JP3533679B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体の製造方
法に関し、特に磁性層の表面処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般にオーディオテープ,ビデオテープ
等の磁気テープとしては、強磁性粉末,結合剤及び各種
添加材を有機溶媒に分散,混練してなる磁性塗料を非磁
性支持体上に塗布することで磁性層が形成される,いわ
ゆる塗布型の磁気テープや、金属磁性材料を真空蒸着法
等の真空薄膜形成技術によって非磁性支持体上に直接被
着することで磁性層が形成される,いわゆる金属薄膜型
の磁気テープが知られている。 【0003】これら磁気テープでは、このように塗布技
術,真空薄膜形成技術によってそれぞれ磁性層が形成さ
れるが、いずれの場合にも磁性層は完全に平滑には形成
されず、多少の突起を表面に有していたり、異物を表面
に付着させて形成されてしまうのが通常である。 【0004】ところが、磁性層が、表面に突起や付着物
等の欠陥物を有した状態のまま磁気ヘッドに摺接する
と、これら表面突起,付着物が剪断破壊されて細かい摩
耗粉が発生し、磁気テープと磁気ヘッドとの間に介在す
るようになる。磁気テープとヘッドとの間に摩耗粉が介
在すると、この摩耗粉がドロップアウトの誘発原因とな
り、例えはVTRにおいては画質の劣化,音飛び等を誘
起し、さらに最悪の場合には、ヘッドグロックを引き起
こして記録再生さえも不可能になる。 【0005】そこで、磁気テープを製造するに際して
は、非磁性支持体上に磁性層を形成し、所定のテープ幅
に裁断した後、該磁性層表面にラッピングテープを摺接
させて表面突起,付着物を研削除去する表面処理が行わ
れる。すなわち、所定のテープ幅に裁断された磁気テー
プとラッピングテープとを互いに磁性層側,研磨材層側
が対向面となるように配置し、該ラッピングテープの背
面側からコンタクトロールを押しつけることにとよって
磁性層と研磨材層を接触させる。この状態で磁気テープ
とラッピングテープとを互いに逆方向に走行させると、
磁性層表面に研磨材層が摺接し、その研磨効果によって
表面突起や付着物が研削除去されることになる。このよ
うな表面処理は、以下のような設定条件で行われるのが
通常である。 【0006】ラッピングテープの三次元中心線粗さSR
a:300〜1000nm コンタクトロールに対するテープ原反の抱き角θ:50
〜180° 磁気テープとラッピングテープとの面圧:0.25〜
1.2g/mm2 表面処理部で磁気テープにかかるテープテンション:2
00〜400g 磁気テープの走行速度:400〜600m/分 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な表面処理は、磁性層表面の突起,付着物等の欠陥物を
より確実に研削除去するために多数回に亘って繰り返し
行われる場合がある。 【0008】ところが、上記表面処理を繰り返し行って
いると、ラッピングテープの研磨効果が徐々に低減す
る。そして、ある時点でその研磨効果が飽和に達し、さ
らに表面処理を行ってもそれ以上には欠陥物が除去され
ないといった状況に至る。これは、各処理工程において
研削され飛散した研削物が、再び磁性層表面に付着し、
処理回数を追う毎に蓄積するからである。 【0009】また、この付着した研削物は、このように
ラッピングテープの研磨効果を低減させるとともに、摺
接する磁性層表面とラッピングテープの間で結合剤,滑
剤を削り取るように作用し、磁気テープの耐久性を低下
させる。したがって、表面処理の回数は自ずと制限さ
れ、欠陥物を十分に除去するに足る回数で表面処理を行
うことができない。 【0010】さらに、再付着した欠陥物は完成された磁
気テープにおいてドロップアウトを誘起し、記録再生特
性を劣化させる原因にもなる。 【0011】このため、より高品質な磁気テープを製造
するには、表面処理に際して研削物の付着による悪影響
を回避することが必須であると言える。 【0012】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、研削物の付着による悪影
響を受けることなく表面処理を行うことができ、磁性層
表面に突起,付着物を有しておらず、表面性,耐久性に
優れた磁気テープが製造できる磁気記録媒体の製造方法
を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、従来の表面処
理に加えて、低い面圧で磁気テープにラッピングテープ
を摺接させる,ソフトラッピング処理を行うと、このソ
フトラッピング処理によって、付着した研削物が捕捉除
去され、研削物の付着による悪影響を受けることなく表
面処理を行うことが可能になるとの知見を得るに至っ
た。 【0014】本発明は、このような知見に基づいて完成
されたものであって、非磁性支持体上に磁性層が形成さ
れた磁気テープの磁性層表面をラッピングテープで表面
処理する磁気記録媒体の製造方法において、最初にラッ
ピングテープを0.25〜1.2g/mm2の面圧で上
記磁気テープの磁性層表面に摺接させてハードラッピン
グ処理を行い、次にラッピングテープを0.1〜0.2
g/mm2の面圧で前記磁気テープの磁性層表面に摺接
させてソフトラッピング処理を行うことを特徴とする。 【0015】 【作用】非磁性支持体上に形成された磁性層表面に、ラ
ッピングテープを0.25〜1.2g/mm2 の面圧で
摺接させてハードラッピング処理を行うと、その研磨効
果によって、磁性層表面の表面突起,付着物が研削され
る。ここで、研削された研削物のうち一部はそのまま磁
性層から離脱し、除去されるが、他の一部は飛散して再
