JP3408835B2 - E型プロスタグランジン類の製造方法 - Google Patents
E型プロスタグランジン類の製造方法Info
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カルボン酸に3重結合
が共役したE型プロスタグランジン類の低級アルキルエ
ステルに酵素を作用させて加水分解し、カルボン酸に3
重結合が共役したE型プロスタグランジン類を製造する
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】E型プロスタグランジン類の製造方法と
しては、一般にプロスタン酸の低級アルキルエステルか
らプロスタン酸を得る方法が用いられているが、E型プ
ロスタグランジン類はその骨格内にβ−ヒドロキシケト
ンを有するために、化学的に不安定であり脱水反応を起
こしやすく、通常の化学的手法では少なからず脱水体の
副生を伴う。そのため、最も有力な方法として酵素を用
いて加水分解する方法が知られている[特開昭52−2
1392号公報(ブタ膵臓由来のリパーゼ)、N.A.
Porterら(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミ
カル・ソサエティー,第101巻,第4319〜432
2ページ,1979年)(ブタ膵臓由来のリパーゼ)、
C−H.Linら(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケ
ミカル・ソサエティー,第104巻,第1621〜16
28ページ,1982年)(ブタ膵臓由来のリパー
ゼ)、羽里篤夫ら(日本化学会誌,第9巻,第1390
〜1392ページ,1983年)(ブタ肝臓由来のエス
テラーゼ)]。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
酵素を用いて加水分解する方法では、原料として、カル
ボン酸に3重結合が共役したE型プロスタグランジン類
のエステルを用いた場合、脱水体の生成抑制の点で不十
分であった。また、13,14位が3重結合のE型プロ
スタグランジン類(Bがエチニレン基のE型プロスタグ
ランジン類)にあっては、8−β体などの異性体を副生
するという欠点もあった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
の解決を目的として鋭意研究を進めた結果、E型プロス
タグランジン類の低級アルキルエステルに、このエステ
ルを加水分解するある特定の酵素を用いると、短時間
で、収率よく、かつ副生成物の生成を極めて少なく抑え
て目的のE型プロスタグランジン類を製造できることを
見いだし、本発明を完成した。 【0005】すなわち、本発明は、式 【0006】 【0007】[式中、Rは低級アルキル基を示し、R1
及びR2は同一または異なって水素原子または水酸基の
保護基を示し、A、R3およびR4は反応に関与しない任
意の基を示し、Bはビニレン基またはエチニレン基を示
す。]で表されるE型プロスタグランジン類の低級アル
キルエステルに、アスペルギルス属またはシュウドモナ
ス属に属する微生物が生産するエステル加水分解能を有
する酵素を作用させ、式 【0008】 【0009】(式中、R1、R2、A、R3、R4およびB
は前記と同意義である。)で表されるE型プロスタグラ
ンジン類を製造する方法である。 【0010】本発明において、低級アルキル基とは、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基などの直鎖状または分枝鎖
状のアルキル基をいう。また、水酸基の保護基とは、プ
ロスタグランジンの分野で通常用いられるものであり、
例えばt−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル
基、フェニルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニル
シリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドルフラ
ニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、ベンジ
ル基などである。 【0011】A、R3及びR4は本反応に関与しないもの
ならばいずれでもかまわない。これらの例を挙げるとす
るならば、Aとしては、例えば炭素原子数1〜6個の直
