JP3354550B2 - 固体高分子型燃料電池および固体高分子型燃料電池スタック - Google Patents
固体高分子型燃料電池および固体高分子型燃料電池スタックInfo
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Description
電池および単セルを複数枚積層して形成される固体高分
子型燃料電池に関するものである。
の単セルの基本構成を示す分解断面図である。固体高分
子電解質膜1の両側の主面にそれぞれ貴金属(主として
白金)を含むカソード側触媒層2およびアノード側触媒
層3を接合してセルが構成される。カソード側触媒層2
およびアノード側触媒層3と対向して、それぞれカソー
ド側ガス拡散層4およびアノード側ガス拡散層5が配置
される。これによりそれぞれカソード6およびアノード
7が構成される。これらのガス拡散層4および5は、そ
れぞれ酸化剤ガスおよび燃料ガスを通過させると同時
に、電流を外部に伝える働きをする。そして、セルに面
して反応ガス流通用のガス流路8を備え、相対する主面
に冷却水流通用の冷却水流路9を備えた導電性でかつガ
ス不透過性の材料よりなる一組のセパレータ10により
挟持して単セル11が構成される。
の基本構成を示す断面図である。多数の単セル11を積
層し、集電板12、電気絶縁と熱絶縁を目的とする絶縁
板13ならびに荷重を加えて積層状態を保持するための
締付板14によって挟持し、ボルト15とナット17に
より締め付けられており、締め付け荷重は、皿バネ16
により加えられている。
タ10のガス流路8の構成例を示す平面図である。図1
2はセパレータ10のセル側より見た平面図で、セルの
電極に面した発電領域18に、多数の平行に配されたガ
ス流路8が形成されている。アノード7に面したセパレ
ータ10に送られる燃料ガス、あるいはカソード6に面
したセパレータ10に送られる酸化剤ガスは、ガス供給
口19よりガス供給側マニホールド20へと導入され、
多数のガス流路8に分流し、電極へ拡散して電気化学反
応に寄与する。未反応ガスは排出側マニホールド21へ
と集められ、ガス排出口22より排出される。なお、図
12のガス供給連通孔23とガス排出連通孔24は、こ
のセパレータ10と相対して配されるセパレータ10に
流通するガスのガス供給口、ガス排出口に連通してお
り、相対する電極へのガスの供給に用いられるものであ
る。
酸基を持つポリスチレン系の陽イオン交換膜をカチオン
導電性膜としたもの、フロロカーボンスルホン酸とポリ
ビニリデンフロライドの混合膜、フロロカーボンマトリ
ックスにトリフロロエチレンをグラフト化したもの、及
びパーフロロカーボンスルホン酸膜(米国デュポン社
製、商品名ナフィオン膜)などが知られている。これら
の固体高分子電解質膜は分子中にプロトン交換基を有し
ており、含水量を飽和させると比抵抗が常温で20Ωc
m2 以下となり、プロトン導電性電解質として機能す
る。このように固体高分子電解質膜1は飽和に含水させ
ることによりプロトン導電性電解質として機能し、また
高温になると固体高分子電解質膜1が変態してプロトン
導電性が低くなるので、固体高分子型燃料電池において
は、運転温度を50〜100℃程度とし、反応ガスに水
蒸気を飽和に含ませて各単セル11に供給して運転する
方法が採られている。
ド6に酸素を含む酸化剤ガスを供給すると、アノード7
では、水素分子を水素イオンと電子に分解するアノード
反応、カソード6では、酸素と水素イオンと電子から水
を生成する以下の電気化学反応がそれぞれ行われ、アノ
ードからカソードに向かって外部回路を移動する電子に
より電力が負荷に供給されるとともに、カソード側に水
が生成されることとなる。
水が生成される上に、アノード7側からの水素イオンの
移動に伴ってカソード6側に移動する水も存在する。そ
して、これらの水の大部分が酸化剤ガス中に蒸発する結
果、酸化剤ガスの排出口付近での水蒸気分圧が供給口付
近に比べて高くなり、カソード触媒層中における水の蒸
発速度が低下する。このような状態になると、カソード
触媒層中には水が滞留してガスの拡散性が阻害され、セ
ル性能の低下を招く。また、この問題を防止するために
セルに供給する酸化剤ガスの水蒸気分圧を低くすると、
逆に酸化剤ガスの供給口に近い側の固体高分子電解質膜
が乾燥してしまうため、やはりセル性能の低下を招く。
ス拡散層および/またはアノードのガス拡散層のガス供
給口側に近い部分が、ガス排出口側に近い部分よりも、
小さい透過度を有するように構成した固体高分子電解質
型燃料電池の単セルが提案されている(特開平11−1
