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JP3518545B2 - 樹脂材料の表示方法 - Google Patents
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JP3518545B2 - 樹脂材料の表示方法 - Google Patents

樹脂材料の表示方法

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JP3518545B2
JP3518545B2 JP2003136678A JP2003136678A JP3518545B2 JP 3518545 B2 JP3518545 B2 JP 3518545B2 JP 2003136678 A JP2003136678 A JP 2003136678A JP 2003136678 A JP2003136678 A JP 2003136678A JP 3518545 B2 JP3518545 B2 JP 3518545B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂材料の表示方法、収
納容器、掲載書面、接着強度(剥離強度ともいう。以下
において同じ。)測定方法及び複合体の製造方法に係
り、特に残留応力を分離でき、しかも試験片の寸法や形
状に依存しない普遍的な接着強度の得られる樹脂材料の
表示方法、収納容器、掲載書面、接着強度測定方法及び
複合体の製造方法に関し、更には接着信頼性を容易に評
価し得る樹脂材料に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂封止型半導体装置や樹脂絶縁変圧器
など、インサート部材を樹脂モールドした構造の電子、
電気部品においては、樹脂の硬化収縮や樹脂とインサー
ト部材との線膨張係数差によって樹脂接着界面に高い残
留応力が発生する。
【0003】更に、これらの部品の動作時や信頼性試験
時には、内部発熱や苛酷な加熱冷却によって一層高い熱
応力が発生し、接着界面に剥離が発生することがある。
【0004】このような界面剥離は半導体素子、電気配
線材料の腐食や電気絶縁劣化を引き起こすだけでなく、
剥離による応力集中が原因となって樹脂の割れや微細配
線の断線など様々な損傷を引き起こす。
【0005】従って、このような樹脂モールド部品の信
頼性を確保する上で、樹脂材料の接着強度評価が必要不
可欠となっている。
【0006】従来、樹脂材料の接着強度測定方法として
は、例えばアイ・イー・イー・イートランザクション
オン コンポーネンツ ハイブリッズ アンド マニュ
ファクチャリング テクノロジー、第14巻、第4号
(1991年)第809頁から第817頁(IEEE
Trans. Comp., Hybrids,Man
uf. Technol., Vol.14, No.
4(1991)pp.809−817)や接着の技術、
第9巻、第1号(1990年)第60頁から第63頁、
同誌第64頁から第75頁に記載されているように、接
着試験片に引張り、剪断などの荷重を負荷して、剥離発
生時の荷重を接着面積や接着長さで割る方法が知られて
いる。
【0007】また部分的に剥離箇所を設けた接着試験片
に荷重を負荷し、剥離進展時の剥離先端、すなわち、剥
離部と接着部の境界近傍の応力分布を破壊力学パラメー
タで一義的に記述する方法が日本機械学会第67期通常
総会講演会講演論文集、A編(1990年)第75頁か
ら第77頁などにより知られている。
【0008】更に、接着試験片モールド後の冷却過程で
残留応力によって剥離が発生する温度を測定し、そのと
きの剥離起点部の残留応力分布を解析によって求める方
法が日本機械学会論文集、A編、第54巻、第499号
(1988年)第597頁から第603頁により知られ
ている。
【非特許文献1】アイ・イー・イー・イー トランザク
ション オン コンポーネンツ ハイブリッズ アンド
マニュファクチャリング テクノロジー、第14巻、
第4号(1991年)第809頁から第817頁(IE
EE Trans. Comp.,Hybrids,
Manuf. Technol., Vol.14,
No.4(1991) pp.809−817)
【非特許文献2】接着の技術、第9巻、第1号(199
0年)第60頁から第63頁、同誌第64頁から第75
【非特許文献3】日本機械学会第67期通常総会講演会
講演論文集、A編(1990年)第75頁から第77頁
【非特許文献4】日本機械学会論文集、A編、第54
巻、第499号(1988年)第597頁から第603
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のうち、
引張りや剪断などの荷重を負荷する方法では接着試験片
の作成時点ですでに残留応力が存在しているため、測定
できる接着強度が真の接着強度に残留応力の重畳した見
掛けの接着強度に過ぎないという問題がある。
【0010】特に半導体封止用トランスファモールド樹
脂の場合、モールド金型からの樹脂の離型を容易にする
ため樹脂中に離型剤が配合されており、接着強度が比較
的低い。このため残留応力による接着強度の低下割合が
大きく、試験片の形状や寸法によっては、残留応力だけ
で界面に剥離が発生することもある。
【0011】従ってこのような方法で測定した接着強度
を、解析或いは実験によって求めた界面応力と比較して
も、樹脂モールド部品の接着信頼性を評価することはで
きない。
【0012】更に、接着界面の応力は一般に一様ではな
く、多くの場合端部で応力が無限大となる特異性を有し
ている。
【0013】接着試験時の負荷荷重によって発生する応
力や残留応力の分布は、いずれも試験片の寸法、形状や
