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JP3527341B2 - 既存構造物の耐震補強工法および同工法に用いる繊維シート - Google Patents
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JP3527341B2 - 既存構造物の耐震補強工法および同工法に用いる繊維シート - Google Patents

既存構造物の耐震補強工法および同工法に用いる繊維シート

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JP3527341B2 JP32450395A JP32450395A JP3527341B2 JP 3527341 B2 JP3527341 B2 JP 3527341B2 JP 32450395 A JP32450395 A JP 32450395A JP 32450395 A JP32450395 A JP 32450395A JP 3527341 B2 JP3527341 B2 JP 3527341B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、既存構造物の耐震補
強工法および同工法に用いる繊維シートに関し、特に、
補強を施す既存構造物への損傷を低減することができる
既存構造物の耐震補強工法および同工法に用いる繊維シ
ートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、既存コンクリート構造物の耐震補
強工法として、構造物の外表面に炭素繊維やアラミド繊
維などの高張力繊維材を貼付したり、あるいは、捲回し
て補強する技術が注目されている。このような耐震補強
工法では、高張力繊維材同士および当該高張力繊維材と
既存コンクリート構造物との間の一体化を図り、高張力
繊維材の補強効果を有効に発揮させるために、高張力繊
維材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させてい
る。
【0003】このような用途に用いられる熱硬化性樹脂
は、100℃程度の温度で硬化する高温硬化型のもの
と、10〜30℃程度の温度で硬化する常温硬化型のも
のが提供されている。しかしながら、このような熱硬化
性樹脂には、いずれも以下に説明する技術的な課題が指
摘されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、高温硬化型
の熱硬化樹脂を使用すると、硬化反応が加熱により促進
され、施工能率が向上するものの、既存コンクリート構
造物が高温化に伴って劣化するなどの問題があった。一
方、常温硬化型の熱硬化性樹脂を使用すると、既存コン
クリート構造物に損傷を与えることは少ないが、硬化に
時間がかかり、施工期間が長くなる。
【0005】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであって、その目的とするところは、既存構造
物に損傷を与えることが少なく、しかも、施工能率も向
上させることができる既存構造物の耐震補強工法および
同工法に用いる繊維シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、既存構造物の外表面に、炭素繊維などの
高張力繊維材に熱硬化性樹脂を含浸させて貼付するか、
または、捲回し、その後に前記熱硬化性樹脂を硬化させ
る既存構造物の耐震補強工法において、前記熱硬化性樹
脂は、エポキシ樹脂主剤と、マイクロカプセル膜に包囲
された硬化剤とからなる潜在硬化型のもので構成し、前
記既存構造物に前記高張力繊維材への貼付または捲回が
完了した後に、60℃以上の温度で加熱して、前記マイ
クロカプセル膜を溶融させて、前記熱硬化性樹脂の硬化
を開始させるようにした。このように構成された既存構
造物の耐震補強工法によれば、高張力繊維材に含浸され
た熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂主剤と、マイクロカプ
セル膜に包囲された硬化剤とからなる潜在硬化型のもの
で構成し、既存構造物に高張力繊維材への貼付または捲
回が完了した後に、60℃以上の温度で加熱して、マイ
クロカプセル膜を溶融させて、熱硬化性樹脂の硬化を開
始するので、既存構造物に与える損傷が少なくなるとと
もに、常温硬化型のものよりも硬化反応が速くなる。ま
た、本発明は、既存構造物の外表面に熱硬化性樹脂を含
浸させて貼付される繊維シートであって、前記繊維シー
トは、メッシュ状の繊維担持体と、前記繊維担持体の一
面に止着され、一方向に引き揃えられた炭素繊維などの
高張力長繊維とを備え、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ
樹脂主剤と、マイクロカプセル膜に包囲された硬化剤と
からなる潜在硬化型のものであって、前記既存構造物へ
の貼付が完了した後に、60℃以上の温度で加熱して、
前記マイクロカプセル膜を溶融させて、前記熱硬化性樹
脂の硬化を開始させるようにした。このように構成され
た繊維シートを用いると、高張力繊維材に含浸された熱
硬化樹脂が、60℃以上の温度で加熱すると硬化を開始
