JP3439588B2 - 高効率電気防食方法 - Google Patents
高効率電気防食方法Info
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- JP3439588B2 JP3439588B2 JP34178095A JP34178095A JP3439588B2 JP 3439588 B2 JP3439588 B2 JP 3439588B2 JP 34178095 A JP34178095 A JP 34178095A JP 34178095 A JP34178095 A JP 34178095A JP 3439588 B2 JP3439588 B2 JP 3439588B2
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- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主として海洋環境で
使用される溶接鋼構造物の防食方法に関するものであ
る。さらに詳しくは、その防食方法の中のカソード電気
防食方法に関するもので、カソード防食時の電流値を低
減させる技術に関するものである。
使用される溶接鋼構造物の防食方法に関するものであ
る。さらに詳しくは、その防食方法の中のカソード電気
防食方法に関するもので、カソード防食時の電流値を低
減させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海洋環境で使用される鋼構造物のカソー
ド防食法は、極めて一般的な方法であり、たとえば、木
島茂著「防食工学」日刊工業新聞社昭和57年に詳しく
記載されている。カソード防食には大きく2種類の方法
があり、一つは外部電源方式で、もう一つは、流電陽極
方式である。外部電源方式では、鋼材の対極として金属
電極を鋼材と相対する位置に配置する。そして、直流電
源を用意し、防食される鋼材をマイナス側に、金属電極
をプラス側に接続し、両者の間に電流を流すことで防食
を行う。この際の電流値は、防食される鋼材の電位を制
御するために任意に設定される。
ド防食法は、極めて一般的な方法であり、たとえば、木
島茂著「防食工学」日刊工業新聞社昭和57年に詳しく
記載されている。カソード防食には大きく2種類の方法
があり、一つは外部電源方式で、もう一つは、流電陽極
方式である。外部電源方式では、鋼材の対極として金属
電極を鋼材と相対する位置に配置する。そして、直流電
源を用意し、防食される鋼材をマイナス側に、金属電極
をプラス側に接続し、両者の間に電流を流すことで防食
を行う。この際の電流値は、防食される鋼材の電位を制
御するために任意に設定される。
【0003】流電陽極方式では、対極として、ZnやA
lが使用される。これらの金属は、海水中で、鋼材より
も溶解しやすい卑な電位を持ち、これらの金属が溶解す
ることにより、電流を発生し、鋼材を防食する。この際
に、これらの金属をより解けやすくすることが、防食性
能を向上させることになり、たとえば、特開平4−15
7126号公報には、Al合金をもっと解けやすくし、
発生電流量を大きくした合金が開示されている。
lが使用される。これらの金属は、海水中で、鋼材より
も溶解しやすい卑な電位を持ち、これらの金属が溶解す
ることにより、電流を発生し、鋼材を防食する。この際
に、これらの金属をより解けやすくすることが、防食性
能を向上させることになり、たとえば、特開平4−15
7126号公報には、Al合金をもっと解けやすくし、
発生電流量を大きくした合金が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】カソード防食に関し、
長期にわたり鋼材を防食するための電流を流し続けるた
めに、外部電源方式では、電力コストがかさみ、かつエ
ネルギーを消費し続けることになる。また、流電陽極方
式では、金属電極が消耗してしまい、頻繁に取り替えね
ばならないという問題が存在している。この電極の交換
は、海中部での溶接作業を伴うために作業に多大の費用
を要するとともに、電極材料のAlやZn金属のコスト
もかさみ、かつ、工業生産品であるこれらの金属の浪費
にもつながる。このために、長期に渡り、防食に要する
電流量を低減させる技術が望まれていた。本発明は海水
