JP3545905B2 - 偏光分離素子とその偏光分離素子を用いた光ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク用の光ヘッドに応用される偏光分離素子、及びその偏光分離素子を用いた光ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
偏光分離素子に関する従来技術としては例えば以下のようなものがある。
1.「複屈折回折格子型偏光子」1988年第35回春季応用物理学会講演予稿集29a−ZH−10。この複屈折回折格子型偏光子では、図22に示すように、複屈折光学結晶であるLiNbO3 を基板として用い、これに周期的パターンでプロトン交換を施し、さらにプロトン交換領域上に誘電体膜を装荷した構造を持つ。プロトン交換領域では異常光線に対しては屈折率が増加し、常光線に対しては減少する。そして、プロトン交換領域での常光線の位相差を誘電体膜で相殺することにより常光線は直進させ、異常光線だけを回折させる偏光子を実現する。
2.「LiNbO3 を用いた偏光分離素子」1993年第40回春季応用物理学会講演予稿集30a−B−1。この偏光分離素子では、図23に示すように、やはりLiNbO3 を基板として用い、周期的格子状のプロトン交換領域を形成し、このプロトン交換領域のみを次に選択エッチングして周期的溝を作る。この溝でプロトン交換による異常光の屈折率増加を相殺し、常光の屈折率の減少を強調する。これにより異常光は直進し、常光が回折される偏光分離素子が実現できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術によれば、常光と異常光を分離する偏光分離素子が実現されるが、次のような欠点がある。
▲1▼作製に時間がかかる。すなわち、結晶に対して周期的イオン交換処理を行う必要があるので、イオン交換だけでも数時間(例として前記従来技術1では5時間程度)必要である。また、イオン交換だけでなく誘電体膜形成、そして、それのフォトリソグラフィーによるエッチングなど、工程が多く複雑である。
▲2▼コストが高い。すなわち、▲1▼で述べたように作製に時間や手間がかかる上、基板にLiNbO3 などの光学結晶が必要であり、素子のコストが高くなる。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、a.作製に時間がかからず少ない工程で作製できる偏光分離素子を提供すること、b.低コストの偏光分離素子を提供すること、c.上記a,bの特徴を持つ偏光分離素子を使用した構成がシンプルな光ディスク用の光ヘッドを提供すること、を目的とする。そしてより詳しく述べると各請求項の目的は以下の通りである。
【0005】
請求項1の目的は、上記a,bの目的の達成及び構成の簡易な偏光分離素子を提供することであり、さらには、等方性オーバーコート層を平坦に安定化して作成できるようにすることである。
請求項2の目的は、請求項1の目的に加え、偏光分離動作として格子ベクトル方向に振動する偏光成分を直進透過光、これと垂直方向に振動する偏光成分を回折光として分離させる際に、最大偏光分離度を出す条件を提示することである。
請求項3の目的は、請求項1の目的に加え、偏光分離動作として格子ベクトル方向に振動する偏光成分を回折光、これと垂直方向に振動する偏光成分を直進透過光として分離させる際に、最大偏光分離度を出す条件を提示することである。
請求項4の目的は、請求項1の目的に加え、等方性オーバーコート層が凹凸であっても偏光分離素子として使えるようにすることである。
請求項5の目的は、請求項4の目的に加え、偏光分離動作として格子ベクトル方向に振動する偏光成分を直進透過光、これと垂直方向に振動する偏光成分を回折光として分離させる際に、最大偏光分離度を出す条件を提示することである。
請求項6の目的は、請求項4の目的に加え、偏光分離動作として格子ベクトル方向に振動する偏光成分を回折光、これと垂直方向に振動する偏光成分を直進透過光として分離させる際に、最大偏光分離度を出す条件を提示することである。
請求項7の目的は、請求項1〜6の何れかの目的に加え、異方性膜として簡便に作成でき、大面積に低コストで作製させることである。
請求項8の目的は、請求項1〜6の何れかの目的に加え、異方性膜として簡便に作成でき、大面積に低コストで作製させることである。
請求項9の目的は、請求項1〜8の何れかの目的に加え、偏光分離素子を早く簡易に作製することである。
【0006】
請求項10の目的は、前記cの目的の達成であり、偏光分離素子を用いた光ヘッドの構成を提供することである。
請求項11の目的は、光ヘッド用の1/4波長板と偏光分離素子を一体化した構成を提供することである。
請求項12の目的は光ヘッド用の1/4波長板と偏光分離素子を一体化した別の構成を提供することである。
請求項13の目的は、光ヘッドの光源、光検出器、偏光分離素子を一体化して簡易化した構成を提供することである。
請求項14の目的は、前記cの目的の達成であり、異なる波長を持つ複数の光源と、偏光分離素子を用い、光学系を共用できる光ヘッドの構成を提供することである。
請求項15の目的は、請求項14の目的に加え、複数の光源と光検出器、偏光分離素子を一体化して簡易化した構成を提供することである。
