JP3539622B2 - 管内面粉体塗装装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管内面粉体塗装装置、特に管内面に発生する塗装不良を防止する管内面粉体塗装装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来水道用、ガス用その他流体の管路を形成する管の内外面を防食などの目的で塗装することが一般に行われている。たとえば水道用のダクタイル鋳鉄管の場合、外周面は埋設された周辺の土壌の水分などによる腐食を防ぐために防食塗装を施すが、内面についても露出した金属表面のままでは管内を通過する飲料水に腐食されて耐用年数を縮めるとともに、水質を低下させる重要な原因となるから防食装置を講じなけれならない。
【0003】
ダクタイル鋳鉄管の場合は従来からセメントライニングで管内面を被覆して金属と水との直接の接触を遮断してきたが、近年、化学的安定性(すなわちPHの変動)とか、耐久性、施工性などの点から粉体塗装の適用されるケースが増えて、1ランク上の耐食面を形成する手法として実用化され、すでにJISではダクタイル鋳鉄管の防食塗料としてエポキシ樹脂などを規定した項目が存在する。
【0004】
管の内面塗装を行うには、加熱した管を管軸方向に移動可能な走行台車上で軸心周りに管が回転できるように駆動ローラを1組装着し、このローラ上へ所定温度まで加熱したダクタイル鋳鉄管を載置して所定の周速度で回転する。管の端部開口から管内へ内部に冷却水室が形成された二重構造のランスを挿入し、このランスの先端に接続した粉体ノズルから塗料を吐出する粉体塗装装置がよく知られている。
【0005】
上記の粉体塗装装置の一例を図4、図5に示すと、装置はランス102、粉体ノズル101、台車103によって構成され、走行台車103には加熱された管Tが回転できるように駆動ローラ104の上で支持され、塗装の際に回転しつつ粉体ノズル101の方へ移動できるように走行車輪105を具えている。この回転している管の内面にランス102を挿入すると、ランスの内管106を通過してスプリング方式あるいはエアー圧送方式で粉体塗料が搬送され、ランスの先端に接続した粉体ノズル101から粉体塗料を吐出し管内面の塗装が行われる。図5のようにランス102は二重管構造で形成され、外管107と内管106との管に形成した環状空間Q内に冷却水を循環させて内管106内を搬送される粉体塗料Pが加熱されて変質しないように冷却し、先端の粉体ノズル101から微粉状の粉体塗料が正常に吐出されるように保護している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4,図5に示した構成では、加熱されている管内に塗料を吹き付けても塗装中は管が回転しているため、溶け切っていない粉体塗料が巻き込まれて管の上部に拡散し、図6(A)(B)に示すように粉体ノズル101およびランス102の前端上部に降りかかる現象は避け難い。更にエアー圧送方式では、粉体塗料Pが2〜10kgf/cm2前後の圧力で粉体ノズル先端部から吐出されるため、管内面に吹き付けられた際に図7に示すように跳ね返り、加熱されている管内を飛散した粉体塗料Pが舞い上がって浮遊している状態となり、その中をランス102が通り抜けることになるため、粉体ノズル101やその周辺部に粉体塗料Pが付着しやすくなる。付着した粉体塗料がある程度成長すると自重で離脱落下し、塗装面にいわゆるボタ落ちと呼ばれる塗装欠陥を発生させる要因となる。ボタ落ちが発生するとその手直し作業が増えるだけでなく、程度によっては手直しが不可能なため不良管となることがある。場合によっては付着した粉体塗料が粉体ノズルの吐出口110周辺を取り囲むように付着して正常な粉体の吐出を阻害し、著しい塗装パターンの乱れを誘発させることがある。このような状態で吐出されると塗膜にラセン模様などの塗装不良が生じる原因となり、程度がひどければ手直しが困難で前記のボタ落ちと同様、不良管となるケースもあり得る。
