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JP3545262B2 - 永久磁石モータ - Google Patents
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JP3545262B2 - 永久磁石モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホール素子等の位置検知素子を用いることなく、センサレスで駆動可能とした永久磁石モータの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の永久磁石モータ、例えば、ブラシレスモータをホール素子などの位置検知素子を用いることなく駆動する場合は、回転駆動中のモータの電機子巻線に生じる速度起電力と界磁の位置との相関に着目して、前記速度起電力によりモータの転流タイミングを決定していた。特公平7−63232号公報には、この速度起電力に基づいて、特に、単相のブラシレスモータをセンサレスで駆動する技術が記載されている。
【0003】
しかしながら、転流タイミングを決定するための速度起電力は、モータの電機子巻線電圧を利用して検出せざるを得ないので、特に、単相モータでは180度通電を行うことができなかった。このため、単相モータでは、始動時に回転子に対して大きなトルクを与えることができず、始動後短時間のうちに該モータを高速回転させることができなかった。また、単相モータに限らず、高負荷トルク時には、通電切替に伴う電機子電流の還流作用による転流スパイク電圧が増大するので、検出される速度起電力情報に大きな誤差が生じてしまい、その結果、界磁磁極位置の推定に大きなズレが生じて、転流タイミングを適切に決定することができなかった。
【0004】
そこで、本願出願人は、特開平9−37586号に記載するブラシレスモータのセンサレス駆動回路を発明した。かかるモータ駆動回路は、モータ各相の電機子電流波形に着目して、各相の通電領域にあらわれる2つの顕著な電流増加領域のうち第2の電流増加領域を検出して、これを転流タイミングと決定し、転流制御を行うものである。よって、このモータ駆動回路では、速度起電力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定しているので、単相モータであっても180度通電を行うことができ、また、高負荷トルク時でも適切に転流タイミングを決定することができるという優れた点を備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるモータ駆動回路では、上記第2の電流増加領域を、モータの電機子電流の瞬時値が電機子電流の平均値の所定倍(例えば1.2倍)になったことを目安として検出している。よって、第2の電流増加領域の検出のためには、電機子電流を平均化する回路と、その平均化された電機子電流を所定倍に増幅する回路とが必要になり、回路コストが上昇してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、前述の問題点を解決するようにしたもので、永久磁石モータの起動に際してその回転子の起動時回転方向を特定させることを可能とし、かつ、電機子電流に基づいて転流タイミングを迅速・確実に決定することができる簡素な制御回路を備えた、小形軽量で経済的な永久磁石モータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の永久磁石モータは、永久磁石からなる回転子と、上部側に一対の切込部を設けて前記回転子を回転自在に挿入する回転子挿入孔を備え、下部側には分離可能な鉄心部材に電機子巻線を巻回したスケルトン形の単相ブラシレスモータを構成し、この単相ブラシレスモータの電機子巻線にインバータ回路から交番電圧を通電して該インバータ回路により転流を行わせて単相ブラシレスモータを回転させる制御回路を備えた永久磁石モータにおいて、前記制御回路は、単相ブラシレスモータの始動時に必要な始動トルクを発生させる電機子電流を電機子巻線に流して単相ブラシレスモータを始動させる始動補償回路と、この始動補償回路と前記インバータ回路との間に介挿されて単相ブラシレスモータの電機子巻線に流れる通電電流を検出する一対のシャント抵抗からなる電流検出回路と、前記電流検出回路により検出した検出電流をインバータ回路に負帰還させる帰還回路と、一対の電界効果トランジスタを具備して構成したインバータ回路とからなり、前記インバータ回路を構成する一対の電界