中で溶接鋼構造物をカソード防食する際の防食電流を著
しく小さくする高効率電気防食方式の提供を目的とす
る。
長期にわたり鋼材を防食するための電流を流し続けるた
めに、外部電源方式では、電力コストがかさみ、かつエ
ネルギーを消費し続けることになる。また、流電陽極方
式では、金属電極が消耗してしまい、頻繁に取り替えね
ばならないという問題が存在している。この電極の交換
は、海中部での溶接作業を伴うために作業に多大の費用
を要するとともに、電極材料のAlやZn金属のコスト
もかさみ、かつ、工業生産品であるこれらの金属の浪費
にもつながる。このために、長期に渡り、防食に要する
電流量を低減させる技術が望まれていた。本発明は海水
中で溶接鋼構造物をカソード防食する際の防食電流を著
しく小さくする高効率電気防食方式の提供を目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、長期に渡
り、防食に要する電流量を低減させる方法として、鋼材
の成分と塗装処理を組み合わせて用いる。発明者らは、
鋼材の成分と塗装処理とを種々組み合わせて検討した結
果、含クロム鋼を鋼材とし、その上に耐アルカリ性に優
れた塗料で塗装することにより、長期に渡り、防食に要
する電流量を低減させ得ることを見つけだした。本発明
は、上記知見に基ずくものであって、溶接鋼構造物の下
地母材を含クロム鋼とし、この上に耐アルカリ性塗料を
塗布して、カソード電気防食することを特徴とする高効
率電気防食方法である。
り、防食に要する電流量を低減させる方法として、鋼材
の成分と塗装処理を組み合わせて用いる。発明者らは、
鋼材の成分と塗装処理とを種々組み合わせて検討した結
果、含クロム鋼を鋼材とし、その上に耐アルカリ性に優
れた塗料で塗装することにより、長期に渡り、防食に要
する電流量を低減させ得ることを見つけだした。本発明
は、上記知見に基ずくものであって、溶接鋼構造物の下
地母材を含クロム鋼とし、この上に耐アルカリ性塗料を
塗布して、カソード電気防食することを特徴とする高効
率電気防食方法である。
【0006】(1) 重量%で、
C :0.01%以上、0.20%以下、
Si:0.01%以上、1.0%以下、
Mn:0.1%以上、2.5%以下、
P :0.020%以下、
S :0.020%以下、
Cr:0.3%以上、0.8%未満、
Al:0.002%以上、2.5%以下、
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる含ク
ロム鋼を鋼構造物の下地母材とし、この上に耐アルカリ
性塗料を塗布して、カソード電気防食することを特徴と
する高効率電気防食方法。(2) 上記含クロム鋼が、重量%で、 Ni:0.1%以上、0.5%未満 を含有することを特徴とする前記(1)記載の高効率電
気防食法。
ロム鋼を鋼構造物の下地母材とし、この上に耐アルカリ
性塗料を塗布して、カソード電気防食することを特徴と
する高効率電気防食方法。(2) 上記含クロム鋼が、重量%で、 Ni:0.1%以上、0.5%未満 を含有することを特徴とする前記(1)記載の高効率電
気防食法。
【0007】(3)上記含クロム鋼が、さらに、重量%
で、 Cu:0.05〜2.5%、 Mo:0.05〜4.5%、 Nb:0.005〜0.2%、 V :0.005〜0.2%、 Ti:0.005〜0.1%、 B :0.0003〜0.005%、 のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴と
する前記(1)または(2)記載の高効率電気防食法。
で、 Cu:0.05〜2.5%、 Mo:0.05〜4.5%、 Nb:0.005〜0.2%、 V :0.005〜0.2%、 Ti:0.005〜0.1%、 B :0.0003〜0.005%、 のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴と
する前記(1)または(2)記載の高効率電気防食法。
【0008】(4)上記含クロム鋼が、さらに、重量%
で、 Ca:0.001〜0.05%、 REM:0.001〜0.1%、 のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする
前記(1)〜(3)記載の高効率電気防食法。(5) 上記耐アルカリ性塗料が、樹脂主成分としてエポ
