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JP3436792B2 - 高拡散係数流体使用によるケーブルの絶縁耐力増強法 - Google Patents
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JP3436792B2 - 高拡散係数流体使用によるケーブルの絶縁耐力増強法 - Google Patents

高拡散係数流体使用によるケーブルの絶縁耐力増強法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配電ケ−ブルの絶縁耐
力増強法に関するものである。さらにに詳しくは、本発
明は、配電ケ−ブルの高分子絶縁材において液体トリ−
イング剤と、50℃で少なくとも1x10-7cm2/秒
の拡散係数をもった水−反応性化合物から成る液体混
【0002】
【従来の技術及び発明を解決しょうとする課題】配電ケ
ーブルに伴う主な問題点は、その絶縁材の進行劣化に基
因する長期間に渡る破損の傾向である。絶縁材料が水分
と電界に同時にさらされると、「水トリーイング(wa
ter treeing)」が見られる。このメカニズ
ムは電気トリーよりも著しく漸進的であって、配電ケー
ブルの絶縁特性に影響を与える損傷をもたらすには長期
間かかる。しかしながら、水トリーイングは電気トリー
の形成に必要な電界よりもかなり低い電界で生じるか
ら、配電ケーブルの有効寿命を短かくする主な原因と考
えられる。
【0003】既存の地下ケーブルの有効寿命を伸ばすた
めの産業界の要求に対する解答の1つとして、ある種の
トリー抑制剤をケーブル内部に導入して絶縁性能を部分
的に回復できることが見出されている。
【0004】本願発明と同一出願人による米国特許第
5,200,234号は、使用中の電気ケーブルの修復
法を開示し、最初にケーブルを周囲導管内に配置し、次
にその導管とケーブルの間の空間にシラントリーイング
防止剤と絶縁油の均一混合体を充てんしている。絶縁油
は、トリーイング防止剤と完全に混合しケーブルの高分
子絶縁材において5重量%以下の溶解度を有する。
【0005】このケーブルの改善法は有効であるが、ケ
ーブルを完全に処理するのに長い暴露時間を要する。そ
の結果、この修復法を利用しないで劣化したケーブルを
完全に取り替えると同等の経済的負担がかかる。
【0006】本出願人は、米国特許第4,766,01
1号および第5,200,234号の方法を広範囲に研
究して、それらの方法がこれまで開示されなかった現象
によって限定されることが判明し、該特許の示唆する流
体はケーブル絶縁材の極めて非対称的処理をもたらすこ
とがわかった。以下に記載するこの非対称性は、被処理
ケーブルの絶縁破壊耐力の低レベルと関係する。この非
対称性の発見のために、本発明者らは、この方法の欠点
を解消して被処理ケーブル絶縁材における絶縁特性増強
流体の極めて対称的な分配を達成する方法をここに教示
する。その上、本法はケ−ブルの全処理時間も著しく短
縮する。
【0007】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、高分
子絶縁材に包まれた中心より線を有し、該より線の領域
に空隙を有する電気ケ−ブルにおける前記空隙に、 (A)少なくとも1種のトリ−イング防止剤と、 (B)前記高分子絶縁材において50℃で少なくとも1
×10-7cm2/秒の拡散係数を有する水−反応性化合
物、 から成り、前記成分(A)と(B)は異なる成分であ
り、25℃で<100cP(mPa.s)の初粘度を有
する前記成分(A)と(B)の流体混合物を供給するこ
とから成ることを特徴とする電気ケ−ブルの絶縁特性の
増強法に関する。
【0008】
【作用】本発明のために、使用したケーブルは一般に地
下住宅配電線に使用されるタイプのものであって、典型
的に絶縁材に包まれた銅又はアルミニウムより線の心線
からなる。周知のように、一般にその導体より線と絶縁
材の間に配置された半導電性高分子導体シールド並びに
絶縁材を被覆する半導電性絶縁シールドも設けられてい
る。後者のシールドは通常ワイヤ又は金属箔接地ストリ
ップで包装され、任意に高分子保護外ジャケットに包ま