効果トランジスタには、該電界効果トランジスタのドレイン電流を検出する前記電流検出回路の一方を接続するとともに、電流検出回路の他方を始動補償回路と接続して単相ブラシレスモータを始動させる通電電流の検出手段を構成し、この検出手段にて検出したインバータ回路の一方の電界効果トランジスタのドレイン電流により単相ブラシレスモータを始動するようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明の永久磁石モータは、電機子巻線に流れる電機子電流の急増領域を検出し、インバータ回路に転流を行わせる制御回路を備え、即ち、前記電機子電流の急増領域の現出を転流タイミングとして設定し、永久磁石モータの転流を行わせて、永久磁石モータの始動(起動)→回転(駆動)を円滑に行わせるようにしたもので、これは、前記制御回路に、転流周期を、特定方向に流れる起動電流を検出して永久磁石モータの始動時には、始動トルクを発生させるために充分に長くし、始動後は逆に短くするための始動補償回路を具備させたことにより、始動時のトルクを十分に得ることができる。
【0014】
又、永久磁石モータの固定子鉄心は、回転子との間で空隙に差異をつけることにより、停止時、特定位置に停止させるべくコギングトルクの誘発を容易となし、かつ、磁束の通電時と非通電においては、回転子に傾きを付与させることにより、特定方向(事前に設定した回転方向)にのみ回転しやすいように構成されているので、始動時、少しばかり逆方向に回転したとしても、容易に正常な回転方向に駆動させることができる。これは、前記固定子鉄心に形成した空隙の差異と、インバータ回路を構成する一対の電界効果トランジスタのドレイン電流を、個々にシャント抵抗を備えた電流検出回路にて検出するものの、前記電界効果トランジスタの一方のドレイン電流のみによって作動するように構成した始動補償回路とによる相乗効果によって、始動時は電機子巻線の特定コイルからのみ通電されることにより、回転子を起動させるようにしたので、前記回転子は常に一定の通電極性での起動が可能となり、これによって、永久磁石モータを単相モータでありながら、特定の方向にのみ回転させることができ、利便である。
【0015】
しかも、前記永久磁石モータを起動させる制御回路は、前記のように、起動時において、回転子の位置決め制御を行うための回路が不要となるため、回路構成が簡素化できるとともに、その製作コストの低減が図れ、ローコストの永久磁石モータの提供が可能となる。しかも、インバータ回路に電界効果トランジスタを使用することにより、電流の負帰還が可能となることで過電流時の保護作用が働きインバータ回路を良好に保護することができる。その上、前記インバータ回路には転流を行わせるとき、電界効果トランジスタのゲート電圧条件の安定化が図れることによってインバータ回路の動作のバラツキが少なくなり、これにより、制御回路の製造上の歩留りが改善でき、その生産性を著しく向上させることができるという利点もある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の永久磁石モータを単相ブラシレスモータ(以下、単相モータと称する)に実施した例を図1ないし図3によって説明する。図1において、単相モータ1は図の上部側に回転子2を回転自在に挿入するための回転子挿入孔3を有し、図の下部側には、分離可能な鉄心部材4を介して電機子巻線5を巻装した固定子鉄心6と、永久磁石からなる前記回転子2からなり、固定子鉄心6は電磁鋼板を打抜き、所定の積厚に積層して形成し、又、回転子2は、例えば、磁性粉末を合成樹脂粉末と混合し、これを射出成型手段等により射出成形して形成した、プラスチックマグネットロータ(以下、単に回転子と称する)であり、この回転子2と前記固定子鉄心6とを組合せて、スケルトン形の単相モータ1を構成している。
【0017】
そして、前記固定子鉄心6には、図1に示すように、回転子挿入孔3の外側において、回転子挿入孔3の周縁に例えば、約180°の角度間隔を保って、一対の平面形状がU字状をなす切欠部7a,7bが、前記回転子挿入孔3と連通することなく狭隘な狭幅部(磁路)A,Bを有して形成されている。前記狭幅部A,Bを形成するのは、電機子巻線5が磁化されていないときに固定子鉄心6に流れる磁束(回転子2により生じる)を前記隘路A,Bに集中させ、回転子2に所要の磁極を形成させるためのものであり、固定子鉄心6に流れる磁束は、隘路A,Bにおいて集中するものの、均等に割り振りされて前記回転子2に流れることにより、回転子2の起動時における例えば、位置決め動作に貢献するものである。
