JP3417461B2 - 大豆蛋白分解物、その製造法及びその利用食品 - Google Patents
大豆蛋白分解物、その製造法及びその利用食品Info
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Description
レルゲンであるβ-コングリシニン且つGly m Bd30Kが分
解された大豆蛋白分解物及びそれを用いた食品に関す
る。
疹、下痢及びじんましん等の異常な過敏反応を生じ、時
として重篤な病的状態となる所謂食物アレルギー患者が
増加している。これらの治療方法として、薬物による対
症療法やアレルゲンとなる原因物質を患者の食餌から取
り除く所謂除去食物療法がある。食物性アレルギーの中
でも卵、牛乳、大豆に含まれる特定の蛋白質が3大アレ
ルゲンとして認識されていることから、除去食物療法を
導入するのが一般的であるが、上記アレルゲンの中でも
大豆蛋白質は、豆腐、凍豆腐、湯葉等といった日本の伝
統的食品やこれを原料として含む広い食品に含まれるこ
と、更には大豆蛋白の機能、例えば乳化性、ゲル形成
性、保水性、保油性、起泡性等といった機能性を利用し
た大豆蛋白利用食品が急増している近年にあっては、除
去食物療法を容易ならざるものにしている。
対するアトピー性疾患をもつ患者から得たIgE抗体に対
して反応性の高い大豆蛋白質成分として、Gly m Bd 30K
を始め、β-コングリシニンのαサブユニットやβサブ
ユニット等と同定されたことが報告されている (J.Nutr.Sci.Vitaminol.,555-565(1991))。
レルギー患者の発病頻度の高いGlym Bd 30Kと称される
蛋白質を大豆から分離或いは分解し、低アレルゲン化す
る試みがなされている。例えば、豆乳からのアレルゲン
除去として特開平7-236444号公報、特開平7-236449号公
報、特開平8-308506号公報のように、Gly m Bd 30Kが豆
乳中の脂質成分と親和性が高く、高い遠心加速度の下で
上清に移行することを利用する方法が開示されている。
また、特開平7-236427号公報、特開平9-37720号公報の
ように特定のpH及びイオン強度で主要貯蔵蛋白質の7Sと
11S画分とGly mBd 30Kの溶解度の違いを利用する方法が
開示されている。
しては特開平6-253758号公報、特開平7-203890号公報、
特開平7-236439号公報、特開平8-56600号公報、特開平9
-23822号公報のように加熱変性を施した大豆や大豆蛋白
にプロテアーゼを作用させる方法が知られている。
離する為には高い遠心加速度が必要なことや7Sと11S画
分とGly m Bd 30Kの分離に高イオン強度が必要で、その
後に脱塩工程が必要とされる為、工業的には難点がある
ことやGly m Bd 30Kに次いでアレルギー患者の発病頻度
の高いβ-コングリシニンが依然残ったままになってい
る。また、酵素によりGly m Bd 30Kを分解する方法では
加熱変性を施した大豆や大豆蛋白にプロテアーゼを作用
させるので、Gly m Bd 30Kだけでなく主要貯蔵蛋白質の
7Sと11S画分ともに分解されてしまい大豆蛋白の食品に
適した物性、例えばゲル形成性等が殆ど失われてしまい
用途が限られてしまう欠点があった。
発明は大豆蛋白の主要アレルゲンであるβ-コングリシ
ニン且つGly m Bd 30Kが分解された低アレルゲン大豆蛋
白分解物及びそれを用いた食品を目的とする。 → 以上の実情に鑑み、本発明は大豆蛋白の主要アレル
ゲンが揃って分解され且つ非アレルゲンが殆ど分解され
ない大豆蛋白分解物及びそれを用いた食品を目的とす
る。
を解決すべく鋭意研究した結果、大豆蛋白にプロテアー
ゼを特定の条件下に作用させることにより、大豆蛋白中
のβ-コングリシニン且つGly m Bd 30Kを選択的に分解
することが出来、目的の大豆蛋白分解物を得ることが出
来る知見を得て、本発明を完成するに至った。
リシニン量に対するグリシニン量の比が5以上且つ大豆
蛋白中の粗蛋白量に対するGly m Bd 30K量の比が0.5
%以下である大豆蛋白分解物である。大豆蛋白中のβ-
コングリシニン量に対するグリシニン量の比が5以上且
つ大豆蛋白中の粗蛋白量に対するGly m Bd 30K量が0.