54523号公報)。この技術によれば図13に示すよ
うに、例えば、カソード6のガス拡散層4のガス供給口
19側に近い部分25が、ガス排出口22側に近い部分
26よりも、小さいガス拡散性を有するようにしてい
る。27は酸化剤ガス流れ、28は燃料ガス流れを示
す。そして、ガス拡散性は、拡散層4の厚さ、気孔率を
変えることにより調整される。具体的には、ガス供給口
19側に近い部分25は、気孔率を小さくしたり、厚さ
を大きくしてガス拡散性を小さくし、ガス排出口22側
に近い部分26は、気孔率を大きくしたり、厚さを小さ
くしてガス拡散性を大きくしている。
給ガスのガス供給口19側に近い部分25のガス拡散層
のガス拡散性が低いので、この部分25に対応する固体
高分子電解質膜1の乾燥を抑えることはできるが、電極
反応において濃度分極が大きくなり、その結果、電池出
力が低下する問題があった。
る高分子固体電解質膜の乾燥を防止するとともに、燃料
ガスや酸化剤ガスの排出口付近での水蒸気の凝縮に伴う
ガスの拡散阻害を防止し、安定して運転ができるととも
に、良好な出力特性が得られる固体高分子型燃料電池を
提供することである。
を解決するために鋭意研究した結果、燃料ガスや酸化剤
ガスの供給口付近と排出口付近とでは、反応の結果生じ
る水やアノード側からカソード側へ移行する水に起因す
る水蒸気の分圧が必ず異なるため、それぞれの場所に応
じた保水性を有する電極が必要となることを見いだし、
例えば、固体高分子電解質膜の両面にアノードおよびカ
ソードを配置した電極の前記カソードを触媒層、導電性
多孔材からなるガス拡散層およびこれらの間に配置され
るカーボン材料を主成分とする撥水性混合物層からなる
構成とするとともに、前記カソードの酸化剤ガス供給口
に近い部分における前記混合物層中のカーボン材料の比
表面積が、酸化剤ガス排出口に近い部分の前記混合物層
中のカーボン材料の比表面積より小さくすることによ
り、あるいは、例えば、前記カソードの酸化剤ガス供給
口に近い部分が、酸化剤ガス排出口に近い部分よりも高
い撥水性を有するようにすることにより、課題を解決で
きることを見いだし、本発明を成すに到った。
は、固体高分子電解質膜の両面にアノードおよびカソー
ドを配置し、前記カソードが固体高分子電解質膜側に設
けた触媒層、導電性多孔材からなるガス拡散層およびこ
れらの間に配置されるカーボン材料を主成分とする撥水
性混合物層からなる単セルを備えた固体高分子型燃料電
池において、前記カソードの酸化剤ガス供給口に近い部
分における前記混合物層中のカーボン材料の比表面積
が、酸化剤ガス排出口に近い部分の前記混合物層中のカ
ーボン材料の比表面積より小さいことを特徴とする。
は、固体高分子電解質膜の両面にアノードおよびカソー
ドを配置し、前記カソードが固体高分子電解質膜側に設
けた触媒層、導電性多孔材からなるガス拡散層およびこ
れらの間に配置されるカーボン材料を主成分とする撥水
性混合物層からなる単セルを備えた固体高分子型燃料電
池において、前記混合物層の酸化剤ガス供給口に近い部
分が、酸化剤ガス排出口に近い部分よりも高い撥水性を
有することを特徴とする。
は、固体高分子電解質膜の両面にアノードおよびカソー
ドを配置し、前記カソードが固体高分子電解質膜側に設
けた触媒層、導電性多孔材からなるガス拡散層およびこ
れらの間に配置されるカーボン材料を主成分とする撥水
性混合物層からなる単セルを備えた固体高分子型燃料電
池において、前記カソードの酸化剤ガス供給口に近い部
分における前記混合物層中のカーボン材料の比表面積
が、酸化剤ガス排出口に近い部分の前記混合物層中のカ
ーボン材料の比表面積より小さく、かつ比表面積が小さ
いカーボン材料を有する混合物層側の撥水性が、比表面
積が大きいカーボン材料を有する混合物層側の撥水性よ
りも高いことを特徴とする。
は、請求項2あるいは請求項3記載の固体高分子型燃料
電池において、前記混合物層中において最も撥水性が高
い部分の撥水材の含有量が60質量%以下であることを
特徴とする。
は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の固体高分
子型燃料電池において、前記カソードの酸化剤ガス供給
口に近い部分における前記混合物層中のカーボン材料の
比表面積が、カーボン担体に担持した触媒から形成され
るカソード触媒層の前記カーボン担体の比表面積より小
さいことを特徴とする。
は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の固体高分
子型燃料電池において、前記カソードの酸化剤ガス排出
