JP3485658B2 - 蛍光性分子の定量方法 - Google Patents
蛍光性分子の定量方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶液中の蛍光性分子の定
量方法に関する。詳しくは、蛍光性分子からの発光強度
より蛍光性分子の定量を行う定量方法において、蛍光性
分子と結合可能な蛍光性会合体を共存させ且つ該蛍光性
会合体に光を照射することによって、より高感度な蛍光
性分子の定量を可能にする蛍光性分子の定量方法であ
る。 【0002】 【従来の技術】特定の物質を定量することが必要な最も
重要な分野の1つとして臨床検査がある。現代の臨床医
学は診察、検査、治療の3つの柱で支えられている。と
りわけ、臨床検査は得られるデータの客観性が最も高い
ため、他に科学的根拠を与え、それらの指針となるもの
である。臨床検査の中でも電解質、酵素等の生化学検
査、抗原、抗体等の免疫血清検査は分析化学の一分野で
あり、近年の分析化学の進歩に伴って生体液中の微量生
理活性物質の定量が可能となってきている。また、分子
生物学の発展により分子レベルでの生理活性物質の機能
が解明されてきており、微量生理活性物質の定量によ
り、従来不可能であった疾病の診察や治療が可能になり
つつある。 【0003】生理活性物質の分析において、原子吸光法
による金属イオンの定量の如く特別な分離を必要とせず
直接分析可能なものは希である。一般には対象物質をな
んらかの手段で分離した後、適当な手段で定量する必要
がある。多くの生理活性物質は生体内において認識され
ることによりその機能を発現する。即ち、生体内には天
然に物質を認識する分子が存在し、これを利用すること
により目的成分を特異的に測定可能となる。生体由来の
物質の認識分子としては免疫反応に関与する物質、即ち
抗原、抗体等が実際の臨床検査用の分析に用いられてい
る。 【0004】抗原、抗体等の入手については、最近の遺
伝子操作技術の進歩により有用な手段が確立されつつあ
る。即ち、従来用いられてきた天然の生体由来のポリク
ローナルな抗体に替り、遺伝子操作によってモノクロー
ナルな抗体が容易に作製可能となっている。該抗体を用
いることにより特定の分析対象物質を、抗体と結合させ
ることができる。臨床検査においてはこれらの分析対象
物質と抗体の結合体を標識して定量することが一般に行
われている。標識方法としては様々なものが実用化され
ているが、高感度分析に用いる方法としては放射性同位
体を用いるラジオイムノアッセイ法(以下RIA法と略
記する)が用いられてきた。しかし、RIA法は放射線
を用いる特殊な設備が必要であるため、近年、これに代
わるイムノアッセイ法として色素による標識法が浸透し
つつある。 【0005】色素による標識では特別の施設を必要とせ
ず、また取扱いも簡便であることが特徴となっている。
しかし、一般に色素法はRIA法と比較して感度が低い
という点が問題となっており、感度の良い色素法の開発
が切望されているのが現状である。 【0006】色素濃度の測定方法としては、吸光度法、
蛍光法、発光法の3種類が主なものであり、それぞれの
測定方法に使用可能な色素が用いられている。吸光度法
については感度は色素のモル吸光系数に依存しており、
検出限界が比較的低いという問題点がある。発光法につ
いては特別な光源を用いないため、バックグランドが低
く感度が良いという特徴があるが、使用可能な色素が限
られており、色素が不安定といった問題点を有してい
る。蛍光法については吸光度法と比較して感度が良いた
めに測定方法として広く用いられていが、感度の点でR
IA法にはおよばないという問題点がある。 【0007】蛍光法の感度を向上させる目的で、蛍光の
異方性を測定する方法や、特定の金属錯体を用いて遅延
蛍光を測定する方法が報告されてるがその感度は未だ不
十分である。シーグムントらは、2種類の色素を用いて
エネルギー移動を起こさせることにより感度を向上させ
ることを報告している(シンソリッドフィルムズ、19
92年、210/211巻、480ページ[Thin Solid
Films,210/211(1992),480])。しかし、その感度はエ
ネルギー移動を用いない場合と比較して3倍程度であ
り、さらなる感度の向上が望まれていた。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】従って、蛍光色素で標
識された分析対象物と認識分子の結合体を、高感度にか
つ簡便に測定する方法の開発が望まれていた。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる問
題点を解決し得る蛍光性分子の定量方法を開発すべく鋭
意研究を重ねた。その結果、特定の色素分子が配向した
会合体を共存させることにより、分析対象とする蛍光性
色素の蛍光が著しく増強され、検出感度が向上すること
を見出し本発明を完成するに至った。 【0010】即ち、本発明は、蛍光性分子と該蛍光性分
子と結合可能な平均分子量(重量平均)が1万〜1億の
範囲の蛍光性会合体との共存下に蛍光性会合体に吸収可
能な光を照射し、蛍光性会合体からのエネルギー移動に
帰因する蛍光性分子からの発光を測定することにより蛍
光性分子の量を決定することを特徴とする蛍光性分子の
定量方法である。 【0011】本発明中で用いる検出感度とは、検出しう
る最低限の濃度を示す検出下限と分析時の信号強度と濃
度の比を示す分析感度を合わせた意味を示す。 【0012】本発明の蛍光性分子の定量方法において、
対象となる蛍光性分子は蛍光性を有するものであれば公
知の分子が特に限定されることなく使用可能である。蛍
光性分子を定量する際の感度は用いる蛍光性分子の蛍光
量子収率に大きく影響されるため、望ましくは蛍光量子
収率が0.001以上、更に高感度な測定のためには
0.01以上の蛍光量子収率を有する蛍光性分子が望ま
しい。 【0013】蛍光性性分子の吸収極大波長としては、用
いる蛍光性会合体にもよるが250nm以上800nm
以下の吸収極大を有する分子が望ましい。吸収極大波長
が250nm以下であると十分な感度が得られない場合
がある。また、800nm以上である場合特殊な測定装
置が必要になる。 【0014】蛍光性分子の発光極大波長としては、30
0nm以上900nm以下が望ましい。吸収極大波長が
300nm以下である場合、十分な感度が得られない場
合が多い。また、900nm以上である場合、強度の測
定に特殊な装置が必要となる。発光極大波長が400n
m以上であると、測定用のセルの材料として安価なガラ
スやポリスチレンなどが使用可能となるため特に好適で
ある。 【0015】本発明の定量方法は特に水溶液中の蛍光性
分子の定量に適しているため、生体成分の定量に好適で
ある。特に好適に用いられる生体成分由来の蛍光性分子
としては以下の2種類が挙げられる。 【0016】(1)蛍光性を有する生理活性物質あるい
は生体由来物質。 【0017】(2)蛍光性色素で標識された生理活性物
質あるいは生体由来物質 (1)の蛍光性を有する生理活性物質あるいは生体由来
物質(以下蛍光性生体分子と略記する)の場合、分子自
体が蛍光性を有しているため、試料の前処理等の煩雑な
操作が不要となるため本発明の定量方法が特に好適に使
用可能である。一般に好適に用いられる蛍光性生体分子
としては、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチ
ド、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン
酸、ビタミンB2(リボフラビン)、クロロフィル、葉
酸等が挙げられる。 【0018】(2)の蛍光性色素で標識された生理活性
物質あるいは生体由来物質(以下蛍光標識生体分子と略
記する)は、測定対象の生体成分を適当な反応性基を有
する蛍光性色素(以下蛍光標識化試薬と略記する)で標
識することにより得られる。本発明の蛍光性分子の定量
方法において、蛍光標識生体分子も好適な蛍光性分子で
ある。 【0019】上記蛍光標識化試薬としては公知のものが
使用可能であるが、アミノ基反応性蛍光標識化試薬、カ
ルボキシル基反応性蛍光標識化試薬、アルデヒド基反応
性蛍光標識化試薬、水酸基反応性蛍光標識化試薬、また
はチオール基反応性蛍光標識化試薬が好適に使用され
る。アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基
およびチオール基は、一般に生理活性物質あるいは生体
由来分子内に存在するため特にこれらの標識化試薬が好
適に用いられる。 【0020】アミノ基反応性蛍光標識化試薬としては、
フルオレセイン−4−イソチオシアネート、3−クロロ
カルボニル−6,7−ジメトキシ−1−メチル−2(1
H)−キノキザリノン、フルオレセイン−4−イソチオ
シアネート、4−クロロ−7−ニトロベンゾフラザン、
4ーフルオロ−7−ニトロベンゾフラゾン、スルフォロ
ーダミン101酸クロリド、フルオレスカミン、o−フ
タルアルデヒド、ダンシルクロリド等が好適に使用され
る。 【0021】カルボキシル基反応性蛍光標識化試薬とし
ては、3−ブロモメチル−6,7−ジメトキシ−1−メ
チル−1,2−ジヒドロキノキザリン−2−オン、4−
ブルモメチル−7−メトキシクマリン、1,2−ジアミ
ノ−4,5−メチレンジオキシベンゼン・2塩酸塩等が
好適に使用される。 【0022】アルデヒド基反応性蛍光標識化試薬として
は、1,2−ジアミノ−4,5−ジメトキシベンゼン・
2塩酸塩、2,2’−ジチオビス(1−アミノナフタレ
ン)、4ーアミノ−3−ペンテン−2−オン等が好適に
使用される。 【0023】水酸基反応性蛍光標識化試薬としては、3
−クロロカルボニル−6,7−ジメトキシ−1−メチル
−2(1H)−キノキザリノン、2−(5−クロロカル
ボニル−2−オキサゾリル)−5,6−メチレンジオキ
シベンゾフラン等が好適に使用される。 【0024】チオール基反応性蛍光標識化試薬として
