JP3545866B2 - ウェハ保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体や液晶の製造装置において、半導体ウェハや液晶用ガラス等のウェハを保持・加工するために使用するウェハ保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程で、半導体ウェハに成膜を施すPVD装置、CVD装置や、そのウェハに微細加工処理を施すドライエッチング装置において、ウェハはチャンバー内でサセプターや静電チャック等に保持され、このチャンバー内を真空、高温に保持して加工が行われている。
【0003】
例えば図3に示すウェハ保持装置は、サセプターと呼ばれる板状体11にウェハ30を載置する載置面11aを形成し、その内部に発熱抵抗体12を備えている。また、板状体11の下面側に、気密封止用の筒体13のフランジ部13aをロウ材14によって気密接合し、この筒体13の下端に備えたフランジ部13bをOリング17を介してチャンバー18の底面に気密接合している。
【0004】
また、上記筒体13内側の板状体11の下面には、発熱抵抗体12への通電端子21や、熱電対等の板状体11の温度検出素子22、あるいは測温用光ファイバー等のウェハ30の温度検出素子23等を備えており、これらの導線が筒体13の内側を通って外側へ導出される。
【0005】
このウェハ保持装置を使用する場合は、板状体11にウェハ30を載置しておいて、チャンバー18の内部を真空にし、発熱抵抗体12及び温度検出素子22、23によって、ウェハ30が一定温度となるように加熱しながら各種加工を行う。
【0006】
この時、筒体13の上下端はそれぞれ気密接合してあるため、この筒体13の内側は、チャンバー18の内部と完全に遮断することができる。即ち、チャンバー18の内部は10−9torr/sec以下程度の高真空、高温とし、腐食性ガスを導入するが、筒体13の内側は外部と連通した大気雰囲気とすることができる。
【0007】
そのため、温度検出素子22、23や通電端子21等の部材がチャンバー18内部の高温で腐食性の雰囲気に曝されることがなく、耐久性を高くできるとともに、チャンバー18の内部に不純物やパーティクルが混入することを防止できるのである。
【0008】
また、上記板状体11の材質として、近年、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスが用いられ、一方上記筒体13は金属で形成されており、熱膨張差を緩和するために、筒体13の肉厚を0.1〜2mm程度と薄くすることが行われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体製造工程では、100〜300℃、さらには600℃程度の高温条件でウェハ30を加工することが多く、上記ウェハ保持装置のチャンバー18内部は常温から上記加工温度の間での熱サイクルが加わることになる。
【0010】
そのため、この熱サイクルによる繰り返し応力が、筒体13と板状体11とのロウ材14による接合部に集中して発生することによって、図4(A)(B)に示すように筒体13のフランジ部13aがクリープ変形して接合部に隙間が生じてしまうという不都合があった。その結果、数サイクルから数十サイクルの使用で、ガスリークが発生し、半導体製造装置に要求される高真空状態を維持できなくなるという問題があった。
【0011】
なお、この問題を解決するために、筒体13としてセラミック製板状体11と熱膨張が近似した金属を用いたり、ロウ材14として熱膨張差を緩和できるような低ヤング率のロウを用いる等の対策が提案されている。
【0012】
しかし、筒体13やロウ材14はチャンバー18内の雰囲気に曝されることから、
▲1▼処理工程で用いられる腐食性ガスに対する耐食性があること、
▲2▼高温の真空雰囲気で溶融、液化反応を生じないこと
が求められており、そのため、一般的な低熱膨張金属が使用できなかった。例えばW,Mo等は耐酸化性が悪く、ロウ材との反応性が高い。また、Ti,Cr,Re等は腐食性ガスに対する耐食性が悪くチャンバー18内の環境を悪化させるため使用できなかった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、ウェハの載置面を有するセラミックス製板状体の下面に、真空気密用筒体のフランジ部を接合するとともに、該フランジ部の下面に応力緩和リングを接合してウェハ保持装置を構成したことを特徴とする。
【0014】
即ち、セラミックス製の板状体と金属製の筒体を接合し、温度変化があった場合、熱膨張差に伴ってヤング率の低い筒体のフランジ部に変形が生じやすいが、本発明ではフランジ部の下方に応力緩和リングを接合して、フランジを両側から拘束し、変形を防止するようにしたものである。
