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JP3399052B2 - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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JP3399052B2 - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法

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JP3399052B2
JP3399052B2 JP29702793A JP29702793A JP3399052B2 JP 3399052 B2 JP3399052 B2 JP 3399052B2 JP 29702793 A JP29702793 A JP 29702793A JP 29702793 A JP29702793 A JP 29702793A JP 3399052 B2 JP3399052 B2 JP 3399052B2
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ink repellent
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録装
置に用いるインクジェットヘッドに関わる。
【0002】
【従来の技術】ノズル孔からインク滴を吐出させ記録紙
に画像を形成するインクジェットヘッドを用いたプリン
タが、静粛さと高密度印字を特徴として実用化されてい
る。このようなインクジェットヘッドによって得られる
画像の印字品質は、画像を構成する、記録紙上のインク
滴からなるドットの位置精度に大きく依存する。このド
ット位置精度は、インクジェットヘッドのノズル孔から
吐出されるインク滴の飛翔方向が一定であるか否かによ
って左右される。更に、このインク滴の飛翔方向を一定
に保つ要因は、インク滴吐出時にはノズル孔周縁部が均
一で安定した表面状態であること、具体的にはノズル周
縁部の一部がインクによって濡れている、或は紙粉等の
異物が付着する等の状況が発現しないノズル周縁部の表
面状態を実現することである。ノズル周縁部の表面状態
を均一で安定した状態にする手段として従来の技術で
は、以下の二つの方法が提案されている。第一には、ノ
ズル孔周縁部を含めたノズルプレート表面に撥インク処
理を施す。第二には、撥インク処理が施されたノズル孔
周縁部にインクが付着した場合、または紙粉等の異物が
付着した場合、ノズル周縁部を含むノズルプレート表面
をゴムブレード等からなるクリーニング部材によって掻
き取る、以上二つの方法である。このように記録紙上の
画像品質を良好たらしめる手段については、以下に説明
する具体的提案がなされている。
【0003】まず、特開昭62ー202743号公報に
開示されたインクジェットヘッドを、第一の従来技術の
例として、図4に基づいて説明する。ノズル孔周縁部へ
のインク付着を防止する手段である撥インク部材10は
界面活性剤タイプのフッ素系ポリマーからなり、撥イン
ク部材10と金属ノズル9との密着性を得る為に両者の
間には、樹脂層11が設けられている。金属ノズル9と
撥インク部材10との密着性を間接的に向上させる樹脂
層11には、金属と密着性の良い樹脂として、エポキシ
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール
・エポキシ樹脂、フェノール・ポリアミド樹脂を使用し
ている。即ち金属ノズル9に対しては、撥インク部材1
0を構成する界面活性剤タイプであるフッ素系ポリマー
の密着性がないが故に、所謂バインダーとして樹脂層1
1を設けている。エポキシ樹脂等からなる樹脂層11と
界面活性剤タイプのフッ素系ポリマーとの密着性は、金
属ノズル9とフッ素系ポリマーとの密着性と比較して強
いものとなり得るが、充分とは言えない。何故ならば、
前述した如く高品質な画像を得る為には、ノズル孔周縁
部はインク滴を吐出する際、インクによる濡れ、紙粉等
の異物の付着は完全に避けなければならない。ノズル周
縁部を表面張力の点から理想的な表面状態にしても、突
発的なインク吐出不良によるノズル周縁部のインクによ
