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JP3544878B2 - 透明導電性薄膜積層体 - Google Patents
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JP3544878B2 - 透明導電性薄膜積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性に優れた透明導電性薄膜積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明導電性薄膜は、透明であるにもかかわらず導電性を有する薄膜であり、その代表例は、インジウムとスズとの酸化物(ITO)からなる薄膜である。その用途は幅広い。主な用途は、表示パネルの透明電極用や電磁波遮断用である。
表示パネルの透明電極用途としては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等に現在、広く用いられている。
【0003】
最近、表示パネルの大型化及び小型携帯化ニーズが非常に高まっている。これを実現するためには、表示素子の低消費電力化が必要である。この目的のためには、可視光線透過率を維持しつつ、抵抗値が低い透明導電性薄膜の開発が有効である。特に最近開発されつつある、有機エレクトロルミネッセンス素子に関しては、自発光タイプであり、小型携帯端末向けに主に開発されたいるため、透明導電性薄膜の低抵抗化への期待は大きい。また、現在、市場に広まりつつあるプラズマディスプレイパネル(PDP)や次世代のディスプレイとして開発されつつあるフィールドエミッションディスプレイ(FED)に関しても、それらが高消費電力な構造であるため、低抵抗透明導電性薄膜開発に対する期待は大きい。
【0004】
電磁波遮断は、重要な課題である。電磁波は、計器に障害を及ぼすことが知られており、最近では、電磁波が人体にも障害を及ぼす可能性もあるとの報告もされている。このため、電磁波放出に関しては、法的に規制される方向になっている。例えば、現在日本では、VCCI(Voluntary ControlCouncil for Interference by data processing equipment electronic officemachine)による規制があり、米国では、FCC(Federal Communication Commission)による製品規制がある。
【0005】
電磁波遮断用途としては、テレビやコンピューター用CRTモニター向けの電磁波遮断フィルターとして広く用いられている。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、その発光原理上強度の電磁波を表示部分から外部に放出する。強度の電磁波を遮断するためには、低抵抗であり透明な電磁波遮断フィルターが必要である。
【0006】
低抵抗透明導電性薄膜の開発にあたっては、金属薄膜層、特に純物質中で最も比抵抗が小さい銀を用いた金属薄膜層の利用が有効である。さらに透過率上昇及び金属薄膜層の安定性向上の目的で、金属薄膜層を透明高屈折率薄膜層で挟み込み透明導電性薄膜積層体を形成することが非常に効果的である。この透明導電性薄膜積層体は、各薄膜層の材料や膜厚を選ぶことによって、用途に応じて最適な光学特性及び電気特性を持つように設計することができる。
【0007】
金属薄膜層材料としてその比抵抗の低さ故に好適に用いられる銀は、反面原子の凝集を生じやすいという面を持つ。銀薄膜中の銀原子が凝集すると銀白色の点を生じ、本来持つ高透明性や、低抵抗性を失ってしまう。銀薄膜中の銀原子の凝集は、塩化物イオンの存在下において発生し易い。
大気中に塩化物イオンは、少量存在する。人体からや海水からの塩化ナトリウムの放出等が主な原因として挙げられる。
【0008】
透明導電性薄膜積層体において、銀薄膜層に塩化物イオンが到達するのを防止するためにITO等の透明高屈折率薄膜層で保護されているが、光学設計上、高透過性を維持するためには、厚さを数nmにせざる得ず、防止能が不十分である場合が多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の透明導電性薄膜積層体は、塩化物イオンの影響を受けて銀薄膜層において銀原子の凝集を生じた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、透明導電性薄膜積層体最表面の透明高屈折率薄膜層上またはその透明高屈折率薄膜層と金属薄膜層との間に、金属付着位置を形成することにより、銀または銀を含む合金薄膜層の銀原子凝集を防止することができることを見いだし、本発明に至った。
【0011】
すなわち本発明は、
(1)透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に、透明高屈折率薄膜層(a)と、銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層(b)とおよび、元素周期表の4族から12族のうち、銀以外の、少なくとも一つの金属が含まれている金属層(c)とが、A/b/a/c、A/a/b/a/c、A/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/c、A/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/c、A/b/a/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/b/a/b/a/cのいずれかに構成されていることを特徴とする透明導電性薄膜積層体、