材質に依存するため、一様な応力分布を仮定して荷重を
接着面積で割ったり、荷重が剥離先端に沿った直線上に
のみ作用すると仮定して荷重を接着長さで割る従来の方
法では、得られる接着強度が試験片寸法などに依存し、
普遍的な測定値を得ることができない。
【0014】残留応力が存在しない場合には、剥離先端
などの特異点近傍の応力分布を破壊力学パラメータで記
述する方法によって、普遍的な接着強度を得ることがで
きる。しかし残留応力が存在する場合には、従来技術の
最後の例(日本機械学会論文集、A編、第54巻、第4
99号(1988年)第597頁から第603頁)と同
様、解析によって残留応力分布を求めることが必要にな
る。解析によって残留応力を求める場合、樹脂の材質に
よっては物性値の温度依存性や高温での粘弾性挙動が著
しいため、解析が極めて煩雑であったり精度の高い解析
が困難な場合もある。
【0015】また、上述した従来技術の最後の例のよう
に残留応力のみによって剥離を生じさせる場合には必要
な任意の温度で自由に接着強度を測定できないという問
題もある。
【0016】上記のように従来は物性値としての普遍的
な接着強度が事実上得られていなかったため、樹脂成形
品の界面の接着信頼性を評価するにあたっては定量的な
予測は困難であり、実際に成形品を作成して界面の接着
状態、接着強度等を検査、測定することが必要であっ
た。
【0017】本発明の第1の目的は、真の接着強度と残
留応力とを分離でき、しかも試験片の寸法や形状に依存
しない普遍的な接着強度を高精度かつ容易に測定し得る
樹脂材料の接着強度測定方法を提供し、この結果を用い
た樹脂材料の表示方法、収納容器、掲載書面及び複合体
の製造方法を提供することにある。
【0018】また本発明の第2の目的は、与えられた物
性値から成形品の界面の接着信頼性を容易に予測評価し
得る樹脂材料を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、樹脂
材料と、これとの接着強度を求める相手材(以下、被着
材と呼ぶ)との間に部分的な剥離箇所を有し、剥離先端
部近傍の接着界面の残留応力が剪断応力成分主体となる
ような形状の接着試験片を作成し、剥離先端近傍の接着
界面に正、逆2方向の剪断応力が作用するような荷重を
個別に負荷して夫々の場合の見掛けの剥離進展強度を求
めることにより達成される。
【0020】また上記第2の目的は、樹脂材料に、上記
手段によって得られた接着強度の測定結果を添付するこ
とによって達成される。
【0021】本発明の樹脂材料の表示方法、収納容器及
び掲載書面は、樹脂の被着材に対する剪断応力に基づく
接着強度を、被着材名と共に表記すること、または実質
的に残留応力の影響を除外して求めた樹脂の被着材に対
する接着強度を表記することを特徴とする。
【0022】この場合、樹脂材料は成形前(重合前等)
の状態のもの(液状、粉状等)を意味し、特に熱硬化性
樹脂にあっては樹脂組成物を意味する。また、樹脂は樹
脂硬化物のことをいう。表記は応力拡大係数またはひず
みエネルギ解放率で示すことが好ましい。
【0023】応力拡大係数は、一般にMPa√mまたは
kgf/mm32(2分の3乗)の単位で表され、〔応
力〕×〔長さ〕の0.5乗、〔力〕×〔長さ〕の−1.
5乗、または〔質量〕×〔長さ〕の−0.5乗×〔時
間〕の−2乗の次元で示される。
【0024】ひずみエネルギ解放率は、J/m2または
kgf/mmの単位で表され、〔エネルギ〕×〔長さ〕
の−2乗、〔力〕×〔長さ〕の−1乗、〔質量〕×〔時
間〕の−2乗の次元で示される。
【0025】本発明の樹脂材料の接着強度測定方法は、
少なくとも一つの樹脂を含む二つ以上の材料からなる構
成において、互いに接着した2つの材料間に(すなわち
前記少なくとも一つの樹脂と他の材料との間の接着界面
に)予め部分的に剥離箇所を設け、接着界面に互いに逆
向きの剪断応力が作用するような2種類の荷重を個別に
負荷して、夫々の荷重負荷に対する剥離進展強度を求め
ること、或いは互いの接着強度を求める2つの材料を層
状に接着し、接着界面に垂直な方向の曲げ荷重を、向き
を反転させて負荷することにより逆向きの剪断応力を作
用させること、或いは互いに接着した2つの材料間に、
接着界面に作用する残留応力と同一方向及び逆方向の応
力を個別に作用させて接着強度を求めることを特徴とす
る。
【0026】本発明の複合体の製造方法は、樹脂と金属
との複合体を形成するに際し、該金属を被着材として得
られた樹脂の接着強度を基にして、樹脂と金属の組合せ
を選択することを特徴とする。
【0027】また本発明の半導体装置の製造方法は、金
属製リードフレームと半導体素子を封止樹脂でモールド
成形するに際し、金属製リードフレームの材料を被着材
として得られた封止樹脂の接着強度を基にして、封止樹
脂の材料、金属製リードフレームの材料、金属性リード
フレームの表面処理条件、のうちのいずれか、または相
互の組合せを選択することを特徴とする。
【0028】これらの場合、樹脂はエポキシ系であり、
金属は銅、銅合金、鉄、アルミニウムまたはこれらの合
金例えば鉄−42ニッケルから選択されるものであるこ
とが好ましい。ただし樹脂はこれに限定されず、熱可塑
性であると、熱硬化性であるとを問わない。また樹脂材
料は、液状であっても粉末であっても差し支えなく、硬
化が熱によるか否かは問わない。被着材は金属に限定さ
れず、セラミックスでも樹脂でも本発明を適用し得る。
硬化物は、フィルム、板状物、バルク、いずれも用途に
応じて採用可能である。
【0029】樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂、シ
リコーン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリ
エチレン系、ポリアミド系等の熱可塑性樹脂が挙げら
れ、添加物を含んでも差し支えない。また樹脂として接
着剤の使用も可能であり、例えば、エポキシ樹脂ベース
等の熱硬化性樹脂、酢酸ビニル系樹脂ベース等の熱可塑
性樹脂、クロロプレンベース等のエラストマー、フェノ
ール樹脂−エポキシ樹脂等の混合型樹脂等が挙げられ
る。
【0030】更に本発明による強度表示の成果は、特に
樹脂と金属との密着力を要求される複合体に適用するに
際して効果を奏し、樹脂封止半導体装置等の電子部品、
樹脂絶縁変圧器等の電力機器、VTRシャーシ等の家電
製品に適する。
【0031】尚、本明細書において、剥離進展強度と
は、予め剥離した部分を起点にして、更に剥離が進展す
ることに対する強度を示したものである。
【0032】表示は、他の条件との併記を妨げない。
【作用】正逆二通りの剪断応力を作用させることによっ
て、残留応力が負荷荷重による応力を増加させる方向と
減少させる方向の二つの剥離進展強度を求めることがで
きる。負荷荷重のみによって発生する剥離先端近傍の見
掛けの応力分布は、試験片の寸法、形状と物性値から計
算によって精度良く求めることができるので、これら二
つの見掛けの強度の算術平均を取ることによって、普遍
的な真の接着強度を得ることができる。
【0033】すなわち、接合物には必ず残留応力が存在
するので、接着界面に残留応力と逆の向きの剪断応力を
作用させる測定では、”真の強度+残留応力”が測定さ
れることになり、残留応力と同じ向きに剪断応力を作用
させる測定では、”真の強度−残留応力”が測定される
ことになるので、両者の測定結果の平均、すなわち”
(真の強度+残留応力)+(真の強度−残留応力)”/
2を求めれば真の強度が求まるという本発明者が見出し
た原理に基づくものである。
【0034】また樹脂材料において、このような接着強
度の測定結果が与えられていれば、従来から用いられて
いる縦弾性係数や線膨張係数などの物性値をもとに成形
状態での発生応力を解析によって求め、これを接着強度
と比較することによって成形品の接着信頼性を定量的に
予測評価することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面によって説明す
る。
【0036】図1は、本発明の一実施例である樹脂材料
の接着強度測定方法において、試験片の形状と荷重の負
荷方法を示す正面図である。
【0037】短冊状或いは直方体状の試験片1は、樹脂
2と被着材3を接着した2層構造となっており、接着界
面4の一端には予め剥離部分5が設けられている。曲げ
荷重を受けるこのような形状の試験片は、一般にENF
(End−NotchedFlexure)試験片と呼
ばれている。
【0038】本実施例に用いた樹脂材料は、主剤にクレ
ゾールノボラックエポキシ樹脂、硬化剤にフェノールノ
ボラック樹脂、充填剤に溶融シリカを使用しており、こ
の他に可塑剤、硬化促進剤、カップリング剤、離型剤、
難燃化剤、着色剤等が若干量添加されているエポキシ系
樹脂組成物である。
【0039】この試験片1を作成するにあたっては、モ
ールド金型内に予め被着材3を入れておき、高温で樹脂
2をモールドし硬化させた後、室温まで冷却、或いは試
験温度まで加熱、冷却した。
【0040】従って接着界面4には、樹脂2の硬化収縮
や被着材3との線膨張係数差によって、剪断応力成分を
主体とする残留応力τrが作用している。図1では、樹
脂2の収縮が被着材3の収縮よりも大きい場合を例とし
て、剥離先端7近傍での残留応力τrの作用方向を示し
ている。
【0041】接着強度試験は、図1の(a)、(b)に
夫々示すように試験片1を上下反転させた両方の場合に
ついて3点曲げ試験を行い、剥離が進展を開始するとき
の荷重を測定した。すなわち図1(a)では、樹脂2側
を上にして試験片1を二つの支点6で支持し、スパンの
中央部に荷重P1を負荷した。また図1(b)では、被
着材3側を上にして同様に荷重P2を負荷した。
【0042】このとき接着界面4の剥離先端7近傍に
は、荷重P1による剪断応力τ1、荷重P2による剪断応
力τ2が夫々図1の(a)、(b)に示した方向に作用
する。
【0043】図1の(a)、(b)の例について、剥離
進展開始時の各応力間の関係を模式的に示すと、夫々図
2の(a)、(b)のようになる。
【0044】図2において、(a)、(b)いずれの場
合も残留応力τrの絶対値は同一であり、単に座標系が
反転することによって符号が反転している。(a)の場
合、荷重P1を負荷していくと荷重P1による剪断応力τ
1はまず残留応力τrを軽減させた後、符号を反転させ、
両応力τrとτ1の和が真の接着強度である限界の剪断応
力τcに達したとき、剥離の進展が開始する。
【0045】一方、(b)の場合は荷重P2による剪断
応力τ2が残留応力τrを更に増加させる方向に作用する
ので、(a)の場合の荷重P1よりも小さい荷重P2で応
力和が限界の剪断応力τcに達し、剥離が進展する。
【0046】尚、図1及び図2では、荷重P1、P2の負
荷方向を同一として試験片1を上下反転させているが、
試験片1を基準として座標系を定義し、荷重負荷方向を
反転させると考えれば、図1、図2の(a)(b)間で
残留応力τrは互いに同一方向、荷重による剪断応力
τ1、τ2は互いに反対方向となる。
【0047】図3は、半導体封止用エポキシ樹脂と半導
体リードフレーム用Fe−42Ni合金板を用いた接着
試験片について、図1(a)に示すように樹脂2側から
荷重P1を負荷した場合の剥離進展開始荷重を測定し、
この荷重での接着界面に沿った剥離先端7近傍の応力分
布を、有限要素法によって解析した結果である。
【0048】Fe−42Ni合金は一般の樹脂材料に比