キシ系樹脂または塩化ビニル系樹脂を含有し、耐アルカ
リ性顔料を0.1体積%以上含むことを特徴とする前記
(1)〜(4)記載の高効率電気防食方法。(6) 上記耐アルカリ性塗料が、10重量%苛性ソーダ
溶液中で、50℃、24時間浸漬した後の重量変化が1
%未満であることを特徴とする前記(1)〜(4)記載
の高効率電気防食方法である。
で、 Ca:0.001〜0.05%、 REM:0.001〜0.1%、 のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする
前記(1)〜(3)記載の高効率電気防食法。(5) 上記耐アルカリ性塗料が、樹脂主成分としてエポ
キシ系樹脂または塩化ビニル系樹脂を含有し、耐アルカ
リ性顔料を0.1体積%以上含むことを特徴とする前記
(1)〜(4)記載の高効率電気防食方法。(6) 上記耐アルカリ性塗料が、10重量%苛性ソーダ
溶液中で、50℃、24時間浸漬した後の重量変化が1
%未満であることを特徴とする前記(1)〜(4)記載
の高効率電気防食方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の限定理由について
説明する。本発明の電気防食方法では、含クロム鋼を鋼
材下地として耐アルカリ性塗料をその上に塗布する。こ
の組み合わせによって、電気防食を高効率化して、防食
電流の著しい低減を可能とする。この現象を、詳細に解
析した結果、耐アルカリ性塗膜のピンホール部で流れる
カソード電流はピンホール部を強いアルカリ性の雰囲気
にし、このアルカリ性雰囲気により、ピンホール部の含
クロム鋼の表面にクロム水酸化物の皮膜を形成すること
を見つけた。このクロム水酸化物の効果により、カソー
ド電流を低減させることがわかった。しかしながら、こ
の効果は、塗膜が強いアルカリ性の雰囲気で変質しない
ことが必要であり、塗料の性質との組み合わせが必須で
あることが分かった。
説明する。本発明の電気防食方法では、含クロム鋼を鋼
材下地として耐アルカリ性塗料をその上に塗布する。こ
の組み合わせによって、電気防食を高効率化して、防食
電流の著しい低減を可能とする。この現象を、詳細に解
析した結果、耐アルカリ性塗膜のピンホール部で流れる
カソード電流はピンホール部を強いアルカリ性の雰囲気
にし、このアルカリ性雰囲気により、ピンホール部の含
クロム鋼の表面にクロム水酸化物の皮膜を形成すること
を見つけた。このクロム水酸化物の効果により、カソー
ド電流を低減させることがわかった。しかしながら、こ
の効果は、塗膜が強いアルカリ性の雰囲気で変質しない
ことが必要であり、塗料の性質との組み合わせが必須で
あることが分かった。
【0010】まず、本発明における下地鋼材としての含
クロム鋼の鋼成分を以下のように規定する。なお、以下
に用いる%は重量%を意味する。Cは安価に強度を上昇
させる元素であり、強度確保のため0.01%以上必要
であるが、多量に添加するとクロム酸化物の安定性を阻
害すると同時に、鋼の靱性、溶接性を害するので上限を
0.20%とした。Siは脱酸材として重要であるた
め、0.01%以上添加する必要があるが、1.0%を
超えて添加するとクロム酸化物の安定性を阻害すると同
時に、鋼の靱性、溶接性を害するので上限を1.0%と
した。
クロム鋼の鋼成分を以下のように規定する。なお、以下
に用いる%は重量%を意味する。Cは安価に強度を上昇
させる元素であり、強度確保のため0.01%以上必要
であるが、多量に添加するとクロム酸化物の安定性を阻
害すると同時に、鋼の靱性、溶接性を害するので上限を
0.20%とした。Siは脱酸材として重要であるた
め、0.01%以上添加する必要があるが、1.0%を
超えて添加するとクロム酸化物の安定性を阻害すると同
時に、鋼の靱性、溶接性を害するので上限を1.0%と
した。
【0011】Mnは固溶体強化元素であり、強度確保の
ため最低0.1%を添加する必要があるが、2.5%を
超えて添加するとクロム酸化物の安定性を阻害すると同
時に、鋼の靱性、溶接性を害するので上限を2.5%と
した。P、Sは鋼中において非金属介在物を形成し、か
つ、偏析することによりクロム酸化物の安定性を阻害す
ると同時に、鋼の靱性、溶接性を害するのでそれぞれ上
限を0.020%とした。P,Sともに、できれば0.