【0018】
又、前記固定子鉄心6の回転子挿入孔3の周縁には、図1で示すように、前記切欠部7a,7bとは例えば、約90°の角度間隔を保って回転子挿入孔3と連通可能となした一対の切込部8a,8bが、互いに相対向して約60°の角度範囲を保って弧状に形成されている。この切込部8a,8bが存在する回転子挿入孔3の部位は、前記狭幅部A,Bが存在する回転子挿入孔3の部位より広く形成されているので、固定子鉄心6に流れる磁束は、前記切込部8a,8bの存在による磁気抵抗の増加により流れが抑制され、回転子2はその磁化が最も弱体化している永久磁石のN極とS極との境界部分aが、前記切込部8a,8b間のほぼ中央の位置で停止させることができる。
【0019】
前記固定子鉄心6にU字状の切欠部7a,7bと弧状の切込部8a,8bをそれぞれ設けることは、回転子2を始動位置に導いたり、所定位置に停止させるためのもので、この点は、公知の有限要素法の磁場解析によるコギングトルク解析によって確認することができた。特に、切欠部7a,7bの存在は、この切欠部7a,7bと回転子挿入孔3との間に形成される狭幅部A,Bに磁束が集中する結果、回転子2をその停止位置から始動位置近くまで良好に微動させることが可能となり、これが回転子2の回転方向を特定する上で大いに貢献しているものと思われる。
【0020】
前記の点を更に詳述すると、固定子鉄心6は電機子巻線5への通電により鉄心部材4が直流磁化されると、固定子鉄心6に、例えば図1において右方向(時計方向)に沿って磁束が流れる。この結果、回転子2の磁極は固定子鉄心6に流れる磁束に対して整列しやすい方向に位置を変え(回転す)ることになるが、これを、即ち、回転子2の回転を始動時において急激に行うと、回転子2自体がいづれの方向に回転するのか不明となる。このため、固定子鉄心6の鉄心部材4を、比較的高い周波数で交流磁化させ、かつ、直流成分を上乗せすることにより、固定子鉄心6を少しだけ直流磁化させて回転子2の回転方向を特定させるものである。
【0021】
又、前記固定子鉄心6に形成した切欠部7a,7bにより、この切欠部7a,7bと回転子挿入孔3との間に形成される狭幅部A,B及び狭幅部A,Bと90°離れた位置に設けた切込部8a,8bの存在によって前記回転子2が、電機子巻線5への非通電時においては、図1で示す回転子2の境界部分aが切込部8a,8bを結ぶ線と一致する地点(図1に示すX−Xから偏角θ傾いた図6(a),(c)に示す状態、なお、図6(c)に示す回転子2は図6(a)に示す回転子2に対して永久磁石のN極とS極とが逆になっている)で停止することができるように、固定子鉄心6は構成されている。なお、この現象は有限要素法の磁場解析によるコギングトルク解析により確認することができた。
【0022】
又、電機子巻線5は、例えば、固定子鉄心6の鉄心部材4のみに巻装された一組の中間子付巻線(センタタップ巻線)より構成され、2つの端子e,fと中間端子gとの計3つの端子を備えている。また、その巻線仕上げは、2本の導線を束ねて同時に巻く、いわゆる「パイファイラ巻き」により行われている。なお、界磁を固定子に電機子巻線を回転子としたスリップリング付きモータや、埋め込み磁石形のモータに、この駆動回路を用いても良い。また、単相モータの場合には、中間タップがあれば良く、必ずしもパイファイラ巻きである必要は無い。
【0023】
次に、本発明の単相モータ1を駆動制御するセンサレス方式の制御回路11について説明する。図2,3において、前記制御回路(以下モータ駆動回路という)11は、大別すると、インバータ回路12と、電流検出回路13と、帰還回路14と、始動補償回路15とを備えて概略構成されている。このモータ駆動回路11には、10〜30ボルトの直流電圧を出力可能な直流電源50が接続され、そのプラス側入力端Pは、ダイオードDのアノードに接続されている。このダイオードDは、単相モータ1の転流動作時に発生する逆起電力による還流電流が直流電源50に流れ込むのを防止する。
【0024】
又、ダイオードDのカソードは、前記還流電流を充電するコンデンサC(50V、100μF)のプラス側端子に接続され、そのコンデンサCのマイナス側端子は、直流電源50のマイナス側入力端Nに接続されている。なお、還流電流をコンデンサCに充電することは、モータ駆動回路11から外部に発振される電磁ノイズ(ElectroMagnetic Interference)の量の減少を図るとともに、直流電源50と端子PN間の配線抵抗での電力損失の低減及び還流電流の再利用による電力利用率の向上(効率)を図るためのものである。
【0025】
