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JP3458341B2 - 対イオンよりも水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水の製造方法及び得られた洗浄水 - Google Patents
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JP3458341B2 - 対イオンよりも水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水の製造方法及び得られた洗浄水 - Google Patents

対イオンよりも水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水の製造方法及び得られた洗浄水

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JP3458341B2
JP3458341B2 JP33457293A JP33457293A JP3458341B2 JP 3458341 B2 JP3458341 B2 JP 3458341B2 JP 33457293 A JP33457293 A JP 33457293A JP 33457293 A JP33457293 A JP 33457293A JP 3458341 B2 JP3458341 B2 JP 3458341B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種汚染物質の洗浄や
工業材料の表面処理に適した水に関するものである。
【0002】
【発明の背景】水のpH及び酸化還元能力は、洗浄又は
表面処理に関する分野で非常に重要な意味を持つ。以下
で、これらの分野において、水のpH及び酸化還元能力
が如何なる役割を果たしているか、又、水のpH及び酸
化還元能力をどのようにコントロールしているかについ
て、その概略を説明する。
【0003】洗浄処理の対象となる汚染物質は、イオン
状物質や反応生成物、液状、粒子状物質に大別される。
イオン状物質の汚染形態には、ガラス表面等に観られる
イオン交換による吸着、半導体や金属の表面に観られる
イオンの静電的引力による付着、及び半導体、金属、セ
ラミックスの表面層へのイオンの拡散による侵入といっ
たものが挙げられる。
【0004】又、反応生成物による汚染形態は、ボイラ
のスケールのような水中不純物の沈積付着や金属表面に
発生する酸化皮膜、錆に分類される。これに比べて粒子
状物質による汚染形態は複雑であり、即ち、化学的な結
合による付着、ファンデルワールス力や水素結合等の物
理化学的結合による付着、静電力もしくは磁気力による
物理的付着等が挙げられる。
【0005】これらの汚染物質の中で、イオン状物質は
純水又は超純水によって洗浄されるのが一般的であり、
例えば半導体の洗浄に際しては、電気抵抗率が約18M
Ω/cmの超純水が用いられる。反応生成物について
は、通常、化学薬品を用いて洗浄される。例えば、先の
スケール等は酸とキレート剤とを組合わせた薬剤が用い
られ、特に、両者の機能を併せ持つクエン酸、エチレン
ジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸といったものが使用さ
れている。
【0006】次に、表面処理に関してであるが、溶解に
よって金属表面の酸化皮膜が除去される速度は、水溶液
のpHと酸化還元能力とに大きく依存する。例えば、鉄
の酸化皮膜を構成する四三酸化鉄(Fe3 4 )は、p
Hが約4以下の酸性であって、かつ、還元性を有する水
溶液中で速やかに溶解する。尚、金属の酸化皮膜溶解に
用いられる代表的な薬剤としては、酸及び還元剤の両機
能を有する蓚酸や、その他にもクエン酸、エチレンジア
ミン四酢酸を組合わせたものが挙げられる。
【0007】金属の中でも、クロム鋼の表面酸化皮膜は
酸化性の水溶液中で溶解する。この処理に用いられる代
表的な薬剤としては、水酸化ナトリウムと過マンガン酸
カリウムとを組合わせたものや、フッ酸と硝酸とを組合