【0007】
このような粉体ノズルやその周辺部に粉体塗料が付着してボタ落ちやパターン不良の発生することを防止するために、図8に示すように走行台車103にエアーダスター108を取り付けて、塗装終了時に管からランス102が引き出される時に粉体ノズル101やその周辺部に付着した粉体塗料をエアーブローすることによって除去する構成や、図9に示すようなランス102先端部にエアーダスター109を取り付けて常時エアーブローを行い、粉体ノズル101やその周辺部に付着した粉体塗料を除去する従来技術も採用されている。
【0008】
しかし図8に示す解決手段では、ランス102および粉体ノズル101の上面に付着した塗料を除去することはできるが、粉体ノズル先端の吐出口110やランスヘッド111の段差面に付着した塗料の除去が困難である。また図9に示す従来技術では、エアーダスター109自体に付着した塗料を除去できないという問題点がある。これら例示した2つの従来技術による塗料除去手段で排除しきれない付着塗料は、結局、付着の状態を目視判別しながらハンドタイプのエアーダスターで塗装が終わる度に、あるいは数回の塗装の都度に、一度エアーブローする手法が行われ、塗装作業が非能率で繁雑にならざるを得なかった。また、塗料の付着防止効果を上げるためにエアーダスターのエアーの流量および流速を上げていくと、エアーブローそのものが塗装パターンに影響を及ぼして正常な塗膜を得られなくなるという問題点もある。
【0009】
塗料供給粉体ノズルの先端に付着した塗料を除去する従来技術として、特開平9−94489号がある。この発明は静電塗装機を用いて行う塗装方法に係り、管状回転軸の後端列に管内へ空気を流入させる空気流入口、先端側の粉体ノズル差し込み孔と塗料供給粉体ノズルとの隙間から回転霧化頭内へ空気を流出させる空気流出口を形成した構成からなり、塗料供給粉体ノズルの先端に付着した塗料の点滴を吹き飛ばす風速が得られるように各部寸法関係を調整したことを要旨とする。しかし、この従来技術によって粉体ノズルの先端に付着した塗料の点滴が吹き飛ばされると、飛ばされた点滴が管内面に付着してボタ落ちなどの塗装不良を頻発させる原因となり課題の解決に有効であるとは判断し難い。
【0010】
本発明はこのような課題を解決し、ランスが管内を移動しても粉体ノズルやその周辺部の表面に塗料が付着せず、塗装不良が発生しない粉体塗装装置を提供することを目的とする。
【0011】
【発明が解決しようとする手段】
本発明に係る管内面粉体塗装装置は加熱した管を管軸方向に移動可能な走行台車上で回転自在に支持し、回転中の管内面へ粉体塗料を吐出して溶融させ防食性塗膜を形成する装置であって、粉体塗料Pを吐出する粉体ノズル1の後方一部および該粉体ノズル1と連設し内管21,外管22の二重管で形成するランス2の全部に亘って被覆する鞘管3で一体的な三重構造とし、鞘管3の内周面31とランスの外管22の外周面との間で形成する環状空間のうち、粉体ノズル1の吐出口11が開口する部分は狭く、反対側は広く偏るように鞘管3の軸線C S と粉体ノズル1の軸線C 1 とを偏心した還流回路23を形成し、粉体塗料Pの送給方向と逆方向の気流を発生する吸引装置4と断続自在に連通したことによって前記の課題を解決した。
【0012】
本発明の基本的な前提は前記のような三重構造として鞘管とランスの間に環状空間を形成し、この環状空間を回路として吸引装置を接続し、粉体ノズル周囲の空気を常に吸引する方向の気流を形成することによって、粉体ノズルに付着した塗料および付着しようとして浮遊している粉体塗料を除去する構成を採る。
【0013】