鎖状のアルキレン基(例えばトリメチレン基、テトラメ
チレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基な
ど)、炭素原子数4〜7個の直鎖状のアルケニレン基
[例えば式 【0012】 【0013】(式中、n1は1〜4の整数を示し、n2は
2または3を示す。)で表される基など]、鎖中に1つ
の酸素原子または硫黄原子を介している炭素原子数2〜
6個の直鎖状のアルキレン基[例えば式 【0014】 【0015】(式中、Xは酸素原子または硫黄原子を示
し、n3は1〜5の整数を示し、n4は1〜3の整数を示
す。)で表される基など]、式 【0016】 【0017】(式中、n5およびn6は同一または異なっ
て1〜3の整数を示す。)で表される基、式 【0018】 【0019】(式中、n7およびn8は同一または異なっ
て1〜3の整数を示す。)で表される基などを挙げるこ
とができる。 【0020】また、R3としては、例えば水素原子、メ
チル基、エチル基、ビニル基などを挙げることができ
る。R4としては、例えば炭素原子数1〜10個の直鎖
状または分枝鎖状のアルキル基、アルケニル基またはア
ルキニル基(例えばペンチル基、ヘキシル基、1−メチ
ルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、1,1−ジメチ
ルヘキシル基、2−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、
1−メチル−3−ヘキシニル基、2−メチル−3−ヘキ
シニル基、2−ペンチニル基など)、炭素原子数3〜1
0個のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基など)、フェニル
基、「フェニル基、フェノキシ基または炭素原子数5〜
6個のシクロアルキル基」で置換された炭素原子数1〜
4個のアルキル基(例えばシクロペンチルメチル基、シ
クロヘキシルメチル基、2−シクロペンチルエチル基、
3−シクロペンチルプロピル基、3−シクロヘキシルプ
ロピル基、4−シクロペンチルブチル基、ベンジル基、
フェノキシメチル基、2−フェニルエチル基、4−フェ
ニルブチル基など)を挙げることができる。 【0021】本発明において用いられる酵素は、アスペ
ルギルス属またはシュウドモナス属に属する微生物が生
産するエステル加水分解能を有する酵素である。商品名
で具体例を挙げると、リパーゼPS[シュウドモナス・
セパシア(Pseudomonas cepacia)由来のリパーゼ]、
リパーゼMF[シュウドモナス属(Pseudomonas sp.)
由来のリパーゼ]、アシラーゼ30,000[アスペル
ギルス属(Aspergillus sp.)由来のアシラーゼ](以
上,天野製薬株式会社製)などがある。 【0022】次に、本発明の加水分解法を詳しく説明す
る。本発明では、アスペルギルス属またはシュウドモナ
ス属に属する微生物が生産するエステル加水分解能を有
する酵素と式(I)の化合物を水溶液中で、攪拌または
振とうすることにより行う。この際、リン酸緩衝液、ト
リス−塩酸緩衝液などの緩衝液を使用するのが、反応液
のpHを一定に保つ上で好ましいが、緩衝液を使用せず
に反応を行うこともできる。リン酸緩衝液を用いる場合
には、100mM以上の濃度では8−β体の副生成物が
増加し、50mM以下の濃度が望ましい。酵素反応の基
質は水溶液への溶解度が低く、反応液に基質溶解補助剤
としてアセトンなどの有機溶媒を添加することが望まし
い。アセトンの場合、反応液に対して1%〜20%まで
添加することができるが、好ましくは3%〜8%であ
る。反応液のpHは、使用する酵素にあわせて設定すれ
ばよい。例えば、リパーゼPSを使用したときの各種条
件は、pHが5.0から8.5であり、最も好ましくは
pH5.0から6.5の間である。さらに、反応液とし
て水溶液を用いずに有機溶媒を用いることもできる。例
えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリ
ル、ヘキサン、ヘプタンなどを上げることができる。反
応温度として5℃から50℃で反応できるが、20℃か
ら35℃が望ましい。使用する酵素の量は、酵素の力価
および基質の量に応じて適宜決定すればよい。通常は基
質量の0.1倍〜20倍であるが、重量で基質量の10
倍以上の酵素を使用し、短時間で反応を完結させるの
