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JP3486884B2 - 抗菌・抗黴性付与帯電防止材の製造方法及び抗菌・抗黴性付与帯電防止材 - Google Patents
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JP3486884B2 - 抗菌・抗黴性付与帯電防止材の製造方法及び抗菌・抗黴性付与帯電防止材 - Google Patents

抗菌・抗黴性付与帯電防止材の製造方法及び抗菌・抗黴性付与帯電防止材

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JP3486884B2
JP3486884B2 JP13404095A JP13404095A JP3486884B2 JP 3486884 B2 JP3486884 B2 JP 3486884B2 JP 13404095 A JP13404095 A JP 13404095A JP 13404095 A JP13404095 A JP 13404095A JP 3486884 B2 JP3486884 B2 JP 3486884B2
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば病院内で使用
されるプラスチック製の文房具や壁材等に抗菌性・抗黴
性及び帯電防止効果を付与する抗菌・抗黴性付与帯電防
止材の製造方法及び抗菌・抗黴性付与帯電防止材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、文房具、日用雑貨品や浴室製品等
については、健康衛生面等を考慮し、黴や細菌等の各種
の微生物が繁殖しないように、抗菌・抗黴処理を施して
いる。特に、抗生物質が多用される病院内では、院内感
染を防止する必要から、抗菌・抗黴性を付与したプラス
チック製の文房具や壁材等の需要が非常に多い。
【0003】従来、この種の抗菌・抗黴処理は、基材に
使用される樹脂に抗菌・抗黴剤を練り込むことによって
行われている。かかる練り込みは高温で行われるため、
抗菌・抗黴剤として有機系のものを用いると、それが飛
散して抗菌・抗黴効果が弱くなってしまう。このため、
無機系の抗菌・抗黴剤が練り込みに用いられている。通
常、細菌等の微生物は基材の表面で繁殖するので、抗菌
・抗黴剤は、基材の表面又は表層付近に存在させておけ
ば、十分な抗菌・抗黴効果を発揮する。しかし、練り込
む方法では、表面に露出する抗菌・抗黴剤の量が極わず
かであるので、抗菌・抗黴剤を大量に練り込まないと十
分な抗菌・抗黴効果が得られず、この場合、大部分の抗
菌・抗黴剤が無駄になってしまう。また、抗菌・抗黴剤
を大量に入れると、光などで変色してしまうという問題
もある。
【0004】そこで、かかる欠点を解消するために、抗
菌・抗黴性付与材の製造方法として、特開平2−145
625に示されたように、放射線重合性のモノマー及び
/又はオリゴマー(放射線硬化樹脂)に含金属抗菌・抗
黴剤を含有させたものを基材の表面に塗布した後、この
塗布した膜に電子線を照射することにより塗布膜を硬化
させて、基材表面に抗菌・抗黴性を付与する方法が提案
されている。この方法では、含金属抗菌・抗黴剤とし
て、たとえば銀等の抗菌・抗黴性を有する金属をゼオラ
イトに担持させたものを使用している。そして、この含
金属抗菌・抗黴剤は、十分な抗菌・抗黴効果を得るため
に、放射線重合性のモノマー及び/又はオリゴマーに
1.5wt%以上添加される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
抗菌・抗黴性付与材の製造方法では、無機金属系の抗菌
・抗黴剤を用いているので、電子線を照射して塗布膜を
硬化させたときに、抗菌・抗黴剤の含有量によっては透
明性が悪くなることがある。また、抗菌・抗黴剤は金属
を含むので、空気中に曝露したとき、金属と反応しやす
い物質、たとえば銀であればハロゲンや硫化物等と反応
することがあり、かかる反応が起こると、抗菌力及び抗
黴力がなくなってしまうし、耐光性が悪い。さらに、こ
の方法で抗菌・抗黴性を付与した製品を燃焼して廃棄す
る場合には残渣が残るという問題もある。このため、か
かる問題点を除去するために抗菌・抗黴剤として無機金
属系のものを用いる必要がなく、しかも抗菌・抗黴剤を
無駄なく有効に使用することができる抗菌・抗黴性付与
材の製造方法の実現が望まれている。
【0006】また、特開平7−33892において、有
機系抗菌剤として、有機スズ化合物やクロルヘキシジン