する潜在硬化型なので、既存構造物に与える損傷が少な
くなるとともに、常温硬化型のものよりも硬化反応が速
くなる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発
明にかかる既存構造物の耐震補強工法の一実施例を示し
ている。同図に示す耐震補強工法は、本発明を角形断面
の既存鉄筋コンクリート柱10に適用した場合を例示し
ている。
【0008】鉄筋コンクリート柱10に耐震補強を施す
際には、まず、柱10の外表面に繊維シート12からな
る高張力繊維材が貼付される。繊維シート12は、図2
にその詳細を示すように、所定の幅を有する帯状のもの
であって、メッシュ状に形成された繊維担持体12a
と、この繊維担持体12aの一面側に止着された炭素繊
維(高張力繊維)12bと、炭素繊維12bに含浸され
たエポキシ樹脂12cとから構成されている。
【0009】繊維担持体12aは、例えば、ガラス繊維
などで形成されている。炭素繊維12bは、繊維シート
12の幅方向に引き揃えた状態で配置されている。な
お、炭素繊維12bの配置方向は、この方向に限定され
ることはなく、例えば、繊維シート12の幅方向に斜交
するように引き揃えていよいし、繊維シート12の長手
方向に引き揃えてもよい。
【0010】エポキシ樹脂12cは、潜在硬化型のもの
であって、エポキシ樹脂主剤とマイクロカプセル膜に包
囲された硬化剤とを混合したものである。このエポキシ
樹脂12cは、マイクロカプセル膜を加熱して溶融させ
ることにより、エポキシ樹脂12cの硬化性が顕在化さ
れるものであって、この溶融温度は、60℃以上に設定
されている。なお、このカプセル膜の溶融温度は、その
膜厚を異ならせることでコントロールすることができ
る。
【0011】つまり、カプセル膜を採用した潜在硬化型
エポキシ樹脂12cの硬化性の顕在化は、膜厚みを一定
にした場合に、温度により制御できるとともに、温度を
一定にした場合に、膜厚みを変えることにより制御でき
る。このような構成の潜在硬化型のエポキシ樹脂12c
としては、例えば、旭化成株式会社製、商品名:ノバキ
ュア HX−3722、主剤:ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、硬化材:イミダゾール変性品、カプセル膜の
厚み2μ,溶融温度60〜70℃が挙げられる。
【0012】潜在硬化型のエポキシ樹脂12cは、液状
のエポキシ樹脂主剤と、マイクロカプセル膜で被覆され
た硬化剤とから構成されているので、これらを混合して
も主剤と硬化剤とが直接接触せず、混合しただけではエ
ポキシ樹脂主剤の硬化が開始されない。このため、これ
らを混合した場合に、エポキシ樹脂主剤の粘度が上昇し
ないので、混合攪拌が容易かつ、十分に行なえ、硬化剤
を主剤中に均一に分散させることができるとともに、繊
維シート12の炭素繊維12b間に十分に含浸させるこ
とができる。
【0013】また、潜在硬化型のエポキシ樹脂12c
は、主剤と硬化剤とを混合しても、主剤の硬化が開始さ
れないので、予め大量に混合して一液化した状態で長期
間貯蔵することもできる。このように構成された繊維シ
ート12を既存鉄筋コンクリート柱10の外表面に貼付
する際には、繊維シート12が鉄筋コンクリート柱10
の外周を周回するようにして行われる。
【0014】このとき、繊維シート12の炭素繊維12
bが前面側になるようにし、かつ、上下方向の繊維シー
ト12間で端部同士が相互にオーバラップするようにし
て行われる。なお、繊維シート12の貼付状態は、図示
のように1層に限ることはなく、2層以上の複数層に設
けてもよい。この場合、層間で炭素繊維12bの引き揃
え方向を異ならせてもよい。
【0015】繊維シート12の貼付が完了すると、図1
(B)に示すように、上下端の繊維シート12の炭素繊
維12bにリード線14を接続して、リード線14間に
直流電源(図示省略)を接続して、炭素繊維12bに通
電する。炭素繊維12bに通電すると、炭素繊維12b
自身の電気抵抗により、繊維12b自体が発熱する。そ
して、発熱温度が60℃以上になると、エポキシ樹脂1
2cのマイクロカプセル膜が溶融して、硬化剤が放出さ
れ、硬化剤とエポキシ樹脂主剤とが反応して、硬化が開
始される。
【0016】この場合、エポキシ樹脂主剤に付加重合型
のものを採用すると、発熱に伴って温度が上昇すると、
連鎖的に反応が開始されるので、より一層好ましい状態
になる。そして、エポキシ樹脂12cの硬化が終了する
と、炭素繊維12b同士がエポキシ樹脂12cにより一
体的に結着された状態で、既存鉄筋コンクリート柱10
の表面に接着され、既存鉄筋コンクリート柱10の耐震
補強が完了する。
【0017】さて、以上のようにして既存鉄筋コンクリ
ート柱10の耐震補強を行うと、炭素繊維12bに含浸
されたエポキシ樹脂12cが、60℃以上の温度で加熱
すると硬化を開始する潜在硬化型なので、既存コンクリ
ート柱10に与える損傷が少なくなるとともに、常温硬
化型のものよりも硬化反応が速くなり、施工能率も向上
する。
【0018】図3は、本発明にかかる既存構造物の耐震
補強工法の別の実施例を示している。同図に示す実施例
では、耐震補強対象は、上記実施例と同様に角形断面の
鉄筋コンクリート柱10である。この鉄筋コンクリート