請求項16の目的は、請求項14または15の目的に加え、基板厚さの異なる光ディスクに対して良好な集光性能を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の偏光分離素子は、直交する2つの偏光成分を分離するため、透明基板上に入射光の異なる振動面に対し屈折率が異なる異方性膜がドライエッチングあるいはウェットエッチングにより基板に達するまでエッチングされて周期的格子として装荷され、さらにその上に等方性のオーバーコート層が被覆され、その上に第二の透明基板を備え、前記等方性オーバーコート層が前記透明基板と前記第二の透明基板とを前記異方性膜の格子間で接着する接着層であり、入射光の直交する偏光を0次光と回折光に分離することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の偏光分離素子は、請求項1の構成に加え、異方性膜の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層の屈折率をn1、異方性膜の周期的格子の凹凸深さをh、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h=mλ
(ns−n1)h=(m±1/2)λ
を略満足することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の偏光分離素子は、請求項1の構成に加え、異方性膜の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層の屈折率をn1、異方性膜の周期的格子の凹凸深さをh、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h=(m±1/2)λ
(ns−n1)h=mλ
を略満足することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の偏光分離素子は、請求項1の構成に加え、等方性オーバーコート層の上面が異方性膜の周期的格子と位相の合った凹凸状となっていることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の偏光分離素子は、請求項4の構成に加え、異方性膜の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層の屈折率をn1、異方性膜の周期的格子の凹凸深さをh、等方性オーバーコート層の上面の凹凸深さをh1、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h+(n1−1)h1=mλ
(ns−n1)h+(n1−1)h1=(m±1/2)λ
を略満足することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の偏光分離素子は、請求項4の構成に加え、異方性膜の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層の屈折率をn1、異方性膜の周期的格子の凹凸深さをh、等方性オーバーコート層の上面の凹凸深さをh1、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h+(n1−1)h1=(m±1/2)λ
(ns−n1)h+(n1−1)h1=mλ
を略満足することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の偏光分離素子は、請求項1から6の何れかの構成に加え、無機物質の斜め蒸着により形成した異方性膜を用いることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の偏光分離素子は、請求項1から6の何れかの構成に加え、有機物質を配向して形成した異方性膜を用いることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の偏光分離素子は、請求項1から8の何れかの構成に加え、透明基板上に形成した異方性膜の上に感光性樹脂を装荷し、光あるいは電子線で周期パターンを露光し、現像後、感光性樹脂をエッチングマスクとして用い、ウェットエッチングあるいはドライエッチングで異方性膜の周期的格子構造を形成した後、感光性樹脂を除去し、異方性膜上部に等方性オーバーコート層を形成して成ることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の光ヘッドは、光源と、光源と光ディスクの間に配置された対物レンズと、光源と対物レンズの間に配置された請求項1から9の何れかに記載の偏光分離素子と、偏光分離素子と対物レンズの間に配置された1/4波長板と、偏光分離素子による回折光を検出する光検出器を備え、光源からの光を少なくとも対物レンズにより光ディスク面に集光し、光ディスクからの反射光を偏光分離素子により回折分離して光検出器で検出することを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の偏光分離素子は、請求項10記載の光ヘッドに用いられる偏光分離素子であって、請求項1から9の何れかの構成の偏光分離素子に1/4波長板が接着され一体化されていることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の偏光分離素子は、請求項10記載の光ヘッドに用いられる偏光分離素子であって、請求項1から9の何れかの構成の偏光分離素子上に異方性膜を用いた1/4波長膜が形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の光ヘッドは、請求項10記載の光ヘッドにおいて、請求項11または12記載の偏光分離素子を備え、少なくとも光源と光検出器が1つのパッケージ内に実装されているか、あるいは光源と光検出器が実装されたパッケージに請求項11または12記載の偏光分離素子が接着により一体化されていることを特徴とする。