わせたものが挙げられる。尚、シリコンウェハ洗浄の分
野で、表面層をエッチングすることにより洗浄処理を行
う場合があり、この処理には、アンモニア水と過酸化水
素水とを組合わせたものや、水酸化ナトリウム、又は硝
酸等が用いられる。
【0008】そして、シリコンウェハ等に付着する液
体、又は皮膜状の汚染物質の除去には、この汚染物質を
酸化分解したり、溶解させるといった方法が適用されて
おり、酸化分解に用いられる薬剤としては、硫酸と過酸
化水素とを組合わせたもの、水酸化アンモニウムと過酸
化水素とを組合わせたもの等が挙げられる。無機物質で
ある汚染物質を溶解する場合には、塩酸と過酸化水素、
硫酸と過酸化水素、塩酸と硝酸、硫酸と硝酸とを組合わ
せたものが用いられる。
【0009】又、有機物質である汚染物質を溶解する場
合は、トリクロロエタン、ジクロロメタン等の有機塩素
系溶剤が使用される。以上の説明から明らかなように、
水のpHと酸化還元能力とは、洗浄及び表面処理におい
て重要な役割を果たしているのである。ところで、水の
pHを酸性又はアルカリ性とし、酸化還元能力を付与す
る手段としては、化学薬品を添加する方法と電気分解
(以下、電解と称する)を利用する方法とがある。
【0010】化学薬品を用いてpHを酸性にシフトさせ
る場合には、酸が用いられるから、H+ の対イオンとし
てCl- ,SO4 2- ,NO3 - ,CH3 COO- 等の陰
イオンが存在する。一方、pHをアルカリ性にシフトさ
せる場合には、塩基が用いられるので、OH- の対イオ
ンとしてNa+ ,K+ ,Ca2+等の金属イオンが共存す
る。
【0011】即ち、化学薬品を使用する場合には対イオ
ンの存在無くして、H+ やOH- を添加することは実質
上不可能である。このような事情に鑑みて、化学薬品を
用いずにpHをコントロールする方法として、電解法、
特にカソード極とアノード極との間に隔膜を設けた装置
による隔膜電解法が考えられ始めた。
【0012】しかしながら、従来の隔膜電解装置では、
カソード極、隔膜、アノード極の間が大きく離れている
ので、水溶液の電気抵抗率を下げることが必須条件とな
り、塩類等の電解質を所定量添加しなければならない。
ところで、添加した塩類が陰イオンと陽イオンとに電離
した液を電解すると、陰イオンはアノード極に、陽イオ
ンはカソード極に移動する。この結果として、アノード
極側は酸性に、一方、カソード極側はアルカリ性になる
のであるが、この方法によってH+ やOH- を生成する
と、それに伴って対イオンも増加することになり、次の
ような問題が引き起こされる。
【0013】即ち、洗浄又は表面処理において、酸又は
アルカリと酸化還元剤とを使用した場合、水溶液中にH
+ やOH- と共に等モルの対イオンが共存することにな
り、洗浄又は表面処理の後に、これらの対イオンの残留
に起因して材料が劣化したり、廃液の処理が困難とな
る。例えば、洗浄後の金属表面にCl- 等の腐食を促進
するハロゲンイオンが残留すると、急速な腐食の進行が
懸念される。又、洗浄後の半導体にイオン性不純物が残
留すると、半導体の性能は著しく低下する。
【0014】更に、これらの問題点に関連して、残留す
るイオン等を除去する為に洗浄後にリンス作業を実施す
る必要があり、シリコンウェハ1枚に当たり数千リット
ルもの大量の超純水が使用されているのが現状である。
しかしながら、近年、水資源そのもの、又、汚染問題が
深刻なものとなって来ており、水の使用量削減を図る為
の技術開発が望まれている。
【0015】
【発明の開示】本発明者は、上記の問題点に関する研究
を鋭意推し進めていった結果、洗浄や表面処理に際して
用いられる水として、対イオンよりも水素イオン又は水
酸イオンを過剰に含む水を用いれば、効果的に洗浄や表
面処理が行われるといった知見を得るに至った。又、こ
のような対イオンよりも水素イオン又は水酸イオンを過
剰に含む水は電解手段により得られることも見出した。
【0016】先ず、水溶液を電解処理する際の溶質の酸
化還元反応及びH2 O分子の酸化還元反応について説明
する。H2 Oの酸化還元反応に関連する反応式として