れている。その絶縁材は、ポリエチレン、ポリエチレン
とプロピレンの共重合体又は酢酸ビニルのようなポリオ
レフイン重合体が望ましい。ここでの用語「使用され
た」とは、電気負荷の下にあって長期間エレメントに暴
露されてきたケーブルを意味する。かかるケーブルの場
合のケーブル絶縁材の電気的完全さは水トリーの形成の
ためにある程度劣化している。しかしながら、本発明の
方法を用いて新しいケーブル又は使用されたケーブルの
絶縁特性を高めることも意図している。
【0009】長期間、例えば、7〜15年間ケ−ブル
使用した後、本発明の絶縁増強流体を導体の空隙に導入
する。或いは、ケ−ブルの代表的な部分を取り出し絶縁
破壊試験をして、特定の絶縁材が本法のよい候補になる
か否かを測定する。
【0010】本発明の方法は、本発明と同一出願人によ
る米国特許第4,766,011号に記載された方法と
同一の方法で実施することができる。この特許は、空隙
にトリーイング防止剤を供給して、該流体をその空隙内
で重合させることによってケーブルの絶縁増強法を教示
している。要約すると、その方法は、導体の空隙に絶縁
増強流体を周知方法で充てんすることからなる。その流
体を次にーブル内に適当な期間放置させ、その間にケー
ブルの高分子絶縁材中に拡散させて水トリーを充てんさ
せることによってケーブルの絶縁耐力を増強させる。そ
の処理に必要な時間は、ケーブルの寸法(絶縁材の厚
さ)、ケーブル構成要素の水含量および処理温度のよう
な変数の関数である。ケーブルが細い程時間は短かく、
高電源負荷で動作する。当業者は次の開示および日常実
験に基いて特定の状態に対する最適の条件を容易に決定
できる。
【0011】既知のように、本法はさらに、導体の空隙
部に存在する水を絶縁増強流体導入前に除去又はその量
を減少させる工程からなる。この工程で、空気、窒素、
エタノール又はイソプロパノールのような乾燥気体又は
液体をケーブル内部に流して水分を物理的に押し出すか
又は水と混合させて物理的除去を促進する。例えば、高
速度の乾燥空気流を使用して空隙に蓄積されていた大部
分の水を吹き出す。
【0012】前述のように、米国特許第4,766,0
11号及び第5,200,234号による流体(例え
ば、フエニルメチルジメトキシシラン)を使用した方法
の実施は、ケーブル絶縁材に流体の非対称的分配をもた
らす。この非対称性は、ケーブルをその縦軸に直角に切
断したときに絶縁横断面における流体の不規則形状の浸
透フロントとして現われる。ここでの用語「浸透フロン
ト」は、未処理ポリマ−と少なくとも若干量の流体が拡
散したポリマーとの間の境界として定義される。この非
対称性は流体が浸透したポリマーの淡色化として観察さ
れる。或いは、後述する赤外線マイクロ地図作成によっ
て浸透フロントの正確な測定ができる。従って、かかる
流体での処理の初期段階では、所定の半径方向に沿った
浸透は少ししか又は全くない。これらの領域は、その処
理において弱い環を示し、そこでは絶縁破壊が絶縁増強
流体によって広範囲に浸透された領域よりも生じやす
い。十分な処理時間を与えると、流体は多分絶縁材の全
てに拡散するが、処理プロセスを通じて絶縁増強流体の
分配(分布)ができるだけ対称的であるのが有利である
ことは明白である。
【0013】本法の発明者らは特定の理論又は機構によ
って拘束しようと思わないが、観察される非対称の度合
はケーブル製造中のより線の詰まり具合に関係する。従
って、ケーブルの製造時にその導体より線は、シールド
と絶縁材を押し出す前に多重組のローラ間を移動する際
に不均一な圧力を受ける。これは、この領域でより線に
流体が少ししか浸透できないようなより線の著しく詰っ
た状態をもたらす。一方、かかる詰った状態が生じない
場合には、より線は比較的ゆるい構造となって、絶縁材
中への拡散が妨げられない。さらにこの問題を複合させ
ると、導体シールド内の導体より線間の狭い領域に吸収
された水は絶縁増強流体の浸透を抑制する恐れもある。
【0014】上記の非対称性は、(A)従来のトリ−イ
ング防止剤および(B)50℃で少なくとも1×10
−7 cm2 /秒の拡散係数をもった水−反応性化合物の
均一混合物からなる絶縁増強流体を用いることによって
著しく減少又は排除することができる。その流体はケー