系等のものを用いることが記載されている。しかし、有
機スズ化合物は毒性や臭気が強く、一方、クロルヘキシ
ジンは光により分解しやすいため、これらの化合物を抗
菌剤として用いることは望ましくない。
【0007】一方、このように基材に抗菌性及び抗黴性
を持たせて、基材に付着した微生物を死滅させたり、そ
の増殖を阻止することも重要であるが、細菌や黴等の微
生物が付着しにくい性質をも基材に付与することができ
れば、微生物の繁殖をより確実に防止することができ
る。通常、環境中の浮遊菌及び落下菌は、塵、ほこり、
水滴等に付着した状態で存在している。また、黴は、胞
子の状態で空気中を浮遊している。このため、基材表面
が静電気を帯びていると、静電気により塵やほこり等が
基材表面に引き寄せられて、基材に微生物が付着するこ
とになる。したがって、上記の抗菌・抗黴性付与材の製
造方法において、基材に抗菌・抗黴性を付与すると共に
帯電防止効果を与えることができる方法の実現が望まれ
ている。
【0008】本発明は上記事情に基づいてなされたもの
であり、抗菌・抗黴剤として無機金属系のものを用いる
必要がなく、しかも抗菌・抗黴剤を無駄なく有効に使用
することができ、さらに毒性や臭気が少なく、光により
分解しにくい抗菌・抗黴剤を用いると共に、基材に帯電
防止効果を付与することができる抗菌・抗黴性付与帯電
防止材の製造方法及び抗菌・抗黴性付与帯電防止材を提
供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1記載の発明に係る抗菌・抗黴性付与帯電防
止材の製造方法は、分子中に少なくとも二個のアクリロ
イル基を有し、ヒドロキシ基を持たない架橋性化合物
と、分子中に少なくとも一個のアクリロイル基及び少な
くとも一個のヒドロキシ基を有する相溶性化合物と、分
子中に少なくとも一個のアクリロイル基を有する第四級
アンモニウム塩化合物とを含有するものに、3−ヨード
−2−プロピニルブチルカーバメート及びN,N−ジメ
チル−N′−フェニル−N′−(フルオロジクロロメチ
ルチオ)−スルファミドのうち少なくとも一方を含む抗
菌・抗黴剤を含有させたコーティング剤を、基材上に塗
布した後、前記コーティング剤の表面に電子線を照射し
て前記コーティング剤の硬化被膜を形成することによ
り、前記基材に抗菌性・抗黴性及び帯電防止効果を付与
することを特徴とするものである。
【0010】請求項2記載の発明に係る抗菌・抗黴性付
与帯電防止材の製造方法は、請求項1記載の発明におい
て、前記抗菌・抗黴剤を前記架橋性化合物、前記相溶性
化合物及び前記第四級アンモニウム塩化合物に100〜
2000ppm添加したことを特徴とするものである。
【0011】請求項3記載の発明に係る抗菌・抗黴性付
与帯電防止材は、分子中に少なくとも二個のアクリロイ
ル基を有し、ヒドロキシ基を持たない架橋性化合物と、
分子中に少なくとも一個のアクリロイル基及び少なくと
も一個のヒドロキシ基を有する相溶性化合物と、分子中
に少なくとも一個のアクリロイル基を有する第四級アン
モニウム塩化合物とを含有するものに、3−ヨード−2
−プロピニルブチルカーバメート及びN,N−ジメチル
−N′−フェニル−N′−(フルオロジクロロメチルチ
オ)−スルファミドのうち少なくとも一方を含む抗菌・
抗黴剤を含有させたコーティング剤を、基材上に塗布し
た後、前記コーティング剤の表面に電子線を照射して前
記コーティング剤の硬化被膜を形成したことを特徴とす
るものである。
【0012】請求項4記載の発明に係る抗菌・抗黴性付
与帯電防止材は、請求項3記載の発明において、前記抗
菌・抗黴剤を前記架橋性化合物、前記相溶性化合物及び
前記第四級アンモニウム塩化合物に100〜2000p
pm添加したことを特徴とするものである。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明は前記の構成によって、3
−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート及びN,
N−ジメチル−N′−フェニル−N′−(フルオロジク
ロロメチルチオ)−スルファミドのうち少なくとも一方
を含む抗菌・抗黴剤と、分子中に少なくとも二個のアク
リロイル基を有しヒドロキシ基を持たない架橋性化合物
と、分子中に少なくとも一個のアクリロイル基及び少な
くとも一個のヒドロキシ基を有する相溶性化合物と、分
子中に少なくとも一個のアクリロイル基を有する第四級
アンモニウム塩化合物とを含有させたコーティング剤
を、たとえば基材フィルムの表面に塗布した後、電子線
をコーティング剤の表面に照射して、コーティング剤の