る濡れ、或は記録紙から発生する紙粉の付着を防止する
ことは困難である。従って、ノズル孔周縁部を含むノズ
ルプレート表面を、ゴムブレード等からなるクリーナー
部材で掻き取る手段は必要不可欠となる。このクリーナ
ー部材による掻き取り操作、特に繰り返し操作に対する
撥インク部材10と樹脂層11との密着性は充分とは言
えない。クリーニング操作による撥インク部材10の樹
脂層11からの欠落は、撥インク部材表面において撥イ
ンク性能の部分的な不均一を生み、撥インク性能の低下
した部分では、インクが濡れ易い状態となる。著しい時
には、撥インク性能が低下した部分において、常にイン
クが付着する結果となり、インクの飛翔方向は定まら
ず、記録紙上の画像品質の低下を見ることとなる。
【0004】一方、このノズルプレート表面のクリーニ
ング操作に対する撥インク部材の耐久性を向上させるこ
とを目的として提案された図5に示す従来技術が、特開
平3ー53942号公報に開示されている。図5に例示
するように基板12上に所定パターンの隔壁13を形成
し、隔壁13を介して基板17を装着した構造となって
いる。隔壁13によってオリフィス14とインク槽15
が形成され、オリフィス14内の基板12の表面上に
は、圧力発生手段である発熱素子16が配置されてい
る。基板12と基板17と隔壁13とで形成されるイン
ク吐出面即ちオリフィス周縁部には、撥インク性が良好
な表面処理層が、形成されている。この撥インク処理層
は、溶剤可溶性で分子中に2個以上のアクリロイル基を
有する平均分子量が2000以上のフッ素系重合体と、
フロロアルキル基、フロロアリル基、フロロシクロアル
キル基、フロロアルカリル基、フロロアルキルアリル基
から成る群より選ばれた一種以上の反応基とシラザン基
とを有する組成物とを重合硬化させて形成される。この
撥インク処理層は、前述した如く撥インク性能を担うフ
ッ素化合物中に反応基を付与することで、オリフィス周
縁部のクリーニング時における、対擦性の向上即ち撥イ
ンク性能の持続を目的としたものである。しかし、フッ
素系重合体は剛性に乏しく、ゴムブレードを用いたノズ
ルプレート或はオリフィス表面のクリーニング操作にお
いて、必ずしも充分な撥インク性能の持続を見ることは
ない。何故なら、フッ素系重合体のクリーニング操作に
よる欠落はないものの、各々のフッ素系重合体の分子鎖
塊が形造る処理層表面の微小なうねりに変化が見られ
る。または、繰り返しのクリーニング操作によって、処
理層表面に微小な傷が生じる。このような原因により、
インクの撥インク処理層表面での弾き性は、明らかに劣
化する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】インクジェットヘッド
から吐出されるインク滴によって記録紙上に形成される
画像品質を、常に良好な状態に保つ保つ為には、インク
ジェットヘッドのノズル孔或はオリフィスと呼ばれるイ
ンク滴吐出口から吐出するインク滴の飛翔方向が、一定
であることが必須条件となる。インク滴の飛翔方向を一
定にする為には、前述した如く二つの条件がある。イン
ク吐出時には、ノズル孔周縁部はインクが濡れにくい表
面状態であって、且つノズル周縁部の何れの箇所におい
ても、撥インク性能の相違はなく均一であること。ノズ
ル孔周縁部に付着したインク或は紙粉等の異物を除去す
る手段、即ちゴムブレード等による繰り返しのクリーニ
ング操作の後においても、ノズル孔周縁部の撥インク性
能が充分であり、且つノズル孔周縁部で撥インク性能が
均一であること、以上である。
【0006】従来の技術を先の例で説明したように、何
れの場合もノズル孔周縁部、或はノズル孔周縁部を含む
ノズルプレート表面をクリーニング操作すると、撥イン
ク処理層の撥インク性能が低下する、或はノズル孔周縁
部において撥インク性能の不均一を生じるという課題を
有した。従ってこの課題を有する限り、印字品質、画像
品質を長期間に渡って保証することは、困難である。
【0007】本発明は、かかる従来の課題を解決する為
になされたものであり、その目的は撥インク処理層の、
クリーニング操作による撥インク性能の低下及び不均一
性を防止し、よってノズル孔からのインク滴の飛翔方向
を一定に保ち、その結果記録紙上に形成される画像、印