べて線膨張係数が極めて小さいために試験片作成時の残
留応力が大きく、従来、樹脂材料との定量的な接着強度
測定が特に困難であった材料である。
【0049】試験片の寸法は、長さ55mm、幅6m
m、樹脂とFe−42Ni板の厚さは夫々1.5mmと
0.25mm、3点曲げ試験の支点間隔は45mm、剥
離部分を設けた側の支点から剥離先端までの距離は10
mmであり、175℃でモールドし、硬化させた試験片
を室温で試験した。
【0050】また応力解析にあたっては、残留応力がモ
ールド温度から室温までの冷却によって発生するものと
して、熱応力と荷重負荷の両方を考慮した解析を行っ
た。
【0051】図3では、試験片1の座標系として接着界
面4に平行な方向にx軸、垂直な方向にy軸をとると
き、剥離の進展に関与する二つの応力成分である垂直応
力σyと剪断応力τxyの分布を示した。
【0052】図に示すように、剥離先端7近傍では垂直
応力σyに比べて剪断応力τxyの方がはるかに大きく、
本実施例の測定方法では、剥離の進展が大部分剪断応力
成分によって支配されていることが分かる。
【0053】図4は、図3と同一の試験片について図1
に示した二通りの荷重負荷に対する剥離進展開始荷重を
測定し、これらの荷重のみによって剥離先端近傍に発生
する見掛けの剪断応力τ1、τ2の分布と、熱応力のみに
よる剪断応力τrの分布を有限要素法で解析した結果で
ある。
【0054】また図4には、(τ1+τ2)/2及び(τ
1−τ2)/2の分布、並びに図3のτxyに相当する剥離
進展開始時の限界応力τcの分布も示してある。図4か
ら分かるように、負荷荷重のみによる見掛けの剪断応力
τ1とτ2の算術平均(τ1+τ2)/2は、剥離進展開始
時の限界応力τcとよく一致し、(τ1−τ2)/2は熱
応力のみによる剪断応力τrと一致している。
【0055】従って図1に示したように試験片1を上下
反転した両方の場合について見掛けの剪断応力τ1、τ2
を求めることによって、真の接着強度である限界の剪断
応力τcと残留応力τrとを分離できることが分かる。
【0056】上記のようにして求めた限界の剪断応力τ
cの分布は、単一の数値ではないため、そのままでは真
の接着強度として使用するのに不便である。そこで図3
に示したような剥離先端の応力分布を表すパラメータと
して、応力拡大係数やひずみエネルギ解放率などの破壊
力学パラメータを使用する。
【0057】剥離先端近傍の接着界面上の応力分布は、
開口型(モードI)及び面内剪断型(モードII)の変
形に対する応力拡大係数KI、KIIによって、次式のよ
うに表される。
【0058】
【数1】
【0059】
【数2】
【0060】
【数3】
【0061】ここでσy,τxy、rは、夫々図3に示し
た垂直応力、剪断応力及び剥離先端からの距離、またπ
は円周率、iは虚数単位、dは代表長さである。μとυ
は夫々材料の横弾性係数とポアソン比であり、添字pと
aによって樹脂と被着材を区別する。数1で表されるよ
うにKIとKIIの二つのパラメータを組合せることによ
って、真の接着強度に相当する限界の応力分布を表すこ
とができる。
【0062】尚、異種材料の界面の場合には数1で表さ
れるように、均質材中の亀裂の場合と異なってKIとK
IIが夫々σyとτxyに個別には対応していないので、こ
れらを分離して考えることができない。
【0063】このため本実施例のように剪断応力成分が
支配的な場合でも、KIIのみで応力分布を表すことはで
きず、KIとKIIの組合せを用いる必要がある。
【0064】単一のパラメータで剥離先端近傍の応力分
布を表す方法の一つとしては、残留応力の存在しない場
合について次式で表される応力拡大係数Kiを用いる方
法が、従来技術の項で示した日本機械学会第67期通常
総会講演会講演論文集掲載の論文などにより知られてい
る。
【0065】
【数4】
【0066】このパラメータは、次に示すように、上記
実施例で述べた真の接着強度と残留応力との分離にも適
用することができ、またKIとKIIの組合せを用いる場
合に比べてパラメータの算出や評価が容易になるという
利点がある。
【0067】すなわち、上記実施例では図3に示したよ
うにτxy》σyとなっているので、Kiは次式のように表
すことができ、剪断応力τxyの分布と一対一に対応する
ことになる。
【0068】
【数5】
【0069】従って図1のように試験片を上下反転して
負荷荷重P1、P2のみによる見掛けのKi(以下、夫々
i1、Ki2で表す。)を求めれば、これらの算術平均
(Ki1+Ki2)/2から真の接着強度に対応するK
i(以下、Kicで表す。)を、また(Ki1−Ki2)/2
から残留応力に対応するKi(以下、Kirで表す。)を
求めることができ、単一の数値だけで接着強度を評価す
ることができる。
【0070】任意の荷重条件に対してKiを求めるに
は、有限要素法や境界要素法などの数値解析手法によっ
て解析した剥離先端近傍の接着界面上の応力分布または
剥離面の変位分布から、日本機械学会論文集、A編、第
55巻、第510号(1989)第340頁から第34
7頁に記載されている方法によって算出すればよい。
【0071】また図1の実施例の荷重負荷に対するKi
は、後述するひずみエネルギ解放率と同様、数値解析を
行うことなく、はりの曲げ理論から容易に算出すること
もできる。
【0072】図5は、図4に示した有限要素法の解析結
果に対して、負荷荷重のみによる見掛けの応力拡大係数
i1、Ki2と熱応力のみによる応力拡大係数Kir、荷重
と熱応力の両方を考慮した、剥離進展開始時の限界応力
に対応する応力拡大係数Kicを算出した結果である。
【0073】剥離先端のごく近傍で数値解析上の誤差が
大きくなっているものの、それ以外の領域では各応力拡
大係数ともほぼ一定の値が得られている。
