受容される。このオイ
ルリング14は合い口を有することなく連続的に延びる
環状体から形成されている。なおオイルリング14を樹
脂から形成した場合、合い口を設けなくてもオイルリン
グ14をオイルリング受容溝8内に比較的容易に挿着す
ることができる。
【0017】ピストン1をシリンダボア3内に挿入した
組付け後において、第1および第2コンプレッションリ
ング9,13およびオイルリング14は圧入された状態
に保持される。したがって、第1および第2コンプレッ
ションリング9,13およびオイルリング14はそれぞ
れの自己張力によりシリンダボア内壁面3aに向けて付
勢されている。
【0018】さらに図1を参照すると、オイルリング受
容溝8とピストン1の底端部1c間に形成されるピスト
ン1のスカート部1d内にはスカート部1dを貫通して
ピストン1の周面1aからクランク室5に到る潤滑油逃
がし通路15が形成される。
【0019】機関作動時において、第1および第2コン
プレッションリング9,13およびオイルリング14は
燃焼室4内の燃焼ガスがクランク室5内にできるだけ漏
れないように、また燃焼室4内に生ずる負圧によって潤
滑油が燃焼室4内に流入しないようにするシール作用を
果たす。また、特に第1および第2コンプレッションリ
ング9,13はそれらを介してピストン1からシリンダ
ボア内壁面3aへ放熱し、それによりピストン1を冷却
するよう作用する。さらに、特にオイルリング14は、
図示しない潤滑油供給装置によりシリンダボア内壁面3
a上に供給された潤滑油のうち余分な潤滑油を掻き落と
して潤滑油の消費量を低減するよう作用する。
【0020】上述したように第1および第2コンプレッ
ションリング9,13は燃焼室4内の燃焼ガス、すなわ
ちブローバイガスが漏れないようにシールするシール作
用を果たす。しかしながら、第1コンプレッションリン
グ9とシリンダボア内壁面3a間、或いは第1コンプレ
ッションリング9と第1コンプレッションリング受容溝
6間には微小な間隙が形成され、これら間隙を介してブ
ローバイガスが漏れるようになる。したがって第1コン
プレッションリング9周りに形成されるこれら間隙はブ
ローバイガス漏洩路を構成する。また、第2コンプレッ
ションリング13周り、およびオイルリング14周りに
も同様のブローバイガス漏洩路が形成される。特に、図
1に示す実施例のように第1および第2コンプレッショ
ンリング9,13にそれぞれ通常合い口を設けた場合に
はこれら第1および第2コンプレッションリング9,1
3周りのブローバイガス漏洩路の流路面積は比較的大き
いものとなる。
【0021】ところが、オイルリング14周りのブロー
バイガス漏洩路の流路抵抗が、第1コンプレッションリ
ング9周りのブローバイガス漏洩路の流路抵抗と、第2
コンプレッションリング13周りのブローバイガス漏洩
路の流路抵抗との和よりも小さい場合には、例えば第2
コンプレッションリング13周りのブローバイガス漏洩
路を介して漏れたブローバイガスが比較的短時間でクラ
ンク室5内に漏れることになり、したがって第2コンプ
レッションリング13の底面には比較的低い圧力が作用
することになる。これに対し、第2コンプレッションリ
ング13の頂面には燃焼室4内の圧力に近い比較的高い
圧力が作用しており、したがって第2コンプレッション
リング13が第2コンプレッションリング受容溝7の頂
面に接触しない状態に保持されるようになる。
【0022】一方、上述したように第1および第2コン
プレッションリング9,13はピストン1からシリンダ
ボア内壁面3aへ放熱してピストン1を冷却するよう作
用する。この場合、第1および第2コンプレッションリ
ング9,13はそれぞれ対応するコンプレッションリン
グ受容溝6,7の壁面に接触することにより放熱する。
この場合、第1および第2コンプレッションリング9,
13は、対応するコンプレッションリング受容溝6,7
の壁面のうち燃焼室4に近い頂面に接触した方が放熱作
用が良好に行われる。しかしながら、上述したように第
1および第2コンプレッションリング9,13が対応す
るコンプレッションリング受容溝6,7の頂面に接触し
