JP3545145B2 - 脱臭抗菌シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は脱臭抗菌シートに関し、さらに詳しくは、光反応性半導体の光触媒作用により、悪臭物質や細菌などの有害物質を分解除去可能であるばかりでなく、高度の難燃性および耐久性をも有する脱臭抗菌シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工場などにおける工業的に発生する悪臭や、多量の廃棄物を排出する飲食店やホテルなどのサービス産業における廃棄物に起因した悪臭が問題となっていたが、最近では、自動車内や一般室内などの日常生活空間における悪臭もクローズアップされてきている。従って、これら悪臭などの有害物質の除去に対するニーズが高まっており、悪臭除去装置や悪臭除去フィルターなどを組み込んだ空気清浄機の開発が盛んに行なわれている。
【0003】
一般の空気清浄機には、活性炭を含有するフィルターが使用されており、活性炭に悪臭などの有害物質を吸着させる方法がとられている。しかしながら、活性炭は大部分の有害物質に対して吸着作用しか示さず、一定量の有害物質を吸着するとフィルターの交換を要する、あるいは、周囲の温度上昇や有害物質の濃度上昇などにより、一度吸着した有害物質が離脱し易いという問題点があった。
【0004】
近年、このような問題を解決するために、有害物質を分解し得る触媒を用いた材料、あるいは該触媒と活性炭のような吸着剤とを組み合わせた材料が開発されてきている。例えば、特開平1−234729号公報では、ハニカム状活性炭表面に光触媒能を有する酸化チタンの層を形成してなる脱臭剤を組み込んだ空気調和機が開示されている。該空気調和機には紫外線ランプが装着されており、該脱臭剤に紫外線を照射することによって、酸化チタンの光触媒作用で活性炭に吸着した有害物質を分解除去する。
【0005】
その他にも、特開平2−253848号公報では、無機質繊維状担体にアナターゼ型酸化チタン、活性炭、並びにマンガン、鉄、銅、コバルト、ニッケルなどのオゾン分解能を有する成分を担持したオゾン分解触媒、特開平3−233100号公報では、酸化チタン、活性炭、鉄系金属化合物の混合物と、これに300nm以上の波長の光を照射する光源とからなる自動車道トンネル用換気設備、特開平4−256755号公報では、酸化チタンなどの光反応性半導体を担持させた粒状パルプからなる光反応性有害物質除去材といった具合に実に様々な有害物質を分解除去可能な材料が開示されている。
【0006】
このように有害物質を分解し得る触媒を用いた材料や、該触媒と活性炭のような吸着剤とを複合化した材料を用いることによって、吸着剤を単独で使用した場合に比べて、より効果的な脱臭が可能となる。しかしながら、これらの従来技術においては、有害物質の除去にのみ重点が置かれており、酸化チタンに代表される光反応性半導体を用いた場合、紫外線源などの光源が近傍に設置されることが多いにもかかわらず、材料自体の難燃性および耐光性には、特別な注意がはらわれていない状況にあった。
【0007】
本発明者らは、かかる問題を解決するべく、難燃性および耐光性を有する材料として、特願平7−65529号において、ポリ塩化ビニル系繊維、ガラス繊維に代表される無機繊維を必須成分として含有する基材中に、光反応性半導体および微細繊維、またはそれらと担体とからなる凝集複合体を内添してなる光反応性有害物質除去材を提案している。しかしながら、該光応性有害物質除去材においては、剛直な無機繊維が用いられているために、断裁などを伴う2次加工時に無機繊維の微細粉塵が発生する、手や体に触れた場合に特有のチクチク感があるなどの解決すべき課題が残されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光反応性半導体の光触媒作用により悪臭物質や細菌などの有害物質を分解除去可能で、かつ高度の難燃性および耐久性を有し、さらには上記の従来技術の課題をも解決した脱臭抗菌シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、脱臭抗菌シートを発明するに至った。
【0010】
即ち、繊維基材がポリ塩化ビニル系繊維60〜80重量%、天然繊維およびバインダー繊維20〜40重量%よりなり、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体を内添してなることを特徴とする脱臭抗菌シート。
【0011】
繊維基材がポリ塩化ビニル系繊維60〜80重量%、天然繊維およびバインダー繊維20〜40重量%よりなり、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体が内添され、さらに皮膜形成性無機物を全体重量の1〜15重量%の割合で含有することを特徴とする耐久性脱臭抗菌シート。
【0012】
繊維基材がポリ塩化ビニル系繊維60〜80重量%、天然繊維およびバインダー繊維20〜40重量%よりなり、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体が内添され、さらに水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムのいずれか1種以上と皮膜形成性無機物よりなる無機混合物を全体重量の10〜15重量%の割合で含有し、該無機混合物における水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムのいずれか1種以上の占める割合が50〜80重量%であることを特徴とする難燃性脱臭抗菌シート。
【0013】
本発明の脱臭抗菌シートは、湿式抄紙法により製造されたものであることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
【0015】
以下、本発明の脱臭抗菌シートについて、詳細に説明する。
【0016】
まず、繊維基材について、以下に具体的に説明する。