字の品質を、長期間に渡って確保することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドは、インク滴を吐出するノズル孔が穿設され、表
面に撥インク層が形成されたノズルプレートを備え、所
定時においてノズルプレートの撥インク層がゴムブレー
ドにより払拭されるインクジェットヘッドであって、撥
インク層は、主剤と硬化剤とからなるエポキシ樹脂と、
分子鎖中にエポキシ基、アミン、水酸基、酸無水、カル
ボン酸の反応基の内少なくとも一つの反応基を有するフ
ッ素化合物との重合硬化皮膜であることを特徴とする。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、イ
ンク滴を吐出するノズル孔が穿設され、表面に撥インク
層が形成されたノズルプレートを備え、所定時において
ノズルプレートの撥インク層がゴムブレードにより払拭
されるインクジェットヘッドの製造方法であって、主剤
と硬化剤とからなるエポキシ樹脂と、分子鎖中にエポキ
シ基、アミン、水酸基、酸無水、カルボン酸の何れかを
有するフッ素化合物とを混練した液状混合樹脂を、ノズ
ルプレート表面に塗布した後、エポキシ樹脂の硬化剤に
含有される官能基とフッ素化合物に含有される反応基と
を重合させ、重合硬化皮膜をノズルプレート表面に形成
する、或はエポキシ樹脂に含有されるエポキシ基とフッ
素化合物に含有される反応基とを重合させ、重合硬化皮
膜をノズルプレート表面に形成することを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明のインクジェットヘッドは、インク滴の
吐出面であるノズルプレート表面上に、主剤と硬化剤と
からなるエポキシ樹脂と、分子鎖中にエポキシ基、アミ
ン、水酸基、酸無水、カルボン酸の何れかを有するフッ
素化合物との重合硬化皮膜を形成している。このエポキ
シ樹脂とフッ素化合物との重合硬化皮膜は、ノズルプレ
ートとの結合力に優れ且つ剛性に優れる為、繰り返しの
クリーニング操作の後においても撥インク性能の低下は
なく、また撥インク性能のノズルプレート表面上での不
均一性が生じないので、高品質で且つ安定した画像が得
られる。
【0010】
【実施例】
(実施例1)図1は、ノズル孔が配置されたノズルプレ
ート表面上に、主剤と硬化剤とからなるエポキシ樹脂
と、分子鎖中にエポキシ基、アミン、水酸基、酸無水、
カルボン酸の反応基の内、少なくとも一つの反応基を有
するフッ素化合物との重合硬化皮膜を設置した本発明
の、ノズル孔とノズル孔近傍とを切る断面図である。ス
テンレスを素材とする厚さ80μmのノズルプレート1
に、プレス法にてインク滴の吐出側の孔径が30μmで
あるノズル孔2を形成し、インク滴の吐出面にエポキシ
樹脂とフッ素化合物との重合硬化皮膜からなる撥インク
層3を形成した。撥インク層3を、エポキシ樹脂の主剤
としてXNR3305(日本チバガイギー社)、硬化剤
として変性芳香族アミンを主成分とするキャタリスト1
1(グレースジャパン社)、分子鎖中にエポキシ基を有
するフッ素化合物に、3−(パーフルオロー9ーメチル
デシル)ー1,2ーエポキシプロパンの各々を用いて作
製した。これらの具体的配合比は、エポキシ樹脂主剤:
エポキシ樹脂硬化剤:フッ素化合物=20:3:10重
量比である。硬化剤に含まれるアミンは、主剤であるエ
ポキシ樹脂に含まれるエポキシ基とフッ素化合物に含ま
れるエポキシ基と反応して重合体を形成する。この重合
体は、エポキシ樹脂硬化物が本来持つ剛性を有し、同時
にノズルプレートの材料であるステンレスとの結合力に
おいて優れた特性を有する。また撥インク性能は、優れ
た撥インク性能を示し、且つ一般的なフッ素樹脂、例え
ばポリ四フッ化エチレンと比較しても、更に優れた特性
を示す。フッ素化合物に前述の3−(パーフルオロー9
ーメチルデシル)ー1,2ーエポキシプロパンを用いた
場合、その臨界表面張力はポリ四フッ化エチレンが18
dyn/cmであるのに対して12dyn/cmであっ
た。撥インク層の臨界表面張力は、有機エステル、炭化
水素など数種の有機溶剤を用いて、有機溶剤の表面張力
と接触角との関係から実験的に求めた。
【0011】こうして得られた3−(パーフルオロー9
ーメチルデシル)ー1,2ーエポキシプロパンを用いた
撥インク層3の、クリーニング操作に対する耐久性能を