は、4−フルオロ−7−スルファモイルベンゾフラザ
ン、N−[4−(6−ジメチルアミノ−2−ベンゾフラ
ニル)フェニル]マレイミド、2,2’−ジヒドロキシ
−6,6’−ジナフチルジスルフィド、N−[4−
(5,6−メチレンジオキシ−2−ベンゾフラニル)フ
ェニル]マレイミド、N−(9−アクリジニル)マレイ
ミド、4−クロロ−7−スルフォベンゾフラザン・アン
モニウム塩、4−フルオロ−7−スルフォベンゾフラザ
ン・アンモニウム塩、ダンシルアジリジン、5−(ヨー
ドアセトアミドエチル)アミノナフタレン−1−スルホ
ン酸、5−ヨードアセトアミドフルオレセイン、N−
(1−アニリノナフチル−4)マレイミド、N−(3−
ピレン)マレイミド、エオシン−5−ヨードアセトアミ
ド等が好適に使用される。 【0025】上述の蛍光標識化試薬で標識される記生理
活性物質または生体由来成分としては、当該分野で定量
することが一般的に行われている生体成分がなんら制限
なく用いられるが、一般に本発明の定量方法に用いられ
る好適な生体成分を例示すれば以下のとおりである。即
ち、アルブミン等の非免疫性タンパク、IgG、Ig
A、IgM、IgD、IgE等の免疫グロブリン、レク
チン、レセプター、アビジン等の非免疫特異的結合パー
トナー、グルタミ酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ、
グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ、乳酸脱水
素酵素、γ−グルタミルトランスフェナーゼ、コリンエ
ステラーゼ等の酵素、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、甲
状腺刺激ホルモン等のホルモン、DNA、RNA等の核
酸等である。 【0026】前記蛍光標識生体分子を作製する方法は、
当該分野で公知の方法が特に制限なく使用可能である
が、一般的に好適に用いいられる方法を具体的に例示す
れば以下のとおりである。即ち、生理活性物質または生
体由来成分をトリス緩衝液などの緩衝液中に溶解させ、
そこに蛍光標識化試薬を添加する。この時、ピリジン、
ジメチルホルムアミド等の触媒を少量存在させることに
より収率が向上する。室温で数時間反応させた後、反応
液をゲルクロマトグラフィーにより数回精製することに
より、目的の蛍光標識生体分子が得られる。 【0027】本発明の定量方法は、対象の蛍光性分子と
結合可能な蛍光性会合体との共存下に蛍光性会合体に吸
収可能な光を照射し、蛍光性会合体からのエネルギー移
動に帰因する蛍光性分子からの発光を測定することによ
り蛍光性分子の量を決定することを特徴とする。ここ
で、蛍光性会合体とは蛍光性を有する両親媒性化合物
(以下、蛍光性両親媒性化合物と略記する)よりなる会
合体であり、高感度に定量するために必須の成分であ
る。 【0028】会合体とは、同一分子間に水素結合、電荷
移動結合、疎水結合などの比較的弱い結合が働き、溶媒
中で形成された比較的規則性の良い分子集合体のことで
ある。 また、本発明において、蛍光性分子と蛍光性会
合体との結合とは、相互作用により蛍光性分子と蛍光性
会合体とがエネルギー移動可能な距離に接近することを
表わす。ここでいう相互作用としては当該分野で公知の
分子間に生じる相互作用が特に制限することなく採用さ
れる。相互作用として特に好ましいものを例示すれば、
クーロン力相互作用、疎水性相互作用、水素結合的相互
作用、配位結合的相互作用、π電子/CH相互作用等で
ある。 【0029】本発明に用いる蛍光性会合体の平均分子量
(重量平均)としては1万〜1億の範囲である。蛍光性
会合体の平均分子量が1万以下であると定量時の感度が
不十分となる。また、1億以上であると、会合体の溶媒
中での安定性が悪くなる。また、さらに好ましくは、蛍
光性会合体の平均分子量が5万〜1千万であると定量時
の感度が著しく良好でかつ溶液の安定性が良いため好適
である。 【0030】蛍光性会合体が形成される溶媒としては、
両親媒性化合物よりなる会合体が形成される溶媒であれ
ば特に限定されないが、一般に安定な会合体が形成され
やすい水が好適に用いられる。 【0031】前記蛍光性両親媒性化合物としては溶媒中
で会合体を形成する性質を有するものであれば特に限定
されず公知の化合物が使用可能であるが、蛍光性を有す
る剛直性部分を連鎖中に含む少なくとも1つの直鎖疎水
基を有し、かつ親水性基を有する有機化合物(以下、蛍
光性直鎖両親媒性化合物と略記する)が好適に用いられ
る。該蛍光性直鎖両親媒性化合物を用いることにより、
定量時の感度が著しく向上する。 【0032】本発明において剛直性部分とは、例えば次
の(a),(b)および(c)等の基をいう。 【0033】(a) 直結あるいは、炭素−炭素多重結
合を介して連結された少なくとも2個の芳香環で構成さ
れた2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 【0034】 【化1】 【0035】等の2価の基が挙げられる。 【0036】(b) 2個の芳香環の結合が複数である
か、複数原子間の単結合であって、その結合がエネルギ
ー的に束縛を受けている2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 【0037】 【化2】 【0038】等の2価の基が挙げられる。 【0039】(c) 芳香環が縮合環を形成しているも
ので、この縮合環が多分子間で積層した場合に、その回
転が互いに立体的に束縛を受けている2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 【0040】 【化3】 【0041】等の2価の基が挙げられる。 【0042】本発明において直鎖疎水基とは直鎖状のア
ルキル基またはそのハロゲン置換体である。剛直性部分
を連鎖中に含む直鎖疎水基を有する蛍光性直鎖両親媒性
化合物の炭素数は前記剛直性部分の炭素数を除いて8〜
30の範囲が望ましい。8以下であると溶媒中で会合体
を形成しない場合があり、30以上の場合溶媒に分散し
ない場合があるので望ましくない。上記、剛直性部分と
直鎖疎水基との結合部分は、一般に炭素−炭素結合,エ
ステル結合,エーテル結合が好適である。 【0043】剛直性部分を連鎖中に含む直鎖疎水基は、
溶媒中での会合体形成能を勘案して該蛍光性直鎖両親媒
性化合物中に1つ含まれている場合が最も好ましい。2
つ以上含まれる場合には、溶媒中で会合体を形成しない
場合がある。 【0044】本発明の蛍光性直鎖両親媒性化合物におけ
る親水性基は、該蛍光性直鎖両親媒性化合物が溶媒中で
安定な会合体を形成するために必須である。親水性基と
しては、一般に界面活性剤の親水性基として公知の親水
性基が使用可能であるが、イオン性基またはポリエチレ
ングリコール基を用いることにより、会合体の安定性が
著しく向上するために望ましい。 【0045】ここでイオン性基とは酸性基または塩基性
基の総称として定義される。ここで酸性または塩基性と
はブレンステッド酸またはブレンステッド塩基を意味
し、酸性基としては一般にスルホン酸基,カルボキシル
基,リン酸基およびこれらが塩となったもの、塩基性基
としては一般にアミノ基,置換アミノ基,第4アンモニ
ウム基,ホスフォニウム基,およびこれらが塩となった
ものが好適に使用される。 【0046】前記ポリエチレングリコール基としてはエ
チレングリコール単位の繰り返しが6〜30の範囲であ
ることが望ましい。6より少ない場合には溶媒中で会合
体を形成しない場合がある。また、30より多い場合に
は定量時の感度が十分に向上しない場合がある。ここで
本発明の蛍光性直鎖両親媒性化合物中に含まれる親水性
基の数は得られる蛍光性会合体の安定性の点から、1つ
または2つであることが好ましい。 【0047】本発明の蛍光性直鎖両親媒性化合物は、上
記を満たすものであれば特に限定されず公知のものが用
いられる。一般に好適に使用される代表的なものを以下
に具体的に示す。 【0048】 【化4】 【0049】{但し、構造式(a)〜(e)において、
nは6〜12の整数、mは2〜12の整数、Zは 【0050】 【化5】 【0051】(但し、Xはハロゲンイオンまたは安定な
陰イオンを形成する原子団、Mはアルカリ金属、水素、
または安定な陽イオンを形成する原子団を示し、lは6
〜30の整数を示す。)のいずれかを示す。} 上記好適な蛍光性直鎖両親媒性化合物において、Mで示
されるアルカリ金属としては、具体的にはリチウム、ナ
トリウム、カリウムであり、安定な陽イオンを形成する
原子団としてはアンモニウムイオン、テトラメチルアン
モニウムイオンである。Xで示されるハロゲンイオンと
しては、具体的にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素であ
り、安定な陰イオンを形成する原子団は硝酸イオン、リ
ン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオンである。 【0052】本発明の蛍光性会合体の製造方法としては
一般に公知の会合体の製造方法であれば特に限定され
ず、どのような方法であってもよい。一般に、蛍光性直
鎖両親媒性化合物を適量モルフォリノプロパンスルホン
酸等の緩衝液に入れ、超音波照射する方法が好適に用い
られる。 【0053】該蛍光性会合体の形成は、溶液の光散乱の
増加、溶液のプロトンNMR測定時のピークのブロード
ニング、または酢酸ウラニルにより染色された溶液のキ
ャスト膜の電子顕微鏡による会合体の直接観察等により
確認できる。また、会合体の分子量は低角光散乱分析、
ゲルクロマトグラフィー等により測定される。 【0054】蛍光性会合体を形成させる溶媒としては、
当該分野で公知の溶媒が使用可能であるが、蛍光性会合
体の安定性および定量時の検出感度を勘案すると水であ