本発明の脱臭抗菌シートを構成する繊維基材は、ポリ塩化ビニル系繊維を主構成繊維として含有する高度の難燃性を有する繊維基材である。繊維基材で使用される繊維の具体的な説明を通じて繊維基材を説明する。
【0017】
本発明で用いられるポリ塩化ビニル系繊維は、必須構成成分として分子内に塩素を有するポリ塩化ビニルを含有してなる高度の難燃性繊維であり、脱臭抗菌シートに難燃性を付与することを目的に使用されるものであって、塩化ビニルの単独重合繊維や、塩化ビニルと他のポリマー、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデンなどとの共重合繊維など従来公知の繊維を広く使用することができる。
【0018】
難燃性を有する繊維としては、ポリ塩化ビニル系繊維の他に、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維などの無機繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などの耐熱性有機繊維を挙げることができる。しかしながら、脱臭抗菌シートに十分な難燃性を付与するためには、無機繊維および耐熱性有機繊維のいずれについても、該繊維を多量に配合せねばならず、例えば無機繊維の場合、無機繊維特有の高度の剛直性のために、靭性に欠ける加工性の低いシートになるばかりでなく、断裁時に無機繊維の粉塵が飛散するなどの取り扱い上の問題がある。一方、耐熱性有機繊維の場合には、このような問題は発生しないものの、先に挙げた耐熱性有機繊維は一般に耐光性に乏しく、例えばアラミド繊維などは光フリース転位により容易に黄変、強度低下してしまう。本発明の脱臭抗菌シートは、光反応性半導体の光触媒作用によって有害物質を分解除去するものであり、太陽光やブラックランプなどの紫外線源の下で使用されるのが一般的であり、耐光性に劣る素材では、耐久性の点で問題がある。
【0019】
ポリ塩化ビニル系繊維の必須構成成分であるポリ塩化ビニルは、繰り返し単位の構造を考慮した場合、約220nmより長波長の光に対して十分な耐性を有するはずであるが、実際にはポリ塩化ビニル中に存在する微量の異種構造や不純物が発色団となって、徐々に光劣化を起こすことが知られており、その詳細は例えば「高分子の光劣化と安定化」(大澤善次郎著 CMC)に記載されている。しかしながら、光安定化技術の進歩により、ポリ塩化ビニルは実用上十分な耐光性を有するに至っており、パイプ、壁装材料、窓材、農業用フィルムなどの耐光性を要求される分野においても広く活用されている。従って、適当な紫外線源の下で使用される本発明の脱臭抗菌シートにおいても、十分な耐久性を有する素材として活用することができる。
【0020】
ポリ塩化ビニル系繊維の配合量は、繊維基材の総重量の60〜80重量%が好ましい。60重量%未満では、脱臭抗菌シートに十分な難燃性を付与することができないので好ましくない。80重量%を超えて多いと、後述の天然繊維およびバインダー繊維の配合量が少なくなり、脱臭抗菌シートの強度が低下、実用に耐え得るものとならないので好ましくない。なお、抄紙性を考慮した場合、該繊維の繊度は0.1〜15デニール、繊維長は1〜20mmであることが好ましい。
【0021】
次に、天然繊維について、以下に具体的に説明する。
【0022】
本発明で用いられる天然繊維は、シート形成のために後述のバインダー繊維と共に使用されるものであって、木材パルプ、麻パルプ、コットンリンターパルプなどに代表される従来公知の植物繊維を広く活用することができる。天然繊維は柔軟性に富み、ポリ塩化ビニル系繊維およびバインダー繊維に良く絡み合って均一なネットワークを形成することによって、湿式抄紙時に必要とされるに十分な湿紙強度を確保できるばかりでなく、その自着能による高いシート形成能によって、バインダー繊維の配合量を減じても実用上十分な強度を脱臭抗菌シートに付与することが可能であり、故に難燃性繊維であるポリ塩化ビニル系繊維を多量に配合することができるので、高度の難燃性を有する脱臭抗菌シートを得ることができる。また、繊維表面が平滑な一般の合成繊維とは異なり、天然繊維は微細なフィブリルを有し、該フィブリルが後述の凝集複合体の脱臭抗菌シート中への定着に有効に作用する。さらには、疎水性のポリ塩化ビニル系繊維の配合量が多い本発明の脱臭抗菌シートにおいては、湿式抄紙時のウェブの保水性が悪く、抄紙ワイヤーやフェルトからのピックアップ不良によって、生産性が低下する恐れが多分にあるが、親水性で保水性に富む天然繊維の使用により、このような問題も解消することが可能である。加えて、ビーターやリファイナーのような通常の叩解機を用いて、その比表面積を任意に調整することも可能であり、湿式抄紙時のウェブの保水性や、脱臭抗菌シートの通気性を容易に制御できる点でも好ましい素材である。
【0023】
次に、バインダー繊維について、以下に具体的に説明する。
本発明におけるバインダー繊維は、上記の天然繊維と共に脱臭抗菌シートを形成するために用いられるものであって、熱溶融性繊維あるいは熱水溶解性繊維が例示される。
【0024】
熱溶融性繊維は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドなどの合成樹脂から選択された繊維状のもので、合成樹脂の融点以上の温度で処理することによって合成樹脂が溶融し、接着および強度を発現するものである。
【0025】
熱水溶解性繊維は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールなどの合成樹脂から選択された繊維状のもので、加熱により含水状態のウェブを乾燥させる工程で水温の上昇によって溶解し、ウェブが乾燥することで接着および強度を発現するものである。
【0026】