口に近い部分における前記混合物層中のカーボン材料の
比表面積が、カーボン担体に担持した触媒から形成され
るカソード触媒層の前記カーボン担体の比表面積より大
きいことを特徴とする。
は、請求項2から請求項6のいずれかに記載の固体高分
子型燃料電池において、前記カソードを構成する導電性
多孔材からなるガス拡散層の酸化剤ガス供給口に近い部
分が、酸化剤ガス排出口に近い部分よりも低い撥水性を
有することを特徴とする。
は、請求項7記載の固体高分子型燃料電池において、前
記ガス拡散層中において最も撥水性が高い部分の撥水材
の含有量が60質量%以下であることを特徴とする。
スタックは、請求項1から請求項3のいずれかに記載の
単セルを複数枚積層して形成される固体高分子型燃料電
池スタックであって、酸化剤ガス供給側がこのスタック
の冷却水供給側に位置することを特徴とする。
用いて詳細に説明する。図1は、本発明の固体高分子型
燃料電池の単セルの基本構成を示す分解断面図である。
固体高分子電解質膜1の両側の主面にそれぞれ貴金属
(主として白金)を含むカソード側触媒層2およびアノ
ード側触媒層3を接合してセルが構成される。カソード
側触媒層2およびアノード側触媒層3と対向して、それ
ぞれ触媒層側から混合物層30、ガス拡散層29が配置
される。これによりそれぞれカソード6およびアノード
7が構成される。これらの混合物層30、ガス拡散層2
9はそれぞれ酸化剤ガスおよび燃料ガスを通過させると
同時に、電流を外部に伝える働きをする。そして、セル
に面して反応ガス流通用のガス流路8を備え、相対する
主面に冷却水流通用の冷却水流路9を備えた導電性でか
つガス不透過性の材料よりなる一組のセパレータ10に
より挟持して単セル11が構成される。
数の単セル11を積層し、集電板12、電気絶縁と熱絶
縁を目的とする絶縁板13ならびに荷重を加えて積層状
態を保持するための締付板14によって挟持し、ボルト
15とナット17により締め付けられて本発明の固体高
分子型燃料電池スタックが形成される。締め付け荷重
は、皿バネ16により加えられている。
へ供給される酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷却水のフロ
ーを模式的に示す説明図であり、図3は、同単セルの酸
化剤ガス供給口に近い部分(カーボン粉末の比表面積が
小さい側)と酸化剤ガス排出口に近い部分(カーボン粉
末の比表面積が大きい側)を模式的に示す説明図であ
る。
P−H060、東レ社製)を所定寸法にカットする。 このカーボンペーパーを、水を混合して比重調整を行
ったFEPデイスパージョンに浸漬し、その後、乾燥
し、380℃、1時間熱処理してガス拡散層29を作製
する。 比表面積700〜800m2 /gのカーボンブラック
粉末10gと60質量%ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)デイスパージョン16.7gを、数ccの
界面活性剤を添加したテルピオネールを分散剤として混
合し、ペーストを作製する。 比表面積100〜150m2 /gのカーボンブラック
粉末10gと60質量%ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)デイスパージョン16.7gを、数ccの
界面活性剤を添加したテルピオネールを分散剤として混
合し、ペーストを作製する。
カソード6の酸化剤ガス供給口に近い部分25に対応す
る部分に上記で作製したペーストを塗布し、次いで同
カーボンペーパー上の酸化剤ガス排出口に近い部分26
に対応する部分に上記で作製したペーストを塗布す
る。 ペーストを塗布したカーボンペーパーを乾燥後、36
0℃で1時間熱処理して混合物層30を設けたカソード
6のカーボンペーパー(拡散層29)を作製する。 上記で熱処理を終了したカーボンペーパーの混合物
層30の上に白金担持カーボン(担体カーボンの比表面
積200〜300m2 /g)と固体高分子からなる触媒
層2を形成してカソード6を完成させる。 同様の方法で作製したアノード7と上記で得たカソ
ード6を固体高分子電解質膜1(Nafion112)
の両面に配置し、ホットプレスすることにより電極/高
分子膜接合体を作製し、この電極/高分子膜接合体を一
組のセパレータ10により挟持して単セル11を作製す
る。
セル積層して固体高分子型燃料電池スタックを作り、図
2に示すようなフローとなるように酸化剤ガス、燃料ガ
スおよび冷却水を供給し、運転試験を行った。縦軸に平
均セル電圧(mV)、横軸に電流密度(Amp/cm
2 )をとって試験結果を図4に示す。また、燃料電池ス