硬化被膜を形成することにより、基材フィルムに抗菌性
・抗黴性及び帯電防止効果を付与することができる。こ
のように処理された基材フィルムは帯電防止効果を有す
るので、基材フィルムの表面抵抗を低下させて、細菌や
黴等の微生物が基材フィルムの表面に付着しにくくする
ことができる。また、本発明者等は、かかる方法で処理
した基材フィルムが、抗菌力・抗黴力というよりも、殺
菌力・殺黴力を持つことを確認した。したがって、たと
え基材フィルムの表面に細菌や黴等の微生物が付着して
しまった場合でも、これらの微生物を殺菌することがで
きる。
【0014】また、抗菌・抗黴剤の添加量は微量でよい
ので、抗菌・抗黴剤を無駄なく有効に使用することがで
き、コスト低下を図ることができると共に、コーティン
グ剤の透明度はそれ程低下しない。さらに、抗菌・抗黴
剤には金属が含まれていないので、空気中に曝露したと
きに空気中の物質の影響を受けにくくなり、しかも、燃
焼して廃棄する場合に残渣がほとんど残らず、燃焼処理
が容易になるという利点がある。
【0015】
【実施例】以下に、本発明の一実施例について図面を参
照して説明する。図1は本発明の一実施例である抗菌・
抗黴性付与帯電防止材の製造方法を説明するための図、
図2はその抗菌・抗黴性付与帯電防止材の製造方法に使
用する電子線照射装置の概略構成図、図3はその電子線
照射装置の電子線発生部の概略回路図である。
【0016】本実施例では、抗菌性・抗黴性及び帯電防
止効果を付与する基材が高分子フィルム(以下、基材フ
ィルムとも称する。)である場合について考える。かか
る高分子フィルムには、たとえばポリメチルメタクリレ
ート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステル等が
使用される。基材の高分子フィルムの膜厚は、利用する
製品に応じて適宜選択することができるが、5μm〜3
00μmの範囲とするのが好ましく、特に、ポリエチレ
ン、ポリ塩化ビニル等のように軟質なものを用いる場合
には、50μm〜200μmの範囲とするのが望まし
い。
【0017】本実施例の抗菌・抗黴性付与帯電防止材の
製造方法では、放射線硬化樹脂の中に帯電防止剤と有機
ハロゲン系の抗菌・抗黴剤とを含有させたものを、基材
フィルムの表面に塗布するコーティング剤として使用す
る。放射線硬化樹脂の主要成分は、オリゴマーとモノマ
ーである。ここで、オリゴマーとしては、分子中に少な
くとも二個のアクリロイル基を有し、ヒドロキシ基を持
たない架橋性化合物を用い、モノマーとしては、オリゴ
マーとの相溶性を有し、分子中に少なくとも一個のアク
リロイル基及び少なくとも一個のヒドロキシ基を有する
相溶性化合物が用いられる。また、帯電防止剤として、
分子中に少なくとも一個のアクリロイル基を有する第四
級アンモニウム塩化合物を用いる。
【0018】また、有機ハロゲン系の抗菌・抗黴剤とし
ては、有機ヨウ素系又は有機塩素系等のものであって、
放射線硬化樹脂との相溶性が極めて良好なものが用いら
れる。そして、電子線が照射されても抗菌性及び抗黴性
を保持できるものが用いられる。具体的には、抗菌・抗
黴剤として、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバ
メート(IC≡CCH2 OCONHC4 9 )を用い
る。この抗菌・抗黴剤は、放射線硬化樹脂及び帯電防止
剤に500ppm程度添加される。このように、本実施
例では、抗菌・抗黴剤の添加量が、従来の含金属抗菌・
抗黴剤を用いた方法に比べて、30分の1以下と非常に
少なくて済むという利点がある。一般に、抗菌・抗黴剤
の添加量は、100ppm〜2000ppmの範囲とす
るのが好ましく、特に300ppm〜1000ppmの
範囲とするのが望ましい。尚、この有機ハロゲン系の抗
菌・抗黴剤には、金属が含まれていない。
【0019】本実施例の抗菌・抗黴性付与帯電防止材の
製造方法では、まず、図1(a)に示すように、放射線
硬化樹脂12と帯電防止剤14と有機ハロゲン系の抗菌
・抗黴剤16とを混合したコーティング剤10を、基材
フィルム2の表面に塗布する。ここで、図1では、帯電
防止剤14と抗菌・抗黴剤16が放射線硬化樹脂12の
中に固形物として存在しているように描かれているが、
実際には、帯電防止剤14と抗菌・抗黴剤16は放射線
硬化樹脂12の中によく溶け込んでいる。また、コーテ
ィング剤10を塗布する方法としては、たとえばグラビ
アコーティング法、メイアーロッド法、カーテンコート
法等を用いることができる。
【0020】次に、図1(b)に示すように、基材フィ
