JP3544110B2 - エレクトロスラグ再溶解用スラグおよび該スラグを用いた高清浄度材の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、タービン用リテーニングリングやタービンロータシャフト等に適した高清浄度材の製造に使用されるエレクトロスラグ再溶解用スラグおよび該スラグを用いた高清浄度材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高い清浄度が要求される素材の製造方法としてエレクトロスラグ再溶解法(以下ESR法という)が知られている。ESR法は、溶融スラグの抵抗熱によって電極を溶解し、この溶湯を水冷モールド内で逐次凝固させて清浄な鋳塊を製造する方法である。このESR法においては、適正な比抵抗、粘度、融点などを有するスラグを用いる必要があり、一般的にCaF2−CaO−Al2O3三元系スラグを使用している。ところで、最近では、各種用途において製品の信頼性を高めるために材料に要求される特性は益々厳しくなっており、ESR鋳塊に対する清浄度の要望も強くなっている。
しかし、ESR時に上記のようにAl2O3を含有するスラグを使用すると、Al2O3を主体とする非金属介在物が鋳塊中に生成されることは避けられず、その結果、ESR鋳塊の清浄度が劣化するという問題がある。
これに対し、特開平7−238344号公報では、Al2O3を含有しないスラグ(以下Al2O3−フリースラグ)を使用することによって高清浄鋼を製造する方法が開示されており、Al2O3−フリースラグの使用により、大型の介在物が減少し、PT欠陥数(染色探傷法による)も著しく減少する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、Al2O3はスラグの比抵抗率を上げることにより、スラグを発熱源として十分に機能させるための成分であり、Al2O3を含有しないスラグを使用すると、溶解に十分な発熱をスラグから確保することが困難になり、十分な溶解速度が得られなくなってしまう。そこで十分な溶解速度を得るためには、電極をスラグ深くにまで浸漬し、スラグとの接触面積を増大させて溶解速度を補う方法が必要になる。しかし、電極とスラグとの接触面積を増大させると、ESR電圧が不安定になり(従来は10%程度の変動であるのに対し、このような方法を採ると100%を越える変動が生ずる)、溶解速度が不安定になるとともに、鋳塊表面肌が顕著に劣化してしまう。
【0004】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、その目的の一つは、高い清浄度と良好な表面肌とを有するESR鋳塊の製造が可能であるエレクトロスラグ再溶解用スラグを提供することにあり、他の一つは、該スラグを用いて高い清浄度を有する高清浄度材を効率よく得ることができる高清浄度材の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のエレクトロスラグ再溶解用スラグは、重量%で、CaF2:50〜85%、CaO:10〜30%、BaO:5〜20%、MgO:10%以下からなることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の高清浄度材の製造方法は、目的成分に合わせた成分の電極を、上記発明のスラグ中で再溶解して目的成分の鋳塊を得ることを特徴とする。
【0007】
本発明のスラグは清浄度を確保するためにAl2O3を添加せず、BaOを添加することによって比抵抗増(比電導度減)および低酸素化を達成することを目的とするものである。
比抵抗の増大は、溶解に必要な熱源としての機能を高め、その結果、ESR電極の安定した溶解が可能になる。これにより、電極をスラグ深くにまで浸漬する必要がなく、よって鋳塊表面肌の劣化もなく、良好な鋳肌が得られる。
また、BaOは高塩基性の性質を有しており、スラグへの添加により、ESR鋳塊の残存酸素量を低減して低酸素化を可能とし、酸化物を一層低減させる作用がある。
以下に、各成分の作用およびその含有量を定めた理由を説明する。
【0008】
CaF2:50〜85%
CaF2はスラグの基本的な成分であり、適度なスラグの流動性や必要な融点、電導度等を得るために含有される。なお、本発明では、BaOの添加により粘度が増すことや、融点を低下させるAl2O3を添加しないことから、従来以上に、流動性を増し、さらに融点を下げる必要があり、そのためCaF2の下限を50%とする。一方、CaF2含有量が多いとスラグの比抵抗が低下して溶解が困難になり、鋳肌が劣化するので、CaF2含有量は50〜85%に規定する。
なお、同様の理由で、さらに下限を60%、上限を80%にするのが望ましい。
【0009】
CaO:10〜30%
CaOはスラグの塩基度を増加させ精錬能を向上させる作用があり、この作用を得るために10%以上含有させる必要がある。一方、含有量が多すぎると粘性の増加および高融点化を促進するので、CaO含有量は10〜30%とする。
【0010】
BaO:5〜20%
BaOは融点低下および比抵抗の増加に効果的であり、また鋳塊中の酸化物を低減する作用がある。ただし、BaO含有量が20%を越えると、スラグのボイリングが激しくなり、スラグ組成の変化が問題になる。また、BaO含有量が高くなると、スラグ中のC溶解度が高くなり、ESRのCピックアップが生じる。これらのことよりBaO含有量は20%以下とする。なお、上記作用を十分に得るためには、下限を5%とする。上記と同様の理由で上限を15%とするのが望ましい。さらに、上記と同様の理由で下限を10%とするのが一層望ましい。
【0011】
MgO:10%以下