010%以下、さらに好ましくは0.005%以下がよ
い。
ため最低0.1%を添加する必要があるが、2.5%を
超えて添加するとクロム酸化物の安定性を阻害すると同
時に、鋼の靱性、溶接性を害するので上限を2.5%と
した。P、Sは鋼中において非金属介在物を形成し、か
つ、偏析することによりクロム酸化物の安定性を阻害す
ると同時に、鋼の靱性、溶接性を害するのでそれぞれ上
限を0.020%とした。P,Sともに、できれば0.
010%以下、さらに好ましくは0.005%以下がよ
い。
【0012】Crはカソード電流を低減させるクロム酸
水酸化物の皮膜を形成するのに不可欠な元素であり、
0.3%以上添加する必要がある。ただし、0.8%を
超えて添加すると溶接性、特に、大入熱溶接継手靱性を
損なうため、上限を0.8%未満とする。AlはSiと
同様に脱酸材として重要であるほか、靱性を向上させる
ため0.002%以上必要であるが、2.5%を超えて
添加するとクロム酸化物の安定性を阻害すると同時に、
鋼の靱性、溶接性を害するので上限を2.5%とした。
Niはクロム酸化物の安定性を向上させる重要な元素で
あり、必要により0.1%以上添加する。ただし、0.
5%を超えて添加すると溶接性、特に、大入熱溶接継手
靱性を損なうため、上限を0.5%未満とする。
水酸化物の皮膜を形成するのに不可欠な元素であり、
0.3%以上添加する必要がある。ただし、0.8%を
超えて添加すると溶接性、特に、大入熱溶接継手靱性を
損なうため、上限を0.8%未満とする。AlはSiと
同様に脱酸材として重要であるほか、靱性を向上させる
ため0.002%以上必要であるが、2.5%を超えて
添加するとクロム酸化物の安定性を阻害すると同時に、
鋼の靱性、溶接性を害するので上限を2.5%とした。
Niはクロム酸化物の安定性を向上させる重要な元素で
あり、必要により0.1%以上添加する。ただし、0.
5%を超えて添加すると溶接性、特に、大入熱溶接継手
靱性を損なうため、上限を0.5%未満とする。
【0013】さらに、必要に応じてCu,Mo,Nb,
V,Ti,Bのいずれか1種または2種以上を添加す
る。これらは、すべて強度上昇に有効な元素であり、そ
の効果が不足しない範囲として、Cuは0.05%,M
oは0.05%,Nbは0.005%,Vは0.005
%,Tiは0.005%,Bは0.0003%を下限と
する。また靱性が低下しない範囲として、Cuは2.5
%,Moは4.5%,Nbは0.2%,Vは0.2%,
Tiは0.1%,Bは0.005%を上限とする。さら
に、必要に応じてCa,REMのいずれか1種または2
種を添加する。Ca,REMは靱性向上に有効な元素で
あり、その効果が不足しない範囲としてそれぞれの下限
をともに0.001%とし、また靱性がむしろ低下しな
い範囲として、Caは0.05%,REMは0.1%を
上限とする。
V,Ti,Bのいずれか1種または2種以上を添加す
る。これらは、すべて強度上昇に有効な元素であり、そ
の効果が不足しない範囲として、Cuは0.05%,M
oは0.05%,Nbは0.005%,Vは0.005
%,Tiは0.005%,Bは0.0003%を下限と
する。また靱性が低下しない範囲として、Cuは2.5
%,Moは4.5%,Nbは0.2%,Vは0.2%,
Tiは0.1%,Bは0.005%を上限とする。さら
に、必要に応じてCa,REMのいずれか1種または2
種を添加する。Ca,REMは靱性向上に有効な元素で
あり、その効果が不足しない範囲としてそれぞれの下限
をともに0.001%とし、また靱性がむしろ低下しな
い範囲として、Caは0.05%,REMは0.1%を
上限とする。
【0014】上記含クロム鋼の製造条件については、鋼
塊または連続鋳造スラブを加熱後、熱間圧延を行い圧延
まま、または巻取りままで製品にする。また、必要に応
じて、その後に適当な熱処理を加えてもよい。主に厚
板、熱延鋼板として、板厚としては、2.0mmから5
0mm程度であるが、さらに薄手のもの、厚手のものも