ブルの空隙の比較的小さい横断面領域を流通しなければ
ならないから、この流体の初粘度は25℃で約100c
P(mPa・s)以下、望ましくは20cP以下にする
必要がある。その粘度がより高いと、該流体のケーブル
充てんが困難および/または余りにも時間がかかり過ぎ
となる。さらに、絶縁増強流体はケーブルの構成材料と
完全に相容性でなければならない。同様に、これは付随
する水と生成する反応生成物にも適用される。従って、
例えば該流体はアルミニウムおよび銅導体と相容性でな
ければならず、導体又は絶縁シールドと過剰な膨潤又は
高分子絶縁材と相互作用をしてはならない。その絶縁増
強流体は、非常事態では130℃の高温にもなるが一般
に90℃以下である導体の動作温度で約207kPa
(キロパスカル)以下の蒸気圧を有することが望まし
い。 従来のトリーイング防止剤(A)は、高分子絶縁
材に配合したときに高分子絶縁材において水トリーを防
止することが知られている化合物およびそれらの混合物
から選ぶことができる。かかる化合物は芳香族ケトン
(例えば、アセトフエノン)、脂肪族アルコール(例え
ば、ドデカノール)およびオルガノアルコキシシランで
あって、成分(A)として使用できる適当なトリーイン
グ防止剤の範囲を示す。成分(A)はケーブルの絶縁材
において50℃で少なくとも1×10 8 cm2 /秒そ
して1×10−7 cm2 /秒以下の拡散係数をもつこと
が望ましい。 また、成分(A)は拡散後ケーブル絶縁
材において水と反応して重合できることが望ましい。こ
れは処理の寿命を増す傾向にあって、絶縁増強流体の永
続的保守の必要性をなくする。かかる系は多くの特許文
献に開示されており、例えば、米国特許第4,144,
202号;第4,212,756号;第4,299,7
13号;第4,332,957号;第4,400,42
9号;第4,608,306号および第4,840,9
83号を参照されたい。
【0015】特に望ましいシラン・トリーイング防止剤
は米国特許第4,766,011号に記載されている。
この化合物は、一般式(I) (RO)SiAr(4 −x−y) (I) 〔式中のRは炭素原子数が1〜6のアルキル基、R′は
炭素原子数が1〜6のアルキル基、Arはフエニルおよ
びベンジル基から成る群から選んだ芳香族基、xは1、
2又は3、yは0、1又は2そして(x+y)3であ
る。〕で表される。この種の特に望ましいシランはフエ
ニルトリメトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラ
ン、フエニルメチルジエトキシシランおよびフエニルメ
チルジメトキシシランを含み、特に後者が最適である。
【0016】本発明の水−反応性化合物(B)は、成分
(A)と異なる低分子量の液体であって、水と反応し、
50℃のケーブル絶縁材において少なくとも1×10
−7 cm2 /秒の拡散係数を有する。この成分の拡散係
数が規定される値よりかなり低いと、処理時間が長くな
るのみならず、前記ケーブルにおける流体の非対称性
が、例えば、30〜120日と適当な処理時間の場合に
増す。
【0017】成分(B)はトリアルキルアルコキシシラ
ン、ジアルキルジアルコキシシラン又はオルガノホウ酸
塩から選ぶ。成分(B)は一般式R1 C(OCH3 3
(式中のR1 は水素又はメチル基である)を有するオル
トエステルにすることもできる。また、成分(B)は、
一般式R3 4 C=C(OR5 )R6 (式中のR3 、R
4 およびR6 はそれぞれ水素又は炭素原子数が1〜3の
アルキル基から選び、R5 はSiR7 3 (式中のR7
炭素原子数が1〜2のアルキル基である)である)のエ
ノール・エーテルにすることもできる。上記の流体をポ
リエチレンのようなポリマー絶縁材料に拡散させると、
被処理材料中のトリーの形成が対照品又はその流体が水
と反応しないときと比べて抑制されることがわかった。
適当な水反応性化合物の特定例およびそれらの低密度ポ
リエチレンにおける50℃における拡散係数は次の通り
である: Me3 Si(OMe) (D=2.4×1
−7 cm2 /s) (MeO)3 CH (D=1.7×1
−7 cm2 /s) (MeO)3 CCH3 (D=1.0×1
−7 cm2 /s) (MeO)3 B (D=2.7×1
