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JP3348815B2 - アルミナセメント物質、それを含有してなるアルミナセメント、及びそれを用いた不定形耐火物 - Google Patents
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JP3348815B2 - アルミナセメント物質、それを含有してなるアルミナセメント、及びそれを用いた不定形耐火物 - Google Patents

アルミナセメント物質、それを含有してなるアルミナセメント、及びそれを用いた不定形耐火物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミナセメント物
質、それを含有してなるアルミナセメント、及びそれを
用いた不定形耐火物に関し、特に、従来品にない、高耐
火性、高流動性、及び可使時間を確保するアルミナセメ
ント物質、それを含有してなるアルミナセメント、及び
それを用いた不定形耐火物に関する。
【0002】本発明のアルミナセメント物質、それを含
有してなるアルミナセメント、及びそれを用いた不定形
耐火物は、アルミナセメントが使用されている耐火物分
野、化学プラントのライニング、耐食材料、触媒材料、
及び土木建築分野等への利用が可能である。
【0003】
【従来の技術とその課題】アルミナセメントとは、CaO・
Al2O3、CaO・2Al2O3、及び12CaO・7Al2O3等と示される水
硬性カルシウムアルミネートの鉱物組成が主体となるよ
うに各種原料を配合し、溶融及び/又は焼成して製造し
たクリンカーを単独粉砕した水硬性セメント、又はその
クリンカーにアルミナや各種添加剤を配合し粉砕した水
硬性セメントをいう(秋山桂一著,セメント・コンクリー
トの化学,p225〜260,1984、荒井康夫著,セメントの材料
化学,p215〜218,1991、耐火物,Vol.29,p368〜374,197
7、耐火物,Vol.34,p634〜640,1982、耐火物,Vol.35,p19
0〜199,1983、及びTrans.J.Br.Ceram.Soc.,Vol.81(2),1
982)。また、日本工業規格(JIS)には、耐火物用アルミ
ナセメントの規格があり、JISR 2511の中で、化学成分
(CaO、Al2O3、及びFe2O3)、粉末度、凝結時間、及び強
さよって、アルミナセメントが1種〜5種まで規定され
ている。これらアルミナセメントについては、ヨーロッ
パを中心に古くから研究が行われており、一般的なアル
ミナセメントの製造方法、各種鉱物組成の特性、各種添
加剤による硬化調整方法、及び不定形耐火物への適応方
法などが提案された(T.D.Robson,High Alumina Cements
and Concrete,p1〜45,1962や耐火物,Vol.34,p499〜50
3,1982など)。
【0004】従来、高耐火性に関し、Al2O3/CaOモル比
が0.6〜1.2の鉱物組成を有するアルミナセメントにアル
ミナ質微粉を混合したアルミナセメントの製造法(特公
昭47−40694号公報)、CaO・Al2O3のクリンカーと特定の
比表面積や粒子形状を有するアルミナを混合した耐火性
アルミン酸カルシウムセメント(特開昭52−111920号公
報)、並びに、特定割合のCaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、及
び非晶質からなるアルミナセメントに、ヒドロオキシカ
ルボン酸塩や無機炭酸塩などの添加剤を配合したアルミ
ナセメント組成物(特開昭55−45507号公報)等が提案さ
れた。そして、硅弗化塩、ポリアクリル酸類、ほう酸
類、及び炭酸塩類等の各種添加剤によって、可使時間や
流動性を向上させることが(特開昭60−548497号公報、
特開昭55−759448号公報、特開昭61−86454号公報、特
開平1−83543号公報、及び特開平6−32639号公報)、ま
た、CaO・Al2O3と2CaO・Al2O3・SiO2からなるアルミナセメ
ントの硬化遅延剤や、CaO・Al2O3やCaO・2Al2O3組成のク
リンカーにα-Al2O 3と添加剤とを配合してなるアルミナ
セメント組成物(特開昭63−103847号公報や特開平7−23
2941号公報)等が提案された。しかしながら、これらア
ルミナセメントやアルミナセメント組成物は高耐火性、
可使時間、流動性、及び硬化性など、不定形耐火物とし
ての要求特性を満足するものではなかった。
【0005】さらに、これら従来のアルミナセメントを
低セメントキャスタブルに使用した際、アルミナセメン
トからのCa2+、Al3+、Al2O4 2-、及びOH-等のイオンの溶
出量を低減し、可使時間の確保を目的としたものとし
て、粒度分布を変えたアルミナセメントや粒子形状が角
状又は鱗片状のアルミナセメントが提案された(特開昭5
8−36953号公報や特開昭61−7200号公報など)。しかし
ながら、アルミナセメントの粒度分布や粒子形状を変え
てもカルシウムアルミネートに起因する多価イオンの溶
出制御は不充分で、流動性と可使時間の確保が満足でき
るものではなかった。
【0006】従来、アルミナセメントの流動性や可使時
間を確保するため、特定割合のCaO・Al2O3とCaO・2Al2O3
の鉱物組成をもち添加剤を併用したアルミナセメントが
提案された(特開平2−175638号公報、特開平7−232941
号公報、及び特開平7−232956号公報等)。しかしなが
ら、このアルミナセメントは、一定時間内に硬化するこ
とが要求されるにもかかわらず、鉱物組成としてCaO・Al
2O3とCaO・2Al2O3とを含有しているため、施工温度が低
温の場合、著しい硬化遅延を生じ、一定時間内に硬化し
にくいという課題があった。
【0007】さらに、アルミナセメントと特定粒度の骨
材とを使用した無振動(セルフレベリング)で施工可能な
不定形耐火物も提案された(特開平4−260673号公報、特
開平5−180689号公報、及び特開平7−237977号公報
等)。しかしながら、骨材の粒度構成や添加剤の併用で
は不定形耐火物の流動性を向上することができないとい
う課題があった。
【0008】これらの特許や文献に記載されているアル
ミナセメントは、強度発現性を得ようとすると可使時間
が確保できなかったり、高耐火性を得るために、Al2O3
含有率を上げると流動性が低下したり、強度発現性が不
足するなどの課題があり、従来の品質レベルを凌駕でき
るものではなかった。
【0009】一方、アルミナセメントの主用途である耐
火物分野では、アルミナセメントを配合した不定形耐火
物の適用範囲が増加する傾向にあり、また、不定形耐火
物の施工方法も省力化されつつあり、例えば、1回の施
工量が10トンを越えるような場合に実施する多量混練り
やポンプ圧送による施工、セルフレベリング施工、及び
ノンバイブレーター施工等が普及してきた。そのため、
特に、高強度発現性や高緻密性を目的とし、アルミナセ
メント、シリカヒューム等の超微粉、及び分散剤を配合
した不定形耐火物では、その適用範囲が増えるにつれ、
可使時間不足の問題が深刻化してきた。
【0010】また、アルミナセメントと水とを混合する
と、アルミナセメントを構成する水硬性カルシウムアル
ミネートから、Ca2+、Al3+、Mg2+、Na+、K+、及びAl2O4
2-等のイオンが溶出する。アルミナセメントの水和反応
は、アルミナセメントの粒子より溶出したイオンが析出
し硬化が促進される液相反応と、アルミナセメントの粒
子表面層から水和が進行する固液反応の競争反応であ
り、雰囲気温度の影響や各種添加剤の影響を強く受ける
ものであった。この溶出したイオンと超微粉とが凝集硬
化する理論を適用して、不定形耐火物、特に超微粉を配
合した不定形耐火物では、その凝集や可使時間の確保に
ついて各種の技術報告が報告された(耐火物,33-59,p3〜
7,1981、耐火物,33-393,p31〜34,1981、及び耐火物,40-
5,p270〜278,1988等)。
【0011】アルミナセメントの水和は、注水後、液相
に溶出するイオンによって進行するため、コロイドの凝
集や分散をモデルとしたDLVO理論に基づき、不定形
耐火物では、溶出したイオン量に凝集速度が依存するこ
ととなり、高温施工雰囲気での流動性や可使時間の確保
が難しいという課題があった。ここでいうDLVO理論
とは、コロイドの安定性理論(Verwey,E.J.W.etc.,Thero
ry of the Stability of Lyophobic Colloids,Elsevie
r,New york,1948)を基本とし、懸濁液のレオロジー的特
性が超微粉の分散と凝集に密な関係があることによると
いうものであり、粒子間に働くポテンシャルエネルギー
