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JP3416938B2 - 積層体 - Google Patents
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JP3416938B2 - 積層体 - Google Patents

積層体

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JP3416938B2
JP3416938B2 JP28902394A JP28902394A JP3416938B2 JP 3416938 B2 JP3416938 B2 JP 3416938B2 JP 28902394 A JP28902394 A JP 28902394A JP 28902394 A JP28902394 A JP 28902394A JP 3416938 B2 JP3416938 B2 JP 3416938B2
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剛 吉岡
益男 中堂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜積層体に関し、より
詳しくは、耐摩耗性の改善等を目的として設けられる表
面コーティング材であって、切削工具、耐摩耗工具等の
硬質部材の表面コーティング材、あるいは電気・電子部
品、摺動・機械部品の表面コーティング材等として有用
な薄膜積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、切削工具の分野においては、
その耐摩耗性の向上を目的として、超硬合金等からなる
母材の表面に、PVD(Physical Vapor Deposition ;
物理的気相堆積)法やCVD(Chemical Vapor Deposit
ion ;化学気相堆積)法を用いて、Ti、Hf、Zrの
炭化物、窒化物、炭窒化物や、Alの酸化物からなる被
覆層(コーティング)を、1層または多層(複合層)で
配置することが行われている。
【0003】特に、上記PVD法による被覆は、母材強
度を劣化させることなく耐摩耗性を向上させることが容
易という利点を有する。このため、ドリル、エンドミ
ル、フライス用スローアウェイチップ(Throw Away Ti
p;「取り替え型」のチップ)等の、特に強度が要求さ
れる切削工具において、このような表面被覆が多く用い
られている。
【0004】しかしながら、現在使用されている表面被
覆層の材質(窒化物または炭窒化物)は、耐摩耗性、耐
熱性が充分ではなく、特に高速切削用の工具において
は、工具寿命が短くなるという問題があった。
【0005】このような状況下において、H.Holleck
等による特開昭61−235555号公報(ドイツ国出
願、DE3512986号)には、TiCとTiB2
からなる2種の金属結合性の膜厚40nm以下のセラミ
ックスの薄膜間に、被覆膜全体中に総数100〜200
00の多数の「コヒーレントあるいは部分的にコヒーレ
ントな界面」を導入してなる構造を有する多層膜であっ
て、TiC、およびTiB2 ターゲットを用いたスパッ
タリング法によって作製された多層膜が記載されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の検討によれば、上記した多層膜の硬度(耐摩耗性の
尺度の一つ)は、必ずしも充分ではなかった。
【0007】本発明の目的は、耐摩耗性を向上させた多
層膜の積層体を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、切削性能を向上させ
た硬質部材を与える多層膜の積層体を提供することにあ
る。
【0009】本発明者は鋭意研究の結果、異なる組成を
有する化合物からなる2種以上の層(化合物層)と;該
化合物層の間に配置された層であって、組成が一定傾向
で変化(増加または減少)する層(組成変調層)とから
なる積層体を形成することが、上記目的の達成に極めて
効果的であることを見出した。
【0010】本発明の積層体は上記知見に基づくもので
あり、より詳しくは、周期律表IVa、Va、VIa族元
素、Al、Si、およびBから選択される1種以上の元
素(第1元素)と;B、C、N、およびOから選択され
る1種以上の元素(第2元素)とを主成分とする化合物
からなり、互いに異なる組成を有する少なくとも2種の
化合物層であって、前記化合物層が、 Ti及びCを主成分とする化合物、 B及びCを主成分とする化合物、 W及びCを主成分とする化合物、 Ti、C及びNを主成分とする化合物、 Ti及びNを主成分とする化合物、 Ti及びBを主成分とする化合物、 Ti、B及びNを主成分とする化合物、 B及びNを主成分とする化合物、 Si及びNを主成分とする化合物、 Al及びNを主成分とする化合物、 Al及びOを主成分とする化合物、 Ti、Al及びNを主成分とする化合物、 Ti、Zr及びNを主成分とする化合物、 Ti、Cr及びNを主成分とする化合物、 Ti、Hf及びNを主成分とする化合物、 Zr及びNを主成分とする化合物、 Cr及びNを主成分とする化合物、 Hf及びCを主成分とする化合物、 Cr、C及びNを主成分とする化合物、 Hf、Al及びNを主成分とする化合物、 Nb及びNを主成分とする化合物、 Nb、Al及びNを主成分とする化合物、 V、Al及びNを主成分とする化合物、 Ti、Zr及びCを主成分とする化合物、 Ti、Cr及びCを主成分とする化合物、 Zr及びCを主成分とする化合物、 Zr、C及びNを主成分とする化合物、 Ti、N及びOを主成分とする化合物、並びに Al、N及びOを主成分とする化合物からなる群より選
択される化合物からなる化合物層と、該化合物層間に配
置され、厚さ方向に元素の組成(at%)が変化する組
成変調層とを含み、該化合物層と前記組織変調層とが周
期的に積層されてなり、且つ、前記組成変調層において
結晶格子が歪みながら連続していることを特徴とするも
のである。
【0011】
【作用】本発明の積層体は、上述したように、2種以上
の「化合物層」と、該化合物層の間に配置された層であ
って、組成が一定傾向で変化(増加または減少)する
「組成変調層」とからなる。すなわち、従来の積層多層
膜を構成する各層が、該各層間に「界面」(すなわち、
組成が不連続な面)を有していたのに対し、本発明の積
層体は(少なくとも、化合物層−組成変調層の周期的構
造内には)このような「界面」を有さず、2種以上の化
合物層は、これらの間に配置された上記「組成変調層」
に隣接している。
【0012】本発明者の知見によれば、2種以上の化合
物層間の組成変調層においては格子が若干歪みながら連
続し、且つ結晶構造が変化して安定化しているため、積
層膜に歪エネルギーが蓄えられる。このように積層膜全
体に蓄えられた歪エネルギーに基づき、積層膜の硬度が
向上し、耐摩耗性が増大する(および/又はクラックの