天然繊維およびバインダー繊維の配合量は、繊維基材の総重量の20〜40重量%が好ましく、かつ天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にあることが好ましい。該重量比が0.1未満の場合、天然繊維の配合量に不足し、該繊維によるネットワーク形成能、自着能、凝集複合体の捕捉作用、湿式抄紙時のウェブの保水性に劣るものとなるので好ましくない。一方、該重量比が0.6を越えて大きいと、易燃性の天然繊維のネットワークが脱臭抗菌シート中に張り巡らされ、脱臭抗菌シートの難燃性が低下するだけでなく、バインダー繊維の配合量の低下に伴い、脱臭抗菌シートの耐擦性の低下を招き、毛羽が発生し易くなるなどの問題が生ずるので好ましくない。
【0027】
次に、凝集複合体について、以下に具体的に説明する。
本発明の繊維基材中に内添される凝集複合体は、光反応性半導体および微細繊維を凝集・一体化させてなるものである。凝集複合体で使用される素材の具体的な説明を通じて凝集複合体を説明する。
【0028】
まず、光反応性半導体について、以下に具体的に説明する。
本発明で用いられる光反応性半導体とは、0.5〜5eV、好ましくは1〜3eVの禁止帯幅を有する光触媒反応を生ずる半導体であって、光反応性半導体で生成したOHラジカルにより有害物質が分解される。光反応性半導体の形状としては、粒子状のものが好ましく、比表面積が10〜500m2/gの粒子を適宜選択して用いる。
【0029】
このような光反応性半導体としては、特開平2−273514号公報に開示されているものを挙げることが可能であり、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウムなどの金属酸化物が好ましく、これらの中でも、酸化チタンは、構造安定性、光反応性半導体としての能力、取扱い上の安全性などを考慮した場合、特に好ましい材料である。酸化チタンとしては、従来汎用の酸化チタンの他、含水酸化チタン、オルソチタン酸などを使用することが可能であり、その結晶形については特に制限はない。
【0030】
光反応性半導体の配合量は、脱臭抗菌シートの総重量の1〜30重量%であることが好ましい。1重量%未満では、光触媒能に不足し、有害物質の分解除去能が低下するので好ましくない。一方、30重量%を超えて多いと、有害物質の分解除去能は向上するが、光反応性半導体を脱臭抗菌シート中に強固に保持することが困難になり、粉落ちなどによる生産性や加工性の低下、あるいは脱落した光反応性半導体が脱臭抗菌シートの他の場所に飛散し、繊維基材の劣化を招くので好ましくない。
【0031】
次に、微細繊維について、以下に説明する。
本発明で用いられる微細繊維としては、例えば、以下に示す方法で加工されたものが挙げられる。
(1)合成高分子溶液を該高分子の貧溶媒中にせん断力をかけながら流下させ、繊維状フィブリルを沈澱させる方法(フィブリッド法、特公昭35−11851号公報)。
(2)合成モノマーを重合させながらせん断力をかけ、フィブリルを析出させる方法(重合せん断法、特公昭47−21898号公報)。
(3)2種以上の非相溶性高分子を混合し、溶融押し出し、または紡糸し、切断後、機械的な手段で繊維状にフィブリル化する方法(スプリット法、特公昭35−9651号公報)。
(4)2種以上の非相溶性高分子を混合し、溶融押し出し、または紡糸し、切断後、溶剤に浸漬して一方の高分子を溶解し、繊維状にフィブリル化する方法(ポリマーブレンド溶解法、米国特許3、382、305号)。
(5)合成高分子をその溶媒の沸点以上で、かつ高圧側から低圧側へ爆発的に噴出させた後、繊維状にフィブリル化する方法(フラッシュ紡糸法、特公昭36−16460号公報)。
(6)ポリエステル系高分子に該ポリエステルに非相溶のアルカリ可溶成分をブレンドし、成形後、アルカリにより減量後叩解し、繊維状にフィブリル化する方法(アルカリ減量叩解法、特公昭56−315号公報)。
(7)セルロース繊維、ケブラー繊維などの高結晶性、高配向性繊維を適当な繊維長に切断後、水中に分散させ、ホモジナイザー、叩解機などを用いてフィブリル化する方法(特開昭56−100801号公報)。
【0032】
本発明で用いられる微細繊維は、特殊な方法を用いてフィブリル化した繊維であり、該繊維を構成するフィブリルの平均直径は1μm以下と極めて小さいものである。従って、該繊維の比表面積は極めて大きく、その表面に光反応性半導体を多数保持することが可能であり、かつ該繊維同士が絡み合うために、該繊維を含有してなる凝集複合体の機械的強度は大きい。
【0033】
微細繊維の配合量は、光反応性半導体の総量100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部である。5重量部未満では、光反応性半導体の保持能力に不足し、微細繊維の使用による上述の効果を十分に発現することができないので好ましくない。一方、50重量部を超えて多いと、凝集複合体が緻密になり、有害物質との接触効率が低下し、有害物質除去能が低下するので好ましくない。
【0034】
次に、本発明の耐久性脱臭抗菌シートに用いられる皮膜形成性無機物について、以下に具体的に説明する。
【0035】
本発明で用いられる皮膜形成性無機物としては、サポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイトなどのスメクタイト群、バーミキュライト群、カオリナイト、ハロサイトなどのカオリナイト−蛇紋石群、セピオライトなどの天然粘土鉱物の他、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナおよびこれらの変性物、合成無機高分子化合物などが例示され、該皮膜形成無機物を各々単独で使用しても構わないし、複数組み合わせて使用しても構わない。
【0036】
脱臭抗菌シートに皮膜形成性無機物を含有せしめることによって、光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体と皮膜形成性無機物とが複合化、凝集複合体の機械的強度が向上するばかりでなく、凝集複合体を形作る微細繊維や高分子凝集剤などの有機物が劣化した場合においてさえも、凝集複合体の機械的強度を保持することが可能となる。さらには、脱臭抗菌シートの表面〜内部にかけて、該皮膜形成性無機物が通気性の皮膜を形成することで、有害物質除去能をさして低下させることなく、脱臭抗菌シートからの粉体脱落の一層の抑制、並びに高度の耐擦性を付与することができる。もちろん、皮膜形成性無機物は不燃性であり、脱臭抗菌シートの難燃性は何ら低下せしめない。
