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JP3461264B2 - 消波構造物 - Google Patents
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JP3461264B2 - 消波構造物 - Google Patents

消波構造物

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JP3461264B2 JP18307097A JP18307097A JP3461264B2 JP 3461264 B2 JP3461264 B2 JP 3461264B2 JP 18307097 A JP18307097 A JP 18307097A JP 18307097 A JP18307097 A JP 18307097A JP 3461264 B2 JP3461264 B2 JP 3461264B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、砕波を効率的に利
用した消波構造物に関する。 【0002】 【従来の技術】砕波を利用する消波構造物としては、特
開平4−289310号に開示されている沖合側を最深
部とした階段状の水平板によるもの、実開平4−575
18号に開示されている平行な傾斜板によるもの、特開
平4−136311号に開示されている砕波用の潜堤を
本堤体の外海側に設置するものなどがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】図1に示すような潜堤
を含む人工リーフや離岸堤などによる波浪制御および海
岸保全工法は、砕波を利用して消波を積極的に行う点で
原理的に優れ、多くの利点を有している。しかし、現状
の人工リーフや離岸堤では消波機能が必ずしも十分では
ない。このため、従来の技術の項で述べたような人工リ
ーフの断面を増大したり、堤体の透過性を高めるなどし
て消波機能の改善を図ってきた。要求される波浪減勢を
達成するために種々の工夫がなされてはいるものの、十
分な効果を発揮させることができず、経済性や堤体の安
定性に問題を残す結果となっている。 【0004】こうした問題を解消し、人工リーフ工法を
抜本的な波浪制御・海岸保全工法に発展させていくため
には、この工法の原理である砕波による消波機能を向上
させ、砕波をより積極的に活用していく必要がある。単
純に断面諸元を増大させるのではなく、要求される波浪
減勢を達成できる砕波を発生させるようにする必要があ
る。 【0005】しかしながら、これまでに開発されてきた
砕波を有効利用した消波構造物では、消波機能を格段に
改善するものになっていない。 【0006】 【課題を解決するための手段】消波構造物を下段リーフ
と上段リーフの上下2段としたダブルリーフ構造物と
し、スリット構造のトラップ部を上段リーフに設け、複
合型砕波によるジェットをトラップ部に突入させること
により、複合型砕波の強大なジェットの突入に伴うスプ
ラッシュおよび水平渦の生成による造波作用によって消
波効果が相殺されるのを抑制するものである。 【0007】 【0008】 【0009】 【発明の実施の形態】以下に本発明を数値シミュレーシ
ョンおよび水理実験に基づき説明する。 【0010】数値シミュレーション シングルリーフ 図2において、h1は水深、R1はシングルリーフの天端
高を表す。このシングルリーフに孤立波を入射させた時
の砕波の波形およびジェットサイズの変化を明らかにす
るため、境界積分法(BIM)を用いて数値シミュレー
ションを実施した。計算では、シングルリーフの相対天
端高(R1/h1)をパラメーターとして0.25〜0.
