JP3544866B2 - 樹脂成形品の製造方法および樹脂成形品 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気ポットの残水量を示す表示パネル、および、電気ポットや炊飯ジャー等の各種電気製品の操作パネル等、目盛や表示等を設けた印刷シートを一体に成形する樹脂成形品の製造方法および樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の樹脂成形品である電気ポットにおける内容器内の残水量を表示する表示パネルとしては、成形したパネル本体の正面側に、覗き窓の部分を開口した印刷シールを貼着したものが提供されている。ここで、本明細書では、パネル本体の一方の面を正面、他方の面を背面と言い、後述する印刷シールおよび印刷シートの一方の面を表面、他方の面を裏面と言う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、印刷シールをパネル本体の正面側に貼着した表示パネルでは、使用中に擦れると印刷シールが剥れるという問題がある。また、印刷シールの表示部分に傷が入り、目盛や表示等が消えてしまうという不都合がある。さらに、印刷面である表面が露出しているため奥行きが感じられず、デザイン性が悪いという不都合がある。
【0004】
そこで、表示パネルのパネル本体に対し、背面側に印刷シールを貼着することが考えられる。この場合、パネル本体の背面側には、製品に取り付けるための爪部を有する突出部が一体に成形されるため、それらの対向する位置まで印刷シールを延ばして貼ることはできない。その結果、印刷シールの開口が大きくなり、外観が悪くなるという問題がある。
【0005】
さらに、これらの問題を解消するためには、前記目盛や表示等を印刷した印刷シートを、パネルの成形金型のキャビティ内に配設し、印刷シートを一体にインサート成形する製造方法が考えられる。
【0006】
しかし、この場合、パネル本体がデザイン上、断面円弧状に湾曲成形されるため、また、印刷シートに前記開口を形成する必要があるため、溶融樹脂を成形金型のキャビティ内に充填する際に、印刷シートの外縁や開口の内縁から型との間に溶融樹脂が流れ込むという問題がある。
【0007】
そこで、本発明では、パネル本体の背面側に貫通部を有する印刷シートをインサート成形できるようにし、印刷部に傷が発生するのを防止するとともに、デザイン性の向上を図ることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の樹脂成形品の製造方法は、一対の成形金型によって貫通部を備えた印刷シートを透明な成形品本体の背面側に一体成形する樹脂成形品の製造方法であって、前記印刷シートの裏面側を第1金型上に接した状態で位置決めし、ゲートから溶融樹脂を成形金型のキャビティ内に充填し、前記印刷シートの貫通部の内縁を通って裏面から突出する突出部を形成するものである。
ここで、前記貫通部とは、シート本体の中央に形成する開口、および、シート本体の縁に形成する切欠等のこと意味する。
【0009】
具体的には、前記突出部に前記印刷シートに沿って延びる突部を設けることが好ましい。
【0010】
また、前記印刷シートの縁に突片を設け、該突片を前記第1金型と第2金型との間に挟み込んで位置決することが好ましい。
この場合、前記突片に貫通孔を設け、前記第1金型に貫通孔内に挿入係止する凸部を設けることが好ましい。
【0011】
さらに、前記第1金型に前記印刷シートと同一形状の凹部を形成し、該凹部内に前記印刷シートを嵌め込んで位置決めしてもよい。
【0012】
前記樹脂成形品の製造方法によれば、印刷シートを第1金型に接した状態に位置決めして溶融樹脂を充填するようにしているため、第1金型と印刷シートとの間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。
【0013】
前記製造方法では、前記ゲートは、前記印刷シートの表面側に位置させることが好ましい。
この場合、前記ゲートは、前記樹脂成形品の端部に位置することが好ましい。
このようにすれば、キャビティ内において、流入した溶融樹脂が印刷シートを第1金型側に押し付ける方向に流動するため、より確実に印刷シートと第1金型との間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。
【0014】
前記ゲートは、前記樹脂成形品を製品に取り付けた状態で隠れる位置であることが好ましい。
また、前記ゲートは、前記キャビティ内への流込口を、第2金型のキャビティ部の面に向けて所定角度で傾斜させ、キャビティ内において、溶融樹脂が上層側から確実に流動するようにすることが好ましい。
【0015】
また、本発明では、前記製造方法によって製造する樹脂成形品として、成形品本体の背面側に、貫通部を有する印刷シートを一体成形するとともに、該印刷シートの貫通部内縁を通して該印刷シートの裏面から突出する突出部を設けたものを提供するものである。