と電気二重層間との静電気的反発ポテンシャルの関係を
示すものである。この理論によれば、電解質の濃度を上
げれば上げるほど、また、イオン価の大きい電解質ほど
凝集は促進される。アルミナセメントから溶出するCa2+
やAl2O4 2-などの多価イオンが、不定形耐火物に凝集特
性を付与し、凝集が早くなることから流動性が低下した
り、可使時間が短くなる傾向を示す。このため、従来の
アルミナセメントでは、多価イオンの制御が不充分で流
動性と可使時間とを確保できるものではないという課題
があった。
【0012】特に、施工の省力化を目的としたポンプ圧
送による施工、コンクリートミキサー車などによる施
工、及びノンバイブレーター施工等では、不定形耐火物
にした際の流動性が非常に重要であって、従来のアルミ
ナセメントでは、流動性や可使時間が確保できず、ミキ
サー内で固まったり、ホッパーから排出できないなどの
課題があった。
【0013】さらに、近年、各種施工方法に適応した不
定形耐火物としての特性が要求されるようになり、従来
のアルミナセメントでは、流動性や可使時間が充分確保
できないという課題があった。
【0014】一方、CaO・2Al2O3を含有したアルミナセメ
ントでは、CaO・2Al2O3の水和活性が低いことから低温施
工時に硬化遅延が発生する傾向があった。また、12CaO・
7Al2O3を含有したアルミナセメントでは、イオン溶出が
早いため、硬化が促進され、可使時間と流動性が確保で
きない傾向があった。これら、CaO・2Al2O3や12CaO・7Al2
O3などのカルシウムアルミネートの硬化調整剤として、
前述の添加剤が使用されるが、可使時間を確保するため
に添加量を増加させたり、より遅延作用の強い添加剤を
配合すると硬化遅延が大きくなり、施工温度によっては
硬化しないなどのトラブルが発生する傾向があり、その
ため、従来の技術では、不定形耐火物の可使時間と流動
性を確保することに限界があり、高耐火性も得られない
という課題があった。
【0015】アルミナセメントを耐火物分野に使用する
場合、SiO2を含有したものは耐火性が劣るため、通常、
SiO2は配合されず、アルミナセメント製造時に使用する
ボーキサイト等の原料中に存在するSiO2によりカルシウ
ムアルミネートの副産物として生成する2CaO・Al2O3・SiO
2の量の程度に留まっており、その2CaO・Al2O3・SiO2は、
水和活性が著しく低く、耐火度低下等を示すため、これ
まで積極的にアルミナセメントに活用されたものはなか
った。
【0016】さらに、原料不純物に由来するSiO2、Ti
O2、Fe2O3、及びMgO等の化学成分は、不定形耐火物に使
用した際、低融点化合物を生成し、耐火度や熱間強度を
低下するといった課題があった。しかしながら、2CaO・A
l2O3・SiO2が存在すると不定形耐火物に使用した際、注
水初期の凝集時間が長くなるといった優れた特性を表す
ものの、2CaO・Al2O3・SiO 2の存在によるSiO2含有量の増
加は、著しい硬化遅延や強度低下を生じ、さらに、高温
下で液相を生成することによる耐火度の低下や熱間曲げ
強度の低下を生じて、耐火物としての使用が制限される
という課題があった。
【0017】また、従来のアルミナセメントの鉱物組成
は、適度な流動性を確保し、強度発現性や硬化性付与の
面で、CaO・Al2O3を主体とするものに限定されていた。
特に、カルシウムアルミネートは、CaO/Al2O3モル比に
より特性が変化し、CaO/Al2O3モル比が大きくなると耐
火度が低下したり、急硬性を示したりし、CaO/Al2O3
ル比が小さくなると高耐火性や硬化遅延性を示すことが
一般に知られている。
【0018】一方、カルシウムアルミネートの硬化速度
を調整するため、12CaO・7Al2O3のような早硬性カルシウ
ムアルミネートを配合することが提案された(特開昭54
−13639号公報)。また、CaO・2Al2O3や3CaO・5Al2O3は、
高耐火性を有するものの硬化遅延性が大きいという課題
があり、流動性、硬化性、及び強度発現性をバランスさ
せたものとして、CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、及び12CaO・7
Al2O3を混在させたアルミナセメントが提案された(特開
平7−61844号公報等)。また、アルミナセメントに遅延
性を付与するものとして、特定のガラス化率を有するCa
O・Al2O3と2CaO・Al2O3・SiO2とを主成分とする硬化遅延剤
が提案された(特開昭61−248487号公報)。しかしなが
ら、この硬化遅延剤を使用しても、硬化時間と高耐火性
とを充分確保できるものではなく、可使時間を延長する
ことも不充分であるという課題があった。
【0019】流動性や可使時間の確保を目的に添加剤を
併用した技術として、例えば、特定割合のCaO・Al
2O3、12CaO・7Al2O3、及び非晶質からなり、α-Al2O3
ヒドロオキシカルボン酸、及び無機炭酸塩を含有してな
るアルミナセメント組成物(特公昭45−129562号公報、
特開昭49−32921号公報、特開昭50−102617号公報、及
び特開昭55−121933号公報等)、 水溶性のポリアクリ
ル酸類及び/又はメタクリル酸−アクリル酸共重合体と
アルカリ金属炭酸塩とを含有してなるアルミナセメント
(特開昭55−75947号公報や特開昭55−75948号公報な
ど)、 特定のCaO/Al2O3モル比を持つ非晶質を含有す
るアルミナセメント、又はCaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、3Ca
O・Al2O3、12CaO・7Al2O3、及び11CaO・7Al2O3・CaF2等のう
ちの一種以上の鉱物組成に対応する非晶質カルシウムア
ルミネートを主成分とするアルミナセメント(特開昭61
−132556号公報、特開昭61−77659号公報、及び特開平2
−175638号公報等)、 少なくとも80重量%以上のCaO・
Al2O3のクリンカーと特定比表面積のアルミナとを含有
してなるアルミナセメント、又はアルミナセメントクリ
ンカーにアルミナ質微粉を含有してなるアルミナセメン
ト(特開昭52−111920号公報や特公昭43−74896号公報な
ど)、 CaO・2Al2O3を主体にして12CaO・7Al2O3、微粉ア
ルミナ、及びスルホン酸系アニオン界面活性剤を配合し
てなるアルミナセメント(特開昭55−144456号公報や特
開昭55−121934号公報)、 特定割合のCaO・Al2O3とCaO
・2Al2O3を含有するクリンカーとα-Al2O3からなるアル
ミナセメント(USP 4162923)、 カルシウムアルミネー
ト、ポリアクリル酸類、ホウ酸類、及び炭酸塩又はカル
ボン酸類からなるセメント組成物(特開平6−157097号公
報)等が提案されたが低セメントキャスタブルに適用し
た場合、高温施工時等では可使時間が確保できず、流動
性が充分確保できないという課題があった。
【0020】通常、市販のアルミナセメントは、いずれ
もCaO・Al2O3を主体にし、要求特性に応じて、12CaO・7Al
2O3、α-Al2O3、及び添加剤等を含有したものであっ
て、クリンカー製造時の副産物としてCaO・2Al2O3を若干
量含有したものであった。
【0021】ボーキサイト等の天然原料を使用したアル
ミナセメントには、2CaO・Al2O3・SiO 2が見られるもの
の、あくまでも不純物としての量であり、本発明のよう
に積極的に鉱物組成として配合調整したものはなかった
(耐火物,Vol.29,p368〜374,1977、耐火物,Vol.34,p634
〜640,1982)。また、高純度アルミナや水酸化アルミニ
ウムなどの合成原料を使用したアルミナセメントでは、
SiO2を含有すると耐火度が低下する課題があり、SiO2
積極的に除外されており、本発明のように各種鉱物組成
を組み合わせることでSiO2を含有する2CaO・Al2O3・SiO2
鉱物組成の特性を引き出すものはなかった。そして、こ
れらのアルミナセメントでは、耐火物分野、特に、製銑
設備や製鋼設備などの鉄鋼分野で要求される不定形耐火
物の特性レベルには、流動性、強度発現性、耐火性、及
び耐食性等の面で不充分であるという課題があった。
【0022】一方、従来技術として、例えば、アルミナ
セメントに含有されるCaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、及び12C
aO・7Al2O3等のカルシウムアルミネートに関する研究は
数多く見られ、中でもCaO・2Al2O3は硬化遅延傾向を示す
ことから、従来技術としてCaO・2Al2O3を含有させたもの
の研究が行われた(Cement and Concrete research;Vol.