【0074】図で明らかなように、荷重負荷に対する見
掛けのKiから求めた(Ki1+Ki2)/2と(Ki1−K
i2)/2は、夫々真の接着強度と残留応力に対応する応
力拡大係数、KicとKirによく一致していることが分か
る。
【0075】上記の例では、熱応力解析を行うことによ
って残留応力と真の接着強度を求めている。しかし樹脂
の材質によっては、物性値の温度依存性が高いため、解
析に先立って試験片モールドから接着強度試験までの熱
履歴に対応して線膨張係数や縦弾性係数などの詳細な温
度依存データを測定することが必要であったり、高温で
の粘弾性挙動が著しいため、解析が極めて煩雑であるう
え精度の高い残留応力解析が困難な場合もある。
【0076】荷重負荷に対する見掛けのKiのみから残
留応力を分離、消去する本実施例の方法によれば、残留
応力の解析を行うことなく容易に、しかも精度良く真の
接着強度を得ることができる。
【0077】また、応力拡大係数Kiは剥離先端近傍の
応力の強さを一義的に記述することができるので、試験
片の寸法や形状に依存しない普遍的な接着強度を得るこ
とができる。
【0078】図1の実施例の荷重負荷に対するKiは、
はりの曲げ理論を用いて次のように導くことができる。
すなわち、試験片1の幅をb、樹脂2と被着材3の厚さ
を夫々tp、ta、3点曲げの支点6の間隔を2L、剥離
部分5を設けた側の支点6から剥離先端7までの剥離長
さをa、樹脂2と被着材3の縦弾性係数を夫々Ep、Ea
とすると、支点6間の中央に荷重Pを負荷したときの荷
重点のたわみδは、はりの曲げ理論により次式のように
求められる。
【0079】
【数6】
【0080】負荷荷重Pに対するコンプライアンスCは
δ/Pであるから、ひずみエネルギ解放率Gは次式のよ
うになる。
【0081】
【数7】
【0082】応力拡大係数Kiとひずみエネルギ解放率
Gの間には次式の関係がある。
【0083】
【数8】
【0084】従って、応力拡大係数Kiは数7、数8か
ら算術計算で容易に求めることができる。
【0085】尚、上記の計算に使用する縦弾性係数E、
横弾性係数μ、ポアソン比υの3つの材料定数間には次
式の関係があるので、計算にあたっては予めこれらのう
ちのいずれか二つのみを求めておけば良い。
【0086】
【数9】
【0087】荷重負荷のみによる見掛けの応力或いは応
力拡大係数の解析に必要な物性値は、モールド温度から
の熱履歴などに無関係に、これらの物性値の試験温度で
の値のみである。上記のひずみエネルギ解放率Gは、真
の接着強度を表すパラメータとして応力拡大係数Ki
代りに用いることもできる。
【0088】この場合、ひずみエネルギ解放率Gは応力
拡大係数Kiおよび応力の2乗に比例しているので、負
荷荷重P1、P2に対する見掛けのひずみエネルギ解放率
1、G2から真の接着強度および残留応力に対応したひ
ずみエネルギ解放率Gc、G rを求める際は、次式のよう
に平方根に対して加減算を行う必要がある。
【0089】
【数10】
【0090】
【数11】
【0091】真の接着強度を表すパラメータとしては、
以上で述べた応力拡大係数KI、KI I、応力拡大係数
i、ひずみエネルギ解放率Gのほか、試験片の寸法や
形状に無関係に剥離先端近傍の応力の強さを一義的に記
述し得るものであれば、破壊力学で用いられる経路独立
積分Jなど、任意のパラメータを使用することができ
る。
【0092】また実用的には、試験片の寸法、形状を特
定した上で、正逆夫々の方向からの荷重負荷による剥離
進展開始荷重の値や、同一の剥離長さでの正逆両方向か
らの平均の剥離進展開始荷重の値を使用しても良い。
【0093】これらの荷重値を使用する場合でも、随時
必要に応じて任意の普遍的なパラメータに変換すること
ができる。
【0094】接着強度を測定する樹脂材料は、熱硬化
性、熱可塑性のいずれであっても良い。また被着材の材
質も金属のほか、セラミックス、シリコン、ガラスなど
の各種無機材料や他の樹脂材料、更には別個に成形した
同一の樹脂材料同士であっても良い。残留応力の種類
も、熱応力だけでなく、硬化反応に伴う収縮や、水分、
薬液などの浸透による膨潤、物理的または化学的環境に
よる材質変化など、任意の発生原因による残留応力を分
離することができる。
【0095】試験片1の寸法を決定するにあたっては、
次のような条件を満たすよう注意する必要がある。
【0096】すなわち、(1)試験片1の作成段階で残
留応力によって接着界面4が剥離しない、(2)接着界
面の剥離以前に樹脂2や被着材3の破壊または塑性変形
が生じない、(3)曲げ試験時にはりの曲げ理論や線形
数値解析の適用範囲外となるような大変形が生じない、
(4)試験片1の幅方向、すなわち図1の紙面に垂直な
方向に作用する剪断応力の影響が無視できる、等であ
る。
【0097】(1)の条件に関しては、試験片の長さや
幅に比べて樹脂2ができるだけ薄いことが望ましく、
(2),(3)の条件に関しては逆に樹脂2が3点曲げ
の支点間隔に比べて極端に薄過ぎないことが望ましい。
また(4)の条件に関しては試験片1の幅が支点間隔に
比べて十分小さいことが望ましい。
【0098】以上の条件を満足する各寸法の限界値は樹
脂2と被着材3の材質の組合せによって異なってくる
が、概略の目安を示すと次のようになる。
【0099】すなわち、試験片厚さは支点間隔の5分の
1から40分の1程度の範囲、試験片幅は支点間隔の5
分の1以下であることが望ましい。
【0100】また、剥離先端7は支点6と荷重点の両方
から試験片厚さ以上の距離だけ離れていることが望まし
い。
【0101】図1の接着強度試験に先立って試験片1の
一端に剥離部分5を設けるには、試験片1のモールド前
に被着材3の一端に離型剤を塗布するか、またはフッ素
