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JP3383097B2 - Pc構造物補強体の編組方法 - Google Patents
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JP3383097B2 - Pc構造物補強体の編組方法 - Google Patents

Pc構造物補強体の編組方法

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JP3383097B2
JP3383097B2 JP27859394A JP27859394A JP3383097B2 JP 3383097 B2 JP3383097 B2 JP 3383097B2 JP 27859394 A JP27859394 A JP 27859394A JP 27859394 A JP27859394 A JP 27859394A JP 3383097 B2 JP3383097 B2 JP 3383097B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に土木建築産業にお
けるプレストレストコンクリート(PC)構造物の補強
体の編組方法に関するものであり、特に補強体を構成す
る熱処理PC鋼棒とらせん筋の溶接接合方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】PC構造物製造方法の一例として、PC
鋼棒を用いたコンクリートポール、パイルの製造方法に
ついて述べる。図2に示したように円周上に並列に配置
したPC鋼棒1に軟鋼線2を螺旋状に巻き付けた後(以
後らせん筋2と称す)、PC鋼棒とらせん筋の交点3を
接合して円筒状の籠型補強体(以下補強体と略称)を製
造する。次いでこの補強体を型枠に導入し、補強体を構
成するPC鋼棒の両端を固定して引張強さの70%前後
の応力で緊張する。型枠内に注入したコンクリートが固
化した後にPC鋼棒の緊張力が除去され、同時にコンク
リートに圧縮力が付与されてPCポール、パイルが完成
する。この製造工程中、補強体の組立を自動化するため
にPC鋼棒とらせん筋の接合は電気抵抗溶接によって行
われる。
【0003】補強体を構成する熱処理PC鋼棒は、おお
よそ0.15〜0.35重量%の炭素を含有する中低炭
素鋼線材に焼入れ焼戻しまたは沸騰水焼入れ等の熱処理
を施して製造される。ピアノ線材の冷間引抜きによって
製造されるPC鋼線に比べて炭素の含有量が低く溶接が
可能なため、電気抵抗溶接によって編組される補強体に
多用されている。
【0004】ところで、高い緊張力がかかった状態で使
用されるPC鋼棒においては、内部に水素が侵入した場
合に遅れ破壊が発生する危険があり、特に溶接部におけ
る遅れ破壊が危惧されている。
【0005】図3に、溶接の概念図を示す。らせん筋2
とPC鋼棒1を交差して重ね、らせん筋に接する上部電
極4とPC鋼棒に接する下部電極5とで挟んで加圧、通
電することによってらせん筋とPC鋼棒の接触部が発熱
し、お互いが溶接される。
【0006】補強体編組に用いられる電気抵抗溶接のよ
うに微小な熱影響部を形成させる溶接においては入熱量
が小さいため一旦溶融またはオーステナイト化した熱影
響部は急冷され、母材に比べてかたさが著しく上昇す
る。母材部のかたさがHv450程度であるのに対し、
前記熱影響部のかたさはHv550〜600にまで上昇
し、遅れ破壊感受性が高くなる。
【0007】さらにPC鋼棒1が下部電極5と接する部
分にも裏スポットと称される同様の熱影響部が形成され
る。溶接によって生じたこれらのかたさの高い熱影響部
は遅れ破壊の起点となる可能性が高く、この部分の遅れ
破壊特性改善が強く求められている。
【0008】このようなPC鋼棒1の溶接部3の遅れ破
壊特性改善要求に対し、これまでにも様々な改善方法が
提案されてきた。例えば特公平3−75325号公報で
は溶接機に溶接用電極の他に焼戻し用の電極を設け、溶
接直後に溶接部を通電加熱によって焼戻す方法が示され
ている。しかし、軟化に充分な温度と時間を確保し、か
つ再度溶体化しない温度範囲に制御することが難しいこ
となどから広く普及するまでには至っていない。
【0009】一般に遅れ破壊は、引張応力の作用のもと
で水素が存在する時に発生するとされている。前記例
は、溶接部の組織を制御して遅れ破壊特性を改善すると
の視点からの発明である。これに対して引張応力を制御
して遅れ破壊特性を改善する試みも行われている。遅れ
破壊クラックは表層から発生し伝播するので、鋼材の緊
張時に表層に作用する引張応力を低減することによって
遅れ破壊特性を改善することができる。