ルム2に塗布したコーティング剤10の表面に電子線を
照射する。すると、ラジカルが生成され、これにより、
モノマー及び/又はオリゴマーの重合反応や架橋反応が
起こって重合体が形成される。その結果、コーティング
剤10の硬化被膜が得られる。ここで、塗布したコーテ
ィング剤10の硬化被膜の膜厚は、1μm〜50μmの
範囲とすることが好ましい。特に、その硬化被膜の膜厚
の下限は、表面耐久性を確保する等のために、2μmと
することが望ましく、一方、その硬化膜厚の上限は、硬
化被膜によって基材フィルム2に大きな反りが生じるの
を防止するために、20μmとすることが望ましい。ま
た、コーティング剤10の表面に照射する電子線の線量
は、10kGy〜150kGyの範囲とすることが好ま
しく、特に20kGy〜100kGyの範囲とすること
が望ましい。上記のようにして、本実施例の抗菌・抗黴
性付与帯電防止材の製造方法が終了し、基材フィルム2
に抗菌性・抗黴性及び帯電防止効果が付与される。
【0021】ここで、本実施例の方法で使用する電子線
照射装置について説明する。かかる電子線照射装置は、
被処理物の表面における重合や架橋処理に使用されるも
のであり、図2に示すように、電子線発生部50と、照
射室60と、照射窓部70とを備えるものである。
【0022】電子線発生部50は、電子線を発生するタ
ーミナル52と、ターミナル52で発生した電子線を真
空空間(加速空間)で加速する加速管54とを有するも
のである。また、電子線発生部50の内部は、電子が気
体分子と衝突してエネルギーを失うことを防ぐため、及
びフィラメント52aの酸化を防止するため、図示しな
いポンプ等により1.3×10-4〜1.3×10-5Pa
の真空に保たれている。ターミナル52は、熱電子を放
出する線状のフィラメント52aと、フィラメント52
aを支持するガン構造体52bと、フィラメント52a
で発生した熱電子をコントロールするグリッド52cと
を有する。
【0023】また、図3に示すように、電子線発生部5
0には、フィラメント52aを加熱して熱電子を発生さ
せるための加熱用電源56aと、フィラメント52aと
グリッド52cとの間に電圧を印加する制御用直流電源
56bと、グリッド52cと照射窓部70に設けられた
窓箔72との間に電圧(加速電圧)を印加する加速用直
流電源56cとが設けられている。
【0024】照射室60は、被処理物に電子線を照射す
る照射空間62を含むものである。また、被処理物は照
射室60内をローラ等を用いた搬送手段(不図示)によ
り、図2において左側から右側に移動する。尚、電子線
発生部50及び照射室60の周囲は電子線照射時に二次
的に発生するX線が外部へ漏出しないように、鉛遮蔽が
施されている。
【0025】照射窓部70は、金属箔からなる窓箔72
と、窓箔72を冷却すると共に窓箔72を支持する窓枠
構造体74とを有するものである。窓箔72は、電子線
発生部50内の真空雰囲気と照射室60内の照射雰囲気
とを仕切るものであり、また窓箔72を介して照射室6
0内に電子線を取り出すものである。窓箔72に使用さ
れる金属としては、厚さ約10μm程度のTi箔が最も
よく使用されている。
【0026】加熱用電源56aによりフィラメント52
aに電流を通じて加熱するとフィラメント52aは熱電
子を放出し、この熱電子は、フィラメント52aとグリ
ッド52cとの間に印加された制御用直流電源56bの
制御電圧により四方八方に引き寄せられる。このうち、
グリッド52cを通過したものだけが電子線として有効
に取り出される。そして、このグリッド52cから取り
出された電子線は、グリッド52cと窓箔72との間に
印加された加速用直流電源56cの加速電圧により加速
管54内の加速空間で加速された後、窓箔72を突き抜
け、照射窓部70の下方の照射室60内を搬送される被
処理物に照射される。尚、通常は、加熱用電源56aと
加速用直流電源56cとを所定の値に設定し、制御用直
流電源56bを可変にすることにより、ビーム電流の調
整を行っている。一般に、電子線照射装置では、被処理
物が吸収する線量はビーム電流に比例する。このため、
ビーム電流を変えることにより、電子線の吸収線量を調
整することができる。
【0027】このような電子線照射装置を本実施例の抗
菌・抗黴性付与帯電防止材の製造方法に使用する場合に
は、一般に、加速電圧を100kV〜500kVの範囲
内の値に設定することが好ましい。特に、基材フィルム
2に用いる高分子フィルムが、ポリカーボネートやポリ
プロピレン等のように電子線により劣化しやすいもので
ある場合には、加速電圧を100kV〜250kVの範