は、以下の(1)〜(11)のものが考えられる。 2H+ +2e- ⇔ H2 O =0.01V (1) O2 +2H+ +2e- ⇔ H2 2 O =0.69V (2) H2 2 +H+ +2e- ⇔ OH- +H2 O EO =0.71V (3) O2 +4H+ +4e- ⇔ 2H2 O EO =1.22V (4) HO2 +H+ +e- ⇔ H2 2 O =1.495V(5) H2 2 +2H+ +2e- ⇔ 2H2 O EO =1.77V (6) OH+H+ +e- ⇔ H2 O EO =2.85V (7) 2H2 O+2e- ⇔ H2 +2OH- O =0.82V (8) O2 +2H2 O+4e- ⇔ 4OH- O =0.401V(9) HO2 - +H2 O+2e- ⇔ 3OH- O =0.76V (10) OH+e- ⇔ OH- O =2.02V (11) 但し、E0 は標準酸化還元電位である。
【0017】上記の(1)〜(11)の反応式を考察する
と、H2 Oの酸化還元反応により、H+ ,OH- ,OH
−radical,H2 ,O2 ,H2 2 ,HO2 等が
生成することが判る。又、水溶液中には、通常、O2
2 ,CO2 が微量ではあるが、溶解しているので、同
時に、これらの分子の酸化還元反応も考慮することが必
要となる。
【0018】O2 が水溶液中に存在するとき、上記
(1)〜(11)の式に加えて、以下の反応式が考えられ
る。 O2 +e- ⇔ O2 - O =−0.563V(12) O2 +H+ +e- ⇔ HO2 O =−0.13V (13) O2 +H2 O+2e- ⇔ HO2 - +OH- O =−0.076V(14) O2 +2H+ +2e- ⇔ H2 2 O =0.6824V(15) O3 +H2 O+2e- ⇔ O2 +2OH- O =1.24V (16) 次に、N2 が水溶液中に存在するときには、以下の反応
式が考えられる。
【0019】 N2 +4H2 O+4e- ⇔ N2 4 +4OH- E=−1.15V(17) 2NO3 - +12H+ +10e- ⇔N2 +6H2 O E=−1.24V (18) N2 4 +8H+ +8e- ⇔ N2 +4H2 O E=1.35V (19) 2HNO2 +6H+ +6e- ⇔ N2 +4H2 O E=1.44V (20) 2NO+4H+ +4e- ⇔ N2 +2H2 O E=1.68V (21) 更に、CO2 が水溶液中に存在するときには、代表的な
ものとして、以下の反応式が考えられる。
【0020】 2CO2 +2H+ +2e- ⇔ H2 2 4 E=−0.49V (22) CO2 +2H+ +2e- ⇔ CO+H2 O E=−0.12V (23) CO2 +2H+ +2e- ⇔ HCOOH E=−0.199V(24) 但し、Eは標準酸化還元電位である。以上の(1)〜
(24)までの式を考察すると、O2 からは、O2 - ,H
2 ,O3 ,H2 2 等の酸化・還元剤とOH- とが生
成され、又、N2 からは、N24 ,NO3 - ,N2
4 ,HNO2 ,NO及びH+ が生成される。
【0021】ここで、特に注目すべきことは、H2 O,
2 O−O2 及びH2 O−N2 系から生成されるH+
びOH- は、それぞれの対イオンとのバランスがとれて
いない、換言すれば対イオンと比較して、H+ 及びOH
- は過剰に生成されているのである。尚、H2 O−CO
2 系では還元反応のみが起こり、その生成物は有機酸で
あるから、これは先の、H2 O,H2 O−O2 ,H2
−N2 系の反応とは著しく異なる。
【0022】上述した酸化還元反応を起こす為に電解法
を用いた場合、電解反応は、溶質の濃度、電解槽の構造
及び電解条件に依存するものであり、溶質の面からは濃
度が小さいほうが望ましく、構造の面からは各イオンを
分離する為に隔膜構造であることが望ましい。そして、
電流密度としては、溶質の酸化還元反応よりもH2 Oの
分解が起こるようなものであることが望ましい。
【0023】ところで、純水は電気抵抗率が極端に高い
ので電解が極めて困難であり、電気抵抗率を下げる為に
電解質を添加する必要である。しかしながら、通常、電
解質が添加された水溶液を電解すると、水溶液中に存在
するイオンの移動が起こるので、対イオンと比較して過