90に変化させた。 【0011】計算結果の一例を図3(a)、(b)に示
す。これらは、それぞれ巻き波型砕波および巻き寄せ波
型砕波の波形変化である。さらに、シングルリーフ上で
ジェットの規模と入射波の波高水深比(H1/h1)およ
びリーフ天端高との関係を明らかにするため、図4に示
すようにジェット落下限界時の波形に対してジェットの
長さおよび高さを設定し、これを基にジェットサイズ指
標(β5)を式(1)に示すように定義した。 【化1】 このジェットサイズ指標(β5)とシングルリーフ相対
天端高(R1/h1)の関係を入射波の波高水深比(H1
/h1)ごとに調べた。 【0012】その結果を図5に示す。それぞれの入射波
の波高水深比(H1/h1)の下でジェットサイズ指標
(β5)に極大値が生じ、入射波の波高水深比(H1/h
1)が0.5の場合のジェットサイズ指標(β5)が最大
値となる。このことは、シングルリーフの下では入射波
の波高水深比(H1/h1)やリーフ天端高(R1)を変
化させても砕波のジェットサイズ指標(β5)には上限
値0.05が存在し、これを超えるジェットは生じない
ことを示している。 【0013】ダブルリーフ 図6に示す消波構造物において、X1は下段リーフの長
さを、R1は上段リーフの天端高を、また、R2は下段リ
ーフの天端高をそれぞれ表す。このダブルリーフに孤立
波を入射させた時の砕波波形に関しても数値シミュレー
ションを実施した。計算では上段リーフの相対天端高
(R1/h1)を0.8に固定し、下段リーフの相対天端
高(R2/h1)を0.3〜0.5、下段リーフの水深
(h1)に対する相対長さ、すなわちステップ間隔(X1
/h1)を0.0〜23.0にそれぞれ変化させ、これ
らのリーフに入射波の波高水深比(H1/h1)が0.
4,0.5および0.6の定常孤立波を入射させた。 【0014】計算結果を示す図7からは、従来の分類に
はない波形変化を伴う砕波の発生が確認できる。この砕
波は、主波峯前面の2次波峯が発達し、それが主波峯に
取って替わるのではなく、急峻化した主波峯と2次波峯
とが複合することによって生じている。その特徴は、冠
を戴いたような複合波峯部の形状とそこからの強大なジ
ェットの放出にある。このように主波峯と2次波峯の複
合によってジェットを著しく発達させるような砕波をこ
こでは複合型砕波と呼ぶ。さらに、複合型砕波の砕波限
界およびジェット落下限界時の波形的特徴を明らかにす
るため、波高水深比(H1/h1)が0.5である同一の
入射波を相対天端高(R1/h1)が0.8の上段リーフ
を有するダブルリーフと同一の天端高のシングルリーフ
に入射させた場合の波形との比較を図8に示す。 【0015】図8から明らかなように、複合型砕波を特
徴づける砕波限界時の戴冠波形にその特徴がよく現れて
いる。また、このときの巻き波型砕波のジェットサイズ
は、図5からわかるようにシングルリーフ上で生じるジ
ェットのほぼ上限に近く、複合型砕波のジェットサイズ
はこれを大きく上回っている。これらの結果から、リー
フの先端を下段リーフ1と上段リーフ2とからなる2段
ステップとし、下段リーフの水深に対する相対長さであ
るステップ間隔(X1/h1)を6.5前後とすることに
よって、砕波形式を複合型砕波とすることができ、強大
なジェットを発生させることができる。 【0016】水理実験 数値シミュレーションとともに複合型砕波の発生を水理
実験で説明する。 【0017】実験条件 片面ガラス張りで長さ65m、幅1m、深さ1.6mの
2次元波浪水槽を用い、水槽内に上段リーフの天端高
(R1)が26.0cm,下段リーフの天端高(R2)が
13.0cm,下段リーフの長さ(X1)が250.0
cmの鋼製のダブルリーフ模型を設置し、16台の波高
計を図9に示すように設置し、水深(h1)を31.0
cmに保ち、波高(H1)が13.0cmの定常孤立波
を発生させた。砕波限界前後の空間波形は高速ビデオカ
メラ(NAC製、200コマ/秒)によって録画し、画
像解析して求めた。 【0018】実験結果 数値シミュレーションで得られたものと同様の複合型砕
波が生成されていることが確認できた。画像解析によっ
て得られた複合型砕波の砕波限界およびジェット落下限
界時の空間波形と同一条件下の数値シミュレーションに
よる波形を比較した。その結果、複合型砕波を特徴づけ
