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JP3544579B2 - プロペラシャフト - Google Patents
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、自動車等の動力伝達を司るプロペラシャフトに関し、特にチューブの内部に略矩形状の厚紙を筒状に巻いて挿入した形式のプロペラシャフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
動力伝達系で生じる異音等を防止するために、チューブの内部に略矩形状の厚紙を一方向に筒状に巻いて挿入した形式のプロペラシャフトが知られている。チューブ内に巻いて挿入された厚紙は、巻きの復元力でチューブ内周面に係止しているのであるが、経年変化で復元力が低下すると、車両の急発進、急停止などの際に厚紙がチューブ内で回転方向に移動する虞がある。
【0003】
厚紙が移動すると、プロペラシャフトの回転バランスが初期状態から微妙に変化し、駆動系の振動に悪影響を及ぼすことになる。
【0004】
厚紙の移動を防止するものとして、特開平1−148621号公報には、厚紙の端部内周側に設ける保持カップによって、厚紙をチューブ内面に押付けることにより固定する技術が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記従来例にあっては、別体の保持カップを用いて厚紙を固定する構成であるため、部品点数が増加して組付け工数が嵩むと共に、重量が増加する虞がある。ところで、発明者は、厚紙の回転方向の移動が、プロペラシャフトの回転方向と厚紙の巻き方向とが一致した場合に生じ、逆方向の場合には、生じ難いものであることを知見した。これは、逆方向の場合には厚紙にこの厚紙の巻きを広げてチューブ内周面との接触圧力を高める方向の力が作用するからであると考察される。
【0006】
本発明は斯かる従来の実情と考察に鑑みてなされたもので、部品点数を増加させることなしに、厚紙の移動を防止可能なプロペラシャフトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、とりわけ、略矩形状の厚紙の対向する二辺から相互に連通しない1対または複数対のスリットを設け、該スリットで区分されたセグメントを相互に異なる方向に巻いて筒状とし、この筒状の厚紙をチューブ内に挿入した構成にしてある。
【0008】
【作用】
スリットで区分された複数のセグメントは、このスリットの連通しない部分で繋がっており、相互に異なる方向に巻いてある。これによって、厚紙が、巻き方向は異なるが全体として筒状に形成され、この筒状の厚紙がチューブ内に挿入してある。したがって、筒状の厚紙の少なくとも一つのセグメントは残余のセグメントに対して巻方向が逆向きとなって、チューブの内周面に接している。これにより、プロペラシャフトの回転方向が何れの方向であっても、筒状に巻いた厚紙のセグメントの少なくとの一つは、プロペラシャフトの回転方向と異なる方向に巻いてあることになるから、このセグメントには厚紙の巻きを広げてチューブ内周面との接触圧力を高める方向の力が作用することとなる。したがって、高い接触圧力により、何れの回転方向においても、厚紙が不用意に移動することが防止される。
【0009】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。
【0010】
図1は本発明のプロペラシャフトの要部を示す一部断面図である。図において、1はプロペラシャフトのチューブで、このチューブ2は、一般に電気抵抗溶接鋼管が用いられ、その内部には筒状に巻いた厚紙2が挿入してある。この厚紙2は、段ボールの中芯紙等が用いられ、展開した状態は図2に示すように略矩形状で、対向する二辺3,3の略中央位置から相互に連通しない1対スリット4,4を設け、このスリット4,4で二つのセグメント5,6に区分してある。この二つのセグメント5,6に区分した厚紙2は、二つのセグメント5,6を相互に異なる方向に巻いて、図3に示すように全体として筒状にしてある。この筒状に巻いた厚紙2は、一対のスリット4,4の連通しない部分で繋がっており、また、この筒状の外径寸法は、チューブ1の端部1aの内径寸法よりも僅かに小さい寸法が選択される。そして、この筒状に巻いた厚紙2は、チューブ1の一側端部1aからチューブ1内に挿入され、巻きの復元力でチューブ1の内周面に係止している。
【0011】
筒状に巻いた厚紙2が挿入されたチューブ1の両端部1a,1aには、図外の十字軸接手のためのヨーク部材7,7が取付けられ、その接合部8,8を溶接、好ましくは摩擦溶接してある。