が、副生成物を抑制するという点で望ましい。反応時間
は、TLC分析あるいはHPLC分析などにより反応の
進行状況を確かめながら設定すればよい。反応終了後の
目的物の抽出方法として、反応液が酸性または中性の場
合、反応液をそのまま酢酸エチル、ジエチルエーテルな
どの有機溶媒で抽出できる。また、反応液がアルカリ性
の場合、希塩酸、希リン酸などの添加で酸性とし、酢酸
エチル、ジエチルエーテルなどの有機溶媒で抽出する。
溶媒を留去後、必要に応じてカラムクロマトグラフィー
などで精製し、純粋な目的物を単離することができる。 【0023】 【発明の効果】本発明により、脱水体、8−β体の副生
を抑制し、高純度のE型プロスタグランジン類(カルボ
ン酸に3重結合が共役したE型プロスタグランジン類)
を短時間で収率よく製造できるようになった。 【0024】 【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに詳しく
説明するが、本発明は実施例のみによって限定されるも
のではない。なお、加水分解の進行状況は、以下に示す
TLC法、およびHPLC法により確認した。 TLC−1:TLCプレート(メルク社製、アート57
15) 展開溶媒;酢酸エチル、または酢酸エチル/エタノール
=1/1 HPLC :カラム ;ODS 80TM(4.6φ×
150mm) (東ソー(株)社製) 溶離液 ;メタノール/水=7/3 流速 ;1ml/min 温度 ;50℃ 検出 ;UV 210nm また,脱水体および8−β体の生成量は、以下に示すH
PLC法により測定した。 HPLC :カラム ;ODS 80TM(4.6φ×
150mm) (東ソー(株)社製) 溶離液 ;6.6mMリン酸緩衝液(pH6.3)/メ
タノール=1/1 流速 ;1ml/min 温度 ;50℃ 検出 ;UV 210nm 【0025】実施例1〜4 表1に示す酵素[実施例4の酵素(ブタ肝臓エステラー
ゼ(シグマ社製))は比較として用いたものである。]
50mgを2.375mlのリン酸緩衝液(10mM,
pH7.0)に溶解し、125μlのアセトンに溶解し
た(17R)−17,20−ジメチル−2,2,3,
3,13,14−ヘキサデヒドロプロスタグランジンE
1 メチルエステル5mgを加え、30℃にて振盪し
た。TLCにより原料に一致するスポットが認められな
くなるまで反応を継続した。表1には反応終了までの時
間を示した。反応終了後、15mlのジエチルエーテル
で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥、濃縮した。抽出物をHPLC法により
分析し、目的物の(17R)−17,20−ジメチル−
2,2,3,3,13,14−ヘキサデヒドロプロスタ
グランジンE1、8−β体及び脱水体の生成量を面積%
で示した(表1)。 【0026】 【表1】 【0027】実施例5 リパーゼPS 3gを70mlのリン酸緩衝液(20m
M,pH7.0)に溶解し、3.75mlのアセトンに
溶解した(17R)−17,20−ジメチル−2,2,
3,3,13,14−ヘキサデヒドロプロスタグランジ
ンE1 メチルエステル150mgを加え、30℃にて
6時間攪拌した。反応液をジエチルエーテル100ml
で5回抽出し、有機層を飽和食塩水100mlで2回洗
浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮した。粗生
成物を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Li
Chroprep RP18(メルク社製)、展開溶
媒;メタノール:水=65:35)で精製し、103m
gの(17R)−17,20−ジメチル−2,2,3,
3,13,14−ヘキサデヒドロプロスタグランジンE
1を得た。HPLC分析により測定したところ8−β体
は全く認められず、脱水体の含量はわずか1.9%であ
った(面積%)。1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):0.82〜0.96(m,3H),0.93
(d,J=6.6Hz,3H),1.10〜1.88
(m,15H),2.22〜2.32(m,1H),
2.26(dd,J=9.0Hz,18.6Hz,1
H),2.37〜2.44(m,2H),2.68(d
dd,J=1.7Hz,8.2Hz,11.3Hz,1
H),2.78(ddd,J=1.2Hz,7.4H