【0021】
請求項14記載の光ヘッドは、波長の異なる複数の光源と、その複数の光源と光ディスクの間に配置された対物レンズと、複数の光源と対物レンズの間に配置された請求項1から9の何れかに記載の偏光分離素子と1/4波長板、あるいは請求項11または12記載の偏光分離素子と、偏光分離素子による回折光を検出する複数の光検出器を備え、少なくとも対物レンズにより複数の波長の異なる光をそれぞれ異なる光ディスク面に集光し、光ディスクからの反射光を前記偏光分離素子により波長毎に回折分離して波長毎の光検出器で独立に検出することを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の光ヘッドは、請求項14の構成に加え、少なくとも複数の光源と複数の光検出器が1つのパッケージ内に実装され、あるいは複数の光源と複数の光検出器が実装されたパッケージに請求項1〜9の何れかに記載の偏光分離素子あるいは請求項11または12記載の偏光分離素子が接着により一体化されていることを特徴とする。
【0023】
請求項16記載の光ヘッドは、請求項14または15の構成に加え、波長の異なる複数の光源の出射面が、光ヘッド光学系の光軸方向に互いにずれて配置されていることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による偏光分離素子及びその偏光分離素子を用いた光ヘッドの構成及び動作を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(実施例1)
まず偏光分離素子の実施例について説明する。図1は偏光分離素子の構成例を示す部分断面図である。図1において、偏光分離素子1は、ガラスやプラスチック等の透明基板2上に周期的格子構造を持つ異方性膜3が形成され、その上を等方性のオーバーコート層4で覆われた構成となっている。尚、請求項1の構成では、後述するようにオーバーコート層の上に第二の透明基板を備えた構成となる(図10)。異方性膜3は図1の紙面方向に振動する光と紙面とは垂直に振動する光に対する屈折率が異なる異方性を示す膜である。この偏光分離素子1の動作を図2、図3に示す。
【0026】
図2は図1に示す偏光分離素子の動作の一実施例を示す図であり、偏光分離素子1への入射光が紙面方向とそれに垂直の2方向の振動成分をもつものとする。図2では偏光分離素子1を透過後、紙面方向の振動成分の光は0次光として直進する。また紙面と垂直方向の振動成分の光は±1次光として回折する。よって偏光により進行方向が変わり、偏光分離素子として動作する。
図3は図1に示す偏光分離素子の別の動作の実施例を示す図であり、図2とは反対に紙面に垂直な振動方向の光が0次光として直進し、紙面方向に振動する光が±1次光として回折され、偏光分離される。
【0027】
(実施例2)
次に請求項2の実施例について説明する。本実施例では、詳しく素子の動作を解析し、図2の偏光分離素子の動作の最適条件を求める。
図4は偏光分離素子1の要部を部分的に拡大して示す断面図である。透明基板2上に異方性膜3が周期dで規則的に配列され、また、異方性膜3の膜厚をhとする。また、図5のように異方性膜3が凹凸の周期形状をしていても良く、このときhは周期凹凸形状の深さとなる。
【0028】
ここで、異方性膜3の周期的格子の図4(または図5)の紙面方向の偏波(p偏光とする)に対する屈折率をnp 、紙面と垂直方向の偏波(s偏光とする)に対する屈折率をns とし、また、等方性オーバーコート層4の屈折率をn1 とすると、例えば図4において、光路A,Bに対する光路長差Δは、
紙面方向(格子ベクトル方向):Δp=(np−n1)h ・・・(1)
紙面に垂直方向(格子ベクトルに垂直方向):Δs=(ns−n1)h ・・・(2)
となる。以後、紙面方向を格子ベクトル方向と呼ぶ(図1に図示)。
【0029】
図2のように格子ベクトル方向の振動成分が0次光として直進し、格子ベクトルと垂直方向の振動成分が±1次光として回折されるためには、次の二式が満足されることが必要である。すなわち、使用する光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h=mλ ・・・(3)
(ns−n1)h=(m±1/2)λ ・・・(4)
となる。
【0030】
