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JP3383473B2 - 水硬性複合材の製造方法 - Google Patents
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JP3383473B2 - 水硬性複合材の製造方法 - Google Patents

水硬性複合材の製造方法

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JP3383473B2
JP3383473B2 JP13514695A JP13514695A JP3383473B2 JP 3383473 B2 JP3383473 B2 JP 3383473B2 JP 13514695 A JP13514695 A JP 13514695A JP 13514695 A JP13514695 A JP 13514695A JP 3383473 B2 JP3383473 B2 JP 3383473B2
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  • Organic Chemistry (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、水硬性複合材の製造
方法に関し、特に、水硬性主材と混合されるポリマーの
硬化開始時期を制御して、複合材の性能を改善する製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セメントモルタルやコンクリートなどの
水硬性材料の性能を改善する技術として、これらの水硬
性材料にポリマー(高分子重合体)を混合する方法が知
られている。このような水硬性材料の改質方法として、
水性ポリマーディスパージョンを水硬性材料と混合する
方法や、水硬性材料を硬化させた後に、ポリマーを含浸
させる方法などが提供されている。
【0003】しかし、前者の水性ポリマーディスパージ
ョンを水硬性材料と混合する方法では、水硬性材料改質
効果が十分得られない。また、後者の水硬性材料を硬化
させた後に、ポリマーを含浸させる方法では、通常のコ
ンクリートに対して、力学的特性や耐久性に顕著な効果
が求められるものの、これを製造する際に以下のような
問題が指摘されていた。
【0004】水硬性材料にポリマーを含浸させるために
は、通常、水硬性材料を気密室内に設置して、室内を真
空にした状態で、ポリマーを含浸させている。ところ
が、このような製造方法では、例えば、建築物の外壁に
使用されるプレキャスト壁体等のような大型の複合材を
製造する際には、非常に大きな真空設備が必要になっ
て、コトス的な面で実用化することが困難であった。
【0005】一方、この種の改質方法の一種として、液
状のポリマー、例えば、エポキシ樹脂をコンクリートと
混合して、これらを硬化させることによって複合材を製
造する方法も知られている。このような水硬性材料の改
質方法では、大型の設備を必要としないので、その実用
化が期待されている。そこで、近時、プレキャスト製品
の曲げ強度,引っ張り強度および変形性能の向上、ある
いは、乾燥収縮率の低減などを目的として、コンクリー
トに熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂を添加して、
コンクリートと樹脂とを複合化させることが試みられて
いる。
【0006】しかしながら、この種の製品を製造する際
に、従来、試みられていた製造方法には、以下に説明す
るような技術的課題が存在していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、プレキャス
ト製品においてコンクリートとエポキシ樹脂との複合化
を図ろうとすると、一般的には、エポキシ樹脂を均一に
分散させるために、型枠に打設する前に、エポキシ樹脂
をセメントモルタル中に添加して混合することになる。
【0008】ところが、単に、エポキシ樹脂をセメント
モルタル中に添加,混合する製造方法では、水和反応に
よるセメントマトリックスの硬化速度と、架橋反応など
によるエポキシ樹脂の硬化速度とが異なるため、両者の
硬化反応をバランス良く行なわせることが非常に困難な
状況になる。つまり、両者の配合量によっても異なる