調査した。先ずクリーニングする手段として、ゴムブレ
ードには硬度50度のクロロプレンゴムを採用した。ク
リーニング操作は、撥インク層の表面上をゴムブレード
で空拭きする、または撥インク層の表面上にインク滴を
1cc/cm2 、クリーニング10回毎に滴下する、の
二つの方法を取った。また、インクには、水性の染料溶
解型と、水性であって顔料と樹脂の分散型との二種類を
用いた。固形分である顔料と樹脂の含有率は15%であ
る。クリーニング試験において、撥インク層表面上にイ
ンク滴を滴下する条件と、滴下しない条件とを設定した
背景は、実使用時にクリーニング操作を行う場合の、二
つの極端な起こり得る状況を想定したからである。即
ち、ノズルプレート表面に付着した紙粉等の異物の除去
を目的としたクリーニング操作は空拭き状態となり、通
常のインク吐出状況ではない状態、例えばノズル孔に滞
留した気泡によるインクの飛び散り等によるノズルプレ
ート表面が汚染した場合、これは即ちノズルプレート表
面をインクで濡らした状態でのクリーニング操作を意味
する。クリーニング操作は、撥インク層表面をゴムブレ
ードにて同一方向に擦り、5000回迄繰り返した。そ
の間撥インク性能の劣化の有無を調査する為に、撥イン
ク層表面におけるインク滴の接触角の初期値、及びクリ
ーニング50回毎のインク滴の接触角の推移を観察し
た。尚、接触角の測定方向は、撥インク層表面の変化、
即ち微小な傷の発生、樹脂の配向等が検知できるよう
に、クリーニング方向と垂直の方向とした。
【0012】図2の(a)、(b)、(c)にクリーニ
ング試験の結果を示した。図2(a)は、撥インク層表
面をゴムブレードで空拭きした時のインクの接触角の推
移である。接触角の測定に用いたインクは、表面張力が
35dyn/cmであって、インクに顔料と樹脂を分散
した型のインクである。(b)は、インクに表面張力が
55dyn/cmの染料溶解型を用いた時の、(c)
は、表面張力が35dyn/cmであるインクに顔料と
樹脂の分散型をもちいた時の各々の結果である。
【0013】図2を見て分かるように、何れに試験結果
を見ても本発明の撥インク層は、5000回のクリーニ
ング操作を行った後においても、撥インク性能の劣化は
殆どない。この実験結果が意味することは、第一に
(a)と(c)とから分かるように、クリーニング操作
時における撥インク層表面が如何なる状態であっても、
繰り返しのクリーニングによる、撥インク層表面の撥イ
ンク性能の不均一性は生じない。第二は、(b)と
(c)とから分かるように、顔料と樹脂が分散した固形
分を含むインクに対しても本発明の撥インク層は、充分
な対擦性を有すると断定出来る。先にふれたポリ四フッ
化エチレンの場合は、固形分を含まない染料インクと固
形分を含む顔料インクとで、クリーニング操作による撥
インク性能の持続性に大きな差異が見られる。顔料イン
クを撥インク層表面に滴下した場合のクリーニング試験
において、ポリ四フッ化エチレンの撥インク性能の著し
い低下と不均一性が観察された。
【0014】また、5000回のクリーニング試験を経
た本実施例のノズルプレートと、クリーニング試験を行
わなかった初期段階の本実施例のノズルプレートとを、
実際のインクジェットヘッドに搭載して画像を記録紙上
に出力し、画像品質に差異がないか調査した。その結
果、両者とも良好な画像品質が得られ且つ両者において
差異は全くなく、本実施例の撥インク層は充分な対クリ
ーニング性を有することが確認された。
【0015】次に、本実施例の撥インク層の製造方法に
ついて説明する。図3は、ノズル孔2を有するノズルプ
レート1に、撥インク層3を形成する迄の工程を示すも
のである。(a)は厚みが80μmのステンレスからな
り、インク滴の吐出面4側に30μmの吐出口を有する
ノズル孔2が複数配置されたノズルプレート1である。
(a)のノズルプレートの圧力室(図示せず)側5に、
ポジ型レジスト6をロールコータにて塗布した図が
(b)である。レジスト6にはBMR(東京応化社)を
使用した。塗布厚は5μmであり、塗布後の乾燥条件は
80度C10分とした。この工程によりノズル孔2内の
被覆を完全に行い、ノズル孔2内が撥インク処理される
ことを防止する。(c)は、インク滴の吐出面4に
(b)と同様にBMRを塗布乾燥した図である。塗布厚