ない状態に保持されるとピストン1からシリンダボア内
壁面3aへの放熱作用が良好に行われなくなる。そこで
本発明による実施例では、第1および第2コンプレッシ
ョンリング9,13周りのブローバイガス漏洩路の流路
抵抗を、オイルリング14周りのブローバイガス漏洩路
の流路抵抗よりも小さくしている。云い換えると、第1
および第2コンプレッションリング9,13に通常合い
口を設けると共にオイルリング14を合い口を有しない
環状体から形成することにより、第1および第2コンプ
レッションリング9,13周りのブローバイガス漏洩路
の流路面積を、オイルリング14周りのブローバイガス
漏洩路の流路面積よりも大きくしている。その結果、オ
イルリング14周りのブローバイガス漏洩路からブロー
バイガスが短時間で漏れて例えば第2コンプレッション
リング13の底面に作用する圧力が低下するのを阻止す
ることができ、したがって第2コンプレッションリング
13の頂面に作用する圧力と第2コンプレッションリン
グ13の底面に作用する圧力間の圧力差を低減すること
ができる。第2コンプレッションリング13の頂面に作
用する圧力と底面に作用する圧力間の圧力差が小さくな
ると第2コンプレッションリング13は第2コンプレッ
ションリング受容溝7内においてピストン1に対して上
下動する、いわゆるフラッタリングを生じ易くなる。第
2コンプレッションリング13がフラッタリングを生ず
ると第2コンプレッションリング13の頂面と第2コン
プレッションリング受容溝7の頂面間の接触頻度が多く
なる。したがって、ピストン1からシリンダボア内壁面
3aへの良好な放熱作用を確保することができる。第1
コンプレッションリング9についても同様であるので説
明を省略する。
【0023】ところが、第1および第2コンプレッショ
ンリング9,13がフラッタリングを生ずると、第1お
よび第2コンプレッションリング9,13と対応するコ
ンプレッションリング受容溝6,7の各壁面間に比較的
大きなブローバイガス漏洩路が形成される。すなわち、
例えば第2コンプレッションリング13が第2コンプレ
ッションリング受容溝7の頂面および底面のいずれとも
接触しない状態にされる場合があり、その結果図3にお
いて矢印Aでもって示すようにこれらのブローバイガス
漏洩路を介して比較的多量のブローバイガスが漏れう
る。しかしながら本実施例では、オイルリング14を合
い口を有しない環状体から形成しているので、第1およ
び第2コンプレッションリング9,13を介してブロー
バイガスが漏れてもクランク室5に到るブローバイガス
を極めて少なくすることができる。したがって、ブロー
バイガスが潤滑油に接触して劣化するのを低減すること
ができる。
【0024】一方、第1および第2コンプレッションリ
ング9,13周りのブローバイガス漏洩路の流路面積
を、オイルリング14周りのブローバイガス漏洩路の流
路面積よりも大きくすると、オイルリング14の頂面に
作用する圧力が、オイルリング14の底面に作用する圧
力よりも高くなり、その結果図3に示すようにオイルリ
ング14がオイルリング受容溝8の底面に接触した状態
に保持されることとなる。このため、オイルリング14
によるブローバイガスのさらに良好なシール作用が確保
される。
【0025】ところで、従来では潤滑油逃がし通路をオ
イルリング受容溝8内に開口させるようにしていた。と
ころが、本実施例におけるようにオイルリング14がオ
イルリング受容溝8の底面に接触した状態に保持された
場合に潤滑油逃がし通路をオイルリング受容溝8内に開
口させるとオイルリング14により掻き取られた潤滑油
が潤滑油逃がし通路内に流入できないことになる。さら
に、第2コンプレッションリング13周りのブローバイ
ガス漏洩路から漏れたブローバイガスが潤滑油逃がし通
路を介してクランク室5内に到るようになってしまう。
そこで図1に示す実施例では、潤滑油逃がし通路15を
オイルリング受容溝8内に開口させることなくスカート
部1d内のピストン周面1aに開口させるようにしてい
る。その結果、オイルリング14により掻き取られた余
分な潤滑油をピストン周面1aから容易に逃がすことが