ることが好ましい。また、水系の緩衝液を用いることに
より、pH変化の影響を無視できるために特に水系の緩
衝液が好適に用いられる。 【0055】前記緩衝液における緩衝成分としては、特
に限定されないが、リン酸、トリスヒドロキシアミノメ
タン、酢酸、クエン酸、トリエタノールアミン、ホウ
酸、マレイン酸、炭酸、N−(2−アセトアミド)−2
−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)
イミノジ酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)グリシン、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N−シ
クロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シ
クロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンス
ルホン酸、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスル
ホン酸、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−
[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]
プロパンスルホン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチ
ル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、2−ヒド
ロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピ
ペラジニル]プロパンスルホン酸、2−モルフォリノエ
タンスルホン酸、3−モルフォリノプロパンスルホン
酸、2−ヒドロキシエチル−3−モルフォリノプロパン
スルホン酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンス
ルホン酸)、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキ
シ−3−プロパンスルホン酸)、N−トリス(ヒドロキ
シ)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、2−ヒド
ロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−
アミノプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメ
チル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、N−[ト
リス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン等が好適に
使用される。 【0056】該蛍光性会合体の濃度としては、用いる蛍
光性調査両親媒性化合物の臨界会合体形成濃度以上であ
ることが、感度よく定量するために必要である。該臨界
会合体形成濃度は一般に10-6〜10-3の範囲であり、
この濃度以上で用いることが望ましい。該会合体の濃度
は、溶媒中に蛍光性直鎖両親媒性化合物の不溶物が存在
しない濃度、即ち、使用する溶媒に対する飽和濃度以下
で使用することが望ましい。 【0057】本発明の定量方法においては、蛍光性分子
と該蛍光性分子と結合可能な蛍光性会合体との共存下に
蛍光性会合体に吸収可能な光を照射し、蛍光性会合体か
らのエネルギー移動に帰因する蛍光性分子からの発光を
測定することにより蛍光性分子の量を決定する。公知の
蛍光分析法においては分析対象の蛍光性分子が吸収可能
な光を照射し、該蛍光性分子からの発光を測定する。し
かし、本発明の方法においては、蛍光性会合体に吸収可
能な光を照射することを特徴とする。 【0058】本発明において、蛍光性分子と蛍光性会合
体との結合とは、前記した相互作用により蛍光性分子と
蛍光性会合体とがエネルギー移動可能な距離に接近する
ことを表わす。蛍光性分子と蛍光性会合体の結合は、一
般にそれぞれを適当な溶媒中で混合することにより自発
的に形成される。該溶媒としては、会合体の安定性を勘
案すると水が好適に採用される。 【0059】本発明において、一般に好適な定量方法を
具体的に例示すれば以下のとおりである。即ち、 (A) (1)既知濃度の測定対象蛍光性分子の溶液を蛍光セル
中に数種類用意する。 【0060】(2)上記溶液に蛍光性会合体の溶液を一
定量添加する。 【0061】(3)溶液を攪拌する。 【0062】(4)蛍光性会合体の吸収極大波長の光を
励起波長、蛍光性分子の発光極大波長を発光波長として
蛍光強度を測定する。 【0063】(5)上記の結果より検量線を作製する。 【0064】(6)未知濃度試料に対して既知濃度溶液
と同様な操作をして蛍光強度を求める。 【0065】(7)上記蛍光強度を検量線に外挿し未知
濃度の蛍光性分子の濃度を求める。 【0066】(B) (1)既知量の測定対象蛍光性分子が吸着された固体を
数種類用意する。 【0067】(2)上記固体を蛍光セル中の蛍光性会合
体の溶液に浸漬する。 【0068】(3)溶液を攪拌する。 【0069】(4)蛍光性会合体の吸収極大波長の光を
励起波長、蛍光性分子の発光極大波長を発光波長として
蛍光強度を測定する。 【0070】(5)上記の結果より検量線を作製する。 【0071】(6)未知濃度試料に対して既知濃度溶液
と同様な操作をして蛍光強度を求める。 【0072】(7)上記蛍光強度を検量線に外挿し未知
濃度の蛍光性分子の濃度を求める。 【0073】以上の操作により蛍光性分子が定量可能で
あり、蛍光性会合体が存在しない場合と比較して、その
検出感度は10〜100倍向上する。 【0074】検出感度が向上する機構については明らか
ではないが、本発明の会合体内においては、蛍光発色団
が密に配向しているため、蛍光性会合体に光を照射する
ことによって生成した励起子が会合体を形成する分子間
を自由に移動可能となることが知られている。この結
果、蛍光性会合体から蛍光性分子へのエネルギー移動が
効率的に起ることが感度向上に関与しているものと考え
られる。 【0075】上記好適な定量方法(B)に記載の測定対
象蛍光性分子が吸着された固体としては、ガラスビー
ズ、ガラス板、石英板、磁性粒子、多孔性セルロースフ
ィルム、多孔性ポリカーボネートフィルム、ポリスチレ
ンフィルム等が用いられる。 【0076】本発明の定量方法において蛍光性分子と蛍
光性会合体の組合わせは、蛍光性会合体から蛍光性分子
へのエネルギー移動が起る組み合わせであれば特に制限
されない。一般に、2種類の蛍光性色素間のエネルギー
移動のためには、ドナー色素発光スペクトルとアクセプ
ター色素の吸収スペクトルに重なりが必要であることが
知られており、本発明においても、蛍光性会合体の発光
スペクトルと蛍光性分子の吸収スペクトルに重なりがあ
ることが高感度測定のために必須である。各スペクトル
の重なりの有無は、蛍光性会合体の蛍光スペクトル、蛍
光性分子の吸光スペクトルを測定することにより確認さ
れる。 【0077】前記組合わせにおいて、蛍光性分子の発光
極大波長と蛍光性会合体の吸収極大波長の差が100n
m以上ある場合、励起光の散乱光の影響が小さくなり感
度が向上するために好ましい。更に、200nm以上差
があるとより散乱光の影響が小さくなるため好適であ
る。 【0078】蛍光性会合体への光の照射、並びに蛍光性
分子からの発光量(強度)の測定には、市販の蛍光分光
光度計が簡便に採用される。 【0079】本発明の定量方法において、前記した蛍光
性分子と蛍光性会合体の組合わせであれば特に制限され
ないが、特に好適な組合わせを具体的に例示すれば以下
のとおりである。 【0080】即ち、蛍光性直鎖両親媒性化合物としては
下記化合物が挙げられる。 【0081】 【化6】 【0082】蛍光性分子としては、生理活性物質あるい
は生体由来物質をフルオレセイン−4−イソチオシアネ
ートと反応させることにより得られる蛍光標識生体分子
を用いた場合、特に高感度な蛍光標識生体分子の定量が
可能となる。 【0083】 【発明の効果】本発明の蛍光性分子の定量方法は、該蛍
光性分子とエネルギー移動可能な蛍光性会合体を用いて
いるため、蛍光性分子の定量を極めて感度よく行うこと
が可能である。更に、蛍光性分子としては蛍光色素で標
識した生理活性物質または生体由来分子が使用可能であ
るため、特に臨床検査の分野において必要な高感度測定
に利用可能である。以上の点より、本発明の蛍光性分子
の定量方法の工業的価値は極めて大きい。 【0084】 【実施例】以下に本発明をさらに具体的に説明するため
に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。 【0085】尚、本実施例中低角光散乱分析により求め
た会合体の分子量は重量平均分子量でポリスチレンスル
ホン酸換算にて求めた値である。 【0086】実施例1 下記化合物 【0087】 【化7】【0088】50mgを10mMの3−モルフォリノプ
ロパンスルホン酸(以下MOPSと略記する)緩衝液
(水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.2に調
整したもの)10ml中に入れ、超音波照射機により均
一で透明な分散液を作製した。作製した蛍光性会合体溶
液を用いて、下記蛍光性分子の定量を行った。 【0089】 【化8】 【0090】上記蛍光性分子の吸収極大波長は491n
m、発光極大波長は525nm、また、蛍光量子収率は
0.75であった。 【0091】蛍光性分子の1ピコmol/l(以下pM
と略記する)から100ナノmol/l(以下nMと略
記する)の既知濃度の溶液(MOPS緩衝液、pH7.