【0016】
この樹脂成形品には、前記突出部に、前記印刷シートに沿って延びる突部を設けることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1(A),(B),(C)および図2は、本発明の製造方法によって製造した樹脂成形品である電気ポットの残水量を示す表示パネル1を示す。この表示パネル1は、断面円弧状に湾曲した透明なパネル本体2の背面に、貫通部として開口10を有する印刷シート8を、成形金型12(図3に示す。)によって一体にインサート成形したものである。この表示パネル1は、印刷シート8の開口10内部が覗き窓3となる。
【0018】
前記パネル本体2は透明樹脂で成形され、その背面側には、印刷シート8の開口10の内縁より四角筒状に突出する枠状の突出部4が設けられている。この突出部4の上部には、一対のスリット5が設けられ、これらの間に上向きに突出する係止爪6aを備えた弾性係止部6が設けられている。また、突出部4の下部には、下向きに突出する引掛部7が設けられている。即ち、前記係止爪6aと引掛部7とは、印刷シート8に沿って延びる突部となる。
ここで、前記透明樹脂とは、正面側から透過して背面側に配設する印刷シート8を視認可能な透明度を有するものを意味する。
【0019】
前記印刷シート8は、表面側に残水量の目盛りや容量等の所定の表示9が印刷されたものである。この印刷シート8の中央には、前記覗き窓3を構成する前記開口10が設けられている。即ち、この印刷シート8は、開口10からなる貫通部を備えている。また、インサート成形前の印刷シート8には、図2に示すように、位置決め手段として貫通孔11aを備えた突片11が設けられている。この突片11は、後述する成形金型12にセットする再の位置決めに使用され、インサート成形した後には切断して除去されるものである。
【0020】
前記表示パネル1を製造するための第1実施形態の成形金型12は、図3(A),(B)に示すように、一対の上型14(第2金型)と下型16(第1金型)とを備え、これらを組み合わせることによって溶融樹脂を充填するキャビティ13を形成するものである。
【0021】
前記上型14は、湾曲したパネル本体2の凸の正面を形成するもので、表示パネル1の上端縁に位置する部分には、図示しない射出装置からキャビティ13内に溶融樹脂を充填するためのゲート15が形成されている。このゲート15は、図4に示すように、キャビティ13内への流込口15aが、該上型14のキャビティ部14aの面に向けて所定角度θ(例えば37度)で傾斜するように形成されている。
【0022】
前記下型16は、パネル本体2の凹の背面と該背面から突出する部分とを形成するもので、一対のスライドコア19,20を備えている。この下型16には、前記印刷シート8と同一形状で、かつ、同一厚さの凹部17が形成されている。この凹部17には、前記印刷シート8における突片11の貫通孔11a内に挿入し、該印刷シート8を位置決めするための凸部18が設けられている。
【0023】
次に、前記成形金型12を用いた表示パネル1の製造について説明する。
まず、前記印刷シート8を下型16の凹部17に嵌め込み、突片11に形成した貫通孔11aに凸部18を挿入係止する。そして、この状態で、固定された上型14に対してスライドコア19,20をセットした下型16を移動させて配置する。これにより、前記印刷シート8は、突片11が上型14と下型16との間に挟み込まれ、裏面側が下型16に接した状態で位置決めされる。
【0024】
ついで、図示しない射出装置から、ゲート15を通してキャビティ13内に溶融樹脂を充填する。そうすると、溶融樹脂は、ゲート15の流込口15aを傾斜するように形成しているため、図4中、一点鎖線で示すように、キャビティ13内において、まず、上層側(正面側)を流動する。そして、溶融樹脂は、上層側から下方(背面側)に向けて広がり、下型16上に位置決めした印刷シート8を、表面からスライドコア19,20を含む下型16側に押し付けるように作用する。その結果、印刷シート8の外縁や開口10の内縁から下型16との間に溶融樹脂が流れ込むのを確実に防止することができる。
【0025】
そして、所定時間経過してキャビティ13内の樹脂が固化すると、下型16を上型14から離脱させるとともに、スライドコア19,20を離脱させ、成形した表示パネル1を下型16から取り出す。この状態では、パネル本体2からは前記印刷シート8の突片11が突出しているとともに、ゲート部分に対応した樹脂片が突出している。そのため、これらの突出部分を切断する等して除去する。
【0026】
前記方法によって製造した表示パネル1は、図5に示す電気ポットPのケーシングCにおいて、取付凹部に形成した開口部に下端の引掛部7を引っ掛けた状態で、上部を回動させることにより、弾性係止部6の係止爪6aをケーシングCの開口部の内縁に係止させて取り付ける。