【0015】
また本発明は、ウェハの載置面を有するセラミックス製板状体の下面に、該板状体と同程度の熱膨張率を有するセラミックス製の真空気密用筒体を気密接合してウェハ保持装置を構成したことを特徴とする。
【0016】
即ち、筒体を板状体と同程度の熱膨張率を有するセラミックスとすることによって、熱膨張差をなくすとともに、筒体自体の変形を防止するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明のウェハ保持装置の実施形態を図によって説明する(従来例と同一部分は同一符号で表す)。
【0018】
図1に示すウェハ保持装置は、サセプターと呼ばれるセラミックス製の板状体11にウェハ30を載置する載置面11aを形成し、その内部に発熱抵抗体12を備えている。また、板状体11の下面側に、気密封止用の金属製筒体13のフランジ部13aをロウ材14によって気密接合し、このフランジ部13aの下面にロウ材15によって応力緩和リング16を接合してある。さらに、筒体13の下端に備えたフランジ部13bはOリング17を介してチャンバー18の底面に気密接合している。
【0019】
また、上記筒体13内側の板状体11の下面には、発熱抵抗体12への通電端子21や、熱電対等の板状体11の温度検出素子22等を備えており、これらの導線が筒体13の内側を通って外側へ導出される。
【0020】
このウェハ保持装置を使用する場合は、板状体11にウェハ30を載置しておいて、チャンバー18の内部を真空にし、発熱抵抗体12及び温度検出素子22、23によって、ウェハ30が一定温度となるように加熱しながら各種加工を行う。
【0021】
この時、筒体13の上下端はそれぞれ気密接合してあるため、この筒体13の内側は、チャンバー18の内部と完全に遮断することができる。即ち、チャンバー18の内部は10−9torr/sec以下程度の高真空、高温とし、腐食性ガスを導入するが、筒体13の内側は外部と連通した大気雰囲気とすることができる。
【0022】
そのため、温度検出素子22、23や通電端子21等の部材がチャンバー18内部の高温で腐食性の雰囲気に曝されることがなく、耐久性を高くできるとともに、チャンバー18の内部に不純物やパーティクルが混入することを防止できるのである。
【0023】
また本発明では、筒体13のフランジ部13aの下面に応力緩和リング16を接合したことによって、熱サイクルが加わってもこの接合部に隙間が生じにくくすることができる。
【0024】
即ち、上記接合部を図2(A)に拡大して示すように、セラミックス製の板状体11の下面にメタライズ層を形成しておいて、ロウ材14によって金属製の筒体13のフランジ部13aを接合する。また該フランジ部の反対側の下面には、ロウ材15を介して断面が四角形状の応力緩和リング16を接合してある。
【0025】
そのため、熱サイクルが加わったときに、熱膨張差が生じても筒体13のフランジ部13aが板状体11と応力緩和リング16で挟まれて拘束されているために、変形することを防止できる。その結果、ロウ材14部分に隙間が生じにくく、ガスリークの発生を防止できるのである。
【0026】
なお応力緩和リング16の材質としては、金属やセラミックス等を用いることができるが、上記のような効果を奏するためには、板状体11と熱膨張率が近似したものを用いる必要があり、具体的には板状体11との熱膨張率差が2×10−6/℃以下のものが好ましい。特に、板状体11と同じ主成分のセラミックスを用いれば最適である。
【0027】
また、応力緩和リング16の厚みtは1mm以上とすることが好ましい。これは、厚みtが1mm未満では、フランジ部13aの変形を防止する効果が乏しいためである。
【0028】
さらに、他の実施形態として、図2(B)に示すように、筒体13のフランジ部13aを外側と内側の両方に延びる形状として、ロウ材14による接合部の幅を大きくすることもできる。この場合は、応力緩和リング16は、筒体13の外側(真空側)又は内側(大気側)のいずれか一方又は両方に備えれば良い。
【0029】
以上の実施例において、板状体11を成すセラミックスとしては、Al2 O3 ,AlN,ZrO2 ,SiC,Si3 N4 等の一種以上を主成分とするセラミックスを用いる。これらの中でも特に耐プラズマ性の点から、99重量%以上のAl2 O3 を主成分としSiO2 ,MgO,CaO等の焼結助剤を含有するアルミナセラミックスや、AlNを主成分とし周期律表2a族元素酸化物や3a族元素酸化物を0.5〜20重量%の範囲で含有する窒化アルミニウム質セラミックス、あるいは99重量%以上のAlNを主成分とする高純度窒化アルミニウム質セラミックスのいずれかが好適である。