タックに供給する酸化剤ガスの加湿温度を変化させて、
運転試験を行った。縦軸に平均セル電圧(mV)、横軸
に空気加湿温度(℃)をとって試験結果を図5に示す。
において60質量%ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)デイスパージョンを16.7g用いる替わりに
7.0g用いてペーストを作製した以外は実施例1と同
様にして単セル11を作製し、実施例1と同様にして運
転試験を行った試験結果を図4に示す。また、実施例1
と同様にして燃料電池スタックに供給する酸化剤ガスの
加湿温度を変化させて、運転試験を行った試験結果を図
5に示す。
において比表面積700〜800m2 /gのカーボン
ブラック粉末を用いる替わりに、比表面積200〜30
0m2 /gのカーボンブラック粉末を用いた以外は実施
例1と同様にして単セル11を作製し、実施例1と同様
にして運転試験を行った試験結果を図4に示す。また、
実施例1と同様にして燃料電池スタックに供給する酸化
剤ガスの加湿温度を変化させて、運転試験を行った試験
結果を図5に示す。
において比表面積100〜150m2 /gのカーボン
ブラック粉末を用いる替わりに、比表面積200〜30
0m2 /gのカーボンブラック粉末を用いた以外は実施
例1と同様にして単セル11を作製し、実施例1と同様
にして運転試験を行った試験結果を図4に示す。また、
実施例1と同様にして燃料電池スタックに供給する酸化
剤ガスの加湿温度を変化させて、運転試験を行った試験
結果を図5に示す。
およびにおいていずれも比表面積200〜300m
2 /gのカーボンブラック粉末を用いた以外は実施例1
と同様にして単セル11を作製し、実施例1と同様にし
て運転試験を行った試験結果を図4に示す。また、実施
例1と同様にして燃料電池スタックに供給する酸化剤ガ
スの加湿温度を変化させて、運転試験を行った試験結果
を図5に示す。
も、カソード6の混合物層30中のカーボン材料が同一
組成である比較例1の場合に比べて、同一運転条件にお
いて、良好な出力特性が得られた。また、図5から、実
施例1〜4のいずれの場合も、酸化剤ガスの加湿温度の
変化に伴う出力特性の変化が僅かであるのに対し、比較
例1の場合、加湿温度を高くして湿度を高めた条件で
は、急激に出力特性が低下することがわかった。これら
の結果から、実施例1〜4の燃料電池スタックでは酸化
剤ガスの排出口付近においてガス拡散が阻害されること
を防止でき、同時に供給口付近における固体高分子電解
質膜の乾燥も抑制されたことから、セル内部抵抗が低減
され、その結果良好な出力特性が得られたものと考えら
れる。
口に近い部分25におけるカソード6の混合物層30中
のカーボン材料の比表面積が100〜150m2 /g
で、触媒層2を形成するカーボン担体の比表面積200
〜300m2 /gより小さく、酸化剤ガス排出口に近い
部分26におけるカソード6の混合物層30中のカーボ
ン材料の比表面積が700〜800m2 /gで、触媒層
2を形成するカーボン担体の比表面積200〜300m
2 /gより大きく、かつ、酸化剤ガスの供給口に近い部
分25におけるカソード6の混合物層30中の撥水材
(PTFE)の含有量を、酸化剤ガス排出口に近い部分
26の混合物層30中の撥水材(PTFE)の含有量よ
り大きくして、カソード6の酸化剤ガス供給口に近い部
分25が、酸化剤ガス排出口に近い部分よりも高い撥水
性を有するようにした実施例2の場合に最も良好な結果
が得られた。
るカソード6の混合物層30中のカーボン材料の比表面
積が小さくなると、カーボン材料粒子により形成される
細孔部の毛細管力による水吸収能力が低下する。このた
めカソード6での電極反応により生成される反応生成水
およびアノード7から移動する移動水が混合物層30中
を移動しにくくなり、ガス流路8側へ放散されにくくな
る。この結果、酸化剤ガスの供給口付近における固体高
分子電解質膜1の乾燥が抑制され、出力特性を向上でき
るものと考えられる。
の混合物層30中の撥水材(PTFE)の含有量より大
きくして、撥水性を高くすると、反応生成水および移動
水の移動が混合物層30でブロックされ、触媒層2の湿
潤状態が維持されるために、その結果として酸化剤ガス
の供給口付近における固体高分子電解質膜1の乾燥が抑
制され、出力特性を向上できたものと考えられる。
においては、カソード6の混合物層30中のカーボン材
料の比表面積を大きくすることにより、カーボン材料粒
子により形成される細孔部の毛細管力による水吸収能力
が増大する。このため反応生成水および移動水が混合物