【0027】
こうして取り付けた表示パネル1は、印刷シート8がパネル本体2の背面側に位置しているため、電気ポットPに組み付けた状態で、使用中に擦れることによって傷が入り、目盛が消えることはない。また、この組付状態では、前記切断したゲート15や突片11の部分は、電気ポットPのケーシングCに形成した取付凹部の縁に隠れるため、外観が悪くなることはない。
【0028】
その上、表示パネル1は、透明樹脂からなるパネル本体2を通して印刷シート8の表示9を見ることになるため、使用者に奥行感を与えることができ、デザイン性に優れたものとすることができる。さらに、印刷シート8をインサート成形するようにしているため、図1(C)に示すように、パネル本体2の背面側に係止爪6aや引掛部7等の突部が存在しても、それらと対向する位置まで印刷シート8を延ばすことができ、その結果、外観が悪くなるのを防止できる。
【0029】
なお、この第1実施形態では、凹部17だけで印刷シート8を位置決めするようにしてもよい。
【0030】
図6および図7は、第2実施形態の製造方法に適用する印刷シート8および成形金型12を示す。この第2実施形態では、図6に示すように、印刷シート8の全周から突片11’を突設し、この突片11’の所定位置に貫通孔11aを設け、下型16に印刷シート8を嵌め込む凹部17を不要とした点で第1実施形態と相違している。
【0031】
この第2実施形態では、印刷シート8を成形金型12に位置決めしてセットすると、上型14(キャビティ部14aの縁)が印刷シート8の突片11’を介して下型6に圧接する。これにより閉塞されたキャビティ13が形成される。
【0032】
そして、第1実施形態と同様に、溶融樹脂をゲート15から充填すると、前記第1実施形態と同様に、キャビティ13内において、表面側から印刷シート8を下型側に押し付けながら溶融樹脂が流動することにより、背面側に印刷シート8を一体にインサート成形した表示パネル1を成形することができる。
【0033】
キャビティ13内で樹脂が固化すると、成形金型12から表示パネル1を取り出し、パネル本体2から突出する印刷シート8の突片11’およびゲート部分の樹脂片を切断して除去する。
【0034】
なお、本発明の樹脂成形品の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、前記各実施形態では、表示パネル1の上端部の縁に位置する部分にゲート15を形成したが、印刷シート8の表面側に位置させれば、前記各実施形態と同様に、印刷シート8を下型16に押し付ける作用を得ることができる。そして、ゲート15の跡が電気ポットPへの組付状態で外部に露出する可能性がある場合には、電気ポットPのケーシングCの取付構造を、前記図9に示す取付枠部Tを形成した構成とし、ゲート跡を覆い隠すことができるようにすればよい。
【0035】
また、前記各実施形態の製造方法によって成形する樹脂成形品は、電気ポットの残水量を示す表示パネル1に限られず、電気ポットや炊飯ジャー等の各種電気製品の操作パネルや、その他の樹脂成形品等、貫通部が必要であり、目盛や表示等の文字を記載する必要があるものであれば適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の樹脂成形品の製造方法では、印刷シートを第1金型に接した状態に位置決めして溶融樹脂を充填するようにしているため、第1金型と印刷シートとの間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。具体的には、印刷シートの縁に設けた突片を上型と下型との間に挟み込んで位置決めし、または、下型に形成した印刷シートと同一形状の凹部内に前記印刷シートを嵌め込んで位置決めするようにしているため、下型と印刷シートとの間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。また、ゲートは、キャビティ内において、成形品本体の正面側を形成する上層側から溶融樹脂が流動するように形成されているため、キャビティ内に流入した溶融樹脂は、印刷シートを下型側へ押し付けるように流動し、その結果、より確実に下型と印刷シートとの間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。
【0037】
そして、前記製造方法によって製造した樹脂成形品は、印刷シートが成形品本体の背面に位置しているため、使用中に擦れることによって傷が入ることはない。その上、成形品本体を通して印刷シートを見ることになるため、使用者に奥行感を与えることができ、デザイン性に優れたものとすることができる。さらに、印刷シートをインサート成形するため、成形品本体の背面側に、製品に組み付けるための係止爪や引掛部等の突部が存在しても、その真下の位置まで、印刷シートを延ばすことができ、その結果、外観が悪くなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の製造方法によって製造した樹脂成形品である表示パネルを示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は(B)のI−I線断面図である。