5%以下で、0.22Mトリクロロ酢酸可溶窒素率が5〜30%
である大豆蛋白分解物が好ましい。又、本発明は、上記
の大豆蛋白分解物を蛋白原料の一部または全部として含
有する大豆蛋白分解物利用食品である。又、本発明は、
低変性大豆蛋白を50℃を越え90℃未満及び枯草菌(納豆
菌)に由来するプロテアーゼで分解することを特徴とす
る大豆蛋白分解物の製造法である。低変性脱脂大豆のNS
I(窒素可溶係数)は60以上が好ましい。分解後の反応
液のTCA%が5〜30%となるように分解することが好ま
し。pH=5〜10で5分〜2時間分解することが好ましい。
蛋白の主要アレルゲンであるβ-コングリシニン且つGly
m Bd 30Kが分解され低減されている。
ニンとβ-コングリシニンは、例えば米国産の一般的な
大豆である場合、通常その成分比はグリシニン/β-コ
ングリシニン比=1.3〜1.5であり、その加工製品もその
成分比を保っている。
シニンが選択的に分解されているので、その比は5以上
である。
量(ケルダール窒素量×6.25)に対して通常約2%存在
するが、本発明の大豆蛋白分解物ではGly m Bd 30Kが選
択的に分解されているので、その粗蛋白量に対して0.5
%以下、好ましくは0.2%以下である。
法としては、大豆蛋白をSDS-電気泳動法により各成分に
分離することで評価できる。β-コングリシニン及びグ
リシニンの場合、SDS-電気泳動ゲルをクマシーブルー染
色して、β-コングリシニン、グリシニン及びその他の
蛋白のバンドの濃淡をデンシトメーターで測定し、全エ
リア面積に対するβ-コングリシニン及びグリシニンの
エリア面積比からグリシニン/β-コングリシニン比を
求めることができる。
蛋白をSDS-電気泳動法により分離したゲルからGly m Bd
30K蛋白をPVDF(ポリビニリジンジフルオライド)膜に
転写し、Gly m Bd 30Kのモノクローナル抗体を用いるEC
L法(Amersham製)により検出(ペルオキシダーゼによ
る蛍光発光をX線フィルムで感知)する方法が感度良く
測定可能である(特開平7-236427号公報の方法を参
照)。そしてその含量は、精製したGly m Bd 30K蛋白
(Gly m Bd 30K蛋白の精製は、T.Ogawa et.al.,Biosci.
Biotech.Biochem.,57,1030(1993)を基に実施できる)を
用い、各粗蛋白質量をSDS-電気泳動し上記方法で検出し
たバンドの濃淡をデンシトメーターで測定したバンドエ
リア面積を基に検量線を作成すると、Gly m Bd 30K蛋白
の粗蛋白質量に対するGly m Bd 30K蛋白のバンドエリア
面積が比例し、Gly m Bd 30K蛋白量が算出できる。そし
て、粗蛋白質量既知の大豆蛋白を上記方法で検出し、Gl
y m Bd 30K蛋白のバンドエリア面積を調べると検量線か
らGly m Bd 30K蛋白量が算出でき、粗蛋白質に対するGl
y m Bd 30K量(以下Gly m Bd 30K%とする)が求められ
る。
トリクロロ酢酸可溶窒素率(以下TCA%とする)では5〜
30%、好ましくは7〜20%程度の分解がされている。
白原料の一部または全部として含有する大豆蛋白分解物
利用食品である。
要アレルゲンであるβ-コングリシニン且つGly m Bd 30
Kが分解され、アレルゲンではないグリシニンが殆ど分
解されていないので、従来大豆蛋白が用いられてきた食
品一般に広く使用することが出来る。
油揚げ、がんもどき等の他、ハム、ソーセージ、ハンバ
ーグ、ミートボール等の畜肉製品、かまぼこ、揚げかま
ぼこ、竹輪といった水産練り製品や惣菜等、プロテイン
ドリンク、育児粉乳等の飲料等が例示される。これら大
豆蛋白分解物を使用した食品は、含まれている大豆蛋白
の量にもよるが、本発明の大豆蛋白分解物以外のこれま
での大豆蛋白を使用した食品中に含まれる大豆アレルゲ
ンの10%以下にまで低減されているので、大豆食物性ア
レルギー患者への除去食物療法に適している。
例を以下に記載する。先ず、低変性大豆蛋白を特定の温
度範囲及び特定のプロテアーゼで分解することで大豆蛋
白の主要構成成分のグリシニンを殆ど分解させずに、大
豆蛋白の主要アレルゲンであるβ-コングリシニン且つG
ly m Bd 30Kのみを選択的に分解する方法が挙げられ
る。
を越え90℃未満、好ましくは60〜80℃に於いて酵素反応