z,18.6Hz,1H),4.29〜4.39(m,
1H),4.45〜4.52(m,1H) IR(neat):3391,2930,2861,2
237,1740,1697,1462,1384,1
259,1154,1071,757cm-1 【0028】実施例5と同様にしてそれぞれ対応するメ
チルエステルを加水分解し、以下の化合物を得た。実施
例6 (17S)−2a−ホモ−17,20−ジメチル−2,
2,2a,2a,13,14−ヘキサデヒドロプロスタ
グランジンE1 1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):0.85〜0.96(m,6H),1.12〜
1.88(m,17H),2.19〜2.33(m,1
H),2.25(dd,J=8.9Hz,18.5H
z,1H),2.37(t,J=6.9Hz,2H),
2.67(ddd,J=1.7Hz,8.3Hz,1
1.2Hz,1H),2.77(ddd,J=1.3H
z,7.1Hz,18.5Hz,1H),4.29〜
4.39(m,1H),4.50(dt,J=1.7H
z,7.6Hz,1H) IR(neat):3392,2930,2860,2
236,1707,1462,1384,1241,1
073,757cm-1 【0029】実施例7 (17S)−2−ノル−17,20−ジメチル−3,
3,4,4,13,14−ヘキサデヒドロプロスタグラ
ンジンE1 1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):0.86〜0.95(m,6H),1.10〜
1.96(m,13H),2.21〜2.34(m,1
H),2.26(dd,J=8.8Hz,18.7H
z,1H),2.40(t,J=6.4Hz,2H),
2.68(ddd,J=1.5Hz,8.3Hz,1
1.3Hz,1H),2.78(ddd,J=1.1H
z,7.3Hz,18.7Hz,1H),4.30〜
4.41(m,1H),4.42〜4.54(m,1
H) IR(neat):3392,2956,2929,2
872,2237,1739,1698,1458,1
383,1266,1154,1070,757cm-1 【0030】実施例8 (16RS)−16,20−ジメチル−2,2,3,
3,13,14,18,18,19,19−デカデヒド
ロプロスタグランジンE1 1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):1.05(d,J=6.7Hz,3H),1.1
1(t,J=7.5Hz,3H),1.79〜1.90
(m,1H),2.01〜2.88(m,15H),
3.10(q,J=7.6Hz,1H),3.71
(s,3H),4.24〜4.33(m,1H),4.
32 and 4.38(d,J=4.1Hz and
J=2.9Hz,1H),6.51(br,3H) 【0031】実施例9 (17S)−17,20−ジメチル−2,2,3,3,
13,14−ヘキサデヒドロプロスタグランジンE1 1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):0.80〜0.92(m,6H),1.02〜
1.88(m,15H),2.20〜2.46(m,2
H),2.37(t,J=6.0Hz,2H),2.5
9〜2.66(m,1H),2.75(dd,J=7.
4Hz,18.5Hz,1H),4.28〜4.42
(m,1H),4.46(t,J=6.4Hz,1H) IR(neat):3370,2930,2240,1
700,1370,1240,1040,730cm
−1
が共役したE型プロスタグランジン類の低級アルキルエ
ステルに酵素を作用させて加水分解し、カルボン酸に3
重結合が共役したE型プロスタグランジン類を製造する
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】E型プロスタグランジン類の製造方法と
しては、一般にプロスタン酸の低級アルキルエステルか
らプロスタン酸を得る方法が用いられているが、E型プ
ロスタグランジン類はその骨格内にβ−ヒドロキシケト
ンを有するために、化学的に不安定であり脱水反応を起
こしやすく、通常の化学的手法では少なからず脱水体の
副生を伴う。そのため、最も有力な方法として酵素を用
いて加水分解する方法が知られている[特開昭52−2
1392号公報(ブタ膵臓由来のリパーゼ)、N.A.