伝播が抑制され、積層体を構成する各層相互間の、ない
しは基材ー積層体間の剥離が抑制される)ものと推定さ
れる。本発明者の実験によれば、このような組成変調層
を設けた場合、相当程度に格子定数および/又は弾性定
数が異なる化合物層同士(例えば、TiN層−AlN
層)でも、良好な整合性が容易に得られることが見出さ
れている。
【0013】更には、本発明者の知見によれば、上記し
た本発明の積層体においては、従来品と比較して、積層
周期(耐摩耗性が向上する積層周期)が広い範囲で得ら
れる傾向があることが見出されている。したがって、本
発明の積層体においては、(従来品と比較して)広範囲
の積層周期で「より大きい耐摩耗性」を得ることが容易
となる。また、同一の「積層膜の厚さ」ないし「耐摩耗
性」を得るための「積層の数」が、(従来品と比較し
て)より少なくすることも容易となるため、本発明の積
層体は、従来品より製造が容易となる。
【0014】これに対して、界面を有する上記Holleck
の多層膜においては、格子定数が異なる物質(通常、物
質が異なれば格子定数も異なる)間の界面で格子定数の
差(ミスフィット)に応じた転位(ミスフィット転位)
が生じ易く、「歪整合」による硬度上昇(耐摩耗性の向
上)は極めて小さいものと推定される。また、上記界面
においては、応力が集中し易く、したがって剥離が生じ
易い。更には、このような多層膜においては、TiC−
TiB2 のような結晶構造が異なる物質間の界面では、
ある結晶方位を選んで部分整合する(TiC(111)
と、TiB2(0001))傾向があるため、一方の結
晶構造が変化して全体で一つの結晶構造になるというこ
とは生じないものと推定される。
【0015】以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本
発明を詳細に説明する。
【0016】本発明の積層体は、2種以上の化合物層
と、これらの間に配置された組成変調層とからなる。
【0017】(化合物層)本発明において、「化合物
層」とは、第1元素の組成(at%)が、その厚さ方向
に関して実質的に一定である層をいう(本発明において
「化合物」の用語は、「固溶体」を包含する趣旨で用い
る)。ここに、「第1元素」とは、周期律表IVa族元素
(Ti、Zr、Hf)、Va族元素(V、Nb、T
a)、VIa族元素(Cr、Mo、W)、Al、Si、お
よびBから選択される1種以上の元素をいう。
【0018】化合物層は、上記した第1元素(1種以上
の元素)と、B、C、N、およびOから選択される1種
以上の元素(以下、「第2元素」という)とを主成分と
する化合物からなる層であって、 Ti及びCを主成分とする化合物、 B及びCを主成分とする化合物、 W及びCを主成分とする化合物、 Ti、C及びNを主成分とする化合物、 Ti及びNを主成分とする化合物、 Ti及びBを主成分とする化合物、 Ti、B及びNを主成分とする化合物、 B及びNを主成分とする化合物、 Si及びNを主成分とする化合物、 Al及びNを主成分とする化合物、 Al及びOを主成分とする化合物、 Ti、Al及びNを主成分とする化合物、 Ti、Zr及びNを主成分とする化合物、 Ti、Cr及びNを主成分とする化合物、 Ti、Hf及びNを主成分とする化合物、 Zr及びNを主成分とする化合物、 Cr及びNを主成分とする化合物、 Hf及びCを主成分とする化合物、 Cr、C及びNを主成分とする化合物、 Hf、Al及びNを主成分とする化合物、 Nb及びNを主成分とする化合物、 Nb、Al及びNを主成分とする化合物、 V、Al及びNを主成分とする化合物、 Ti、Zr及びCを主成分とする化合物、 Ti、Cr及びCを主成分とする化合物、 Zr及びCを主成分とする化合物、 Zr、C及びNを主成分とする化合物、 Ti、N及びOを主成分とする化合物、並びに Al、N及びOを主成分とする化合物からなる群より選
択される化合物からなる層である。
【0019】本発明においては、上記した第1元素と第
2元素との組合せとして、例えば、以下に示す組合せが
好適に使用可能である。
【0020】 <第1元素> <第2元素> <化合物> Ti C TiC B C B4 C W C W2 C Ti C,N Ti(Cx 1-x ) Ti N TiN Ti B TiB2 Ti B,N Ti(Bx 1-x ) B N BN Si N Si3 4 Al N AlN Al O Al2 3 Ti−Al N (Ti−Al)N Ti−Zr N (Ti−Zr)N Ti−Cr N (Ti−Cr)N Ti−Hf N (Ti−Hf)N 上記した化合物層においては、第1元素および/又は第
2元素の組成(at%)の変動幅の相対値、すなわち
(最大値−最小値)/最大値は、その厚さ方向に関して
15%以下であることが好ましく、更には10%以下
(特に5%以下)であることが好ましい。
【0021】このような第1元素あるいは第2元素の組
成(at%)は、例えば、エネルギー分散型X線分析法
(EDX)、あるいは電子エネルギー損失分光法(elec
tronenergy-loss spectroscopy ;EELS)により確
認できる。
【0022】このEDXないしEELS分析において
は、例えば、以下のような条件が好適に使用可能であ
る。
【0023】<測定機器> 測定機器:VG社製、HB501 EDX:KEVEX Super8000 定量トータ
ルシステム エネルギー分散型X線分析計(Si<Li>半導体検出
器、UTW型) EELS:VG社製、ELS−80分光器(エネルギー
分解能:0.56eV) <測定条件> 加速電圧:100kV 試料吸収電流:10-9A 計数時間:50〜100秒 分析プローブ径:1nmφ 上記した化合物層(1層)の厚さは、100nm以下で
あることが好ましく、更には1〜20nm程度(特に1
〜10nm程度)であることが好ましい。この層厚が1
nm未満の場合、組成変調層を設けた効果が不充分とな
り易い。一方、層厚が20nmを越えると、積層による
硬度向上・耐摩耗性改良の効果が不充分となり易い。こ
のような化合物層(1層)の厚さは、例えば、透過型電
子顕微鏡(TEM)によって確認できる。
【0024】このTEM分析においては、例えば、以下
のような条件が好適に使用可能である。
【0025】<TEM分析条件> 測定機器:日立製、商品名:H−9000UHR 加速電圧:300kV 倍率:20万〜800万倍 (組成変調層)本発明において「組成変調層」とは、上
記した第1元素および/又は第2元素の組成(at%)
が、その厚さ方向に関して一定傾向で変化(すなわち、
厚さ方向に関して増加または減少)する層をいう。組成
変調層においては、第1元素および第2元素の少なくと
も一方が変化していればよい。
【0026】この組成変調層に隣接する化合物層をそれ
ぞれ「化合物層A」および「化合物層B」とすると、該
組成変調層の「化合物層A」に接する側の組成は、該
「化合物層A」の組成と実質的に同一であることが好ま
しい。また、該組成変調層の「化合物層B」に接する側