ここで(3) 式は、格子ベクトル方向の振動成分の光の光路差が波長λの整数倍となり、格子通過後も0次光として直進する条件である(干渉により強め合う)。また(4) 式は、格子ベクトル方向と垂直な振動成分の光に対してA,B部の光路差が半波長の奇数倍だけずれて打ち消し合い、直進光(0次光成分)がなくなり、全て回折光となる条件である(干渉により直進成分は打ち消し合い、回折光の方に光がいく)。よって、0次と1次に偏光分離するとき、偏光分離度を高めるためには(3),(4)式を満足していることが必要である。ただし、実用的には(3),(4)式を厳密に満足していなくても、略(3),(4)式近傍の条件になるように異方性膜3の屈折率np,ns、オーバーコート層4の屈折率n1 、異方性膜3の凹凸深さh、次数mを設定することになる。
【0031】
(実施例3)
次に請求項3の実施例について説明する。本実施例では、偏光分離素子1が図3のように動作するときの最適条件を求める。
図3のように格子ベクトル方向の振動成分が±1次光として回折し、格子ベクトルと垂直方向の振動成分が0次光として直進する条件は、異方性膜3の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波(p偏光)に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波(s偏光)に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層4の屈折率をn1、異方性膜2の周期的格子の凹凸深さをh、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、
(np−n1)h=(m±1/2)λ ・・・(5)
(ns−n1)h=mλ ・・・(6)
となる((5)式は干渉により直進成分は打ち消し合い回折光となる条件、(6)式は干渉により強め合い格子通過後も0次光として直進する条件である)。従って実際に(5),(6)式の条件が略成り立つように異方性膜3の屈折率np,ns、オーバーコート層4の屈折率n1 、異方性膜3の凹凸深さh、次数mを設定する。
【0032】
(実施例4)
次に請求項4の実施例について説明する。図6は偏光分離素子の要部を部分的に拡大して示す断面図であり、本実施例の偏光分離素子では、等方性オーバーコート層4’の上面が異方性膜3の周期格子と位相の合った凹凸状となっている。実際に偏光分離素子を作製する場合、等方性オーバーコート層が図4のようには完全に平坦化されずに、図6に示す等方性オーバーコート層4’のように、異方性膜の周期構造を反映した表面が凹凸状になる構造もある。このような場合も、上述した偏光分離素子としての動作には支障がなく、偏光分離素子として機能する。尚、本実施例は、等方性オーバーコート層をスパッタリングや蒸着などの方法で成膜したときに、完全に平坦化されないときに適用できる。
【0033】
(実施例5)
次に請求項5の実施例について説明する。本実施例は、実施例4(請求項4)に示した構成の偏光分離素子が、偏光分離素子として動作するための最適条件を求めるものである。図6において、異方性膜3の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波(p偏光)に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波(s偏光)に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層4’の屈折率をn1、異方性膜2の周期的格子の凹凸深さをh、オーバーコート層4’の凹凸深さをh1 とすると、光路A,Bに対する光路長差Δは、
格子ベクトル方向:Δp=(np−n1)h+(n1−1)h1 ・・・(7)
格子ベクトルに垂直方向:Δs=(ns−n1)h+(n1−1)h1 ・・・(8)
となる。
【0034】
図6において図2に示した如く、格子ベクトル方向の振動成分が0次光として透過(直進)し、格子ベクトルと垂直方向の振動成分が±1次光として回折されるための条件は、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、
(np−n1)h+(n1−1)h1=mλ ・・・(9)
(ns−n1)h+(n1−1)h1=(m±1/2)λ ・・・(10)
となる((9)式は干渉により強め合い格子通過後も0次光として直進する条件、(10)式は干渉により直進成分は打ち消し合い回折光となる条件である)。従って実際に(9),(10)式の条件が略成り立つように異方性膜3の屈折率np,ns、オーバーコート層4’の屈折率n1 、異方性膜3の凹凸深さh、オーバーコート層4’の凹凸深さh1、次数mを設定する。
【0035】
(実施例6)
次に請求項6の実施例について説明する。本実施例は、実施例4(請求項4)に示した構成の偏光分離素子が、偏光分離素子として動作するための別の最適条件を求めるものである。図6において図3に示した如く、格子ベクトル方向の振動成分が±1次光として回折し、格子ベクトルと垂直方向の振動成分が0次光として透過(直進)となるための最適条件は、異方性膜3の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波(p偏光)に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波(s偏光)に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層4’の屈折率をn1、異方性膜2の周期的格子の凹凸深さをh、オーバーコート層4’の凹凸深さをh1 、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、