【図2】印刷シートの正面図である。
【図3】第1実施形態の成形金型を示し、(A)は図2のII−II線位置での断面図、(B)は(A)のIII−III線断面図である。
【図4】図3(A)の要部拡大断面図である。
【図5】表示パネルを電気ポットに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態の製造方法に適用する印刷シートの正面図である。
【図7】第2実施形態の成形金型を示す断面図である。
【符号の説明】
1…表示パネル、4…突出部、6a…係止爪(突部)、7…引掛部(突部)、8…印刷シート、10…開口、11…突片、11a…貫通孔、12…成形金型、13…キャビティ、14…上型、15…ゲート、15a…流込口、16…下型、17…凹部、18…凸部、19,20…スライドコア。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気ポットの残水量を示す表示パネル、および、電気ポットや炊飯ジャー等の各種電気製品の操作パネル等、目盛や表示等を設けた印刷シートを一体に成形する樹脂成形品の製造方法および樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の樹脂成形品である電気ポットにおける内容器内の残水量を表示する表示パネルとしては、成形したパネル本体の正面側に、覗き窓の部分を開口した印刷シールを貼着したものが提供されている。ここで、本明細書では、パネル本体の一方の面を正面、他方の面を背面と言い、後述する印刷シールおよび印刷シートの一方の面を表面、他方の面を裏面と言う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、印刷シールをパネル本体の正面側に貼着した表示パネルでは、使用中に擦れると印刷シールが剥れるという問題がある。また、印刷シールの表示部分に傷が入り、目盛や表示等が消えてしまうという不都合がある。さらに、印刷面である表面が露出しているため奥行きが感じられず、デザイン性が悪いという不都合がある。
【0004】
そこで、表示パネルのパネル本体に対し、背面側に印刷シールを貼着することが考えられる。この場合、パネル本体の背面側には、製品に取り付けるための爪部を有する突出部が一体に成形されるため、それらの対向する位置まで印刷シールを延ばして貼ることはできない。その結果、印刷シールの開口が大きくなり、外観が悪くなるという問題がある。
【0005】
さらに、これらの問題を解消するためには、前記目盛や表示等を印刷した印刷シートを、パネルの成形金型のキャビティ内に配設し、印刷シートを一体にインサート成形する製造方法が考えられる。
【0006】
しかし、この場合、パネル本体がデザイン上、断面円弧状に湾曲成形されるため、また、印刷シートに前記開口を形成する必要があるため、溶融樹脂を成形金型のキャビティ内に充填する際に、印刷シートの外縁や開口の内縁から型との間に溶融樹脂が流れ込むという問題がある。
【0007】
そこで、本発明では、パネル本体の背面側に貫通部を有する印刷シートをインサート成形できるようにし、印刷部に傷が発生するのを防止するとともに、デザイン性の向上を図ることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の樹脂成形品の製造方法は、一対の成形金型によって貫通部を備えた印刷シートを透明な成形品本体の背面側に一体成形する樹脂成形品の製造方法であって、前記印刷シートの裏面側を第1金型上に接した状態で位置決めし、ゲートから溶融樹脂を成形金型のキャビティ内に充填し、前記印刷シートの貫通部の内縁を通って裏面から突出する突出部を形成するものである。
ここで、前記貫通部とは、シート本体の中央に形成する開口、および、シート本体の縁に形成する切欠等のこと意味する。
【0009】
具体的には、前記突出部に前記印刷シートに沿って延びる突部を設けることが好ましい。
【0010】
また、前記印刷シートの縁に突片を設け、該突片を前記第1金型と第2金型との間に挟み込んで位置決することが好ましい。
この場合、前記突片に貫通孔を設け、前記第1金型に貫通孔内に挿入係止する凸部を設けることが好ましい。
【0011】
さらに、前記第1金型に前記印刷シートと同一形状の凹部を形成し、該凹部内に前記印刷シートを嵌め込んで位置決めしてもよい。
【0012】