を行うことが適当である。この温度以下では、β-コン
グリシニン、Gly m Bd 30Kの分解度が低く、またこれ以
上或いは過度に加熱された変性大豆蛋白ではβ-コング
リシニン、Gly m Bd 30Kのみならずグリシニンも分解さ
れ、大豆蛋白の主要アレルゲンであるβ-コングリシニ
ン且つGly m Bd 30Kのみを選択的に分解することが出来
なくなり、大豆蛋白が本来有している機能性、例えばゲ
ル形成性等が殆ど失われてしまう。従って、使用される
大豆蛋白としては大豆、大豆蛋白を主体とする全脂豆
乳、脱脂豆乳、濃縮大豆蛋白、分離大豆蛋白等である
が、蛋白変性を伴わないまたは低変性にとどめた加工処
理を行った大豆加工品が好ましく、品種、産地等には限
定されない。一般的には、大豆をN-ヘキサンを抽出溶剤
として低温抽出処理を行った脱脂大豆が原料として適当
であり、特にNSI(窒素可溶係数)が60以上、好ましく
は80以上の低変性脱脂大豆から水抽出した脱脂豆乳や濃
縮大豆蛋白、分離大豆蛋白が好適に用いられる。
満、好ましくは60〜80℃に於いて蛋白質分解活性を有す
る酵素または酵素剤であることが必要で、とりわけ枯草
菌(納豆菌)に由来するプロテアーゼであるズブチリシ
ンや市販プロテアーゼであるプロチン(商品名;大和化
成社製)、プロレザー(商品名;天野製薬社製)等の枯
草菌由来のプロテアーゼが好適に使用される。これら枯
草菌(納豆菌)に由来するプロテアーゼは上記の反応温
度で大豆蛋白の主要アレルゲンであるβ-コングリシニ
ン且つGly m Bd 30Kを選択的に分解出来る。
実施される。例えば分離大豆蛋白を製造する場合では、
低変性脱脂大豆から水抽出した脱脂豆乳を等電点沈殿し
て得た酸沈殿カードに加水・中和した懸濁液を50℃を越
え90℃未満、好ましくは60〜80℃に調整し、プロテアー
ゼを加え、分解反応を実施する。反応終了後、反応液を
殺菌(酵素の失活も兼ねる)し、必要あれば乾燥を行
う。また、反応液をグリシニンの等電点であるpH6付近
で分画、沈殿画分を採取し、加水・中和・殺菌し、必要
あれば乾燥を行うこともできる。プロテアーゼの添加量
や反応pHや反応時間は、β-コングリシニン且つGly m B
d 30Kの分解程度から決定すればよいが、分解後の反応
液のTCA%は5〜30%、好ましくは7〜20%程度の分解が
目安となる。一般的には、プロテアーゼの添加量は大豆
蛋白懸濁液の固形分に対して、0.001〜1%、好ましくは
0.01〜0.5%の範囲で、反応pHも用いる酵素剤の至適pH
や安定pHから、通常pH=5〜10、好ましくはpH=6〜9
で、5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間反応させれば
よく、プロテアーゼを固定化したカラムに通液すること
で連続反応も実施できる。
的に説明するが、本発明がこれらによってその技術範囲
が限定されるものではない。
数;NSI>80)10Kgに10倍量の水を加え、室温、pH7で1
時間抽出後、遠心分離し、脱脂豆乳95Kgを得た。これに
塩酸を加え、pH4.5に調整し、遠心分離してホエーを除
き酸沈殿カード10Kgを得た。該酸沈殿カードに加水し、
20%NaOHでpH7に調整後、懸濁液を70℃に調整して、懸
濁液中の固形物重量当たり0.2%のプロチン(商品名;
大和化成社製)を加え、30分酵素反応を行った。該反応
液を140℃、15秒加熱殺菌した溶液を噴霧乾燥して大豆
蛋白分解物3.5Kgを得た。対照として、上記製造工程で
プロチンを加えて行う酵素反応を除いた方法で大豆蛋白
を得た。 実施例1 上記製造例1で得た大豆蛋白分解物10マイクログラムを
SDS-電気泳動してゲルをクマシーブルー染色してβ-コ
ングリシニンとグリシニンの各バンドの濃淡をデンシト
メーターで定量し、グリシニン/β-コングリシニン比
を求めた。同様に、大豆蛋白分解物2マイクログラムをS
DS-電気泳動したゲルをPVDF膜に転写し、Gly m Bd 30K
のモノクローナル抗体を用いてGly m Bd 30K量を検出・
定量した。グリシニン/β-コングリシニン比=12.7、G
ly m Bd 30K%=0.1%、TCA%=13%であり、β-コング
リシニン、Gly m Bd 30Kのみが低下していた。 実施例2 上記製造例1で得た大豆蛋白分解物8部、水91.7部、グ
ルコノデルタラクトン0.3部を混合、95℃、30分加熱し