樹脂など接着性の悪い材料からなるテープを貼り付けて
おけば良い。
【0102】また、モールド前にこれらの剥離手段を用
いない場合でも、接着強度試験前に予め支点6の間隔を
狭くして試験片1の端部近傍に局所的な曲げ荷重を負荷
したり、試験片1の端部にかみそりの刃を押し付ける等
して剥離部分を形成することができる。
【0103】モールド前に剥離手段を用いる場合も、得
られた剥離部分の先端から更に曲げ荷重等によって自然
の剥離を進展させた方が、テープ等の影響のない、より
精度の高い接着強度を測定することができる。
【0104】応力拡大係数Ki等の算出に必要な剥離部
分5の長さは、試験片側面の顕微鏡観察や上下面からの
超音波探傷検査等によって測定する。試験片のモールド
前に剥離手段を用いる場合は、離型剤の塗布長さやテー
プの接着長さを測定しても良い。ただし後者の場合は、
モールド後に剥離が進展しないことが前提となる。
【0105】3点曲げ試験時の剥離進展の開始は、剥離
長さの変化によるコンプライアンスCの変化、すなわち
荷重Pとたわみδの関係を示す曲線の折れ曲がりによっ
て検知することができる。またアコースティックエミッ
ションの検出器やマイクロフォン等によって、剥離進展
時に発生する音響信号を検出しても良い。
【0106】以上の説明では剥離進展の開始時点をもと
に接着強度を求めたが、材質によっては剥離の進展開始
時と進展中、進展停止時の応力拡大係数Ki等が異なる
場合がある。このような場合は、求める接着強度の用途
に応じて適切な時点の値を採用すればよい。
【0107】図6及び図7は、夫々本発明の他の実施例
である樹脂材料の接着強度測定方法において、試験片の
形状と荷重の負荷方法を示す正面図である。
【0108】本発明の接着強度測定方法に用いる試験片
は、必ずしも互いの接着強度を求める樹脂2と被着材3
の2材料のみからなっている必要はない。例えば図6の
ように同種または異種の二つの被着材3a、3bの間に
はさまれた樹脂2の、被着材3a側の接着界面4での接
着強度を測定したり、或いは図7に示すように被着材3
bの表面にめっきや塗装、接着、蒸着等の手段によって
設けられた第2の被着材3aと樹脂2との接着強度を測
定することもできる。
【0109】更に図1、図6、図7のような2層、3層
構造だけでなく、4層以上の多層構造や、試験片全長の
うちの一部のみに特定の材質が存在していても良い。こ
れらの場合は剥離部分5を、接着強度を測定すべき材料
間の接着界面4に設けておく必要がある。
【0110】図6及び図7では、夫々1方向のみから荷
重P1を負荷する場合について荷重負荷方法を示した
が、試験片を上下反転した両方の場合について3点曲げ
試験を行い、真の接着強度と残留応力を分離すること
は、図1の実施例の場合と同様である。
【0111】図8は本発明の更に他の実施例である樹脂
材料の接着強度測定方法において、試験片の形状と荷重
の負荷方法を示す正面図である。本実施例では樹脂2と
被着材3を接着した試験片1の接着界面4に平行な方向
に、図8(a)に示すような圧縮及び図8(b)に示す
ような引張りの荷重P1、P2を負荷することによって、
正逆反転させた剪断応力τ1、τ2を作用させている。
【0112】このように本発明の接着強度測定方法で
は、剥離先端7近傍の剪断応力を正逆両方向に反転させ
ることができ、しかもその大きさを接着界面4に垂直な
方向の垂直応力に比べて十分大きくすることができさえ
すれば、任意の形状の試験片及び任意の荷重負荷方法を
用いることができる。
【0113】図8のように圧縮及び引張り方向の荷重を
負荷する場合、接着界面4に垂直な方向の垂直応力成分
を小さくするためには、試験片1の両端に対向させて負
荷する荷重が互いに同一軸線上となり、試験片1に曲げ
モーメントが作用しないよう注意することが必要であ
る。
【0114】曲げ荷重によって接着強度試験を行う場合
は、図1等に示した3点曲げ荷重のほか、4点曲げ荷重
や片持ちはり状に支持した試験片に曲げ荷重を負荷する
等、種々の荷重負荷方法を用いることができ、そのとき
の応力拡大係数Kiやひずみエネルギ解放率Gをはりの
曲げ理論から導くことができる。
【0115】図9は、本発明の方法による接着強度の測
定結果を記載した樹脂材料の特性記載書面の例である。
【0116】樹脂材料と被着材の両方について、従来か
ら用いられている縦弾性係数やこれに代わる曲げ弾性
率、ポアソン比、線膨張係数等の物性値を測定するかま
たは与えられれば、これらの値から、成形状態で樹脂モ
ールド部品等の内部の接着界面に発生する応力を解析に
よって予測することができる。
【0117】従って、若し本発明の方法によって求めた
i等のパラメータによる真の接着強度が、図9に示し
た書面等の形で与えられるならば、この接着強度と応力
の予測結果とを比較することによって、実際に樹脂材料
の成形品を作成することなく、界面の剥離発生の有無や
剥離発生の程度を定量的に予測評価することができる。
【0118】本発明の接着強度測定方法では剥離部分が
すでに存在している場合の剥離進展に対する強度を求め
ているので、これによる接着強度をもとに成形品の剥離
発生の有無を予測する場合は、微小な剥離部分の存在を
仮定して、そこからの剥離進展の有無を評価すれば良
い。
【0119】従来から用いられている接着強度が試験片
の寸法や形状に依存するため材質間等の相対比較にしか
利用できなかったのに対し、本発明の方法で測定した接
着強度は成形品の接着信頼性の定量評価に適用すること
ができるので、測定結果の表記にあたっては、上下反転
した3点曲げ試験或いは剪断応力の反転による方法等、
測定方法を表示することが望ましい。
【0120】接着強度の測定結果は図9に示した検査成
績書だけでなく、樹脂材料の各種仕様書や収納容器に記