前記樹脂成形品の製造方法によれば、印刷シートを第1金型に接した状態に位置決めして溶融樹脂を充填するようにしているため、第1金型と印刷シートとの間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。
【0013】
前記製造方法では、前記ゲートは、前記印刷シートの表面側に位置させることが好ましい。
この場合、前記ゲートは、前記樹脂成形品の端部に位置することが好ましい。
このようにすれば、キャビティ内において、流入した溶融樹脂が印刷シートを第1金型側に押し付ける方向に流動するため、より確実に印刷シートと第1金型との間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。
【0014】
前記ゲートは、前記樹脂成形品を製品に取り付けた状態で隠れる位置であることが好ましい。
また、前記ゲートは、前記キャビティ内への流込口を、第2金型のキャビティ部の面に向けて所定角度で傾斜させ、キャビティ内において、溶融樹脂が上層側から確実に流動するようにすることが好ましい。
【0015】
また、本発明では、前記製造方法によって製造する樹脂成形品として、成形品本体の背面側に、貫通部を有する印刷シートを一体成形するとともに、該印刷シートの貫通部内縁を通して該印刷シートの裏面から突出する突出部を設けたものを提供するものである。
【0016】
この樹脂成形品には、前記突出部に、前記印刷シートに沿って延びる突部を設けることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1(A),(B),(C)および図2は、本発明の製造方法によって製造した樹脂成形品である電気ポットの残水量を示す表示パネル1を示す。この表示パネル1は、断面円弧状に湾曲した透明なパネル本体2の背面に、貫通部として開口10を有する印刷シート8を、成形金型12(図3に示す。)によって一体にインサート成形したものである。この表示パネル1は、印刷シート8の開口10内部が覗き窓3となる。
【0018】
前記パネル本体2は透明樹脂で成形され、その背面側には、印刷シート8の開口10の内縁より四角筒状に突出する枠状の突出部4が設けられている。この突出部4の上部には、一対のスリット5が設けられ、これらの間に上向きに突出する係止爪6aを備えた弾性係止部6が設けられている。また、突出部4の下部には、下向きに突出する引掛部7が設けられている。即ち、前記係止爪6aと引掛部7とは、印刷シート8に沿って延びる突部となる。
ここで、前記透明樹脂とは、正面側から透過して背面側に配設する印刷シート8を視認可能な透明度を有するものを意味する。
【0019】
前記印刷シート8は、表面側に残水量の目盛りや容量等の所定の表示9が印刷されたものである。この印刷シート8の中央には、前記覗き窓3を構成する前記開口10が設けられている。即ち、この印刷シート8は、開口10からなる貫通部を備えている。また、インサート成形前の印刷シート8には、図2に示すように、位置決め手段として貫通孔11aを備えた突片11が設けられている。この突片11は、後述する成形金型12にセットする再の位置決めに使用され、インサート成形した後には切断して除去されるものである。
【0020】
前記表示パネル1を製造するための第1実施形態の成形金型12は、図3(A),(B)に示すように、一対の上型14(第2金型)と下型16(第1金型)とを備え、これらを組み合わせることによって溶融樹脂を充填するキャビティ13を形成するものである。
【0021】
前記上型14は、湾曲したパネル本体2の凸の正面を形成するもので、表示パネル1の上端縁に位置する部分には、図示しない射出装置からキャビティ13内に溶融樹脂を充填するためのゲート15が形成されている。このゲート15は、図4に示すように、キャビティ13内への流込口15aが、該上型14のキャビティ部14aの面に向けて所定角度θ(例えば37度)で傾斜するように形成されている。
【0022】
前記下型16は、パネル本体2の凹の背面と該背面から突出する部分とを形成するもので、一対のスライドコア19,20を備えている。この下型16には、前記印刷シート8と同一形状で、かつ、同一厚さの凹部17が形成されている。この凹部17には、前記印刷シート8における突片11の貫通孔11a内に挿入し、該印刷シート8を位置決めするための凸部18が設けられている。
【0023】
次に、前記成形金型12を用いた表示パネル1の製造について説明する。
まず、前記印刷シート8を下型16の凹部17に嵌め込み、突片11に形成した貫通孔11aに凸部18を挿入係止する。そして、この状態で、固定された上型14に対してスライドコア19,20をセットした下型16を移動させて配置する。これにより、前記印刷シート8は、突片11が上型14と下型16との間に挟み込まれ、裏面側が下型16に接した状態で位置決めされる。
【0024】