の組成は、該「化合物層B」の組成と実質的に同一であ
ることが好ましい。すなわち、このような態様において
は、組成変調層は、「化合物層Aと実質的に同一の組
成」から「化合物層Bと実質的に同一の組成」へ変化す
る組成(あるいはその逆の組成変化)を有する層である
ことが好ましい。
【0027】本発明においては、組成変調層(1層)の
厚さは、0.4nm以上であることが好ましく、更には
0.4〜100nm程度(特に0.4〜20nm程度)
であることが好ましい。このような化合物層(1層)の
厚さは、例えば、上記化合物層の厚さの測定と同様のT
EM測定によって確認することが可能である。
【0028】化合物層間の剥離の防止ないし積層体全体
における「歪整合」の安定化の点からは、化合物層の厚
さをa(nm)とし、組成変調層の厚さをb(nm)と
した場合に、これらの厚さの比(b/a)が1/10〜
10程度、更には1/5〜5程度であることが好まし
い。
【0029】本発明においては、上記組成変調層の厚さ
方向に関して、前記第1元素(および/又は第2元素;
以下「組成変調層」に関しては同様)の組成(at%)
が実質的に連続的に変化することが好ましい。ここに
「実質的に連続的に変化」とは、組成変調層内に、界面
(組成が不連続となる面)が実質的に存在しないことを
いう。より具体的には、上記「化合物層A」を構成する
第1元素(Ea )に関する「化合物層A」と「化合物層
B」との組成(at%)の差を|Ea2−Ea1|とした場
合、上記「歪整合」の安定化の点からは、この差の絶対
値を組成変調層の厚さb(nm)で割った商(|Ea2
a1|/b)は、300at%/nm以下であることが
好ましく、更には300〜1at%/nm程度(特に3
00〜5at%/nm程度)であることが好ましい。
【0030】また、上記「化合物層B」を構成する第1
元素(Eb )に関する「化合物層A」と「化合物層B」
との組成(at%)の差を|Eb2−Eb1|とした場合
に、上記「歪整合」の安定化の点からは、この差の絶対
値を組成変調層の厚さb(nm)で割った商(|Eb2
b1|/b)は、300at%/nm以下であることが
好ましく、更には300〜1at%/nm程度(特に3
00〜5at%/nm程度)であることが好ましい。
【0031】上記した「第1元素」に関する組成変調層
の「商」は、「第2元素」にも同様に適用可能である。
【0032】(積層体)本発明の積層体は、上述した化
合物層と、組成変調層とが、周期的に積層された構造を
有する。本発明において好ましく用いられる積層構造の
例を以下に示す(化合物層は記号”C”、組成変調層は
記号”M”で示す。積層構造の基材側を左側、積層体の
表面側を右側に示す)。
【0033】 <積層体が2種の化合物層を有する場合>C(組成A)→M(組成m)→C(組成B)→M(組成n) →C(組成A)→・ (1周期) <積層体が3種の化合物層を有する場合>C(組成A)→M(組成m)→C(組成B)→M(組成n)→C(組成C)→M (組成p) →C(組成A)→・・・・ (1周期) 積層に関して「1周期」とは、上記した態様では、C
(組成A)+M(組成m)+C(組成B)+M(組成
n)の膜厚の合計(2種の化合物層を有する場合)、あ
るいはC(組成A)+M(組成m)+C(組成B)+M
(組成n)+C(組成C)+M(組成p)の膜厚の合計
(3種の化合物層を有する場合)をいう。
【0034】(結晶構造)積層体全体ないしこれを構成
する各層の結晶構造ないしX線回析パターンとしては、
通常知られている結晶系(例えば、立方晶、六方晶等)
が特に制限なく使用可能であるが、歪エネルギーの増大
(ないし該エネルギーの増大による耐摩耗性の向上等)
の点からは、上記した「2種以上の化合物層」のうち、
少なくとも1種の化合物層が、常温、常圧、平衡状態
で、他の層(化合物層および/又は組成変調層)と異な
る結晶構造を有し、積層体全体としては単一のX線回析
パターン(単一の晶系に対応するX線回析パターン)を
有することが好ましい。耐酸化性ないし化学的安定性の
点からは、積層体を構成する各層が立方晶または六方晶
のいずれかの結晶構造を有し、且つ、積層全体としては
立方晶のX線回析パターンを有することが好ましい。
【0035】このような各層ないし積層体全体の結晶構
造ないしX線回析パターンは、例えば、下記条件下のX
線回析法で確認することが可能である。
【0036】<X線回析の条件> X線回析装置:理学電機社製、商品名:RINT−15
00、X線回析ピークの観測:銅ターゲット、ニッケル
フィルタを用いたディフラクトメータを用い、薄膜X線
回折法(入射角θ=1°)により回析線を観測 X線源:Cu−Kα線(1.54オングストローム) 図1〜図8に、WC−Co焼結体(焼結助材にTiCを
含む)基板上に成膜した薄膜ないし多層膜の典型的なX
線回折パターンを示す。
【0037】図1は、薄膜X線回折パターンを模式的に
示したものである。図中、◆はTiN/AlN多層膜、
●はTiN、▲Wurtzite型(六方晶)AlNを示す。
【0038】図1において、パターン(A):λ=2.
5nmは、(六方晶のパターンではなく)単一の立方晶
のパターンとなっている。更に、ピークの位置(横軸=
回折角)は、TiNと立方晶AlNとの間に位置してい
る。この2点(パターンが単一化すること、回折ピーク
が「2種の化合物層」の中間に位置すること)が、上記
態様における変調膜の回折パターンの特徴である。
【0039】これに対して、パターン(B):λ=30
nmは、TiNパターンと六方晶AlNパターンとが合
わされた(重なった)パターンとなっている(六方晶A
lNパターンは非常に弱い)。
【0040】図2の○印は、典型的な立方晶(TiN)
回折パターンを示す。図2中、+印はWC(基板)、×
印はTiC(基板)、?印は膜ピーク、?−Sub 印は基
板ピークを示す。
【0041】図3の△印は、典型的な立方晶(TiN)
回折パターンを示す。図3中、▲はAlを示す。その他
の記号は、図2と同様である。
【0042】図4は、TiN/AlN変調膜の典型的な
回折パターン(単一のパターン)を示す。
【0043】図5は、ZrN(立方晶)の典型的な回折
パターンを、図6はTiNの回折パターンを示す。記号
TはTiNを示し、記号ZはZrNを示す。
【0044】図7はTiN/ZrN変調膜の典型的なパ
ターン(単一パターン)を示す。図7においては、立方
晶の回折パターンで、ピーク位置はTiNとZrNとの
間の位置となる。
【0045】一方、図8はTiN/ZrN変調膜の典型
的なパターン(単一パターンでない)を示す。図8にお
いては、少しピーク位置がずれた2つの立方晶パターン
(TiNパターンとZrNパターン)が合わされた回折
パターンとなる。
【0046】上述したように、積層全体が単一の回折パ
ターンを有する場合、典型的には図4、図7に示すよう
なパターンが得られる。
【0047】ただし、本発明の積層体においては、(例
えば、積層周期(層厚)のバラツキにより)歪み整合し