剰な濃度のH+ 又はOH- を生成することは極めて困難
である。
【0024】例えば、NaCl水溶液を電解すると、カ
ソード極では、 Na+ +e- ⇒ Na (25) 2Na+2H2 O ⇒ 2Na+ +2OH- +H2 (26) といった反応が起き、一方、アノード極では、 2Cl- −2e- ⇒ Cl2 (27) といった反応が起こるので、イオンのバランスを崩すこ
とはできない。
【0025】従って、電解質が存在するか否かに拘ら
ず、H2 O−O2 系やH2 O−N2 系の電解反応を効率
良く行わせることができれば、対イオンと比較して過剰
な濃度のH+ 又はOH- を生成することができるもので
あり、即ち、上述したようにO 2 とN2 の酸化還元反応
から生成するH+ とOH- は対イオンとのバランスがと
れていないから、H2 Oのみの反応を考慮すれば良いこ
とが判る。
【0026】H+ 又はOH- を過剰に含む水を高効率で
生成する為には、既述した如く、水溶液中の溶質に比べ
て、H2 Oの電離度を高くすれば良いのであるが、H2
Oの電離度を高くする為には、溶質濃度を可能な限り小
さくすることが必要である。しかしながら、溶質の濃度
を下げると、電気抵抗率が高くなり、電解処理が極めて
困難なものとなる。
【0027】このような事情に鑑みて、本発明者は、更
なる研究を鋭意推し進めていった結果、アノード極が浸
漬させられたアノード室、及びカソード極が浸漬させら
れたカソード室、これらアノード室及びカソード室に挟
まれた中間室からなる三室構造の電解槽を用い、中間室
に電解質を存在させた状態で電解処理を行えば、カソー
ド室とアノード室の溶質濃度を仮に零としても、H2
の電解が可能であることを見出した。尚、このときH2
Oの電解と並行して中間室内の溶質も同時に電解される
が、溶質の移動速度以上に電解電流を増大させれば問題
なくH2 Oの電解処理が行われる。
【0028】本発明は上記の知見に基づいてなされたも
のであり、本発明の目的は、洗浄又は表面処理に好適
で、しかも、廃液処理が容易な対イオンより過剰な濃度
の水素イオン又は水酸イオンを含む洗浄水を効率良く製
造する技術、又、対イオンより過剰な濃度の水素イオン
又は水酸イオンを含む洗浄水を提供することである。上
記本発明の目的は、対イオンよりも水素イオン又は水酸
イオンを過剰に含む洗浄水を製造する方法であって、ア
ノード室と、カソード室と、前記アノード室と前記カソ
ード室との間に隔膜を介して設けられた中間室と、前記
アノード室と前記中間室との間の隔膜表面の該アノード
室に設けられたアノード極と、前記カソード室と前記中
間室との間の隔膜表面の該カソード室に設けられたカソ
ード極と、前記中間室に設けられたイオン交換樹脂と
具備する三室構造の電解槽を用い、前記アノード室及び
/又はカソード室に水を供給すると共に、前記中間室に
は1×10−6mol/L以上、5×10−3mol/
L以下の濃度で電解質が存在する条件下で電解処理を行
うことを特徴とする対イオンよりも水素イオン又は水酸
イオンを過剰に含む洗浄水の製造方法によって達成され
る。
【0029】又、対イオンよりも水素イオン又は水酸イ
オンを過剰に含む洗浄水を製造する方法であって、アノ
ード室と、カソード室と、前記アノード室と前記カソー
ド室との間に隔膜を介して設けられた中間室と、前記ア
ノード室と前記中間室との間の隔膜表面の該アノード室
に設けられたアノード極と、前記カソード室と前記中間
室との間の隔膜表面の該カソード室に設けられたカソー
ド極と、前記中間室に設けられたイオン交換樹脂とを具
備する三室構造の電解槽を用い、前記アノード室及び/
又はカソード室に水を供給・排出すると共に、前記中間
室には1×10−6mol/L以上、5×10−3mo
l/L以下の濃度で電解質が存在する条件下で電解処理
を行うことを特徴とする対イオンよりも水素イオン又は
水酸イオンを過剰に含む洗浄水の製造方法によって達成
される。
【0030】又、アノード室と、カソード室と、前記ア
ノード室と前記カソード室との間に隔膜を介して設けら
れた中間室と、前記アノード室と前記中間室との間の隔
膜表面の該アノード室に設けられたアノード極と、前記
カソード室と前記中間室との間の隔膜表面の該カソード