できるようになり、したがって潤滑油の消費量を低減す
ることができる。しかも、ブローバイガスが潤滑油逃が
し通路15を介してクランク室5内に到るのを阻止する
ことができる。
【0026】さらに、本実施例ではオイルリング14を
樹脂から形成しているのでオイルリング14とシリンダ
ボア内壁面3a間の摩擦抵抗を低減することができ、し
たがって機関出力の向上に寄与することができる。ま
た、樹脂製オイルリング14は耐熱性に優れているので
オイルリング14の耐久性を向上することができる。
【0027】次に図4および図5を参照してオイルリン
グの別の実施例を説明する。図4を参照すると、本実施
例ではオイルリング受容溝8とオイルリング14間に付
勢部材16が配置される。図4に示す例では付勢部材1
6は板状をなし、この付勢部材16はオイルリング14
をシリンダボア内壁面3aに向けて付勢し、それによっ
てシリンダボア内壁面3aとオイルリング14間に形成
されるブローバイガス漏洩路をできるだけなくすように
作用する。したがって、オイルリング14周りのブロー
バイガス漏洩路を介してクランク室5内にまで到るブロ
ーバイガス量をさらに低減することができる。なお、付
勢部材16を線材またはバネから形成することもでき
る。
【0028】また、本実施例のオイルリング14には図
5に示すような合い口17が設けられる。図5に示すオ
イルリング14において合い口17を画定するオイルリ
ング14の一端に凹部が形成され、オイルリング14の
他端にこの凹部に対応した形状の凸部が形成され、組付
け後においてこれら凹部および凸部が互いに重なり合わ
される。オイルリング14の両端は図5(A)に示す例
ではピストン1の軸線方向に互いに重なり合わされてお
り、図5(B)に示す例ではピストン1の半径方向に互
いに重なり合わされており、図5(C)に示す例ではピ
ストン1の軸線方向および半径方向に互いに重なり合わ
されている。このような合い口を、以下では重合合い口
と称することとする。オイルリング14に図5に示すよ
うな重合合い口17を設けることによって通常合い口を
設けた場合に比べてオイルリング14周りのブローバイ
ガス漏洩路の流路抵抗を極めて大きくすることができ
る。
【0029】また、本実施例ではオイルリング14は例
えばフッ素樹脂に繊維を混入して成形された繊維複合樹
脂から形成される。一般に、このような繊維複合樹脂の
線膨張率は小さく、したがって機関作動時に合い口すき
まが増大するのが阻止され、したがってオイルリング1
4に合い口17を設けた場合であってもブローバイガス
漏洩路の流路面積を小さくすることができる。なお、オ
イルリング14を、合い口を有することなく連続的に延
びる、金属または樹脂製の環状体から形成すると共に付
勢部材16を適用するようにしてもよい。なお、その他
のピストン1の構成および作用については図1の実施例
と同様であるので説明を省略する。
【0030】図6に付勢部材16の別の実施例を示す。
この実施例において付勢部材16はゴム製のOリングか
ら形成している。このOリング16は、オイルリング1
4をシリンダボア内壁面3aに向け付勢してシリンダボ
ア内壁面3aとオイルリング14間のブローバイガス漏
洩路をできるだけなくすようにし、同時にオイルリング
受容溝8壁面とオイルリング14間に形成されるブロー
バイガス漏洩路をシールするようにも作用する。したが
って、オイルリング14周りのブローバイガス漏洩路の
流路抵抗をさらに大きくすることができる。
【0031】ところで、図6の実施例におけるように付
勢部材16をゴム製のOリングから形成した場合、付勢
部材16は機関作動時においてピストン1から受熱して
熱膨張する。したがって、冷間運転時においてもオイル
リング14のシール作用が確保されるように付勢部材1
6の寸法または材質を定めると暖機運転完了後において
付勢部材16によってオイルリング14に大きな付勢力
が作用することになる。その結果、オイルリング14と
シリンダボア内壁面3a間のブローバイガス漏洩路をさ
らに小さくすることができる。
【0032】ところが、暖機運転完了後において付勢部