(np−n1)h+(n1−1)h1=(m±1/2)λ ・・・(11)
(ns−n1)h+(n1−1)h1=mλ ・・・(12)
となる((11)式は干渉により直進成分は打ち消し合い回折光となる条件、(12)式は干渉により強め合い格子通過後も0次光として直進する条件である)。従って実際に(11),(12)式の条件が略成り立つように異方性膜3の屈折率np,ns、オーバーコート層4’の屈折率n1 、異方性膜3の凹凸深さh、オーバーコート層4’の凹凸深さh1、次数mを設定する。
【0036】
(実施例7)
次に請求項7の実施例について説明する。今まで説明してきた偏光分離素子に使われる異方性膜としては従来技術にあるような光学結晶ではなく、もっと簡易に、低コストに作成できるものが望まれる。このような異方性膜として適しているものとして、誘電体材料を真空蒸着で成膜する際、蒸発源に対して基板を傾けて配置させる、いわゆる斜め蒸着膜がある(参考文献:表面技術,Vol.46,No.7,1995,P.32〜35「位相差膜」)。これは図7に示すように、真空蒸着するとき、蒸発源としてTa2O5,SiO2などの無機物質からなる誘電体材料を用い、基板を斜めにして蒸着を行う。このとき基板の傾き角を最適化するとTa2O5に対して膜の複屈折Δnが最大0.08程度となる(上記参考文献参照)。
【0037】
ここで、前記(3),(4)式を辺々減算すると、
(np−ns)h=λ/2 ・・・(13)
となり、np−nsは膜の複屈折であるから、これをΔnとすると、
Δn・h=λ/2 ・・・(14)
h=λ/(2・Δn) ・・・(15)
となる。この(15)式に、数値例としてλ=0.65μm、Δn=0.08を代入すると、
h=0.65/(2×0.08)≒4.1μm
となる。すなわちTa2O5を材料として斜め蒸着を行って得た異方性膜に対して、図4における異方性膜の凹凸の高さh≒4.1μmとなる訳である。
【0038】
以上のように、無機物質からなる誘電体の斜め蒸着により異方性膜を作成することにより、真空蒸着法という比較的簡便な方法で膜が形成でき、また大面積に形成することも可能であり、従来の光学結晶を用いる方法よりも低コストで作り易いものとなる。
【0039】
(実施例8)
次に請求項8の実施例について説明する。異方性膜を簡易に得る別の方法として、有機物質の高配向膜を用いる方法がある。一例として、図8に示すように、ガラスなどの透明基板2上に、SiO2などを斜め蒸着するか、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)などの有機膜を布で擦ってラビング処理して配向膜5を形成し、その配向膜5上にポリジアセチレンモノマーを真空蒸着して配向させ、この後、紫外光を照射してポリマー化して有機異方性膜3’とする方法である(参考文献:J.Appl.Phys.,72,No.3,P.938〜947(1992))。この方法により有機材料の真空蒸着で異方性膜が形成でき、大面積、低コストな偏光分離素子を得ることができる。
【0040】
(実施例9)
次に請求項9の実施例について説明する。ここでは本発明による偏光分離素子1の作製方法を説明する。
まず図9(a)のように、ガラス基板2上に異方性膜3を形成する。次に図9(b)のように、異方性膜3の上にフォトレジスト6をコーティングする。そして、このフォトレジスト6に周期的パターンを露光する。このときはマスクによる密着露光でもよいし、投影露光でもよい。この他、電子線露光、あるいはレーザ光による干渉露光でもよい。露光後、フォトレジストを現像し、図9(c)のようにフォトレジスト6による周期的格子パターンを得る。次に図9(d)のように、フォトレジスト6をエッチングマスクとして異方性膜3をエッチングする。エッチング法としては公知のドライエッチングあるいはウェットエッチングで行える。次に図9(e)のように、フォトレジストを溶剤あるいはプラズマによるアッシングで取り除く。そして図9(f)のように、周期的格子構造を有する異方性膜3の上に等方性オーバーコート層4を形成する。等方性オーバーコート層4の形成法としては、樹脂のスピンコート、ロールコート、ディッピングコートなどの方法、あるいは誘電体(SiO2、SiON、他)の真空蒸着、スパッタリング、CVDなどによる成膜で形成できる。この中で樹脂のスピンコートが平坦性が優れ、また簡易、低コストに形成できるのでよい。また、本作製法は、従来技術で述べた偏光分離素子のように数時間に及ぶ工程が含まれておらず、偏光分離素子の作製に時間、手間がかからない。
【0041】
(実施例10)