20,p623〜635,1990、Trans.J.Br.Ceram.Soc.,81(2),p35
〜42,1982、及び耐火物,No.11,p18〜24,1982)。しかし
ながら、実際の不定形耐火物に使用すると流動性や可使
時間が充分確保できないという課題があった。
【0023】また、アルミナセメントの長期強度を改善
する目的で、2CaO・Al2O3・SiO2を含有した鉄鋼スラグ粉
末を混合する手法が提案された(特開昭53−12926号公報
や特開昭60−5055号公報など)。しかしながら、不定形
耐火物に使用した場合、流動性や可使時間が充分確保で
きないばかりか耐火度不足や高温下での強度が不足する
という課題があった。
【0024】本発明者は、前記課題を解消すべく種々検
討を重ねた結果、特定の鉱物組成のアルミナセメント物
質やアルミナセメントを使用することによって前記課題
が解消できるという知見を得て本発明を完成するに至っ
た。
【0025】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、鉱物組
成がCaO・AlO、CaO・2AlO、及び2CaO・AlO・Si
Oであり、化学成分がCaO10〜35重量%、AlO 648
5重量%、及びSiO0.6〜10重量%であり、不純物のTiO
、FeO、及びMgOの合計量が5.2重量%以下である
アルミナセメント物質であり、α-AlOと該アルミナ
セメント物質とを含有してなるアルミナセメントであ
り、該アルミナセメントと耐火骨材とを含有してなる不
定形耐火物である。
【0026】以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】本発明で使用するアルミナセメント物質と
は、CaOをC、AlOをA、SiOをSとすると、鉱物組成
がCA、CA、及びCASであり、化学成分がCaO10〜35
量%、AlO 6485重量%、及びSiO0.6〜10重量%
であり、不純物のTiO、FeO、及びMgOの合計量が
5.2重量%以下であるアルミナセメント物質であり、こ
の特定の鉱物組成の含有割合が重要である。即ち、従来
技術では、アルミナセメントの構成成分とすると著しい
硬化遅延、強度発現性の低下、及び耐火度の低下の原因
となり好ましくなかったCASを、特定割合のCAとCA
とを併用することによって、著しい硬化遅延や強度発現
性の低下を生じることなく、流動性が確保でき、可使時
間が延長できるものである。
【0028】アルミナセメント物質は、石灰石や生石灰
などのCaO原料、ボーキサイトや赤ボーキサイトなどの
天然原料、これら天然原料をバイヤープロセス等の精製
法により精製して得られた高純度アルミナ、及びアルミ
残灰等のAl2O3原料、並びに、珪砂、溶融シリカ、白
土、ロー石、及びシャモット等のSiO2原料を、熱処理生
成物中の鉱物組成が所定の割合になるように配合し、電
気炉、反射炉、縦型炉、平炉、シャフトキルン、及びロ
ータリーキルン等の設備で、溶融及び/又は焼成して得
られるクリンカーを粉砕してなるものである。
【0029】焼成法では、窯業協会誌,Vol.83(5),p239
〜243,1975 にも記載のように、CaO原料、Al2O3原料、
及びSiO2原料によるカルシウムアルミネートの生成反応
が固相拡散反応で進むためクリンカー中に多相の鉱物組
成を形成しやすく、本発明の目的とする鉱物組成が得ら
れにくい傾向がある。そのため、本発明では、焼成法で
製造したクリンカーに比べて、カルシウムアルミネート
の鉱物組成割合を本発明の目的内で製造しやすい溶融法
でクリンカーを製造することが好ましい。溶融法では、
カルシウムアルミネートの生成反応が、熱力学的に進む
ため、比較的、簡単に本発明の目的とする鉱物組成を得
ることができる。溶融法でアルミナセメント物質を製造
する場合、CaO原料、Al2O3原料、及びSiO2原料を所定の
割合で混合及び/又は混合粉砕し、電気炉、平炉、又は
反射炉等の溶融炉で、1,500℃以上の高温で溶融するの
が好ましく、未反応原料が完全に無くなるまで溶融する
ことがより好ましい。原料配合物を溶融後、高圧空気や
水に接触させて冷却し、アルミナセメントのクリンカー
とすることが好ましい。これらクリンカーの粉砕・混合
は、クリンカー同士を混合後、粉砕しても良く、あるい
は、各々粉砕したものを混合しても良く、特に、目的の
鉱物組成割合になるようにする手段は制限されるもので
はない。クリンカーの粉砕機としては、通常、粉塊物の
微粉砕に使用される、例えば、ローラーミル、ジェット
ミル、チューブミル、ボールミル、及び振動ミル等の粉
砕機の使用が可能である。
【0030】本発明の目的とする鉱物組成を得る方法と
しては、CA-CA2-C2AS鉱物組成を一時に合成する方法、C
A、CA2、及びC2ASの各鉱物組成を単独に合成し所定の割
合になるように配合する方法、並びに、CA-CA2鉱物組
成、CA2-C2AS鉱物組成、CA、CA2、及びC2AS鉱物組成を
含有するクリンカーを合成し、所定の鉱物組成になるよ
うに混合する方法等がある。
【0031】本発明における鉱物組成の配合割合は、Cu
−Kα線を用いたX線回折分析によって分析可能であ
る。X線回折法による鉱物組成の定量方法として、回折
線の強度比測定法、内部標準法、Zevine法、及びX線回
折ピーク分離法等があり、本発明においては、いずれの
方法でも定量可能である。ここでいう回折線の強度比測
定法は、各鉱物組成の回折強度を相対的に現した値で示
すものであり、内部標準法とは、内部標準物質と試料と
を一定の割合で混合し、成分濃度と回折線強度比との間
には直線関係が得られることを利用して、濃度が既知の
標準試料で検量線を作成し分析する方法である。また、
Zevine法とは、試料の平均質量吸収係数と回折線強度比
とを測定し、n次の連立方程式を解くことにより各結晶
相を定量する方法であり、平均質量吸収係数は蛍光X線
分析法又は化学分析によって試料の成分を定量して算出
することができる。この他、試料の結晶やガラス相から
測定するX線回折ピーク分離法でも定量可能である。本
発明においてはいずれの方法でも、鉱物組成やガラス化
率を定量することが可能であるが、測定が簡単で、精度
が良いZevine法又は回折線の強度比測定法が好ましい。
【0032】アルミナセメント物質の鉱物組成割合は、
CA20〜80重量部、CA25〜50重量部、及びC2AS5〜60重
量部が好ましく、CA40〜60重量部、CA210〜30重量部、
及びC 2AS10〜30重量部がより好ましい。アルミナセメン
ト物質の鉱物組成比がこの範囲外であると、流動性、硬
化性、及び強度発現性が悪化する場合がある。特に、CA
2が少ないと水和後の水酸化アルミニウムの生成量が少
なく、不定形耐火物に使用した際、約800〜1,000℃の中
間温度域での強度が低下する場合があり、一定量のCAを
含有していないと強度発現性が不充分である。また、C2
ASの含有量が多いと強度低下や硬化遅延が大きい。この
ため、CA、CA2、及びC2ASの鉱物組成割合は重要であ
る。
【0033】また、本発明では、アルミナセメント物質
の化学成分は重要であって、CaO10〜35重量%、AlO
6485重量%、及びSiO0.6〜10重量%である。CaO含
有量が10重量%未満では不定形耐火物に使用した際に、
強度発現性が不足し、AlOが少ないと耐火性が低下
する場合がある。また、SiOが多いと流動性は向上
し、可使時間が長くなるものの、硬化遅延や強度発現性
が著しく低下する場合がある。本発明のアルミナセメン
ト物質には、目的とするCA、CA、及びCASの他に、
原料に起因するα-AlOや原料中の不純物から生成す
るCaO・TiOや4CaO・AlO・FeOなどの不純物を含
有しているものも使用可能であるが、アルミナセメント
物質中の不純物は少ない方が好ましく、その合計量は5.