しかし、この場合、粉体ノズル下部のエアーの流れが問題となる。図1は本発明の実施形態を示す図であるが、外筒とランスを同心円状に配置して吸引状態にすると、ランスおよび粉体ノズルの上面の塗料を除去できる程度にまで吸引力を上げると、粉体ノズル下部のエアー流速が過剰になり下方へ向かって吐出される粉体塗料の流れに影響を与え、塗装パターンの乱れを誘発することになる。逆に粉体ノズル下部で塗装パターンに影響を及ぼさない程度に吸引力を抑制すると、とくに粉体ノズルやランスの上方に付着した粉体塗料や付着しようと浮遊する塗料を十分に除去できなくなる。この兼ね合いはなかなか難しいが、この技術的問題を解決するために鞘管の軸線CSに対してランスの軸線C1を下方に偏心させた構造にすれば、吸引状態にあっても粉体ノズル下部の過剰なエアーの流れが抑制され塗装パターンへの影響を最小限に押さえると同時に、付着した塗料除去の効果を向上させるというバランスを維持する特有の作用が発揮される。
【0014】
粉体ノズルおよびランスの接続部分の形状は従来以上に注意しなければならない。還流回路23を形成して粉体ノズル周辺で浮遊する粉体塗料を吸引し、気流に乗せて円滑に流動するためには、両部材の接続部が緩慢な傾斜面で形成され図5の従来技術に代表するようなラインヘッド110による段差を消滅させ、気流の抵抗の原因を取り除くことが望ましい。図5のような段差は浮遊する粉体塗料が付着する機会を増やし、吸引気流を中途で反転して流路内に乱流を巻き起こし、さらに付着防止のフィルムで被覆するときにも確実性を損ねる原因となるなど好ましくない形態である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明におけるランス及びその先端に取り付けた粉体ノズルの断面図である。ランス2は内管21と外管22によって内部に冷却水室が形成された二重構造であり、内管21内でエアー圧送方式により粉体塗料Pを送給する。塗装中は管が加熱されており、その中にランス2を挿入して塗装が行われるために、粉体塗料Pが内管21で送給中にゲル化するなど粉体塗料に熱影響を受けるから、両管間を冷却水室として冷却水Wが循環し内部の温度上昇を防止している。ランス2の先端部にはランスヘッド24が設けられており、該ランスヘッド24に粉体ノズル1が取り付けられ、粉体ノズル1の先端部下方の吐出口11から粉体塗料Pが吐出されて粉体塗装が行われる。
【0016】
従来まで使用していたランスをそのまま使用しようとすれば、鞘管3を設けて三重構造とするので、鞘管3の外径が大きくなり過ぎて小口径の管には使用できなくなるため、粉体ノズルが取り付けられているランス2の外径を従来までの標準外径よりも小さく設定して鞘管3の外径も出来る限り小さく限定し、小口径の管にも対応できるようにしなければならない。
【0017】
粉体ノズルと外筒の先端部には塗料の付着を抑止するためにシリコン系あるいはフッ素系樹脂、または高分子ポリエチレンなどの耐熱性に優れ塗料付着のし難い被膜でコーティングを施している。実施形態としてはテフロン製のシールテープでコーティングを施し好成績を得ている。この場合、たとえば図5で代表される従来技術の形状では、ランスと粉体ノズルの接続部に段差があるから確実なコーティングを実施することは困難である。この点、本発明の場合は段差がなく緩慢な傾斜面で接続部を形成しているから、コーティングの実施は極めて容易である。
【0018】
吸引空気の風速は本発明において充分に配慮すべき要素である。風速が小さ過ぎると吸引しきれずに塗装不良を招くし、大き過ぎると塗装パターンへ影響を及ぼす原因になる。ここではこの要素の解明のため、吸引風速と外筒の設置位置との関係を実験により調べてみた。図2は実験の概略を示し、鞘管3の外径をφ80mm、ランス2の外径をφ45mm、粉体ノズル1の外径をφ20mmとし、鞘管3の開口面33から粉体ノズル先端面13までの距離を70mm、粉体ノズルの軸線C1を鞘管3の軸線CSから下方へ20mm偏心させた状態で、吐出エアーの風速を35mm/sec、開口面33での吸引風速を14m/secとして、図2に示すように鞘管3を移動させて開口面33と粉体ノズル1の先端部13との距離を変更してみた。