(2)金属層(c)に、元素周期表の4族から7族の金属または銅、パラジウム、プラチナ、金から選ばれた少なくとも一つの金属が含まれている、(1)に記載の透明導電性薄膜積層体、
(3)金属層(c)に、元素周期表の4族から7族の金属が含まれている、(1)または(2)に記載の透明導電性薄膜積層体、
(4)金属層(c)における主たる金属の元素組成が、3.0%(原子数割合)以上、99.9%(原子数割合)以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の透明導電性薄膜積層体、
(5)透明高屈折率薄膜層(a)が、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛の中の少なくともいずれか一つからなる、(1)から(4)のいずれかに記載の透明導電性薄膜積層体に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における透明導電性薄膜積層体は、透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に、透明高屈折率透明薄膜層(a)と、銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層(b)とおよび、金属層(c)とを、A/b/a/c、A/b/c/a、A/a/b/a/c、A/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/c、A/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/c、A/b/a/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/b/a/cのいずれかの構成で積層されていることを特徴とするものであり、塩化物イオンにより銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層(b)が、銀原子の凝集を生じることがない。
【0013】
本発明を添付図面でもって説明する。図1〜4は、本発明における透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図である。図1においては、透明基体(A)10上に透明高屈折率透明薄膜層(a)20、金属薄膜層(b)30、金属付着位置(c)40を積層構造A/a/b/a/cとした透明導電性薄膜積層体が挙げられている。また、その他の構造は、A/a/b/a/b/a/c(図2)、A/a/b/a/b/a/b/a/c(図3)、A/a/b/a/b/a/b/a/b/a/c(図4)等である。
【0014】
本発明に用いられる透明基体としては、主にフィルム状態及び板の状態のものが使用され、透明性に優れ、用途に応じた十分な機械的強度を持つものであることが好ましい。ここで、透明性に優れるとは、使用される状態での厚さにおいて、視感透過率が、40%以上であることを指す。また、透明基体の主面と反対面には、反射防止層や防幻層が形成されていても構わない。
【0015】
透明基体用フィルムとしては、高分子フィルムが好適に用いられる。具体的に例示すると、ポリイミド、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。中でもポリエチレンテレフタレート(PET)及びトリアセチルセルロース(TAC)は特に好適に用いられる。
透明基体用フィルムの厚さに特に制限はない。通常は、20〜500μm程度である。
【0016】
板状の透明基体としては、高分子成形体及びガラス等が挙げられる。透明高分子成形体は、ガラスに比較して、軽い、割れにくい等の理由でより好適に用いられる。好ましい材料を例示すれば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を始めとするアクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等が挙げられるが、これらの樹脂に特定されるわけではない。中でもPMMAは、その広い波長領域での高透明性と機械的強度の高さから好適に使用することができる。
また、透明高分子成形体には、表面の硬度または密着性を増す等の理由でハードコート層が設けられることが多い。
【0017】
ガラスは、熱及び湿気による形状変化が少ないため、微妙な精度を必要とする光学用途に対して好適に用いられる。機械的強度を持たせるために、化学強化加工または風冷強化加工を行い、半強化ガラスまたは強化ガラスにして通常もちいられる。
板状透明基体の厚さに特に制限はなく、十分な機械的強度と、たわまずに平面性を維持する剛性が得られれば良い。通常は、0.5〜10mm程度である。
【0018】
本発明における透明導電性薄膜層は、透明高屈折率薄膜層と金属薄膜層とを十分な透過率及び表面抵抗値が得られる膜厚組み合わせで透明基体上に積層して得られる。透明導電性薄膜層の好ましい透過率は、40%以上、99%以下、より好ましくは、50%以上、99%以下、さらに好ましくは、60%以上、99%以下である。また、好ましい表面抵抗値は、0.2(Ω/□)以上、100(Ω/□)以下、好ましくは、0.2(Ω/□)以上、10(Ω/□)以下、さらに好ましくは、0.2(Ω/□)以上、3(Ω/□)以下、さらにより好ましくは、0.2(Ω/□)以上、0.5(Ω/□)以下である。
【0019】
透明高屈折率薄膜層(a)に用いられる材料としては、できるだけ透明性に優れたものであることが好ましい。ここで透明性に優れるとは、膜厚100nm程度の薄膜を形成したときに、その薄膜の視感透過率が60%以上であることを指す。また、高屈折率材料とは、550nmの光に対する屈折率が、1.4以上の材料である。これらには、用途に応じて不純物を混入させても良い。