使用が可能である。その他、品種として、形鋼、線・棒
鋼、鋼管等としても使用が可能である。
塊または連続鋳造スラブを加熱後、熱間圧延を行い圧延
まま、または巻取りままで製品にする。また、必要に応
じて、その後に適当な熱処理を加えてもよい。主に厚
板、熱延鋼板として、板厚としては、2.0mmから5
0mm程度であるが、さらに薄手のもの、厚手のものも
使用が可能である。その他、品種として、形鋼、線・棒
鋼、鋼管等としても使用が可能である。
【0015】次に、上記含クロム鋼の上に塗布する塗料
について述べる。本発明で適用する塗料は、塗膜のピン
ホール部を強いアルカリ性の雰囲気にして、ピンホール
の拡大を防止する機能を有することが必要である。その
ために、塗料には耐アルカリ性顔料を0.1体積%以上
含ませる。0.1体積%未満ではピンホール部の保護効
果が不十分である。一方、上限については特に制約はな
いが、通常は50体積%以下が適切である。
について述べる。本発明で適用する塗料は、塗膜のピン
ホール部を強いアルカリ性の雰囲気にして、ピンホール
の拡大を防止する機能を有することが必要である。その
ために、塗料には耐アルカリ性顔料を0.1体積%以上
含ませる。0.1体積%未満ではピンホール部の保護効
果が不十分である。一方、上限については特に制約はな
いが、通常は50体積%以下が適切である。
【0016】耐アルカリ性顔料としては、アルカリでの
流出量の少ない化合物顔料、例えば、チタン酸塩,メタ
リン酸塩,バナジン酸塩等を挙げることができる。そし
て、塗料用のベース樹脂としては、エポキシ系及び変性
エポキシ系樹脂または塩化ビニル系樹脂を適用すること
が樹脂を耐アルカリ性の雰囲気とする点から好ましい。
ベースの樹脂を耐アルカリ性の弱いフタル酸系や鉱物油
系の樹脂を用いると、ピンホール部での剥離が大きくな
り、本発明の効果が得られない。また、これらの樹脂以
外であっても、10重量%の苛性ソーダ溶液中で、50
℃において24時間浸漬試験を行い、その時の重量変化
が1%未満である場合には、電気防食を行った際の塗膜
のピンホール部の剥離を小さくできる。
流出量の少ない化合物顔料、例えば、チタン酸塩,メタ
リン酸塩,バナジン酸塩等を挙げることができる。そし
て、塗料用のベース樹脂としては、エポキシ系及び変性
エポキシ系樹脂または塩化ビニル系樹脂を適用すること
が樹脂を耐アルカリ性の雰囲気とする点から好ましい。
ベースの樹脂を耐アルカリ性の弱いフタル酸系や鉱物油
系の樹脂を用いると、ピンホール部での剥離が大きくな
り、本発明の効果が得られない。また、これらの樹脂以
外であっても、10重量%の苛性ソーダ溶液中で、50
℃において24時間浸漬試験を行い、その時の重量変化
が1%未満である場合には、電気防食を行った際の塗膜
のピンホール部の剥離を小さくできる。
【0017】
実施例1
表1に示した供試鋼を下地鋼板(寸法200mm×20
0mm)として、サンドブラスト処理を行い、純エポキ
シ樹脂系塗料に耐アルカリ顔料であるチタン酸バリウム
を表2に示す量添加した塗料を100μm塗布し、試験
材の中央部に大きさ10mmφの欠陥をあけ、この試験
体にアルミニウムを陽極とし、40℃人工海水中で1ケ
月浸漬した。そして試験後のアルミニウム電極の消耗量
並びに塗膜剥離幅を調査した。アルミニウムの消耗量は
電極の重量変化で、また、塗膜の剥離幅は中央部にあけ
た穴の拡大幅の平均値で求めた。なお、引張試験、0℃
でのシャルピー吸収エネルギーについても調査した。さ
らに、溶接効率の向上を目的としたSAW大入熱溶接
(入熱100kJ/cm)溶接継手の0℃でのシャルピ
ー吸収エネルギーについても調査した。ただし、板厚が
6mm未満のものは入熱50kJ/cmとした。それら
の調査結果を表2にまとめて示す。
0mm)として、サンドブラスト処理を行い、純エポキ
シ樹脂系塗料に耐アルカリ顔料であるチタン酸バリウム
を表2に示す量添加した塗料を100μm塗布し、試験
材の中央部に大きさ10mmφの欠陥をあけ、この試験