【0010】表層部に作用する引張応力を低減するため
には、予め、表層に圧縮残留応力を付与することが効果
的であり、本出願人は以前に特開平5−287440号
公報を提案し、適切なショットピーニングによってPC
鋼棒の遅れ破壊特性が改善できることを示した。しか
し、ショットピーニング後に溶接を行うと溶接熱影響部
近傍では表層に導入した圧縮残留応力が低下し、遅れ破
壊特性の改善効果も低下する恐れがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶接部の組
織、成分等を制御するのではなく、新たな溶接方法の創
案による熱影響部発生位置の適正化等により、プレスト
レスをかけて緊張するときに溶接部に作用する引張応力
を低減し、PC鋼棒の遅れ破壊特性を劣化させることの
ないPC構造物補強体の製造方法を提供するものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の創案にあたって
は、溶接によって編組した補強体を緊張する際に、PC
鋼棒の溶接部に作用する引張応力を低減する手段につい
て種々検討をおこなった。その結果、らせん筋とPC鋼
棒の接合に際してPC鋼棒に引張応力を付加し、引張ひ
ずみのもとで溶接を行なうと、型枠に補強体を挿入して
再度緊張した後に溶接部に作用する引張応力が低減され
て遅れ破壊特性が改善されることを見いだした。しか
し、径の太いPC鋼棒に単軸の引張り荷重で引張応力を
付与するためには一本当たり数トンないし10数トンの
荷重を付加する必要があり、装置も大がかりとなるもの
と予測される。
【0013】PC鋼棒に引張ひずみを付与するためには
単軸の引張荷重を付与する以外に適当な支点を設けて曲
げ応力を付与してもよく、この原理により小さな力で引
張ひずみを付与できる。ただし裏側は圧縮ひずみとなる
ため、先に図3に示したようならせん筋とPC鋼棒の交
点を上下の電極で挟んで通電する通常のスポット溶接方
法では裏スポット部には効果がない。
【0014】この問題を解決するため引張ひずみ側にら
せん筋を接合するだけでなく、PC鋼棒に接する電極も
引張ひずみ側に接触させることにより圧縮側には熱影響
部が形成されなくすることで本発明を完成した。
【0015】すなわち本発明は、PC鋼棒とらせん筋と
を電気抵抗溶接によって接合してPC構造物の補強体を
編組する際に、該PC鋼棒の表面に曲げ応力による引張
ひずみを付与し、引張ひずみが生じた側のみにらせん筋
および電極を接触させ、圧縮ひずみ側には電極を接触さ
せずに電気抵抗溶接を行うことを特徴とする、PC構造
物補強体の編組方法、である。
【0016】
【作用】本発明は従来のPC鋼棒を用いながらも、補強
体の編組に際してらせん筋とPC鋼棒の接合を新たな発
想に基づく溶接方法によって補強体を構成するPC鋼棒
の遅れ破壊特性を飛躍的に改善するものである。その機
構は以下のとおりである。
【0017】一般に溶接部周辺には引張の残留応力が生
じるとされている。これに対して引張ひずみの下で溶接
を実施した場合には溶接終了後に引張ひずみを取り除く
と弾性変形していた溶接部の周囲の母材が元に戻ろうと
する動きに伴って溶接部に圧縮応力が作用する。このよ
うなPC鋼棒はPC構造物の補強材としてプレストレス
を付加しても溶接部に作用する引張応力が低減され、遅
れ破壊の発生が抑制されるのである。
【0018】さらに溶接時に曲げによってPC鋼棒に付
加する引張歪みの適正量について鋭意検討した結果、表
面の引張歪み量が0.05%に満たないと改善効果が認
められず、また0.7%を越えた場合には溶接後のPC
鋼棒の曲がりが大きくなって以降の補強体製造工程に支
障をきたすことがわかった。このことから溶接時に曲げ
応力によって付加する引張ひずみ量は表面で0.05%
以上0.7%以下とするのが望ましい。
【0019】このように、単軸の引張荷重より小さい曲
げ荷重によってPC鋼棒の接合側部位のみに引張応力を
発生させ、更に、引張応力発生側部位のみに高温となる
熱影響部を発生させるように電極を当接することによっ
て、溶接による引張残留応力が著しく低減されるのであ
る。
【0020】
【実施例】表1に示す化学組成を有する鋼の直径10m
mの熱風圧延線材を冷間引き抜きし、引き続いて高周波
加熱による焼入れ焼戻しを行なって製造されたJIS G
3109の異形D種に相当する線径9.2mmのPC鋼棒を
用いて本発明の効果を確認した。なお、焼入れ加熱温度
は950℃、焼戻し温度は400℃であった。
【0021】このPC鋼棒の機械的性質を表2に示す。
0.2%耐力をもって降伏応力とし、その値は1440
MPaであった。引張試験における伸び測定の評点距離
は線径の8倍とし、絞りは公称断面積に対する破断材の