ている急峻な戴冠状波峯と強大なジェットについては、
実験結果および数値計算ともにほぼよい一致を示してい
る。 【0019】複合型砕波の特徴は、主波峯と2次波峯の
複合によって強大なジェットを生成する点である。特
に、砕波限界時のジェットサイズによって特徴づけられ
る。前述したように、シングルリーフによって生じる従
来型の砕波では入射波の波高水深比(H1/h1)に応じ
てジェットサイズ指標(β5)の値に上限が存在し、リ
ーフの相対天端高(R1/h1)を増大させても上限値を
超える砕波は発生しないことが数値計算より明らかであ
る。したがって、従来型の砕波におけるジェットサイズ
(β5)の上限値である0.05を超える砕波が複合型
砕波の発生に関する一応の目安である。 【0020】ダブルリーフ上での複合型砕波の発生条件 上段リーフの相対天端高(R1/h1)を0.8と固定し
たダブルリーフに入射する孤立波を対象として、複合型
砕波の発生条件について検討を加えた。ダブルリーフ上
での砕波波形やジェットの規模は、ステップ間隔(X1
/h1)に応じて変化するため、下段リーフの相対天端
高(R2/h1)を0.3〜0.6と変化させた時のジェ
ットサイズ指標(β5)とステップ間隔(X1/h1)の
関係について検討した。 【0021】図10はその結果を示したものであり、ス
テップ間隔(X1/h1)や下段リーフの相対天端高(R
2/h1)の値に関係なく、いずれの場合もジェットサイ
ズ指標(β5)は、相対天端高(R1/h1)が0.8の
シングルリーフの場合の極大値0.05を上回ってお
り、リーフを2段としたダブルリーフによって複合型砕
波が常に生成され、消波効果が得られる。上段リーフの
相対天端高(R1/h1)が0.8の場合、ステップ間隔
(X1/h1)がほぼ4.5および下段リーフの相対天端
高(R2/h1)が0.4〜0.5の場合、従来型の砕波
における最大規模のジェットの3倍近いジェットを伴う
複合型砕波を発生させることができる。下段リーフと上
段リーフの間隔であるステップ間隔(X1/h1)の最適
値は、下段リーフによる砕波点位置と関わっており、こ
の砕波点より少し手前に上段リーフを設置した場合にジ
ェットサイズが最大となる。 【0022】図11は、そのことを明らかにするため、
下段リーフによる砕波点から上段リーフのステップ位置
までの距離(δx)(負符号は上段リーフが下段リーフ
による砕波点より手前、すなわち沖側にあることを意味
する。)とジェットサイズ指標(β5)との関係を波高
水深比(H1/h1)が0.4,0.5および0.6の入
射波に対してそれぞれ示したものである。この図から、
下段リーフによる砕波点より2h1程度手前にステップ
を設置した場合に最大規模のジェットを伴う複合型砕波
が生じることがわかる。 【0023】複合型砕波の砕波後の波高減衰特性 1)波高変化 同一の入射波の波高水深比(H1/h1)の下での砕波形
式の違いに伴う砕波後の波高変化の差異を明らかにする
ため、入射波の波高水深比(H1/h1)が0.30,
0.42および0.55の孤立波を相対天端高(R1
1)が0.43および0.85の2種類のシングルリ
ーフ並びに上段リーフの相対天端高(R1/h1)が0.
85で下段リーフの相対天端高(R2/h1)が0.4
3,下段リーフと上段リーフとのステップ間隔(X1
1)が8.06のダブルリーフにそれぞれ入射させ、
その時の波高変化について調べた。 【0024】この場合、リーフの条件によって反射率が
異なるため、それぞれの砕波限界前の最大波高
(Hmax)で砕波後の波高変化を規準化し、リーフ先端
からの無次元距離(X2/h1)(ダブルリーフでは上段
リーフ先端からの距離X2)との関係について比較し
た。ダブルリーフ上では測点W16(図9参照)におい
てもなお減衰が進み、過渡的状態にあるものの、そこで
の波高を透過波高(HT)とし、これとリーフ上の最大
波高(Hmax)との差を波高減衰高(Hmax−HT)とし
て求めるとともに、最大波高(Hmax)に対する比(1
−HT/Hmax)を減衰率と定義し、この減衰率に及ぼす
砕波形式の影響について検討した。 【0025】シングルリーフの相対天端高(R1/h1
が0.85の場合にシングルリーフ上で発生する巻き波
型砕波並びに上段リーフの相対天端高(R1/h1)が
0.85,下段リーフの相対天端高(R2/h1)が0.