び磁性層表面に付着する。 【0016】続いて、このハードラッピング処理が施さ
れた磁性層表面に、今度は0.1〜0.2g/mm2 の
面圧でラッピングテープを摺接させてソフトラッピング
処理を行うと、磁性層表面に再付着した研削物が該ソフ
ト処理用ラッピングテープに捕捉され、除去される。 【0017】このようなハードラッピング処理,ソフト
ラッピング処理を交互に繰り返し行うと、常に、ハード
ラッピング処理に際して磁性層表面に付着した研削物は
次工程のソフトラッピング処理によって捕捉除去され、
次に来るハードラッピング処理に際しては磁性層表面に
研削物が付着していない状態となる。したがって、磁性
層表面に研削物が蓄積してラッピングテープの研磨効果
が低減したり、付着した研削物によって磁性層表面のバ
インダー,潤滑剤が削り取られるといったことを生ずる
ことなく表面処理が行われる。したがって、磁性層に表
面突起,付着物を有しておらず、表面性,耐久性に優れ
た磁気テープが獲得されることになる。 【0018】 【実施例】本発明の好適な実施例について図面を参照し
ながら説明する。 【0019】磁気テープを製造するには、非磁性支持体
上に磁性層を形成して所定のテープ幅に裁断する。 【0020】磁性層は、例えば塗布型の磁気テープを製
造する場合には、強磁性粉末,結合剤とを有機溶媒に分
散混練して磁性塗料を調整し、該磁性塗料を非磁性支持
体上に塗布乾燥することによって形成する。ここで、強
磁性粉末,結合剤,有機溶剤としては従来より公知のも
のがいずれも使用可能である。 【0021】例えば、磁性粉末としては、γ−Fe2 O
3 、コバルト被着γ−Fe2 O3 等の強磁性酸化鉄系粒
子、強磁性二酸化クロム系粒子、Fe、Co、Ni等の
金属やこれらを含んだ合金からなる強磁性金属系粒子、
六角板状の六方晶フェライト微粒子等が例示される。 【0022】結合剤としては、塩化ビニル,酢酸ビニ
ル,ビニルアルコール,塩化ビニリデン,アクリル酸エ
ステル,メタクリル酸エステル,スチレン,ブタジエ
ン,アクリロニトリル等の重合体、あるいはこれらの二
種以上を組み合わせた共重合体の他、ポリエステル樹
脂,エポキシ樹脂等が例示される。また、特に磁性粉末
をより良好に分散させる観点からスルホン酸金属塩を含
んだ樹脂あるいはスルホン酸金属塩を含んだ樹脂と他の
樹脂の複合樹脂等を用いるようにしても良い。 【0023】有機溶剤としては、エーテル類,エステル
類,ケトン類,芳香族炭化水素,脂肪族炭化水素,塩素
化炭化水素等、通常、磁性塗料の分散に用いられている
ものが使用できる。 【0024】磁性塗料には、前記磁性粉末、結合剤の
他、添加剤として分散剤、研磨剤,帯電防止剤、防錆剤
等を添加するようにしても良い。これら添加剤としても
通常用いられているものがいずれも使用可能である。 【0025】また、金属薄膜型の磁気テープを製造する
場合には、金属磁性材料を真空薄膜形成技術によって非
磁性支持体上に直接被着することで磁性層を形成する。 【0026】金属磁性材料としては、Co,Co−C
r,Co−Ni,Co−Fe−Ni,Co−Ni−Cr
等,この種の磁気テープにおいて通常用いられている強
磁性金属材料がいずれも使用可能である。これら金属磁
性材料は、例えば真空蒸着法,スパッタリング法,イオ
ンプレーティング法等の真空薄膜形成技術によって成膜
される。 【0027】なお、このようにして磁性層を形成する非
磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル
類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロース
トリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロ
ース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート等のプラス
チックが挙げられる。これら非磁性支持体の表面には、
磁性層の接着性を向上させるために、中間層あるいは下
塗層を設けても良い。 【0028】ここで、このようにして塗料塗布技術,真
空薄膜形成技術によって形成される磁性層は、完全に表
面平滑とは言えず、表面に突起や付着物を有しており、
このままではこれら表面突起や付着物がドロップアウト
の発生原因になる。 【0029】そこで、本実施例では、磁性層表面に、ラ
ッピングテープを0.25〜1.2g/mm2 の面圧で
摺接させてハードラッピング処理を行った後、さらにラ
ッピングテープを0.1〜0.2g/mm2 の面圧で摺
接させてソフトラッピング処理を行うことでこれら表面
突起,付着物を研削除去し、磁気テープを完成すること
とする。 【0030】上記ハードラッピング処理,ソフトラッピ
ング処理を連続的に行うようにした表面処理装置の一例
を図1に示す。 【0031】この表面処理装置は、巻き出しロール1,
巻き取りロール2及び複数のガイドロール3,4,5,
6,7,8,9,10,11,12よりなる磁気テープ
走行系13と、この磁気テープ走行系13の中途部に該
磁気テープ走行系13に平行して配置されたハード処理
部14とソフト処理部15により構成されている。 【0032】上記ハード処理部14は、磁気テープ24
に対して面圧0.25〜1.2g/mm2 でラッピング
テープ25を摺接させるハードラッピング処理を行うた
めのものであり、磁気テープ走行系13を構成する一対
のガイドロール5,6(以下、ハード処理用ガイドロー
ルと称する)に平行して配置されている。このハード処
理部14は、ハード処理用巻き出しロール16,ハード
処理用巻き取りロール17及びコンタクトロール18よ
りなり、長尺状のハード処理用ラッピングテープ25が