ついで、図示しない射出装置から、ゲート15を通してキャビティ13内に溶融樹脂を充填する。そうすると、溶融樹脂は、ゲート15の流込口15aを傾斜するように形成しているため、図4中、一点鎖線で示すように、キャビティ13内において、まず、上層側(正面側)を流動する。そして、溶融樹脂は、上層側から下方(背面側)に向けて広がり、下型16上に位置決めした印刷シート8を、表面からスライドコア19,20を含む下型16側に押し付けるように作用する。その結果、印刷シート8の外縁や開口10の内縁から下型16との間に溶融樹脂が流れ込むのを確実に防止することができる。
【0025】
そして、所定時間経過してキャビティ13内の樹脂が固化すると、下型16を上型14から離脱させるとともに、スライドコア19,20を離脱させ、成形した表示パネル1を下型16から取り出す。この状態では、パネル本体2からは前記印刷シート8の突片11が突出しているとともに、ゲート部分に対応した樹脂片が突出している。そのため、これらの突出部分を切断する等して除去する。
【0026】
前記方法によって製造した表示パネル1は、図5に示す電気ポットPのケーシングCにおいて、取付凹部に形成した開口部に下端の引掛部7を引っ掛けた状態で、上部を回動させることにより、弾性係止部6の係止爪6aをケーシングCの開口部の内縁に係止させて取り付ける。
【0027】
こうして取り付けた表示パネル1は、印刷シート8がパネル本体2の背面側に位置しているため、電気ポットPに組み付けた状態で、使用中に擦れることによって傷が入り、目盛が消えることはない。また、この組付状態では、前記切断したゲート15や突片11の部分は、電気ポットPのケーシングCに形成した取付凹部の縁に隠れるため、外観が悪くなることはない。
【0028】
その上、表示パネル1は、透明樹脂からなるパネル本体2を通して印刷シート8の表示9を見ることになるため、使用者に奥行感を与えることができ、デザイン性に優れたものとすることができる。さらに、印刷シート8をインサート成形するようにしているため、図1(C)に示すように、パネル本体2の背面側に係止爪6aや引掛部7等の突部が存在しても、それらと対向する位置まで印刷シート8を延ばすことができ、その結果、外観が悪くなるのを防止できる。
【0029】
なお、この第1実施形態では、凹部17だけで印刷シート8を位置決めするようにしてもよい。
【0030】
図6および図7は、第2実施形態の製造方法に適用する印刷シート8および成形金型12を示す。この第2実施形態では、図6に示すように、印刷シート8の全周から突片11’を突設し、この突片11’の所定位置に貫通孔11aを設け、下型16に印刷シート8を嵌め込む凹部17を不要とした点で第1実施形態と相違している。
【0031】
この第2実施形態では、印刷シート8を成形金型12に位置決めしてセットすると、上型14(キャビティ部14aの縁)が印刷シート8の突片11’を介して下型6に圧接する。これにより閉塞されたキャビティ13が形成される。
【0032】
そして、第1実施形態と同様に、溶融樹脂をゲート15から充填すると、前記第1実施形態と同様に、キャビティ13内において、表面側から印刷シート8を下型側に押し付けながら溶融樹脂が流動することにより、背面側に印刷シート8を一体にインサート成形した表示パネル1を成形することができる。
【0033】
キャビティ13内で樹脂が固化すると、成形金型12から表示パネル1を取り出し、パネル本体2から突出する印刷シート8の突片11’およびゲート部分の樹脂片を切断して除去する。
【0034】
なお、本発明の樹脂成形品の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、前記各実施形態では、表示パネル1の上端部の縁に位置する部分にゲート15を形成したが、印刷シート8の表面側に位置させれば、前記各実施形態と同様に、印刷シート8を下型16に押し付ける作用を得ることができる。そして、ゲート15の跡が電気ポットPへの組付状態で外部に露出する可能性がある場合には、電気ポットPのケーシングCの取付構造を、前記図9に示す取付枠部Tを形成した構成とし、ゲート跡を覆い隠すことができるようにすればよい。
【0035】
また、前記各実施形態の製造方法によって成形する樹脂成形品は、電気ポットの残水量を示す表示パネル1に限られず、電気ポットや炊飯ジャー等の各種電気製品の操作パネルや、その他の樹脂成形品等、貫通部が必要であり、目盛や表示等の文字を記載する必要があるものであれば適用可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の樹脂成形品の製造方法では、印刷シートを第1金型に接した状態に位置決めして溶融樹脂を充填するようにしているため、第1金型と印刷シートとの間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。具体的には、印刷シートの縁に設けた突片を上型と下型との間に挟み込んで位置決めし、または、下型に形成した印刷シートと同一形状の凹部内に前記印刷シートを嵌め込んで位置決めするようにしているため、下型と印刷シートとの間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。また、ゲートは、キャビティ内において、成形品本体の正面側を形成する上層側から溶融樹脂が流動するように形成されているため、キャビティ内に流入した溶融樹脂は、印刷シートを下型側へ押し付けるように流動し、その結果、より確実に下型と印刷シートとの間に溶融樹脂が流れ込むのを防止することができる。