【0037】
皮膜形成性無機物の含有量は、脱臭抗菌シートの総重量の1〜15重量%であることが好ましい。1重量%未満の場合、皮膜形成性無機物の含有量に不足し、上記の効果を十分に発現することができないので好ましくない。一方、15重量%を越えて多いと、皮膜形成性無機物の形成する皮膜が通気性に優れるとはいえども、光反応性半導体と臭気物質などの有害物質との接触が阻害され、有害物質除去能が低下するので好ましくない。
【0038】
次に、本発明の難燃性脱臭抗菌シートに用いられる無機混合物について、以下に具体的に説明する。本発明の無機混合物は、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムのいずれか1種以上と皮膜形成性無機物との混合物である。無機混合物で使用される素材の具体的な説明を通じて無機混合物を説明する。
【0039】
まず、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムについて、以下に具体的に説明する。
本発明で用いられる水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムは、高温時の脱水反応によって潜熱を奪い、周囲の温度を低下せしめることで難燃性の効果を発現する無機難燃剤として作用する。難燃剤としては、含ハロゲンの有機難燃剤が使用されることが多いが、燃焼時にハロゲン化水素の他、熱分解生成物として有害ガスを発生する恐れがあり、昨今の環境意識の高まりから、その使用が見直されつつある。水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムに代表される無機難燃剤は、燃焼時の有害ガスの発生が皆無であるばかりでなく、発煙抑制効果があるとの報告もあり、環境に優しい難燃剤として注目されている。
【0040】
次に、皮膜形成性無機物について、以下に具体的に説明する。
皮膜形成性無機物は、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを脱臭抗菌シートに担持させるためのバインダーとして用いられるものであって、先に記載の皮膜形成性無機物を使用することができる。
【0041】
無機混合物において、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムのいずれか1種以上の配合量は50〜80重量%、皮膜形成性無機物の配合量は20〜50重量%であることが好ましい。皮膜形成性無機物の配合量が20重量%未満の場合、皮膜形成能に不足し、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを脱臭抗菌シートに十分に担持することができないので好ましくない。一方、皮膜形成性無機物の配合量が50重量%を越えると、皮膜形成能は高いが、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムの配合量に不足し、脱臭抗菌シートの難燃性を向上せしめる効果に乏しくなるので好ましくない。
【0042】
無機混合物の含有量は、脱臭抗菌シートの総重量の10〜15重量%であることが好ましい。10重量%未満の場合、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムの含有量に不足し、難燃性向上効果を十分に発現することができないので好ましくない。一方、15重量%を越えて多いと、無機混合物の形成する皮膜が通気性に優れるとはいえども、光反応性半導体と臭気物質などの有害物質との接触が阻害され、有害物質除去能が低下するので好ましくない。
【0043】
次に、本発明の脱臭抗菌シートの製造方法について、以下に具体的に説明する。
【0044】
本発明の脱臭抗菌シートは、湿式抄紙法によって製造されたものであることを特徴とする。湿式抄紙法においては、構成繊維が均一に分散した状態の繊維基材が得られるばかりでなく、該繊維基材中に凝集複合体を均一かつ容易に内添することが可能であり、均一な特性(難燃性、耐光性、有害物質除去能など)の脱臭抗菌シートを安定して生産することができる点で非常に優れている。湿式抄紙法による脱臭抗菌シートの製造方法の一例を、以下に具体的に説明する。
【0045】
まず、繊維基材構成繊維の水分散液を調製する。ポリ塩化ビニル系繊維、天然繊維、バインダー繊維を水中に添加した後、パルパーなどの撹拌機を用いて繊維を離解して水分散液を調製する。この時、繊維の添加順序に特に制限はなく、必要に応じて適当な分散剤を用いても構わない。
【0046】
次に、凝集複合体の水分散液を調製する。光反応性半導体および微細繊維を水中に添加混合した後、適当な凝集剤を用いて光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体を形成する。
【0047】
凝集剤としては、カチオン性高分子凝集剤、例えばカチオン性ポリアクリルアマイド、ポリ塩化アルミニウムなどを使用することができる。凝集剤の添加量は使用する光反応性半導体および微細繊維の種類や配合量によって異なるが、光反応性半導体および微細繊維の総量100重量部に対して0.01〜10重量部添加するのが適当である。
【0048】
さらに、これらのカチオン性高分子凝集剤と複合体を形成し、凝集を強化するようなアニオン性高分子凝集剤、例えばアニオン性ポリアクリルアマイドなど、あるいはアニオン性無機微粒子、例えばコロイダルシリカやベントナイト水分散物などを併用することもできる。
【0049】
上記の繊維基材構成繊維の水分散液と凝集複合体の水分散液とを混合して水性スラリーを調製する。水中での均一な分散を考慮した場合、水性スラリーの固形分濃度は0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0050】