が、一般的には、セメントマトリックスの水和反応の方
が、エポキシ樹脂の硬化反応よりも非常に遅いので、エ
ポキシ樹脂がセメントよりも先に硬化反応が開始され、
例えば、前述したようなプレキャスト製品の製造工程に
おいては、前養生期間中にエポキシ樹脂の硬化が開始さ
れ、その後にセメントの硬化が進行することになり、セ
メントの凝結が遅延するといった問題が発生し、複合材
料としての性能を充分に発揮させることができなかっ
た。
【0009】また、特に、エポキシ樹脂は、通常、液状
の主剤と硬化剤とから構成されていて、この2成分を混
合して使用するが、液状の主剤の粘度がかなり大きく、
これに硬化剤を添加すると、主剤の硬化が開始してさら
に粘度が上がることもあって、混合に手間がかかるだけ
でなく、2成分を混合すると硬化が始まるので、計量を
手早く行なうために、軽量ミスが発生する危険性もあ
り、工場生産されるプレキャスト製品での実用化を妨げ
る一因となっていた。
【0010】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであって、その第一の目的は、複合材としての
性能を充分に発揮させることができる水硬性複合材の製
造方法を提供することにある。また、第二の目的とし
て、手間や計量ミスの発生を低減することができる水硬
性複合材の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、水硬性主材と液状のポリマーとを混合し
て、これらを硬化させることで製造される水硬性複合材
の製造方法において、前記ポリマーを潜在性硬化型のも
ので構成するとともに、前記水硬性主材の硬化開始後の
任意の時期に、ポリマーの潜在硬化性を顕在化させ、前
記ポリマーの硬化時期を制御することを特徴とする。前
記水硬性主材は、セメント,石膏,それらに骨材を加え
たものから選択することができる。前記潜在硬化型のポ
リマーは、エポキシ樹脂主剤と、カプセル膜で被覆され
た硬化剤とから構成され、前記ポリマーの潜在硬化性の
顕在化が、温度,圧力,光照射のいずれか1つで行なう
ことができる。
【0012】
【作用】上記構成の水硬性複合材の製造方法によれば、
ポリマーを潜在性硬化型のもので構成するとともに、水
硬性主材の硬化開始後の任意の時期に、ポリマーの潜在
硬化性を顕在化させるので、得ようとする複合材の性能
要求に応じて、ポリマーの硬化時期をコントロールし、
ポリマーによる水硬性主材の改質効果を有効に発揮させ
ることができる。また、本発明の製造方法では、潜在性
硬化型のポリマーを使用するので、予めポリマーと水硬
性主材とを混合しても、この状態では、ポリマーの硬化
が開始しないので、計量を急ぐ必要がなく、これらを十
分に混合することが可能になり、ポリマーを水硬性主材
中に均一に分散させることができる。請求項2の構成に
よれば、水硬性主材は、セメント,石膏,それらに骨材
を加えたものから選択することができるので、セメント
モルタルやコンクリートを使用するプレキャスト製品な
どに適用することが可能になる。さらに、請求項3の構
成によれば、潜在硬化型のポリマーは、エポキシ樹脂主
剤と、カプセル膜で被覆された硬化剤とから構成され、
前記ポリマーの潜在硬化性の顕在化が、温度,圧力,光
照射のいずれか1つで行なうので、主剤と硬化剤とを混
合しても、主剤の硬化が開始されず、予めこれらを大量
に混合して一液化した状態で長期間貯蔵することができ
る。
【0013】
【実施例】以下本発明の好適な実施例について添附図面
を参照して詳細に説明する。図1および図2は、本発明
にかかる水硬性複合材の製造方法の一実施例を示してお
り、同図に示す実施例では、水硬性主材としてセメント
モルタルを使用し、液状ポリマーとしてエポキシ樹脂を
使用して、プレキャスト製品を製造する場合に、本発明
を適用している。図1,2に示すプレキャスト製品の製
造方法は、原材料の混合,混練工程(A)と、この工程
(A)に引き続いて行なわれる加熱養生工程(B)とか
ら概略構成されている。
【0014】原材料の混合,混練工程(A)は、セメン
トモルタル10の混合,混練と、潜在性硬化型の熱硬化
性樹脂、例えば、エポキシ樹脂12の混合とが別々に行
なわれる。セメントモルタル10の混合,混練は、セメ
ントと細骨材と水とを混合槽14内に投入して、所定混