2)を作製した。最初に蛍光性色素溶液1mlを蛍光セ
ルにとり、蛍光分光光度計にて励起波長490nmで5
25nmの発光強度を測定した。続いて、蛍光性会合体
が50マイクロmol/l(以下μMと略記する)とな
るように添加して、励起波長280nmで525nmの
発光強度を測定した。 【0092】この時、得られた溶液のプロトンNMR
は、上記化合物の重クロロホルム溶液中で観測された
6.7〜8.7ppmのピーク(芳香環のプロトン由
来)がブロードニングしており、会合体を形成している
ことが示された。更に、この溶液の低角光散乱分析によ
り会合体の分子量を測定したところ5×106ダルトン
であった。 【0093】蛍光性色素を含まない緩衝液について、励
起波長490nmで525nmの発光強度を10回測定
し濃度0での蛍光強度の平均値(以下Yと略記する)と
標準偏差(以下σ1と略記する)を求めた。同様にして
蛍光性会合体を含有し蛍光性分子を含有しない緩衝液に
ついて、励起波長280nmで525nmの発光強度を
測定し濃度0での蛍光強度のYとσを求めた。本法にお
ける検出限界を発光強度がY+2σ以上となる最も希薄
な溶液濃度として求めた。更に検出限界以上の各濃度に
おける蛍光強度を濃度に対してプロットし、1次の線形
回帰により傾きを求め、これを本法における分析感度と
して求めた。 【0094】表1に蛍光性会合体存在下と非存在下にお
ける蛍光性分子の検出限界と分析感度をまとめて示し
た。 【0095】 【表1】 【0096】表1からわかるように、本発明の定量方法
を用いることにより検出限界、分析感度共に50倍以上
向上しており、本発明の定量方法の有用性は明らかであ
る。 【0097】実施例2 表2に示す蛍光性分子(定量対象)を用いて実施例1と
同様にして検出感度および分析感度を求めた。結果を表
2にまとめて示す。 【0098】 【表2】【0099】実施例3 下記化合物 【0100】 【化9】 【0101】50mgを10mMのMOPS緩衝液(水
酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.2に調整し
たもの)10ml中に入れ、超音波照射機により均一で
透明な分散液を作製した。 【0102】ヒト血清アルブミン1gを100mlのM
OPS緩衝液(pH7.3)に溶解させ、そこにフルオ
レセイン−4−イソチオシアネート(以下FITCと略
記する)1gのアセトン溶液を滴下して、室温で12時
間反応させた。反応後、ゲル濾過により高分子量成分を
分取してFITC標識ヒト血清アルブミンを得た。 【0103】得られた蛍光標識生体分子の吸収極大波長
は500nm、発光極大波長は520nm、また、蛍光
量子収率は0.31であった。 【0104】FITC標識ヒト血清アルブミンの1ピコ
mol/l(以下pMと略記する)から100ナノmo
l/l(以下nMと略記する)の既知濃度の溶液(MO
PS緩衝液、pH7.2)を作製した。最初に蛍光性色
素溶液1mlを蛍光セルにとり、蛍光分光光度計にて励
起波長490nmで520nmの発光強度を測定した。
続いて、蛍光性会合体が50μMとなるように添加し
て、励起波長280nmで520nmの発光強度を測定
した。 【0105】更に、この溶液の低角光散乱分析により会
合体の分子量を測定したところ107ダルトンであっ
た。 【0106】蛍光性色素を含まない緩衝液について、励
起波長500nmで520nmの発光強度を10回測定
し濃度0での蛍光強度のYとσを求めた。同様にして蛍
光性会合体を含有し蛍光性分子を含有しない緩衝液につ
いて、励起波長280nmで520nmの発光強度を測
定し濃度0での蛍光強度のYとσを求めた。本法におけ
る検出限界を発光強度がY+2σ以上となる最も希薄な
溶液濃度として求めた。更に検出限界以上の各濃度にお
ける蛍光強度を濃度に対してプロットし、1次の線形回
帰により傾きを求め、これを本法における分析感度とし
て求めた。 【0107】表3に蛍光性会合体存在下と非存在下にお
ける蛍光性分子の検出限界と分析感度をまとめて示し
た。 【0108】 【表3】 【0109】実施例4 蛍光標識化試薬としてFITCに代えて表4,表5に示
す化合物を用いて、実施例3と同様にして検出限界と分
析感度を求めた。結果を表4,表5にまとめて示す。 【0110】 【表4】【0111】 【表5】 【0112】実施例5 生体由来物質としてヒト血清アルブミンに代えて表6に
示す化合物を用いて、実施例3と同様にして検出限界と
分析感度を求めた。結果を表6にまとめて示す。 【0113】 【表6】 【0114】実施例6 表7に示す両親媒性蛍光化合物30mgを10mMの3
−モルフォリノプロパンスルホン酸(以下MOPSと略
記する)緩衝液(水酸化ナトリウム水溶液を添加してp
Hを7.2に調整したもの)10ml中に入れ、超音波
照射機により均一で透明な分散液を作製した。作製した
蛍光性会合体溶液を用いて、下記蛍光性分子の定量を行
った。 【0115】 【化10】 【0116】上記蛍光性分子の吸収極大波長は491n
m、発光極大波長は525nm、また、蛍光量子収率は
0.75であった。 【0117】蛍光性分子の1pMから100nMの既知
濃度の溶液(MOPS緩衝液、pH7.2)を作製し
た。最初に蛍光性色素溶液1mlを蛍光セルにとり、続
いて、蛍光性会合体が50マイクロmol/l(以下μ
Mと略記する)となるように添加して、表7に示す励起
波長で525nmの発光強度を測定した。また、得られ
た溶液の低角光散乱分析により会合体の分子量を測定し
た。結果を表7に合わせて示す。 【0118】蛍光性色素を含まない緩衝液について、同
じ励起波長で525nmの発光強度を10回測定し濃度
0での蛍光強度のYとσを求めた。本法における検出限
界を発光強度がY+2σ以上となる最も希薄な溶液濃度
として求めた。更に検出限界以上の各濃度における蛍光
強度を濃度に対してプロットし、1次の線形回帰により
傾きを求め、これを本法における分析感度として求め
た。 【0119】表7に蛍光性会合体存在での蛍光性分子の
検出限界と分析感度をまとめて示した。また、比較例と
して蛍光性を持たない会合体の存在下(No.11)お
よび会合体を形成しない蛍光性両親媒性化合物を使用し
た場合(No.10)での検出限界と分析感度も表7に
まとめて示した。 【0120】 【表7】【0121】表7からわかるように本発明の蛍光性会合
体を用いることにより、蛍光性分子の検出限界と分析感
度は著しく向上しており、その効果は明白である。 【0122】実施例7 表8に示す両親媒性蛍光化合物60mgを10mMの2
−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニ
ル]プロパンスルホン酸(以下HEPESと略記する)
緩衝液(水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.
2に調整したもの)10ml中に入れ、超音波照射機に
より均一で透明な分散液を作製した。作製した蛍光性会
合体溶液を用いて、以下に示す蛍光性分子の定量を行っ
た。 【0123】 【化11】 【0124】上記蛍光性分子の吸収極大波長は425n
m、発光極大波長は500nm、また、蛍光量子収率は
0.11であった。 【0125】蛍光性分子の1pMから100nMの既知
濃度の溶液(HEPS緩衝液、pH7.2)を作製し
た。最初に蛍光性色素溶液1mlを蛍光セルにとり、続
いて、蛍光性会合体が100μMになるように添加し
て、表8に示す励起波長で500nmの発光強度を測定
した。得られた溶液の低角光散乱分析により会合体の分
子量を測定した。結果を表8に合わせて示す。 【0126】蛍光性色素を含まない緩衝液について、同
じ励起波長で500nmの発光強度を10回測定し濃度
0での蛍光強度のYとσを求めた。本法における検出限
界を発光強度がY+2σ以上となる最も希薄な溶液濃度
として求めた。更に検出限界以上の各濃度における蛍光
強度を濃度に対してプロットし、1次の線形回帰により
傾きを求め、これを本法における分析感度として求め
た。 【0127】表8に蛍光性会合体存在での蛍光性分子の
検出限界と分析感度をまとめて示した。また、比較例と
して蛍光性を持たない会合体の存在下(No.5,6)
での検出限界と分析感度も表8にまとめて示した。 【0128】 【表8】 【0129】表8からわかるように、蛍光性を持たない
両親媒性化合物よりなる会合体では、検出感度および分
析感度とも向上していないのに対して、本発明の蛍光性
会合体を用いることにより、検出限界と分析感度は著し
く向上しており、その効果は明白である。 【0130】実施例8 下記化合物 【0131】 【化12】 【0132】50mgを10mMの3−モルフォリノプ
ロパンスルホン酸(以下MOPSと略記する)緩衝液
(水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.2に調
整したもの)10ml中に入れ、超音波照射機により均
一で透明な分散液を作製した。続いて、下記蛍光性分子 【0133】 【化13】【0134】をラングミュア・ブロジェット法により石
英基板上に10-15mol〜10-13molの範囲で固定
化した。上記蛍光性分子の吸収極大波長は493nm、
発光極大波長は525nm、また、蛍光量子収率は0.