−7 cm2 /s) Me2 Si(OMe)2 (D=1.4×1
−7 cm2 /s) CH2 =C(Me)−OSiOMe3 (D=1.5×1
−7 cm2 /s) 絶縁増強流体が水との反応時にオリゴマーを生成する化
合物であるときは、この化合物は低い水当量(水1モル
と反応するのに必要な化合物の重量と定義される)を有
することが望ましい。この採択は、オリゴマーが単量体
よりもかなり低い拡散係数を有するという観察およびそ
の意図が、より多くの流体が絶縁材にできる限り迅速に
浸透してそこの水と反応するように導体領域におけるオ
リゴマー化の程度を限定することであるという認識によ
って示唆される。
【0018】
【実施例】次の実施例は本発明の方法をさらに説明する
ためのものであって、特許請求の範囲に記載した本発明
を限定するものではない。実施例における部およびパー
セントは全て重量を基準にし、測定は特にことわらない
限り全て25℃で行った。実施例1 次の構造のケーブルを使用して表1に示した各種流体の
評価を行った:アメリカ線番号1/0アルミニウムより
線(単一ストランド直径0.19cm)、押出半導体導
体シールド、4.375mm(175mils)の橋か
けポリエチレン絶縁材、押出半導体絶縁シールドおよび
スズめっき銅同軸中性ストリップ。このケーブルを15
kV(8.7kV接地)定格とし、環境温度の水に入れ
て3.5年間老化させた。この老化過程中に、そのケー
ブルを20kV(60HzAC)に付勢し、導体領域に
水も添加して老化プロセスをさら加速させた。
【0019】その老化ケーブルを27.4m長さの部分
に切断し、該各部を次の方法に従って表1に示した液体
で処理した(対照品として、未処理部分を使用した)。
それぞれの場合に、その流体にチタン酸テトライソプロ
ピル触媒0.2重量%を添加した。化学構造の部分を表
わすために次の記号を使用する:Ph:フエニル基、M
e:メチル基、Et:エチル基、Vi:ビニル基、そし
てAcO:アセトキシ基。
【0020】
【表1】 最初に導体の空隙をイソプロパノールで洗浄して、そこ
から水分を除去した。2つの空隙容積に等しい体積のイ
ソプロパノールを用いて、該容積の1つをケーブルの導
体に約20時間残したままにした。次にその導体の空隙
内に流体を注入した。再び、その容積の2倍の流体を使
用してイソプロパノールを洗浄除去した。次に最終の流
体処理をその空隙に導入しケーブル切断部の各端部にお
ける溜め(リザーバ)によってそこに保持した、その溜
めはヘリウム・ブランケットを用いて83kPaのゲ−
ジ圧力に加圧した。この状態を処理の最初の60日間維
持し、その後溜めの流体を排出させ、大気圧下でヘリウ
ムでおおった。ケーブルの空隙に流体を充てんした後、
ケーブルを再び20kV(60HzAC)で付勢し、環
境温度の水中に6ケ月入れた。
【0021】6ケ月の終りに、各ケーブル部分を5つの
等試験長に切断して、各々を交流(60Hz)の絶縁破
壊試験にかけた。その試験は絶縁破壊が生じるまで5分
毎に10%ずつ印加電圧を上げることによって行った。
これらの試験結果を表2に示す、統計的に計算した破壊
耐力はワイブル分布に基いてそれぞれ13、50および
87%の確率で与えられる。
【0022】
【表2】 別の実験で表1の各流体の拡散径数をポリエチレンおけ
る種々の温度で測定した。50℃での代表的データを表
3に示す、そして流体10の冪指数は、工学形態、例え
ば、3.6e−8は3.6×10−8 を示すよう書いて
ある。この表はアレーニウス・パラメーターも示し、そ
れは式D=A10−Q/T(式中のAはアレ−ニウス係
数、Tは温度(°Kである)によって温度間隔20〜7
0℃における拡散係数を計算するのに使用することがで
きる。
【0023】
【表3】 50%の確率におる絶縁破壊(表2から)を各種流体の
拡散係数の対数(表3から)の関数として図1にプロッ
トする。水と反応しない流体は全てトリー形成の抑制に
関して劣ることが示されたので、このプロットから削除
した。流体6および10も、アルミニウム導体と相互に
反応して導体領域内にガスを生成することが観察された
ので図1から除去した:従って、これらの流体は本法に
は使用できなかった。図1のデータを使用して変数に関
して次の最小2乗一次方程式を得た:50%破壊耐力=