材16によってオイルリング14に過度の付勢力が作用
するとオイルリング14とシリンダボア内壁面3a間の
摩擦抵抗が大きくなってしまう。そこで、暖機運転完了
後にオイルリング14に適当な付勢力が作用するように
付勢部材16の寸法または材質を定めるようにしてもよ
い。この場合、冷間運転時には付勢部材16が収縮する
のでオイルリング14とシリンダボア内壁面3a間の摩
擦抵抗を低減することができ、したがって冷間運転時の
良好な機関始動または暖機運転を確保することができ
る。
【0033】ところが、冷間運転時にオイルリング14
とシリンダボア内壁面3a間の摩擦抵抗を低減するとこ
れらオイルリング14とシリンダボア内壁面3a間のブ
ローバイガス漏洩路を介してブローバイガスがクランク
室5内に漏れてしまう恐れがある。そこでこの場合に
は、第2コンプレッションリング13に図5に示すよう
な重合合い口を設けるようにする。その結果、第2コン
プレッションリング13周りの漏洩路の流路抵抗を大き
くすることができ、したがってクランク室5内にまで到
るブローバイガス量を低減することができる。なお、暖
機運転が完了した後には例えば図1に示した実施例と同
様な作用が得られる。
【0034】上述した実施例では第1および第2コンプ
レッションリング9,13に通常合い口10を設けてい
る。しかしながら第1および第2コンプレッションリン
グ9,13に重合合い口を設けるようにしてもよい。特
に、第2コンプレッションリング13を、合い口を有す
ることなく連続的に延びる環状体から形成してもよい。
また、上述の実施例では第2コンプレッションリング1
3を金属から形成しているが、第2コンプレッションリ
ング13を樹脂、または繊維複合樹脂から形成するよう
にしてもよい。さらに、第1および第2コンプレッショ
ンリング9,13に付勢部材16を適用してこれら第1
および第2コンプレッションリング9,13をシリンダ
ボア内壁面3aに向けて付勢するようにしてもよい。な
お、上述した実施例ではコンプレッションリングを一対
のコンプレッションリング9,13から形成している
が、コンプレッションリングを1個のコンプレッション
リングから形成してもよく、或いは3個以上のコンプレ
ッションリングから形成してもよい。
【0035】
【発明の効果】請求項1又は2に記載の発明では、コン
プレッションリング周りのブローバイガス漏洩路の流路
抵抗を、オイルリング周りのブローバイガス漏洩路の流
路抵抗よりも小さくしているのでコンプレッションリン
グ周りのブローバイガス漏洩路を介して漏れたブローバ
イガスをオイルリングによってシールすることができ、
したがってクランク室内にまで到るブローバイガス量を
低減することができる。この場合、コンプレッションリ
ングの頂面側と底面側間の圧力差が低減され、それによ
りコンプレッションリングがフラッタリングを生じ易く
なる。その結果、コンプレッションリングの頂面がコン
プレッションリング受容溝の頂面に接触する頻度が多く
なるのでピストンからシリンダボア内壁面への良好な放
熱作用を確保することができる。
【0036】請求項に記載の発明ではさらに、オイル
リングを、合い口を有することなく連続的に延びる環状
体から形成しているのでオイルリング周りのブローバイ
ガス漏洩路の流路抵抗を極めて大きくすることができ
る。したがってクランク室内にまで到るブローバイガス
量をさらに低減することができる。請求項2に記載の発
明ではさらに、オイルリング受容溝内に設けられた付勢
部材によりオイルリングをシリンダボア内壁面に向けて
付勢するようにしているのでオイルリングとシリンダボ
ア内壁面間に形成されるブローバイガス漏洩路の流路抵
抗を極めて大きくすることができる。しかも、付勢部材
を熱膨張性材料から形成しているので冷間運転時に付勢
部材が収縮することによりオイルリングとシリンダボア
内壁面間の摩擦抵抗を低減することができる。この場
合、コンプレッションリングの両端が重なり合うように
しているのでクランク室内にまで到るブローバイガス量
をさらに低減することができる。請求項3に記載の発明
では、オイルリングを、線熱膨張率が小さい繊維複合樹