2重量%以下が好ましく、TiO0.5重量%以下、FeO
0.5重量%以下、及びMgO0.5重量%以下がより好まし
い。これら不純物が多くなると耐火度だけでなく、強度
発現性、高温下での硬化体としての体積安定性や耐スポ
ーリング抵抗性などの特性が悪化するばかりでなく、ス
ラグ等への耐食性が低下する場合がある。
【0034】本発明におけるアルミナセメント物質のガ
ラス化率は、溶融及び/又は焼成した高温のクリンカー
を冷却する速度により調整可能であり、特に限定される
ものではないが、アルミナセメント物質では、ガラス化
率が高いと可使時間が長く取れるので好ましい。ガラス
化率は、粉末X線回折法による鉱物組成の分析で測定が
可能であり、回折線の強度が弱いもの程ガラス化率が大
きい。本発明では、ガラス化率は20%以上が好ましく、
50%以上がより好ましい。このガラス化率は、粉末X線
回折法による回折線の消失により測定することが可能で
あり、ガラス化率(重量%)=100−(ピーク面積/全回折
線面積)×100の式によって算出できる。アルミナセメン
トは、一般に溶融や焼成によって製造したクリンカーを
水や空気に接触させて冷却する方法で製造されるが、冷
却時に急冷するとガラス化率は高くなり、また、クリン
カーの鉱物組成中のSiO2含有量が多くなるとガラス化率
は高くなる。
【0035】アルミナセメント物質やアルミナセメント
の粒度は、流動性、硬化性、及び強度発現性に影響する
ため、目的特性を得るためには重要な管理ポントであっ
て、粉砕したクリンカーの粒度は、例えば、JIS R 2521
に記載のブレーン比表面積の測定方法で測定でき、ブレ
ーン値2,000〜8,000cm2/gが好ましく、4,000〜7,000cm2
/gがより好ましい。2,000cm2/g未満ではアルミナセメン
ト物質やアルミナセメントとしての水和活性が低く、強
度発現性が低下したり、硬化不良が発生したりする傾向
がある。また、8,000cm2/gを越えると水和活性が大きく
なりすぎ、注水後の可使時間が確保できない傾向があ
る。また、平均粒子径は、20μ以下が流動性と高温での
可使時間に優れるため好ましく、1〜15μがより好まし
い。20μを越えると流動性が低下したり、硬化遅延する
傾向がある。ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折
法、レーザー散乱法、及び沈降天秤法等の一般的に使用
されている粒度分布測定機による粒度測定結果の値であ
って、50%平均径である。
【0036】本発明のアルミナセメント物質はそのまま
アルミナセメントとして使用することが可能であるが、
本発明のアルミナセメントを不定形耐火物に使用した
際、高耐火性、高温強度発現性、耐食性、及び体積安定
性を付与する面からα-Al2O3を配合することは好まし
い。また、配合するα-Al2O3の種類によって、アルミナ
セメントの特性が大きく変わるため、α-Al2O3の選択は
重要である。
【0037】α-Al2O3とは、バイヤープロセス等によっ
て高純度化処理された水酸化アルミニウムをロータリー
キルンで焼成して得られる精製アルミナであって、Al2O
3を90重量%以上含有する高純度アルミナであり、一般
には、高純度アルミナ、バイヤーアルミナ、易焼結アル
ミナ、又は軽焼アルミナと呼ばれるものである。特に、
本発明においては、組み合わせるアルミナセメント物質
との相互作用によって、初めて従来品に無い特性を発揮
できるものである。
【0038】α-Al2O3の粒度は、粉砕前の一次粒子径が
平均粒子径(Dp50)で、30〜100μが好ましい。通常、こ
の一次粒子径は、バイヤープロセスにおける水酸化アル
ミニウムの析出速度に関連し、析出速度を遅くすると大
径のものが得られ、逆に早くすると小径のものが得られ
る。また、α-Al2O3の焼成度は、BET法による比表面
積で0.2〜100m2/gが好ましい。焼成度は、比表面積が大
きいものほど軽焼タイプのアルミナであることを示し、
高温下で使用した際、焼結性に優れるが収縮が大きくな
る傾向がある。比表面積が大きいとアルミナセメントに
した際の流動性が低下し、逆に小さいと流動性が向上す
る傾向を示す。また、比表面積が大きいと不定形耐火物
に配合した際、高温での焼結性は向上するものの、過焼
結により、耐スポーリング性が低下し、収縮も大きくな
る傾向を示す。比表面積が小さいアルミナを配合したも
のは、逆の傾向を示す。このため、本発明に配合するα
-Al2O3の選択は、アルミナセメントの特性を大きく左右
するため、慎重に行うべきであり、不定形耐火物に配合
した際の要求品質に応じて、適宜決定すべきものである
が、本発明では、α-Al2O3の一次粒子径が30〜100μ
で、アルミナの焼成度が0.2〜100m2/gが好ましく、一次
粒子径40〜80μで、0.3〜10m2/gがより好ましく、流動
性、硬化性、強度発現性、収縮率、及び耐スポーリング
性の面から、一次粒子径が45〜65μで、焼成度が0.5〜
2m2/gが最も好ましい。
【0039】また、α-Al2O3の純度は、通常のバイヤー
プロセスによって製造されたアルミナであれば、Al2O39
8重量%以上の純度の確保が可能である。本発明では、A
l2O3の純度は高いことにこしたことはないが、98重量%
以上あれば充分である。α-Al2O3では、Al2O3純度の他
に不純物としてのNa2O量が問題であって、Na2Oが多いと
アルミナセメントにした際、流動性が低下したり、耐火
性が低下したり、高温で収縮したりする傾向がある。そ
のため、Na2O量は少ない方が好ましく、0.5重量%以下
が好ましく、0.35重量%以下がより好ましい。
【0040】本発明では、このα-Al2O3とアルミナセメ
ントのクリンカーとを配合し、粉砕機で混合粉砕する
か、α-Al2O3を単独でアルミナセメント相当の粒度まで
粉砕後、クリンカー粉砕物と混合することも可能であ
る。α-Al2O3を単独で粉砕する場合、Dp50が1〜10μ程
度まで粉砕することが好ましい。特に、本発明では、α
-Al2O3をクリンカーと混合粉砕した方がアルミナセメン
ト粒子との馴染みが良く、またアルミナセメント中に均
一に混合されるため、不定形耐火物に使用した際、硬化
体組織が均一になり、耐食性が向上する傾向がある。
【0041】α-AlOの使用量は、アルミナセメント
物質とα-AlOからなるアルミナセメント100重量部
中、0〜50重量部が好ましく、10〜40重量部がより好ま
しく、20〜40重量部が最も好ましい。α-AlOの使用
量を増量すると、耐火性や高温での焼成強度は増加する
が、常温での養生強度や乾燥強度が低下し、流動性も低
下する傾向があり、配合するクリンカーの成分組成との
兼ね合いがあるが、α-AlO配合後の化学成分が、Ca
O21〜28重量%、AlO70〜78重量%、及びSiO1〜
4重量%になるように配合したものが、流動性が良好
で、高強度発現性が得られる面からより好ましい。CaO
やSiOが多いと耐食性や耐火度が著しく低下する傾向
がある。耐火骨材としてマグネシア質骨材を配合した不
定形耐火物の場合、アルミナセメント中のα-AlO
多いと、高温下でマグネシアと反応し、マグネシアスピ
ネルを生成することがあり、その過程で体積膨張する傾