【0030】
したがって、応力緩和リング16の材質としても、上記板状体11と同様のセラミックスを用いることが好ましい。
【0031】
また、筒体13の材質としては耐食性が高く、上記板状体11との熱膨張率差が6×10−6/℃以下の金属を用いる。これは、熱膨張率差が6×10−6/℃を超えると、ロウ付け直後にセラミックスの接合界面にクラックが生じやすくなるためである。具体的には、Fe−Ni−Co合金、Fe−Ni合金等を用いれば良い。
【0032】
さらに、ロウ材14、15の材質としては、高温中で溶融、液化を生じないものを用い、具体的にはAg−Cu系、Ti−Cu−Ag系等のロウを用いる。
【0033】
次に本発明の他の実施形態を説明する。
【0034】
以上の例では筒体13を金属で形成したが、筒体13をセラミックスで形成することもできる。即ち、図3に示すような構造のウェハ保持装置において、筒体13をセラミックスで形成し、そのフランジ部13aとセラミックス製板状体11の下面とをロウ材14によって接合することもできる。
【0035】
このようにすれば、熱サイクルが加わっても筒体13が変形することがなく、接合部に隙間が生じることを防止できる。なお、このような効果を奏するためには、筒体13を成すセラミックスとして、板状体11との熱膨張率差が2×10−6/℃以下のものを用いることが好ましく、特に板状体11と同じ主成分のセラミックスを用いれば最適である。
【0036】
【実施例】
実施例1
本発明実施例として、図1に示すウェハ保持装置を試作した。
【0037】
板状体11は直径8インチ(約200mm)の円板状で、AlN含有量99.9重量%以上の高純度窒化アルミニウム質セラミックスで形成した。上記AlNの一次原料をメタノールに混合し一次粉砕調合して平均粒径1μmとした後、10%の有機バインダーを添加し二次調合スラリーとした。このスラリーをスプレードライヤーにて造粒し、所定の造粒粉体を作製した。この造粒粉体を0.8tonでCIP成形した後、さらに切削加工により所定の寸法に加工した。この後、500℃の酸化雰囲気にて脱脂を行い、N2 雰囲気にて2000℃、5時間の焼成を行った。得られた焼結体は比重が3.26g/cm3 と理論密度に対して充分な焼結密度を有しており、その熱膨張率は5×10−6/℃であった。
【0038】
また、筒体13は、筒部の直径が150mmで、肉厚0.5mmとし、その材質は、
Fe−Ni−Co合金 熱膨張率 8×10−6/℃
Fe−Ni合金 熱膨張率11×10−6/℃
ステンレス(SUS304)熱膨張率13.5×10−6/℃
タングステン(W) 熱膨張率 5.2×10−6/℃
の4種類の金属を用いた。
【0039】
さらに、応力緩和リング16は、上記板状体11と同じ窒化アルミニウム質セラミックスで形成し、幅は5mm、厚みtは0.5、1、5、10mmの4種類のものを用意した。
【0040】
上記板状体11、筒体13、応力緩和リング16をロウ付けで接合する際は、予め板状体11と応力緩和リング16の所定箇所にCu−Ag−Ti系のロウ材を用いて800℃で表面にメタライズ層を形成し、この表面にNiメッキを施した。一方筒体13のフランジ部13aにもNiメッキを施した。これらに対し、ロウ材14、15としてAg−Cu系のロウを用いて850℃の真空中でロウ付けを行った。
【0041】
また比較例として、応力緩和リング16を接合しないものも用意した。
【0042】
これらのウェハ保持装置を用いて、実際のPVD装置中で、常温から550℃の熱サイクルを加えた後の接合部のリークの有無を調べる実験を行った。
【0043】
まず、応力緩和リング16の厚みtを5mmとし、筒体13の材質を変化させ、50サイクルの熱サイクルを加えた場合の結果を表1に示す。この結果より、応力緩和リング16を備えないものは、接合部に隙間が発生して、リークが生じたのに対し、本発明実施例である応力緩和リング16を備えたものでは、リークが生じなかった。
【0044】
ただし、筒体13としてステンレスを用いたものでは、板状体11との熱膨張率差が6×10−6/℃を超えるため、ロウ付け後にクラックが発生してしまった。また、筒体13としてタングステンを用いたものでは、耐食性が悪く実用上使用不可能であった。
【0045】
【表1】
【0046】
次に、筒体13としてFe−Ni−Co合金を用い、応力緩和リング16の厚みtを変化させたものについて、リークが発生するまでの熱サイクル数を求める実験を行った。
【0047】
結果は表2に示す通り、厚みtが1mm以上あれば50サイクル以上の耐久性がり、5mm以上あれば200サイクル以上の耐久性があることが判った。
【0048】
【表2】
【0049】
実施例2
次に、板状体11と応力緩和リング16をアルミナセラミックスで形成し、その他は実施例1と同様にしてウェハ保持装置を試作した。