脂から形成しているのでオイルリングに合い口を形成し
た場合であってもオイルリング周りのブローバイガス漏
洩路の流路抵抗を極めて大きくすることができる。
【0037】請求項4に記載の発明では、オイルリング
の両端部が互いに重なり合うのでオイルリング周りのブ
ローバイガス漏洩路の流路抵抗を極めて大きくすること
ができる
【0038】
【0039】請求項に記載の発明では、潤滑油逃がし
通路をオイルリング受容溝とピストン底端部間のピスト
ン周面内に開口させているのでオイルリングがオイルリ
ング受容溝の底面に常時接触する場合であっても余分な
潤滑油を良好に除去することができる。したがって潤滑
油の消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるピストンの部分断面図
である。
【図2】通常合い口の部分拡大斜視図である。
【図3】図1に示すピストンの作用を説明するピストン
の部分拡大断面図である。
【図4】オイルリングの別の実施例を示すピストンの部
分拡大断面図である。
【図5】図4のオイルリングに設けられる重合合い口の
部分拡大斜視図である。
【図6】付勢部材の別の実施例を示すピストンの部分拡
大断面図である。
【符号の説明】
1…ピストン 3…シリンダボア 4…燃焼室 5…クランク室 9…第1コンプレッションリング 13…第2コンプレッションリング 14…オイルリング 15…潤滑油逃がし通路 16…付勢部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16J 9/16 F16J 9/16 9/28 9/28

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンの周面に該ピストンの頂面側か
    ら順に整列された少なくとも1つの金属製のコンプレッ
    ションリングとオイルリングとを具備した内燃機関のピ
    ストンにおいて、コンプレッションリング周りに形成さ
    れるブローバイガス漏洩路の流路抵抗を、オイルリング
    周りに形成されるブローバイガス漏洩路の流路抵抗より
    も小さくし、上記オイルリングを、合い口を有すること
    なく連続的に延びる樹脂製環状体から形成したピスト
    ン。
  2. 【請求項2】 ピストンの周面に該ピストンの頂面側か
    ら順に整列された少なくとも1つの金属製のコンプレッ
    ションリングとオイルリングとを具備した内燃機関のピ
    ストンにおいて、コンプレッションリング周りに形成さ
    れるブローバイガス漏洩路の流路抵抗を、オイルリング
    周りに形成されるブローバイガス漏洩路の流路抵抗より
    も小さくし、上記オイルリングを受容するピストンのオ
    イルリング受容溝内にオイルリングをシリンダボア内壁
    面に向けて付勢する付勢部材を設け、上記付勢部材を熱
    膨張性材料から形成し、上記コンプレッションリングの
    うち少なくとも1つのコンプレッションリングに合い口
    を形成すると共に該合い口を画定するコンプレッション
    リングの両端が組付け後において互いに重なり合うよう
    にしたピストン。
  3. 【請求項3】 上記オイルリングを繊維複合樹脂から形
    成した請求項1又は2に記載のピストン。
  4. 【請求項4】 上記オイルリングに合い口を形成すると
    共に該合い口を画定するオイルリングの両端が組付け後
    において互いに重なり合うようにした請求項1又は2
    記載のピストン。
  5. 【請求項5】 上記オイルリングにより掻き取られた潤
    滑油をピストン周面から逃がす潤滑油逃がし通路を具備
    し、該潤滑油逃がし通路を、オイルリングを受容するピ
    ストンのオイルリング受容溝内に開口させることなくオ
    イルリング受容溝とピストン底端部間のピストン周面内
    に開口させた請求項1又は2に記載のピストン。
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