室に設けられたカソード極とを具備する三室構造の電解
槽を用い、前記アノード室及び/又はカソード室に水を
供給すると共に、前記中間室には、該中間室にイオン交
換樹脂が無い場合には1×10 −3 mol/L以上の濃
度で、該中間室にイオン交換樹脂が有る場合には1×1
−6 mol/L以上の濃度で電解質が存在する条件下
で電解処理を行うことにより得られた対イオンよりも水
素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水によって達
成される。
【0031】又、アノード室と、カソード室と、前記ア
ノード室と前記カソード室との間に隔膜を介して設けら
れた中間室と、前記アノード室と前記中間室との間の隔
膜表面の該アノード室に設けられたアノード極と、前記
カソード室と前記中間室との間の隔膜表面の該カソード
室に設けられたカソード極とを具備する三室構造の電解
槽を用い、 前記アノード室及び/又はカソード室に水を
供給・排出すると共に、前記中間室には、該中間室にイ
オン交換樹脂が無い場合には1×10 −3 mol/L以
上の濃度で、該中間室にイオン交換樹脂が有る場合には
1×10 −6 mol/L以上の濃度で電解質が存在する
条件下で電解処理を行うことにより得られた対イオンよ
りも水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水によ
って達成される。
【0032】尚、上記の発明において、アノード室及び
/又はカソード室に供給する水は導電率が3000μS
/cm以下の水、望ましくは導電率が2000μS/c
m以下の水であることが好ましく、又、中間室に存在さ
せる電解質は気化性の物質、特に硝酸塩、アミン系化合
物、有機酸塩の群の中から選ばれたものが好ましい。そ
して、得られた対イオンよりも水素イオン又は水酸イオ
ンを過剰に含む水には酸化及び/又は還元物質を共存さ
せておくことが好ましいものである。
【0033】尚、本発明における対イオンよりも水素イ
オンを過剰に含む洗浄水とは対イオン濃度と等濃度の水
素イオン濃度による計算上のpHよりも低いpHを示す
洗浄水のことであり、又、本発明における対イオンより
も水酸イオンを過剰に含む洗浄水とは対イオン濃度と等
濃度の水酸イオン濃度による計算上のpHよりも高いp
Hを示す洗浄水のことである。
【0034】以下、実施例によって本発明を具体体に説
明する。
【0035】
【実施例】 〔実施例1〕図1及び図2は本発明の一実施例を示すも
のであり、図1は電解槽の概略断面図、図2は電解槽と
各種タンク等との接続状態を示す配管図である。各図
中、1はカソード極、2はアノード極、3,4は隔膜で
あり、図1に示す如く、カソード極1及びアノード極2
の表面に対向配設させられた隔膜3,4で挟まれる部分
に中間室5が形成される。
【0036】6は上記の電極や隔膜を収納する容器、7
は外部に設けられた直流電源、8はカソード室、9はア
ノード室である。10は純水製造装置であり、ポンプ1
1の作用で純水製造装置10で製造された純水(導電率
が0.06μS/cm)がカソード室8及びアノード室
9に供給されるよう構成されている。
【0037】12は電解処理されたカソード室8内の液
が送り込まれる液受けタンク、13も電解処理されたア
ノード室9内の液が送り込まれる液受けタンクである。
14は電解質水溶液が充填された電解液タンクであり、
この電解液タンク14内の電解質水溶液はポンプ15の
作用で中間室5内に送られるよう構成されている。
【0038】尚、電解処理によってカソード室8内のカ
ソード液はアルカリ性に、又、アノード室9内のアノー
ド液は酸性になる傾向が強い。従って、カソード極1の
材質は耐アルカリ性に優れたものであることが望まし
く、例えば白金、パラジウム、金、炭素鋼、ステンレス
鋼、銀、銅、グラファイト、ガラス質カーボン等の使用
が望ましい。
【0039】又、アノード極2の材質としては、耐酸性
に優れ、酸化し難いものであることが望ましく、例えば
Pt,Ru,Ir,Pd,β−PbO2 ,NiFe2
4 、ガラス質カーボン等が望ましい。隔膜3,4として
は、セルロースや合成高分子材料(PE,PP,PE