体にアルミニウムを陽極とし、40℃人工海水中で1ケ
月浸漬した。そして試験後のアルミニウム電極の消耗量
並びに塗膜剥離幅を調査した。アルミニウムの消耗量は
電極の重量変化で、また、塗膜の剥離幅は中央部にあけ
た穴の拡大幅の平均値で求めた。なお、引張試験、0℃
でのシャルピー吸収エネルギーについても調査した。さ
らに、溶接効率の向上を目的としたSAW大入熱溶接
(入熱100kJ/cm)溶接継手の0℃でのシャルピ
ー吸収エネルギーについても調査した。ただし、板厚が
6mm未満のものは入熱50kJ/cmとした。それら
の調査結果を表2にまとめて示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示す鋼のうち鋼A〜Eは本発明の成
分範囲の鋼であり、鋼F〜Nは本発明外の比較鋼であ
る。これらの鋼を1250℃加熱した後に、900℃以
上で熱間圧延した。なお、板厚が25mm以上のものは
圧延後に焼きならし熱処理を行った。板厚が6mm未満
のものは圧延後600℃で巻取った。なお、鋼Nは通常
の普通鋼材を比較材として用いた。
分範囲の鋼であり、鋼F〜Nは本発明外の比較鋼であ
る。これらの鋼を1250℃加熱した後に、900℃以
上で熱間圧延した。なお、板厚が25mm以上のものは
圧延後に焼きならし熱処理を行った。板厚が6mm未満
のものは圧延後600℃で巻取った。なお、鋼Nは通常
の普通鋼材を比較材として用いた。
【0020】
【表2】
【0021】表2において、No.1〜9は本発明例で
あり、No.10〜19は比較例である。No.1,
3,5,6〜9,10,12〜13,18,19は板厚
が18mm、No.4,11,14〜17,20は板厚
が32mm、No.2は板厚4mmである。No.20
は通常の鋼材で耐アルカリ顔料が添加されていない場合
であって、これを比較として本発明の効果を検討した。
表2より明らかなように、No.1は塗膜剥離量、アル
ミ消耗量ともにNo.20に比べて半分以下に減少して
いる。No.2は、さらにNiを添加した鋼材を適用し
た場合であり、アルミ消耗量がNo.1よりもさらに減
少している。
あり、No.10〜19は比較例である。No.1,
3,5,6〜9,10,12〜13,18,19は板厚
が18mm、No.4,11,14〜17,20は板厚
が32mm、No.2は板厚4mmである。No.20
は通常の鋼材で耐アルカリ顔料が添加されていない場合
であって、これを比較として本発明の効果を検討した。
表2より明らかなように、No.1は塗膜剥離量、アル
ミ消耗量ともにNo.20に比べて半分以下に減少して
いる。No.2は、さらにNiを添加した鋼材を適用し
た場合であり、アルミ消耗量がNo.1よりもさらに減
少している。
【0022】No.1〜6,10,11は耐アルカリ顔
料の添加効果を検討したものであり、耐アルカリ顔料の
添加量とともに塗膜剥離幅が減少し、かつアルミニウム
消費量も減少しているのがわかる。No.7は強度上昇
に有効な選択元素(Cu,Mo,Nb,V,B)を含有
するため、さらに高強度(≧500MPa)で塗膜剥離
量、アルミ消耗量とも減少している。No.8,9は靱
性上昇に有効な選択元素(Ca,またはREM)を含有
するため、さらに高靱性(≧100J)で塗膜剥離量、
アルミ消耗量とも減少している。
料の添加効果を検討したものであり、耐アルカリ顔料の
添加量とともに塗膜剥離幅が減少し、かつアルミニウム
消費量も減少しているのがわかる。No.7は強度上昇
に有効な選択元素(Cu,Mo,Nb,V,B)を含有
するため、さらに高強度(≧500MPa)で塗膜剥離
量、アルミ消耗量とも減少している。No.8,9は靱
性上昇に有効な選択元素(Ca,またはREM)を含有
するため、さらに高靱性(≧100J)で塗膜剥離量、
アルミ消耗量とも減少している。
【0023】これに対して、比較例のNo.12はCが
高く、No.13はSiが高く、No.14はMnが高
く、No.15はPが高く、No.16はSが高く、そ