一般紙や湿式不織布を製造するための抄紙機、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機などを用いて、該水性スラリーよりウェブを形成し、プレス、乾燥して脱臭抗菌シートを製造することができる。ウェブの乾燥には、シリンダドライヤー、ヤンキードライヤー、エアドライヤーなどを使用することができる。
【0051】
上記の方法で得られた脱臭抗菌シートに皮膜形成性無機物を含有せしめることによって耐久性脱臭抗菌シートを、無機混合物を含有せしめることによって難燃性脱臭抗菌シートを得ることができる。
皮膜形成性無機物または無機混合物を脱臭抗菌シートに含有せしめる方法としては、例えば各種ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドウェルコーター、コンマコーター、ダイコーター、リバースロールコーター、キスコーター、ディップコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、マイクログラビアコーター、サイズプレスなどの各種塗工装置を用いて含浸担持せしめる方法を挙げることができる。含浸に好適な塗液粘度を得るためには、皮膜形成性無機物または無機混合物の固形分濃度は3重量%以下程度が好ましく、必要に応じてヘキサメタリン酸塩などの粘度降下剤を添加しても構わない。
【0052】
あるいは、湿式抄紙による脱臭抗菌シートの製造時に、脱臭抗菌シートを構成する素材と共に皮膜形成性無機物や無機混合物を内添担持しても何ら差し支えないが、脱臭抗菌シートの表面に比較的リッチに皮膜形成性無機物や無機混合物を担持することが可能であり、かつ担持量の調整も容易に行なえる含浸加工の方が、脱臭抗菌シートの耐久性や難燃性を有効に向上させることが可能であり、より好ましい方法である。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例1
[繊維基材原料の水分散液の調製]
ポリ塩化ビニル系繊維として、塩化ビニル・ポリビニルアルコール共重合繊維(興人社製、コーデラン、繊度2デニール、繊維長5mm)60重量%、天然繊維として、針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準濾水度=480mL)10重量%、バインダー繊維として、熱溶融性ポリエステル繊維(ユニチカ社製、メルティ4080、繊度2デニール、繊維長5mm)30重量%(天然繊維/バインダー繊維=0.33)を水中に添加混合し、繊維基材原料の水分散液を調製した。
【0055】
[凝集複合体の水分散液の調製]
光反応性半導体として、酸化チタン粉末(日本アエロジル社製、P25S6)100重量部、微細繊維として、微細セルロース(ダイセル化学工業社製、セリッシュKY−100S)30重量部を水中に添加混合した後、凝集剤として、ポリ塩化アルミニウム(水澤化学工業社製、PAC)1重量部を添加し、凝集複合体の水分散液を調製した。
【0056】
[脱臭抗菌シートの作製]
繊維基材原料100重量部に対して、凝集複合体が15重量部となるように該繊維基材原料の水分散液と該凝集複合体の水分散液を混合し、水性スラリーを調製した。次いで、該水性スラリーから円網抄紙機を用いて坪量100g/m2の実施例1の脱臭抗菌シートを作製した。
【0057】
実施例2
ポリ塩化ビニル系繊維を70重量%、天然繊維を8重量%、バインダー繊維を22重量%の配合(天然繊維/バインダー繊維=0.36)とした点を除いて、実施例1と同様の方法で実施例2の脱臭抗菌シートを作製した。
【0058】
実施例3
ポリ塩化ビニル系繊維を80重量%、天然繊維を5重量%、バインダー繊維を15重量%の配合(天然繊維/バインダー繊維=0.33)とした点を除いて、実施例1と同様の方法で実施例3の脱臭抗菌シートを作製した。
【0059】
実施例4
ポリ塩化ビニル系繊維を70重量%、天然繊維を3重量%、バインダー繊維を27重量%の配合(天然繊維/バインダー繊維=0.11)とした点を除いて、実施例1と同様の方法で実施例4の脱臭抗菌シートを作製した。
【0060】
実施例5
ポリ塩化ビニル系繊維を70重量%、天然繊維を11重量%、バインダー繊維を19重量%の配合(天然繊維/バインダー繊維=0.58)とした点を除いて、実施例1と同様の方法で実施例5の脱臭抗菌シートを作製した。
【0061】
実施例6
ポリ塩化ビニル系繊維として、塩化ビニル・ポリアクリロニトリル共重合繊維(鐘淵化学社製、カネカロン、繊度2デニール、繊維長5mm)を使用した点を除いて、実施例2と同様の方法で実施例6の脱臭抗菌シートを作製した。
【0062】
実施例7
ポリ塩化ビニル系繊維として、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合繊維(三菱レイヨン社製、VF、繊度3デニール、繊維長6mm)を使用した点を除いて、実施例2と同様の方法で実施例7の脱臭抗菌シートを作製した。
【0063】
実施例8
天然繊維として、麻パルプ(カナダ標準濾水度=600mL)を使用した点を除いて、実施例2と同様の方法で実施例8の脱臭抗菌シートを作製した。
【0064】
実施例9
天然繊維として、コットンリンターパルプ(カナダ標準濾水度=610mL)を使用した点を除いて、実施例2と同様の方法で実施例9の脱臭抗菌シートを作製した。
【0065】
実施例10
[皮膜形成性無機物の水分散液の調製]
皮膜形成性無機物として、Na−モンモリロナイト(クニミネ工業社製、クニピアF)を水中に添加し、皮膜形成性無機物の水分散液を調製した。
【0066】
[耐久性脱臭抗菌シートの作製]
皮膜形成性無機物の担持量が1g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の1重量%)となるように、サイズプレス装置を用いて、上記の皮膜形成性無機物の水分散液を実施例2の脱臭抗菌シートに含浸担持せしめ、実施例10の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0067】