次に請求項1のより具体的な実施例について説明する。図10は請求項1記載の偏光分離素子の具体的な構成例を示す部分断面図である。図10に示す偏光分離素子1’は、図1に示した偏光分離素子1の等方性オーバーコート層4の代わりに、2枚の透明基板(ガラス基板等)2,8で周期構造の異方性膜3を挾み、その間を透明な等方性接着層7で接着した構造である。この場合は等方性接着層7がオーバーコート層を兼ねている。接着層7に用いる接着剤としては、紫外線硬化型、熱硬化型の種々の接着剤が使える。このとき接着層7の屈折率は、前述の式(3)〜(6)あるいは式(9)〜(12)に従って精密に決める必要があるので、この点に関しては紫外線硬化型が好ましい。この接着構造により、[1]オーバーコート層(等方性接着層7)が容易に平坦化できる、[2]上下を透明基板2,8でサンドイッチされているので、耐環境性(温度、湿度)や、外部からの機械的圧力などに強くなる、[3]上側の透明基板8に別機能をもたせることで複合機能素子が実現可能、などの特徴をもつ。
【0042】
(実施例11)
次に請求項10の実施例について説明する。図11は請求項10記載の光ヘッドの一例を示す概略構成図であり、実施例1〜10に述べた本発明の偏光分離素子(1または1’)を光ディスク用の光ヘッドに用いた実施例を示している。
図11において、光源である半導体レーザ11からの出射発散光中に1/4波長板付偏光分離素子17が配置されており、この1/4波長板付偏光分離素子17は、前述の実施例1〜10(請求項1〜9)で説明した中の何れかの偏光分離素子(1または1’)からなる偏光分離素子17aに1/4波長板17bが一体化された構成のものである。偏光分離素子17a中の周期的格子の格子ベクトル方向は図11の紙面方向と一致している。半導体レーザ11の出射光の振動方向が紙面方向のとき、偏光分離素子17aは前述した(3),(4)式を満足することが望ましく、振動方向が紙面と垂直方向のときは式(5),(6)を満足することが望ましい。この条件により半導体レーザ11からの出射光は、1/4波長板付偏光分離素子17の偏光分離素子17aを0次光としてほとんど損失なく透過する。そして偏光分離素子17aに一体化した1/4波長板17bを透過後、円偏光となりコリメートレンズ16に入射し、ここで平行光となり対物レンズ15により光ディスク14上の記録面に集光する。
【0043】
光ディスク14上の記録面で反射された光は、対物レンズ15、コリメートレンズ16を経て1/4波長板付偏光分離素子17に戻り、ここで1/4波長板17bにより円偏光が半導体レーザ出射時の振動方向と直交する方向に変換される。出射時と直交した振動面に対しては、偏光分離素子17aでほとんど±1次光として回折される。そして±1次回折された戻り光は、それぞれ光検出器12及び13で検出される。光検出器12及び13による検出は、光ディスク14に記録されている情報信号の他、フォーカスサーボやトラッキングサーボのためのフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が検出される。これは偏光分離素子17aの周期構造を複数領域に分割し、各々回折方向をわずかに変えて(格子方向、格子曲率をわずかに変えて)公知のサーボ信号検出法であるフォーカス誤差信号(ナイフエッジ法、非点収差法、ビームサイズ法等)、トラッキング誤差信号(プッシュプル法等)を形成する複数ビームを出射する。この複数ビームを、複数に分割された検出器12,13で検出してサーボ信号を発生する。
【0044】
以上のように、光ヘッドに本発明に係る偏光分離素子17aを適用し、該偏光分離素子17aと1/4波長板を一体化した1/4波長板付偏光分離素子17を半導体レーザ11からの出射発散光中に配置することで、光ディスク14への往路は回折光が生ぜず透過してほとんどの光が光ディスク14へ集光し、光ディスク14からの反射光は1/4波長板17b透過後、偏光分離素子17aでほとんど回折され高効率に光検出器12,13へ入射するので、往路、復路とも高光利用効率の光ヘッドを実現できる。
【0045】
図12は請求項10記載の光ヘッドの別の例を示す概略構成図であり、図12に示す光ヘッドでは、実施例1〜10(請求項1〜9)で説明した中の何れかの偏光分離素子(1または1’)からなる偏光分離素子17aに1/4波長板17bが一体化された構成の1/4波長板付偏光分離素子17がコリメートレンズ16と対物レンズ15の間の平行光中に配置されている構成であり、動作的には図11と同様の機能をもつ。図12に示すように1/4波長板付偏光分離素子17をコリメートレンズ16と対物レンズ15の間の平行光中に配置することで、偏光分離度が向上し、より往路、復路の光利用効率がよくなる。
【0046】
(実施例12)
次に請求項11の実施例について説明する。図13に実施例11(請求項10)の光ヘッドに用いる1/4波長板付偏光分離素子17の詳細を示す。図13において、偏光分離素子17aは、透明基板17-4上に異方性膜の周期的格子構造17-3が形成され、その上に対向透明基板17-4’が透明な等方性接着層17-5で接着されている構成(図10と同様の構成)となっており、この偏光分離素子17aの対向透明基板17-4’上には、前述の1/4波長板17bとして、水晶あるいはLiNbO3 などの複屈折性結晶で作成された1/4波長板17-1が接着により一体化されている。
【0047】
また、図14は実施例11(請求項10)の光ヘッドに用いる1/4波長板付偏光分離素子17の別の実施例を示す図であり、この例では図13の対向透明基板17-4’を省略し(すなわち偏光分離素子を図1と同様の構成とし)、1/4波長板17-1を異方性膜の周期的格子構造17−3に直接、等方性接着層17-2で接着し一体化したものである。