前記ダイオードDのカソードは、単相モータ1の中間端子gに接続され、単相モータ1の端子e,fは、インバータ回路12に接続されている。インバータ回路12は、無安定マルチバイブレータ動作(自励発振動作)を行って、単相モータ1の各コイルL(g−e巻線),L(g−f巻繰)に、交互に直流電圧を印加するための回路である。このインバータ回路12は、電界効果トランジスタ(以下、FETという)Q,Qと、10kΩの抵抗R,R,R,Rとを備えて構成されている。
【0026】
前記インバータ回路12の両FETQ,Qのドレイン端子は、単相モータ1の両端子e,fにそれぞれ接続されるとともに、抵抗R,Rを介して、それぞれ他方のFETQ,Qのゲート端子に交叉接続されている。又、FETQ,Qのゲート端子とソース端子との間には抵抗R,Rが接続されている。この接続により、一方のFETのオンにより他方のFETがオフするという、即ち、オン・オフ動作が順次繰り返される、所謂、無安定マルチバイブレータ動作(自励発振動作)が行われる。
【0027】
次に、前記インバータ回路12の無安定マルチバイブレータ動作について説明する。図4は負荷時における各電流・電圧波形を示すもので、その電圧基準はFETQ,Qのソース端子の点Eとしている。
【0028】
直流電源50の投入により、例えば、FETQがオンし、FETQがオフしたとすると、図4に示すように、コイルLを介して電流が流れ(31)、FETQのドレイン電流が増加する(32)。やがて前記ドレイン電流がFETQのゲート電圧とコンダクタンスとで定まる飽和電流値に達すると(33)、FETQのドレイン電流の増加率が低下し、FETQのドレイン・ソース間電圧が上昇し始める。FETQのドレイン電圧がソース端子を基準にして5ボルト付近に達すると、抵抗Rを介して、FETQにゲート電圧が加わりFETQがオンを開始する(35)。このFETQのオンに伴って、FETQのドレイン電圧が低下し、抵抗RとRの分圧によってFETQに供給されるゲート電圧も減少する。
【0029】
このゲート電圧の減少とともに、FETQの飽和電流値も減少するので、FETQのドレイン電流が更に減少する(37)。これにより、FETQのドレイン電圧が更に上昇し(38)、FETQのゲート電圧を増加させて、FETQのオンを加速する(39)。一方、FETQのオンにより、FETQのドレイン電圧が低下し(39)、FETQのゲート電圧が更に減少して、FETQのオフが加速される。このように、急速に、FETQがオフ、FETQがオンの状態に変化する。
【0030】
FETQがオン、FETQがオフとなった後は、FETQのドレイン電流が飽和電流値に達するまでその状態を維持する。そして、FETQのドレイン電流が飽和電流値に達すると、前記とは逆に、FETQのオン、FETQのオフが急速に行われ、その状態(QとQのオン・オフ状態)が変化する。このように、FETQ,Qのオン・オフ動作が繰り返され、その結果、インバータ回路12は「無安定マルチバイブレータ動作」(自励発振動作)を行うのである。
【0031】
次に、13はインバータ回路12の両FETQ,Qのソース端子と、直流電源50のマイナス側入力端Nとの間に挿設した、電流検出回路13で、この電流検出回路13は、2Ω(4W)のシャント抵抗R,Rにより構成され、インバータ回路12を介して単相モータ1の電機子巻線L,Lに流れる電流(以下「電機子電流」という)を、シャント抵抗R,Rに流れるシャント電流として検出し(31)、これを電圧(31a)に変換するための回路である。この電圧変換されたシャント電流は、後述する帰還回路14によってインバータ回路12へフィードバック(帰還)され、前記した無安定マルチバイブレータ動作の発振周期を決定するものである。なお、前記シャント抵抗R,Rは、インバータ回路12のFETQ,Qに流れる電流のバランスをとるために2個設置されている。
【0032】
前記帰還回路14は、シャント抵抗R,Rからなる電流検出回路13によって検出され電圧に変換されたシャント電流(電機子電流)を、インバータ回路12へフィードバックする回路であり、2つのダイオードD,Dと、2.2kΩの抵抗Rと10kΩの抵抗Rとからなり、前記抵抗R,Rは直列に接続され、抵抗R側の一端はシャント抵抗R,Rの電圧を増幅した電流検出回路13の出力端に接続され、抵抗R側の他端はダイオードD,Dのカソードに接続されている。又、ダイオードD,Dのアノードは、インバータ回路12の各FETQ,Qのゲート端子にそれぞれ接続されている。
【0033】