実施例11
皮膜形成性無機物の担持量を8g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の8重量%)とした点を除いて、実施例10と同様の方法で実施例11の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0068】
実施例12
皮膜形成性無機物の担持量を15g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の15重量%)とした点を除いて、実施例10と同様の方法で実施例12の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0069】
実施例13
皮膜形成性無機物として、合成スメクタイト(コープケミカル社製、親水性スメクタイトSWN)を使用した点を除いて、実施例11と同様の方法で実施例13の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0070】
実施例14
皮膜形成性無機物として、合成ヘクトライト(日本シリカ工業社製、ラポナイトRD)を使用した点を除いて、実施例11と同様の方法で実施例14の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0071】
実施例15
皮膜形成性無機物として、コロイダルアルミナ(触媒化成工業社製、カタロイドAS−3)を使用した点を除いて、実施例11と同様の方法で実施例15の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0072】
実施例16
皮膜形成性無機物として、コロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックス−AK)を使用した点を除いて、実施例11と同様の方法で実施例16の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0073】
実施例17
[無機混合物の水分散液の調製]
水酸化アルミニウム(昭和軽金属社製、ハイジライトH42)50重量%、皮膜形成性無機物として、Na−モンモリロナイト(クニミネ工業社製、クニピアF)50重量%を水中に添加混合し、無機混合物の水分散液を調製した。
【0074】
[難燃性脱臭抗菌シートの作製]
無機混合物の担持量が10g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の10重量%)となるように、サイズプレス装置を用いて、上記の無機混合物の水分散液を実施例2の脱臭抗菌シートに含浸担持せしめ、実施例17の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0075】
実施例18
無機混合物の担持量を15g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の15重量%)とした点を除いて、実施例17と同様の方法で実施例18の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0076】
実施例19
水酸化アルミニウムを70重量%、皮膜形成性無機物を30重量%とした点を除いて、実施例17と同様の方法で実施例19の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0077】
実施例20
水酸化アルミニウムを80重量%、皮膜形成性無機物を20重量%とした点を除いて、実施例17と同様の方法で実施例20の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0078】
実施例21
水酸化アルミニウムを水酸化マグネシウム(神島化学工業社製、#200)で置換した点を除いて、実施例17と同様の方法で実施例21の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0079】
比較例1
ポリ塩化ビニル系繊維をアラミド繊維(デュポン社製、ノーメックス、繊度2デニール、繊維長5mm)で置換した点を除いて、実施例2と同様の方法で比較例1の脱臭抗菌シートを作製した。
【0080】
比較例2
ポリ塩化ビニル系繊維をポリフェニレンサルファイド繊維(東レ社製、繊度2デニール、繊維長5mm)で置換した点を除いて、実施例2と同様の方法で比較例2の脱臭抗菌シートを作製した。
【0081】
比較例3
ポリ塩化ビニル系繊維をガラス繊維(旭ファイバーグラス社製、繊維径6μm、繊維長6mm)で置換した点を除いて、実施例2と同様の方法で比較例3の脱臭抗菌シートを作製した。
【0082】
比較例4
ポリ塩化ビニル系繊維を50重量%、天然繊維を13重量%、バインダー繊維を37重量%(天然繊維/バインダー繊維=0.35)とした点を除いて、実施例1と同様の方法で比較例4の脱臭抗菌シートを作製した。
【0083】
比較例5
ポリ塩化ビニル系繊維を90重量%、天然繊維を3重量%、バインダー繊維を7重量%(天然繊維/バインダー繊維=0.43)とした点を除いて、実施例1と同様の方法で比較例5の脱臭抗菌シートを作製した。
【0084】
比較例6
ポリ塩化ビニル系繊維を70重量%、天然繊維を2重量%、バインダー繊維を28重量%(天然繊維/バインダー繊維=0.07)とした点を除いて、実施例1と同様の方法で比較例6の脱臭抗菌シートを作製した。
【0085】
比較例7
ポリ塩化ビニル系繊維を70重量%、天然繊維を12重量%、バインダー繊維を18重量%(天然繊維/バインダー繊維=0.67)とした点を除いて、実施例1と同様の方法で比較例7の脱臭抗菌シートを作製した。
【0086】
比較例8
ポリ塩化ビニル系繊維を70重量%、バインダー繊維を30重量%とした点を除いて、実施例1と同様の方法で比較例8の脱臭抗菌シートを作製した。
【0087】
比較例9