【0020】
透明高屈折率薄膜層用に好適に用いることができる材料例示すると、インジウムとスズとの酸化物(ITO)、カドミウムとスズとの酸化物(CTO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化トリウム(ThO)、酸化スズ(SnO)、酸化ランタン(LaO)、酸化シリコン(SiO)、酸化インジウム(In)、酸化ニオブ(Nb)、酸化アンチモン(Sb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セシウム(CeO)、酸化チタン(TiO)、酸化ビスマス(BiO)等である。
また、透明高屈折率硫化物を用いても良い。具体的に例示すると、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化アンチモン(Sb)等があげられる。
【0021】
透明高屈折率薄膜材料としては、中でも、ITO、TiO、ZnOが特に好ましい。ITO及びZnOは、導電性を持つ上に、可視領域における屈折率が、2.0程度と高く、さらに可視領域にほとんど吸収を持たない。TiOは、絶縁物であり、可視領域にわずかな吸収を持つが、可視光に対する屈折率が2.3程度と大きい。
透明高屈折率薄膜層の厚さに関しては、透明導電性薄膜層全体の透過性及び電気伝導性を考慮して決定される。通常は、0.5〜100nm程度である。
【0022】
本発明において用いられる、金属薄膜層(b)の材料としては、できるだけ電気伝導性の良い材料が好ましく、銀または銀の合金が用いられる。銀は、比抵抗が、1.59×10−6(Ω・cm)であり、あらゆる材料の中で最も電気伝導性に優れる上に、薄膜の可視光線透過率が優れるため、最も好適に用いられる。但し、銀は、薄膜とした時に安定性を欠き、硫化や塩素化を受け易いという問題を持っている。この為、安定性を増すために、銀の替わりに銀と金の合金または、銀と銅の合金または銀とパラジウムの合金または銀と白金の合金等を用いてもよい。但し、合金を用いた場合は、透過性及び電気伝導性の低下を招くので、低抵抗かつ光透過性を必要とする用途に用いるには好ましくない。
金属薄膜層の厚さに関しては、透明導電性薄膜層全体の透過性及び電気伝導性を考慮して決定される。通常は、0.5〜100nm程度である。
【0023】
本発明における金属層(c)の材料としては、薄膜状態において、塩化物イオンに対する耐食性に優れ、かつできるだけ透明なものが好ましい。
ここで塩化物イオンに対する耐食性に優れるとは、後述する塩化ナトリウム水溶液浸漬試験において、表面抵抗値低下率が30%以下であることである。
また、ここで透明性に優れるとは、金属付着位置を形成することによる透明導電性薄膜層の視感透過率の低下率が30%以下であることである。
【0024】
金属付着位置に用いられる材料を例示すると、周期表の4族から12族の銀以外の金属である。
ここで4族〜6族の元素、中でもチタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、モリブテン、タングステンは、特に好適に用いられる。
【0025】
金属層(c)の厚さに関しては、塩化物イオンに対する耐食性及び透明導電性薄膜層全体の透過性を用途に応じて考慮して決定される。金属層(c)を厚くすれば塩化物イオンに対する耐食性は、増すが、透過性が低下する。透過性低下割合に関しては、視感透過率低下率が、40%以下であることが好ましい。このため、金族層(c)の厚さは、材料により異なるが、通常は、0.2〜20nm程度である。
ここで厚さ2nm程度以下の場合は、数原子層の厚みにしか相当せず、緻密な薄膜が形成されておらず、島状に原子が付着していると考えられる。この場合は、金属層(c)の元素組成によって、定量的に扱えばよい。
【0026】
本発明においては、最表面に金属層(c)を設けている場合は、最表面における主金属の元素組成が、3〜99%(原子割合)であれば良い。
また、金属薄膜は、大気中では、最表面は酸化されやすく、通常は、最表面には、その金属層(c)の酸化物薄膜が自動的に形成されている場合がほとんどである。この場合は、金属層(c)が、より安定な状態になっており、塩化物イオンに対する耐食性が増すのでより効果的である。また、通常、金属酸化物は、酸化されていない状態に比較して透過性に優れるので、透過性の面でもより効果的である。もちろんこの金属付着位置を形成する時に、酸素ガス導入を行ったり、酸化物部材を使用したりして、意図的に酸化物金属層(c)を形成しても構わない。
【0027】
透明高屈折率薄膜層、金属薄膜層及び金属層(c)の形成には、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の従来公知の手法によればよい。透明高屈折率薄膜層の形成には、イオンプレーディング法または反応性スパッタリング法が好適に用いられる。イオンプレーティング法では、反応ガスプラズマ中で所望の金属または焼結体を抵抗加熱したり、電子ビームにより加熱したりすることにより真空蒸着を行う。反応性スパッタリング法では、ターゲットに所望の金属または焼結体を使用し、スパッタリングガスにアルゴン、ネオン等の不活性ガスを用い、反応に必要なガスを加えて、スパッタリングを行う。例えば、ITO薄膜を形成する場合には、スパッタリングターゲットにインジウムとスズとの酸化物を用いて、酸素ガス中で直流マグネトロンスパッタリングを行う。
【0028】