33であった。 【0135】MOPS緩衝液(pH7.2)2mlを満
たした石英セル中に蛍光性分子を固定化した石英板を入
れ、蛍光分光光度計にて励起波長490nmで525n
mの発光強度を測定した。続いて、蛍光性会合体が50
マイクロmol/l(以下μMと略記する)となるよう
に添加して、励起波長280nmで525nmの発光強
度を測定した。 【0136】この時、得られた溶液の低角光散乱分析に
より会合体の分子量を測定したところ5×106ダルト
ンであった。 【0137】蛍光性分子を固定化していない石英板につ
いて、MOPS緩衝液中で励起波長493nmで525
nmの発光強度を10回測定し濃度0での蛍光強度の平
均値(以下Yと略記する)と標準偏差(以下σ1と略記
する)を求めた。同様にして蛍光性会合体溶液中で蛍光
性分子を固定化していない石英板を入れ、励起波長28
0nmで525nmの発光強度を測定し濃度0での蛍光
強度のYとσを求めた。本法における検出限界を発光強
度がY+2σ以上となる最も希薄な溶液濃度として求め
た。更に検出限界以上の各濃度における蛍光強度を濃度
に対してプロットし、1次の線形回帰により傾きを求
め、これを本法における分析感度として求めた。 【0138】表9に蛍光性会合体存在下と非存在下にお
ける蛍光性分子の検出限界と分析感度をまとめて示し
た。 【0139】 【表9】 【0140】表9からわかるように、本発明の定量方法
は基板表面に固定化された蛍光性分子についても有効で
あり、検出限界、分析感度共に50倍以上向上した。
量方法に関する。詳しくは、蛍光性分子からの発光強度
より蛍光性分子の定量を行う定量方法において、蛍光性
分子と結合可能な蛍光性会合体を共存させ且つ該蛍光性
会合体に光を照射することによって、より高感度な蛍光
性分子の定量を可能にする蛍光性分子の定量方法であ
る。 【0002】 【従来の技術】特定の物質を定量することが必要な最も
重要な分野の1つとして臨床検査がある。現代の臨床医
学は診察、検査、治療の3つの柱で支えられている。と
りわけ、臨床検査は得られるデータの客観性が最も高い
ため、他に科学的根拠を与え、それらの指針となるもの
である。臨床検査の中でも電解質、酵素等の生化学検
査、抗原、抗体等の免疫血清検査は分析化学の一分野で
あり、近年の分析化学の進歩に伴って生体液中の微量生
理活性物質の定量が可能となってきている。また、分子
生物学の発展により分子レベルでの生理活性物質の機能
が解明されてきており、微量生理活性物質の定量によ
り、従来不可能であった疾病の診察や治療が可能になり
つつある。 【0003】生理活性物質の分析において、原子吸光法
による金属イオンの定量の如く特別な分離を必要とせず
直接分析可能なものは希である。一般には対象物質をな
んらかの手段で分離した後、適当な手段で定量する必要
がある。多くの生理活性物質は生体内において認識され
ることによりその機能を発現する。即ち、生体内には天
然に物質を認識する分子が存在し、これを利用すること
により目的成分を特異的に測定可能となる。生体由来の
物質の認識分子としては免疫反応に関与する物質、即ち
抗原、抗体等が実際の臨床検査用の分析に用いられてい
る。 【0004】抗原、抗体等の入手については、最近の遺
伝子操作技術の進歩により有用な手段が確立されつつあ
る。即ち、従来用いられてきた天然の生体由来のポリク
ローナルな抗体に替り、遺伝子操作によってモノクロー
ナルな抗体が容易に作製可能となっている。該抗体を用
いることにより特定の分析対象物質を、抗体と結合させ
ることができる。臨床検査においてはこれらの分析対象
物質と抗体の結合体を標識して定量することが一般に行
われている。標識方法としては様々なものが実用化され
ているが、高感度分析に用いる方法としては放射性同位
体を用いるラジオイムノアッセイ法(以下RIA法と略
記する)が用いられてきた。しかし、RIA法は放射線
を用いる特殊な設備が必要であるため、近年、これに代
わるイムノアッセイ法として色素による標識法が浸透し
つつある。 【0005】色素による標識では特別の施設を必要とせ
ず、また取扱いも簡便であることが特徴となっている。
しかし、一般に色素法はRIA法と比較して感度が低い
という点が問題となっており、感度の良い色素法の開発
が切望されているのが現状である。 【0006】色素濃度の測定方法としては、吸光度法、
蛍光法、発光法の3種類が主なものであり、それぞれの
測定方法に使用可能な色素が用いられている。吸光度法
については感度は色素のモル吸光系数に依存しており、
検出限界が比較的低いという問題点がある。発光法につ
いては特別な光源を用いないため、バックグランドが低
く感度が良いという特徴があるが、使用可能な色素が限
られており、色素が不安定といった問題点を有してい
る。蛍光法については吸光度法と比較して感度が良いた
めに測定方法として広く用いられていが、感度の点でR
IA法にはおよばないという問題点がある。 【0007】蛍光法の感度を向上させる目的で、蛍光の
異方性を測定する方法や、特定の金属錯体を用いて遅延
蛍光を測定する方法が報告されてるがその感度は未だ不
十分である。シーグムントらは、2種類の色素を用いて
エネルギー移動を起こさせることにより感度を向上させ
ることを報告している(シンソリッドフィルムズ、19
92年、210/211巻、480ページ[Thin Solid
Films,210/211(1992),480])。しかし、その感度はエ
ネルギー移動を用いない場合と比較して3倍程度であ
り、さらなる感度の向上が望まれていた。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】従って、蛍光色素で標
識された分析対象物と認識分子の結合体を、高感度にか
つ簡便に測定する方法の開発が望まれていた。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる問
題点を解決し得る蛍光性分子の定量方法を開発すべく鋭
意研究を重ねた。その結果、特定の色素分子が配向した
会合体を共存させることにより、分析対象とする蛍光性
色素の蛍光が著しく増強され、検出感度が向上すること
を見出し本発明を完成するに至った。 【0010】即ち、本発明は、蛍光性分子と該蛍光性分
子と結合可能な平均分子量(重量平均)が1万〜1億の
範囲の蛍光性会合体との共存下に蛍光性会合体に吸収可
能な光を照射し、蛍光性会合体からのエネルギー移動に
帰因する蛍光性分子からの発光を測定することにより蛍
光性分子の量を決定することを特徴とする蛍光性分子の
定量方法である。 【0011】本発明中で用いる検出感度とは、検出しう
る最低限の濃度を示す検出下限と分析時の信号強度と濃
度の比を示す分析感度を合わせた意味を示す。 【0012】本発明の蛍光性分子の定量方法において、
対象となる蛍光性分子は蛍光性を有するものであれば公
知の分子が特に限定されることなく使用可能である。蛍
光性分子を定量する際の感度は用いる蛍光性分子の蛍光
量子収率に大きく影響されるため、望ましくは蛍光量子
収率が0.001以上、更に高感度な測定のためには
0.01以上の蛍光量子収率を有する蛍光性分子が望ま
しい。 【0013】蛍光性性分子の吸収極大波長としては、用
いる蛍光性会合体にもよるが250nm以上800nm
以下の吸収極大を有する分子が望ましい。吸収極大波長
が250nm以下であると十分な感度が得られない場合
がある。また、800nm以上である場合特殊な測定装
置が必要になる。 【0014】蛍光性分子の発光極大波長としては、30
0nm以上900nm以下が望ましい。吸収極大波長が
300nm以下である場合、十分な感度が得られない場
合が多い。また、900nm以上である場合、強度の測
定に特殊な装置が必要となる。発光極大波長が400n
m以上であると、測定用のセルの材料として安価なガラ
スやポリスチレンなどが使用可能となるため特に好適で
ある。 【0015】本発明の定量方法は特に水溶液中の蛍光性
分子の定量に適しているため、生体成分の定量に好適で
ある。特に好適に用いられる生体成分由来の蛍光性分子
としては以下の2種類が挙げられる。 【0016】(1)蛍光性を有する生理活性物質あるい
は生体由来物質。 【0017】(2)蛍光性色素で標識された生理活性物
質あるいは生体由来物質 (1)の蛍光性を有する生理活性物質あるいは生体由来
物質(以下蛍光性生体分子と略記する)の場合、分子自
体が蛍光性を有しているため、試料の前処理等の煩雑な
操作が不要となるため本発明の定量方法が特に好適に使
用可能である。一般に好適に用いられる蛍光性生体分子
としては、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチ
ド、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン
酸、ビタミンB2(リボフラビン)、クロロフィル、葉
酸等が挙げられる。 【0018】(2)の蛍光性色素で標識された生理活性
物質あるいは生体由来物質(以下蛍光標識生体分子と略
記する)は、測定対象の生体成分を適当な反応性基を有
する蛍光性色素(以下蛍光標識化試薬と略記する)で標
識することにより得られる。本発明の蛍光性分子の定量
方法において、蛍光標識生体分子も好適な蛍光性分子で
ある。 【0019】上記蛍光標識化試薬としては公知のものが
使用可能であるが、アミノ基反応性蛍光標識化試薬、カ
ルボキシル基反応性蛍光標識化試薬、アルデヒド基反応
性蛍光標識化試薬、水酸基反応性蛍光標識化試薬、また
はチオール基反応性蛍光標識化試薬が好適に使用され
る。アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基
およびチオール基は、一般に生理活性物質あるいは生体
由来分子内に存在するため特にこれらの標識化試薬が好
適に用いられる。 【0020】アミノ基反応性蛍光標識化試薬としては、
フルオレセイン−4−イソチオシアネート、3−クロロ
カルボニル−6,7−ジメトキシ−1−メチル−2(1
H)−キノキザリノン、フルオレセイン−4−イソチオ
シアネート、4−クロロ−7−ニトロベンゾフラザン、
4ーフルオロ−7−ニトロベンゾフラゾン、スルフォロ
ーダミン101酸クロリド、フルオレスカミン、o−フ
タルアルデヒド、ダンシルクロリド等が好適に使用され