ハード処理用巻き出しロール16,ハード処理用巻き取
りロール17に亘って掛け渡され、この掛け渡されたハ
ード処理用ラッピングテープ16が、コンタクトロール
18によって上記一対のハード処理用ガイドロール5,
6に掛け渡された磁気テープ24側に張り出されるよう
になっている。 【0033】ここで、上記一対のハード処理用ガイドロ
ール5,6はハード処理部14側に移動自在とされると
ともにストッパー(図示せず)にて任意の位置に固定さ
れるようになっている。この表面処理装置では、このハ
ード処理用ガイドロール5,6の固定位置を調節するこ
とにより、コンタクトロール18によって張り出された
ラッピングテープ25と磁気テープ24とが接触させら
れ、その際の磁気テープ24のコンタクトロール18に
対する抱き角,磁気テープ24とハード処理用ラッピン
グテープ25の面圧がそれぞれ制御される。 【0034】なお、このハード処理部14を構成するハ
ード処理用巻き出しロール16とハード処理用巻き取り
ロール17は、ハード処理用巻き出しロール16が磁気
テープを巻き取る巻き取りロール2側に、ハード処理用
巻き取りロール17が磁気テープを巻き出す巻き出しロ
ール1側に配置されている。したがって、ハード処理用
ラッピングテープ25と磁気テープ24とは互いに逆側
の向きに走行することになる。 【0035】一方、ソフト処理部15は、磁気テープ2
4に対して面圧0.1〜0.2g/mm2 でラッピング
テープを摺接させるソフトラッピング処理を行うための
ものであり、ハード処理用ガイドロール5,6よりも巻
き取りロール2側に設けられた一対のガイドロール8,
9(以下、ソフト処理用ガイドロールと称する)に平行
して配置されている。このソフト処理部15は、ソフト
処理用巻き出しロール19,ソフト処理用巻き取りロー
ル20及びコンタクトバー21よりなり、長尺状のソフ
ト処理用ラッピングテープ26がソフト処理用巻き出し
ロール19,ソフト処理用巻き取りロール20に亘って
掛け渡され、この掛け渡されたソフト処理用ラッピング
テープ26が、コンタクトバー21の磁気テープ24側
への押し込み移動によって磁気テープ24に接触させら
れるようになっている。 【0036】すなわち、このコンタクトバー21は、図
2に示すように、磁気テープ24と近接する微小範囲で
磁気テープ24側に移動自在とされるとともに任意の位
置に固定されるようになっている。この表面処理装置で
は、このコンタクトバー21の固定位置を磁気テープ2
4と近接する微小範囲で調節することにより、ソフト処
理用ラッピングテープ26と磁気テープ24とが接触さ
せられ、その際の磁気テープ24のコンタクトバー21
に対する抱き角θ,磁気テープ24とソフト処理用ラッ
ピングテープ26の面圧がそれぞれ精密に制御される。 【0037】なお、このソフト処理部15においても、
上述のハード処理部14の場合と同様にソフト処理用巻
き出しロール19とソフト処理用巻き取りロール20
は、ソフト処理用巻き出しロール19が磁気テープを巻
き取る巻き取りロール2側に、ソフト処理用巻き取りロ
ール20が磁気テープを巻き出す巻き出しロール1側に
配置されている。したがって、ソフトラッピングテープ
26と磁気テープ24とは互いに逆側の向きに走行する
ことになる。 【0038】そして、この表面処理装置では、ソフト処
理部15よりさらに巻き取りロール2側にキャプスタン
ロール22,ニップロール23が設けられており、走行
する磁気テープ24にかかるテープテンションが一定に
保たれるようになっている。また、ハード処理用ガイド
ロール6とソフト処理用ガイドロール8との間のガイド
ロール7にはテープテンション検出手段が内蔵されてお
り、磁気テープ24にかかるテープテンションが随時確
認できるようになっている。 【0039】このような構成の表面処理装置によって磁
気テープ24の表面処理を行うには、ハード処理部1
4,ソフト処理部15にラッピングテープ25,26を
それぞれセットし、表面処理を行うべき磁気テープ24
を磁気テープ走行系13に掛け渡す。そして、ハード処
理部14においては、ハード処理用ガイドロール5,6
の固定位置を調節することによって磁気テープ24のコ
ンタクトロール18に対する抱き角,ハード処理用ラッ
ピングテープ25と磁気テープ24との面圧を、それぞ
れ抱き角50〜180°,面圧0.25〜1.2g/m
m2 の範囲内に調整する。ソフト処理部15において
は、コンタクトバー21の固定位置を調節することによ
って磁気テープ24のコンタクトバー21に対する抱き
角,ソフト処理用ラッピングテープ26と磁気テープ2
4との面圧を、それぞれ抱き角2〜5°,面圧0.1〜
0.2g/mm2 の範囲内に調整する。 【0040】そして、磁気テープ24を巻き出しロール
1側から巻き取りロール2側に向かって走行させるとと
もにハード処理部14,ソフト処理部15にセットした
ラッピングテープ25,26をそれぞれ磁気テープ24
の走行方向とは逆側の方向に走行させる。 【0041】そうすると、磁気テープ24は、まず、ハ
ード処理部14に移送され、このハード処理部14にて
ハード処理用ラッピングテープ25に面圧0.25〜
1.2gで摺接される。磁性層が、0.25〜1.2g
と比較的大きな面圧でラッピングテープ25に摺接され
ると、その研磨効果によって、磁性層表面の表面突起,
付着物が研削される。ここで、研削された研削物のうち
一部はそのまま磁性層から離脱し、除去されるが、他の
一部は飛散して再び磁性層表面に付着する。 【0042】このハード処理部14を通過した磁気テー
プ24は、続いてソフト処理部15に移送され、このソ
フト処理部15にてソフト処理用ラッピングテープ26
に面圧0.1〜0.2gで摺接される。磁性層が、0.