【0037】
そして、前記製造方法によって製造した樹脂成形品は、印刷シートが成形品本体の背面に位置しているため、使用中に擦れることによって傷が入ることはない。その上、成形品本体を通して印刷シートを見ることになるため、使用者に奥行感を与えることができ、デザイン性に優れたものとすることができる。さらに、印刷シートをインサート成形するため、成形品本体の背面側に、製品に組み付けるための係止爪や引掛部等の突部が存在しても、その真下の位置まで、印刷シートを延ばすことができ、その結果、外観が悪くなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の製造方法によって製造した樹脂成形品である表示パネルを示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は(B)のI−I線断面図である。
【図2】印刷シートの正面図である。
【図3】第1実施形態の成形金型を示し、(A)は図2のII−II線位置での断面図、(B)は(A)のIII−III線断面図である。
【図4】図3(A)の要部拡大断面図である。
【図5】表示パネルを電気ポットに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態の製造方法に適用する印刷シートの正面図である。
【図7】第2実施形態の成形金型を示す断面図である。
【符号の説明】
1…表示パネル、4…突出部、6a…係止爪(突部)、7…引掛部(突部)、8…印刷シート、10…開口、11…突片、11a…貫通孔、12…成形金型、13…キャビティ、14…上型、15…ゲート、15a…流込口、16…下型、17…凹部、18…凸部、19,20…スライドコア。
Claims (11)
- 一対の成形金型によって貫通部を備えた印刷シートを透明な成形品本体の背面側に一体成形する樹脂成形品の製造方法であって、
前記印刷シートの裏面側を第1金型上に接した状態で位置決めし、ゲートから溶融樹脂を成形金型のキャビティ内に充填し、
前記印刷シートの貫通部の内縁を通って裏面から突出する突出部を形成することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。 - 前記突出部に前記印刷シートに沿って延びる突部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記印刷シートの縁に突片を設け、該突片を前記第1金型と第2金型との間に挟み込んで位置決めすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記突片に貫通孔を設け、前記第1金型に貫通孔内に挿入係止する凸部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記第1金型に前記印刷シートと同一形状の凹部を形成し、該凹部内に前記印刷シートを嵌め込んで位置決めすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記ゲートは、前記印刷シートの表面側に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記ゲートは、前記樹脂成形品の端部に位置することを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記ゲートは、前記樹脂成形品を製品に取り付けた状態で隠れる位置であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 前記ゲートは、前記キャビティ内への流込口を、第2金型のキャビティ部の面に向けて所定角度で傾斜させたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 成形品本体の背面側に、貫通部を有する印刷シートを一体成形するとともに、該印刷シートの貫通部内縁を通して該印刷シートの裏面から突出する突出部を設けたことを特徴とする樹脂成形品。
- 前記突出部に、前記印刷シートに沿って延びる突部を設けたことを特徴とする請求項10に記載の樹脂成形品。
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