る。 【0021】カルボキシル基反応性蛍光標識化試薬とし
ては、3−ブロモメチル−6,7−ジメトキシ−1−メ
チル−1,2−ジヒドロキノキザリン−2−オン、4−
ブルモメチル−7−メトキシクマリン、1,2−ジアミ
ノ−4,5−メチレンジオキシベンゼン・2塩酸塩等が
好適に使用される。 【0022】アルデヒド基反応性蛍光標識化試薬として
は、1,2−ジアミノ−4,5−ジメトキシベンゼン・
2塩酸塩、2,2’−ジチオビス(1−アミノナフタレ
ン)、4ーアミノ−3−ペンテン−2−オン等が好適に
使用される。 【0023】水酸基反応性蛍光標識化試薬としては、3
−クロロカルボニル−6,7−ジメトキシ−1−メチル
−2(1H)−キノキザリノン、2−(5−クロロカル
ボニル−2−オキサゾリル)−5,6−メチレンジオキ
シベンゾフラン等が好適に使用される。 【0024】チオール基反応性蛍光標識化試薬として
は、4−フルオロ−7−スルファモイルベンゾフラザ
ン、N−[4−(6−ジメチルアミノ−2−ベンゾフラ
ニル)フェニル]マレイミド、2,2’−ジヒドロキシ
−6,6’−ジナフチルジスルフィド、N−[4−
(5,6−メチレンジオキシ−2−ベンゾフラニル)フ
ェニル]マレイミド、N−(9−アクリジニル)マレイ
ミド、4−クロロ−7−スルフォベンゾフラザン・アン
モニウム塩、4−フルオロ−7−スルフォベンゾフラザ
ン・アンモニウム塩、ダンシルアジリジン、5−(ヨー
ドアセトアミドエチル)アミノナフタレン−1−スルホ
ン酸、5−ヨードアセトアミドフルオレセイン、N−
(1−アニリノナフチル−4)マレイミド、N−(3−
ピレン)マレイミド、エオシン−5−ヨードアセトアミ
ド等が好適に使用される。 【0025】上述の蛍光標識化試薬で標識される記生理
活性物質または生体由来成分としては、当該分野で定量
することが一般的に行われている生体成分がなんら制限
なく用いられるが、一般に本発明の定量方法に用いられ
る好適な生体成分を例示すれば以下のとおりである。即
ち、アルブミン等の非免疫性タンパク、IgG、Ig
A、IgM、IgD、IgE等の免疫グロブリン、レク
チン、レセプター、アビジン等の非免疫特異的結合パー
トナー、グルタミ酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ、
グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ、乳酸脱水
素酵素、γ−グルタミルトランスフェナーゼ、コリンエ
ステラーゼ等の酵素、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、甲
状腺刺激ホルモン等のホルモン、DNA、RNA等の核
酸等である。 【0026】前記蛍光標識生体分子を作製する方法は、
当該分野で公知の方法が特に制限なく使用可能である
が、一般的に好適に用いいられる方法を具体的に例示す
れば以下のとおりである。即ち、生理活性物質または生
体由来成分をトリス緩衝液などの緩衝液中に溶解させ、
そこに蛍光標識化試薬を添加する。この時、ピリジン、
ジメチルホルムアミド等の触媒を少量存在させることに
より収率が向上する。室温で数時間反応させた後、反応
液をゲルクロマトグラフィーにより数回精製することに
より、目的の蛍光標識生体分子が得られる。 【0027】本発明の定量方法は、対象の蛍光性分子と
結合可能な蛍光性会合体との共存下に蛍光性会合体に吸
収可能な光を照射し、蛍光性会合体からのエネルギー移
動に帰因する蛍光性分子からの発光を測定することによ
り蛍光性分子の量を決定することを特徴とする。ここ
で、蛍光性会合体とは蛍光性を有する両親媒性化合物
(以下、蛍光性両親媒性化合物と略記する)よりなる会
合体であり、高感度に定量するために必須の成分であ
る。 【0028】会合体とは、同一分子間に水素結合、電荷
移動結合、疎水結合などの比較的弱い結合が働き、溶媒
中で形成された比較的規則性の良い分子集合体のことで
ある。 また、本発明において、蛍光性分子と蛍光性会
合体との結合とは、相互作用により蛍光性分子と蛍光性
会合体とがエネルギー移動可能な距離に接近することを
表わす。ここでいう相互作用としては当該分野で公知の
分子間に生じる相互作用が特に制限することなく採用さ
れる。相互作用として特に好ましいものを例示すれば、
クーロン力相互作用、疎水性相互作用、水素結合的相互
作用、配位結合的相互作用、π電子/CH相互作用等で
ある。 【0029】本発明に用いる蛍光性会合体の平均分子量
(重量平均)としては1万〜1億の範囲である。蛍光性
会合体の平均分子量が1万以下であると定量時の感度が
不十分となる。また、1億以上であると、会合体の溶媒
中での安定性が悪くなる。また、さらに好ましくは、蛍
光性会合体の平均分子量が5万〜1千万であると定量時
の感度が著しく良好でかつ溶液の安定性が良いため好適
である。 【0030】蛍光性会合体が形成される溶媒としては、
両親媒性化合物よりなる会合体が形成される溶媒であれ
ば特に限定されないが、一般に安定な会合体が形成され
やすい水が好適に用いられる。 【0031】前記蛍光性両親媒性化合物としては溶媒中
で会合体を形成する性質を有するものであれば特に限定
されず公知の化合物が使用可能であるが、蛍光性を有す
る剛直性部分を連鎖中に含む少なくとも1つの直鎖疎水
基を有し、かつ親水性基を有する有機化合物(以下、蛍
光性直鎖両親媒性化合物と略記する)が好適に用いられ
る。該蛍光性直鎖両親媒性化合物を用いることにより、
定量時の感度が著しく向上する。 【0032】本発明において剛直性部分とは、例えば次
の(a),(b)および(c)等の基をいう。 【0033】(a) 直結あるいは、炭素−炭素多重結
合を介して連結された少なくとも2個の芳香環で構成さ
れた2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 【0034】 【化1】 【0035】等の2価の基が挙げられる。 【0036】(b) 2個の芳香環の結合が複数である
か、複数原子間の単結合であって、その結合がエネルギ
ー的に束縛を受けている2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 【0037】 【化2】 【0038】等の2価の基が挙げられる。 【0039】(c) 芳香環が縮合環を形成しているも
ので、この縮合環が多分子間で積層した場合に、その回
転が互いに立体的に束縛を受けている2価の基 このような基を具体的に示せば、例えば、 【0040】 【化3】 【0041】等の2価の基が挙げられる。 【0042】本発明において直鎖疎水基とは直鎖状のア
ルキル基またはそのハロゲン置換体である。剛直性部分
を連鎖中に含む直鎖疎水基を有する蛍光性直鎖両親媒性
化合物の炭素数は前記剛直性部分の炭素数を除いて8〜
30の範囲が望ましい。8以下であると溶媒中で会合体
を形成しない場合があり、30以上の場合溶媒に分散し
ない場合があるので望ましくない。上記、剛直性部分と
直鎖疎水基との結合部分は、一般に炭素−炭素結合,エ
ステル結合,エーテル結合が好適である。 【0043】剛直性部分を連鎖中に含む直鎖疎水基は、
溶媒中での会合体形成能を勘案して該蛍光性直鎖両親媒
性化合物中に1つ含まれている場合が最も好ましい。2
つ以上含まれる場合には、溶媒中で会合体を形成しない
場合がある。 【0044】本発明の蛍光性直鎖両親媒性化合物におけ
る親水性基は、該蛍光性直鎖両親媒性化合物が溶媒中で
安定な会合体を形成するために必須である。親水性基と
しては、一般に界面活性剤の親水性基として公知の親水
性基が使用可能であるが、イオン性基またはポリエチレ
ングリコール基を用いることにより、会合体の安定性が
著しく向上するために望ましい。 【0045】ここでイオン性基とは酸性基または塩基性
基の総称として定義される。ここで酸性または塩基性と
はブレンステッド酸またはブレンステッド塩基を意味
し、酸性基としては一般にスルホン酸基,カルボキシル
基,リン酸基およびこれらが塩となったもの、塩基性基
としては一般にアミノ基,置換アミノ基,第4アンモニ
ウム基,ホスフォニウム基,およびこれらが塩となった
ものが好適に使用される。 【0046】前記ポリエチレングリコール基としてはエ
チレングリコール単位の繰り返しが6〜30の範囲であ
ることが望ましい。6より少ない場合には溶媒中で会合
体を形成しない場合がある。また、30より多い場合に
は定量時の感度が十分に向上しない場合がある。ここで
本発明の蛍光性直鎖両親媒性化合物中に含まれる親水性
基の数は得られる蛍光性会合体の安定性の点から、1つ
または2つであることが好ましい。 【0047】本発明の蛍光性直鎖両親媒性化合物は、上
記を満たすものであれば特に限定されず公知のものが用
いられる。一般に好適に使用される代表的なものを以下
に具体的に示す。 【0048】 【化4】 【0049】{但し、構造式(a)〜(e)において、
nは6〜12の整数、mは2〜12の整数、Zは 【0050】 【化5】 【0051】(但し、Xはハロゲンイオンまたは安定な
陰イオンを形成する原子団、Mはアルカリ金属、水素、
または安定な陽イオンを形成する原子団を示し、lは6
〜30の整数を示す。)のいずれかを示す。} 上記好適な蛍光性直鎖両親媒性化合物において、Mで示
されるアルカリ金属としては、具体的にはリチウム、ナ
トリウム、カリウムであり、安定な陽イオンを形成する
原子団としてはアンモニウムイオン、テトラメチルアン
モニウムイオンである。Xで示されるハロゲンイオンと
しては、具体的にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素であ
り、安定な陰イオンを形成する原子団は硝酸イオン、リ
ン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオンである。 【0052】本発明の蛍光性会合体の製造方法としては
一般に公知の会合体の製造方法であれば特に限定され
ず、どのような方法であってもよい。一般に、蛍光性直
鎖両親媒性化合物を適量モルフォリノプロパンスルホン
酸等の緩衝液に入れ、超音波照射する方法が好適に用い
られる。 【0053】該蛍光性会合体の形成は、溶液の光散乱の
増加、溶液のプロトンNMR測定時のピークのブロード