載しても、樹脂材料の接着信頼性の予測評価を可能にす
る効果がある。
【0121】尚、発生応力の解析にあたっては上記のよ
うに樹脂材料のポアソン比が必要となるが、ポアソン比
は曲げ弾性率等に比べて測定が煩雑である上、応力解析
結果への影響が小さいため、図9の例のように記載を省
略しても差し支えはない。
【0122】樹脂材料の接着強度は、被着材の材質や表
面状態、温度や湿度等の環境条件、成形条件等によって
変化するため、接着強度の測定結果を記載する場合は、
測定結果の数値とともにこれらの測定条件を併記する
か、または温度等の測定条件に対してグラフの形で表示
することが望ましい。
【0123】図10は、本発明の方法によって求めた半
導体封止用エポキシ樹脂と半導体リードフレーム用Fe
−42Ni合金板の真の接着強度Kicと温度との関係を
示すグラフである。
【0124】従来の接着強度測定方法では、真の接着強
度だけでなく残留応力も温度によって変化するため、接
着強度の温度依存性を定量的に求めることはできなかっ
た。図10のように真の接着強度が温度の関数として与
えられれば、温度の関数として解析によって求めた成形
品の発生応力との比較によって、剥離発生の限界温度を
予測することも可能となる。
【0125】次に、本発明の方法による接着強度をもと
に、樹脂封止型半導体装置加熱時の、リードフレームと
封止樹脂の接着界面の剥離発生温度を予測した例を示
す。図11は、評価対象とした樹脂封止型半導体装置の
構造を示す断面図、図12は、剥離発生温度の予測結果
である。
【0126】図11において、半導体素子8は、Fe−
42Ni合金製リードフレームのタブ9部分に接着剤な
どによって固定されており、タブ9の周囲には複数のリ
ード10が、同一のリードフレーム材によって形成され
ている。半導体素子8表面の電極とリード10は、図示
していない金属細線によって電気的に接続されており、
これらの各部材は、リード10の外部引き出し部を除い
て、エポキシ系の封止樹脂11によってモールドされて
いる。
【0127】図11に示したような樹脂封止型半導体装
置は、配線基板へのはんだ付け実装の際、200℃以上
の高温にさらされ、このときの熱応力によって半導体装
置内各部の接着界面に剥離が発生することがある。そこ
で、タブ9下面の封止樹脂11との接着界面端部に、図
11に示すような微小な剥離部分12の存在を仮定し、
樹脂封止型半導体を種々の温度に加熱したときに剥離先
端13に発生する応力拡大係数Kiの値を有限要素法に
よって解析した。更に、本発明の方法を用いて、種々の
温度における封止樹脂11とリードフレーム材との真の
接着強度Kicを測定し、前記解析結果と比較した。
【0128】図12に比較結果を示す。図12におい
て、右上がりの曲線は、解析によって求めた発生応力拡
大係数Kiと加熱温度との関係、右下がりの曲線は、実
験によって求めた真の接着強度Kicと測定温度との関係
を示し、両曲線の交点が剥離発生温度、すなわち微小な
剥離部分12からの剥離進展発生温度を与えることにな
る。また、図12の応力拡大係数Kiの解析結果を示す
曲線上には、実際の樹脂封止型半導体装置を種々の温度
の恒温槽中に10分間放置して、その後超音波検査装置
でタブ9下面の剥離発生状況を観察した結果が、種々の
記号によって示してある。
【0129】白の丸印は、その温度でタブ9の下面に剥
離が観察されなかったサンプル、黒の丸印は、その温度
でタブ9下面の全面が剥離していたサンプルを示し、白
と黒の混在した丸印は、黒の領域の大小によって、タブ
9下面端部近傍の部分的な剥離の大小を示している。
【0130】図12で分かるように、発生応力拡大係数
iが真の接着強度Kicより低い温度領域ではタブ9下
面の剥離は観察されず、真の接着強度Kicより高い温度
領域では全面剥離、また両曲線の交点付近の温度領域で
は部分剥離が観察された。
【0131】この結果は、本発明の方法で求めた接着強
度と、樹脂封止型半導体装置の応力解析結果を比較する
ことによって、樹脂封止型半導体装置内部の剥離発生を
予測できることを示している。
【0132】上記のように剥離の発生を定量的に予測で
きれば、実際に樹脂材料の成形品を作成することなく、
最適な樹脂材料、リードフレーム材料や、めっきなどの
リードフレームの表面処理条件、樹脂モールド条件、及
びこれらの組合せ条件などを選定することができる。
【0133】
【発明の効果】本発明によれば、負荷荷重による応力に
残留応力を加算した場合と減算した場合の二つの接着強
度が得られ、しかも接着界面の応力分布を考慮すること
ができるので、残留応力の解析を行うことなく真の接着
強度と残留応力を分離できるとともに、試験片の寸法や
形状に依存しない普遍的な接着強度を高精度かつ容易に
測定することができる。
【0134】また本発明によれば、解析によって求めた
成形品の応力と真の接着強度を比較することができるの
で、実際に成形品を作成することなく、成形品内部の接
着界面の信頼性を予測評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である樹脂材料の接着強度測
定方法において、試験片の形状と荷重の負荷方法を示す
正面図である。
【図2】図1について、剥離進展開始時の各応力間の関
係の模式図である。
【図3】半導体封止用エポキシ樹脂と半導体リードフレ
ーム用Fe−42Ni合金板との接着試験片について、
有限要素法で解析した剥離進展開始時の剥離先端近傍の
応力分布を示す説明図である。
【図4】図3と同一の試験片について、負荷荷重のみに
よる見掛けの応力分布と熱応力分布、及び真の接着強度
である限界の応力分布の関係を示す説明図である。
【図5】図3と同一の試験片について、負荷荷重のみに
よる見掛けの応力拡大係数と熱応力のみによる応力拡大