図3に示すように粉体ノズル先端部13から吸引口である開口面33の距離Sが25mmでパターンに乱れが生じた。この時粉体ノズル先端部13での吸引風速は5m/secであった。このことからこの条件下では粉体ノズル先端部13の吸引風速が5m/secを超えないようにすればパターンが乱れないことが分かる。ただし、今回の実験結果は図示された粉体ノズル先端部の形状でのものであり、塗装を行う管径が変わると、各々の形状、条件を変えないとパターンの乱れを抑えることはできないことは言うまでもなく、吸引風速がパターンの乱れに影響するか、一実施例のために行ったものである。このような実験を塗装を行う管径に対して繰り返し行うことで、状況に応じた実験データを蓄積することができ、パターンに乱れを生じさせない最適な開口面と粉体ノズル先端部との距離、吸引風速を求めて実施することが望ましい。
【0019】
吸引装置4は具体的には図示しないが通常のミニサイクロン、エアコンプレッサの組合わせによって粉体塗料の回収と空気の浄化を行う形式で足りるし、場合によってはバグフィルタの介装も妥当である。回収された粉体塗料は溶滴状、または凝集状となった部分も含まれ鉄粉など異物の混入も避けられないから、振動篩や磁撰など公知の精選過程を経て再生循環使用することが合理的である。粉体塗料の精選装置5としてはいくつかの従来技術が開示され、たとえば特開平08−299858号などが好適である。図示では吸引装置と精選装置を分けて用いているが、吸引部と精選部を兼ね備えた吸引精選装置を用いてもよい。別に設けた新粉供給装置6から供給される新粉と再生された粉体とを適宜の割合で混合して混合粉供給装置7によりランス2の内管21へ厚送する機構などが望ましい。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上述べた通り比較的簡単な部材の変更によって粉体塗装の条件を改善し、塗装不良を大幅に減小させ、安定した膜質を保証する品質上の効果が大きい。各管径毎の個別の吸引条件が確率されれば品質の保証と作業の自動化に格段の貢献が期待される。また、粉体ノズル周辺の気流を形成して浮遊する粉体塗料を確実に補促し還流する手法は、従来技術が付着分を吹き飛ばして除去することによって却って環境悪化を招いていることと比較しても、極めて優れた作業環境改善の一助を成すものと評価される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部断面図である。
【図2】風速試験の実験構成を示す正面図である。
【図3】風速試験結果の一例を示す関係図である。
【図4】従来技術を示す正面図である。
【図5】図4の要部のみを拡大した一部断面正面図である。
【図6】(A)(B)で従来技術の課題を示す側面断面図である。
【図7】従来技術の課題を示す正面一部断面図である。
【図8】該課題解決を目指した従来技術の正面図である。
【図9】同じく別の従来技術の正面図である。
【符号の説明】
1 粉体ノズル
2 ランス
3 鞘管
4 吸引装置
5 精選装置
6 新粉供給装置
7 混合粉供給装置
11 吐出口
21 内管
22 外管
23 還流回路
33 開口面
P 粉体塗料
【発明の属する技術分野】
本発明は、管内面粉体塗装装置、特に管内面に発生する塗装不良を防止する管内面粉体塗装装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来水道用、ガス用その他流体の管路を形成する管の内外面を防食などの目的で塗装することが一般に行われている。たとえば水道用のダクタイル鋳鉄管の場合、外周面は埋設された周辺の土壌の水分などによる腐食を防ぐために防食塗装を施すが、内面についても露出した金属表面のままでは管内を通過する飲料水に腐食されて耐用年数を縮めるとともに、水質を低下させる重要な原因となるから防食装置を講じなけれならない。