ニング、または酢酸ウラニルにより染色された溶液のキ
ャスト膜の電子顕微鏡による会合体の直接観察等により
確認できる。また、会合体の分子量は低角光散乱分析、
ゲルクロマトグラフィー等により測定される。 【0054】蛍光性会合体を形成させる溶媒としては、
当該分野で公知の溶媒が使用可能であるが、蛍光性会合
体の安定性および定量時の検出感度を勘案すると水であ
ることが好ましい。また、水系の緩衝液を用いることに
より、pH変化の影響を無視できるために特に水系の緩
衝液が好適に用いられる。 【0055】前記緩衝液における緩衝成分としては、特
に限定されないが、リン酸、トリスヒドロキシアミノメ
タン、酢酸、クエン酸、トリエタノールアミン、ホウ
酸、マレイン酸、炭酸、N−(2−アセトアミド)−2
−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)
イミノジ酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)グリシン、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N−シ
クロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シ
クロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンス
ルホン酸、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスル
ホン酸、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−
[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]
プロパンスルホン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチ
ル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、2−ヒド
ロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピ
ペラジニル]プロパンスルホン酸、2−モルフォリノエ
タンスルホン酸、3−モルフォリノプロパンスルホン
酸、2−ヒドロキシエチル−3−モルフォリノプロパン
スルホン酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンス
ルホン酸)、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキ
シ−3−プロパンスルホン酸)、N−トリス(ヒドロキ
シ)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、2−ヒド
ロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−
アミノプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメ
チル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、N−[ト
リス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン等が好適に
使用される。 【0056】該蛍光性会合体の濃度としては、用いる蛍
光性調査両親媒性化合物の臨界会合体形成濃度以上であ
ることが、感度よく定量するために必要である。該臨界
会合体形成濃度は一般に10-6〜10-3の範囲であり、
この濃度以上で用いることが望ましい。該会合体の濃度
は、溶媒中に蛍光性直鎖両親媒性化合物の不溶物が存在
しない濃度、即ち、使用する溶媒に対する飽和濃度以下
で使用することが望ましい。 【0057】本発明の定量方法においては、蛍光性分子
と該蛍光性分子と結合可能な蛍光性会合体との共存下に
蛍光性会合体に吸収可能な光を照射し、蛍光性会合体か
らのエネルギー移動に帰因する蛍光性分子からの発光を
測定することにより蛍光性分子の量を決定する。公知の
蛍光分析法においては分析対象の蛍光性分子が吸収可能
な光を照射し、該蛍光性分子からの発光を測定する。し
かし、本発明の方法においては、蛍光性会合体に吸収可
能な光を照射することを特徴とする。 【0058】本発明において、蛍光性分子と蛍光性会合
体との結合とは、前記した相互作用により蛍光性分子と
蛍光性会合体とがエネルギー移動可能な距離に接近する
ことを表わす。蛍光性分子と蛍光性会合体の結合は、一
般にそれぞれを適当な溶媒中で混合することにより自発
的に形成される。該溶媒としては、会合体の安定性を勘
案すると水が好適に採用される。 【0059】本発明において、一般に好適な定量方法を
具体的に例示すれば以下のとおりである。即ち、 (A) (1)既知濃度の測定対象蛍光性分子の溶液を蛍光セル
中に数種類用意する。 【0060】(2)上記溶液に蛍光性会合体の溶液を一
定量添加する。 【0061】(3)溶液を攪拌する。 【0062】(4)蛍光性会合体の吸収極大波長の光を
励起波長、蛍光性分子の発光極大波長を発光波長として
蛍光強度を測定する。 【0063】(5)上記の結果より検量線を作製する。 【0064】(6)未知濃度試料に対して既知濃度溶液
と同様な操作をして蛍光強度を求める。 【0065】(7)上記蛍光強度を検量線に外挿し未知
濃度の蛍光性分子の濃度を求める。 【0066】(B) (1)既知量の測定対象蛍光性分子が吸着された固体を
数種類用意する。 【0067】(2)上記固体を蛍光セル中の蛍光性会合
体の溶液に浸漬する。 【0068】(3)溶液を攪拌する。 【0069】(4)蛍光性会合体の吸収極大波長の光を
励起波長、蛍光性分子の発光極大波長を発光波長として
蛍光強度を測定する。 【0070】(5)上記の結果より検量線を作製する。 【0071】(6)未知濃度試料に対して既知濃度溶液
と同様な操作をして蛍光強度を求める。 【0072】(7)上記蛍光強度を検量線に外挿し未知
濃度の蛍光性分子の濃度を求める。 【0073】以上の操作により蛍光性分子が定量可能で
あり、蛍光性会合体が存在しない場合と比較して、その
検出感度は10〜100倍向上する。 【0074】検出感度が向上する機構については明らか
ではないが、本発明の会合体内においては、蛍光発色団
が密に配向しているため、蛍光性会合体に光を照射する
ことによって生成した励起子が会合体を形成する分子間
を自由に移動可能となることが知られている。この結
果、蛍光性会合体から蛍光性分子へのエネルギー移動が
効率的に起ることが感度向上に関与しているものと考え
られる。 【0075】上記好適な定量方法(B)に記載の測定対
象蛍光性分子が吸着された固体としては、ガラスビー
ズ、ガラス板、石英板、磁性粒子、多孔性セルロースフ
ィルム、多孔性ポリカーボネートフィルム、ポリスチレ
ンフィルム等が用いられる。 【0076】本発明の定量方法において蛍光性分子と蛍
光性会合体の組合わせは、蛍光性会合体から蛍光性分子
へのエネルギー移動が起る組み合わせであれば特に制限
されない。一般に、2種類の蛍光性色素間のエネルギー
移動のためには、ドナー色素発光スペクトルとアクセプ
ター色素の吸収スペクトルに重なりが必要であることが
知られており、本発明においても、蛍光性会合体の発光
スペクトルと蛍光性分子の吸収スペクトルに重なりがあ
ることが高感度測定のために必須である。各スペクトル
の重なりの有無は、蛍光性会合体の蛍光スペクトル、蛍
光性分子の吸光スペクトルを測定することにより確認さ
れる。 【0077】前記組合わせにおいて、蛍光性分子の発光
極大波長と蛍光性会合体の吸収極大波長の差が100n
m以上ある場合、励起光の散乱光の影響が小さくなり感
度が向上するために好ましい。更に、200nm以上差
があるとより散乱光の影響が小さくなるため好適であ
る。 【0078】蛍光性会合体への光の照射、並びに蛍光性
分子からの発光量(強度)の測定には、市販の蛍光分光
光度計が簡便に採用される。 【0079】本発明の定量方法において、前記した蛍光
性分子と蛍光性会合体の組合わせであれば特に制限され
ないが、特に好適な組合わせを具体的に例示すれば以下
のとおりである。 【0080】即ち、蛍光性直鎖両親媒性化合物としては
下記化合物が挙げられる。 【0081】 【化6】 【0082】蛍光性分子としては、生理活性物質あるい
は生体由来物質をフルオレセイン−4−イソチオシアネ
ートと反応させることにより得られる蛍光標識生体分子
を用いた場合、特に高感度な蛍光標識生体分子の定量が
可能となる。 【0083】 【発明の効果】本発明の蛍光性分子の定量方法は、該蛍
光性分子とエネルギー移動可能な蛍光性会合体を用いて
いるため、蛍光性分子の定量を極めて感度よく行うこと
が可能である。更に、蛍光性分子としては蛍光色素で標
識した生理活性物質または生体由来分子が使用可能であ
るため、特に臨床検査の分野において必要な高感度測定
に利用可能である。以上の点より、本発明の蛍光性分子
の定量方法の工業的価値は極めて大きい。 【0084】 【実施例】以下に本発明をさらに具体的に説明するため
に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。 【0085】尚、本実施例中低角光散乱分析により求め
た会合体の分子量は重量平均分子量でポリスチレンスル
ホン酸換算にて求めた値である。 【0086】実施例1 下記化合物 【0087】 【化7】【0088】50mgを10mMの3−モルフォリノプ
ロパンスルホン酸(以下MOPSと略記する)緩衝液
(水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.2に調
整したもの)10ml中に入れ、超音波照射機により均
一で透明な分散液を作製した。作製した蛍光性会合体溶
液を用いて、下記蛍光性分子の定量を行った。 【0089】 【化8】 【0090】上記蛍光性分子の吸収極大波長は491n
m、発光極大波長は525nm、また、蛍光量子収率は
0.75であった。 【0091】蛍光性分子の1ピコmol/l(以下pM
と略記する)から100ナノmol/l(以下nMと略
記する)の既知濃度の溶液(MOPS緩衝液、pH7.