囲内の値に設定することが望ましい。また、本実施例の
ように、表面処理を行う場合には、被処理物の周囲に多
量の酸素が存在すると、電子線を照射することで生成さ
れたラジカルが酸素と反応してしまい、ラジカル重合反
応が阻害される。このため、照射室60内の照射雰囲気
を窒素雰囲気としている。具体的には照射雰囲気の酸素
濃度を1000ppm以下とするのが好ましく、特に5
00ppm以下にするのが望ましい。
【0028】次に、本発明者等は、本実施例の抗菌・抗
黴性付与帯電防止材の製造方法による処理を施した基材
フィルムについて、抗菌効果を確認する試験や防黴効果
を確認する試験等を行った。
【0029】これらの試験では、基材フィルムとして、
東レ(株)製のルミラ(登録商標)(ポリエステルフィ
ルム(PET))を使用した。この基材フィルムの厚さ
は100μmである。また、コーティング剤として、次
の四種類のものを混合して使用した。すなわち、オリゴ
マーとしてのトリメチロールプロパントリアクリレート
(TMP3A)と、モノマーとしてのヒドロキシエチル
アクリレート(HEA)と、第四級アンモニウム塩化合
物としてのアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモ
ニウムクロライド(A3MAC)と、抗菌・抗黴剤とし
ての3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート
(IC≡CCH2 OCONHC4 9 )とを混合したも
のを用いた。ここで、抗菌・抗黴剤を、オリゴマー60
mol%、モノマー25mol%及び第四級アンモニウ
ム塩化合物15mol%の混合物に対して500ppm
の濃度になるように添加した。次に、このコーティング
剤を基材フィルムにメイヤーバーコータで、厚さが5μ
mになるように塗布した。その後、電子線照射装置の加
速電圧を165kVに、照射室20内の照射雰囲気を酸
素濃度が300ppm以下であるように設定し、塗布し
たコーティング剤の表面に電子線を30kGyの線量で
照射することにより、コーティング剤の硬化被膜を形成
した。ここで、電子線照射装置として、岩崎電気(株)
製CB250/15/180Lを使用した。こうして得
られた基材フィルムを用いて、以下の各試験を行った。
【0030】最初に、かかる処理を行った基材フィルム
について防黴効果を確認する試験を行った。この防黴試
験は、旧ソ連邦国家規格GOST−9049−75の試
験に準拠して行った。ここで、試験黴としては、 ・Aspergillus niger ・Penicillium citrinum ・Alternaria sp. ・Chaetomium globosum ・Cladosporium cladosporioides の五種類の菌種を使用した。まず、上記の処理を行った
基材フィルムを5cm×5cm角に切ったフィルム試験
片A1 と、かかる処理を行っていない基材フィルムを5
cm×5cm角に切ったフィルム試験片B1 とを作製し
た。そして、フィルム試験片A1 ,B1 をそれぞれGO
ST寒天培地に置いた。次に、上記五種類の試験菌種を
混合して得られた混合胞子懸濁液を、培地とフィルム試
験片A1 ,B1 との面に1ml散布し、容器に蓋をして
温度27℃で培養した。そして、各フィルム試験片
1 ,B1 をこのまま放置し、フィルム試験片A1 ,B
1 上の発黴の状態を観察した。この試験結果を図4に示
す。ここで、各フィルム試験片A 1 ,B1 に対しそれぞ
れ三個のサンプルを作製して試験を行ったが、すべて同
一の結果が得られた。図4から、本実施例の方法による
処理を行わなかったフィルム試験片B1 では、放置後7
日目にはまだ黴の発育が認められなかったが、14日目
には黴が発育し、全体面積の三分の一以下を覆ってしま
った。そして、21日目には黴の発育が全体面積の三分
の一を超え、三分の二以下となり、28日目には黴の発
育が全体面積の三分の二を超えてしまった。一方、本実
施例の方法による処理を行ったフィルム試験片A1
は、放置後28日目でも黴の発育が認められなかった。
したがって、本実施例の方法で処理された基材フィルム
は、十分な防黴効果を有することが確認された。
【0031】また、本発明者等は、3−ヨード−2−プ
ロピニルブチルカーバメートに代えて、銀イオン含有ゼ
オライトを抗菌・抗黴剤として用い、上記と同様にして
処理した基材フィルムについても同様に防黴試験を行っ
た。この試験結果を図4の下段に示す。ここでは、三種
類のフィルム試験片Cを作製した。すなわち、放射線硬
化樹脂に対する銀イオン含有ゼオライトの添加量が1.