【0048】
このように、本発明の偏光分離素子を光ヘッドに用いるとき、往・復路の光利用効率を最大にするには1/4波長板との組み合わせが必須であるが、図13または図14のように両者を接着して一体化することにより、光ヘッドの部品点数を減らすことができ、光ヘッドのコンパクト化に寄与できる。
【0049】
(実施例13)
次に請求項12の実施例について説明する。図15は実施例11(請求項10)の光ヘッドに用いる1/4波長板付偏光分離素子17のさらに別の実施例を示す図である。図15において、偏光分離素子17aは、透明基板17-4上に異方性膜の周期的格子構造17-3が形成され、その上に対向透明基板17-4’が透明な等方性接着層17-5で接着されている構成(図10と同様の構成)となっており、この偏光分離素子17aの対向透明基板17-4’の上面には、前述の1/4波長板17bに相当するものとして、異方性膜を用いた1/4波長膜17-6が装荷成膜されている。
【0050】
この異方性膜を用いた1/4波長膜17−6としては、実施例7で説明した無機誘電体の斜め蒸着による異方性膜、あるいは実施例8で説明した有機物を配向膜上に真空蒸着して配向させた異方性膜などが用いられる。
また、異方性膜の複屈折をΔnとし、膜厚をdとすると、
Δn・d=(m+1/4)λ ・・・(16)
(m=0,1,2,・・・)
が成り立つように膜厚を設定する。
【0051】
本実施例により、1/4波長板として高価な光学結晶を用いる必要がなく、大面積に低コストに1/4波長膜が形成できる。
【0052】
(実施例14)
次に請求項13の実施例について説明する。図16は請求項13記載の光ヘッドの一例を示す概略構成図であり、本発明の偏光分離素子を用いた光ヘッドの別の実施例を示している。図16に示す光ヘッドの光学系の構成は図11と同じであるが、半導体レーザ11及び光検出器12,13を一体的にパッケージ18の中に封入し、そのパッケージ18中には乾燥N2 ガスを充填し耐候性を向上している。さらにこのパッケージ18の上面には、偏光分離素子17aと1/4波長板17bを一体化した1/4波長板付偏光分離素子17を接着して一体化させてある。
【0053】
図17は請求項13記載の光ヘッドの別の例を示す概略構成図であり、図16のコリメートレンズ16を省略して対物レンズ15’が有限系の集光を行う場合を示しており、他の構成は同じである。
【0054】
図16、図17のように、半導体レーザ11、光検出器12,13、1/4波長板付偏光分離素子17をパッケージ18により一体化させると、[1]光学系の部品点数が減らせ、構成がシンプルになる、[2]光ヘッド組立ての際の調整個所を減らせ、組立て調整が簡単になる、[3]主要部が一体化しているので使用時の環境、温、湿度の変化に対し光学系の特性変化を少なくできる、などの特徴をもつ。
【0055】
図18は請求項13記載の光ヘッドのさらに別の例を示す概略構成図であり、図12に示した光ヘッドと同様の構成の光学系について、半導体レーザ11と光検出器12,13を1つのパッケージ18'に一体的に装荷した構成を示す。図18に示す光ヘッドでは、全部が個別部品の図12の光ヘッドに比べ、光源11と光検出器12,13をパッケージ18'に一体化しているため、前述の[1] , [2] , [3]の特徴をもっている。その程度は図16,17の構成に比べて特徴[1]が劣るが、他の特徴[2] , [3]は同様である。
【0056】
(実施例15)
次に請求項14の実施例について説明する。図19は請求項14記載の光ヘッドの一例を示す概略構成図である。この光ヘッドは、波長の異なる2個の半導体レーザからなる光源11,11’と、その光源11,11’と光ディスク14(または14’)の間に配置された対物レンズ15と、光源11,11’と対物レンズ15の間に配置された偏光分離素子17aと1/4波長板17bを一体化した1/4波長板付偏光分離素子17と、該1/4波長板付偏光分離素子17による回折光を検出する複数の光検出器12,12’,13,13’を備えている。また、図19の例では、1/4波長板付偏光分離素子17と対物レンズ15の間にコリメートレンズ16が配置されている。
【0057】
本実施例は、光ヘッドに波長の異なる光源を2個用い、光学系を共通的に用いる構成である。これは現在の光ディスクシステムで、波長λ=780nmで読み出すことを前提にした追記型CDであるCD−R(CD−Recordable)と、波長λ=650nmで記録再生を行う追記型DVDのDVD−Rや、書き換え型DVDのDVD−RAMの2種類の波長を、一つの光ヘッドで互換的に使用する場合などがこれにあたる。
【0058】
図19において、2個の半導体レーザ光源のうち、半導体レーザ11は例えば発振波長λ1=650nmであり、半導体レーザ11’は発振波長λ2=780nmである。光ヘッドの光学系中の1/4波長板付偏光分離素子17、コリメートレンズ16、対物レンズ15は両波長に対して共通的に使われる。また、光ディスク14はDVDなどの薄基板の媒体、光ディスク14’はCDなどの厚基板の媒体である。尚、図19中、半導体レーザ11の短波長の光線は実線で光路を示し、半導体レーザ11’の長波長の光線は破線で示す。
【0059】