合比のものが作成される。エポキシ樹脂12の混合で
は、液状の樹脂主剤12aと、微細なマイクロカプセル
膜12cで被覆された硬化剤12bとが、それぞれ所定
量ずつ計量されて、混合槽16内で攪拌混合され、所定
比率の一液状態のものが作成される。
【0015】硬化剤12bの外周を被覆するカプセル膜
12cは、所定の温度が加えられると溶融して、内部の
硬化剤12bが外部に放出され、すなわち、この状態に
なると潜在硬化型ポリマーの潜在硬化性が顕在化される
ものであって、この溶融温度は、例えば、60℃以上に
設定されている。なお、このカプセル膜12cの溶融温
度は、その膜厚を異ならせることでコントロールするこ
とができる。つまり、カプセル膜12を採用した潜在硬
化型ポリマーの潜在硬化性の顕在化は、膜厚みを一定に
した場合に、温度により制御できるとともに、温度を一
定にした場合に、膜厚みを変えることにより制御でき
る。
【0016】セメントモルタル10と一液状態のエポキ
シ樹脂12が作成されると、これらは、さらに混合槽1
8内に投入されて、攪拌混合される。このような原材料
の混合,混練工程(A)においては、潜在硬化型の熱硬
化性樹脂は、液状のエポキシ樹脂主剤12aと、カプセ
ル膜12cで被覆された硬化剤12bとから構成されて
いるので、これらを混合しても主剤12aと硬化剤12
bとが直接接触しないので、主剤12aの硬化は開始さ
れない。
【0017】このため、エポキシ樹脂主剤12aの粘度
が上昇しないので、混合攪拌が容易かつ、十分に行な
え、硬化剤12bを主剤12a中に均一に分散させるこ
とができるとともに、カプセル膜12cで被覆された硬
化剤12bの計量も簡単に行なえる。また、主剤12a
と硬化剤12bとを混合しても、主剤12aの硬化が開
始されないので、予め大量に混合して一液化した状態で
長期間貯蔵することもできるとともに、一液化されたエ
ポキシ樹脂12をセメントモルタル10に混合しても、
樹脂12の硬化が開始されないので、混合が充分にで
き、樹脂12をセメントモルタル10中に均一に分散さ
せることができる。
【0018】以上のようにして原材料の混合,混練工程
(A)が終了すると、混合,混練されたセメントモルタ
ル10と一液状態のエポキシ樹脂12とは、所定形状の
型枠20内に打設されて、加熱養生工程(B)に移行さ
れる。加熱養生工程(B)は、通常のプレキャスト工場
で採用されている蒸気養生と同様な工程であって、図2
に示すような熱処理が行なわれる。
【0019】図2に示した加熱養生工程(B)は、前養
生期間と、温度上昇期間と、最高温度維持期間
と、温度下降期間とから構成されている。前養生期間
は、セメントモルタル10およびエポキシ樹脂12の
打設後、本養生を開始するまでの期間であって、常温、
例えば、20℃程度の温度で2〜3時間程度空気中に放
置しておき、固まらないセメントモルタル10を急激に
加熱する際の熱変形を回避するために行なわれる。
【0020】温度上昇期間は、本養生を開始して、例
えば、蒸気を送り込みながら型枠20の温度をほぼ一定
の速度で上昇させる期間であり、セメントモルタル10
の硬化を促進するために行なわれ、例えば、生産効率と
急激な加熱による障害とを考慮して、20℃/h程度の
定速で行なわれる。最高温度維持期間は、型枠20内
の温度を最高温度で所定時間保つ期間であって、加熱を
終了するまでをいう。
【0021】この時の最高温度は、例えば、80℃以下
に設定されている。温度下降期間は、加熱を停止した
後、型枠20などの温度が徐々に下降する期間で、型枠
20内から製品を脱型するまでをいう。以上のような条
件で加熱養生工程(B)が行なわれると、本実施例の場
合には、硬化剤12bを被覆しているカプセル膜12c
に60℃以上の温度が加えられると、膜12cが溶融す
るので、温度上昇期間の途中でカプセル膜12cが溶
融して、硬化剤12bが放出され、硬化剤12bと主剤
12aとが接触して、主剤12aの硬化が温度上昇期間
の途中で開始される。
【0022】より具体的には、本実施例の場合には、温
度上昇期間の後半部分で、かつ、実際には加熱雰囲気
の温度と型枠20内の温度とが若干遅れて上昇するの
で、最高温度維持期間に近接した時期に主剤12の硬
化が開始される。なお、この場合いの主剤12aの硬化
開始時期は、温度上昇の条件を変更したり、あるいは、
カプセル膜12cの膜厚を変更することにより、適宜制