253.9(log D)+2,871 (式中のDは拡散係数そして計算した相関係数(r)は
0.73である)。
【0024】図1から、水−反応性流体の拡散係数と老
化ケーブルの絶縁耐力増強能力との間には良好な対応が
あることがわかる。
【0025】実施例2 開始時点で既知寸法の欠陥をもったポリエチレン試料に
水トリーを成長させた。ポリエチレンの各試料を6mm
厚さの平底をもった低壁カップの形に成形した。このカ
ップは電解液を保持するために直径70mm、高さ16
mmの壁を有した。そのカップ底部の内表面に特殊な針
で3.2mmの深さに穴をあけ、その針を回収すること
によって擬似欠陥を作った。その針は直径が1mm(+
0、−0.03mm)チップ角が30°そしてチップ半
径が3±1μmでった。統計分析のために1つの試料に
かかる欠陥を合計16ケ所正方形のパタンに配列して作
った。 かかる擬似欠陥を含む各カップを表4に示した
流体で50℃で合計7日間浸漬することによって処理し
た。各カップは次にNaCl電解質の飽和水溶液を部分
的に充てんして、この電解質の若干量を含むガラス皿に
浸漬した、その2つの電解質部はポリエチレンのカップ
の壁によって相互に隔離されている。カップの電解質と
ガラス皿の電解質との間に5000ACボルト、300
0Hzの電位をかけた(後者は接地電位に維持した)。
【0026】室温で100時間後、欠陥領域をミクロト
ームにかけ、メチレン・ブルー染料で染色して得られた
トリーを現わし、その長さを光学顕微鏡で測定した。そ
れらの結果を表4に示す、トリーの長さの標準偏差も示
す。
【0027】
【表4】 表4から、アセトフエノン、水酸基末端シロキサンおよ
びドデカノールのような水と反応しない流体は未処理の
対照品と比較してトリーの形成を抑制できるが、それら
の性能は水反応性物質から得たものより著しく劣ること
がわかる。
【0028】実施例3 実際の電界下で20年間老化させた橋かけポリエチレン
絶縁ケーブル(15kV定格)を所定長さの切片に切断
した。各切片は、絶縁増強流体を導体の空隙に注入し、
その流体を圧力69kPa(10psig)、温度50
℃に20日間維持することによって処理した。使用した
流体は、(a)フエニルメチルジメトキシシラン(米国
特許A−第4,766,011号に開示の望ましい流
体);および(b)ジメチルジメトキシシラン30重量
%とフエニルメチルジメトキシシラン70重量%の混合
物;および(c)トリメチルメトキシシラン30重量%
とフエニルメチルジメトキシシラン70重量%の混合物
であった。
【0029】これらの流体の各々に、ケ−ブル切片の処
理直前に0.2重量%のチタン酸テトライソプロピル
(TIPT)触媒を添加した。
【0030】上記処理を完了してから、そのケーブル切
片を直角方向に等しく切断し、絶縁材における各流体の
浸透度を赤外線マイクロ地図分析によって測定した。こ
の方法に従って、ケーブルの長さに直角にその断面を薄
く切断することによってケーブルの絶縁材を半径方向に
走査し、フーリエ変換赤外(FTIR)顕微鏡を使用し
て1260cm−1 での吸光度を測定した。この吸収
は、もっぱらシランのSi上のメチル基の延伸変形のた
めであって、絶縁材中の所定点おけるシラン濃度に関係
する。ケーブルの各断面について該半径方向の走査を1
2回行った(すなわち、円周方向30°増分で行う)。
それぞれの場合に、処理用流体がもはや検出されなかっ
た半径方向の距離を記録した、これらの点が流体の浸透
フロントを画定する。このデータを表5に示す。ケーブ
ル絶縁材の外半径は約17,969μmそして内半径は
約13,589μmであった。
【0031】
【表5】 図2は上記ーブルの横断面を示し、流体(a)のポリエ
チレン絶縁材への拡散を示す。この図はケーブル(1
0)を示し、該ケーブルは10番のアルミニウムより線
61本(5)からなる導体、該導体を被覆する導体シー
ルド(6)および内面(9)と外面(13)を有して前
記導体シールドを被覆する絶縁材(12)から成る。こ
の図において、表5に示した流体の浸透度は黒丸点
(8)で示す。黒丸点(8)を結ぶ線は浸透フロントを
示し、領域(7)は絶縁増強流体が拡散した絶縁材(1
2)の部分を示す。同様に、図3および図4は、それぞ