柱10の耐震補強は、単繊維を寄り合わせて束にしたス
トランド状の炭素繊維16を使用している。このストラ
ンド状の炭素繊維16には、上記実施例と同様に潜在硬
化型のエポキシ樹脂が予め含浸させられている。ストラ
ンド状の炭素繊維16は、鉄筋コンクリート柱10の外
表面に端部同士が相互に接触するようにして、密に捲回
される。
【0019】炭素繊維16の捲回が終了すると、上記実
施例と同様に通電して発熱させる。この発熱温度が60
℃以上になると、エポキシ樹脂の潜在硬化性が顕在化さ
れて、樹脂の硬化が開始され、エポキシ樹脂の硬化が終
了すると、コンクリート柱10の耐震補強が完了する。
このように構成した鉄筋コンクリート柱10の耐震補強
工法においても上記実施例と同様な作用効果が得られ
る。
【0020】なお、上記実施例では、既存構造物として
鉄筋コンクリート柱10に耐震補強を施す場合を例示し
たが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、
例えば、鉄筋コンクリート製の梁,スラブ、煙突などの
塔状構造物の耐震補強に適用することもできる。また、
高張力繊維材は、炭素繊維12b,16に限られること
はなく、例えば、アラミド繊維なども使用することがで
き、繊維材の加熱手段も、通電だけでなく、例えば、赤
外線や遠赤外線の照射や、ヒータによる加熱などで行う
こともできる。
【0021】さらに、熱硬化性樹脂もエポキシ樹脂に限
ることはなく、例えば、硬化剤と接触することにより硬
化反応が開始されるウレタン樹脂,MMA(メチルメタ
クレート樹脂),ポリエステル樹脂,フェノール樹脂な
ども使用することができる。
【0022】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかる既存構造物の耐震補強工法および同工法
に用いる繊維シートによれば、既存構造物に損傷を与え
ることが少なく、しかも、施工能率も向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる既存構造物の耐震補強工法の一
実施例を示す工程説明図である。
【図2】同工法に使用する繊維シートの背面図である。
【図3】本発明にかかる既存構造物の耐震補強工法の他
の実施例を示す施工状態の説明図である。
【符号の説明】
10 鉄筋コンクリート柱(既存構造物) 12 繊維シート 12a 繊維担持体 12b 炭素繊維(高張力繊維材) 12c 潜在硬化型エポキシ樹脂 16 ストランド状炭素繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI E04H 9/02 E04H 9/02 // B29K 105:08 B29K 105:08 307:04 307:04 (72)発明者 小川 晴果 東京都清瀬市下清戸4−640 株式会社 大林組技術研究所内 (72)発明者 三谷 一房 東京都清瀬市下清戸4−640 株式会社 大林組技術研究所内 (72)発明者 川原 正雄 埼玉県川越市南台1丁目10番地4 株式 会社ショックベトン・ジャパン内 (56)参考文献 特開 平3−224966(JP,A) 特開 平5−332032(JP,A) 特開 平4−360944(JP,A) 特開 平6−206272(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04G 23/02 B29C 63/03 B32B 5/28 C08K 9/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既存構造物の外表面に、炭素繊維などの
    高張力繊維材に熱硬化性樹脂を含浸させて貼付するか、
    または、捲回し、その後に前記熱硬化性樹脂を硬化させ
    る既存構造物の耐震補強工法において、 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂主剤と、マイクロカ
    プセル膜に包囲された硬化剤とからなる潜在硬化型のも
    ので構成し、前記既存構造物に前記高張力繊維材の貼付
    または捲回が完了した後に、60℃以上の温度で加熱し
    て、前記マイクロカプセル膜を溶融させて、前記熱硬化
    性樹脂の硬化を開始させることを特徴とする既存構造物
    の耐震補強工法。
  2. 【請求項2】 既存構造物の外表面に熱硬化性樹脂を含
    浸させて貼付される繊維シートであって、 前記繊維シートは、メッシュ状の繊維担持体と、 前記繊維担持体の一面に止着され、一方向に引き揃えら
    れた炭素繊維などの高張力長繊維とを備え、 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂主剤と、マイクロカ
    プセル膜に包囲された硬化剤とからなる潜在硬化型のも
    のであって、前記既存構造物への貼付が完了した後に、
    60℃以上の温度で加熱して、前記マイクロカプセル膜
    を溶融させて、前記熱硬化性樹脂の硬化を開始させるこ
    とを特徴とする既存構造物の耐震補強工法に用いる繊維
    シート。
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