MgOは少量の添加により融点が低下し、比抵抗が増加するので、添加する。しかし、10%を越えて添加するとスラグの粘性が増加し、鋳肌が劣化するためMgO含有量は10%以下、望ましくは5%以下とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のスラグは、18Mn−18Cr鋼、Ni基およびNi−Fe基超合金等の製造に用いることができるが、本発明としては適用種がこれらに限定されるものではなく、要は、高清浄度が要求され、特にアルミナ介在物の存在を避けたい材料の製造に適している。したがって、本願発明の高清浄度材の製造に際し、求められる鋳塊の目的成分も上記適用材料に依るものである。なお、ESRに際しては、電極成分がそのまま鋳塊になるものではなく、成分の変動を受けるので、これを考慮して電極には目的成分に合わせた成分とする必要がある。なお、成分変動の程度は、スラグ組成やESR操業条件によっても異なるため、これらを総合して適宜電極の成分を定める。
【0014】
なお、本発明のスラグは、前記した成分範囲で調製されるが、その製造方法は常法により従来と同様の方法で製造することができる。
また、本発明のスラグを用いたESRでは、特に操業条件が限定されるものではなく、上記したような適宜の成分の電極を用いてESRを行うことができる。特に、本発明のスラグでは、従来のスラグと同様に、適度な比抵抗率、流動度および融点を有しており、安定した状態でESRを行うことができる。
上記スラグの使用により得られたESR鋳塊は、表面肌が良好で、従来以上に高い清浄度を有している。したがって、高清浄材の製造において、上記ESR鋳塊を用いることにより高い清浄度を有する材料を歩留まり良く製造することができる。
【0015】
【実施例】
スラグとして、CaF2:50%、CaO:20%、Al2O3:30%を含有する従来材(Al2O3含有)と、CaF2:80%、CaO:15%、MgO:5%を含有する比較材(Al2O3フリー)と、CaF2:70%、CaO:15%、BaO:10%、MgO:5%を含有する発明材とを用意し、各スラグの比電導度を、ESR操業を模した温度にて測定した。その結果は、図1に示すとおりであり、従来材と発明材とは同等の比電導度を有している。一方、Al2O3フリーとした比較材では、比電導度が大きく、すなわち比抵抗が小さくなっている。このため、比較材では、ESR時に十分な発熱量が得られないことが明らかになっている。一方、発明材は、従来材と同等の発熱量が得られることが明らかになった。
【0016】
次に、18%Cr−18%Mn−0.7%N−残Feの成分を目的成分とする合金を常法により溶製し、径550mmのESR用電極を製造した。この電極を用いて、上記組成を有するスラグを用いてESRを行った。なお、ESRの操業では、各スラグを用いた場合にほぼ同程度の溶解速度が得られるようにESR電流、ESR電圧、電極の浸漬深さを調整した。
得られた750mm径のESR鋳塊は、目的の成分を有しており、その表面肌を目視で観察し、さらに、各ESR鋳塊中の酸化物介在物を測定し、その大きさと個数の関係を図2に示した。
【0017】
これらの結果、本発明材および従来材のスラグを用いてESR鋳塊を製造すると、表面肌は良好であるのに対し、比較材では、明らかに表面肌に劣っている。
次に、酸化物介在物についてみると、比較材を用いたESR鋳塊では、従来材を用いたものよりも酸化物の個数が減少し、かつ大きさも小さくなっているが、本発明材を用いたものでは、さらに酸化物の個数が減少し、大きさも小さくなっており、特に、大きな酸化物の減少が顕著である。
なお、比較材のスラグにより製造された鋳塊では、表面肌の不良により、10mm深さの表面削りが必要であった。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエレクトロスラグ再溶解用スラグによれば、重量%で、CaF2:50〜85%、CaO:10〜30%、BaO:5〜20%、MgO:10%以下からなるので、ESR鋳塊中にアルミナ介在物が生成されることがなく、またAl2O3の無添加により鋳塊肌が劣化することもなく、良好な鋳肌を有する清浄度の高い鋳塊が得られる。さらに、低酸素化により、酸素介在物が一層低減される効果もある。
【0019】
また、上記スラグを用いて高清浄度材を製造すれば、表面肌が良好な鋳塊から歩留まり良く高清浄度材を得ることができ、製造コストを低減することができる。しかも得られた材料は介在物が極めて少なく、優れた組織を有しているので、この高清浄度材を素材として用いることにより信頼性の高い製品を低コストで製造することができる、
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明材、従来材および比較材のスラグにおける各温度での比電導度を示すグラフである。
【図2】同じく得られたESR鋼塊中の酸化物の大きさと個数を示すグラフである。
Claims (2)
- 重量%で、CaF2:50〜85%、CaO:10〜30%、BaO:5〜20%、MgO:10%以下からなるエレクトロスラグ再溶解用スラグ。
- 目的成分に合わせた成分の電極を、請求項1記載のスラグ中で再溶解して目的成分の鋳塊を得ることを特徴とする高清浄度材の製造方法
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| JP31773297A JP3544110B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | エレクトロスラグ再溶解用スラグおよび該スラグを用いた高清浄度材の製造法 |
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