れ上記流体(b)および(c)の浸透形状を示す。これ
ら後の2つの図において、導体と導体シールドはわかり
易くするために削除されている。
【0032】図2および表5から、流体(a)の浸透フ
ロントが極めて非対称的であることがわかる。確かに、
この流体は半径方向の走査の中の少なくとも2回は検出
もされなかった。かかる浸透が少ない又は全くない領域
は絶縁の完全性において弱い環を示し、そこでは絶縁破
壊が付勢ケーブルで生じ易い。これに対して、図3は同
一条件下で本発明の方法に従って流体(b)を使用して
処理したケーブルは極めて対称的な浸透フロントを有す
ることを示す。この場合、全ての半径方向が処理流体の
少なくともいくつかの浸透を示し全体の浸透が著しかっ
た。この効果は流体(c)を使用してケーブルを処理し
たときにさらに著しかった。図4に示したように、流体
は絶縁材に完全に浸透して対称的な「フロント」を与
え、ケーブル絶縁材の外周と一致した。
【0033】実施例4 約23年間電界にあった3相(それぞれ1,000kc
mil,15kV定格の橋かけポリエチレン絶縁材、6
1本のストランド・アルミニウム導体)からなるフイ−
ダ・ケーブルを取り出して、従来技術のトリーイング防
止流体で処理した。その導体の侵入型空隙部をメタノー
ルで洗浄し、フエニルメチルジメトキシシランを導入
し、ケーブルを使用したまま100日間そのままにし
た。この処理後、各相のケーブルの絶縁破壊試験を行っ
た。各相もケーブルの同じ長さの場所で直角方向に切断
して比較した。目視検査時に、各相の横断面が非対称的
な浸透フロントを有することが観察された。前記のマイ
クロ地図化法を用いて、各横断面の4つの半径方向(す
なわち、90°間隔)を走査した。それぞれの半径方向
に沿った種々の点におけるフエニルメチルジメトキシシ
ランの量の定量的測定をこの流体の既知濃度を含有した
ポリエチレン試料を使用して前もっての検定に基いて行
った。これらの実験結果を相1〜相3についてそれぞれ
図4〜図7にグラフで示す。これらの図において、重量
/体積%(g/cm3 ×100)として示した流体の濃
度が、0、90、180および270度における導体シ
ールドからの半径方向の距離(1mil=0.025m
m)に対してプロットされている。相1の場合の流体の
浸透は、相2又は相3の場合よりも各半径方向に沿って
かなり大きいことがわかる。この浸透度および対称性の
改善は3相の絶縁破壊強さと直接に相関することがわか
った、それらの値はそれぞれ284(相1)、196
(相2)および202(相3)ボルト/ミルである。
【図面の簡単な説明】
【図1】50℃における処理用流体の拡散係数(対数)
の関数として被処理ケーブルの絶縁破壊応力(50%確
率)を示すグラフである。
【図2】フエニルメチルジメトキシシランで処理したケ
ーブルの横断面図である。
【図3】フエニルメチルジメトキシシラン70重量%と
ジチルジメトキシシラン30重量%の混合物で処理した
ケーブルの横断面図である。
【図4】フエニルメチルジメトキシシラン70重量%と
トリメチルメトキシシラン30重量%と混合物で処理し
たケーブルの横断面図である。
【図5】導体シールドからの距離の関数として被処理フ
イーダ・ケーブルの相1の絶縁材におけるフエニルメチ
ルメトキシシランの濃度のプロットである。
【図6】図5の導体シールドからの距離の関数として被
処理フイーダ・ケーブルの相2の絶縁材におけるフエニ
ルメチルメトキシシランの濃度のプロットである。
【図7】図5の導体シールドからの距離の関数として被
処理フイーダ・ケーブルの相3の絶縁材におけるフエニ
ルメチルメトキシシランの濃度のプロットである。
【符号の説明】
5 より線 6 導体シールド 7 拡散領域 8 黒丸点 9 絶縁材の内表面 10 ケーブル 12 絶縁材 13 絶縁材の外表面