0wt%であるものと、銀イオン含有ゼオライトの添加
量が1.5wt%であるものと、銀イオン含有ゼオライ
トの添加量が2.0wt%であるものの三種類である。
図4に示したように、銀イオン含有ゼオライトを2.0
wt%添加した場合でも、放置後二週間経過すると、黴
の発育が認められた。したがって、本実施例の方法で
は、従来の銀イオン含有ゼオライトを用いた方法に比べ
て、抗菌・抗黴剤の添加量が非常に少ないが、本実施例
の方法で処理された基材フィルムは、従来の銀イオン含
有ゼオライトを用いた方法で処理されたものに比べて、
抗黴性の点で優れていることがわかる。
【0032】次に、上記の方法による処理を行った基材
フィルムについて抗菌効果を確認する試験を行った。こ
こで、試験菌種としては、 ・Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) ・Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌) ・Escherichia coli(大腸菌) の三種類のものを使用した。まず、上記の方法による処
理を行った基材フィルムを用いて作製したフィルム試験
片A2 と、かかる処理を行っていない基材フィルムを用
いて作製したフィルム試験片B2 とを用意した。次に、
各菌種の培養液を滅菌済の生理食塩水で希釈し、その希
釈した各菌種の培養液0.1mlをそれぞれ二つのシャ
ーレにとった。そして、各菌種の培養液上にそれぞれフ
ィルム試験片A2 ,B2 を置き、一夜放置した。その
後、各シャーレに2mlの滅菌済の生理食塩水を加え、
よく振り混ぜた後、液中の生菌数(X)を測定し、これ
からフィルム下の生菌数を求めた。この試験結果を図5
に示す。図5から、本実施例の方法による処理を行わな
かったフィルム試験片B2 では、黄色ブドウ球菌に対し
ては、フィルム下の生菌数が2.2×106 個/ml、
緑膿菌に対しては、フィルム下の生菌数が1.5×10
6 個/ml、大腸菌に対しては、フィルム下の生菌数が
1.0×106 個/mlであった。一方、本実施例の方
法による処理を行ったフィルム試験片A2 では、各菌種
に対して、液中の生菌数(X)が検出されなかった。こ
のため、フィルム下では生菌数は測定限界(20個)以
下であると考えられる。したがって、本実施例の方法で
処理された基材フィルムは、十分な抗菌効果を有するこ
とが確認された。
【0033】ところで、一般に、有機系の抗菌・抗黴剤
は無機金属系の抗菌・抗黴剤に比べて耐熱性の点で劣っ
ている。このため、本発明者等は、上記の方法により処
理を行った基材フィルムについて耐熱性に関する試験を
行った。この耐熱試験では、上記の方法により処理され
た各基材フィルムを、それぞれ60℃、80℃の雰囲気
中に3時間放置した後、抗菌試験及び防黴試験を上記と
同様にして行った。耐熱試験の結果、基材フィルムは、
十分な抗菌効果及び防黴効果を有し、60℃又は80℃
の雰囲気中に3時間放置しておいた影響がほとんどない
ことが確認された。したがって、たとえば本実施例の方
法により処理された日用雑貨品等については、日常的に
加熱処理を行っても、抗菌性及び抗黴性が低下すること
はない。
【0034】更に、本発明者等は、帯電防止効果を確認
する試験を行った。この帯電防止効果試験では、上記の
方法により処理を行った基材フィルムと、上記の方法に
より処理を行った後、60℃の雰囲気中に3時間放置し
ておいた基材フィルムと、上記の方法により処理を行っ
た後、80℃の雰囲気中に3時間放置しておいた基材フ
ィルムとについて、表面抵抗値を測定した。ここで、表
面抵抗値は、三菱油化(株)製 Hiresta HT-210 を用い
て測定した。また、測定時の環境は、温度25℃、湿度
60%RHであった。一般に、基材の帯電を防止するた
めには、表面抵抗を1012Ω/□以下にする必要があ
る。帯電防止効果試験の結果、三つの基材フィルムにつ
いて表面抵抗値が約5×1010Ω/□であった。したが
って、本実施例の方法により処理された基材フィルム
は、十分な帯電防止効果を有することが確認された。
【0035】本実施例の抗菌・抗黴性付与帯電防止材の
製造方法では、抗菌・抗黴剤として3−ヨード−2−プ
ロピニルブチルカーバメートを使用し、また、帯電防止
剤として第四級アンモニウム塩化合物を使用し、これら
の抗菌・抗黴剤及び帯電防止剤を放射線硬化樹脂に含有
させたコーティング剤を、たとえば基材フィルムの表面