層30中を移動しやすくなり、酸化剤ガス中に放散され
やすくなるために、その結果として酸化剤ガスの排出口
付近に近い部分26において触媒層2での過度の水滞留
によるガス拡散性低下を低減できたために、出力特性を
向上できるものと考えられる。
の混合物層30中の撥水材(PTFE)の含有量をより
小さくして、撥水性を低くすると、反応生成水および移
動水が混合物層30中を移動しやすくなり、酸化剤ガス
中に放散されやすくなるために、その結果として酸化剤
ガスの排出口付近に近い部分26において触媒層2での
過度の水滞留によるガス拡散性低下を低減できたため
に、出力特性を向上できるものと考えられる。
作製した実施例1〜4の固体高分子型燃料電池スタック
は、図2に示すように酸化剤ガス供給側がこのスタック
の冷却水供給側に位置するようになっている。一般に固
体高分子型燃料電池スタックにおいては、電極反応によ
り発生した反応熱を電池外に搬出し、電池スタック温度
を一定に保つため冷却水を図2に示すように固体高分子
型燃料電池スタックに供給する。スタックの冷却水供給
では、冷却水温度が電池温度より低めに設定されるた
め、一つのスタック内では冷却水供給側の温度が最も低
くなる。このため、このスタックの冷却水供給側に酸化
剤ガス供給側が位置するように配置することにより、酸
化剤ガスの温度上昇を抑えることができ、酸化剤ガス中
へ水が放散されにくくなるために、酸化剤ガスの供給側
付近における高分子固体電解質膜1の乾燥が防止され、
出力特性を向上できる。
へ供給される酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷却水のフロ
ーを模式的に示す説明図であり、図7は、同単セルの酸
化剤ガス供給口に近い部分(撥水材の含有量が高い側)
と酸化剤ガス排出口に近い部分(撥水材の含有量が低い
側)を模式的に示す説明図である。
P−H060、東レ社製)を所定寸法にカットする。 このカーボンペーパーを、水を混合して比重調整を行
ったFEPデイスパージョンに浸漬し、その後、乾燥
し、380℃、1時間熱処理してガス拡散層29を作製
する。 比表面積200〜300m2 /gのカーボンブラック
粉末10gと60質量%ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)デイスパージョン7.0gを、テルピネオ
ールを分散剤として混合し、数ccの界面活性剤を添加
した後再度混合し、ペーストを作製する。 比表面積200〜300m2 /gのカーボンブラック
粉末10gと60質量%ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)デイスパージョン16.7gを、テルピネ
オールを分散剤として混合し、数ccの界面活性剤を添
加した後再度混合し、ペーストを作製する。
カソード6の酸化剤ガス供給口に近い部分25に対応す
る部分に上記で作製したペーストを塗布し、次いで同
カーボンペーパー上の酸化剤ガス排出口に近い部分26
に対応する部分に上記で作製したペーストを塗布す
る。 ペーストを塗布したカーボンペーパーを乾燥後、36
0℃で1時間熱処理して混合物層30を設けたカソード
6のカーボンペーパー(拡散層29)を作製する。 上記で熱処理を終了したカーボンペーパーの混合物
層30の上に白金担持カーボン(担体カーボンの比表面
積200〜300m2 /g)と固体高分子からなる触媒
層2を形成してカソード6を完成させる。 同様の方法で作製したアノード7と上記で得たカソ
ード6を固体高分子電解質膜1(Nafion112)
の両面に配置し、ホットプレスすることにより電極/高
分子膜接合体を作製し、この電極/高分子膜接合体を一
組のセパレータ10により挟持して単セル11を作製す
る。
セル積層して固体高分子型燃料電池スタックを作り、図
6に示すようなフローとなるように酸化剤ガス、燃料ガ
スおよび冷却水を供給し、運転試験を行った。縦軸に平
均セル電圧(mV)、横軸に電流密度(Amp/cm
2 )をとって試験結果を図8に示す。また、燃料電池ス
タックに供給する酸化剤ガスの加湿温度を変化させて、
運転試験を行った。縦軸に平均セル電圧(mV)、横軸
に空気加湿温度(℃)をとって試験結果を図9に示す。
例5のにおいて、実施例5ので作製したカーボンペ
ーパーを、水を混合して比重調整を行ったFEPデイス
パージョンに浸漬し、その後、乾燥し、そして乾燥した
カーボンペーパー上のカソード6の酸化剤ガス排出口に
近い部分26(全体の約50%)だけを再度、FEPデ
イスパージョンに浸漬し、その後、乾燥した後、380