向を示すため、アルミナセメント中のα-AlOが80重
量%を越えるように多量に配合することは、目的とする
不定形耐火物で配合する耐火骨材の種類と添加量によっ
ては好ましくない。
【0042】さらに、本発明では、アルミナセメントや
不定形耐火物の流動性の改善目的で、通常、不定形耐火
物に配合される、例えば、耐火物,33-59,p3〜7,1981、
耐火物,3-393,p31〜34,1981、及び耐火物,40-5,p270〜2
78,1988等に記載されている、硬化遅延剤や硬化促進剤
などの添加剤や、流動化剤等を併用することが可能であ
る。
【0043】硬化遅延剤としては、カルボン酸類、アル
カリ金属炭酸塩、ホウ酸類、ポリアクリル酸類、ポリメ
タクリル酸類、及びリン酸類が挙げられ、そのうち、カ
ルボン酸又はそのアルカリ塩の使用が好ましい。ここ
で、カルボン酸類とは、オキシカルボン酸類であって、
具体的には、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、コハク
酸、乳酸、リンゴ酸、及びサリチル酸又はそれらのナト
リウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等のアルカリ
塩等が挙げられる。これらのうち、クエン酸又はそのア
ルカリ塩、中でもクエン酸ナトリウムやクエン酸カリウ
ムの使用が好ましい。カルボン酸類の純度は特に限定さ
れるものではないが、現在、工業的に精製されているカ
ルボン酸類の使用が可能であって、目的とするカルボン
酸類の純度が80重量%程度以上が好ましい。中でも、不
純物として硫酸塩が0.05重量%以下のクエン酸又はその
塩や、20℃における1重量%濃度の水溶液のpHが7〜
10のクエン酸又はその塩を使用することは、可使時間に
優れるため好ましい。
【0044】アルカリ金属炭酸塩としては、無機の炭酸
塩のいずれも使用可能であるが、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウム
等のアルカリ金属炭酸塩の使用が好ましく、その含水塩
や無水塩のいずれの使用も可能である。これらのうち、
炭酸ナトリウムの使用が好ましく、JIS K 1201やJISK 8
625で規定される炭酸ナトリウムを使用することが可能
である。アルカリ金属炭酸塩の粒度は、アルミナセメン
トと混合した際、水に溶解しやすいように、細かいもの
程好ましく、100メッシュ以下、特に、200メッシュ以下
が好ましい。アルカリ金属炭酸塩の純度は特に限定され
るものではないが、現在、工業的に精製されているアル
カリ金属炭酸塩の使用が可能であって、目的とする炭酸
塩の純度が80重量%程度以上のものの使用が好ましい。
【0045】ホウ酸類とはホウ酸又はそのアルカリ塩を
いう。ホウ酸は、別名ボール酸、正ホウ酸、又はオルソ
ホウ酸と呼ばれ、H3BO4で示され、ピロホウ酸、テトラ
ホウ酸、及びメタホウ酸を含有するものである。ホウ酸
の製造方法は特に限定されるものではないが、通常、ホ
ウ酸の原鉱石に硫酸を加えて加熱分解し、ホウ酸を遊離
させて分離抽出後、精製する。ホウ酸のアルカリ塩とし
ては、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等
が挙げられ、そのうち、ナトリウム塩又はカリウム塩の
使用が好ましく、その含水化合物や無水化合物のいずれ
の使用も可能である。ホウ酸類の粒度は、アルミナセメ
ントに混合した際、水に溶解しやすいように小さければ
小さいほど好ましい。また、ホウ酸類の純度は特に限定
されるものではないが、現在、工業的に精製されている
ホウ酸の使用が可能であって、ホウ酸中のBO4分が80重
量%以上が好ましい。
【0046】ポリアクリル酸類としては、ポリアクリル
酸又はこれらの塩で、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ
アクリル酸カリウム、及びポリアクリル酸アンモニウム
等が挙げられるが、これらの中で、性能、価格、入手し
易さ、及び取扱い易さ等からポリアクリル酸ナトリウム
の使用が最も好ましい。
【0047】ポリメタクリル酸類とは、ポリメタクリル
酸又はこれらの塩で、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポ
リメタクリル酸カリウム、及びポリメタクリル酸アンモ
ニウム等が挙げられるが、これらの中で、性能、価格、
入手し易さ、及び取扱い易さ等からポリメタクリル酸ナ
トリウムの使用が最も好ましい。
【0048】リン酸類とは、ヘキサメタリン酸、トリポ
リリン酸、及びピロリン酸又はそのアルカリ塩等が挙げ
られる。
【0049】また、硬化促進剤としては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウム等の水酸
化物や、炭酸リチウム等のリチウム塩が挙げられ、その
うちリチウム塩の使用が硬化促進作用が強い面から好ま
しい。
【0050】添加剤の使用量は、アルミナセメント100
重量部に対して、0.5〜2.5重量部が好ましく、1.0〜2.0
重量部がより好ましい。0.5重量部未満では作業性が低
下する場合があり、2.5重量部を越えると硬化が遅延し
たり、強度が低下する場合がある。
【0051】流動化剤は、セメント分散性に優れる界面
活性剤を主成分とする混和剤であって、一般には、ナフ
タレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩(ナフタレン
系)、メラミン樹脂スルホン酸ホルマリン縮合物の塩(メ
ラミン系)、及びオレフィン/マレイン酸共重合物の塩
(カルボン酸系)等が使用可能である。具体的にはβ−ナ
フタレンスルホン酸高縮合物のナトリウム塩、クレオソ
ート油スルホン酸縮合物のナトリウム塩、β−ナフタレ
ンスルホン酸低縮合物のナトリウム塩、及びポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。流動
化剤の使用量は特に限定されるものではないが、アルミ
ナセメントと耐火骨材からなる不定形耐火物100重量部
に対し、0.5〜5重量部が好ましい。
【0052】添加剤や流動化剤の配合方法は特に限定さ
れるものではなく、添加剤等を所定の割合になるように
配合し、あらかじめ粉砕したアルミナセメントと、V型
ブレンダー、コーンブレンダー、ナウタミキサー、パン
型ミキサー、及びオムニミキサー等の混合機を用いて均
一混合するか、あるいは、所定の割合でアルミナセメン
トと添加剤等を配合後、振動ミル、チューブミル、ボー
ルミル、及びローラーミル等の粉砕機で混合粉砕するこ
とが可能である。また、本発明では、添加剤等を100〜4
00℃の温度で加熱し、アルミナセメントと混合するか、
又は添加剤等とアルミナセメントとを一緒に混合したも
のを加熱する方法が可能である。加熱方法としては、粉
砕と同時に加熱する方法、輸送時に熱風で加熱する方
法、輸送機械を加熱する方法、及び貯蔵時に加熱する方
法等が可能である。
【0053】これらの添加剤等は、ICP、ICPA、
GC−MS、NMR、HPLC、及びFT−IR等の機
器分析、キレート分析、及び放射化分析法等で種類と量
比とを特定化することが可能である。
【0054】本発明で使用する水は特に限定されるもの