れぞれ塗膜剥離量、アルミ消耗量の減少は起こらず、同
時に靱性が低い。No.17はCr量が少なくて塗膜剥
離量、アルミ消耗量の減少は起こっていない。No.1
8,19はCr,Niが高く、継手シャルピーが低い。
高く、No.13はSiが高く、No.14はMnが高
く、No.15はPが高く、No.16はSが高く、そ
れぞれ塗膜剥離量、アルミ消耗量の減少は起こらず、同
時に靱性が低い。No.17はCr量が少なくて塗膜剥
離量、アルミ消耗量の減少は起こっていない。No.1
8,19はCr,Niが高く、継手シャルピーが低い。
【0024】実施例2
次に、塗装系を変えて行った試験結果について表3に示
す。表1の試験材A、Nを用い、試験法は実施例1と同
じである。鋼材No.Aを用いた場合に、耐アルカリ性
に優れる塗料を適用したNo.21,23,25は、本
発明の効果が認められたが、No.26,27のように
耐アルカリ性が劣る塗料を用いた場合には効果が得られ
ない。また、耐アルカリ性の高い塗料を用いても、鋼材
成分が本発明外の場合にはNo.22,24のように本
発明の目的とする効果が得られない。
す。表1の試験材A、Nを用い、試験法は実施例1と同
じである。鋼材No.Aを用いた場合に、耐アルカリ性
に優れる塗料を適用したNo.21,23,25は、本
発明の効果が認められたが、No.26,27のように
耐アルカリ性が劣る塗料を用いた場合には効果が得られ
ない。また、耐アルカリ性の高い塗料を用いても、鋼材
成分が本発明外の場合にはNo.22,24のように本
発明の目的とする効果が得られない。
【0025】
【表3】
【0026】実施例3
表4に示す鋼材で、100mm×2500mmの短冊状
の試験片を作製し、Zn陽極を取り付け、北九州市の海
岸に3年間浸漬暴露試験を行った。引き上げ後、Znア
ノードの消耗量を計測した結果を、表4に合わせて示
す。本発明例のNo.28〜30およびNo.32〜3
4は、比較例のNo.31,35と比較してZnの消耗
量が極めて少ないことが明瞭に分かる。
の試験片を作製し、Zn陽極を取り付け、北九州市の海
岸に3年間浸漬暴露試験を行った。引き上げ後、Znア
ノードの消耗量を計測した結果を、表4に合わせて示
す。本発明例のNo.28〜30およびNo.32〜3
4は、比較例のNo.31,35と比較してZnの消耗
量が極めて少ないことが明瞭に分かる。
【0027】
【表4】
【0028】
【発明の効果】本発明の方法によれば、鋼構造物等の母
材成分とその上に塗布する塗料との組み合わせを特定化
することによって、海洋環境下での電気防食の寿命を約
2倍に長持ちさせることが可能になる。この結果、海洋
鋼構造物のメンテナンスコストを下げることが可能にな
り、また、アルミニウムや亜鉛などの使用量を減少させ
ることが出来、環境への負担も軽減できることになる。
材成分とその上に塗布する塗料との組み合わせを特定化
することによって、海洋環境下での電気防食の寿命を約
2倍に長持ちさせることが可能になる。この結果、海洋
鋼構造物のメンテナンスコストを下げることが可能にな
り、また、アルミニウムや亜鉛などの使用量を減少させ
ることが出来、環境への負担も軽減できることになる。
フロントページの続き
(72)発明者 松岡 和巳
千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株
式会社 技術開発本部内
(56)参考文献 特開 平9−143766(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C22C 38/00 301
C22C 38/38
C22C 38/58
C23F 11/00
C23F 13/00
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.01%以上、0.20%以下、 Si:0.01%以上、1.0%以下、 Mn:0.1%以上、2.5%以下、 P :0.020%以下、 S :0.020%以下、 Cr:0.3%以上、0.8%未満、 Al:0.002%以上、2.5%以下、 を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる含ク