T,PTFE等)からなるフィルタ又は有孔フィルム、
イオン交換膜が挙げられる。
【0040】尚、隔膜3,4は、これらフィルタ、有孔
フィルム及びイオン交換膜を組合わせたものであっても
良く、特に、イオン交換膜としては、カソード極1側で
はOH- が中間室5に移動することを防止する為に強酸
性又は弱酸性のカチオン交換膜を用い、他方、アノード
極2側ではH+ が中間室5に移動することを防止する為
に強塩基や弱塩基のアニオン交換膜を用いることが好ま
しい。
【0041】又、中間室5内の溶質がカソード室8及び
アノード室9内に移動する必要がある場合には、イオン
交換膜として強酸性と強塩基性のイオン交換膜を重ねた
ものを用いれば良く、もしくは弱酸性と弱塩基性のイオ
ン交換膜を重ねたものを用いても良い。上述した隔膜
3,4の使用以外に溶質の移動を抑える手段としては、
中間室5の溶質濃度を下げる方法がある。しかしなが
ら、この方法では電気抵抗率が高くなり過ぎるので、中
間室5内に粒状のイオン交換樹脂を充填する。
【0042】中間室5に送られる電解質水溶液に溶解す
る電解質の選定基準は、洗浄又は表面処理の対象によっ
て異なる。即ち、シリコンウェハ等の半導体の洗浄の場
合には、イオン残留を極力抑える為に可能な限り低温で
気化する電解質を用いることが望ましく、例えば炭酸ア
ンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸ヒドラジン、
塩化ヒドラジン、硝酸アンモニウム、モルフォリン等の
アミン系化合物、又、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリ
ウム等の炭酸塩、硝酸塩、更には亜硝酸塩が挙げられ
る。
【0043】洗浄又は表面処理の廃棄物処理を容易にす
る為には、環境に悪影響を与えず、アノード液とカソー
ド液とを混合するだけで、そのまま廃棄可能な電解質が
望ましく、具体的にはNaCl,Na2 SO4 ,KC
l,K2 SO4 等のナトリウム塩や硫酸塩が挙げられ
る。又、中間室5の電解質濃度は何ら限定されないが、
1×10-3〜5mol/lの範囲であることが望まし
い。尚、中間室5に粒状イオン交換樹脂を充填する場合
には、1×10-6〜5×10-3mol/lの範囲が望ま
しい。
【0044】そして、カソード室8とアノード室9内の
電解質濃度としては1×10−2mol/l以下である
ことが望ましい。尚、電解質濃度が1×10−2mol
/lにおける導電率は1000μS/cm程度である。
更に、電解電流密度は、5mA/cm以上であること
が望ましい。上述の如く構成した電解槽を図2に示す如
く配置し、以下の条件で電解処理を行って対イオンより
も水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水(以
下、単に水と言う)を得た。
【0045】即ち、図1に示す電解槽において、カソー
ド極1にはニードルパンチ加工を施したSUS304鋼
板を、又、アノード極2には80メッシュの白金をそれ
ぞれ用いた。尚、電極の縦横寸法は80×60mmとし
た。カソード極1側の隔膜3には、目付80g/mm2
のPP製不織布とカチオン交換膜(徳山ソーダ(株)製
CMH)を、アノード極2側の隔膜4には、PP製不
織布とアニオン交換膜(徳山ソーダ(株)製 AMH)
を用いた。尚、隔膜3と隔膜4との間隔tは約6mmと
した。
【0046】純水製造装置10から送られる純水(導電
率が0.06μS/cm)の流量は200cc/min
とし、中間室5には電解液タンク14から濃度が1mo
l/lのNaCl水溶液を送った。そして、電解電流密
度は80mA/cm2 とした。電解処理が行われた液に
ついてpHや酸化還元電位について調べた処、ガラス電
極で測定したカソード液のpHは約12.2であり、銀
−塩化銀電極で測定した酸化還元電位は約−900mV
(vsAg/AgCl)であった。
【0047】一方、アノード液のpHは2.2であり、
酸化還元電位は1180mV(vsAg/AgCl)で
あった。そして、カソード液を元素分析したところ、N
aの濃度は約2.5×10-3mol/lであり、又、同