1〜0.2gと比較的小さな面圧でソフト処理用ラッピ
ングテープ26に摺接されると、磁性層表面に再付着し
た研削物が該ソフト処理用ラッピングテープ26に捕捉
されて除去される。そして、ソフト処理部15を通過し
たときには、磁性層表面に研削物を残しておらず良好な
表面性をもって巻き取りロール2に巻き取られることに
なる。 【0043】なお、このようなハードラッピング処理,
ソフトラッピンフ処理は表面突起,付着物を確実に研削
除去するために、一回に限らず多数回繰り返し行うよう
にしても良い。但し、最終的に得られる磁気テープ表面
に研削物が残存しないように必ず最終処理がソフトラッ
ピング処理となるように処理順序を考慮する必要があ
る。 【0044】ここで、ソフトラッピング処理を行わずハ
ードラッピング処理のみを繰り返し行った場合には、磁
性層表面に付着した研削物が処理回数を追う毎に蓄積
し、これによりラッピングテープの研磨効果が低減し、
ついにはさらに処理を繰り返してもそれ以上に摩耗効果
が得られない飽和状態に至る。また、摺接する磁気テー
プとラッピングテープの間で研削物が磁性層表面のバイ
ンダー,潤滑剤を削り取るように作用し、磁気テープの
耐久性を劣化させるといった不都合が生じる。 【0045】これに対して、ハードラッピング処理とソ
フトラッピング処理を交互に繰り返し行うと、常に、ハ
ードラッピング処理に際して磁性層表面に付着した研削
物は次工程のソフトラッピング処理によって捕捉除去さ
れ、次に来るハードラッピング処理に際しては磁性層表
面に研削物が付着していない状態となる。したがって、
磁性層表面に研削物が蓄積してラッピングテープの研磨
効果が低減したり、付着した研削物によって磁性層表面
のバインダー,潤滑剤が削り取られるといったことを生
ずることなく表面処理が行われ、磁性層に表面突起,付
着物を有しておらず、表面性,耐久性に優れた磁気テー
プが獲得されることになる。 【0046】なお、ハードラッピング処理による研磨効
果,ソフトラッピング処理による捕捉効果は、磁気テー
プとラッピングテープの面圧の他、ラッピングテープの
表面粗度,ラッピングテープの送り速度,磁気テープに
かかるテープテンション,磁気テープの走行速度にも依
存する。したがって、より効率良く表面処理を行うに
は、これら条件についても適正化することが望ましい。
ラッピングテープの表面粗度,テープテンション,磁気
テープの走行速度の凡その適正範囲を以下に示す。 【0047】 ラッピングテープの表面粗度:300〜1000nm (三次元中心線平均粗さSRa) ラッピングテープの送り速度:ハードラッピング処理5
〜30mm/分 ソフトラッピング処理5〜20mm/分,好ましくは1
0〜20mm/分 磁気テープにかかるテープテンション:200〜400
g 磁気テープの走行速度:400〜600m/分 【0048】また、上記例は、テープ幅に裁断された磁
気テープに対して表面処理を行う場合であるが、このハ
ードラッピング処理とソフトラッピング処理を組み合わ
せた表面処理は裁断前の磁気テープに対して行うように
しても特に差し支えなく、従来の表面処理を代替するか
たちで製造工程に導入して構わない。 【0049】次に、実際に非磁性支持体上に磁性塗料を
塗布して磁性層を形成し、上記表面処理装置を用いて表
面処理を行うことで塗布型の磁気テープ(実施例テープ
1)を作製した。 【0050】磁性塗料の組成は以下の通りである。 磁性粉末 強磁性Fe粉末(σs =130emu/g,
Hc=110kA/m) 結合剤 塩化ビニル系樹脂 ポリエステルポリウレタン系樹脂 ニトロセルロース(塩化ビニル系樹脂:ポリエステルポ
リウレタン系樹脂:ニトロセルロース=50%:30
%:20%) 滑剤 ミリスチン酸 溶剤 メチルエチルケトン トルエン シクロヘキサノン 【0051】また、表面処理に用いるハード処理用ラッ
ピングテープ,ソフト処理用ラッピングテープとして
は、いずれも表面粗度SRaが700〜750nmのラ
ッピングテープ(日本ミクロ社製,商品名GC−300
0)を用いた。なお、この表面粗度SRaは、小坂研究
所社製の3次元粗さ測定機によって測定したものであ
る。 【0052】そして、作製された磁気テープについて、
VTR(ソニー社製),シバソクカウンターを用いてド
ロップアウトの発生率を調査した。その結果を表1に示
す。 【0053】また、比較として、ソフトラッピング処理
を行わずにハードラッピング処理のみを行った磁気テー
プ(比較例テープ1)、ソフトラッピング処理の代わり
にコンタクトバーに対する磁気テープの抱き角を30°
あるいは15°とすることでラッピングテープと磁気テ
ープとの面圧が0.1〜0.2g/mm2 を越えるよう
にして表面処理を行った磁気テープ(比較例テープ1,
比較例テープ2)について、ドロップアウトの発生率を
調査した。その結果も実施例テープ1の結果と併せて表
1に示す。 【0054】 【表1】 【0055】但し、表1中ドロップアウトの比率は比較
例テープ1のドロップアウト数を1としたときの相対値
である。 【0056】表1からわかるように、ハードラッピング
処理の後にソフトラッピング処理を行った実施例テープ
1は、ハードラッピング処理のみしか行わない比較例テ
ープ1,ハードラッピング処理の後にラッピングテープ
と磁気テープとの面圧が0.1〜0.2g/mm2 を越
えるようにして表面処理を行った磁気テープ(比較例テ
ープ2,比較例テープ3)に比べてドロップアウトの発
生率が約50%低減している。 【0057】このことから、ハードラッピング処理とソ
フトラッピング処理を組み合わせて表面処理を行うこと
は、磁性層の表面性を良好なものとし、ドロップアウト
の発生頻度の小さい磁気テープを得る上で有効であるこ
とがわかった。 【0058】 【発明の効果】上記の説明からも明らかなように、本発
明は、非磁性支持体上に磁性層が形成された磁気テープ
の磁性層表面をラッピングテープで表面処理する磁気記
録媒体の製造方法において、最初にラッピングテープを
0.25〜1.2g/mm2の面圧で上記磁気テープの
磁性層表面に摺接させてハードラッピング処理を行い、
次にラッピングテープを0.1〜0.2g/mm2の面
圧で前記磁気テープの磁性層表面に摺接させてソフトラ
ッピング処理を行うので、研削物の付着による影響を受
けることなく表面処理を行うことができ、磁性層に表面
突起や付着部のない表面性及び耐久性に優れた磁気テー
プを得ることができる。
法に関し、特に磁性層の表面処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般にオーディオテープ,ビデオテープ
等の磁気テープとしては、強磁性粉末,結合剤及び各種
添加材を有機溶媒に分散,混練してなる磁性塗料を非磁