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01B 7/17 H01B 9/00 A 7/282 13/00 541 9/00 7/28 E 13/00 541 7/18 E (72)発明者 メリース ジェイ ジーメリス アメリカ合衆国ミシガン州ミッドラン ド、ダブリュ・ネルソン 2015 (72)発明者 ゲリー アレン ビンセント アメリカ合衆国ミシガン州ミッドラン ド、ブロック・クリーク・ロード 3121 (72)発明者 グレン ジョン バーティニィ アメリカ合衆国ワシントン州タコマ、エ ヌイー・ウオーター・ストリート 6820 (56)参考文献 特開 平6−325627(JP,A) 特開 昭56−20057(JP,A) 特開 昭56−36806(JP,A) 特開 昭63−200408(JP,A) 特開 昭63−174221(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 3/16 - 3/56 H01B 7/282 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子絶縁材に包まれた中心より線を有
    し、該より線の領域に空隙を有する電気ケ−ブルにおけ
    る前記空隙に、 (A)少なくとも1種のトリ−イング防止剤と、 (B)下記の成分(i)〜(iv)から成る群から選択
    し、かつ前記高分子絶縁材において50℃で少なくとも
    1×10−7cm/秒の拡散係数を有する水−反応性
    化合物:(i)トリアルキルアルコキシシランまたはジアルキル
    ジアルコキシシラン; (ii)一般式R C(OCH (式中のR は水
    素又はメチル基から選択する)をもったオルトエステ
    ル; (iii)一般式R C=C(OR )R (式中
    のR ,R 及びR はそれぞれ水素又は炭素原子数1
    〜3を有するアルキル基から選び、R は−SiR
    (式中のR は炭素原子数1〜2を有するアルキル基で
    ある))をもったエノ−ル・エ−テル;および (iv)オルガノホウ酸、 から成り、前記成分(A)と(B)は異なる成分であ
    り、25℃で<100cP(mPa.s)の初粘度を有
    する前記成分(A)と(B)の流体混合物を供給するこ
    とから成ることを特徴とする電気ケ−ブルの絶縁特性増
    強法。
  2. 【請求項2】 前記水−反応性化合物(i)は、トリメ
    チルルメトキシシシラン及びメチルジメトキシシランか
    ら成る群から選ぶことを特徴とする請求項1記載の
    法。
  3. 【請求項3】 前記水−反応性化合物(ii)が、(M
    eO)CCH(Meはメチル基を示す)であること
    を特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記水−反応性化合物(iii)が、C
    =C(Me)−OSiMe(Meはメチル基を示
    す)であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記水−反応性化合物(iv)が、(M
    eO)B(Meはメチル基を示す)であることを特徴
    とする請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記トリ−イング防止剤(A)が、一般
    式(I) 〔式中、Rは炭素原子数が1〜6のアルキル基、R′は
    炭素原子数が1〜6のアルキル基、Arはフェニル及び
    ベンジル基から成る群から選んだ芳香族基、xは1、2
    又は3、yは0、1又は2そして(x+y)<3であ
    る〕で表されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記トリ−イング防止剤(A)は、フェ
    ニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
    ン、フェニルメチルジエトキシシラン及びフェニルメチ
    ルジメトキシシランから選択することを特徴とする請求
    6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記トリ−イング防止剤(A)がフェニ
    ルトリメトキシシランであり、前記水−反応性化合物
    は、ジメチルジメトキシシラン及びトリメチルメトキシ
    シランから成る群から選択することを特徴とする請求項
    7記載の方法。
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