御することができる。
【0023】そして、加熱養生工程(B)が全て終了す
ると、型枠20が取り除かれ、脱型されたプレキャスト
製品は、その後通常の養生が行なわれて完成品となる。
さて、以上のように構成されたプレキャスト製品の製造
方法によれば、セメントモルタル10を型枠20内に打
設する前に潜在性硬化型のエポキシ樹脂12を添加して
混合し、加熱養生の昇温過程の途中でエポキシ樹脂1
2の硬化を開始させるので、セメントの水和反応による
硬化と、エポキシ樹脂12の硬化とを同時進行的に行な
わせることが可能になる。
【0024】このようにして、セメントおよびエポキシ
樹脂12の硬化を同時進行的に行なうと、これらを複合
化させることにより得られる機能が有効に発揮され、高
強度のプレキャスト製品が製造できる。また、本実施例
の場合には、硬化剤12bを被覆したカプセル膜12c
は、加熱養生工程(B)の際の温度上昇期間の加熱に
より溶融させるので、特別な方法を講じることなく、通
常のプレキャスト製品の製造工程中でエポキシ樹脂12
を硬化させて、これとセメントモルタル10との複合化
を達成することができる。
【0025】ここで、本発明者らは、上述したような本
発明の作用効果を確認するため、以下に説明する条件で
プレキャスト供試体を作成し、得られた供試体の性能評
価を行なった。セメントモルタルの使用材料は、早強ポ
ルトランドセメントの一部をシリカフュームで置換した
ものを用い、混和剤として、アミノスルホン酸系の高性
能AE減水剤を使用し、その配合比率は、以下に示す表
1のように設定した。
【0026】エポキシ樹脂としては、潜在性硬化型の一
液性エポキシ樹脂配合品(旭化成株式会社製、商品名:
ノバキュア HX−3722、主剤:ビスフェノールA
型エポキシ樹脂、硬化材:イミダゾール変性品、カプセ
ル膜の厚み2μ,溶融温度60〜70℃)を使用し、樹
脂とセメントとの重量%(P/C)を0,5,10,1
5,20に設定した。
【表1】 使用材料の混合は、JIS R5201「セメントの物
理試験方法」に準じて行なった。供試体の寸法は、全て
4.0×4.0×16.0cmとし、成形時に振動台に
よる締め固めを60秒間行なった。加熱養生工程は、図
2に示した前養生期間が、20±2℃、65±5%R
Hとし、その期間を0,1,6,27日に設定し、温度
上昇期間の定速昇温の勾配を20℃/hとし、最高温
度維持期間の最高温度80℃,2時間に設定した。そ
して、20℃まで温度が降下する温度下降期間(約3
時間)を経て、その後は、材齢試験を行なうまで引き続
いて気中養生を行なった。
【0027】測定項目は、力学的性質として、曲げ強度
および圧縮強度(JIS R5201に準拠)を測定し
た、また、物理的性質として、吸水率,気孔率を測定し
た。試験材齢は、7日と28日(27日)に設定した。
図3から図5には、得られた供試体の曲げ強度の測定結
果が示されている。図3は、エポキシ樹脂を混入しない
で、かつ、加熱養生を施さなかった場合の測定結果であ
る。図4は、エポキシ樹脂を混入して、前養生を1日行
なった場合の測定結果で、図5は、エポキシ樹脂を混入
して、前養生を6日行なった場合の測定結果である。
【0028】これらの図に示す測定結果から、エポキシ
樹脂をセメントモルタルに混入すると、曲げ強度が向上
することが判る。ここで、特に注目すべきことは、エポ
キシ樹脂を添加した複合材料では、前養生期間を従来
のプレキャスト製品の製造で設定されていた期間(数時
間)よりもかなり長くして、6日にすると、材令1日の
曲げ強度よりも、材令27日の曲げ強度が大幅に向上す
ることが判明したことである。
【0029】図6から図8には、得られた供試体の圧縮
強度の測定結果が示されている。図6は、エポキシ樹脂
を混入しないで、かつ、加熱養生を施さなかった場合の
測定結果である。図7は、エポキシ樹脂を混入して、前
養生を1日行なった場合の測定結果で、図8は、エポキ
シ樹脂を混入して、前養生を6日行なった場合の測定結
果である。
【0030】これらの図に示す測定結果から、エポキシ
樹脂をセメントモルタルに混入した場合でも、加熱養生
を行なうと、複合材料の圧縮強度が向上することが判る
とともに、このような養生を行なえば、エポキシ樹脂を
混入しない場合のセメントモルタル製品とほぼ同程度の
圧縮強度を確保することができる。以下に示す表2に