様にアノード液におけるClの濃度は約2.1×10-3
mol/lであった。即ち、測定したpHから換算され
たOH- 及びH+ の濃度に比較して、Na+ 及びCl-
の濃度は小さく、対イオンより過剰なOH- 又はH+
生成されたことが判る。
【0048】尚、NaOHを溶解して調整したpH=1
2のアルカリ水溶液における酸化還元電位は約−200
mVであり、HClを用いて調整したpH=2.2の水
溶液における酸化還元電位は約+150mVであった。
このことから、電解処理によりカソード液には還元物質
が、アノード液には酸化物質が生成されたことが判る。
【0049】そして、上記液受けタンク12,13に溜
められた水溶液を用いて、洗浄テストを行ったので、そ
の結果を下記の表−1に示す。尚、被洗浄体としては、
切削油を塗布したプレパラート及び指紋を付着させたプ
レパラートを準備し、これらのプレパラートを50cc
/minの流量で2分間にわたって洗浄した。
【0050】又、比較の為に、NaOH水溶液とHCl
水溶液を用いて同様の洗浄テストを行った。 表−1 アルカリ水 酸性水 電解水(本発明) NaOH水溶液 電解水(本発明) HCl水溶液 切削油 効果大 普通 − − 指紋 − − 効果大 普通 〔実施例2〕実施例1と同じ装置を用い、中間室5には
電解質水溶液として1mol/lの炭酸水素アンモニウ
ム水溶液を供給し、又、カソード室8及びアノード室9
には流量100cc/minで純水を供給した。そし
て、電解電流密度25mA/cm2 で電解処理を行い、
対イオンよりも水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む
水を液受けタンク12,13に得た。
【0051】電解処理が行われた液についてpHや酸化
還元電位について調べた処、ガラス電極で測定したカソ
ード液のpHは約11.3であり、銀−塩化銀電極で測
定した酸化還元電位は約−800mV(vsAg/Ag
Cl)であった。一方、アノード液のpHは3.2であ
り、酸化還元電位は+950mV(vsAg/AgC
l)であった。
【0052】尚、上記の電解処理では、時間の経過と共
にpHが中性に戻る(約2時間後にカソード液のpHは
9.0に、アノード液のpHは5.0になる)ことが確
認された。即ち、これは電解液の廃棄処理が極めて容易
であることを示すものである。そして、上記液受けタン
ク12,13に溜められた水溶液を用いて、洗浄テスト
を行ったので、その結果を下記の表−2に示す。
【0053】尚、被洗浄体としては、切削油を塗布した
プレパラート及び指紋を付着させたプレパラートを準備
し、これらのプレパラートを50cc/minの流量で
2分間にわたって洗浄した。又、比較の為に、pH=1
1.3のNH4 OH水溶液及びCO2 ガスを0.5l/
minの流量で純水バブリングして得られたH2 CO3
水溶液を用いて同様に洗浄テストを行った。
【0054】 表−2 アルカリ水 酸性水 電解水(本発明) NH4OH 水溶液 電解水(本発明) H2CO3 水溶液 切削油 効果大 普通 − − 指紋 − − 効果大 効果無し 〔実施例3〕図1の電解槽の中間室5にカチオン交換樹
脂粒(デュポン社製 ナフィオンNR−50)を充填し
た。この電解槽を図2に示す如く配置して、カソード室
8とアノード室9に電気抵抗率が1MΩ/cmの純水を
流量200cc/minで供給し、又、中間室5には濃
度が1×10-4mol/lのNaCl水溶液を供給し
た。そして、電解電流密度40mA/cm2 で電解処理
を行い、対イオンよりも水素イオン又は水酸イオンを過
剰に含む水を得た。
【0055】電解処理が行われた液についてpHや酸化
還元電位について調べた処、ガラス電極で測定したカソ
ード液のpHは約10.8であり、銀−塩化銀電極で測
定した酸化還元電位は約−700mV(vsAg/Ag
Cl)であった。一方、アノード液のpHは3.7であ
り、酸化還元電位は+1050mV(vsAg/AgC
l)であった。
【0056】又、カソード液のNa+ 濃度は約1×10
-4mol/lであり、他方、アノード液のCl- 濃度は
約8×10-5mol/lであり、過剰なOH- 又はH+
が生成されていることが判る。