この帰還回路14は、電流検出回路13、及び、ゲート抵抗R,Rと分圧抵抗R,RとFETQ,Qとのコンダクタンスの相互作用を利用して、電機子電流の急増領域を検出し、その急増領域でインバータ回路12による転流が行われるようにしている。又、前記電機子電流は、回転子2が固定子鉄心6に最も吸着される位置、即ち、回転子2の磁場ベクトルと、電機子巻線5への通電により生じる磁場ベクトルとが整列する位置(モータの発生トルクがゼロとなる位置)で急増する。これは、回転子2が前記位置に達することにより、発電電圧がほぼ「0」となるからである。従って、前記急増領域の現出を転流タイミングとして決定することにより、単相モータ1を適確に同期駆動(回転)することが可能となる。
【0034】
具体的には、電流検出回路13のシャント抵抗R,Rの電圧降下を、インバータ回路12の各FETQ,Qのゲート端子へフィードバック(帰還)させることである。すると、電機子電流の急増領域では、シャント抵抗R,Rの電圧降下が大きくなる結果、その分、ゲート部分の電流が帰還回路14側へ流れることでゲート電圧が少なくなり、ドレイン電流の飽和電流値が小さくなるものの、その際、流れているドレイン電流が飽和電流値と一致すると、両FETQ,Qのオン・オフ状態が切替えられ、転流動作が円滑に行われるためである。
【0035】
なお、かかる転流周期(タイミング)、即ち、上記したインバータ回路12の発振周期は、この帰還回路14の抵抗値により変化させることができる。具体的には、帰還回路14の抵抗値を小さくすると、インバータ回路12の発振周期が短くなり(発振周波数が大きくなり)、逆に抵抗値を大きくすれば発振周期が長くなる(発振周波数が小さくなる)。帰還回路14の抵抗値を小さくすることにより、FETQ,Qのゲート端子への帰還量が多くなるので、電機子電流の急増を僅かに検出した場合でも、転流動作を確実に行わせることが可能となる。
【0036】
なお、単相モータ1の回転子2は、固定子鉄心6の回転子挿入孔3周縁に設けた切込部8a,8bの存在により、境界部分aが切欠部7a,7bを結ぶ線上と一致した地点でコギングトルクの作用により停止(〔段落番号18,21〕の記載参照)される。この際、回転子2のN極とS極は、図6(a)と図6(c)で示すように、互いに正反対の位置に存在しているが、これは、回転子2の磁界が弱いために生ずるもので、本発明においては、回転子2の停止時における磁石の極性は不明であるものの、回転子2は前記図6(a)と図6(c)に示すいづれかの位置で停止するように構成されている。
【0037】
つづいて、始動補償回路15について説明する。この回路15は、単相モータ1の始動時に、充分な始動トルクを発生させる上で必要な電機子電流を流して、単相モータ1の始動動作を確実に行うための回路である。従って、この始動補償回路15は、単相モータ1の始動時と始動後において帰還回路14の抵抗値を大小させ、始動時には転流周期を長くして、単相モータ1へ充分な電機子電流を流し、始動後は前記転流周期を短くして単相モータ1を高速回転させるようにしている。
【0038】
始動補償回路15は、FETQのソース端子およびシャント抵抗Rの入力端にアノードが接続されたダイオードDを備え、そのダイオードDのカソードは27kΩの抵抗Rの一端に接続されている。一方、抵抗Rの他端は、トランジスタQのベース端子と、コンデンサC(220μF,10V)のプラス側端子と、47kΩのブリーダ抵抗R10の一端とに接続されている。前記トランジスタQのコレクタ端子は帰還回路14の2つの抵抗R,R間に接続され、エミッタ端子は、コンデンサCのマイナス側端子およびブリーダ抵抗R10の他端とともに、シャント抵抗Rの出力端と直流電源50のマイナス側入力端Nとにそれぞれ接続されている。
【0039】
この始動補償回路15は、コンデンサCに所定量の電荷が蓄積されて、その端子間電圧が約0.6ボルトに達するまで、トランジスタQのオフを維持し、帰還回路14の抵抗値を12.2kΩ(抵抗R,R)という大きな値に保ち、単相モータ1の始動時における転流周期を長くしている。これにより、単相モータ1の始動後、コンデンサCの端子間電圧が約0.6ボルトに達するまでの間、単相モータ1の各コイルL,Lへ、始動トルクを発生させるために充分な電機子電流を流すことが可能となる。
【0040】