性支持体上に塗布することで磁性層が形成される,いわ
ゆる塗布型の磁気テープや、金属磁性材料を真空蒸着法
等の真空薄膜形成技術によって非磁性支持体上に直接被
着することで磁性層が形成される,いわゆる金属薄膜型
の磁気テープが知られている。 【0003】これら磁気テープでは、このように塗布技
術,真空薄膜形成技術によってそれぞれ磁性層が形成さ
れるが、いずれの場合にも磁性層は完全に平滑には形成
されず、多少の突起を表面に有していたり、異物を表面
に付着させて形成されてしまうのが通常である。 【0004】ところが、磁性層が、表面に突起や付着物
等の欠陥物を有した状態のまま磁気ヘッドに摺接する
と、これら表面突起,付着物が剪断破壊されて細かい摩
耗粉が発生し、磁気テープと磁気ヘッドとの間に介在す
るようになる。磁気テープとヘッドとの間に摩耗粉が介
在すると、この摩耗粉がドロップアウトの誘発原因とな
り、例えはVTRにおいては画質の劣化,音飛び等を誘
起し、さらに最悪の場合には、ヘッドグロックを引き起
こして記録再生さえも不可能になる。 【0005】そこで、磁気テープを製造するに際して
は、非磁性支持体上に磁性層を形成し、所定のテープ幅
に裁断した後、該磁性層表面にラッピングテープを摺接
させて表面突起,付着物を研削除去する表面処理が行わ
れる。すなわち、所定のテープ幅に裁断された磁気テー
プとラッピングテープとを互いに磁性層側,研磨材層側
が対向面となるように配置し、該ラッピングテープの背
面側からコンタクトロールを押しつけることにとよって
磁性層と研磨材層を接触させる。この状態で磁気テープ
とラッピングテープとを互いに逆方向に走行させると、
磁性層表面に研磨材層が摺接し、その研磨効果によって
表面突起や付着物が研削除去されることになる。このよ
うな表面処理は、以下のような設定条件で行われるのが
通常である。 【0006】ラッピングテープの三次元中心線粗さSR
a:300〜1000nm コンタクトロールに対するテープ原反の抱き角θ:50
〜180° 磁気テープとラッピングテープとの面圧:0.25〜
1.2g/mm2 表面処理部で磁気テープにかかるテープテンション:2
00〜400g 磁気テープの走行速度:400〜600m/分 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な表面処理は、磁性層表面の突起,付着物等の欠陥物を
より確実に研削除去するために多数回に亘って繰り返し
行われる場合がある。 【0008】ところが、上記表面処理を繰り返し行って
いると、ラッピングテープの研磨効果が徐々に低減す
る。そして、ある時点でその研磨効果が飽和に達し、さ
らに表面処理を行ってもそれ以上には欠陥物が除去され
ないといった状況に至る。これは、各処理工程において
研削され飛散した研削物が、再び磁性層表面に付着し、
処理回数を追う毎に蓄積するからである。 【0009】また、この付着した研削物は、このように
ラッピングテープの研磨効果を低減させるとともに、摺
接する磁性層表面とラッピングテープの間で結合剤,滑
剤を削り取るように作用し、磁気テープの耐久性を低下
させる。したがって、表面処理の回数は自ずと制限さ
れ、欠陥物を十分に除去するに足る回数で表面処理を行
うことができない。 【0010】さらに、再付着した欠陥物は完成された磁
気テープにおいてドロップアウトを誘起し、記録再生特
性を劣化させる原因にもなる。 【0011】このため、より高品質な磁気テープを製造
するには、表面処理に際して研削物の付着による悪影響
を回避することが必須であると言える。 【0012】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、研削物の付着による悪影
響を受けることなく表面処理を行うことができ、磁性層
表面に突起,付着物を有しておらず、表面性,耐久性に
優れた磁気テープが製造できる磁気記録媒体の製造方法
を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、従来の表面処
理に加えて、低い面圧で磁気テープにラッピングテープ
を摺接させる,ソフトラッピング処理を行うと、このソ
フトラッピング処理によって、付着した研削物が捕捉除
去され、研削物の付着による悪影響を受けることなく表
面処理を行うことが可能になるとの知見を得るに至っ
た。 【0014】本発明は、このような知見に基づいて完成
されたものであって、非磁性支持体上に磁性層が形成さ
れた磁気テープの磁性層表面をラッピングテープで表面
処理する磁気記録媒体の製造方法において、最初にラッ
ピングテープを0.25〜1.2g/mm2の面圧で上
記磁気テープの磁性層表面に摺接させてハードラッピン
グ処理を行い、次にラッピングテープを0.1〜0.2
g/mm2の面圧で前記磁気テープの磁性層表面に摺接
させてソフトラッピング処理を行うことを特徴とする。 【0015】 【作用】非磁性支持体上に形成された磁性層表面に、ラ
ッピングテープを0.25〜1.2g/mm2 の面圧で
摺接させてハードラッピング処理を行うと、その研磨効
果によって、磁性層表面の表面突起,付着物が研削され
る。ここで、研削された研削物のうち一部はそのまま磁
性層から離脱し、除去されるが、他の一部は飛散して再
び磁性層表面に付着する。 【0016】続いて、このハードラッピング処理が施さ
れた磁性層表面に、今度は0.1〜0.2g/mm2 の
面圧でラッピングテープを摺接させてソフトラッピング
処理を行うと、磁性層表面に再付着した研削物が該ソフ
ト処理用ラッピングテープに捕捉され、除去される。 【0017】このようなハードラッピング処理,ソフト
ラッピング処理を交互に繰り返し行うと、常に、ハード
ラッピング処理に際して磁性層表面に付着した研削物は
次工程のソフトラッピング処理によって捕捉除去され、
次に来るハードラッピング処理に際しては磁性層表面に
研削物が付着していない状態となる。したがって、磁性
層表面に研削物が蓄積してラッピングテープの研磨効果
が低減したり、付着した研削物によって磁性層表面のバ
インダー,潤滑剤が削り取られるといったことを生ずる
ことなく表面処理が行われる。したがって、磁性層に表
面突起,付着物を有しておらず、表面性,耐久性に優れ
た磁気テープが獲得されることになる。 【0018】 【実施例】本発明の好適な実施例について図面を参照し
ながら説明する。 【0019】磁気テープを製造するには、非磁性支持体
上に磁性層を形成して所定のテープ幅に裁断する。 【0020】磁性層は、例えば塗布型の磁気テープを製
造する場合には、強磁性粉末,結合剤とを有機溶媒に分
散混練して磁性塗料を調整し、該磁性塗料を非磁性支持
体上に塗布乾燥することによって形成する。ここで、強