2)を作製した。最初に蛍光性色素溶液1mlを蛍光セ
ルにとり、蛍光分光光度計にて励起波長490nmで5
25nmの発光強度を測定した。続いて、蛍光性会合体
が50マイクロmol/l(以下μMと略記する)とな
るように添加して、励起波長280nmで525nmの
発光強度を測定した。 【0092】この時、得られた溶液のプロトンNMR
は、上記化合物の重クロロホルム溶液中で観測された
6.7〜8.7ppmのピーク(芳香環のプロトン由
来)がブロードニングしており、会合体を形成している
ことが示された。更に、この溶液の低角光散乱分析によ
り会合体の分子量を測定したところ5×106ダルトン
であった。 【0093】蛍光性色素を含まない緩衝液について、励
起波長490nmで525nmの発光強度を10回測定
し濃度0での蛍光強度の平均値(以下Yと略記する)と
標準偏差(以下σ1と略記する)を求めた。同様にして
蛍光性会合体を含有し蛍光性分子を含有しない緩衝液に
ついて、励起波長280nmで525nmの発光強度を
測定し濃度0での蛍光強度のYとσを求めた。本法にお
ける検出限界を発光強度がY+2σ以上となる最も希薄
な溶液濃度として求めた。更に検出限界以上の各濃度に
おける蛍光強度を濃度に対してプロットし、1次の線形
回帰により傾きを求め、これを本法における分析感度と
して求めた。 【0094】表1に蛍光性会合体存在下と非存在下にお
ける蛍光性分子の検出限界と分析感度をまとめて示し
た。 【0095】 【表1】 【0096】表1からわかるように、本発明の定量方法
を用いることにより検出限界、分析感度共に50倍以上
向上しており、本発明の定量方法の有用性は明らかであ
る。 【0097】実施例2 表2に示す蛍光性分子(定量対象)を用いて実施例1と
同様にして検出感度および分析感度を求めた。結果を表
2にまとめて示す。 【0098】 【表2】【0099】実施例3 下記化合物 【0100】 【化9】 【0101】50mgを10mMのMOPS緩衝液(水
酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.2に調整し
たもの)10ml中に入れ、超音波照射機により均一で
透明な分散液を作製した。 【0102】ヒト血清アルブミン1gを100mlのM
OPS緩衝液(pH7.3)に溶解させ、そこにフルオ
レセイン−4−イソチオシアネート(以下FITCと略
記する)1gのアセトン溶液を滴下して、室温で12時
間反応させた。反応後、ゲル濾過により高分子量成分を
分取してFITC標識ヒト血清アルブミンを得た。 【0103】得られた蛍光標識生体分子の吸収極大波長
は500nm、発光極大波長は520nm、また、蛍光
量子収率は0.31であった。 【0104】FITC標識ヒト血清アルブミンの1ピコ
mol/l(以下pMと略記する)から100ナノmo
l/l(以下nMと略記する)の既知濃度の溶液(MO
PS緩衝液、pH7.2)を作製した。最初に蛍光性色
素溶液1mlを蛍光セルにとり、蛍光分光光度計にて励
起波長490nmで520nmの発光強度を測定した。
続いて、蛍光性会合体が50μMとなるように添加し
て、励起波長280nmで520nmの発光強度を測定
した。 【0105】更に、この溶液の低角光散乱分析により会
合体の分子量を測定したところ107ダルトンであっ
た。 【0106】蛍光性色素を含まない緩衝液について、励
起波長500nmで520nmの発光強度を10回測定
し濃度0での蛍光強度のYとσを求めた。同様にして蛍
光性会合体を含有し蛍光性分子を含有しない緩衝液につ
いて、励起波長280nmで520nmの発光強度を測
定し濃度0での蛍光強度のYとσを求めた。本法におけ
る検出限界を発光強度がY+2σ以上となる最も希薄な
溶液濃度として求めた。更に検出限界以上の各濃度にお
ける蛍光強度を濃度に対してプロットし、1次の線形回
帰により傾きを求め、これを本法における分析感度とし
て求めた。 【0107】表3に蛍光性会合体存在下と非存在下にお
ける蛍光性分子の検出限界と分析感度をまとめて示し
た。 【0108】 【表3】 【0109】実施例4 蛍光標識化試薬としてFITCに代えて表4,表5に示
す化合物を用いて、実施例3と同様にして検出限界と分
析感度を求めた。結果を表4,表5にまとめて示す。 【0110】 【表4】【0111】 【表5】 【0112】実施例5 生体由来物質としてヒト血清アルブミンに代えて表6に
示す化合物を用いて、実施例3と同様にして検出限界と
分析感度を求めた。結果を表6にまとめて示す。 【0113】 【表6】 【0114】実施例6 表7に示す両親媒性蛍光化合物30mgを10mMの3
−モルフォリノプロパンスルホン酸(以下MOPSと略
記する)緩衝液(水酸化ナトリウム水溶液を添加してp
Hを7.2に調整したもの)10ml中に入れ、超音波
照射機により均一で透明な分散液を作製した。作製した
蛍光性会合体溶液を用いて、下記蛍光性分子の定量を行
った。 【0115】 【化10】 【0116】上記蛍光性分子の吸収極大波長は491n
m、発光極大波長は525nm、また、蛍光量子収率は
0.75であった。 【0117】蛍光性分子の1pMから100nMの既知
濃度の溶液(MOPS緩衝液、pH7.2)を作製し
た。最初に蛍光性色素溶液1mlを蛍光セルにとり、続
いて、蛍光性会合体が50マイクロmol/l(以下μ
Mと略記する)となるように添加して、表7に示す励起
波長で525nmの発光強度を測定した。また、得られ
た溶液の低角光散乱分析により会合体の分子量を測定し
た。結果を表7に合わせて示す。 【0118】蛍光性色素を含まない緩衝液について、同
じ励起波長で525nmの発光強度を10回測定し濃度
0での蛍光強度のYとσを求めた。本法における検出限
界を発光強度がY+2σ以上となる最も希薄な溶液濃度
として求めた。更に検出限界以上の各濃度における蛍光
強度を濃度に対してプロットし、1次の線形回帰により
傾きを求め、これを本法における分析感度として求め
た。 【0119】表7に蛍光性会合体存在での蛍光性分子の
検出限界と分析感度をまとめて示した。また、比較例と
して蛍光性を持たない会合体の存在下(No.11)お
よび会合体を形成しない蛍光性両親媒性化合物を使用し
た場合(No.10)での検出限界と分析感度も表7に
まとめて示した。 【0120】 【表7】【0121】表7からわかるように本発明の蛍光性会合
体を用いることにより、蛍光性分子の検出限界と分析感
度は著しく向上しており、その効果は明白である。 【0122】実施例7 表8に示す両親媒性蛍光化合物60mgを10mMの2
−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニ
ル]プロパンスルホン酸(以下HEPESと略記する)
緩衝液(水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.
2に調整したもの)10ml中に入れ、超音波照射機に
より均一で透明な分散液を作製した。作製した蛍光性会
合体溶液を用いて、以下に示す蛍光性分子の定量を行っ
た。 【0123】 【化11】 【0124】上記蛍光性分子の吸収極大波長は425n
m、発光極大波長は500nm、また、蛍光量子収率は
0.11であった。 【0125】蛍光性分子の1pMから100nMの既知
濃度の溶液(HEPS緩衝液、pH7.2)を作製し
た。最初に蛍光性色素溶液1mlを蛍光セルにとり、続
いて、蛍光性会合体が100μMになるように添加し
て、表8に示す励起波長で500nmの発光強度を測定
した。得られた溶液の低角光散乱分析により会合体の分
子量を測定した。結果を表8に合わせて示す。 【0126】蛍光性色素を含まない緩衝液について、同
じ励起波長で500nmの発光強度を10回測定し濃度
0での蛍光強度のYとσを求めた。本法における検出限
界を発光強度がY+2σ以上となる最も希薄な溶液濃度
として求めた。更に検出限界以上の各濃度における蛍光
強度を濃度に対してプロットし、1次の線形回帰により
傾きを求め、これを本法における分析感度として求め
た。 【0127】表8に蛍光性会合体存在での蛍光性分子の
検出限界と分析感度をまとめて示した。また、比較例と
して蛍光性を持たない会合体の存在下(No.5,6)
での検出限界と分析感度も表8にまとめて示した。 【0128】 【表8】 【0129】表8からわかるように、蛍光性を持たない
両親媒性化合物よりなる会合体では、検出感度および分
析感度とも向上していないのに対して、本発明の蛍光性
会合体を用いることにより、検出限界と分析感度は著し
く向上しており、その効果は明白である。 【0130】実施例8 下記化合物 【0131】 【化12】 【0132】50mgを10mMの3−モルフォリノプ
ロパンスルホン酸(以下MOPSと略記する)緩衝液
(水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.2に調
整したもの)10ml中に入れ、超音波照射機により均
一で透明な分散液を作製した。続いて、下記蛍光性分子 【0133】 【化13】【0134】をラングミュア・ブロジェット法により石
英基板上に10-15mol〜10-13molの範囲で固定
化した。上記蛍光性分子の吸収極大波長は493nm、
発光極大波長は525nm、また、蛍光量子収率は0.
33であった。 【0135】MOPS緩衝液(pH7.2)2mlを満
たした石英セル中に蛍光性分子を固定化した石英板を入
れ、蛍光分光光度計にて励起波長490nmで525n
mの発光強度を測定した。続いて、蛍光性会合体が50
マイクロmol/l(以下μMと略記する)となるよう
に添加して、励起波長280nmで525nmの発光強
度を測定した。 【0136】この時、得られた溶液の低角光散乱分析に
より会合体の分子量を測定したところ5×106ダルト
ンであった。 【0137】蛍光性分子を固定化していない石英板につ
いて、MOPS緩衝液中で励起波長493nmで525
nmの発光強度を10回測定し濃度0での蛍光強度の平
均値(以下Yと略記する)と標準偏差(以下σ1と略記
する)を求めた。同様にして蛍光性会合体溶液中で蛍光
性分子を固定化していない石英板を入れ、励起波長28
0nmで525nmの発光強度を測定し濃度0での蛍光
強度のYとσを求めた。本法における検出限界を発光強
度がY+2σ以上となる最も希薄な溶液濃度として求め
た。更に検出限界以上の各濃度における蛍光強度を濃度
に対してプロットし、1次の線形回帰により傾きを求
め、これを本法における分析感度として求めた。 【0138】表9に蛍光性会合体存在下と非存在下にお
ける蛍光性分子の検出限界と分析感度をまとめて示し
た。 【0139】 【表9】 【0140】表9からわかるように、本発明の定量方法
は基板表面に固定化された蛍光性分子についても有効で
あり、検出限界、分析感度共に50倍以上向上した。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G01N 21/75 - 21/83
G01N 21/62 - 21/74
JICSTファイル(JOIS)
実用ファイル(PATOLIS)
特許ファイル(PATOLIS)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 蛍光性分子と該蛍光性分子と結合可能な
平均分子量(重量平均)が1万〜1億の範囲の蛍光性会
合体との共存下に蛍光性会合体に吸収可能な光を照射
し、蛍光性会合体からのエネルギー移動に帰因する蛍光
性分子からの発光を測定することにより蛍光性分子の量
を決定することを特徴とする蛍光性分子の定量方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31364094A JP3485658B2 (ja) | 1994-12-16 | 1994-12-16 | 蛍光性分子の定量方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31364094A JP3485658B2 (ja) | 1994-12-16 | 1994-12-16 | 蛍光性分子の定量方法 |
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1994
- 1994-12-16 JP JP31364094A patent/JP3485658B2/ja not_active Expired - Fee Related
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