金属薄膜層及び金属層(c)の形成には、真空蒸着法またはスパッタリング法が、好適に用いられる。真空蒸着法では、所望の金属を蒸着源として使用し、抵抗加熱、電子ビーム加熱等により、加熱蒸着させることで、簡便に金属薄膜を形成することができる。また、スパッタリング法を用いる場合は、ターゲットに所望の金属材料を用いて、スパッタリングガスにアルゴン、ネオン等の不活性ガスを使用し、直流スパッタリング法や高周波スパッタリング法を用いて金属薄膜を形成することができる。成膜速度を上昇させるために、直流マグネトロンスパッタリング法や高周波マグネトロンスパッタリング法が用いられることも多い。
【0029】
上記の方法により作製した、透明導電性薄膜積層体の薄膜層表面の原子組成は、オージェ電子分光法(AES)、蛍光X線法(XRF)、X線マイクロアナライシス法(XMA)、荷電粒子励起X線分析法(RBS)、X線光電子分光法(XPS)、真空紫外光電子分光法(UPS)、赤外吸収分光法(IR)、ラマン分光法、2次イオン質量分析法(SIMS)、低エネルギーイオン散乱分光法(ISS)等により測定できる。また、膜中の原子組成及び膜厚は、オージェ電子分光法(AES)や2次イオン質量分析(SIMS)を深さ方向に実施することによって調べることができる。
【0030】
透明導電性薄膜積層体の構成及び各層の状態は、断面の光学顕微鏡測定、走査型電子顕微鏡(SEM)測定、透過型電子顕微鏡測定(TEM)を用いて調べることができる。
また、透明導電性薄膜積層体の塩化物イオンに対する耐食性は、塩化ナトリウム水溶液浸漬試験によって調べることができる。ここで塩化ナトリウム水溶液浸漬試験とは、塩化ナトリウム水溶液に透明導電性薄膜を浸し、塩化物イオンによる透明導電性薄膜の銀または銀合金薄膜層の銀凝集状態を調べる試験である。塩化ナトリウム水溶液に対する透明導電性薄膜の浸し方に特に制限はない。通常は、塩化ナトリウム水溶液を入れた容器内に、透明基体ごと沈めることが行われる。
【0031】
試験に用いられる塩化ナトリウム水溶液の濃度は、透明導電性薄膜積層体の用途に応じて適当な値を選択すればよい。透明導電性薄膜は、大気に長時間さらしておくと薄膜が凝集または化学変化を生じ、劣化する場合が多いので、通常は、大気を遮断した状態で用いられる。そのため、製造段階において、透明導電性薄膜が大気に対してむき出しになる短時間の間に透明導電性薄膜に到達する塩化物イオンの量に匹敵する状態を再現することができる濃度の塩化ナトリウム水溶液を用いて試験を実施すれば、実用に耐え得る能力をもっているかどうか判別することができる。通常は、濃度が0.003mol/l水溶液に17時間程度浸すことによって、判別することができる。
【0032】
塩化ナトリウム水溶液浸漬試験による塩化物イオンに対する耐食性の定量的判断は、透明導電性薄膜の表面抵抗値上昇率を調べることによって行うことができる。表面抵抗値上昇率とは、試験前の表面抵抗値に対する試験後の表面抵抗値上昇割合である。表面抵抗値は、通常四端子法を用いて測定される。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
透明基体(A)としてポリエチレンテレフタレートフィルム[厚さ75μm]を使用し、その一方の主面に、直流マグネトロンスパッタリング法を用いて、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層(a)、銀薄膜層(b)、チタン層をA/a[厚さ40nm]/b[厚さ15nm]/a[厚さ80nm]/b[厚さ20nm]/a[厚さ80nm]/b[厚さ15nm]/a[厚さ40nm]/b[厚さ15nm]/a[厚さ40nm]/c[厚さ1nm]なる順に積層し、透明導電性薄膜積層体フィルムを形成した。インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層は透明高屈折率薄膜層を、銀薄膜層は金属薄膜層を、チタン層は金属層(c)を構成する。インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の形成には、ターゲットとして、酸化インジウム・酸化スズ焼結体[In:SnO=90:10(重量比)]、スパッタリングガスとしてアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa、酸素分圧5mPa)を用いた。また、銀薄膜層の形成には、ターゲットとして銀を用い、スパッタガスにはアルゴンガス(全圧266mPa)を用いた。チタン層の形成には、ターゲットとしてチタンを用い、スパッタガスにアルゴンガス(全圧266mPa)を用いた。
【0034】
上記により、作製した透明導電性薄膜積層体の視感透過率を測定した[日立製作所製分光光度計U−3400を用い、全光線透過率を測定し、視感透過率を求めた。]。
作製した透明導電性薄膜積層体に塩化ナトリウム水溶液浸漬試験を施した。透明導電性薄膜を塩化ナトリウム水溶液[0.003mol/l]に17時間浸した。その後、透明導電性薄膜の表面抵抗値を四端子法により測定した。
(実施例2)
チタン層の替わりに、ジルコニウムを用いてジルコニウム層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
【0035】
(実施例3)
チタン層の替わりに、ハフニウムを用いてハフニウム層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例4)
チタン層の替わりに、バナジウムを用いてバナジウム層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
【0036】
(実施例5)