ではなく、水道水、天然水、及び河川水等、一般のコン
クリート用として使用される水が使用できるが、Na+、K
+、Mg2+、Ca2+、及びCl-等の可溶性成分の少ない水の使
用が好ましい。水の使用量は目的とする不定形耐火物に
よって適宜決定され、特に限定されるものではないが、
その量が多いとブリージングしたり強度が低下する。そ
のため、流し込み施工する不定形耐火物では、通常、不
定形耐火物100重量部に対して、2〜20重量部が好まし
い。一般的には、JIS R 2553記載の方法で測定したフロ
ー値が130〜240mmになるように水を添加することが好ま
しい。
【0055】本発明で使用する耐火骨材とは、耐火骨材
92〜99重量%とアルミナセメント1〜8重量%からなる
低セメントキャスタブルタイプに使用するとその効果が
より発揮するもので、通常、不定形耐火物に使用されて
いる耐火骨材が使用可能である。具体的には、マグネシ
ア質、マグネシアスピネル質、アルミナ質、カーボン
質、並びに、超微粉等が挙げられ、その他、溶融シリ
カ、焼成ムライト、酸化クロム、ボーキサイト、アンダ
ルサイト、シリマナイト、シャモット、ケイ石、ロー
石、粘土、ジルコン、ジルコニア、ドロマイト、パーラ
イト、バーミキュライト、煉瓦屑、陶器屑、窒化珪素、
窒化ホウ素、炭化珪素、及び窒化珪素鉄等の使用が可能
である。特に、本発明の不定形耐火物においては、耐食
性、耐用性(耐久性)、及び耐火性の面から、マグネシア
質骨材、マグネシアスピネル質骨材、アルミナ質骨材、
カーボン質骨材、超微粉、並びに、シャモットや炭化珪
素等の骨材の中から選ばれた一種又は二種以上の耐火骨
材を配合することが好ましい。また、鉄鋼製造プロセス
の溶鋼工程に使用する場合、スラグ浸透抑制の面から、
マグネシア質骨材とアルミナ質骨材の併用、又はマグネ
シアスピネル質骨材とアルミナ質骨材の併用が好まし
く、溶銑工程に使用する場合、電融アルミナや焼結アル
ミナなどのアルミナ質骨材とカーボン質骨材、超微粉、
及び添加剤等の併用が好ましい。
【0056】ここで、マグネシア質骨材とは、海水法に
より海水から抽出された水酸化マグネシウム、炭酸マグ
ネシウム、天然マグネシアであるマグネサイト、又は天
然炭酸マグネシウムをロータリーキルン等で焼成して得
られる焼結マグネシアクリンカーを、また、その焼結マ
グネシアクリンカーを電気炉等で溶融して得られる電融
マグネシアクリンカーを、さらには、焼結マグネシアク
リンカーと電融マグネシアクリンカーの混合物等を所定
のサイズに粉砕し、篩い分けしたものであって、MgOの
純度が80重量%以上のものが不定形耐火物に使用した
際、耐食性に優れる面で好ましく、SiO2やTiO2などの不
純物が少ないものが好ましく、MgOの純度が95重量%以
上であり、CaOの含有率が2重量%以下、SiO2の含有率
が0.5重量%以下、及びB2O3の含有率が0.5重量%以下の
マグネシアが、耐食性に優れる面から好ましい。具体的
には、溶融マグネシア、焼結マグネシア、天然マグネシ
ア、及び軽焼マグネシア等が使用可能であり、この他、
スピネルコーティングしたマグネシア、粒界にチタン酸
マグネシウムを含有させたマグネシア、マグネシア粒子
表面にカルシウムアルミネートを生成させたマグネシ
ア、塩基性煉瓦に使用される、高純度、高嵩密度、及び
粗大結晶粒の特殊なマグネシア、並びに、耐熱スポーリ
ング性を向上させたマグネシア・ジルコニア等を粉砕し
た特殊なマグネシアも使用可能である。マグネシアクリ
ンカーにおけるMgO/Al2O3モル比は、1/1〜0.1/1
が好ましく、0.4/1〜0.2/1が不定形耐火物に配合し
た際、耐用性に優れる面からより好ましい。
【0057】マグネシアスピネル質骨材とは、水酸化マ
グネシウムや仮焼マグネシア等のMgO原料と、水酸化ア
ルミニウムや仮焼アルミナ等のAl2O3原料とを、所定の
割合になるように配合し、ロータリーキルン等の焼成装
置を用いて、約1,800〜1,900℃の温度で反応・焼成させ
たマグネシアスピネルクリンカーを、また、電気炉など
の溶融装置にて溶融したマグネシアスピネルクリンカー
を、さらには、これらの焼成したものと溶融したものを
混合したマグネシアスピネルクリンカー等を所定のサイ
ズに粉砕し、篩い分けしたものである。具体的には、溶
融マグネシアスピネルや焼結マグネシアスピネルなどが
挙げられる。
【0058】アルミナ質骨材とは、水酸化アルミニウム
や仮焼アルミナなどのAl2O3原料を、電気炉等の溶融装
置やロータリーキルン等の焼成装置によって、溶融及び
/又は焼成したものを、所定のサイズに粉砕し、篩い分
けしたものであって、鉱物組成としては、α-Al2O3やβ
-Al2O3などと示される酸化アルミニウムであり、焼結ア
ルミナ、仮焼アルミナ、及び易焼結アルミナ等と呼ばれ
るものである。通常、Al2O3を90重量%以上含有するα-
Al2O3の使用が最も好ましい。具体的には、溶融アルミ
ナ、焼結アルミナ、軽焼アルミナ、及び易焼結アルミナ
等が挙げられる。また、アルミナとジルコニアクリンカ
ーとを溶融して得られる、耐熱スポーリング性を向上さ
せたアルミナ・ジルコニアクリンカー等の使用も可能で
ある。
【0059】カーボン質骨材としては、オイルピッチ、
タール、及び鱗状黒鉛等が挙げられる。
【0060】耐火骨材は各種の粒度を要求物性に応じて
配合するもので、耐火骨材の粒度は、通常、5〜3mm、
4〜1mm、3〜1mm、1mm下、200メッシュ下、及び325
メッシュ下等に分けられている。
【0061】本発明において、耐火骨材として、さら
に、粒径が微小の粉体である超微粉を使用することが可
能である。ここで、超微粉とは、粒径10μ以下の粒子が
80重量%以上の耐火性微粉末であって、平均粒子径が1
μ以下で、BET法による比表面積が10m2/g以上のもの
が、不定形耐火物に配合した際、流動性が確保でき、高
強度発現性を有するため好ましい。具体的には、シリカ
ヒューム、コロイダルシリカ、軽焼アルミナ、易焼結ア
ルミナ、非晶質シリカ、ジルコン、炭化珪素、窒化珪
素、酸化クロム、及び酸化チタン等の無機微粉が使用可
能であり、このうち、シリカヒューム、コロイダルシリ
カ、及び易焼結アルミナの使用が好ましい。特に、低セ
メントキャスタブルに使用するシリカヒュームは、スラ
リーにした際のpHが分散性を左右することから重要で
あって、弱酸性から酸性のものが特に可使時間が確保で
きる面から好ましい。
【0062】本発明の耐火骨材の使用量は、施工場所に
よって適宜決定すべきものであり、特に限定されるもの
ではないが、不定形耐火物100重量部中、50〜99重量部
が好ましく、耐食性の面から、85〜90重量部がより好ま
しい。耐火骨材として超微粉を使用した低セメントキャ
スタブルでは、アルミナセメント2〜6重量部、耐火骨
材94〜98重量部、及びシリカヒューム5重量部以下とす
る配合が、著しく流動性と可使時間を確保できる面から
好ましい。
【0063】本発明の不定形耐火物の製造方法は特に限
定されるものではないが、通常の不定形耐火物の製造方
法に準じ、各構成原料を所定の割合になるように配合
し、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウターミキ
サー、パン型ミキサー、及びオムニミキサー等の混合機
を用いて均一混合するか、あるいは、所定の割合で混練
り施工する際、混練り機に直接秤込むことも可能であ
る。
【0064】さらに、本発明の不定形耐火物には、硬化
体を乾燥する際に生じやすい爆裂を防止する目的で、金
属アルミニウムやシリコン合金などの金属粉末、ビニル
繊維やポリプロピレンなどの有機繊維、窒素含有ガス生
成物、及びデキストリン等の爆裂防止剤を必要に応じて
配合することも可能である。爆裂防止剤の使用量は目的
とする耐爆裂性に応じて適宜決定すべきもので一義的に
決定することはできないが、一般的には、不定形耐火物
100重量部に対して、0.05〜5重量部配合することが可
能である。
【0065】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに説明す
る。
【0066】実施例1 CaO原料、Al2O3原料、及びSiO2原料を配合し、電気炉に
て溶融後、高圧冷却エアーにより溶融物を急冷して、所
定の鉱物組成のクリンカーを合成した。合成したクリン
カーを、粉砕時間によってブレーン値を調整して約4,80
0cm2/gになるようにバッチ式ボールミルで粉砕し、本発
明のアルミナセメント物質を製造した。製造したアルミ
ナセメント物質の鉱物組成を測定したところ、CA、C
A2、及びC 2ASが同定された。また、同様に化学分析を測
定した。結果を表1に示す。不純物のTiO2とMgOは0.1重
量%で、Fe2O3は0.5重量%であった。このアルミナセメ
ント物質からなるアルミナセメント3重量部、粒度4〜
1mmの耐火骨材a79重量部、粒度1mm下の耐火骨材b18
重量部、超微粉である耐火骨材c3重量部を配合して不
定形耐火物を製造した。製造した不定形耐火物100重量
部に対して、添加剤A0.05重量部、添加剤B0.03重量
部、及び水7.6重量部を加え、ミキサーで5分間混練り
後、鉱物組成、流動性としてフロー値、可使時間、硬化
時間、常温強度として養生強度や乾燥強度、及び高温強
度として焼成強度をそれぞれ測定した。測定は全て30℃
恒温室内で行った。結果を表1に併記する。
【0067】<使用材料> CaO原料 :市販生石灰 Al2O3原料 :バイヤー法により製造された高純度アルミ
ナ、市販品、Al2O3純度純度99重量%、平均粒子径70μ SiO2原料 :市販、溶融シリカ 耐火骨材a:焼結アルミナ、市販品 耐火骨材b:微粉アルミナ、市販品 耐火骨材c:シリカヒューム、市販品 添加剤A :試薬、トリポリリン酸ナトリウム 添加剤B :ホウ酸、市販品
【0068】<測定方法> 鉱物組成 :X線回折装置により、Zevine法により定量
した鉱物組成量 化学分析 :JIS R 2522に準じて測定 フロー値 :流動性の評価、30℃恒温室内に混練り物を
所定時間放置した後、15回タッピングして測定 可使時間 :30℃恒温室内に混練り物をナイロン袋に移
し取り、触指にて硬化するまでに要した時間 硬化時間 :温度記録計を用いて、30℃恒温室内に混練
り物を放置した際の注水から発熱温度が最大に到達する
までの時間 養生強度 :常温強度、4×4×16cmの型枠に混練り物
を入れ、30℃恒温室内で24時間養生後の圧縮強度 乾燥強度 :常温強度、24時間養生後、さらに、110℃
にて24時間乾燥後の圧縮強度 焼成強度 :高温強度、110℃で乾燥後、シリコニット
電気炉にいれ、1,000℃で2時間焼成した後、室温まで
放冷したものの圧縮強度
【0069】
【表1】
【0070】表1に示すように、本発明の不定形耐火物
は、従来の市販アルミナセメントを配合したものに比べ
て、流動性が良好で、可使時間も長く、硬化時間や圧縮
強度とも問題のないものであった。
【0071】実施例2 表2に示す化学成分のアルミナセメント物質を使用した
こと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記
する。比較のため4種類の市販のアルミナセメントを使
用して同様に行った。結果を表2に併記する。
【0072】<使用材料> アルミナセメントα:市販品、主鉱物組成CA47重量%、
C12A73重量%、及びα-Al2O350重量% アルミナセメントβ:市販品、主鉱物組成CA60重量%、
CA215重量%、及びα-Al 2O325重量% アルミナセメントγ:市販品、主鉱物組成CA65重量%、
CA230重量%、及びα-Al 2O35重量% アルミナセメントδ:市販品、主鉱物組成CA63重量%、
CA231重量%、及びα-Al 2O36重量%
【0073】
【表2】
【0074】実施例3 5〜3mmの骨材(骨材)として耐火骨材d40重量%、3
〜1mmの骨材(骨材)として耐火骨材d45重量%、1mm
下の骨材(骨材)として耐火骨材d10重量%、及び200
メッシュ下の骨材(骨材)として耐火骨材e5重量%を
配合して耐火骨材とした。この耐火骨材と、鉱物組成が
CA、CA2、及びC2ASであり、化学成分がCaO31.5重量%、
Al2O366.0重量%、及びSiO22.5重量%のアルミナセメン
ト物質からなるアルミナセメントとを表3に示す割合に
配合し、千代田技研工業社製オムニミキサーで、20分間
混合し、本発明の不定形耐火物を製造した。この不定形
耐火物100重量部に対して、9重量部の水を添加してモ
タルミキサーにて、30℃恒温室内で混練りしたこと以外
は実施例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0075】<使用材料> 耐火骨材d:電融アルミナ、市販品 耐火骨材e:仮焼アルミナ、市販品
【0076】
【表3】
【0077】表3に示すように、本発明の不定形耐火物
は、従来の市販アルミナセメントを配合したものに比べ
て、流動性が良好で、可使時間も長く、硬化時間や圧縮
強度とも問題のないものであった。
【0078】実施例4 アルミナセメントを10重量部、耐火骨材を90重量部と
し、表4に示す種類の骨材、骨材、骨材、及び骨
材を使用したこと以外は実施例3と同様に行った。結
果を表4に併記する。
【0079】<使用材料> 耐火骨材f:焼結マグネシアスピネル、市販品 耐火骨材g:焼結マグネシア、市販品
【0080】
【表4】
【0081】実施例5 アルミナセメント10重量部と耐火骨材90重量部とからな
る不定形耐火物100重量部に対して、表5に示す種類の
添加剤0.05重量部を配合したこと以外は実施例3と同様
に行った。結果を表4に示す。
【0082】<使用材料> 添加剤C :ポリアクリル酸ナトリウム、市販品 添加剤D :クエン酸ナトリウム、市販品
【0083】
【表5】
【0084】実施例6 鉱物組成がCA、CA2、及びC2ASであり、化学成分がCaO3
0.0重量%、Al2O365.0重量%、及びSiO25.0重量%のア
ルミナセメント物質をバッチ式ボールミルに入れ粉砕時
間を変えてブレーン値の異なるアルミナセメントを試作
した。試作したアルミナセメント10重量部と耐火骨材90
重量部とを配合したこと以外は実施例3と同様に行っ
た。結果を表6に併記する。
【0085】
【表6】
【0086】表6に示すように、本発明のアルミナセメ
ントは、ブレーン値が大きくなると可使時間と硬化時間
とが短くなる傾向を示すものの、圧縮強度は増加傾向に