ている部分(変調膜)と、歪み整合していない部分とが
混在することにより、上記の単一化されたX線パターン
と各層のX線パターンとが混在する場合もある。
【0048】本発明においては、AlN高圧層(立方
晶)の利用が可能となる点、および/又は積層体全体と
しての硬度、耐酸化性、ないし化学的安定性の点から
は、上記した「六方晶構造を有する層」が(Tix ,A
1-x )N、(0≦x<0.3)の組成を有しているこ
とが好ましい。
【0049】一方、耐酸化性、硬度(耐摩耗性)の点か
らは、上記した「立方晶構造を有する層」は、(T
x ,Al1-x )N、(0.3≦x≦1)の組成を有し
ていることが好ましい。
【0050】上記(Tix ,Al1-x )N、(0≦x<
0.3)の組成を有する「六方晶構造の層」と、(Ti
x ,Al1-x )N、(0.3≦x≦1)の組成を有する
「立方晶構造の層」とを組合せることは、同一の元素を
含む組成からなる各層間のミクロな密着性を向上させる
点から好ましい。
【0051】本発明においては、上記した2種の化合物
層が、それぞれTiN層とAlN層とからなり、且つ組
成変調層がTiAlN層からなることが特に好ましい。
このような場合、化合物層たるTiN層とAlN層とは
その結晶構造において両極にあり、蓄えられる歪エネル
ギーが最も大きくなるため、組成変調層の硬度も高くな
り好ましい。
【0052】本発明においては、基材との密着性と耐摩
耗性とのバランスの点からは、上記積層体の全膜厚は、
5nm〜15μm程度、更には0.5μm〜10μm程
度であることが好ましい。この全膜厚が5nm未満で
は、耐摩耗性の向上は不充分となり易い。一方、全膜厚
が15μmを越えると、積層体を構成する膜中の残留応
力等の影響により、積層体と基材との密着強度が低下す
る傾向が生じる場合がある。
【0053】(基材)上記した本発明の積層体は、種々
の基材(ないし母材)上に配置された被覆(コーティン
グ)層として極めて有用である。このような態様で用い
る場合、該基材は、上記積層体の用途(例えば、切削工
具、耐摩耗工具等の硬質部材の表面コーティング材、あ
るいは電気・電子部品、摺動・機械部品の表面コーティ
ング材等)に応じて適宜選択することが可能であり、特
に制限されない。上記した工具等の硬質部材の表面コー
ティング材として用いる場合、該基材としては、例え
ば、超硬合金(例えば、WC基超硬合金)、サーメッ
ト、高速度鋼等の硬質基材が好ましく用いられる。
【0054】(中間層)本発明の積層体を上記基材上に
形成する場合、基材と積層体との密着強度を更に向上さ
せる点からは、基材と該積層体との間に、積層体の密着
強度を改善するための中間層を設けることが好ましい。
例えば、基材と積層体(最も基材側の層)とが、特性が
大きく異なる物質から構成されている場合、基材と積層
体との間に中間的な特性の中間層を配置することによ
り、該特性の変化を段階的に制御でき、膜の残留応力の
低減等も可能となる。
【0055】上記中間層は、基材と積層体との密着強度
を効果的に向上させる点からは、周期律表IVa、Va、
およびVIa族元素から選択される1種以上の元素(第3
元素)と;C、N、およびOから選択される1種以上の
元素(第4元素)とからなる1種以上の化合物を含む組
成を有していることが好ましい。
【0056】本発明においては、上記した第3元素と第
4元素との組合せは特に制限されないが、例えば、以下
に示す組合せが好適に使用可能である。
【0057】 <第3元素> <第4元素> <化合物> Ti C TiC B C B4 C W C W2 C Ti C,N Ti(Cx 1-x ) Ti N TiN Ti B TiB2 Ti B,N Ti(Bx 1-x ) B N BN Si N Si3 4 Al N AlN Al O Al2 3 Ti−Al N (Ti−Al)N Ti−Zr N (Ti−Zr)N Ti−Cr N (Ti−Cr)N Ti−Hf N (Ti−Hf)N 本発明において、中間層の組成は、該中間層に隣接する
積層体の層(化合物層または組成変調層)の組成と同一
ないし類似していることが、基材と積層体との密着強度
を向上させる点から好ましい。
【0058】本発明においては、中間層の厚さは、0.
05μm以上であることが好ましく、更には0.05〜
5μm程度(特に0.05〜1μm程度)であることが
好ましい。中間層の膜厚が0.05μm未満では、密着
強度の向上が不充分となり易く、一方、膜厚が5μmを
越えると密着強度の向上が頭打ちとなる傾向があり、生
産性も低下する傾向がある。
【0059】このような中間層の厚さは、例えば、前記
した「化合物層の厚さ」の測定と同様のTEM測定によ
って確認することが可能である。
【0060】(表面層)本発明の積層体の最上層(最表
面)の上には、必要に応じて、耐摩耗部材の性能のため
の表面層を配置してもよい。
【0061】本発明の積層体(例えば、耐摩耗被膜とし
て用いる場合)の最表面は、非常に過酷な環境(高温下
の摩耗等)に晒される場合が多いため、雰囲気もしくは
摩耗相手材との反応が起こり易い。このような摩耗が生
じた場合、被膜表面の変質が起こり易くなり、耐摩耗特
性が損なわれる可能性がある。したがって、積層体の最
上層は、相手材との反応性が低い組成を有していること
が好ましい。一方、積層体を構成する各層の組成として
は、積層時の生産性等を考慮すれば、このような「反応
性の低い組成」が好ましいとは限らない。
【0062】積層体の使用雰囲気及び相手材との耐反応
性が優れた組成を有する表面層を積層体の最上層上に配
置した場合、表面反応等による積層体表面の摩耗は該表
面層によって抑制することが可能となるため、積層体を
構成する各層組成の自由度を拡大することが可能とな
る。
【0063】上記表面層は、耐摩耗性の向上と積層体
(最上層)との密着強度の点からは、周期律表IVa、V
a、およびVIa族元素から選択される1種以上の元素
(第5元素)と;C、N、およびOから選択される1種
以上の元素(第6元素)とからなる1種以上の化合物を
含む組成を有していることが好ましい。
【0064】本発明においては、上記した第5元素と第
6元素との組合せは特に制限されないが、例えば、以下
に示す組合せが好適に使用可能である。
【0065】 <第5元素> <第6元素> <化合物> Ti C TiC B C B4 C W C W2 C Ti C,N Ti(Cx 1-x ) Ti N TiN Ti B TiB2 Ti B,N Ti(Bx 1-x ) B N BN Si N Si3 4 Al N AlN Al O Al2 3 Ti−Al N (Ti−Al)N Ti−Zr N (Ti−Zr)N Ti−Cr N (Ti−Cr)N Ti−Hf N (Ti−Hf)N 本発明において、表面層の組成は、該表面層に隣接する
積層体の層(化合物層または組成変調層)の組成と同一
ないし類似していることが、基材と積層体との密着強度
を向上させる点から好ましい。
【0066】本発明においては、表面層の厚さは、0.