【0003】
ダクタイル鋳鉄管の場合は従来からセメントライニングで管内面を被覆して金属と水との直接の接触を遮断してきたが、近年、化学的安定性(すなわちPHの変動)とか、耐久性、施工性などの点から粉体塗装の適用されるケースが増えて、1ランク上の耐食面を形成する手法として実用化され、すでにJISではダクタイル鋳鉄管の防食塗料としてエポキシ樹脂などを規定した項目が存在する。
【0004】
管の内面塗装を行うには、加熱した管を管軸方向に移動可能な走行台車上で軸心周りに管が回転できるように駆動ローラを1組装着し、このローラ上へ所定温度まで加熱したダクタイル鋳鉄管を載置して所定の周速度で回転する。管の端部開口から管内へ内部に冷却水室が形成された二重構造のランスを挿入し、このランスの先端に接続した粉体ノズルから塗料を吐出する粉体塗装装置がよく知られている。
【0005】
上記の粉体塗装装置の一例を図4、図5に示すと、装置はランス102、粉体ノズル101、台車103によって構成され、走行台車103には加熱された管Tが回転できるように駆動ローラ104の上で支持され、塗装の際に回転しつつ粉体ノズル101の方へ移動できるように走行車輪105を具えている。この回転している管の内面にランス102を挿入すると、ランスの内管106を通過してスプリング方式あるいはエアー圧送方式で粉体塗料が搬送され、ランスの先端に接続した粉体ノズル101から粉体塗料を吐出し管内面の塗装が行われる。図5のようにランス102は二重管構造で形成され、外管107と内管106との管に形成した環状空間Q内に冷却水を循環させて内管106内を搬送される粉体塗料Pが加熱されて変質しないように冷却し、先端の粉体ノズル101から微粉状の粉体塗料が正常に吐出されるように保護している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4,図5に示した構成では、加熱されている管内に塗料を吹き付けても塗装中は管が回転しているため、溶け切っていない粉体塗料が巻き込まれて管の上部に拡散し、図6(A)(B)に示すように粉体ノズル101およびランス102の前端上部に降りかかる現象は避け難い。更にエアー圧送方式では、粉体塗料Pが2〜10kgf/cm2前後の圧力で粉体ノズル先端部から吐出されるため、管内面に吹き付けられた際に図7に示すように跳ね返り、加熱されている管内を飛散した粉体塗料Pが舞い上がって浮遊している状態となり、その中をランス102が通り抜けることになるため、粉体ノズル101やその周辺部に粉体塗料Pが付着しやすくなる。付着した粉体塗料がある程度成長すると自重で離脱落下し、塗装面にいわゆるボタ落ちと呼ばれる塗装欠陥を発生させる要因となる。ボタ落ちが発生するとその手直し作業が増えるだけでなく、程度によっては手直しが不可能なため不良管となることがある。場合によっては付着した粉体塗料が粉体ノズルの吐出口110周辺を取り囲むように付着して正常な粉体の吐出を阻害し、著しい塗装パターンの乱れを誘発させることがある。このような状態で吐出されると塗膜にラセン模様などの塗装不良が生じる原因となり、程度がひどければ手直しが困難で前記のボタ落ちと同様、不良管となるケースもあり得る。
【0007】
このような粉体ノズルやその周辺部に粉体塗料が付着してボタ落ちやパターン不良の発生することを防止するために、図8に示すように走行台車103にエアーダスター108を取り付けて、塗装終了時に管からランス102が引き出される時に粉体ノズル101やその周辺部に付着した粉体塗料をエアーブローすることによって除去する構成や、図9に示すようなランス102先端部にエアーダスター109を取り付けて常時エアーブローを行い、粉体ノズル101やその周辺部に付着した粉体塗料を除去する従来技術も採用されている。
【0008】