【0057】
【効果】対イオンよりも水素イオン又は水酸イオンを過
剰に含む洗浄水が効率良く得られ、それは洗浄や表面処
理に際して極めて効果的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解槽の概略断面図である。
【図2】電解槽と各種タンクの接続状態を示す配管図で
ある。
【符号の説明】
1 カソード極 2 アノード極 3,4 隔膜 5 中間室 6 容器 7 直流電源 8 カソード室 9 アノード室 10 純水製造装置 11,15 ポンプ 12,13 液受けタンク 14 電解液タンク
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−90088(JP,A) 特開 昭61−14232(JP,A) 特開 昭54−145382(JP,A) 特許3236315(JP,B2) 特許3247134(JP,B2) 特許3338435(JP,B2) 澄田修生・飯田省己,レドックス式洗 浄法,Suface Control & 洗浄設計,日本,(株)近代編集 者,1987年 4月 1日,No.33, p.42,62−68 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/46 C25B 9/10 C11D 7/02 H01L 21/304

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対イオンよりも水素イオン又は水酸イオ
    ンを過剰に含む洗浄水を製造する方法であって、 アノード室と、カソード室と、前記アノード室と前記カ
    ソード室との間に隔膜を介して設けられた中間室と、前
    記アノード室と前記中間室との間の隔膜表面の該アノー
    ド室に設けられたアノード極と、前記カソード室と前記
    中間室との間の隔膜表面の該カソード室に設けられたカ
    ソード極と、前記中間室に設けられたイオン交換樹脂と
    を具備する三室構造の電解槽を用い、 前記アノード室及び/又はカソード室に水を供給すると
    共に、前記中間室には1×10−6mol/L以上、5
    ×10−3mol/L以下の濃度で電解質が存在する条
    件下で電解処理を行うことを特徴とする対イオンよりも
    水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 対イオンよりも水素イオン又は水酸イオ
    ンを過剰に含む洗浄水を製造する方法であって、 アノード室と、カソード室と、前記アノード室と前記カ
    ソード室との間に隔膜を介して設けられた中間室と、前
    記アノード室と前記中間室との間の隔膜表面の該アノー
    ド室に設けられたアノード極と、前記カソード室と前記
    中間室との間の隔膜表面の該カソード室に設けられたカ
    ソード極と、前記中間室に設けられたイオン交換樹脂と
    を具備する三室構造の電解槽を用い、 前記アノード室及び/又はカソード室に水を供給・排出
    すると共に、前記中間室には1×10−6mol/L以
    上、5×10−3mol/L以下の濃度で電解質が存在
    する条件下で電解処理を行うことを特徴とする対イオン
    よりも水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 アノード室及び/又はカソード室に供給
    する水は導電率が3000μS/cm以下の水であるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2の対イオンよりも
    水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 中間室に存在している電解質が硝酸塩、
    アミン系化合物、有機酸塩の群の中から選ばれたもので
    あることを特徴とする請求項1又は請求項2の対イオン
    よりも水素イオン又は水酸イオンを過剰に含む洗浄水の
    製造方法。
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