43,ステップ間隔(X1/h1)が8.06のダブルリ
ーフ上の複合型砕波による減衰率(1−HT/Hmax)と
の比較を行ったものを図12に示す。 【0026】同一のリーフ上では、減衰率は砕波形式に
よらず入射波の波高水深比(H1/h1)とともに増大す
るが、入射波の波高水深比(H1/h1)が0.42の場
合、巻き波型砕波に比べて複合型砕波の減衰率(1−H
T/Hmax)が15%程度増大し、複合型砕波の発生によ
って波高減衰が砕波後の早い段階(波先の伝播距離が小
さい所)で生じている。 【0027】透過率および反射率 X2が最長となる測点W16での波高を透過波高(HT
とし、これが入射波高(H1)に対する比として透過率
(KT=HT/H1)を定義する。一方、測点W01にお
ける反射率(KR)を、W01点での反射波の波高
(HR)と入射波の波高(H1)との比HR/H1と定義
し、破砕形式の違いに基づく反射率の差異について検討
した。 【0028】図13に、入射波の波高水深比(H1
1)が0.30,0.42および0.55の孤立波を
相対天端高(R1/h1)が0.85のシングルリーフ、
および、下段リーフの相対天端高(R1/h1)が0.8
5,上段リーフの相対天端高(R2/h1)が0.43,
ステップ間隔(X1/h1)が8.06のダブルリーフに
それぞれ入射させたときの透過率(KT)および反射率
(KR)を示す。シングルリーフ上では巻き波型砕波、
ダブルリーフ上では複合型砕波がそれぞれ出現してい
る。シングルリーフの場合、波高水深比(H1/h1)が
0.42の入射波に関して反射率(KR)が0.31、
透過率(KT)が0.37であるのに対し、それよりも
断面の小さいダブルリーフでは反射率(KR)が0.2
0に減少し、透過率(KT)も0.28まで低下してい
る。 【0029】さらに、波高水深比(H1/h1)が0.5
5の入射波に対しては透過率(KT)が0.24まで低
下し、透過波の波高水深比(HT/h1)を0.13程度
に抑えることができる。 【0030】このように同一の入射波およびリーフ天端
高の条件下であっても、ステップを1段(シングルリー
フ)ではなく、ステップ間隔(X1/h1)が8.06程
度の間隔を持つ2段ステップ(ダブルリーフ)とするこ
とによって、反射率(KR)を低下させられるだけでは
なく、複合型砕波の発生に伴って透過率(KT)も減少
させることができる。 【0031】トラップ式ダブルリーフ工法 複合型砕波の強大なジェットの突入に伴うスプラッシュ
および水平渦の生成による造波作用によって消波効果が
相殺されてしまうので、ジェットや水平渦による波の再
生を防ぐ一方で、ジェットの突入を強い渦拡散の生成の
みに転化させるためリーフをスリット構造としたもので
ある(図14参照)。スリット構造のトラップ部は、図
14に示すように板を波の進行方向に対して間隔をあけ
て傾斜させて配列したものである。このスリット構造
は、生成されたジェットを捕捉し、その造波作用を抑制
するものである。 【0032】トラップ部の最適化 水深(h1)を31.0cmに固定し、入射波を孤立波
とする場合については、入射波の波高水深比(H1
1)を0.28、0.40、0.44および0.50
とし、クノイド波を入射する場合については無次元周期
(式(2)参照)を20とし、入射波の波高水深比(H
1/h1)を変化させた。 【化2】 下段リーフ天端高(R2)を13.2cm、上段リーフ
天端高(R1)を26.3cmに固定し、リーフのステ
ップ間隔(X1/h1)を0.0、3.23、8.06、
8.89および9.53の5通りに変えて砕波形式を変
化させるとともに、上段リーフ端部からトラップ部の沖
側端部までの無次元水平距離(X2/h1)を1.61、
3.23および4.07に変化させてジェット突入とト
ラップ部位置との関係を検討した。 【0033】また、比較のためにトラップ部のスリット
構造を粒径5〜l0mmの砕石に代えた場合並びに厚さ
1mmのゴム膜をトラップ部に張り、その下を中空にし
た場合の実験も併せて実施した。これらの波形変化は、
16台の波高計で計測し(図15参照)、3台のビデオ
カメラ(NAC製、200コマ/秒)によってジェット
突入時のスプラッシュや水平渦の生成状況を観測した。
図16には、ダブルリーフを対象として入射波の波高水
深比(H1/h1)が0.44の孤立波をトラップ部を有
するケース(上段リーフのステップ間隔X2/h1が4.