しかし図8に示す解決手段では、ランス102および粉体ノズル101の上面に付着した塗料を除去することはできるが、粉体ノズル先端の吐出口110やランスヘッド111の段差面に付着した塗料の除去が困難である。また図9に示す従来技術では、エアーダスター109自体に付着した塗料を除去できないという問題点がある。これら例示した2つの従来技術による塗料除去手段で排除しきれない付着塗料は、結局、付着の状態を目視判別しながらハンドタイプのエアーダスターで塗装が終わる度に、あるいは数回の塗装の都度に、一度エアーブローする手法が行われ、塗装作業が非能率で繁雑にならざるを得なかった。また、塗料の付着防止効果を上げるためにエアーダスターのエアーの流量および流速を上げていくと、エアーブローそのものが塗装パターンに影響を及ぼして正常な塗膜を得られなくなるという問題点もある。
【0009】
塗料供給粉体ノズルの先端に付着した塗料を除去する従来技術として、特開平9−94489号がある。この発明は静電塗装機を用いて行う塗装方法に係り、管状回転軸の後端列に管内へ空気を流入させる空気流入口、先端側の粉体ノズル差し込み孔と塗料供給粉体ノズルとの隙間から回転霧化頭内へ空気を流出させる空気流出口を形成した構成からなり、塗料供給粉体ノズルの先端に付着した塗料の点滴を吹き飛ばす風速が得られるように各部寸法関係を調整したことを要旨とする。しかし、この従来技術によって粉体ノズルの先端に付着した塗料の点滴が吹き飛ばされると、飛ばされた点滴が管内面に付着してボタ落ちなどの塗装不良を頻発させる原因となり課題の解決に有効であるとは判断し難い。
【0010】
本発明はこのような課題を解決し、ランスが管内を移動しても粉体ノズルやその周辺部の表面に塗料が付着せず、塗装不良が発生しない粉体塗装装置を提供することを目的とする。
【0011】
【発明が解決しようとする手段】
本発明に係る管内面粉体塗装装置は加熱した管を管軸方向に移動可能な走行台車上で回転自在に支持し、回転中の管内面へ粉体塗料を吐出して溶融させ防食性塗膜を形成する装置であって、粉体塗料Pを吐出する粉体ノズル1の後方一部および該粉体ノズル1と連設し内管21,外管22の二重管で形成するランス2の全部に亘って被覆する鞘管3で一体的な三重構造とし、鞘管3の内周面31とランスの外管22の外周面との間で形成する環状空間のうち、粉体ノズル1の吐出口11が開口する部分は狭く、反対側は広く偏るように鞘管3の軸線C S と粉体ノズル1の軸線C 1 とを偏心した還流回路23を形成し、粉体塗料Pの送給方向と逆方向の気流を発生する吸引装置4と断続自在に連通したことによって前記の課題を解決した。
【0012】
本発明の基本的な前提は前記のような三重構造として鞘管とランスの間に環状空間を形成し、この環状空間を回路として吸引装置を接続し、粉体ノズル周囲の空気を常に吸引する方向の気流を形成することによって、粉体ノズルに付着した塗料および付着しようとして浮遊している粉体塗料を除去する構成を採る。
【0013】
しかし、この場合、粉体ノズル下部のエアーの流れが問題となる。図1は本発明の実施形態を示す図であるが、外筒とランスを同心円状に配置して吸引状態にすると、ランスおよび粉体ノズルの上面の塗料を除去できる程度にまで吸引力を上げると、粉体ノズル下部のエアー流速が過剰になり下方へ向かって吐出される粉体塗料の流れに影響を与え、塗装パターンの乱れを誘発することになる。逆に粉体ノズル下部で塗装パターンに影響を及ぼさない程度に吸引力を抑制すると、とくに粉体ノズルやランスの上方に付着した粉体塗料や付着しようと浮遊する塗料を十分に除去できなくなる。この兼ね合いはなかなか難しいが、この技術的問題を解決するために鞘管の軸線CSに対してランスの軸線C1を下方に偏心させた構造にすれば、吸引状態にあっても粉体ノズル下部の過剰なエアーの流れが抑制され塗装パターンへの影響を最小限に押さえると同時に、付着した塗料除去の効果を向上させるというバランスを維持する特有の作用が発揮される。
【0014】