天然繊維をポリエステル繊維(帝人社製、テピルス、繊度0.5デニール、繊維長5mm)で置換した点を除いて、実施例2と同様の方法で比較例9の脱臭抗菌シートを作製した。
【0088】
比較例10
皮膜形成性無機物の担持量を0.5g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の0.5重量%)とした点を除いて、実施例10と同様の方法で比較例10の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0089】
比較例11
皮膜形成性無機物の担持量を17g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の17重量%)とした点を除いて、実施例10と同様の方法で比較例11の耐久性脱臭抗菌シートを作製した。
【0090】
比較例12
水酸化アルミニウムを40重量%、皮膜形成性無機物を60重量%とした点を除いて、実施例17と同様の方法で比較例12の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0091】
比較例13
水酸化アルミニウムを90重量%、皮膜形成性無機物を10重量%とした点を除いて、実施例17と同様の方法で比較例13の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0092】
比較例14
無機混合物の担持量を8g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の8重量%)とした点を除いて、実施例17と同様の方法で比較例14の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0093】
比較例15
無機混合物の担持量を17g/m2(脱臭抗菌シートの総重量の17重量%)とした点を除いて、実施例17と同様の方法で比較例15の難燃性脱臭抗菌シートを作製した。
【0094】
上記実施例1〜21、比較例1〜15で作製した脱臭抗菌シートについて、下記性能試験に従って評価し、その結果を下記表1〜5に示した。
【0095】
[脱臭性能]
脱臭抗菌シートを10cm×10cmに裁断し、6Wのブラックランプを備えた5.6Lの密閉容器の底部に静置した。該容器中に飽和アセトアルデヒドを約10ppm注入した後、脱臭抗菌シートの上方約2cmから6Wのブラックランプで紫外線を照射し、紫外線照射10分後のアセトアルデヒド濃度(ppm)をガスクロマトグラフで測定した。該濃度が2ppm以下であれば、脱臭性能は良好であると判定した。
【0096】
[抗菌性能]
脱臭抗菌シートを10cm×10cmに裁断し、これを7万個/mL濃度の緑膿菌水溶液に浸漬し、脱臭抗菌シートの上方約2cmから6Wのブラックランプで紫外線を4時間照射した。照射後、緑膿菌の生菌数を標準寒天培地を用いた混釈平板培養法(35℃、48時間)により測定し、緑膿菌濃度を算出した。紫外線照射後の緑膿菌の減少率(%)を抗菌性の指標とした。減少率が99%以上であれば、抗菌性は良好であると判定した。
【0097】
[難燃性]
脱臭抗菌シートの難燃性については、UL94VTM「薄い材料の垂直燃焼試験」に準じて評価した。VTM−2、同1、同0の順に難燃性のグレードは高くなり、VTM−2以上の難燃性の区分に相当する場合、難燃性が良好であるものと判定した。同区分の難燃性に属する場合、その難燃性の優劣は、UL94VTMの判定基準の一つである燃焼継続時間の合計(5検体分)の大小で判定した。
【0098】
[耐光性]
脱臭抗菌シートの耐光性は、キセノンアークフェードオメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、脱臭抗菌シートに紫外線を500時間照射し、照射後の引張強度の保持率(%)、黄変度に基づいて評価した。引張強度はJIS P 8113に準じて、テンシロン測定機(オリエンテック社製、HTM−100)で測定した。黄変度については、JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法 6.3黄色度および黄変度」に準じて、測色色差計(日本電色工業社製、Z−1001DP型)で測定した。引張強度の保持率が80%以上で、かつ黄変度が3以下である場合、耐光性が良好であると判定した。
【0099】
[生産性]
脱臭抗菌シートの生産性は、円網抄紙機での抄紙状況、サイズプレス装置での含浸加工状況に基づいて評価した。抄紙時のワイヤーやフェルトからのピックアップ不良、断紙、ドライヤーへの付着など、あるいは含浸加工時の皮膜形成性無機物および無機混合物の担持不良によるロール汚れなどの生産上のトラブルが発生しなかった場合を「優」、該トラブルのいずれかが発生した場合を「劣」として判定した。
【0100】
[耐擦性]
脱臭抗菌シートの耐擦性は、脱臭抗菌シートの表面を綿棒で擦った際に、毛羽の発生や凝集複合体(並びに皮膜形成性無機物および無機混合物)の脱落のいずれかが観察されるのに要する擦り回数の大小で評価した。擦り回数100未満の場合を耐擦性が「劣」、同100〜199の場合を「並」、同200〜299の場合を「良」、同300以上の場合を「優」として判定した。
【0101】
[加工性]
脱臭抗菌シートをスリッターで裁断した際の加工状況により評価した。脱臭抗菌シートの裁断に伴う基材構成繊維や凝集複合体(並びに皮膜形成性無機物および無機混合物)起因の粉塵発生やロール汚れなどのトラブルが発生しなかった場合を「優」、該トラブルのいずれかが発生した場合を「劣」として判定した。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
実施例1〜21の脱臭抗菌シートは、いずれの評価項目についても優れた特性を示し、高度の難燃性および耐久性、並びに優れた生産性および加工性を有するものであった。これらの中でも、皮膜形成性無機物を含有せしめた実施例10〜16の耐久性脱臭抗菌シートにおいては、耐久性の一層の向上が、無機混合物を含有せしめた実施例17〜21の難燃性脱臭抗菌シートにおいては、耐久性のみならず難燃性の向上が認められた。