07の場合)とトラップ部を有さないケースに入射させ
た時の波形変化の比較が示してある。 【0034】砕波点に一致するW05までは、両ケース
の波形は反射部分を除き一致している。W07より岸側
の波形(図15のW07〜W16)ではトラップ部の波
高減衰効果が波形全体に現れている。図17は、入射波
の波高水深比(H1/h1)が0.44のクノイド波をト
ラップ式のダブルリーフに入射させた場合を示す。これ
によると、リーフからの戻り流れのために砕波点が変動
しているものの、トラップ部通過後である測点W09よ
り岸側の波高の減衰は急激であり、図16の孤立波と比
較しても減衰効果が大きなことがわかる。すなわち、ク
ノイド波の場合には戻り流れの影響などが加わって消波
が助長されており、消波効果が顕著である。 【0035】図18は、孤立波およびクノイド波の砕波
後の各測点における波高比(H/H1)の空間変化を示
す。孤立波(図中の○印)の場合、トラップ部の沖側端
部より岸側(X/h1>12.1)の領域においてトラ
ップ効果がより明瞭に現れている。さらに、クノイド波
(図中の△印)の場合、X/h1>30において波高比
(H/H1)の値が0.1を下回っており、波高減衰が
孤立波の場合より顕著である。なお、Xは下段リーフの
ステップ位置を原点としたときの岸向きの座標である。 【0036】波高伝達率と反射率 図19は、上段リーフの位置を変化させたときに、入射
波の波高水深比(H1/h1)が0.44で、上段リーフ
端部からトラップ部沖側端部までの無次元距離(X2
1)が4.07場合の孤立波の伝達率(KT)と反射率
(KR)の変化を示したものである。図中にはトラップ
部無しの場合もプロットされている。トラップ部を有す
る場合は、無い場合と比較して伝達率(KT)が小さく
なっている。最も発達した複合型砕波を生じるステップ
間隔(X1/h1)が8.06の場合においては、トラッ
プ部の無い場合の伝達率(KT)が0.3程度であるの
に対し、トラップ部を設けた場合には消波効果が顕著と
なり、その伝達率は0.22程度まで減少する。 【0037】さらに、リーフのステップ間隔(X1
1)が3.2から9.5の領域にスリット構造のトラ
ップ部を設けることにより消波が有効におこなわれる。
また、反射率(KR)はリーフのステップ間隔(X1/h
1)の増大と共に減少し、リーフのステップ間隔(X1
1)が8.06のときに最小値0.2となる。 【0038】トラップ部を設けた場合、リーフのステッ
プ間隔(X1/h1)が3.23より大きい領域の反射率
(KR)がトラップ部の無い場合より0.02〜0.0
3程度増大している。これはトラップ部からの戻り流れ
が反射波を発達させているからである。図20にジェッ
トの突入点とトラップ部沖側端部位置との関係を示す。
ステップ間隔(X2/h1)が増加するにつれて伝達率
(KT)は一様に低下している。このことから、ジェッ
ト突入後の上段リーフ上での砕波波先の伝播距離が消波
効率に関係することがわかる。 【0039】トラップの構造 比較のためにトラップ部をスリット構造に代えてA:粒
径5〜l0mmの砕石にした場合並びにB:厚さ1mm
のゴム膜をトラップ部の天端に張り、その下を中空にし
た場合の実験を併せて実施した。水理実験に際しては、
最大規模のジェットが生じるステップ間隔(X1/h1
を8.06とし、無次元水平距離(X2/h1)が3.2
3の位置に上述した構造の異なるトラップ部を設置し
た。これらの波形変化は、16台の波高計で計測し、3
台のビデオカメラ(NAC製、200コマ/秒)によっ
てジェット突入時のスプラッシュや水平渦の生成状況を