05μm以上であることが好ましく、更には0.05〜
5μm程度(特に0.05〜1μm程度)であることが
好ましい。表面層の膜厚が0.05μm未満では、耐摩
耗特性の向上が不充分であり、一方膜厚が5μmを越え
ると、却って表面層の剥離等が生じ易くなり、耐摩耗特
性の向上が不充分となる傾向がある。
【0067】このような表面層の厚さは、例えば、前記
した「化合物層の厚さ」の測定と同様のTEM測定によ
って確認することが可能である。
【0068】上記した中間層および表面層を共に設けて
なる本発明の積層体の構成の一例を図3の模式断面図に
示す。図3を参照して、超硬合金等からなる基材1上
に、中間層2が配置され;互いに異なる組成を有する少
なくとも2種の化合物層と、該化合物層間に配置された
組成変調層とからなる周期的積層3が、前記中間層2上
に配置され;更に、該周期的積層3上に表面層4が配置
されている。
【0069】本発明の積層体を切削工具(切削チップ)
の被覆層として使用する場合、チップの各面に求められ
る特性に応じて、切削工具の「逃げ面」と「すくい面」
の積層膜として、積層薄膜の周期が異なる積層体を必要
に応じて被覆してもよい。
【0070】(積層体の形成方法)本発明の積層体(必
要に応じて、中間層および/又は表面層)を形成する方
法としては、CVD法、PVD法等の気相堆積法を特に
制限なく利用することが可能である。PVD法(スパッ
タリング法、イオンプレーティング法等)を用いた場
合、基材の強度の維持がCVD法に比べてより容易であ
り、工具等の用途において、耐摩耗性、耐欠損性等を高
いレベルで維持することが容易となる。本発明において
は、立方晶型および/又は六方晶型の結晶構造を有する
層を形成することが容易な点からは、上記PVD法の中
でも、イオン化率が高く、結晶性の高い層を形成するこ
とが容易なイオンプレーティング法(特にアーク式イオ
ンプレーティング法)が特に好ましく用いられる。
【0071】より高いイオン化率を得る点からは、窒化
物あるいは炭窒化物のターゲットを用いずに、少なくと
も周期律表IVa、Va、VIa族元素、Al、Si、およ
びBから選択される1種以上の元素(第1元素)を含
む、複数の金属あるいは合金のターゲットと;B、C、
N、およびOから選択される1種以上の元素(第2元
素)を含むガスとを原料として用いた、反応性のPVD
法を用いることが好ましい。
【0072】ガスを原料として用いる場合、形成すべき
化合物の結晶性を向上させる等の目的で、原料となる気
体以外に、Ar、He等の不活性ガス、H2 等のエッチ
ング効果を有するガス等を、成膜装置内に原料ガスとは
別個に、あるいは原料ガスと同時に導入することも可能
である。
【0073】(アーク式イオンプレーティング法を用い
る積層体の形成)真空アーク放電によるイオンプレーテ
ィング法(アーク式イオンプレーティング法)を用いて
本発明の積層体を形成する一態様について、説明する。
【0074】図4は、アーク式イオンプレーティングに
より本発明の積層体を形成する成膜装置の一例を示す縦
方向模式断面図である。
【0075】図4を参照して、真空チャンバ11中に、
基材(図示せず)保持のための基材ホルダー12が回転
自在に配置され、該基材ホルダー12には基板電源13
が電気的に接続されている。一方、基材ホルダー12と
対向する真空チャンバ11の内壁には、複数のターゲッ
ト14が配置され、該ターゲット14には、それぞれ、
アーク電源15が電気的に接続されている。
【0076】上記成膜装置の模式平面図である図11を
参照して、前記基材ホルダー12の外壁面上には、その
上に本発明の積層体を堆積すべき基材16が配置され、
基材ホルダー12の回転に応じて所定のターゲット(1
4aまたは14b)と対向するように構成されている。
このような成膜装置においては、基材ホルダー12の回
転数と、真空アークの放電電流(すなわち、ターゲット
材料14aおよび/又は14bの蒸発量)とを調整する
ことにより、積層体を構成する各層の層厚を制御するこ
とが可能である。組成変調層の厚さ、および組成の変化
は、各ターゲット14a、14bのプラズマ15aおよ
び15bの「重なり」の程度を調整することにより、制
御可能である。プラズマの「重なり」の程度は、各ター
ゲット14a、14bの配置、および/又はアーク電流
成膜時の圧力によって変化させることが可能である。
【0077】このような成膜装置を用いて本発明の積層
体を形成するに際しては、例えば、まず真空チャンバ1
1内を真空状態(圧力:10-5Torr程度)とし、つ
いでAr(アルゴン)ガスを該真空チャンバ11内に導
入して、10-2Torr程度の圧力に保持しながら、基
材16を200〜800℃程度まで加熱し、且つ、該基
材16に−800V〜−1000V程度の電圧を印加し
て該基材表面を清浄化した後、Arガスを排気する。次
いで、真空チャンバ11内にN2 ガス、CH4ガス等か
らなる一種類あるいは複数種類のガスを、基材16の回
転に対応させて時間制御を行い、25〜400cc/m
in程度の割合で導入しつつ、真空アーク放電によりタ
ーゲット14a、14bを蒸発ないしイオン化させる。
これにより、基材ホルダー12の回転に基づき移動する
基材16が、ターゲット14a、14bの前を通過する
際に、該ターゲット材料と導入ガス中のCおよび/又は
N等の化合物の層が基材16上に形成される。
【0078】図11を参照して、上記積層膜の形成の
際、基材16の位置がターゲット14aに対向する位置
では、該ターゲット14a(例えば、Ti)と導入ガス
中の元素(C、N等)とからなる化合物(例えば、Ti
N)の層が基材16上に形成される。次いで、基材16
の位置がターゲット14aとターゲット14bとの間に
対応する位置にある時には、ターゲット14aの元素
(例えば、Ti)と、ターゲット14bの元素(例え
ば、Al)と、導入ガス中の元素(C、N等)とからな
る化合物(例えば、(Tix ,Al1-x )N)の層が基
材16上に形成される。このようなTiAlN層の形成
に際しては、ターゲット14a由来のプラズマ15a
と、ターゲット14b由来のプラズマ15bとの「重な
り」の程度(すなわち、ターゲット14a、14bに対
する基材16の相対的な位置関係)に対応して、上記
(Tix ,Al1-x )Nの組成が決定される。該組成
は、基材16がターゲット14aに対向する位置から、
ターゲット14bに対向する位置まで連続的に変化する
ため、このような方法によれば、連続的な(Tix ,A
1-x )Nの組成を有する組成変調膜が形成可能とな
る。
【0079】更に、基材16の位置がターゲット14b
に対向する位置では、該ターゲット14a(例えば、A
l)と導入ガス中の元素(C、N等)とからなる化合物
(例えば、AlN)の層が基材16上に形成される。し
たがって、このような方法により、化合物層(TiN)
→組成変調層(Tix ,Al1-x )N→化合物層(Al
N)→組成変調層(Tix ,Al1-x )N→化合物層
(TiN)→・・・のような周期的積層構造を形成する
ことが可能となる。
【0080】各層(化合物層、組成変調層)の厚さおよ
び/又は組成は、各ターゲット由来のプラズマの「重な
り」の程度によって、制御することが可能である。該プ
ラズマの「重なり」の程度は、各ターゲットの配置、ア
ーク電流、成膜時の圧力によって制御可能である。
【0081】(すくい面/逃げ面の積層周期)発明者の
知見によれば、切削工具チップ等においては、すくい面
(クレーター摩耗を生じやすい面)上に配置すべき膜積
層体の積層周期を、逃げ面(フランク摩耗を生じやすい
面)上に配置すべき積層体の周期より大きくした場合に
は、切削チップの切削性能および寿命が格段に向上する
ことが確認されている。
【0082】一方、異なるチップ形状、切削用途におい
ては、上記と逆に、逃げ面上の積層周期(j)を、すく
い面上の積層周期(k)より大きくした場合には、切削
チップの切削性能および寿命が格段に向上する場合のあ
ることが確認されている。