磁性粉末,結合剤,有機溶剤としては従来より公知のも
のがいずれも使用可能である。 【0021】例えば、磁性粉末としては、γ−Fe2 O
3 、コバルト被着γ−Fe2 O3 等の強磁性酸化鉄系粒
子、強磁性二酸化クロム系粒子、Fe、Co、Ni等の
金属やこれらを含んだ合金からなる強磁性金属系粒子、
六角板状の六方晶フェライト微粒子等が例示される。 【0022】結合剤としては、塩化ビニル,酢酸ビニ
ル,ビニルアルコール,塩化ビニリデン,アクリル酸エ
ステル,メタクリル酸エステル,スチレン,ブタジエ
ン,アクリロニトリル等の重合体、あるいはこれらの二
種以上を組み合わせた共重合体の他、ポリエステル樹
脂,エポキシ樹脂等が例示される。また、特に磁性粉末
をより良好に分散させる観点からスルホン酸金属塩を含
んだ樹脂あるいはスルホン酸金属塩を含んだ樹脂と他の
樹脂の複合樹脂等を用いるようにしても良い。 【0023】有機溶剤としては、エーテル類,エステル
類,ケトン類,芳香族炭化水素,脂肪族炭化水素,塩素
化炭化水素等、通常、磁性塗料の分散に用いられている
ものが使用できる。 【0024】磁性塗料には、前記磁性粉末、結合剤の
他、添加剤として分散剤、研磨剤,帯電防止剤、防錆剤
等を添加するようにしても良い。これら添加剤としても
通常用いられているものがいずれも使用可能である。 【0025】また、金属薄膜型の磁気テープを製造する
場合には、金属磁性材料を真空薄膜形成技術によって非
磁性支持体上に直接被着することで磁性層を形成する。 【0026】金属磁性材料としては、Co,Co−C
r,Co−Ni,Co−Fe−Ni,Co−Ni−Cr
等,この種の磁気テープにおいて通常用いられている強
磁性金属材料がいずれも使用可能である。これら金属磁
性材料は、例えば真空蒸着法,スパッタリング法,イオ
ンプレーティング法等の真空薄膜形成技術によって成膜
される。 【0027】なお、このようにして磁性層を形成する非
磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル
類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロース
トリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロ
ース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート等のプラス
チックが挙げられる。これら非磁性支持体の表面には、
磁性層の接着性を向上させるために、中間層あるいは下
塗層を設けても良い。 【0028】ここで、このようにして塗料塗布技術,真
空薄膜形成技術によって形成される磁性層は、完全に表
面平滑とは言えず、表面に突起や付着物を有しており、
このままではこれら表面突起や付着物がドロップアウト
の発生原因になる。 【0029】そこで、本実施例では、磁性層表面に、ラ
ッピングテープを0.25〜1.2g/mm2 の面圧で
摺接させてハードラッピング処理を行った後、さらにラ
ッピングテープを0.1〜0.2g/mm2 の面圧で摺
接させてソフトラッピング処理を行うことでこれら表面
突起,付着物を研削除去し、磁気テープを完成すること
とする。 【0030】上記ハードラッピング処理,ソフトラッピ
ング処理を連続的に行うようにした表面処理装置の一例
を図1に示す。 【0031】この表面処理装置は、巻き出しロール1,
巻き取りロール2及び複数のガイドロール3,4,5,
6,7,8,9,10,11,12よりなる磁気テープ
走行系13と、この磁気テープ走行系13の中途部に該
磁気テープ走行系13に平行して配置されたハード処理
部14とソフト処理部15により構成されている。 【0032】上記ハード処理部14は、磁気テープ24
に対して面圧0.25〜1.2g/mm2 でラッピング
テープ25を摺接させるハードラッピング処理を行うた
めのものであり、磁気テープ走行系13を構成する一対
のガイドロール5,6(以下、ハード処理用ガイドロー
ルと称する)に平行して配置されている。このハード処
理部14は、ハード処理用巻き出しロール16,ハード
処理用巻き取りロール17及びコンタクトロール18よ
りなり、長尺状のハード処理用ラッピングテープ25が
ハード処理用巻き出しロール16,ハード処理用巻き取
りロール17に亘って掛け渡され、この掛け渡されたハ
ード処理用ラッピングテープ16が、コンタクトロール
18によって上記一対のハード処理用ガイドロール5,
6に掛け渡された磁気テープ24側に張り出されるよう
になっている。 【0033】ここで、上記一対のハード処理用ガイドロ
ール5,6はハード処理部14側に移動自在とされると
ともにストッパー(図示せず)にて任意の位置に固定さ
れるようになっている。この表面処理装置では、このハ
ード処理用ガイドロール5,6の固定位置を調節するこ
とにより、コンタクトロール18によって張り出された
ラッピングテープ25と磁気テープ24とが接触させら
れ、その際の磁気テープ24のコンタクトロール18に
対する抱き角,磁気テープ24とハード処理用ラッピン
グテープ25の面圧がそれぞれ制御される。 【0034】なお、このハード処理部14を構成するハ
ード処理用巻き出しロール16とハード処理用巻き取り
ロール17は、ハード処理用巻き出しロール16が磁気
テープを巻き取る巻き取りロール2側に、ハード処理用
巻き取りロール17が磁気テープを巻き出す巻き出しロ
ール1側に配置されている。したがって、ハード処理用
ラッピングテープ25と磁気テープ24とは互いに逆側
の向きに走行することになる。 【0035】一方、ソフト処理部15は、磁気テープ2
4に対して面圧0.1〜0.2g/mm2 でラッピング
テープを摺接させるソフトラッピング処理を行うための
ものであり、ハード処理用ガイドロール5,6よりも巻
き取りロール2側に設けられた一対のガイドロール8,
9(以下、ソフト処理用ガイドロールと称する)に平行
して配置されている。このソフト処理部15は、ソフト
処理用巻き出しロール19,ソフト処理用巻き取りロー
ル20及びコンタクトバー21よりなり、長尺状のソフ
ト処理用ラッピングテープ26がソフト処理用巻き出し
ロール19,ソフト処理用巻き取りロール20に亘って
掛け渡され、この掛け渡されたソフト処理用ラッピング
テープ26が、コンタクトバー21の磁気テープ24側
への押し込み移動によって磁気テープ24に接触させら
れるようになっている。 【0036】すなわち、このコンタクトバー21は、図
2に示すように、磁気テープ24と近接する微小範囲で
磁気テープ24側に移動自在とされるとともに任意の位
置に固定されるようになっている。この表面処理装置で
は、このコンタクトバー21の固定位置を磁気テープ2