【0108】
一方、比較例1および2の脱臭抗菌シートは、ポリ塩化ビニル系繊維を耐熱性有機繊維で置換したものであるが、強度低下や黄変の程度が大きく、耐光性に劣るものであった。比較例3の脱臭抗菌シートは、剛直かつ疎水性のガラス繊維の配合量が多く、湿紙の保水性に乏しく生産性に劣るのみならず、シートの耐擦性も不十分で、ガラス繊維の脱落により特有のチクチク感があり、さらには断裁加工時にガラス繊維の粉塵が発生、作業性も悪いものであった。比較例4および7の脱臭抗菌シートは各々、ポリ塩化ビニル系繊維の配合量不足、および易燃性の天然繊維の配合量が多いことが原因で、難燃性に劣るものであった。比較例5の脱臭抗菌シートは、天然繊維およびバインダー繊維の配合量に不足し、実用上十分な強度が得られないばかりでなく、生産性、耐擦性、加工性にも劣るものであった。比較例6、8、並びに9の脱臭抗菌シートは、天然繊維の配合量が少ないか、あるいは該繊維を通常の有機繊維で置換したために、湿式抄紙時の生産性に劣るものであった。比較例10、12、並びに14の耐久性または難燃性脱臭抗菌シートは、良好な特性を有するものの、皮膜形成性無機物あるいは無機混合物の含有量が少ないために、耐久性や難燃性の向上の観点からは特に優位性は認められず、比較例11および15の耐久性または難燃性脱臭抗菌シートは、それらの含有量が多いために、光反応性半導体と有害物質との接触が阻害され、有害物質除去能に劣るものであった。比較例13の難燃性脱臭抗菌シートは、難燃性向上効果には優れるが、皮膜形成無機物の配合量が少なく、水酸化アルミニウムの担持能に劣るものであった。
【0109】
【発明の効果】
本発明の脱臭抗菌シートは、ポリ塩化ビニル系繊維を60〜80重量%、天然繊維およびバインダー繊維を20〜40重量%含有し、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にある繊維基材中に、光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体を内添してなり、かつ湿式抄紙法により製造されたものであることを特徴とする。
【0110】
天然繊維およびバインダー繊維を上記重量比で使用することにより、比較的少量の該繊維の使用で十分な強度のシートが得られ、故に高度の難燃性を有するポリ塩化ビニル系繊維を多量に配合することが可能となり、脱臭抗菌シートに良好な難燃性を付与することができる。また、天然繊維の有する柔軟性、自着能、保水能により、湿式抄紙時の生産性にも優れる。
【0111】
湿式抄紙法により製造される本発明の脱臭抗菌シートにおいては、構成繊維が均一に分散した状態の繊維基材が得られるばかりでなく、該繊維基材中に凝集複合体を均一かつ容易に内添することが可能であり、均一な特性の脱臭抗菌シートを安定して生産することができる。
【0112】
本発明の脱臭抗菌シートは、繊維基材自体の耐光性が高い上に、光触媒作用により繊維基材を劣化せしめる恐れのある光反応性半導体が、微細繊維上に定着して繊維基材中に保持されており、繊維基材と光反応性半導体との接触部分が少ないために、耐光性に極めて優れるという特徴がある。
【0113】
また、皮膜形成性無機物を含有せしめることによって、脱臭抗菌シートの有する各種特性を阻害することなく、より高度の耐久性を付与したり、さらには皮膜形成性無機物に水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムのいずれか1種以上を混合してなる無機混合物を含有せしめることによって、耐久性に加えて難燃性をも向上させることが可能であり、かつ通常の塗工設備を用いて脱臭抗菌シートに皮膜形成性無機物あるいは無機混合物を容易に含有せしめることができる。
【0114】
従って、本発明の脱臭抗菌シートは、高度の難燃性および耐久性を有する有害物質除去材として、空調などのフィルター、車載材料、光反射板やランプシェードなどの照明設備、壁紙などの壁装材料、衣類、寝具、クロスなどの広範な用途において、有効に活用することができる。また、加工性や生産性にも優れ、ハニカム、コルゲート、プリーツ、貫孔など様々な加工を施すことができるばかりでなく、通常の抄紙機や塗工設備を用いて容易に製造することが可能である。
Claims (4)
- 繊維基材がポリ塩化ビニル系繊維60〜80重量%、天然繊維およびバインダー繊維20〜40重量%よりなり、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体を内添してなることを特徴とする脱臭抗菌シート。
- 繊維基材がポリ塩化ビニル系繊維60〜80重量%、天然繊維およびバインダー繊維20〜40重量%よりなり、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体が内添され、さらに皮膜形成性無機物を全体重量の1〜15重量%の割合で含有することを特徴とする耐久性脱臭抗菌シート。
- 繊維基材がポリ塩化ビニル系繊維60〜80重量%、天然繊維およびバインダー繊維20〜40重量%よりなり、天然繊維/バインダー繊維の重量比が0.1〜0.6の範囲内にあり、該繊維基材に光反応性半導体および微細繊維の凝集複合体が内添され、さらに水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムのいずれか1種以上と皮膜形成性無機物よりなる無機混合物を全体重量の10〜15重量%の割合で含有し、該無機混合物における水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムのいずれか1種以上の占める割合が50〜80重量%であることを特徴とする難燃性脱臭抗菌シート。
- 請求項1〜3記載の脱臭抗菌シートが、湿式抄紙法により製造されたものであることを特徴とする脱臭抗菌シート。
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