【0012】
ヨーク部材7,7に図外の十字軸接手を取付け、残余の構成部品の組付けが完了したプロペラシャフトは、車両の動力伝達系に組込まれ、動力伝達を司る。そして、チューブ1の内部に挿入した厚紙2の作用により、動力伝達系で生ずる異音等を有利に防止する。
【0013】
ここで、筒状に巻いた厚紙2の一方のセグメント5は、他方のセグメント6に対して巻方向が逆向きとなって、チューブ1の内周面に接している。これにより、プロペラシャフトの回転方向が何れの方向であっても、筒状の厚紙2のセグメント5,6の何れか一つには、厚紙2の巻き終り部分がチューブ1の内周面に接して、厚紙2の巻きを広げてチューブ1内周面との接触圧力を高める方向の力が作用することとなる。したがって、厚紙2はプロペラシャフトが何れの方向に回転した場合においても高い接触圧力によって固定され、何れの回転方向においても、厚紙2が不用意に移動することが防止される。また、厚紙2の組付け固定に際して、格別この厚紙2を固定するための部品を必要としないから、部品点数が増加して組付け工数が嵩むことがなく、また重量が増加することもない。
【0014】
図4は本発明の別の実施例を示す図面で、この実施例では、略矩形状の厚紙2の対向する二辺3,3から、相互に連通しない2対のスリット9,9及びスリット10,10を設け、このスリット9,9及びスリット10,10で厚紙2を三つのセグメント11,12,13に区分してある。この厚紙2は、各スリット9,9及びスリット10,10で区分された三つのセグメント11,12,13のうち、隣合うセグメントを相互に異なる方向に巻いて、図5に示すように全体として筒状にしてある。つまり、両端のセグメント11,13が同じ方向に巻かれ、中央のセグメント12がこれらとは異なる方向に巻いてある。この場合に、二つの巻き方向においての厚紙2とチューブ1内周面との接触長さを同一にするために、スリット9,9とスリット10,10の形成位置が考慮され、セグメント11の軸方向長さL1とセグメント13の軸方向長さL3との合計が、セグメント12の軸方向長さL2と等しくなるようにしてある。
【0015】
斯く構成しても前記実施例と同様の作用効果が得られる。
【0016】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、スリットで区分された複数のセグメントの隣合うセグメントが相互に異なる方向に巻かれた実施例について述べたが、厚紙を多数のセグメントに分割した場合に隣合うセグメントの幾つかが同じ方向であってもよく、全体としてセグメントの幾つかが相互に異なる方向に巻かれる構成であればよい。また、各巻き方向におけるセグメントの軸方向長さ(またはその合計)は、必ずしも等しくなくてもよく、プロペラシャフトの回転方向を考慮して各巻き方向の軸方向長さ(またはその合計)を配分することは任意である。
【0017】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、チューブの内部に略矩形状の厚紙を筒状に巻いて挿入したプロペラシャフトにおいて、前記厚紙の対向する二辺から相互に連通しない1対または複数対のスリットを設け、該スリットで区分されたセグメントを相互に異なる方向に巻いて筒状としたことにより、プロペラシャフトが何れの回転方向に回転した場合においても、挿入した厚紙が不用意に移動することが有利に防止される。また、格別厚紙を固定するための部品を必要としないから、部品点数が増加して組付け工数が嵩むことがなく、また重量が増加することもない。仍って、実用に供して頗る多大な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すプロペラシャフトの要部を示す一部断面図である。
【図2】厚紙の展開図である。
【図3】図2に示す厚紙を巻いた状態を示す説明図である。
【図4】本発明の別の実施例を示す厚紙の展開図である。
【図5】図4に示す厚紙を巻いた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 チューブ
2 厚紙
3 辺
4,9,10 スリット
5,6,11,12,13 セグメント

Claims (1)

  1. チューブの内部に略矩形状の厚紙を筒状に巻いて挿入したプロペラシャフトにおいて、
    前記厚紙の対向する二辺から相互に連通しない1対または複数対のスリットを設け、
    該スリットで区分されたセグメントを相互に異なる方向に巻いて筒状としたことを特徴とするプロペラシャフト。
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