ロム鋼を鋼構造物の下地母材とし、 この上に耐アルカリ
性塗料を塗布して、カソード電気防食することを特徴と
する高効率電気防食方法。 - 【請求項2】 上記含クロム鋼が、重量%で、Ni:0.1%以上、0.5%未満 を含有する ことを特徴とする請求項1記載の高効率電気
防食法。 - 【請求項3】 上記含クロム鋼が、さらに、重量%で、Cu:0.05〜2.5%、 Mo:0.05〜4.5%、 Nb:0.005〜0.2%、 V :0.005〜0.2%、 Ti:0.005〜0.1%、 B :0.0003〜0.005%、 のいずれか1種または2種以上 を含有することを特徴と
する請求項1または2記載の高効率電気防食法。 - 【請求項4】 上記含クロム鋼が、さらに、重量%で、Ca:0.001〜0.05%、 REM:0.001〜0.1%、 のいずれか1種または2種を含有することを特徴とする
請求項1〜3記載の高効率電気防食法。 - 【請求項5】 上記耐アルカリ性塗料が、樹脂主成分と
してエポキシ系樹脂または塩化ビニル系樹脂を含有し、
耐アルカリ性顔料を0.1体積%以上含むことを特徴と
する請求項1〜4記載の高効率電気防食方法。 - 【請求項6】 上記耐アルカリ性塗料が、10重量%苛
性ソーダ溶液中で、50℃、24時間浸漬した後の重量
変化が1%未満であることを特徴とする請求項1〜4記
載の高効率電気防食方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34178095A JP3439588B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 高効率電気防食方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP34178095A JP3439588B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 高効率電気防食方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09176791A JPH09176791A (ja) | 1997-07-08 |
| JP3439588B2 true JP3439588B2 (ja) | 2003-08-25 |
Family
ID=18348708
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP34178095A Expired - Fee Related JP3439588B2 (ja) | 1995-12-27 | 1995-12-27 | 高効率電気防食方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3439588B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006037201A (ja) * | 2004-07-29 | 2006-02-09 | Kobe Steel Ltd | 耐食性に優れた船舶用鋼材 |
| JP5265944B2 (ja) * | 2008-03-04 | 2013-08-14 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐食性に優れた船舶用鋼材 |
-
1995
- 1995-12-27 JP JP34178095A patent/JP3439588B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH09176791A (ja) | 1997-07-08 |
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