は、得られた供試体の吸水率の測定結果が示されてい
る。
【表2】 なお、この吸水率の測定結果は、3個づつの供試体の平
均値を示している。
【0031】この測定結果から明らかなように、潜在硬
化型のエポキシ樹脂を混入した複合材では、吸水率が1
/3程度に低下することが判る。以下に示す表3には、
得られた供試体の気孔率の測定結果が示されている。
【表3】 なお、この気孔率の測定結果は、3個づつの供試体の平
均値を示している。
【0032】この測定結果から明らかなように、潜在硬
化型のエポキシ樹脂を混入した複合材では、気孔率が1
/3程度に非常に大きく低下することが判る。図9は、
この発明にかかる水硬性複合材の製造方法の他の実施例
を示している。同図に示す実施例では、上記実施例と同
様に、水硬性主材にセメントモルタル10を使用し、ポ
リマーには、液状の樹脂主剤12aと、微細なマイクロ
カプセル膜12cで被覆された硬化剤12bとが用いら
れていて、これらの部材を混合して、柱状のプレキャス
ト製品を製造する。このとき、プレキャスト製品には、
中空筒状のシース20が適宜位置に埋設される。
【0033】この実施例の場合には、マイクロカプセル
膜12cを溶融させることなく、セメントモルタル10
だけが硬化させられる。そして、セメントモルタル10
が硬化して、所定の強度が発現されると、シース20内
にプレストレスト鋼材22を挿通して、これに引っ張り
力が導入される。プレストレス鋼材22に張力が導入さ
れると、硬化したセメントモルタル10には、圧縮力が
加えられ、この圧縮力によりマイクロカプセル12cが
破断して、エポキシ樹脂主剤12aの硬化反応が開始さ
れる。
【0034】つまり、この実施例の場合には、水硬性主
剤(セメントモルタル10)の硬化反応をほぼ終了させ
た時期に、潜在性硬化型ポリマー(一液型エポキシ樹
脂)の潜在硬化性が顕在化される。このようにして、水
硬性主剤と潜在硬化性ポリマーとを複合化させると、相
互の硬化反応が別々に行なわれて、一方の硬化反応が他
方の硬化反応に影響を全く及ぼすことがないので、パリ
マーによる水硬性材料の改質効果を有効に発揮させるこ
とが可能になる。
【0035】なお、上記実施例では、潜在性硬化型の熱
硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を例示したが、本発明
の実施は、これに限定されることはなく、硬化剤と接触
することにより硬化反応が開始される、例えば、ウレタ
ン樹脂,MMA(メチルメタクレート樹脂),ポリエス
テル樹脂,フェノール樹脂などにも適用することができ
る。
【0036】また、上記実施例では、ポリマーに潜在硬
化性を付与する手段として、硬化剤12bをマイクロカ
プセル12cで包囲するものを示したが、本発明の実施
は、これに限定されることはなく、例えば、室温では溶
解しない硬化剤を粒状化して主剤と混合しておき、硬化
させたい時に加熱することや、ポリマーの硬化反応を遅
延させる遅延剤を混入し、遅延剤によりポリマーの硬化
反応を制御してもよい。
【0037】さらに、マイクロカプセル膜12cを利用
した潜在硬化型樹脂の潜在硬化性の顕在化は、上記実施
例で示した熱により溶融させることだけでなく、例え
ば、型枠20内に打設した状態で、その上方から圧力を
加えることによって、カプセル膜12cを破壊して、顕
在化させることもできるし、膨張材を混入しておいて、
この膨張材の膨張により膜12cを破断して顕在化させ
たり、あるいは、表面から紫外線や赤外線などを照射し
て顕在化させてもよい。
【0038】さらに、上記実施例では、水硬性主材とし
てセメントモルタル10を例示したが、本発明の実施
は、これに限定されることはなく、例えば、石膏などと
も混合することができる。
【0039】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかる水硬性複合材の製造方法によれば、ポリ
マーの硬化時期を制御するので、ポリマーの改質効果を
有効に発揮させることができる。また、本発明の製造方
法では、潜在性硬化型のポリマーを使用するので、予め
ポリマーと水硬性主材とを混合しても、この状態では、
ポリマーの硬化が開始せず、計量を急ぐ必要がなく、こ
れらを十分に混合することが可能になり、ポリマーを水
硬性主材中に均一に分散させることができる。請求項2