に塗布した後、電子線をコーティング剤の表面に照射し
て、コーティング剤の硬化被膜を形成することにより、
基材フィルムに抗菌性・抗黴性及び帯電防止効果を付与
することができる。このため、基材フィルムは帯電防止
効果を有するので、基材フィルムの表面抵抗を低下させ
て、細菌や黴等の微生物が基材フィルムの表面に付着し
にくくすることができる。また、本発明者等が行った試
験によれば、かかる方法で処理した基材フィルムは、抗
菌力・抗黴力というよりも、殺菌力・殺黴力を持つこと
が確認された。したがって、たとえ基材フィルムの表面
に細菌や黴等の微生物が付着してしまった場合でも、こ
れらの微生物を殺菌することができる。
【0036】また、抗菌・抗黴剤の添加量は微量でよい
ので、抗菌・抗黴剤を無駄なく有効に使用することがで
き、コスト低下を図ることができると共に、コーティン
グ剤の透明度はそれ程低下しない。さらに、抗菌・抗黴
剤には金属が含まれていないので、空気中に曝露したと
きに空気中の物質の影響を受けにくくなり、しかも、燃
焼して廃棄する場合に残渣がほとんど残らず、燃焼処理
が容易になるという利点がある。その上、抗菌・抗黴剤
として用いる3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバ
メートは、毒性や臭気が少なく、光により分解しにくい
という特徴もある。
【0037】尚、本発明は上記の実施例に限定されるも
のではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可
能である。上記の実施例では、抗菌・抗黴剤として3−
ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートを用いた場
合について説明したが、たとえば、抗菌・抗黴剤とし
て、有機ハロゲン系のものであって、分解温度が120
℃で熱安定性が非常によく、防黴塗料などに使用される
N,N−ジメチル−N′−フェニル−N′−(フルオロ
ジクロロメチルチオ)−スルファミドを用いてもよい。
本発明者等は、抗菌・抗黴剤としてN,N−ジメチル−
N′−フェニル−N′−(フルオロジクロロメチルチ
オ)−スルファミドを用いた場合について、上記の各試
験を行ったところ、同様の結果が得られた。また、抗菌
・抗黴剤としては、3−ヨード−2−プロピニルブチル
カーバメートと、N,N−ジメチル−N′−フェニル−
N′−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド
とを混合させたものを用いてもよい。
【0038】また、本発明者等は、3−ヨード−2−プ
ロピニルブチルカーバメート、N,N−ジメチル−N′
−フェニル−N′−(フルオロジクロロメチルチオ)−
スルファミド以外の抗菌・抗黴剤を用いて上記の各試験
を行った。その結果、使用した抗菌・抗黴剤の中には、
上記の実施例で用いた放射線硬化樹脂との相溶性が悪
く、本発明の方法には使用できないものもあった。たと
えば、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイ
ミド、2−メトキシカルボニルアミノベンツイミダゾー
ル、2−(4′−チアゾリル)−ベンツイミダゾール等
の抗菌・抗黴剤である。しかしながら、放射線硬化樹脂
との相溶性が問題であるので、放射線硬化樹脂の種類を
変えることによって、相溶性がよくなる可能性がある。
したがって、相溶性がよくなれば、これらの抗菌・抗黴
剤であっても、本発明の方法に使用することが可能であ
る。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメ
ート及びN,N−ジメチル−N′−フェニル−N′−
(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドのうち
少なくとも一方を含む抗菌・抗黴剤と、分子中に少なく
とも二個のアクリロイル基を有しヒドロキシ基を持たな
い架橋性化合物と、分子中に少なくとも一個のアクリロ
イル基及び少なくとも一個のヒドロキシ基を有する相溶
性化合物と、分子中に少なくとも一個のアクリロイル基
を有する第四級アンモニウム塩化合物とを含有させたコ
ーティング剤を、たとえば基材フィルムの表面に塗布し
た後、電子線をコーティング剤の表面に照射して、コー
ティング剤の硬化被膜を形成することにより、基材フィ
ルムに帯電防止効果を付与することができるので、基材