℃、1時間熱処理してガス拡散層29を作製した。その
結果、得られたガス拡散層29の酸化剤ガスの供給口に
近い部分25におけるFEP含有量が20質量%、酸化
剤ガス排出口に近い部分26におけるFEP含有量が5
0質量%に調整されたガス拡散層29が得られた。この
ようにして作製したガス拡散層29を用いた以外は実施
例5と同様にして単セル11を作製し、実施例5と同様
にして運転試験を行った試験結果を図8に示す。また、
実施例1と同様にして燃料電池スタックに供給する酸化
剤ガスの加湿温度を変化させて、運転試験を行った試験
結果を図9に示す。
も、カソード6の混合物層30中の撥水材の含有量が同
一で、カソード6の酸化剤ガス供給口に近い部分25の
撥水性と、酸化剤ガス排出口に近い部分26の撥水性と
が同一である比較例1の場合に比べて、同一運転条件に
おいて、良好な出力特性が得られた。また、図9から、
実施例5〜6のいずれの場合も、酸化剤ガスの加湿温度
の変化に伴う出力特性の変化が僅かであるのに対し、比
較例1の場合、加湿温度を高くして湿度を高めた条件で
は、急激に出力特性が低下することがわかった。これら
の結果から、実施例5〜6の燃料電池スタックでは酸化
剤ガスの排出口付近においてガス拡散が阻害されること
を抑制でき、同時に供給口付近における固体高分子電解
質膜の乾燥も抑制されたことから、セル内部抵抗が低減
され、その結果良好な出力特性が得られたものと考えら
れる。
物層30の酸化剤ガス供給口に近い部分25の撥水性
を、酸化剤ガス排出口に近い部分26の撥水性より高く
するとともに、カソード6のガス拡散層29の酸化剤ガ
ス供給口に近い部分25の撥水材の含有量を低くしてそ
の撥水性を、撥水材の含有量を高くした酸化剤ガス排出
口に近い部分26の撥水性より低くした実施例6の場合
に最も良好な結果が得られた。
るカソード6の混合物層30中の撥水材(PTFE)の
含有量より増加させ、撥水性を高めると、反応生成水お
よび移動水の混合物層30中での移動がブロックされ、
触媒層2の湿潤状態が維持されるために、その結果とし
て酸化剤ガスの供給口に近い部分における固体高分子電
解質膜1の乾燥が抑制され、出力特性を向上できるもの
と考えられる。
の混合物層30中の撥水材(PTFE)の含有量より小
さくして、撥水性を低くすると、反応生成水および移動
水の混合物層30中を移動しやすくなり、酸化剤ガス中
に放散されやすくなるため、その結果として酸化剤ガス
の排出口に近い部分26において触媒層2での過度の水
滞留によるガス拡散性低下を低減できたために、出力特
性を向上できるものと考えられる。
5のガス拡散層29を形成する導電性多孔材には、この
部分での水の滞留を防止しつつ適度なガス透過性を保持
させるために撥水性を有する材料あるいは母材に撥水処
理を付与したものが使用される。固体高分子電解質膜1
に設けた触媒層2、導電性多孔材からなるガス拡散層2
9およびこれらの間に配置されるカーボン材料を主成分
とする撥水性混合物層30からなる単セル11を備えた
本発明の固体高分子型燃料電池においては、カソード6
を構成するガス拡散層29の導電性多孔材が水排出経路
となり、混合物層30の保水量を制御する補助的役割を
果たす。そこで、本発明においてはガス拡散層29の酸
化剤ガス供給口に近い部分25の撥水性が、酸化剤ガス
排出口に近い部分26の撥水性よりも低い撥水性を有す
るようにすることにより、混合物層30に適度の水が保
水され、酸化剤ガスの排出口付近での混合物層30に過
度の水が保水されることがなくなって水蒸気の凝縮に伴
うガスの透過阻害がより防止され、安定して運転でき、
良好な出力特性が得られる。
層して作製した実施例5〜6の固体高分子型燃料電池ス
タックは、図6に示すように酸化剤ガス供給口がこのス
タックの冷却水供給側に位置するようになっている。上
記のようにスタックの冷却水供給では、冷却水温度が電
池温度より低めに設定されるため、一つのスタック内で
は冷却水供給側の温度が最も低くなるため、このスタッ
クの冷却水供給側に酸化剤ガス供給側が位置するように
配置することにより、酸化剤ガスの温度上昇を抑えるこ
とができ、酸化剤ガス中へ水が放散されにくくなるため
に、酸化剤ガスの供給側付近における高分子固体電解質
膜1の乾燥が防止され、出力特性を向上できる。
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各
部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の
技術的範囲内で種々の変形が可能である。