【0083】これは、本発明者の知見によれば、各用途
によって「逃げ面」と「すくい面」に要求される耐摩耗
性、耐酸化性等の特性が異なるため、これらの特性に対
して好適な積層体の周期が異なることによると推定され
る。
【0084】(積層体の特性および用途)本発明の積層
体(表面側)のビッカース硬度は、荷重25gfで、3
×103kgf/mm2 以上、更には3.2×103
gf/mm2 以上(特に3.4×103 kgf/mm2
以上)であることが好ましい。このようなビッカース硬
度は、公知の測定法(例えば、日本工業規格(JIS)
B−7734−1991記載の微小硬度計を用いる方
法)により測定可能である。荷重25gfにおける3×
103 kgf/mm2 のビッカース硬度は、ほぼ荷重1
gfにおける4×103 kgf/mm2 のビッカース硬
度に相当する。
【0085】本発明の積層体は、切削工具(チップ、ド
リル、エンドミル等)、耐摩耗工具等の硬質部材の表面
コーティング材として有用である。また、本発明の積層
体は、電気・電子部品、摺動・機械部品の表面コーティ
ング材等としても有用である。
【0086】本発明の積層体を、電気、電子、摺動、機
械部品の耐摩耗膜、保護膜として使用する場合には、電
気、電子部品にあっては全体の膜厚を5nm〜10μm
程度(更には5nm〜0.5μm程度)とすることが好
ましく、機械部品にあっては0.1μm〜10μm程度
(更には0.5〜5μm程度)とすることが好ましい。
【0087】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。
【0088】
【実施例】実施例中、超薄膜積層体の各化合物の層厚お
よび積層周期の決定は、透過電子顕微鏡(TEM)観察
により行った。各層の組成変化は、TEM併設の微小領
域EDXによって確認された。超薄膜積層体全体の結晶
構造は、X回析パターンより決定した、微小部分の結晶
構造については、透過電子顕微鏡のTED(制限視野電
子線回折)パターンにより確認した。X線回析ピークの
観測は、銅ターゲット、ニッケルフィルタを用いたディ
フラクトメータによりCu−Kα線の回析線を薄膜X線
回析法で観測した。また、膜硬度は上記した公知のビッ
カーズ硬度測定法(荷重25gf)で測定した。
【0089】実施例1 基材としては、組成がJIS規格P30(JIS B−
4053−1989)、形状がJIS規格SNGN12
0408(JIS B−4121−1985)の超硬合
金製切削チップ(大きさ:約1.3cm×1.3cm×
0.4cm)を用いた。
【0090】上記基材16を、図12に模式平面図を示
す成膜装置の基板ホルダー12に装着し、該基材16の
表面に、真空アーク放電によるイオンプレーティング法
を用いて本発明の積層体を形成した。
【0091】図12を参照して、真空チャンバ11内を
真空状態(圧力:10-5Torr)とし、ついでAr
(アルゴン)ガスを該真空チャンバ11内に導入して、
10-2Torrの圧力に保持しながら、基材16を50
0℃まで加熱し、且つ、該基材16に−1000Vの電
圧を印加して該基材表面を清浄化した後、Arガスを排
気した。次に、該真空チャンバ11内に、N2 ガス、C
4 ガス、あるいは(N2 +CH4 )ガスを、基材16
の回転に対応させて時間制御を行い、200cc/mi
nの割合で導入しつつ、真空アーク放電によりターゲッ
ト14a(Ti)、14b(Al)を蒸発・イオン化さ
せた。(N2 +CH4 )ガスを用いる場合、これらのガ
スの流量比は、所望のN/C比に対応させて変化させ
た。
【0092】上記積層体を構成する各層(化合物層、組
成変調層)の厚さおよび/又は組成は、各ターゲット由
来のプラズマの「重なり」の程度によって、制御するこ
とが可能であった。また、該プラズマの「重なり」の程
度は、各ターゲットの配置、アーク電流、成膜時の圧力
によって制御することが可能であった。
【0093】上記したアーク式イオンプレーティング法
での成膜により、化合物層(TiN)→組成変調層(T
x ,Al1-x )N→化合物層(AlN)→組成変調層
(Tix ,Al1-x )N→化合物層(TiN)→・・・
のような周期的積層構造を形成した。
【0094】基材16上への上記積層体の形成に先行し
て中間層を形成する場合には、上記した積層体形成で用
いたターゲット14a(Ti)2個、およびターゲット
14b(Al)2個に代えて、ターゲット14a(T
i)2個のみ用い、且つ、反応ガスとしてN2 を用いた
以外は、上記積層体形成と同様にして、所定の厚さの中
間層を形成した。
【0095】更に、上記積層体の後に表面層を形成する
場合には、上記した積層体形成で用いたターゲット14
a(Ti)2個、およびターゲット14b(Al)2個
に代えて、ターゲット14a(Ti)を2個のみ用い、
且つ、反応ガスとして(N2+CH4 )ガスを用いた以
外は、上記積層体形成と同様にして、所定の厚さの表面
層を形成した。
【0096】上記により形成された本発明の積層体(試
料No.1〜10)の周期的積層構造(耐摩耗層)を含
む積層体の構成を下記表1に、周期的積層構造(変調部
材)の構成を表2に、それぞれ示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】上記表1ないし3に示した他の試料は、以
下の条件を変更した以外は、上記試料(No.1〜1
0)の作製と同様にして作製した。
【0100】試料11〜16:ターゲット14aの組成
が(Ti/Zr=5/5) 試料17〜22:ターゲット14bの組成がZr 試料23〜29:ターゲット14bの組成がCr、且
つ、ガスが(CH4 /N2 =3/7) 試料30〜36:ターゲット14aの組成が(Ti/A
l=3/7)、且つターゲット14bの組成が(Ti/
Al=1/9) 試料37:ターゲット14aの組成が(Hf/Al=7
/3)、且つターゲット14bの組成が(Ti/Hf=
5/5) 試料38:ターゲット14aの組成がNb、ターゲット
14bの組成がCr 試料39:ターゲット14aの組成が(Nb/Al=7
/3)、且つターゲット14bの組成が(V/Al=7
/3) 試料40:ターゲット14aの組成が(Ti/Zr=6
/4)、且つターゲット14bの組成が(Ti/Cr=
5/5) 試料41:ターゲット14aの組成がTi、ターゲット
14bの組成がTi、且つC2 2 /N2 を回転に合せ
て6/4→3/7で調整 試料42:ターゲット14aの組成がZrC、ターゲッ
ト14bの組成がZr(C0.1 ,N0.9 ) 試料43:ターゲット14aの組成が(Ti/Al=3
/7) 試料44:ターゲット14aの組成がHf 試料45:ターゲット14aの組成がTi、ターゲット
14bの組成がAl、且つN2 /O2 =9/1比較例1 図13に模式平面図を示す成膜装置を用い、ターゲット
14c、4dとしてTi、ガスとしてCH4 /N2 =2
/1を用いた以外は、実施例1と同様の方法により試料
No.46を作製した。
【0101】比較例2 公知のイオンプレーティング法により試料No.47を
作製した。
【0102】比較例3 公知のCVD法により試料No.48を作製した。
【0103】実施例2 上記実施例1および比較例1〜3で作製した表面被覆切
削チップ試料(試料No.1〜48;表1)について、
下記表4の条件下で、連続切削試験と断続切削試験を行
い、切刃の逃げ面摩耗幅(mm)を測定した。得られた
積層体の性能評価を表3に示す。
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】上記表3に示した結果から、本発明の積層
体を表面被覆層として設けた切削チップ試料は、連続切
削および断続切削の両方において優れた耐摩耗性を有す
ることが判明した。すなわち、本発明の積層体を切削工
具の硬質部材の表面コーティング材として使用した場
合、該切削工具の切削性能および寿命が格段に向上する
ことが判明した。
【0107】別に、基材の種類を下記表5のように変更
した以外は、表1の試料No.4、No.25、No.