4と近接する微小範囲で調節することにより、ソフト処
理用ラッピングテープ26と磁気テープ24とが接触さ
せられ、その際の磁気テープ24のコンタクトバー21
に対する抱き角θ,磁気テープ24とソフト処理用ラッ
ピングテープ26の面圧がそれぞれ精密に制御される。 【0037】なお、このソフト処理部15においても、
上述のハード処理部14の場合と同様にソフト処理用巻
き出しロール19とソフト処理用巻き取りロール20
は、ソフト処理用巻き出しロール19が磁気テープを巻
き取る巻き取りロール2側に、ソフト処理用巻き取りロ
ール20が磁気テープを巻き出す巻き出しロール1側に
配置されている。したがって、ソフトラッピングテープ
26と磁気テープ24とは互いに逆側の向きに走行する
ことになる。 【0038】そして、この表面処理装置では、ソフト処
理部15よりさらに巻き取りロール2側にキャプスタン
ロール22,ニップロール23が設けられており、走行
する磁気テープ24にかかるテープテンションが一定に
保たれるようになっている。また、ハード処理用ガイド
ロール6とソフト処理用ガイドロール8との間のガイド
ロール7にはテープテンション検出手段が内蔵されてお
り、磁気テープ24にかかるテープテンションが随時確
認できるようになっている。 【0039】このような構成の表面処理装置によって磁
気テープ24の表面処理を行うには、ハード処理部1
4,ソフト処理部15にラッピングテープ25,26を
それぞれセットし、表面処理を行うべき磁気テープ24
を磁気テープ走行系13に掛け渡す。そして、ハード処
理部14においては、ハード処理用ガイドロール5,6
の固定位置を調節することによって磁気テープ24のコ
ンタクトロール18に対する抱き角,ハード処理用ラッ
ピングテープ25と磁気テープ24との面圧を、それぞ
れ抱き角50〜180°,面圧0.25〜1.2g/m
m2 の範囲内に調整する。ソフト処理部15において
は、コンタクトバー21の固定位置を調節することによ
って磁気テープ24のコンタクトバー21に対する抱き
角,ソフト処理用ラッピングテープ26と磁気テープ2
4との面圧を、それぞれ抱き角2〜5°,面圧0.1〜
0.2g/mm2 の範囲内に調整する。 【0040】そして、磁気テープ24を巻き出しロール
1側から巻き取りロール2側に向かって走行させるとと
もにハード処理部14,ソフト処理部15にセットした
ラッピングテープ25,26をそれぞれ磁気テープ24
の走行方向とは逆側の方向に走行させる。 【0041】そうすると、磁気テープ24は、まず、ハ
ード処理部14に移送され、このハード処理部14にて
ハード処理用ラッピングテープ25に面圧0.25〜
1.2gで摺接される。磁性層が、0.25〜1.2g
と比較的大きな面圧でラッピングテープ25に摺接され
ると、その研磨効果によって、磁性層表面の表面突起,
付着物が研削される。ここで、研削された研削物のうち
一部はそのまま磁性層から離脱し、除去されるが、他の
一部は飛散して再び磁性層表面に付着する。 【0042】このハード処理部14を通過した磁気テー
プ24は、続いてソフト処理部15に移送され、このソ
フト処理部15にてソフト処理用ラッピングテープ26
に面圧0.1〜0.2gで摺接される。磁性層が、0.
1〜0.2gと比較的小さな面圧でソフト処理用ラッピ
ングテープ26に摺接されると、磁性層表面に再付着し
た研削物が該ソフト処理用ラッピングテープ26に捕捉
されて除去される。そして、ソフト処理部15を通過し
たときには、磁性層表面に研削物を残しておらず良好な
表面性をもって巻き取りロール2に巻き取られることに
なる。 【0043】なお、このようなハードラッピング処理,
ソフトラッピンフ処理は表面突起,付着物を確実に研削
除去するために、一回に限らず多数回繰り返し行うよう
にしても良い。但し、最終的に得られる磁気テープ表面
に研削物が残存しないように必ず最終処理がソフトラッ
ピング処理となるように処理順序を考慮する必要があ
る。 【0044】ここで、ソフトラッピング処理を行わずハ
ードラッピング処理のみを繰り返し行った場合には、磁
性層表面に付着した研削物が処理回数を追う毎に蓄積
し、これによりラッピングテープの研磨効果が低減し、
ついにはさらに処理を繰り返してもそれ以上に摩耗効果
が得られない飽和状態に至る。また、摺接する磁気テー
プとラッピングテープの間で研削物が磁性層表面のバイ
ンダー,潤滑剤を削り取るように作用し、磁気テープの
耐久性を劣化させるといった不都合が生じる。 【0045】これに対して、ハードラッピング処理とソ
フトラッピング処理を交互に繰り返し行うと、常に、ハ
ードラッピング処理に際して磁性層表面に付着した研削
物は次工程のソフトラッピング処理によって捕捉除去さ
れ、次に来るハードラッピング処理に際しては磁性層表
面に研削物が付着していない状態となる。したがって、
磁性層表面に研削物が蓄積してラッピングテープの研磨
効果が低減したり、付着した研削物によって磁性層表面
のバインダー,潤滑剤が削り取られるといったことを生
ずることなく表面処理が行われ、磁性層に表面突起,付
着物を有しておらず、表面性,耐久性に優れた磁気テー
プが獲得されることになる。 【0046】なお、ハードラッピング処理による研磨効
果,ソフトラッピング処理による捕捉効果は、磁気テー
プとラッピングテープの面圧の他、ラッピングテープの
表面粗度,ラッピングテープの送り速度,磁気テープに
かかるテープテンション,磁気テープの走行速度にも依
存する。したがって、より効率良く表面処理を行うに
は、これら条件についても適正化することが望ましい。
ラッピングテープの表面粗度,テープテンション,磁気
テープの走行速度の凡その適正範囲を以下に示す。 【0047】 ラッピングテープの表面粗度:300〜1000nm (三次元中心線平均粗さSRa) ラッピングテープの送り速度:ハードラッピング処理5
〜30mm/分 ソフトラッピング処理5〜20mm/分,好ましくは1
0〜20mm/分 磁気テープにかかるテープテンション:200〜400
g 磁気テープの走行速度:400〜600m/分 【0048】また、上記例は、テープ幅に裁断された磁
気テープに対して表面処理を行う場合であるが、このハ
ードラッピング処理とソフトラッピング処理を組み合わ
せた表面処理は裁断前の磁気テープに対して行うように
しても特に差し支えなく、従来の表面処理を代替するか
たちで製造工程に導入して構わない。 【0049】次に、実際に非磁性支持体上に磁性塗料を
塗布して磁性層を形成し、上記表面処理装置を用いて表
面処理を行うことで塗布型の磁気テープ(実施例テープ
1)を作製した。 【0050】磁性塗料の組成は以下の通りである。 磁性粉末 強磁性Fe粉末(σs =130emu/g,