料電池は、固体高分子電解質膜の両面にアノードおよび
カソードを配置した電極の前記カソードを触媒層、導電
性多孔材からなるガス拡散層およびこれらの間に配置さ
れるカーボン材料を主成分とする撥水性混合物層からな
る構成とするとともに、前記カソードの酸化剤ガス供給
口に近い部分における前記混合物層中のカーボン材料の
比表面積が、酸化剤ガス排出口に近い部分の前記混合物
層中のカーボン材料の比表面積より小さくしたので、ガ
スの供給口付近における高分子固体電解質膜の乾燥が防
止されるとともに、酸化剤ガスの排出口付近での水蒸気
の凝縮に伴うガスの拡散阻害が防止され、安定して運転
でき、良好な出力特性が得られるという顕著な効果を奏
する。
電池は、前記混合物層の酸化剤ガス供給口に近い部分
が、酸化剤ガス排出口に近い部分よりも高い撥水性を有
するようにしたので、ガスの供給口付近における高分子
固体電解質膜の乾燥が防止されるとともに、酸化剤ガス
の排出口付近での水蒸気の凝縮に伴うガスの拡散阻害が
防止され、安定して運転でき、良好な出力特性が得られ
るという顕著な効果を奏する。
電池は、前記カソードの酸化剤ガス供給口に近い部分に
おける前記混合物層中のカーボン材料の比表面積が、酸
化剤ガス排出口に近い部分の前記混合物層中のカーボン
材料の比表面積より小さくするとともに、前記酸化剤ガ
ス供給口に近い部分が、酸化剤ガス排出口に近い部分よ
りも高い撥水性を有するようにしたので、ガスの供給口
付近における高分子固体電解質膜の乾燥が一層防止され
るとともに、酸化剤ガスの排出口付近での水蒸気の凝縮
に伴うガスの拡散阻害が一層防止され、より安定して運
転でき、良好な出力特性が得られるという顕著な効果を
奏する。
電池は、前記混合物層中において最も撥水性が高い部分
の撥水材の含有量を60質量%以下としたので、混合物
層の電気伝導度を低下させることなく良好な出力特性が
得られるという顕著な効果を奏する。撥水材の含有量が
60質量%を超えると混合物層の電気伝導度が低下して
電池の出力特性の低下を招く。
電池は、前記カソードの酸化剤ガス供給口に近い部分に
おける前記混合物層中のカーボン材料の比表面積が、カ
ーボン担体に担持した触媒から形成されるカソード触媒
層の前記カーボン担体の比表面積より小さくしたので、
カソードでの電極反応により生成される反応生成水およ
びアノードから移動する移動水が混合物層中を移動しに
くくなり、ガス流路側へ放散されにくくなるため、酸化
剤ガスの供給口付近における固体高分子電解質膜の乾燥
が抑制され、出力特性を向上できるという顕著な効果を
奏する。
電池は、前記カソードの酸化剤ガス排出口に近い部分に
おける前記混合物層中のカーボン材料の比表面積が、カ
ーボン担体に担持した触媒から形成されるカソード触媒
層の前記カーボン担体の比表面積より大きくしたので、
反応生成水および移動水が混合物層中を移動しやすくな
り、酸化剤ガス中に放散されやすくなるために、その結
果として酸化剤ガスの排出口付近に近い部分において触
媒層での過度の水滞留によるガス拡散性低下を低減でき
たために、出力特性を向上できるという顕著な効果を奏
する。
電池は、前記カソードを構成する導電性多孔材からなる
ガス拡散層の酸化剤ガス供給口に近い部分が、酸化剤ガ
ス排出口に近い部分よりも低い撥水性を有するようにし
たので、酸化剤ガスの供給口に近い部分における固体高
分子電解質膜の乾燥が抑制されるとともに、酸化剤ガス
の排出口付近での混合物層に過度の水が保水されること
がなくなり、水蒸気の凝縮に伴うガスの拡散阻害がより
防止され、安定して運転でき、良好な出力特性が得られ
るという顕著な効果を奏する。
電池は、前記ガス拡散層中において最も撥水性が高い部
分の撥水材の含有量を60質量%以下としたので、ガス
拡散層の電気伝導度を低下させることなく良好な出力特
性が得られるという顕著な効果を奏する。撥水材の含有
量が60質量%を超えるとガス拡散層の電気伝導度が低
下して電池の出力特性の低下を招く。
電池スタックは、酸化剤ガス供給側がこのスタックの冷
却水供給側に位置するようにしたので、酸化剤ガスの温
度上昇を抑えることができ、酸化剤ガス中へ水が放散さ
れにくくなるために、酸化剤ガスの供給側付近における
高分子固体電解質膜の乾燥が防止され、出力特性を向上
できるという顕著な効果を奏する。
構成を示す分解断面図である。
燃料ガスおよび冷却水のフローを模式的に示す説明図で
ある。
部分(カーボン粉末の比表面積が小さい側)と酸化剤ガ
ス排出口に近い部分(カーボン粉末の比表面積が大きい
側)を模式的に示す説明図である。