フィルムの表面抵抗を低下させて、細菌や黴等の微生物
が基材フィルムの表面に付着しにくくすることができる
と共に、基材フィルムに十分な抗菌性及び抗黴性を付与
することができるので、たとえ基材フィルムの表面に細
菌や黴等の微生物が付着してしまった場合でも、これら
の微生物を殺菌することができる抗菌・抗黴性付与帯電
防止材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である抗菌・抗黴性付与帯電
防止材の製造方法を説明するための図である。
【図2】その抗菌・抗黴性付与帯電防止材の製造方法に
使用する電子線照射装置の概略構成図である。
【図3】その電子線照射装置の電子線発生部の概略回路
図である。
【図4】本実施例の方法による処理を施したフィルム、
及び銀イオン含有ゼオライトを抗菌・抗黴剤として用い
て処理したフィルムについて防黴試験を行った結果を示
す図である。
【図5】本実施例の方法による処理を施したフィルムに
ついて抗菌試験を行った結果を示す図である。
【符号の説明】
2 基材フィルム 10 コーティング剤 12 放射線硬化樹脂 14 帯電防止剤 16 抗菌・抗黴剤 50 電子線発生部 52 ターミナル 52a フィラメント 52b ガン構造体 52c グリッド 54 加速管 56a 加熱用電源 56b 制御用直流電源 56c 加速用直流電源 60 照射室 62 照射空間 70 照射窓部 72 窓箔 74 窓枠構造体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 陽一 大阪市東淀川区東淡路2丁目10番15号 株式会社片山化学工業研究所内 (56)参考文献 特開 平1−316265(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 C08J 7/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に少なくとも二個のアクリロイル
    基を有し、ヒドロキシ基を持たない架橋性化合物と、分
    子中に少なくとも一個のアクリロイル基及び少なくとも
    一個のヒドロキシ基を有する相溶性化合物と、分子中に
    少なくとも一個のアクリロイル基を有する第四級アンモ
    ニウム塩化合物とを含有するものに、3−ヨード−2−
    プロピニルブチルカーバメート及びN,N−ジメチル−
    N′−フェニル−N′−(フルオロジクロロメチルチ
    オ)−スルファミドのうち少なくとも一方を含む抗菌・
    抗黴剤を含有させたコーティング剤を、基材上に塗布し
    た後、前記コーティング剤の表面に電子線を照射して前
    記コーティング剤の硬化被膜を形成することにより、前
    記基材に抗菌性・抗黴性及び帯電防止効果を付与するこ
    とを特徴とする抗菌・抗黴性付与帯電防止材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記抗菌・抗黴剤を前記架橋性化合物、
    前記相溶性化合物及び前記第四級アンモニウム塩化合物
    に100〜2000ppm添加したことを特徴とする請
    求項1記載の抗菌・抗黴性付与帯電防止材の製造方法。
  3. 【請求項3】 分子中に少なくとも二個のアクリロイル
    基を有し、ヒドロキシ基を持たない架橋性化合物と、分
    子中に少なくとも一個のアクリロイル基及び少なくとも
    一個のヒドロキシ基を有する相溶性化合物と、分子中に
    少なくとも一個のアクリロイル基を有する第四級アンモ
    ニウム塩化合物とを含有するものに、3−ヨード−2−
    プロピニルブチルカーバメート及びN,N−ジメチル−
    N′−フェニル−N′−(フルオロジクロロメチルチ
    オ)−スルファミドのうち少なくとも一方を含む抗菌・
    抗黴剤を含有させたコーティング剤を、基材上に塗布し
    た後、前記コーティング剤の表面に電子線を照射して前
    記コーティング剤の硬化被膜を形成したことを特徴とす
    る抗菌・抗黴性付与帯電防止材。
  4. 【請求項4】 前記抗菌・抗黴剤を前記架橋性化合物、
    前記相溶性化合物及び前記第四級アンモニウム塩化合物
    に100〜2000ppm添加したことを特徴とする請
    求項3記載の抗菌・抗黴性付与帯電防止材。
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