33、No.46、No.47およびNo.48の作製
と同様に試料を作製した。
【0108】
【表5】
【0109】上記表5の*1〜*4の項目の内容は、以
下の通りである。
【0110】*1:TiC−Al2 3 焼結体 超硬合金製ポットとボールを用いて酸化アルミニウム粉
末と、炭化チタン粉末と、酸化イットリウム粉末とを7
0:29.5:0.5の体積比で混合し、1800℃で
30分焼結した。
【0111】*2:Si3 4 焼結体 超硬合金製ポットとボールを用いて窒化珪素粉末と、酸
化アルミニウム粉末と、酸化イットリウム粉末とを9
5:3:2の体積比で混合し、HIP法でN2 雰囲気
中、1800℃、300kg/cm2 の条件で30分間
焼結した。
【0112】*3:cBN焼結体 超硬合金製ポットとボールを用いてTiN粉末と、アル
ミニウム粉末とを80:20の重量比で混合し、結合材
粉末を得た。次に、この結合材粉末とcBN粉末とを体
積比で45vol%と55vol%となるように配合し
た後、Mo容器中に充填し、48kbの圧力で1400
℃で20分間焼結した。
【0113】*4:ダイヤモンド焼結体 ダイヤモンド粉末と、TiN粉末と、Co粉末とを85
vol%、5vol%、10vol%の体積比となるよ
うに混合した後、Mo容器中に充填し、48kbの圧力
で1400℃で20分間焼結した。
【0114】このようにして作製した各試料について、
上記表5に示す切削条件下で、切刃の逃げ面摩耗幅(m
m)を測定した。得られた積層体の性能評価を下記表6
および表7に示す。
【0115】
【表6】
【0116】
【表7】
【0117】実施例3 (組成変化プロファイルの測定)図12を参照して、基
板ホルダー12を回転させなかった以外は、表1の試料
No.6と同様の条件下(ガス圧力、アーク電流、バイ
アス電圧)で、基材16上に10分成膜を行った。この
際、基材16は、Tiターゲット14a正面のもの(1
番)から、次のAlターゲット正面のもの(17番)を
経て、次のTiターゲット14a正面のもの(33番)
まで、33個を等間隔に配置した。
【0118】このようにして基板ホルダー12の円周方
向の各位置の基板16上に成膜された膜の膜厚をSEM
(走査型電子顕微鏡)で測定し、且つ、膜の組成(Ti
/Al比)を、該SEM付帯のEDXで測定した(ここ
で得られた各位置の基板の組成と、膜厚とが、真空チャ
ンバ11内で成膜される膜の組成と成膜速度とに対応す
るものと推定した)。このようにして測定された組成比
データを図14のグラフに、膜厚データを図15のグラ
フに示す。
【0119】上記EDX分析においては、以下の条件を
使用した。
【0120】<EDX分析条件>SEM本体 測定機器:日本電子社製、商品名:JSM6300−M付帯EDX装置 LINK社(現Oxford社)製、商品名:eXL 検出器:Si(Li)半導体検出器測定条件 加速電圧:15eV 照射電流:0.3nA オープンタイプ(検出器保護窓開放) 上記で得られた各基材上の膜の組成データを縦軸に、膜
厚を順次合計したもの(相対値)を横軸にプロットした
ところ、図16のグラフ(組成変化プロファイル)が得
られた(図12の真空チャンバにはターゲットが2個づ
つ配置されているため、基板ホルダー1周で、2周期の
組成変化プロファイルが得られる)。積層膜の積層周期
1周分が、図16の組成変化プロファイル0.5周期分
に相当する(積層周期が20nmの積層膜を成膜した場
合、図16の横軸全体が10nmに相当する)。
【0121】上記図16のデータに基づき、積層膜全体
の組成変化プロファイルが図17のグラフのように得ら
れた。この図17の組成変化プロファイルを見れば、本
発明の組成変調膜を有する積層体が、界面(組成が不連
続な面)を有しないことが理解できよう。
【0122】図18に積層膜全体を測定したEDXデー
タの一例を示す(上段のグラフがAl分布、中段のグラ
フがTi分布、下段のグラフがN分布を示す)。この図
18のデータは、厚さ30nm程度の薄片とした積層体
を、TEM付帯のEDXで分析したものである(TEM
/EDXの分解能は1nm程度であり、積層体を構成す
る各層(化合物層、組成変調層)の膜厚と同程度である
ため、図18のデータの分解能には一定の制限があ
る)。
【0123】測定機器:VG社製、HB501 EDX:KEVEX Super8000 定量トータ
ルシステム エネルギー分散型X線分析計(Si<Li>半導体検出
器、UTW型) EELS:VG社製、ELS−80分光器(エネルギー
分解能:0.56eV)実施例4 (積層膜のTEM観察)表1の試料No.4をTEM
(日立製、商品名:H−900UHR)で観察した画像
を図18に示す(倍率800万倍、画像上の4cmが、
5nmに相当する)。
【0124】図18中、コントラストが明るい部分がA
lN層、暗い部分がTiN層であり、明暗の境界が明確
でない「組成変調構造」が認められる(組成変調周期
4.8nm)。TEM画像上の「粒」1つ1つがほぼ原
子1個分に相当する。TiN層、組成変調層、AlN層
が数層に亙って規則正しく並んでおり、格子整合してい
ることが認められる。
【0125】実施例5 (TEDによる結晶構造解析)表1の試料No.4をT
ED(日立製、商品名:H−900UHR)で分析した
回折パターンを図18(「A」は表面側のパターン、
「B」は表面側のパターン)に示す。この回折パターン
から、積層膜全体としてNaCl型(立方晶)の結晶構
造を有していることが確認された。
【0126】この回折パターンにおいては、中心の点お
よび左右のスポットの周囲にサテライト・パターンが認
められるが、これは周期的な積層構造に対応するパター
ンである。
【0127】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、周期律
表IVa、Va、VIa族元素、Al、Si、およびBから
選択される1種以上の元素(第1元素)と;B、C、
N、およびOから選択される1種以上の元素(第2元
素)とを主成分とし、互いに異なる組成を有する少なく
とも2種の化合物層と;該化合物層間に配置され、厚さ
方向に前記第1元素の組成(at%)が変化する組成変
調層とを含み;該化合物層と組成変調層とが周期的に積
層されてなり;且つ、上記各層間で1周期以上連続した
結晶格子を有することを特徴とする積層体が提供され
る。
【0128】本発明の積層体を被覆層として用いれば、
切削工具、耐摩工具、電気、電子部品、摺動、機械部品
の耐摩耗性、耐熱性、ないし耐食性を著しく向上させる
ことが可能となる。
【0129】本発明の積層体を切削工具(チップ、ドリ
ル、エンドミル等)、耐摩耗工具等の硬質部材の表面コ
ーティング材として用いた場合には、これら切削工具等
の切削性能ないし寿命を格段に向上させることが可能と
なる。
【0130】更には、本発明の積層体を電気・電子部
品、摺動、機械部品の耐摩耗性膜、保護膜として用いた
場合にも、上記切削工具等に適用した場合と同様に、優
れた耐摩耗性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薄膜X線回折パターンの典型的な例を模式的に
示す図である。
【図2】典型的な立方晶(TiN)回折パターンを示す
図である。
【図3】典型的な立方晶(TiN)回折パターンを示す
図である。
【図4】TiN/AlN変調膜の典型的な回折パターン
(単一のパターン)を示す図である。
【図5】ZrN(立方晶)の典型的な回折パターンを示
す図である。