係数、及び真の接着強度である限界の応力拡大係数の関
係を示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施例である樹脂材料の接着強度
測定方法において、試験片の形状と荷重の負荷方法を示
す正面図である。
【図7】本発明の更に他の実施例である樹脂材料の接着
強度測定方法において、試験片の形状と荷重の負荷方法
を示す正面図である。
【図8】本発明の更に他の実施例である樹脂材料の接着
強度測定方法において、試験片の形状と荷重の負荷方法
を示す正面図である。
【図9】本発明の方法による接着強度の測定結果を記載
した樹脂材料の特性記載書面の平面図である。
【図10】半導体封止用エポキシ樹脂と半導体リードフ
レーム用Fe−42Ni合金板の真の接着強度と温度と
の関係を示す特性図である。
【図11】本発明の方法による接着強度を用いて接着界
面の剥離発生温度の予測を行った樹脂封止型半導体装置
の構造を示す断面図である。
【図12】図11の樹脂封止型半導体装置について、剥
離発生温度の予測を行った結果を示す説明図である。
【符号の説明】
1…試験片、2…樹脂、3…被着材、4…接着界面、5
…剥離部分、6…支点、7…剥離先端、8…半導体素
子、9…タブ、10…リード、11…封止樹脂、12…
剥離部分、13…剥離先端、P1…荷重、P2…荷重、τ
r…残留応力、τ1…荷重P1による剪断応力、τ2…荷重
2による剪断応力、τc…限界の剪断応力、x…接着界
面に平行な座標軸、y…接着界面に垂直な座標軸、τxy
…剪断応力、σy…垂直応力、Ki1…荷重P1による応力
拡大係数、Ki2…荷重P2による応力拡大係数、Kic
真の接着強度に対応する応力拡大係数、Kir…残留応力
に対応する応力拡大係数。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−135055(JP,A) 特開 平1−280343(JP,A) 西村朝雄、広瀬閥、田中直敬,IC封 止樹脂の新接着強度測定法,第70期全国 大会講演論文集,日本,日本機械学会, 1992年 9月25日,Vol.B,p. 363−365 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 19/04 G01N 3/00 - 3/62 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂の被着材に対する剪断応力に基づく接
    着強度を、被着材名と共に表記し、 前記接着強度は、少なくとも一つの樹脂を含む二つ以上
    の材料によって層状にされた構成について、前記少なく
    とも一つの樹脂と他の材料との間の接着界面に予め部分
    的に剥離箇所を設け、接着界面に垂直な方向の曲げ荷重
    を、向きを反転させて負荷することにより逆向きの剪断
    応力を作用させて求めたものである ことを特徴とする樹
    脂材料の表示方法。
  2. 【請求項2】実質的に残留応力の影響を除外して求めた
    樹脂の被着材に対する接着強度を表記し、 前記接着強度は、少なくとも一つの樹脂を含む二つ以上
    の材料からなる構成について、前記少なくとも一つの樹
    脂と他の材料との間の接着界面に予め部分的に剥離箇所
    を設け、接着界面に作用する残留応力と同一方向及び逆
    方向の応力を個別に作用させて接着強度を求めたもので
    ある ことを特徴とする樹脂材料の表示方法。
  3. 【請求項3】樹脂の被着材に対する剪断応力に基づく接
    着強度を、被着材名と共に表記し、 前記接着強度は、少なくとも一つの樹脂を含む二つ以上
    の材料によって層状にされた構成について、前記少なく
    とも一つの樹脂と他の材料との間の接着界面に予め部分
    的に剥離箇所を設け、接着界面に垂直な方向の曲げ荷重
    を、向きを反転させて負荷することにより逆向きの剪断
    応力を作用させて求めたものである ことを特徴とする樹
    脂材料の収納容器。
  4. 【請求項4】実質的に残留応力の影響を除外して求めた
    樹脂の被着材に対する接着強度を表記し、 前記接着強度は、少なくとも一つの樹脂を含む二つ以上
    の材料からなる構成について、前記少なくとも一つの樹
    脂と他の材料との間の接着界面に予め部分的に剥離箇所
    を設け、接着界面に作用する残留応力と同一方向及び逆
    方向の応力を個別に作用させて接着強度を求めたもので
    ある ことを特徴とする樹脂材料の収納容器。
  5. 【請求項5】樹脂の被着材に対する剪断応力に基づく接
    着強度を、被着材名と共に表記し、 前記接着強度は、少なくとも一つの樹脂を含む二つ以上
    の材料によって層状にされた構成について、前記少なく
    とも一つの樹脂と他の材料との間の接着界面に予め部分
    的に剥離箇所を設け、接着界面に垂直な方向の曲げ荷重
    を、向きを反転させて負荷することにより逆向きの剪断
    応力を作用させて求めたものである ことを特徴とする樹
    脂材料の掲載書面。
  6. 【請求項6】実質的に残留応力の影響を除外して求めた
    樹脂の被着材に対する接着強度を表記し、前記接着強度は、少なくとも一つの樹脂を含む二つ以上
    の材料からなる構成について、前記少なくとも一つの樹
    脂と他の材料との間の接着界面に予め部分的に剥離箇所
    を設け、接着界面に作用する残留応力と同一方向及び逆
    方向の応力を個別に作用させて接着強度を求めたもので
    ある ことを特徴とする樹脂材料の掲載書面。
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