は同じく5μmとした。この後、ノズルプレートの圧力
室側5の方向より紫外線を照射し露光をする。更にNa
OH5%水溶液で現像すると、ノズルプレート1がマス
クの役割を果たし、(d)に示すレジストのパタン形状
が得られる。現像条件は、前述のアルカリ水溶液に室温
で20分間浸漬することとした。次にインク適吐出面4
に、エポキシ樹脂主剤XNR3305を20部、エポキ
シ樹脂硬化剤キャタリスト11を3部、分子鎖中にエポ
キシ基を有するフッ素化合物3−(パーフルオロー9ー
メチルデシル)ー1,2ーエポキシプロパンを10部を
混練した液状混合樹脂8を、ロールコータで塗布する。
液状混合樹脂8の厚みは、3μm以下とした。この工程
において、インク吐出面4のレジスト凸部7はゴム弾性
を有する為、ロールコータでのコーテイング時に欠落す
ることはない。液状混合樹脂8を塗布した後、100度
C2時間の環境に置く。この環境下で、エポキシ樹脂硬
化剤に含有されるアミンは、エポキシ樹脂主剤とフッ素
化合物に含まれるエポキシ基と反応重合し、液状混合樹
脂8は重合硬化皮膜となる。最後に60度CのBMR剥
離液(東京応化社)に30分浸漬すると、レジストはノ
ズルプレートから脱落し、(f)に示す本実施例の重合
硬化皮膜からなる撥インク層を有するノズルプレートが
得られる。
【0016】(実施例2)実施例2では、フッ素化合物
にアミンを含有する1H.1Hヘプタフルオロブチルア
ミンを用いた。エポキシ樹脂主剤は実施例1と同一であ
る。硬化剤にはキャタリスト9(グレースジャパン社)
を採用した。これらの配合比は重量比で、エポキシ樹脂
主剤:エポキシ樹脂硬化剤:フッ素化合物=10:1:
5である。撥インク層を形成する製造工程は実施例1と
同様であるが、1H.1Hヘプタフルオロブチルアミン
の沸点は75度Cの為、硬化条件は室温で24時間とし
た。硬化剤のキャタリスト9は室温で硬化反応可能な樹
脂である。キャタリスト9と1H.1Hヘプタフルオロ
ブチルアミンとに含まれるアミンがエポキシ樹脂主剤中
に含有されるエポキシ基と反応し重合硬化皮膜を形成す
る。
【0017】このようにして製造された重合硬化皮膜を
撥インク層としたインクジェットヘッドで、実施例1と
同様に撥インク層のクリーニング耐久試験と実印字試験
とを行った。ノズルプレートとの密着性及び撥インク層
表面の硬度とも良好であり、高品質の画像が得られた。
【0018】(実施例3)実施例3では、フッ素化合物
の分子鎖中に水酸基を有する2−(パーフルオロデシ
ル)エタノール及び2−(パーフルオロ9メチルデシ
ル)エタノールを用いた。エポキシ樹脂主剤と硬化剤と
は実施例1と同一である。配合比は何れも重量比で、エ
ポキシ樹脂主剤:エポキシ樹脂硬化剤:フッ素化合物=
20:3:10である。撥インク層を形成する製造工程
は実施例1と同一である。2−(パーフルオロデシル)
エタノール及び2−(パーフルオロ9メチルデシル)エ
タノール各々の分子鎖中に含有される水酸基は、エポキ
シ樹脂主剤に含まれるエポキシ基と反応し、硬化剤中に
含まれるアミンもまたエポキシ樹脂主剤に含まれるエポ
キシ基と反応する。従って三者がエポキシ樹脂を媒体に
互いに結合した重合体を形成する。
【0019】クリーニング耐久試験と実印字試験との結
果は、実施例1、2と同様であり、ノズルプレートとの
密着性及び撥インク層表面の硬度とも良好であって、高
品質の画像が得られた。
【0020】(実施例4)実施例4では、フッ素化合物
の分子鎖中に酸無水を有する2.2ビス(3.4アンハ
イドロジカルボキシフェニル)ヘクサフルオロプロパン
を用いた。エポキシ樹脂主剤と硬化剤とは実施例1と同
一である。配合比は重量比で、エポキシ樹脂主剤:エポ
キシ樹脂硬化剤:フッ素化合物=20:3:7である。
撥インク層を形成する製造工程は実施例1と同様である
が、重合硬化皮膜を得る硬化条件は160度C2時間と
した。これは、2.2ビス(3.4アンハイドロジカル
ボキシフェニル)ヘクサフルオロプロパンに含まれる無
水カルボン酸と、エポキシ樹脂主剤に含まれるエポキシ
基とが反応するのに高温を要するからである。2.2ビ
ス(3.4アンハイドロジカルボキシフェニル)ヘクサ
フルオロプロパンに含まれる無水カルボン酸と、エポキ
シ樹脂主剤に含まれるエポキシ基とが反応し、エポキシ