Porterら(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミ
カル・ソサエティー,第101巻,第4319〜432
2ページ,1979年)(ブタ膵臓由来のリパーゼ)、
C−H.Linら(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケ
ミカル・ソサエティー,第104巻,第1621〜16
28ページ,1982年)(ブタ膵臓由来のリパー
ゼ)、羽里篤夫ら(日本化学会誌,第9巻,第1390
〜1392ページ,1983年)(ブタ肝臓由来のエス
テラーゼ)]。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
酵素を用いて加水分解する方法では、原料として、カル
ボン酸に3重結合が共役したE型プロスタグランジン類
のエステルを用いた場合、脱水体の生成抑制の点で不十
分であった。また、13,14位が3重結合のE型プロ
スタグランジン類(Bがエチニレン基のE型プロスタグ
ランジン類)にあっては、8−β体などの異性体を副生
するという欠点もあった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
の解決を目的として鋭意研究を進めた結果、E型プロス
タグランジン類の低級アルキルエステルに、このエステ
ルを加水分解するある特定の酵素を用いると、短時間
で、収率よく、かつ副生成物の生成を極めて少なく抑え
て目的のE型プロスタグランジン類を製造できることを
見いだし、本発明を完成した。 【0005】すなわち、本発明は、式 【0006】 【0007】[式中、Rは低級アルキル基を示し、R1
及びR2は同一または異なって水素原子または水酸基の
保護基を示し、A、R3およびR4は反応に関与しない任
意の基を示し、Bはビニレン基またはエチニレン基を示
す。]で表されるE型プロスタグランジン類の低級アル
キルエステルに、アスペルギルス属またはシュウドモナ
ス属に属する微生物が生産するエステル加水分解能を有
する酵素を作用させ、式 【0008】 【0009】(式中、R1、R2、A、R3、R4およびB
は前記と同意義である。)で表されるE型プロスタグラ
ンジン類を製造する方法である。 【0010】本発明において、低級アルキル基とは、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基などの直鎖状または分枝鎖
状のアルキル基をいう。また、水酸基の保護基とは、プ
ロスタグランジンの分野で通常用いられるものであり、
例えばt−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル
基、フェニルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニル
シリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドルフラ
ニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、ベンジ
ル基などである。 【0011】A、R3及びR4は本反応に関与しないもの
ならばいずれでもかまわない。これらの例を挙げるとす
るならば、Aとしては、例えば炭素原子数1〜6個の直
鎖状のアルキレン基(例えばトリメチレン基、テトラメ
チレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基な
ど)、炭素原子数4〜7個の直鎖状のアルケニレン基
[例えば式 【0012】 【0013】(式中、n1は1〜4の整数を示し、n2は
2または3を示す。)で表される基など]、鎖中に1つ
の酸素原子または硫黄原子を介している炭素原子数2〜
6個の直鎖状のアルキレン基[例えば式 【0014】 【0015】(式中、Xは酸素原子または硫黄原子を示
し、n3は1〜5の整数を示し、n4は1〜3の整数を示
す。)で表される基など]、式 【0016】 【0017】(式中、n5およびn6は同一または異なっ
て1〜3の整数を示す。)で表される基、式 【0018】 【0019】(式中、n7およびn8は同一または異なっ
て1〜3の整数を示す。)で表される基などを挙げるこ
とができる。 【0020】また、R3としては、例えば水素原子、メ
チル基、エチル基、ビニル基などを挙げることができ
る。R4としては、例えば炭素原子数1〜10個の直鎖
状または分枝鎖状のアルキル基、アルケニル基またはア
ルキニル基(例えばペンチル基、ヘキシル基、1−メチ
ルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、1,1−ジメチ
ルヘキシル基、2−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、
1−メチル−3−ヘキシニル基、2−メチル−3−ヘキ
シニル基、2−ペンチニル基など)、炭素原子数3〜1
0個のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基など)、フェニル
基、「フェニル基、フェノキシ基または炭素原子数5〜
6個のシクロアルキル基」で置換された炭素原子数1〜
4個のアルキル基(例えばシクロペンチルメチル基、シ
クロヘキシルメチル基、2−シクロペンチルエチル基、
3−シクロペンチルプロピル基、3−シクロヘキシルプ
ロピル基、4−シクロペンチルブチル基、ベンジル基、
フェノキシメチル基、2−フェニルエチル基、4−フェ
ニルブチル基など)を挙げることができる。 【0021】本発明において用いられる酵素は、アスペ
ルギルス属またはシュウドモナス属に属する微生物が生
産するエステル加水分解能を有する酵素である。商品名
で具体例を挙げると、リパーゼPS[シュウドモナス・
セパシア(Pseudomonas cepacia)由来のリパーゼ]、
リパーゼMF[シュウドモナス属(Pseudomonas sp.)