の構成によれば、水硬性主材は、セメント,石膏,それ
らに骨材を加えたものから選択することができるので、
セメントモルタルやコンクリートを使用するプレキャス
ト製品などに適用することが可能になる。さらに、請求
項3の構成によれば、潜在硬化型のポリマーは、エポキ
シ樹脂主剤と、カプセル膜で被覆された硬化剤とから構
成され、前記ポリマーの潜在硬化性の顕在化が、温度,
圧力,光照射のいずれか1つで行なうので、主剤と硬化
剤とを混合しても、主剤の硬化が開始されず、予めこれ
らを大量に混合して一液化した状態で長期間貯蔵するこ
とができ、工場で大量に生産する製品に採用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製造方法をプレキャスト製品の
製造に適用した場合の工程説明図である。
【図2】図1に示した製造における加熱養生工程の熱処
理期間のタイムチャート図である。
【図3】ポリマーを混入しないで、かつ、加熱養生を行
なわないで作成した供試体の曲げ強度の測定結果を示す
グラフである。
【図4】ポリマーを混入して、かつ、前養生を1日行な
った後に、加熱養生をおこなった供試体の曲げ強度の測
定結果を示すグラフである。
【図5】ポリマーを混入して、かつ、前養生を6日行な
った後に、加熱養生を行なった供試体の曲げ強度の測定
結果を示すグラフである。
【図6】ポリマーを混入しないで、かつ、加熱養生を行
なわないで作成した供試体の圧縮強度の測定結果を示す
グラフである。
【図7】ポリマーを混入して、かつ、前養生を1日行な
った後に、加熱養生をおこなった供試体の圧縮強度の測
定結果を示すグラフである。
【図8】ポリマーを混入して、かつ、前養生を6日行な
った後に、加熱養生を行なった供試体の圧縮強度の測定
結果を示すグラフである。
【図9】本発明にかかる水硬性複合材の製造方法の他の
実施例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
10 セメントモルタル 12 エポキシ樹脂(潜在性硬化型熱硬
化性樹脂) 12a 樹脂主剤 12b 硬化剤 12c カプセル膜 20 型枠 (A) 混合,混練工程 (B) 加熱養生工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 好正 東京都清瀬市下清戸4−640 株式会社 大林組技術研究所内 (72)発明者 小川 晴果 東京都清瀬市下清戸4−640 株式会社 大林組技術研究所内 (72)発明者 三谷 一房 東京都清瀬市下清戸4−640 株式会社 大林組技術研究所内 (72)発明者 川原 正雄 埼玉県川越市南台1丁目10番地4 株式 会社ショックベトン・ジャパン内 (56)参考文献 特開 平1−203253(JP,A) 特開 昭50−126715(JP,A) 特開 平6−321595(JP,A) 特開 平5−58699(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 28/02,24/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水硬性主材と液状のポリマーとを混合し
    て、これらを硬化させることで製造される水硬性複合材
    の製造方法において、 前記ポリマーを潜在性硬化型のもので構成するととも
    に、前記水硬性主材の硬化開始後の任意の時期に、前記
    ポリマーの潜在硬化性を顕在化させ、前記ポリマーの硬
    化時期を制御することを特徴とする水硬性複合材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記水硬性主材は、セメント,石膏,そ
    れらに骨材を加えたものから選択されることを特徴とす
    る請求項1記載の水硬性複合材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記潜在硬化型のポリマーは、エポキシ
    樹脂主剤と、カプセル膜で被覆された硬化剤とから構成
    され、前記ポリマーの潜在硬化性の顕在化が、温度,圧
    力,光照射のいずれか1つで行なわれることを特徴とす
    る請求項1または2記載の水硬性複合材の製造方法。
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