チタン層の替わりに、ニオブを用いてニオブ層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例6)
チタン層の替わりに、タンタルを用いてタンタル層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
【0037】
(実施例7)
チタン層の替わりに、クロムを用いてクロム層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例8)
チタン層の替わりに、モリブテンを用いてモリブテン層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
【0038】
(実施例9)
チタン層の替わりに、タングステンを用いてタングステン層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例10)
チタン層の替わりに、マンガンを用いてマンガン層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
【0039】
(実施例11)
チタン層の替わりに、パラジウムを用いてパラジウム層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例12)
チタン層の替わりに、プラチナを用いてプラチナ層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
【0040】
(実施例13)
チタン層の替わりに、銅を用いて銅層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
(実施例14)
チタン層の替わりに、金を用いて金層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
【0041】
(実施例15)
チタン層の替わりに、亜鉛を用いて亜鉛層[厚さ1nm]を形成した以外は実施例1と同様に実施した。
(比較例)
チタン層を形成しない点を除いて、実施例1と同様に実施した。作製した透明導電性薄膜積層体の表面抵抗値は、1.1(Ω/□)、視感透過率は、60%であった。
以上の結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
Figure 0003544878
表1から分かるように、全ての実施例で、視感透過率の大幅な低下なしに、透明導電性薄膜積層体の塩化物イオンに対する耐食性が、金属層(c)の形成によって向上していることが分かる。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、銀または銀を含む合金薄膜層を構成層に持つ、透明導電性薄膜積層体の最表面の透明高屈折率透明薄膜層上またはその透明高屈折率透明薄膜層と金属薄膜層の間に金属層(c)を形成することによって、透過性の大幅な低下なしに、透明導電性薄膜積層体の塩化物イオンに対する耐食性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図である。
【図2】透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図である。
【図3】透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図である。
【図4】透明導電性薄膜積層体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 透明基体(A)
20 透明高屈折率薄膜層(a)
30 金属薄膜層(b)
40 金属層(c)

Claims (5)

  1. 透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に、透明高屈折率薄膜層(a)と、銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層(b)とおよび、元素周期表の4族から12族のうち、銀以外の、少なくとも一つの金属が含まれている金属層(c)とが、A/b/a/c、A/a/b/a/c、A/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/c、A/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/c、A/b/a/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/b/a/c、A/a/b/a/b/a/b/a/b/a/b/a/cのいずれかに配置されていることを特徴とする透明導電性薄膜積層体。
  2. 金属層(c)に、元素周期表の4族から7族の金属または銅、パラジウム、プラチナ、金から選ばれた少なくとも一つの金属が含まれている、請求項1に記載の透明導電性薄膜積層体。
  3. 金属層(c)に、元素周期表の4族から7族の金属が含まれている、請求項1または2のいずれかに記載の透明導電性薄膜積層体。
  4. 金属層(c)における主たる金属の元素組成が、3.0%(原子数割合)以上、99.9%(原子数割合)以下である請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性薄膜積層体。
  5. 透明高屈折率薄膜層(a)が、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛の中の少なくともいずれか一つからなる、請求項1から4のいずれかに記載の透明導電性薄膜積層体。
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