粉体ノズルおよびランスの接続部分の形状は従来以上に注意しなければならない。還流回路23を形成して粉体ノズル周辺で浮遊する粉体塗料を吸引し、気流に乗せて円滑に流動するためには、両部材の接続部が緩慢な傾斜面で形成され図5の従来技術に代表するようなラインヘッド110による段差を消滅させ、気流の抵抗の原因を取り除くことが望ましい。図5のような段差は浮遊する粉体塗料が付着する機会を増やし、吸引気流を中途で反転して流路内に乱流を巻き起こし、さらに付着防止のフィルムで被覆するときにも確実性を損ねる原因となるなど好ましくない形態である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明におけるランス及びその先端に取り付けた粉体ノズルの断面図である。ランス2は内管21と外管22によって内部に冷却水室が形成された二重構造であり、内管21内でエアー圧送方式により粉体塗料Pを送給する。塗装中は管が加熱されており、その中にランス2を挿入して塗装が行われるために、粉体塗料Pが内管21で送給中にゲル化するなど粉体塗料に熱影響を受けるから、両管間を冷却水室として冷却水Wが循環し内部の温度上昇を防止している。ランス2の先端部にはランスヘッド24が設けられており、該ランスヘッド24に粉体ノズル1が取り付けられ、粉体ノズル1の先端部下方の吐出口11から粉体塗料Pが吐出されて粉体塗装が行われる。
【0016】
従来まで使用していたランスをそのまま使用しようとすれば、鞘管3を設けて三重構造とするので、鞘管3の外径が大きくなり過ぎて小口径の管には使用できなくなるため、粉体ノズルが取り付けられているランス2の外径を従来までの標準外径よりも小さく設定して鞘管3の外径も出来る限り小さく限定し、小口径の管にも対応できるようにしなければならない。
【0017】
粉体ノズルと外筒の先端部には塗料の付着を抑止するためにシリコン系あるいはフッ素系樹脂、または高分子ポリエチレンなどの耐熱性に優れ塗料付着のし難い被膜でコーティングを施している。実施形態としてはテフロン製のシールテープでコーティングを施し好成績を得ている。この場合、たとえば図5で代表される従来技術の形状では、ランスと粉体ノズルの接続部に段差があるから確実なコーティングを実施することは困難である。この点、本発明の場合は段差がなく緩慢な傾斜面で接続部を形成しているから、コーティングの実施は極めて容易である。
【0018】
吸引空気の風速は本発明において充分に配慮すべき要素である。風速が小さ過ぎると吸引しきれずに塗装不良を招くし、大き過ぎると塗装パターンへ影響を及ぼす原因になる。ここではこの要素の解明のため、吸引風速と外筒の設置位置との関係を実験により調べてみた。図2は実験の概略を示し、鞘管3の外径をφ80mm、ランス2の外径をφ45mm、粉体ノズル1の外径をφ20mmとし、鞘管3の開口面33から粉体ノズル先端面13までの距離を70mm、粉体ノズルの軸線C1を鞘管3の軸線CSから下方へ20mm偏心させた状態で、吐出エアーの風速を35mm/sec、開口面33での吸引風速を14m/secとして、図2に示すように鞘管3を移動させて開口面33と粉体ノズル1の先端部13との距離を変更してみた。図3に示すように粉体ノズル先端部13から吸引口である開口面33の距離Sが25mmでパターンに乱れが生じた。この時粉体ノズル先端部13での吸引風速は5m/secであった。このことからこの条件下では粉体ノズル先端部13の吸引風速が5m/secを超えないようにすればパターンが乱れないことが分かる。ただし、今回の実験結果は図示された粉体ノズル先端部の形状でのものであり、塗装を行う管径が変わると、各々の形状、条件を変えないとパターンの乱れを抑えることはできないことは言うまでもなく、吸引風速がパターンの乱れに影響するか、一実施例のために行ったものである。このような実験を塗装を行う管径に対して繰り返し行うことで、状況に応じた実験データを蓄積することができ、パターンに乱れを生じさせない最適な開口面と粉体ノズル先端部との距離、吸引風速を求めて実施することが望ましい。