観測し、伝達率(KT)とトラップ部の構造との関係に
ついて比較した。 【0040】図21は、その結果を示したものである。
砕石(図21の×印)およびゴム膜(図21の□印)の
場合は、両者の伝達率(KT)には差異が認められない
ものの、両者ともにトラップ部を設けない場合(図20
の●印;Solid-reef)よりも伝達率(KT)は大きくな
っている。このことは、ジェットの突入によって移動し
たり、変形したりする砕石からなる移動床境界やゴム膜
の可動境界では強大なジェットの突入が境界面の変形に
よって吸収され、突入による渦拡散の発達が抑制され、
かえって伝達率が増大するものと考えられる。 【0041】以上の実験の結果、トラップ部の構造とし
ては、単純に捨石などの透過構造としても効果は得られ
ず、ジェットの捕捉機能を有するスリット構造が最適で
ある。 【0042】応用例 図22(a)に示すような、離岸堤や人工リーフ等で海
岸保全を実施しているような急勾配の海浜に本発明の消
波構造物を構築する場合を説明する。制御対象となる波
浪を希望する位置で砕波させるために、原地形と一体と
なって消波機能を発揮するダブルリーフを構築する。下
段リーフの構造型式としては、リーフ、潜堤、没水平板
および斜板など適宜のものを選択することができる。さ
らに、2次波峯を生成するための上段リーフを構築す
る。上段リーフのジェットの突入点にはスリット構造の
トラップ部を設ける。 【0043】これによって図22(b)に示すように、
急勾配の浸食海岸に遠浅の海浜を回復し、海浜の安定性
や海水の浄化能力を高めることができるようになり、豊
かな海浜環境を創造することができる。さらに、本発明
の消波構造と海浜部との間には静穏度の高い水域が創り
出されるので、海洋性レクレーションにも適した場を提
供できる。トラップ部は、魚礁としても機能し、さらに
砕波のジェットによって、酸素が供給されるので溶存酸
素が増大し、生物成育の環境としても好ましい状態とな
るので生物の多様性も著しく高まり、魅力あるダイビン
グスポットとなる。 【0044】又、図23に示すように、緩勾配の海浜に
おいて、養浜工や人工海浜に本発明を適用すると、高い
消波効率によって従来の人工リーフや潜堤などを設置し
た場合よりも細かい砂が海岸に供給され、砂浜の粒径を
細かくすることができる。言い換えれば、砂浜の浄化機
能や利用上の満足度を高めるばかりでなく、快適な海浜
を創り出すことができる。 【0045】 【発明の効果】リーフをダブルリーフとすることによっ
て、反射率(KR)を低下させるだけでなく、複合型砕
波の発生に伴って透過率(KT)も減少させることがで
きる。したがって、ダブルリーフ上で複合型砕波を発生
させるようにした消波構造物は、消波が有効におこなわ
れ、波浪減勢の効果が大きい。 【0046】生成された複合型砕波の強大なジェットが
突入する部分にトラップ部を設けることにより、スプラ
ッシュおよび水平渦の生成を抑え、波の再生を防ぎ、ジ
ェットの突入を強い渦拡散の生成に転化させることがで
きる。このため、生成されたジェットが捕捉され、その
造波作用が抑制されるので消波が有効におこなわれる。
さらに、トラップ部をスリット構造とすると著しく大き
な消波効果が得られる。 【0047】本発明の消波構造物は、従来の人工リーフ
工法の利点を残しながら、その弱点であった消波効率の
低さを克服したものである。これまでに人工リーフや潜
堤では波浪制御が困難と思われていた海岸に本発明の消
波構造物を設置することによって、離岸堤以上の制御効
果を得ることができる。これによって急勾配の浸食海岸