前記始動補償回路15は、図5において、コンデンサCの端子間電圧は0.6ボルト未満となっており(62),トランジスタQはオフしている(63)。然るに、モータ駆動回路11の運転スイッチSを投入すると(64)、シャント抵抗Rに通電されるタイミングで帰還回路14の抵抗値が1kΩ弱から12.2kΩと急激に大きくなる。この結果、インバータ回路12の発振周期が長くなり、単相モータ1の転流周期が長くなって、各コイルL,Lには始動トルクを発生させるために充分な電機子電流が流される。各コイルL,Lに流れる電機子電流は、そのままシャント抵抗R,R(図5にはRのみ記入)を流れるシャント電流となり(65)、このシャント電流により抵抗Rの両端電圧が、マイナス側入力端Nを基準として、約0.6ボルト以上になると(ダイオードDの電圧降下分以上になると)、コンデンサCへの充電が開始され、その端子間電圧が徐々に上昇(66)して約0.6ボルトに達すると(67)、トランジスタQがオン(68)して、帰還回路14の抵抗値が、12.2kΩ(抵抗R,R)から2.2kΩ(抵抗R)に減少する。前記帰還回路14の抵抗値が減少すると、インバータ回路12の発振周期が前記とは逆に短くなり(69)、単相モータ1の転流周期が短くなって単相モータ1が徐々に高速回転を始める。
【0041】
このように、始動補償回路15は、コンデンサCの端子間電圧が約0.6ボルトに達するまでの間、単相モータ1の転流周期を長くして、各コイルL,Lへ始動トルクを発生させるために充分な電機子電流を流し、単相モータ1を確実に始動するようにしている。しかも、コンデンサCへの充電は、シャント電流(電機子電流)に基づいて行われるので、その端子間電圧が約0.6ボルトに達するまでの時間は、固定された時間とはならず、モータの種類や直流電源50の電圧に応じて変化する時間となる。よって、モータの始動に適切な時間だけ、転流周期を長くした始動モードを維持することができる。
【0042】
次に、本発明の永久磁石モータの動作について説明する。なお、本発明において、電流検出回路13は前述したように、シャント抵抗R,Rを2個備えて構成されているが、これは、インバータ回路12の2つのFETQ,Qに流れる電流のバランスを考慮して前記FETQ,Qのオン・オフ制御を効率的に行うために設置したもので、本発明では、始動補償回路15のタイミング(FETQ,Qのオン・オフの切換時期の設定)は、シャント抵抗Rから得られる電流を利用している。従って、単相モータ1の起動は、1つのコイル,即ち、特定のコイルから起動できるように構成されている。
【0043】
単相モータ1の運転に際してモータ駆動回路11に設けた運転スイッチSを投入すると、インバータ回路12がオンするとともに、帰還回路14の抵抗値は12.2kΩと(抵抗R,R)大きくされ、その分、インバータ回路12の転流周期が長くなって、単相モータ1の電機子巻線5の各コイルL,Lに、単相モータ1の始動トルクを発生させるために充分な電機子電流が流れる(図5の始動補償回路の動作説明図参照)。この結果、単相モータ1は徐々に始動を開始する。
【0044】
この際、単相モータ1の回転子2は、始動開始時において図6(a),(c)で示す永久磁石の極性位置に設定されている。即ち、図6(a)においては、回転子2の磁極境界部分aを固定子鉄心6の一対の切込部8a,8bを結ぶ線上に一致させた状態で、N極を下側にS極は上側にして停止しており、一方、図6(c)においては、同じく回転子2の磁極境界部分aを一対の切込部8a,8bを結ぶ線上と一致させた状態で、S極を下にN極を上側にして停止している。
【0045】
従って、単相モータ1の始動時は、その回転子2が初期状態(スタート時)において常に所定の位置(前記図6(a)又は図6(c)に示すいづれかの位置)に保持されている関係上、前記単相モータ1は、インバータ回路12のFETQ,Qのいづれからオン動作しても、FETQに流れる電流が電流検出回路13のシャント抵抗Rにより検出することにより、始めて始動を開始することになる。即ち、インバータ回路12のFETQがオン動作したとき、回転子2は回転を始めるものでその起動タイミングは常に固定されている結果、常に一定の通電方向に回転する。
【0046】
前記の点を更に具体的に説明すると、例えば、回転子2が図6(a)の位置に保持されているときは、必ず左方向へ回転する。これは、回転子2の停止位置が正常なスタート位置に停止しているためのものであり、運転スイッチSの投入により特定のコイル(FETQのオン動作にて通電されるコイル)に通電が行われると、固定子鉄心6は図6(a)に示す矢印L方向(左方向)に磁化されることによって、回転子2を同図に示す矢印方向(反時計方向)に回転させる。回転子2は回転を始めれば、図6(b),(e)〜(h)の順で左方向への回転を続行する。
【0047】