【図6】TiNの回折パターンを示す図である。
【図7】TiN/ZrN変調膜の典型的なパターン(単
一パターン)を示す図である。
【図8】TiN/ZrN変調膜の典型的なパターン(単
一パターンでない)を示す図である。
【図9】本発明の積層体の構造の一態様を示す模式断面
図である。
【図10】本発明の積層体の形成に使用可能な成膜装置
の一態様を示す模式断面図である。
【図11】本発明の積層体の形成に使用可能な成膜装置
(異なるターゲット由来のプラズマの「重なり」あり)
の一態様を示す模式平面図である。
【図12】実施例において積層体の形成に用いた成膜装
置を示す模式平面図である。
【図13】比較例の積層体(組成変調層なし)の形成に
用いた成膜装置(異なるターゲット由来のプラズマの
「重なり」なし)を示す模式平面図である。
【図14】実施例における組成プロファイル分析によっ
て求められた各基板の組成分布(基板位置−Ti/Al
組成比)の一例を示すグラフである。
【図15】実施例における組成プロファイル分析によっ
て求められた膜厚分布(基板位置−膜厚)の一例を示す
グラフである。
【図16】上記組成分布および膜厚分布の分析結果に基
づいて求められた1積層周期の組成プロファイル(膜厚
方向の距離−Ti/Al組成比)の一例を示すグラフで
ある。
【図17】上記組成分布および膜厚分布の分析結果に基
づいて求められた数積層周期の組成プロファイル(膜厚
方向の距離−Ti/Al組成比)の一例を示すグラフで
ある。
【図18】実施例におけるTEM/EDX分析によって
求められたAl、Ti、およびNの膜厚方向の分布を示
すグラフである。
【図19】実施例における高倍率TEM測定によって得
られたTEM画像を示す写真(複製物)である。
【図20】実施例におけるTED測定によって得られた
回折パターンを示す写真(複製物)である。
【符号の説明】
1…基材、2…中間層、3…積層構造、4…表面層、1
1…真空チャンバ、12…基材ホルダー、14a,14
b…ターゲット、15a,15b…プラズマ、16…基
材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 彰彦 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住 友電気工業株式会社 伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 平6−220608(JP,A) 特開 平3−120352(JP,A) 特開 平3−120353(JP,A) 特公 昭59−21387(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 B23B 27/14

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期律表IVa、Va、VIa族元素、A
    l、Si、およびBから選択される1種以上の元素(第
    1元素)と;B、C、N、およびOから選択される1種
    以上の元素(第2元素)とを主成分とする化合物からな
    り、互いに異なる組成を有する少なくとも2種の化合物
    層であって、前記化合物層が、 Ti及びCを主成分とする化合物、 B及びCを主成分とする化合物、 W及びCを主成分とする化合物、 Ti、C及びNを主成分とする化合物、 Ti及びNを主成分とする化合物、 Ti及びBを主成分とする化合物、 Ti、B及びNを主成分とする化合物、 B及びNを主成分とする化合物、 Si及びNを主成分とする化合物、 Al及びNを主成分とする化合物、 Al及びOを主成分とする化合物、 Ti、Al及びNを主成分とする化合物、 Ti、Zr及びNを主成分とする化合物、 Ti、Cr及びNを主成分とする化合物、 Ti、Hf及びNを主成分とする化合物、 Zr及びNを主成分とする化合物、 Cr及びNを主成分とする化合物、 Hf及びCを主成分とする化合物、 Cr、C及びNを主成分とする化合物、 Hf、Al及びNを主成分とする化合物、 Nb及びNを主成分とする化合物、 Nb、Al及びNを主成分とする化合物、 V、Al及びNを主成分とする化合物、 Ti、Zr及びCを主成分とする化合物、 Ti、Cr及びCを主成分とする化合物、 Zr及びCを主成分とする化合物、 Zr、C及びNを主成分とする化合物、 Ti、N及びOを主成分とする化合物、並びに Al、N及びOを主成分とする化合物からなる群より選
    ばれる化合物からなる化合物層と、 該化合物層間に配置され、厚さ方向に元素の組成(at
    %)が変化する組成変調層とを含み、 該化合物層と前記組織変調層とが周期的に積層されてな
    り、且つ、前記組成変調層において結晶格子が歪みなが
    ら連続していることを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 前記化合物層(1層)の厚さが1〜20
    nmの範囲にある請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 前記組成変調層の厚さ方向に、元素の組
    成(at%)が実質的に連続的に変化する請求項1記載
    の積層体。
  4. 【請求項4】 前記組成変調層の厚さが、前記化合物層
    の厚さの1/10〜10である請求項1記載の積層体。
  5. 【請求項5】 前記2種以上の化合物層のうち、少なく
    とも1種の化合物層が、常温、常圧、平衡状態で、他の
    層と異なる結晶構造を有し、積層全体として単一のX線
    回析パターンを有する請求項1ないし4のいずれかに記
    載の積層体。
  6. 【請求項6】 積層体を構成する各層が立方晶または六
    方晶のいずれかの結晶構造を有し、且つ積層全体として
    立方晶のX線回析パターンを有する請求項5記載の積層
    体。
  7. 【請求項7】 前記六方晶構造を有する層が(Tix
    Al1-x )N、(0≦x<0.3)からなる請求項6記
    載の積層体。
  8. 【請求項8】前記立方晶構造を有する層が(Tix ,A
    1-x )N、(0.3≦x≦1)からなる請求項7記載
    の積層体。
  9. 【請求項9】 前記2種の化合物層が、それぞれTiN
    層とAlN層とからなり、且つ前記組成変調層がTiA
    lN層からなる請求項1記載の積層体。
  10. 【請求項10】 全膜厚が5nm〜15μmである請求
    項1記載の積層体。
  11. 【請求項11】 周期律表IVa、Va、およびVIa族元
    素から選択される1種以上の元素と;C、N、およびO
    から選択される1種以上の元素とからなる1種以上の化
    合物を含む中間層が、基材側の表面に配置されてなる請
    求項1記載の積層体。
  12. 【請求項12】 前記中間層の膜厚が0.05〜5μm
    である請求項11記載の積層体。
  13. 【請求項13】 周期律表IVa、Va、およびVIa族元
    素から選択される1種以上の元素と;C、N、およびO
    から選択される1種以上の元素とからなる1種以上の化
    合物を含む表面層が、基材側と反対側の表面に配置され
    てなる請求項1記載の積層体。
  14. 【請求項14】 前記中間層の膜厚が0.05〜5μm
    である請求項13記載の積層体。
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