に遠浅の海浜を回復し、海浜の安定性や海水の浄化能力
を高めるとともに砂浜の環境を改善し、豊かな海浜環境
を作り出すことができる。さらに、静穏度の高い水域の
創出によって海洋性レクレーションにも最適な場が確保
できる。 【0048】又、養浜工や人工海浜に本発明を適用した
場合、高い消波効率によって従来のリーフや潜堤よりも
砂浜の粒径を細かくすることができ、砂浜の浄化機能や
利用上の満足度を高めることができる。スリット構造を
トラップ部に設けた場合には、魚礁としても機能し、そ
の上、強大なジェットの突入に伴って溶存酸素の供給が
増大するため、生物の生息環境としても好ましい状態と
なり、生物の多様性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】従来の砕波型消波構造物の概略図。 【図2】シングルリーフの消波構造物の側面図。 【図3】孤立波のシングルリーフ上での波高変化とリー
フ天端高の関係を示す図。 【図4】ジェット落下限界時のジェットの長さと高さを
説明する図。 【図5】ジェットサイズ指標と入射波の波高水深比(H
1/h1)およびリーフ天端高の関係を示す図。 【図6】ダブルリーフ消波構造物の側面図。 【図7】ダブルリーフ上での複合砕波の波形変化を示す
図。 【図8】同一の入射波を同一の高さのシングルリーフお
よびダブルリーフに入射させたときの波高変化の比較
図。 【図9】水理実験をおこなった水槽の概略図。 【図10】ジェットサイズ指標とステップ間隔および下
段リーフ天端高の関係を示す図。 【図11】下段リーフのみの場合の砕波点から上段リー
フのステップ位置までの距離とジェットサイズ指標の関
係を示す図。 【図12】入射波の波高水深比(H1/h1)と減衰率の
関係を示す図。 【図13】シングルリーフ並びにダブルリーフでの反射
率および透過率を比較した図。 【図14】トラップ部をスリット構造とした場合の斜視
図。 【図15】トラップ部を有する消波構造物を対象として
水理実験をおこなった水槽の概略図。 【図16】孤立波を入射させた場合の複合型砕波に伴う
波形変化を比較した図。 【図17】トラップ式ダブルリーフ上でのクノイド波の
波形変化図。 【図18】クノイド波の砕波後の波高変化を示す図。 【図19】伝達率、反射率およびステップ間隔との関係
図。 【図20】伝達率とトラップ部の沖側端部位置との関係
図。 【図21】伝達率とトラップ部構造との関係図。 【図22】急勾配海浜への応用例。 【図23】養浜への応用例。 【符号の説明】 1 下段リーフ 2 上段リーフ 3 スリット構造を有するトラップ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陸田 秀実 岐阜県岐阜市早田東町6−41 プリンス マンション東町2号 (72)発明者 多田 彰秀 神奈川県大和市下鶴間2570−4 (72)発明者 福本 正 神奈川県大和市下鶴間2570−4 (56)参考文献 特開 平4−11107(JP,A) 特開 平4−289310(JP,A) 実開 昭54−172891(JP,U)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】下段リーフと上段リーフからなるダブルリ
    ーフ消波構造物であって、スリット構造のトラップ部を
    上段リーフに設け、複合型砕波によるジェットをトラッ
    プ部に突入させるようにした消波構造物。
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