由来のリパーゼ]、アシラーゼ30,000[アスペル
ギルス属(Aspergillus sp.)由来のアシラーゼ](以
上,天野製薬株式会社製)などがある。 【0022】次に、本発明の加水分解法を詳しく説明す
る。本発明では、アスペルギルス属またはシュウドモナ
ス属に属する微生物が生産するエステル加水分解能を有
する酵素と式(I)の化合物を水溶液中で、攪拌または
振とうすることにより行う。この際、リン酸緩衝液、ト
リス−塩酸緩衝液などの緩衝液を使用するのが、反応液
のpHを一定に保つ上で好ましいが、緩衝液を使用せず
に反応を行うこともできる。リン酸緩衝液を用いる場合
には、100mM以上の濃度では8−β体の副生成物が
増加し、50mM以下の濃度が望ましい。酵素反応の基
質は水溶液への溶解度が低く、反応液に基質溶解補助剤
としてアセトンなどの有機溶媒を添加することが望まし
い。アセトンの場合、反応液に対して1%〜20%まで
添加することができるが、好ましくは3%〜8%であ
る。反応液のpHは、使用する酵素にあわせて設定すれ
ばよい。例えば、リパーゼPSを使用したときの各種条
件は、pHが5.0から8.5であり、最も好ましくは
pH5.0から6.5の間である。さらに、反応液とし
て水溶液を用いずに有機溶媒を用いることもできる。例
えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリ
ル、ヘキサン、ヘプタンなどを上げることができる。反
応温度として5℃から50℃で反応できるが、20℃か
ら35℃が望ましい。使用する酵素の量は、酵素の力価
および基質の量に応じて適宜決定すればよい。通常は基
質量の0.1倍〜20倍であるが、重量で基質量の10
倍以上の酵素を使用し、短時間で反応を完結させるの
が、副生成物を抑制するという点で望ましい。反応時間
は、TLC分析あるいはHPLC分析などにより反応の
進行状況を確かめながら設定すればよい。反応終了後の
目的物の抽出方法として、反応液が酸性または中性の場
合、反応液をそのまま酢酸エチル、ジエチルエーテルな
どの有機溶媒で抽出できる。また、反応液がアルカリ性
の場合、希塩酸、希リン酸などの添加で酸性とし、酢酸
エチル、ジエチルエーテルなどの有機溶媒で抽出する。
溶媒を留去後、必要に応じてカラムクロマトグラフィー
などで精製し、純粋な目的物を単離することができる。 【0023】 【発明の効果】本発明により、脱水体、8−β体の副生
を抑制し、高純度のE型プロスタグランジン類(カルボ
ン酸に3重結合が共役したE型プロスタグランジン類)
を短時間で収率よく製造できるようになった。 【0024】 【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに詳しく
説明するが、本発明は実施例のみによって限定されるも
のではない。なお、加水分解の進行状況は、以下に示す
TLC法、およびHPLC法により確認した。 TLC−1:TLCプレート(メルク社製、アート57
15) 展開溶媒;酢酸エチル、または酢酸エチル/エタノール
=1/1 HPLC :カラム ;ODS 80TM(4.6φ×
150mm) (東ソー(株)社製) 溶離液 ;メタノール/水=7/3 流速 ;1ml/min 温度 ;50℃ 検出 ;UV 210nm また,脱水体および8−β体の生成量は、以下に示すH
PLC法により測定した。 HPLC :カラム ;ODS 80TM(4.6φ×
150mm) (東ソー(株)社製) 溶離液 ;6.6mMリン酸緩衝液(pH6.3)/メ
タノール=1/1 流速 ;1ml/min 温度 ;50℃ 検出 ;UV 210nm 【0025】実施例1〜4 表1に示す酵素[実施例4の酵素(ブタ肝臓エステラー
ゼ(シグマ社製))は比較として用いたものである。]
50mgを2.375mlのリン酸緩衝液(10mM,
pH7.0)に溶解し、125μlのアセトンに溶解し
た(17R)−17,20−ジメチル−2,2,3,
3,13,14−ヘキサデヒドロプロスタグランジンE
1 メチルエステル5mgを加え、30℃にて振盪し
た。TLCにより原料に一致するスポットが認められな
くなるまで反応を継続した。表1には反応終了までの時
間を示した。反応終了後、15mlのジエチルエーテル
で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥、濃縮した。抽出物をHPLC法により
分析し、目的物の(17R)−17,20−ジメチル−
2,2,3,3,13,14−ヘキサデヒドロプロスタ