一方、回転子2の極性が図6(c)で示すように、図6(a)に対して極性が180°逆転して回転子2が停止していた場合は、図6(c)で示すように、回転子2は右方向に一瞬回転するものの、スタート地点から約130°くらい回動した位置で回転方向を修正し、その反動を利用して図6(d)で示すように、左方向(正常方向)に回転方向を変更して始動を開始するものである。この場合は、回転子2の永久磁石の磁性が反転しているため、回転子2は固定子鉄心6の磁化方向(図6(a)に示すL矢視方向)と同一方向に回転しようとするが、本発明では最初に通電される電機子巻線5が事前に設定(シャント抵抗Rによって電流検出されるコイルを指す)されているので、図6(c)に示す如く、回転子2は一瞬逆方向に回動するものの、図6(e)〜(h)のように、直ちに正常方向に転回して回転運動を続行するように構成されているので、逆回転を継続することはない。
【0048】
このように、回転子2は、停止時においては常に所定の位置に保持されているので、インバータ回路12のFETQ,Qのいずれからオン動作が始まっても、必ず一定の方向に回転する。具体的には、停止時において、回転子2が図6(a)の位置に保持されている場合には必ず左方向へ回転する。単相モータ1は、通電第1波または第2波のうち、回転子2の磁場ベクトルと反発する方向の磁場が与えられる通電(図6(a)において、磁場ベクトルが右から左方向へ向かう通電)により、回転を開始するからである。なお、回転子2が図6(c)に示す位置に保持されている場合は、前記のように一瞬逆回転するものの、直ちに正方向に回転するが、この場合も磁場ベクトルを反発する方向の磁場が与えられているからに他ならない。
【0049】
回転子2の回転継続に伴って、コンデンサCが徐々に充電される。この充電により、コンデンサCの端子間電圧が約0.6ボルトに達すると、トランジスタQがオンして、始動時から定常運転へと移行する。定常運転では、始動補償回路15のトランジスタQのオンにより帰還回路14の抵抗値が2.2kΩ(抵抗R)と小さくなるので、インバータ回路12の発振周期が短くなり、これに伴い、単相モータ1の転流周期も短くなる。よって、単相モータ1は徐々に高速回転を始め、やがて略定速回転となる。
【0050】
この状態で直流電源50の投入が続けられることにより、単相モータ1は略定速回転を継続する。なお、略定速時の回転速度は、コイルL,Lに印加される直流電源50の電圧に比例する。即ち、直流電源50の電圧が高いほど高速で回転し、低いほど低速で回転する。よって、直流電源50の電圧値により、略定速時の回転速度を制御することができる。
【0051】
定速運転(または始動時)での運転中に、運転スイッチSを開放すると、始動補償回路15のコンデンサCはダイオードDにより急速に放電され、トランジスタQがオフされるとともに、回転子2は電機子巻線5への通電停止に伴い、惰性で回転するものの、単相モータ1は徐々に回転を緩め、最終的にはコギングトルクの作用により、回転子2は図6(a),(c)で示すように、極性は不明だが必ず磁極の境界部分aを固定子鉄心6の切込部8a,8bを結ぶ線上と一致する地点で停止し、次の始動に備える。この結果、本発明は、単相モータ1をいつでも始動することができるので、次回単相モータ1を始動するまでの時間を短縮することができる。
【0052】
前記のように、本実施例のモータ駆動回路11によれば、電流検出回路13と帰還回路14とにより、電機子電流の急増領域を検出して、その検出を転流タイミングとして転流動作を行わせている。よって、速度起電力によらず、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定することができるので、例え単相モータ1であっても180度通電を行うことができ、その始動を円滑に行うことができる。即ち、始動から短時間のうちに高速回転することができるのである。また、電機子電流に基づいて転流タイミングを決定することにより、重負荷時でも、転流に伴う過大なスパイク電圧の影響を受けることなく、的確にモータを駆動(回転)することができるのである。
【0053】
更に、転流タイミングの決定に電機子電流の急増領域を用いているので、電機子電流を平均化する回路や、その平均化された電機子電流を所定倍に増幅する回路が不要となり、更には、回転子2を停止位置から始動位置に移動させ、かつ、始動位置に始動を開始するときまで保持させる回路等が全く不要であるので、モータ駆動回路11を簡素な回路構成で経済的に製造することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の永久磁石モータは、電機子電流の急増領域の現出を転流タイミングとして設定し、永久磁石モータの転流を行わせてその始動(起動)→回動(駆動)を円滑に行わせるようにしたもので、これは、永久磁石モータの制御回路に、転流周期を、特定方向に流れる起動電流を検出して永久磁石モータの始動トルクを発生させるために充分に長くし、始動後の定常運転時は逆に短くするための始動補償回路を具備させたことにより、永久磁石モータは始動時のトルクを十分に得ることができ利便である。