Hc=110kA/m) 結合剤 塩化ビニル系樹脂 ポリエステルポリウレタン系樹脂 ニトロセルロース(塩化ビニル系樹脂:ポリエステルポ
リウレタン系樹脂:ニトロセルロース=50%:30
%:20%) 滑剤 ミリスチン酸 溶剤 メチルエチルケトン トルエン シクロヘキサノン 【0051】また、表面処理に用いるハード処理用ラッ
ピングテープ,ソフト処理用ラッピングテープとして
は、いずれも表面粗度SRaが700〜750nmのラ
ッピングテープ(日本ミクロ社製,商品名GC−300
0)を用いた。なお、この表面粗度SRaは、小坂研究
所社製の3次元粗さ測定機によって測定したものであ
る。 【0052】そして、作製された磁気テープについて、
VTR(ソニー社製),シバソクカウンターを用いてド
ロップアウトの発生率を調査した。その結果を表1に示
す。 【0053】また、比較として、ソフトラッピング処理
を行わずにハードラッピング処理のみを行った磁気テー
プ(比較例テープ1)、ソフトラッピング処理の代わり
にコンタクトバーに対する磁気テープの抱き角を30°
あるいは15°とすることでラッピングテープと磁気テ
ープとの面圧が0.1〜0.2g/mm2 を越えるよう
にして表面処理を行った磁気テープ(比較例テープ1,
比較例テープ2)について、ドロップアウトの発生率を
調査した。その結果も実施例テープ1の結果と併せて表
1に示す。 【0054】 【表1】 【0055】但し、表1中ドロップアウトの比率は比較
例テープ1のドロップアウト数を1としたときの相対値
である。 【0056】表1からわかるように、ハードラッピング
処理の後にソフトラッピング処理を行った実施例テープ
1は、ハードラッピング処理のみしか行わない比較例テ
ープ1,ハードラッピング処理の後にラッピングテープ
と磁気テープとの面圧が0.1〜0.2g/mm2 を越
えるようにして表面処理を行った磁気テープ(比較例テ
ープ2,比較例テープ3)に比べてドロップアウトの発
生率が約50%低減している。 【0057】このことから、ハードラッピング処理とソ
フトラッピング処理を組み合わせて表面処理を行うこと
は、磁性層の表面性を良好なものとし、ドロップアウト
の発生頻度の小さい磁気テープを得る上で有効であるこ
とがわかった。 【0058】 【発明の効果】上記の説明からも明らかなように、本発
明は、非磁性支持体上に磁性層が形成された磁気テープ
の磁性層表面をラッピングテープで表面処理する磁気記
録媒体の製造方法において、最初にラッピングテープを
0.25〜1.2g/mm2の面圧で上記磁気テープの
磁性層表面に摺接させてハードラッピング処理を行い、
次にラッピングテープを0.1〜0.2g/mm2の面
圧で前記磁気テープの磁性層表面に摺接させてソフトラ
ッピング処理を行うので、研削物の付着による影響を受
けることなく表面処理を行うことができ、磁性層に表面
突起や付着部のない表面性及び耐久性に優れた磁気テー
プを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した表面処理装置の一構成例を示
す模式図である。 【図2】上記表面処理装置のソフト処理部を示す模式図
である。 【符号の説明】 14・・・ハード処理部 15・・・ソフト処理部 16・・・ハード処理用巻き出しロール 17・・・ハード処理用巻き取りロール 18・・・コンタクトロール 19・・・ソフト処理用巻き出しロール 20・・・ソフト処理用巻き取りロール 21・・・コンタクトバー 25・・・ハード処理用ラッピングテープ 26・・・ソフト処理用ラッピングテープ
す模式図である。 【図2】上記表面処理装置のソフト処理部を示す模式図
である。 【符号の説明】 14・・・ハード処理部 15・・・ソフト処理部 16・・・ハード処理用巻き出しロール 17・・・ハード処理用巻き取りロール 18・・・コンタクトロール 19・・・ソフト処理用巻き出しロール 20・・・ソフト処理用巻き取りロール 21・・・コンタクトバー 25・・・ハード処理用ラッピングテープ 26・・・ソフト処理用ラッピングテープ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B24B 21/00
G11B 5/84
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 非磁性支持体上に磁性層が形成された磁
気テープの磁性層表面をラッピングテープで表面処理す
る磁気記録媒体の製造方法において、 最初に ラッピングテープを0.25〜1.2g/mm2
の面圧で上記磁気テープの磁性層表面に摺接させてハー
ドラッピング処理を行い、次に ラッピングテープを0.1〜0.2g/mm2の面
圧で前記磁気テープの磁性層表面に摺接させてソフトラ
ッピング処理を行うことを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22713493A JP3533679B2 (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP22713493A JP3533679B2 (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0780767A JPH0780767A (ja) | 1995-03-28 |
| JP3533679B2 true JP3533679B2 (ja) | 2004-05-31 |
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ID=16856017
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP22713493A Expired - Fee Related JP3533679B2 (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 磁気記録媒体の製造方法 |
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| Country | Link |
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-
1993
- 1993-09-13 JP JP22713493A patent/JP3533679B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH0780767A (ja) | 1995-03-28 |
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