【0019】
吸引装置4は具体的には図示しないが通常のミニサイクロン、エアコンプレッサの組合わせによって粉体塗料の回収と空気の浄化を行う形式で足りるし、場合によってはバグフィルタの介装も妥当である。回収された粉体塗料は溶滴状、または凝集状となった部分も含まれ鉄粉など異物の混入も避けられないから、振動篩や磁撰など公知の精選過程を経て再生循環使用することが合理的である。粉体塗料の精選装置5としてはいくつかの従来技術が開示され、たとえば特開平08−299858号などが好適である。図示では吸引装置と精選装置を分けて用いているが、吸引部と精選部を兼ね備えた吸引精選装置を用いてもよい。別に設けた新粉供給装置6から供給される新粉と再生された粉体とを適宜の割合で混合して混合粉供給装置7によりランス2の内管21へ厚送する機構などが望ましい。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上述べた通り比較的簡単な部材の変更によって粉体塗装の条件を改善し、塗装不良を大幅に減小させ、安定した膜質を保証する品質上の効果が大きい。各管径毎の個別の吸引条件が確率されれば品質の保証と作業の自動化に格段の貢献が期待される。また、粉体ノズル周辺の気流を形成して浮遊する粉体塗料を確実に補促し還流する手法は、従来技術が付着分を吹き飛ばして除去することによって却って環境悪化を招いていることと比較しても、極めて優れた作業環境改善の一助を成すものと評価される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部断面図である。
【図2】風速試験の実験構成を示す正面図である。
【図3】風速試験結果の一例を示す関係図である。
【図4】従来技術を示す正面図である。
【図5】図4の要部のみを拡大した一部断面正面図である。
【図6】(A)(B)で従来技術の課題を示す側面断面図である。
【図7】従来技術の課題を示す正面一部断面図である。
【図8】該課題解決を目指した従来技術の正面図である。
【図9】同じく別の従来技術の正面図である。
【符号の説明】
1 粉体ノズル
2 ランス
3 鞘管
4 吸引装置
5 精選装置
6 新粉供給装置
7 混合粉供給装置
11 吐出口
21 内管
22 外管
23 還流回路
33 開口面
P 粉体塗料
Claims (4)
- 加熱した管を管軸方向に移動可能な走行台車上で回転自在に支持し、回転中の管内面へ粉体塗料を吐出して溶融させ防食性塗膜を形成する管内面粉体塗装装置であって、粉体塗料Pを吐出する粉体ノズル1の後方一部および該粉体ノズル1と連設し内管21,外管22の二重管で形成するランス2の全部に亘って被覆する鞘管3で一体的な三重構造とし、鞘管3の内周面31とランスの外管22の外周面との間で形成する環状空間のうち、粉体ノズル1の吐出口11が開口する部分は狭く、反対側は広く偏るように鞘管3の軸線C S と粉体ノズル1の軸線C 1 とを偏心した還流回路23を形成し、粉体塗料Pの送給方向と逆方向の気流を発生する吸引装置4と断続自在に連通したことを特徴とする管内面粉体塗装装置。
- 請求項1において粉体ノズル1の前記後方の一部を緩慢な傾斜で拡径してランス2の外管22の外周面と接続し流動抵抗の少ない還流回路23を形成したことを特徴とする管内面粉体塗装装置。
- 請求項1または2において、粉体ノズル1の外周面12および鞘管3の少なくとも開口面33付近の内外面上に有機系または無機系の付着防止被膜で被覆することを特徴とする管内面粉体塗装装置。
- 請求項1乃至3の何れかにおいて、前記還流回路23と連通する吸引装置4によって回収した粉体塗料Pを再生する精選装置5を接続したことを特徴とする管内面粉体塗装装置。
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