樹脂主剤に含まれるエポキシ基は同時に硬化剤中のアミ
ンと反応し、重合体を形成する。
【0021】クリーニング耐久試験と実印字試験との結
果は、実施例1、2と同様であり、ノズルプレートとの
密着性及び撥インク層表面の硬度とも良好であって、高
品質の画像が得られた。
【0022】(実施例5)実施例5では、フッ素化合物
の分子鎖中にカルボン酸を有するパーフルオロデカノイ
ックアシッド及びパーフルオロウンデカノイックアシッ
ドを用いた。エポキシ樹脂主剤と硬化剤とは実施例1と
同一である。配合比は重量比で、エポキシ樹脂主剤:エ
ポキシ樹脂硬化剤:フッ素化合物=20:3:10であ
る。撥インク層を形成する製造工程は実施例1と同様で
あるが、重合硬化皮膜を得る硬化条件は160度C2時
間とした。パーフルオロデカノイックアシッド及びパー
フルオロウンデカノイックアシッドに含まれるカルボン
酸と、硬化剤に含まれるアミンとが反応し、エポキシ樹
脂主剤に含まれるエポキシ基は同じく硬化剤中のアミン
と反応し、重合体を形成する。
【0023】このようにして製造された重合硬化皮膜を
撥インク層としたインクジェットヘッドで、実施例1と
同様に撥インク層のクリーニング耐久試験と実印字試験
とを行った。ノズルプレートとの密着性及び撥インク層
表面の硬度とも良好であり、高品質の画像が得られた。
【0024】(実施例6)実施例1、2、3、4、5で
は、図1におけるノズルプレート1の材質をステンレス
とする場合の説明をしたが、ノズルプレート1の材質が
プラスティックの場合でも本発明のインクジェットヘッ
ドは高品質の画像を継続的に得ることが出来る。プラス
ティック材料に、ポリサルフォン、ポリカーボネイトを
採用し、ノズル孔2の孔開け加工はエキシマレーザを用
いて行った。撥インク層3を形成する材料は、実施例
1、2、3、4、5と同様であり、フッ素化合物は、分
子鎖中に含まれる反応基がエポキシ基、アミン、水酸
基、酸無水、カルボン酸の何れでも可能である。撥イン
ク層3とノズルプレート1との結合力の強度を左右する
エポキシ樹脂主剤には、プラスティック材料に対して強
固な結合力を示すEA−9460(豊田合成)の主剤を
用いた。また、エポキシ樹脂硬化剤には、キャタリスト
9、或はキャタリスト11を採用した。キャタリスト9
を用いるかキャタリスト11を用いるかの選択は、実施
例1、2、3、4、5に示したように、混合するフッ素
化合物の沸点によって決めた。ノズルプレート1に撥イ
ンク層3を形成する製造方法は、前述した実施例1、
2、3、4、5と同様である。
【0025】このようにして得られた、ポリサルフォン
或はポリカーボネイトを材料とするノズルプレート1に
設けた撥インク層3のクリーニング耐久性と、撥インク
層3が形成されたノズルプレート1を搭載したインクジ
ェットヘッドを用いて、記録紙上の画像品質の調査と
を、実施例1、2、3、4、5と同一の方法で行った。
撥インク層のクリーニング耐久性能は、ステンレスを材
料とするノズルプレートの場合と全く変わりなく、従っ
てクリーニング耐久試験を経たノズルプレートを搭載し
たインクジェットヘッドを用いた画像品質調査において
も、極めて良好な結果を得るに至った。
【0026】ポリサルフォン及びポリカーボネイトのプ
ラスティックを材料とするノズルプレートにおいても、
本発明の撥インク層が繰り返しのクリーニング耐久性能
を有し、この結果として記録紙上に形成される画像品質
を常に一定に保ち且つ高品質を維持出来るのは、以下の
理由によるものである。第一には、ノズルプレート材質
がステンレスの場合と同様に、撥インク層を形成するエ
ポキシ樹脂はノズルプレートと高い密着性を示し、よっ
てクリーニング操作時に撥インク層がノズルプレートか
ら剥離することがない。第二には、エポキシ樹脂硬化物
を含む撥インク層の剛性は、エポキシ樹脂硬化物が本来
有する剛性と変わりない為に、繰り返しのクリーニング
操作を行っても、撥インク層表面に微小な傷が生じるこ
とがない。以上二つの理由によって、撥インク層表面の
撥インク性能は、常に均一で且つ劣化することがない為
である。
【0027】
【発明の効果】本発明のインクジェットヘッドは、撥イ
ンク層を主剤と硬化剤とからなるエポキシ樹脂と、分子
鎖中にエポキシ基、アミン、水酸基、酸無水及びカルボ
ン酸の内何れかの反応基を含むフッ素化合物とを重合し