て豆腐を調製した。製造例1対照の大豆蛋白で同様に調
製した豆腐に比べ、遜色ない食感であった。 実施例3 上記製造例1で得た大豆蛋白分解物6部、魚肉すり身30
部、大豆油29部、味剤5部、水30部をフードカッターで
混合し、ケーシングチューブに詰め、90℃、30分加熱し
てソーセージを調製した。製造例1対照の大豆蛋白で同
様に調製したソーセージに比べ、遜色ない食感であっ
た。 比較例1及び比較例2 上記製造例1の製造工程で酵素分解の反応温度を37℃と
して行った場合(比較例1)、或いは上記製造例1の製
造工程で酸沈殿カードに加水し、pH7に調整後した懸濁
液を酵素反応に先だって100℃、10分加熱処理をおこな
い、引続き製造例1と同様に酵素反応を行った場合(比
較例2)でそれぞれ大豆蛋白を調製した。実施例1と同
様にして分析したところ、比較例1の大豆蛋白ではグリ
シニン/β-コングリシニン比=1.3、Gly m Bd 30K%=
1.8%、TCA%=6%であり、比較例2の大豆蛋白ではグ
リシニン/β-コングリシニン比=2.6、Gly m Bd 30K%
=0.4%、TCA%=35%であった。 比較例3 比較例2で得た大豆蛋白分解物を用いて、実施例2と同
様の方法で豆腐を調製したが、脆くて食せない状態であ
った。 比較例4 比較例2で得た大豆蛋白分解物を用いて、実施例3と同
様の方法でソーセージを調製したが、製造例1対照の大
豆蛋白で同様に調製したソーセージに比べ、非常に脆い
ものであった。 比較例5 上記製造例1の製造工程で酵素分解に用いるプロテアー
ゼをパパイン(日本バイオコン社製)0.05%の添加に変
更した以外は製造例1と同様行って大豆蛋白分解物を調
製した。実施例1と同様にして分析したところ、比較例
5の大豆蛋白ではグリシニン/β-コングリシニン比=1
3.1、Gly m Bd 30K%=0.6%、TCA%=13%でありGly m
Bd 30Kの低下がやや少ないものであった。
ンであるβ-コングリシニン且つGly m Bd 30Kが分解さ
れた大豆蛋白分解物及びそれを用いた食品が供給可能と
なり、大豆食物性アレルギー患者への除去食物療法に適
した蛋白源や食品としての利用が可能になったものであ
る。
Claims (7)
- 【請求項1】大豆蛋白中のβ-コングリシニン量に対す
るグリシニン量の比が5以上且つ大豆蛋白中の粗蛋白量
に対するGly m Bd 30K量の比が0.5%以下である大豆
蛋白分解物。 - 【請求項2】大豆蛋白中のβ-コングリシニン量に対す
るグリシニン量の比が5以上且つ大豆蛋白中の粗蛋白量
に対するGly m Bd30K量が0.5%以下で、0.22Mトリク
ロロ酢酸可溶窒素率が5〜30%である大豆蛋白分解物。 - 【請求項3】請求項1又は請求項2記載の大豆蛋白分解
物を蛋白原料の一部または全部として含有する大豆蛋白
分解物利用食品。 - 【請求項4】低変性大豆蛋白を50℃を越え90℃未満及び
枯草菌に由来するプロテアーゼで分解することを特徴と
する大豆蛋白分解物の製造法。 - 【請求項5】低変性脱脂大豆のNSI(窒素可溶係数)が6
0以上である請求項4の製造法。 - 【請求項6】分解後の反応液のTCA%が5〜30%となるよ
うに分解する請求項4又は請求項5の製造法。 - 【請求項7】pH=5〜10で5分〜2時間分解する請求項4
〜6のいずれかの製造法。
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|---|---|---|---|
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| JP35395897A Expired - Fee Related JP3417461B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 大豆蛋白分解物、その製造法及びその利用食品 |
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1997
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| JPH11178512A (ja) | 1999-07-06 |
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