あり、粉砕時のブレーン値をコントロールすることで、
可使時間等の特性を制御することが可能である。
【0087】実施例7 鉱物組成がCA、CA2、及びC2ASであり、化学成分がCaO3
2.0重量%,Al2O364.0重量%、及びSiO24.0重量%とな
るように各種原料を配合して、電気炉にてクリンカーを
製造する際、高圧エアーの量を変化して溶融物のガラス
化率を変え、ガラス化率の異なるアルミナセメント物質
を製造した。製造したアルミナセメント物質を、バッチ
式ボールミルにより粉砕し、ブレーン値を4,900cm2/gに
調整したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表
7に併記する。
【0088】
【表7】
【0089】表7に示すように、本発明のアルミナセメ
ントは、ガラス化率が大きくなると可使時間が長くな
り、硬化時間が短く傾向を示す。本発明においては、ア
ルミナセメントのガラス化率をコントロールすること
で、可使時間等の特性を制御することが可能である。
【0090】実施例8 CaO原料、Al2O3原料、及びSiO2原料を配合し、電気炉に
て溶融後、高圧冷却エアーにより溶融物を急冷して、所
定の鉱物組成のクリンカーを合成した。合成したクリン
カー75重量部とα-Al2O325重量部を配合し、粉砕時間に
よってブレーン値を調整して、約4,800cm2/gになるよう
にバッチ式ボールミルで粉砕し、本発明のアルミナセメ
ントを製造した。製造したアルミナセメントの鉱物組成
を測定したところ、CA、CA2、C2AS、及びα-Al2O3が同
定された。また、同様に化学分析を測定した。結果を表
8に示す。このアルミナセメントを使用したこと以外は
実施例1と同様に行った。結果を表8に併記する。
【0091】<使用材料> α-Al2O3 :市販品、平均粒子径50μ、BET比表面積
0.6m2/g
【0092】
【表8】
【0093】実施例9 表9に示す化学成分のアルミナセメント物質を使用した
こと以外は実施例8と同様に行った。結果を表9に併記
する。
【0094】
【表9】
【0095】実施例10 5〜3mmの骨材(骨材)として耐火骨材d40重量%、3
〜1mmの骨材(骨材)として耐火骨材d45重量%、1mm
下の骨材(骨材)として耐火骨材d10重量%、及び200
メッシュ下の骨材(骨材)として耐火骨材e5重量%を
配合して耐火骨材とした。この耐火骨材と、鉱物組成が
CA、CA2、C2AS、及びα-Al2O3であり、化学成分がCaO2
4.5重量%,Al2O373.5重量%、及びSiO22.0重量%のア
ルミナセメントとを表10に示す割合に配合したこと以
外は実施例8と同様に行った。結果を表10に併記す
る。
【0096】
【表10】
【0097】実施例11 アルミナセメントを10重量部、耐火骨材を90重量部と
し、表11に示す種類の骨材、骨材、骨材、及び
骨材を使用したこと以外は実施例8と同様に行った。
結果を表11に併記する。
【0098】
【表11】
【0099】実施例12 アルミナセメント10重量部と耐火骨材90重量部とからな
る不定形耐火物100重量部に対して、表12に示す種類
の添加剤0.05重量部を配合したこと以外は実施例8と同
様に行った。結果を表12に示す。
【0100】
【表12】
【0101】実施例13 鉱物組成がCA、CA2、及びC2ASであり、化学成分がCaO3
0.0重量%、Al2O365.0重量%、及びSiO25.0重量%のア
ルミナセメント物質75重量%とα-Al2O325重量%を配合
し、バッチ式ボールミルによる粉砕時間を変えてブレー
ン値の異なるアルミナセメントを試作した。試作したア
ルミナセメント10重量部と耐火骨材90重量部とを配合し
たこと以外は実施例8と同様に行った。結果を表13に
併記する。
【0102】
【表13】
【0103】実施例14 鉱物組成がCA、CA2、及びC2ASであり、化学成分がCaO3
0.0重量%,Al2O365.0重量%、及びSiO25.0重量%とな
るように各種原料を配合して、電気炉にてクリンカーを
製造する際、高圧エアーの量を変化して溶融物のガラス
化率を変え、ガラス化率の異なるアルミナセメント物質
を製造した。製造したアルミナセメント物質75重量%と
α-Al2O325重量%を配合し、バッチ式ボールミルにより
粉砕し、ブレーン値を4,900cm2/gに調整したこと以外は
実施例8と同様に行った。結果を表14に併記する。
【0104】
【表14】
【0105】実施例15 CaO26重量%、Al2O372重量%、SiO22.0重量%、TiO20.1
重量%、Fe2O30.5重量%、及びMgO0.1重量%の化学成分
を持つアルミナセメント物質を使用し、実施例8と同様
に調整したアルミナセメントと、市販のアルミナセメン
トγを使用して、実施例8と同様に不定形耐火物を製造
し、35℃の外気温下で、スネークポンプを使用してφ50
mmのパイプを使用して20mの距離を圧送した。本発明の
アルミナセメントを使用した不定形耐火物は、圧送後も
流動性がよく、パイプつまりなどの問題は発生せず施工
性良好であった。これに対し、市販のアルミナセメント
を使用した不定形耐火物は、パイプ内で凝集が発生し、
パイプ出口にて混練り物の硬化が見られた。
【0106】
【発明の効果】本発明のアルミナセメント物質、それを
含有してなるアルミナセメント、及びそれを用いた不定
形耐火物は、従来品にない高流動性と可使時間を確保で
きるものであり、硬化性と強度発現性とも問題のないも
のであった。本発明のアルミナセメント物質、それを含
有してなるアルミナセメント、及びそれを用いた不定形
耐火物を耐火物分野に使用した場合、ポンプ施工や無振
動施工などの省力化施工方法に対応が可能であり、従来
品に見られた施工途中での混練り物の硬化トラブの発
生が防止できる。また、化学プラントのライニング材料
や流動性と可使時間を重要視するような土木建築材料と
しても使用可能である。さらには、水硬性セラミック
ス、触媒材料、及び耐食材料等へも広く適応可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−65726(JP,A) 特開 平7−232941(JP,A) 特公 昭47−40694(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 7/32 C04B 28/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱物組成がCaO・AlO、CaO・2Al
    O、及び2CaO・AlO・SiOであり、化学成分がCaO
    10〜35重量%、AlO 6485重量%、及びSiO0.6〜1
    0重量%であり、不純物のTiO、FeO、及びMgOの合
    計量が5.2重量%以下であることを特徴とするアルミナ
    セメント物質。
  2. 【請求項2】 α-AlOと、請求項1記載のアルミナ
    セメント物質とを含有してなるアルミナセメント。
  3. 【請求項3】 請求項記載のアルミナセメントと耐火
    骨材とを含有してなる不定形耐火物。
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