て形成している。この主剤と硬化剤とからなるエポキシ
樹脂とフッ素化合物とが重合した重合硬化皮膜は、エポ
キシ樹脂主剤とエポキシ樹脂硬化剤とフッ素化合物とに
含まれる反応基が、相互に反応し重合体を形造り、一体
化した高分子樹脂となる。この重合硬化皮膜からなる本
発明による撥インク層は、ノズルプレートとの密着性に
優れ、また剛性に優れた特性を示すことから、ゴムブレ
ードにより摺接されるクリーニング操作を繰り返し行っ
たとしても撥インク性能が低下することがない。従っ
て、ノズル周縁部の撥インク層表面は常に安定し且つ均
一な表面状態となり、ノズル孔より吐出されるインク滴
の飛翔方向を、長期で一定に保つことが出来る。以上の
ことから、本発明のインクジェットヘッドは、記録紙に
常に一定した良好な品質の画像を長期で形成できるとい
う効果を有する。また、撥インク層を形成するエポキシ
樹脂の有する高い密着特性により、ノズルプレートの材
質を選ばないという効果も有する。更に、撥インク層の
剛性により樹脂、顔料といった固形分を含有するインク
に対しても、その使用を容易にした効果を有する。
【0028】以上のことから、本発明のインクジェット
ヘッドは、記録紙に常に一定した良好な品質の画像を形
成出来る効果を有する。また、撥インク層を形成するエ
ポキシ樹脂の有する高い密着特性により、ノズルプレー
トの材質を選ばないという効果も有する。更に、撥イン
ク層の剛性により樹脂、顔料といった固形分を含有する
インクに対しても、その使用を容易にした効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットヘッドの、ノズルプレ
ート表面上に形成した撥インク層と、ノズル孔を配置し
たノズルプレートの断面図。
【図2】本発明のインクジェットヘッドの、撥インク層
をクリーニング操作した時のインクの接触角の推移を示
す図。
【図3】本発明のインクジェットヘッドの、撥インク層
をノズルプレート上に形成する製造工程を示す図。
【図4】従来の技術を説明する図。
【図5】従来の技術を説明する図。
【符号の説明】
1 ノズルプレート 2 ノズル孔 3 撥インク層 4 インク滴の吐出面 5 ノズルプレートの圧力室側 6 レジスト 7 レジスト凸部 8 液状混合樹脂 9 金属ノズル 10 撥インク部材 11 樹脂層 12 基板 13 隔壁 14 オリフィス 15 インク槽 16 発熱素子 17 基板

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インク滴を吐出するノズル孔が穿設され、
    表面に撥インク層が形成されたノズルプレートを備え、所定時において前記ノズルプレートの撥インク層がゴム
    ブレードにより払拭される インクジェットヘッドであっ
    て、 前記撥インク層は、主剤と硬化剤とからなるエポキシ樹
    脂と、分子鎖中にエポキシ基、アミン、水酸基、酸無
    水、カルボン酸の反応基の内少なくとも一つの反応基を
    有するフッ素化合物との重合硬化皮膜であることを特徴
    とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】インク滴を吐出するノズル孔が穿設され、
    表面に撥インク層が形成されたノズルプレートを備え、所定時において前記ノズルプレートの撥インク層がゴム
    ブレードにより払拭される インクジェットヘッドの製造
    方法であって、 主剤と硬化剤とからなる前記エポキシ樹脂と、分子鎖中
    にエポキシ基、アミン、水酸基、酸無水、カルボン酸の
    何れかを有する前記フッ素化合物とを混練した液状混合
    樹脂を、前記ノズルプレート表面に塗布した後、前記エ
    ポキシ樹脂の硬化剤に含有される官能基と前記フッ素化
    合物に含有される反応基とを重合させ、前記重合硬化皮
    膜を前記ノズルプレート表面に形成する、或は前記エポ
    キシ樹脂に含有されるエポキシ基と前記フッ素化合物に
    含有される反応基とを重合させ、前記重合硬化皮膜を前
    記ノズルプレート表面に形成することを特徴とするイン
    クジェットヘッドの製造方法。
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