グランジンE1、8−β体及び脱水体の生成量を面積%
で示した(表1)。 【0026】 【表1】 【0027】実施例5 リパーゼPS 3gを70mlのリン酸緩衝液(20m
M,pH7.0)に溶解し、3.75mlのアセトンに
溶解した(17R)−17,20−ジメチル−2,2,
3,3,13,14−ヘキサデヒドロプロスタグランジ
ンE1 メチルエステル150mgを加え、30℃にて
6時間攪拌した。反応液をジエチルエーテル100ml
で5回抽出し、有機層を飽和食塩水100mlで2回洗
浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮した。粗生
成物を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Li
Chroprep RP18(メルク社製)、展開溶
媒;メタノール:水=65:35)で精製し、103m
gの(17R)−17,20−ジメチル−2,2,3,
3,13,14−ヘキサデヒドロプロスタグランジンE
1を得た。HPLC分析により測定したところ8−β体
は全く認められず、脱水体の含量はわずか1.9%であ
った(面積%)。1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):0.82〜0.96(m,3H),0.93
(d,J=6.6Hz,3H),1.10〜1.88
(m,15H),2.22〜2.32(m,1H),
2.26(dd,J=9.0Hz,18.6Hz,1
H),2.37〜2.44(m,2H),2.68(d
dd,J=1.7Hz,8.2Hz,11.3Hz,1
H),2.78(ddd,J=1.2Hz,7.4H
z,18.6Hz,1H),4.29〜4.39(m,
1H),4.45〜4.52(m,1H) IR(neat):3391,2930,2861,2
237,1740,1697,1462,1384,1
259,1154,1071,757cm-1 【0028】実施例5と同様にしてそれぞれ対応するメ
チルエステルを加水分解し、以下の化合物を得た。実施
例6 (17S)−2a−ホモ−17,20−ジメチル−2,
2,2a,2a,13,14−ヘキサデヒドロプロスタ
グランジンE1 1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):0.85〜0.96(m,6H),1.12〜
1.88(m,17H),2.19〜2.33(m,1
H),2.25(dd,J=8.9Hz,18.5H
z,1H),2.37(t,J=6.9Hz,2H),
2.67(ddd,J=1.7Hz,8.3Hz,1
1.2Hz,1H),2.77(ddd,J=1.3H
z,7.1Hz,18.5Hz,1H),4.29〜
4.39(m,1H),4.50(dt,J=1.7H
z,7.6Hz,1H) IR(neat):3392,2930,2860,2
236,1707,1462,1384,1241,1
073,757cm-1 【0029】実施例7 (17S)−2−ノル−17,20−ジメチル−3,
3,4,4,13,14−ヘキサデヒドロプロスタグラ
ンジンE1 1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):0.86〜0.95(m,6H),1.10〜
1.96(m,13H),2.21〜2.34(m,1
H),2.26(dd,J=8.8Hz,18.7H
z,1H),2.40(t,J=6.4Hz,2H),
2.68(ddd,J=1.5Hz,8.3Hz,1
1.3Hz,1H),2.78(ddd,J=1.1H
z,7.3Hz,18.7Hz,1H),4.30〜
4.41(m,1H),4.42〜4.54(m,1
H) IR(neat):3392,2956,2929,2
872,2237,1739,1698,1458,1
383,1266,1154,1070,757cm-1 【0030】実施例8 (16RS)−16,20−ジメチル−2,2,3,
3,13,14,18,18,19,19−デカデヒド
ロプロスタグランジンE1 1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):1.05(d,J=6.7Hz,3H),1.1
1(t,J=7.5Hz,3H),1.79〜1.90
(m,1H),2.01〜2.88(m,15H),
3.10(q,J=7.6Hz,1H),3.71
(s,3H),4.24〜4.33(m,1H),4.
32 and 4.38(d,J=4.1Hz and