【0050】
板状体11及び応力緩和リング16は、Al2 O3 99.9重量%以上のアルミナ原料を用いて、一次原料を水に混合して一次粉砕調合し、平均粒径0.5μm以下とした後、10%の有機バインダーを添加し二次調合スラリーとした。このスラリーをスプレードライヤーで造粒し、所定の造粒粉体を作製した。この造粒粉体を0.8tonでCIP成形した後、切削加工により所定の寸法に加工した。この成形体を酸化雰囲気中約1800℃、5時間の条件で焼成した。得られた焼結体の比重は3.9g/cm3 とその理論密度に対して充分な焼結密度を有しており、熱膨張率は7.1×10−6/℃であった。
【0051】
また、筒体13の材質は、
Fe−Ni−Co合金 熱膨張率 8×10−6/℃
Fe−Ni合金 熱膨張率11×10−6/℃
ステンレス(SUS304)熱膨張率13.5×10−6/℃
モリブデン(Mo) 熱膨張率 5.8×10−6/℃
の4種類の金属を用いた。
【0052】
板状体11、筒体13、応力緩和リング16をロウ付けで接合する際は、予め板状体11と応力緩和リング16の所定箇所にMo−Mn系のロウ材を用いて1100℃で表面にメタライズ層を形成し、この表面にNiメッキを施した。一方筒体13のフランジ部13aにもNiメッキを施した。これらに対し、ロウ材14、15としてAg−Cu系のロウを用いて850℃の真空中でロウ付けを行った。
【0053】
また比較例として、応力緩和リング16を接合しないものも用意した。
【0054】
これらのウェハ保持装置を用いて、実際のPVD装置中で、常温から550℃の熱サイクルを加えた後の接合部のリークの有無を調べる実験を行った。
【0055】
まず、応力緩和リング16の厚みtを5mmとし、筒体13の材質を変化させ、50サイクルの熱サイクルを加えた場合の結果を表3に示す。この結果より、応力緩和リング16を備えないものは、接合部に隙間が発生して、リークが生じたのに対し、本発明実施例である応力緩和リング16を備えたものでは、リークが生じなかった。
【0056】
ただし、筒体13としてステンレスを用いたものでは、板状体11との熱膨張率差が6×10−6/℃を超えるため、ロウ付け後にクラックが発生してしまった。また、筒体13としてモリブデンを用いたものでは、耐食性が悪く実用上使用不可能であった。
【0057】
【表3】
【0058】
次に、筒体13としてFe−Ni−Co合金を用い、応力緩和リング16の厚みtを変化させたものについて、リークが発生するまでの熱サイクル数を求める実験を行った。
【0059】
結果は表4に示す通り、厚みtが1mm以上あれば50サイクル以上の耐久性がり、5mm以上あれば200サイクル以上の耐久性があることが判った。
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ウェハの載置面を有するセラミックス製板状体の下面に、真空気密用筒体のフランジ部を接合するとともに、該フランジ部の下面に応力緩和リングを接合してウェハ保持装置を構成したことによって、熱サイクルが加わっても筒体のフランジ部が変形しにくいことから、板状体との接合部がガスリークを起こさず、長期間良好に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウェハ保持装置を示す断面図である。
【図2】本発明のウェハ保持装置における板状体と筒体との接合部を示す拡大断面図である。
【図3】従来のウェハ保持装置を示す断面図である。
【図4】従来のウェハ保持装置における板状体と筒体との接合部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
11:板状体
11a:載置面
12:発熱抵抗体
13:筒体
13a:フランジ部
14:ロウ材
15:ロウ材
16:応力緩和リング
17:Oリング
18:チャンバー
21:通電端子
22:温度検出素子
30:ウェハ
Claims (3)
- ウェハの載置面を有するセラミックス製板状体の下面に、金属からなる真空気密用筒体のフランジ部を接合するとともに、該フランジ部の下面に上記板状体との熱膨張率差が2×10 −6 /℃以下の材質からなる応力緩和リングを接合して、該応力緩和リングと上記板状体で上記フランジ部を挟むようにしたことを特徴とするウェハ保持装置。
- 上記応力緩和リングの厚みが1mm以上であることを特徴とする請求項1記載のウェハ保持装置。
- 上記筒体は、上記板状体との熱膨張率差が6×10 −6 /℃以下の金属からなることを特徴とする請求項1または2記載のウェハ保持装置。
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