【0055】
又、永久磁石モータの固定子鉄心は、回転子と回転子挿入孔との間で空隙に差異をつけて形成した鉄心の使用によって、永久磁石モータの停止時、回転子を特定位置に停止させるべくコギングトルクの誘発が容易になり、しかも、磁束の通電時と非通電時においては、回転子に傾きを付与させることにより、回転子を特定方向にのみ回転させることが可能となり、始動時に少々回転方向が逆転したとしても、容易に正常な回転方向に駆動させるようにした。これは、前記固定子鉄心に形成されている回転子と固定子鉄心との間に生じる空隙の差異と、インバータ回路の一対の電界効果トランジスタのドレイン電流を、個々にシャント抵抗を備えた電流検出回路にて検出するものの、前記電界効果トランジスタの一方のドレイン電流のみによって作動する始動補償回路を具備することによる相乗効果によって、回転子の始動時電機子巻線の特定コイルに通電を行って回転子を起動させるように構成されているので、回転子は常に一定の通電極性での起動が可能となり利便である。
【0056】
更に、永久磁石モータを起動する制御回路は、回転子の起動時における位置決めの制御を行うための回路が不要となるため、回路構成が簡素化できその製作コストの低減化を図ることができる。しかも、インバータ回路には電界効果トランジスタを使用することにより、電流の負帰還が容易に可能となり、過電流時の保護作用が働きインバータ回路を良好に保護することができる。その上、インバータ回路に転流作用を行わせるとき、電界効果トランジスタのゲート電圧条件の安定化が図れる結果、インバータ回路の動作のバラツキが少なくなるため、制御回路の製造上の歩留りが改善できその生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の永久磁石モータの実施例としてスケルトン形の単相ブラシレスモータを示す概略的な構成図である。
【図2】本発明の永久磁石モータに使用する制御回路のブロック図である。
【図3】本発明の永久磁石モータに使用する制御回路図である。
【図4】負荷時における各部位の電流電圧波形図である。
【図5】始動補償回路の動作説明図である。
【図6】本発明の永久磁石モータにおける回転子の起動状況を順次説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 単相ブラシレスモータ
2 回転子
3 回転子挿入孔
5 電機子巻線
6 固定子鉄心
7a,7b 切欠部
8a,8b 切込部
11 制御回路
12 インバータ回路
13 電流検出回路
14 帰還回路
15 始動補償回路
50 直流電源

Claims (1)

  1. 永久磁石からなる回転子と、上部側に一対の切込部を設けて前記回転子を回転自在に挿入する回転子挿入孔を備え、下部側には分離可能な鉄心部材に電機子巻線を巻回したスケルトン形の単相ブラシレスモータを構成し、この単相ブラシレスモータの電機子巻線にインバータ回路から交番電圧を通電して該インバータ回路により転流を行わせて単相ブラシレスモータを回転させる制御回路を備えた永久磁石モータにおいて、前記制御回路は、単相ブラシレスモータの始動時に必要な始動トルクを発生させる電機子電流を電機子巻線に流して単相ブラシレスモータを始動させる始動補償回路と、この始動補償回路と前記インバータ回路との間に介挿されて単相ブラシレスモータの電機子巻線に流れる通電電流を検出する一対のシャント抵抗からなる電流検出回路と、前記電流検出回路により検出した検出電流をインバータ回路に負帰還させる帰還回路と、一対の電界効果トランジスタを具備して構成したインバータ回路とからなり、前記インバータ回路を構成する一対の電界効果トランジスタには、該電界効果トランジスタのドレイン電流を検出する前記電流検出回路の一方を接続するとともに、電流検出回路の他方を始動補償回路と接続して単相ブラシレスモータを始動させる通電電流の検出手段を構成し、この検出手段にて検出したインバータ回路の一方の電界効果トランジスタのドレイン電流により単相ブラシレスモータを始動するようにしたことを特徴とする永久磁石モータ。
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