J=2.9Hz,1H),6.51(br,3H) 【0031】実施例9 (17S)−17,20−ジメチル−2,2,3,3,
13,14−ヘキサデヒドロプロスタグランジンE1 1 H−NMR(CDCl3,300Mz) δ(pp
m):0.80〜0.92(m,6H),1.02〜
1.88(m,15H),2.20〜2.46(m,2
H),2.37(t,J=6.0Hz,2H),2.5
9〜2.66(m,1H),2.75(dd,J=7.
4Hz,18.5Hz,1H),4.28〜4.42
(m,1H),4.46(t,J=6.4Hz,1H) IR(neat):3370,2930,2240,1
700,1370,1240,1040,730cm
−1
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
C12R 1:38)
(72)発明者 花田 和紀
東京都豊島区高田3丁目24番1号 大正
製薬株式会社内
(72)発明者 田名見 亨
東京都豊島区高田3丁目24番1号 大正
製薬株式会社内
(72)発明者 佐藤 史衛
神奈川県藤沢市鵠沼東3−1−219
(56)参考文献 特開 昭52−21392(JP,A)
特開 昭63−254995(JP,A)
特開 平1−202296(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C12P 31/00
C07C 405/00 504
CA(STN)
REGISTRY(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 式 [式中、Rは低級アルキル基を示し、R1及びR2は同一
または異なって水素原子または水酸基の保護基を示し、
A、R3およびR4は反応に関与しない任意の基を示し、
Bはビニレン基またはエチニレン基を示す。]で表され
るE型プロスタグランジン類の低級アルキルエステル
に、アスペルギルス属またはシュウドモナス属に属する
微生物が生産するエステル加水分解能を有する酵素を作
用させ、式 (式中、R1、R2、A、R3、R4およびBは前記と同意
義である。)で表されるE型プロスタグランジン類を製
造する方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP06400593A JP3408835B2 (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | E型プロスタグランジン類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP06400593A JP3408835B2 (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | E型プロスタグランジン類の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06277080A JPH06277080A (ja) | 1994-10-04 |
| JP3408835B2 true JP3408835B2 (ja) | 2003-05-19 |
Family
ID=13245652
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP06400593A Expired - Fee Related JP3408835B2 (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | E型プロスタグランジン類の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3408835B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CA2334355C (en) * | 1998-05-25 | 2009-01-27 | Taisho Pharmaceutical Co., Ltd. | Prostaglandin derivatives |
-
1993
- 1993-03-23 JP JP06400593A patent/JP3408835B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH06277080A (ja) | 1994-10-04 |
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