m2 )の関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
供給される酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷却水のフロー
を模式的に示す説明図である。
部分(撥水材の含有量が高い側)と酸化剤ガス排出口に
近い部分(撥水材の含有量が低い側)を模式的に示す説
明図である。
m2 )の関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
構成を示す分解断面図である。
分子型燃料電池スタックの基本構成を示す断面図であ
る。
のガス流路の構成例を示す平面図である。
ローを模式的に示す説明図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 固体高分子電解質膜の両面にアノードお
よびカソードを配置し、前記カソードが固体高分子電解
質膜側に設けた触媒層、導電性多孔材からなるガス拡散
層およびこれらの間に配置されるカーボン材料を主成分
とする撥水性混合物層からなる単セルを備えた固体高分
子型燃料電池において、前記カソードの酸化剤ガス供給
口に近い部分における前記混合物層中のカーボン材料の
比表面積が、酸化剤ガス排出口に近い部分の前記混合物
層中のカーボン材料の比表面積より小さいことを特徴と
する固体高分子型燃料電池。 - 【請求項2】 固体高分子電解質膜の両面にアノードお
よびカソードを配置し、前記カソードが固体高分子電解
質膜側に設けた触媒層、導電性多孔材からなるガス拡散
層およびこれらの間に配置されるカーボン材料を主成分
とする撥水性混合物層からなる単セルを備えた固体高分
子型燃料電池において、前記混合物層の酸化剤ガス供給
口に近い部分が、酸化剤ガス排出口に近い部分よりも高
い撥水性を有することを特徴とする固体高分子型燃料電
池。 - 【請求項3】 固体高分子電解質膜の両面にアノードお
よびカソードを配置し、前記カソードが固体高分子電解
質膜側に設けた触媒層、導電性多孔材からなるガス拡散
層およびこれらの間に配置されるカーボン材料を主成分
とする撥水性混合物層からなる単セルを備えた固体高分
子型燃料電池において、前記カソードの酸化剤ガス供給
口に近い部分における前記混合物層中のカーボン材料の
比表面積が、酸化剤ガス排出口に近い部分の前記混合物
層中のカーボン材料の比表面積より小さく、かつ比表面
積が小さいカーボン材料を有する混合物層側の撥水性
が、比表面積が大きいカーボン材料を有する混合物層側
の撥水性よりも高いことを特徴とする固体高分子型燃料
電池。 - 【請求項4】 前記混合物層中において最も撥水性が高
い部分の撥水材の含有量が60質量%以下であることを
特徴とする請求項2あるいは請求項3記載の固体高分子
型燃料電池。 - 【請求項5】 前記カソードの酸化剤ガス供給口に近い
部分における前記混合物層中のカーボン材料の比表面積
が、カーボン担体に担持した触媒から形成されるカソー
ド触媒層の前記カーボン担体の比表面積より小さいこと
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の
固体高分子型燃料電池。 - 【請求項6】 前記カソードの酸化剤ガス排出口に近い
部分における前記混合物層中のカーボン材料の比表面積
が、カーボン担体に担持した触媒から形成されるカソー
ド触媒層の前記カーボン担体の比表面積より大きいこと
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の
固体高分子型燃料電池。 - 【請求項7】 前記カソードを構成する導電性多孔材か
らなるガス拡散層の酸化剤ガス供給口に近い部分が、酸
化剤ガス排出口に近い部分よりも低い撥水性を有するこ
とを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載
の固体高分子型燃料電池。 - 【請求項8】 前記ガス拡散層中において最も撥水性が
高い部分の撥水材の含有量が60質量%以下であること
を特徴とする請求項7記載の固体高分子型燃料電池。 - 【請求項9】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
の単セルを複数枚積層して形成される固体高分子型燃料
電池スタックであって、酸化剤ガス供給側がこのスタッ
クの冷却水供給側に位置することを特徴とする固体高分
子型燃料電池スタック。
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