断面積実測値の百分率で表した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】上記PC鋼棒を用い、本発明例として曲げ
応力による引張ひずみを付加した状態(表3の記号A〜
J,L〜N)および比較例として引張ひずみを付加しな
い通常の条件(表3の記号K)で補強体の組立を行なっ
た。この補強体より採取したPC鋼棒を遅れ破壊破壊試
験に供した。
【0025】
【表3】
【0026】表3の注: 注) 溶接後のPC鋼棒の曲がりが大きいため遅れ破壊
試験は実施しなかった。
【0027】補強体の組立には通常の自動編組機を用
い、円筒状に配置したPC鋼棒1にらせん筋2を巻き付
け、PC鋼棒とらせん筋の交点をスポット溶接した。こ
の時PC鋼棒を曲げるために図1に示した機構を用いて
PC鋼棒1を交点9で支え5から圧力を加え曲げ応力を
付与し、らせん筋2が引張ひずみ側に接するようにし
た。さらに下部の電極5とPC鋼棒1の間はゴムシート
8で絶縁し、引張ひずみ側のらせん筋2の上部第1電極
6にごく近いところに下部の電極5に代えて上部第2電
極7を接触させた。
【0028】比較例として絶縁用ゴムシートを取り払っ
て圧縮ひずみ側に下部電極を接触させて溶接を行ったも
の(表3の記号N)、図3に示す通常の溶接を行ったも
の(表3の記号K)についても評価した。溶接条件は工
業的に通常とられている範囲から選定し、溶接電流の目
標値を3000A、通電時間を0.04秒、上部第1電
極6、第2電極7への加圧力を各々410Nとした。用
いたらせん筋は線径3.2mm、JIS規格SWRM6
に相当する軟鋼線である。曲げの歪み量はらせん筋2に
接する部分のPC鋼棒表面に歪みゲージを張り付けて測
定し、測定後にはがして溶接を行った。
【0029】遅れ破壊試験はFIP法にて行い、50℃
の20重量%NH4SCN 水溶液中で、20mmほど残
したらせん筋を付着させたままのPC鋼棒に995MP
aの引張応力を付加し、破断時間を測定した。50時間
以上破断しない場合にはその時点で試験を打ち切った。
その結果を表3に示す。溶接時にPC鋼棒に曲げ応力に
よる引張ひずみを付加し、かつ表面の引張ひずみ量が
0.05〜0.7%である本発明例はいずれも50時間
以内では破断せず、比較例に比べて遅れ破壊特性が格段
に向上した。
【0030】比較例I、Jは曲げ応力による引張ひずみ
が過大であったため溶接後のPC鋼棒が湾曲してその後
の工程に支障をきたしたため遅れ破壊試験を実施しなか
った。比較例K〜Mは曲げによる引張歪み量が足りず、
効果が不十分であった。また、比較例NはPC鋼棒の圧
縮側に下部電極が接したため熱影響部が圧縮側に形成さ
れ、遅れ破壊特性が改善されなかった。
【0031】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明を用いれば、従来溶接によって編組したPC構造物
の補強体の弱点とされていた溶接部分の遅れ破壊特性が
大幅に向上し、土木建築物の信頼性・安全性が高まる。
このように本願発明は通常の工業材料を用いながらも溶
接方法に改善を加えることによって遅れ破壊特性を顕著
に改善するものであり、土木建築業界で大量に使用され
るコンクリート構造物の性能を大幅に改善するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】曲げ応力による引張ひずみ付加と溶接の概略図
である。
【図2】補強体略図である。
【図3】PC鋼棒とらせん筋の溶接の概念図である。
【符号の説明】
1 PC鋼棒 2 らせん筋 3 溶接部 4 上部電極 5 下部電極 6 上部第1電極 7 上部第2電極 8 ゴムシート 9 支点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 11/11 B21F 27/00 C21D 9/00 E02D 5/00 B23K 101:22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PC鋼棒とらせん筋とを電気抵抗溶接に
    よって接合してPC構造物の補強体を編組する際に、該
    PC鋼棒の表面に曲げ応力による引張ひずみを付与し、
    引張ひずみが生じた側のみにらせん筋および電極を接触
    させ、圧縮ひずみ側には電極を接触させずに電気抵抗溶
    接を行うことを特徴とする、PC構造物補強体の編組方
    法。
  2. 【請求項2】 PC鋼棒の表面に付与される曲げ応力に
    よる引張ひずみ量が0.05〜0.7%であることを特
    徴とする請求項1記載の方法。
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