半導体レーザ11からの短波長の光線は薄基板のDVD系媒体である光ディスク14に集光し、半導体レーザ11’からの長波長の光線は厚基板のCD系媒体である光ディスク14’に集光する。各光ディスクからの反射光は元の光路を逆行するが、1/4波長板付偏光分離素子17の偏光分離素子17aで回折後は光路が大きく分かれる。すなわち、短波長のλ1に対する回折角より長波長のλ2に対する回折角が大きくなるので、λ1よりもλ2の方が外側に回折される。そこで内側に短波長のλ1用の光検出器12,13が配置され、外側に長波長のλ2用の光検出器12’,13’が配置され、各々の波長光を検出する。
【0060】
図19の光ヘッドに用いる偏光分離素子は、例えば短波長のλ1に対して前述の式(3),(4)あるいは式(5),(6)を満足するようにしておくことにより、λ1に対して往復の光利用効率を最大にできる。長波長のλ2に対しては最適条件から外れるので、往復の光利用効率はλ1よりは減少する。
しかし、λ1の光でDVD−RAMの記録、再生を行い、λ2の光でCD,CD−Rの再生を行うような場合、λ1に対しては高効率が要求されるが、λ2に対しては再生のみなので、必ずしも高効率でなくても問題ない。このように用途に応じて使い分けることにより問題なく適用できる。
【0061】
また上記とは逆に、長波長のλ2に対して前述の式(3),(4)あるいは式(5),(6)を満足するようにしておくと、長波長のλ2で記録、再生し(CD−R、あるいはCD−RW(CD−Rewritable))、短波長のλ1は再生のみ(DVD−ROM)のような使い方に適用できる。
【0062】
以上のように、本実施例(請求項14)により、対応波長の異なる複数の光ディスクを一つの光ヘッドで記録、再生できるようになり、光ディスクドライブの小型化、低コスト化に貢献することができる。
【0063】
(実施例16)
次に請求項15の実施例について説明する。図20は請求項15記載の光ヘッドの一例を示す概略構成図である。この光ヘッドは、図19に示した波長の異なる2個の半導体レーザ光源を用いた光ヘッドと光学系の部品構成及び動作は同じであるが、波長λ1の半導体レーザ11とそれに対応する光検出器12,13、及び波長λ2の半導体レーザ11’とそれに対応する光検出器12’,13’を1つのパッケージ18''に一体実装し、さらにパッケージ18''の上面に1/4波長板付偏光分離素子17を接着して一体化したものである。
本構成により、2波長を用いた光ヘッドが簡易構成となり、また組付け調整箇所が減って組付けが楽になり、また主要部を一体化したため、周囲の温、湿度の変化に対し、光学系の安定性が増すようになる。
【0064】
(実施例17)
次に請求項16の実施例について説明する。図21は請求項16記載の光ヘッドの一例を示す概略要部構成図である。実施例15(請求項14)あるいは実施例16(請求項15)に示した光ヘッドにおいては、2つの半導体レーザ11及び11’は光ヘッド光学系の光軸と垂直方向には離れて配置されているが、図21に示すように、光軸方向においては距離ΔZだけ互いにずらして配置される。すなわち、図19や図20に示されているように、基板厚の異なる2枚の光ディスク14,14’では光軸方向の集光位置にずれがあるため、図21のように2つの半導体レーザ11,11’を光軸方向に距離ΔZだけ互いにずらして配置することにより、2枚の光ディスク14,14’に合わせて集光位置を調整でき、対物レンズのフォーカスサーボ系等に負担をかけずに、同一光学系を用いて基板厚の異なる2枚の光ディスク14,14’に対して良好な集光性能を得ることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、偏光分離素子の構成を、透明基板上に入射光の異なる振動面に対し屈折率が異なる異方性膜がドライエッチングあるいはウェットエッチングにより基板に達するまでエッチングされて周期的格子として装荷され、さらにその上に等方性のオーバーコート層が被覆され、その上に第二の透明基板を備え、前記等方性オーバーコート層が前記透明基板と前記第二の透明基板とを前記異方性膜の格子間で接着する接着層であり、入射光の直交する偏光を0次光と回折光に分離する構成としたので、従来技術による偏光分離素子(LiNbO3 を基板として用いこれに周期的パターンでプロトン交換を施した構造等)に比べて、構成の簡易な、作製に時間のかからない、低コストな偏光分離素子を提供することができる。また、接着により等方性オーバーコート層が形成でき、等方性オーバーコート層の平坦化が容易で安定的に作成できる。
【0066】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の偏光分離素子において、偏光分離動作として格子ベクトル方向に振動する偏光成分を直進透過光、これと垂直方向に振動する偏光成分を回折光として分離させる際に、最大偏光分離度を出す条件を提示したので、偏光分離素子に最大の偏光分離度をもたせることができる。
【0067】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の偏光分離素子において、偏光分離動作として格子ベクトル方向に振動する偏光成分を回折光、これと垂直方向に振動する偏光成分を直進透過光として分離させる際に、最大偏光分離度を出す条件を提示したので、偏光分離素子に最大の偏光分離度をもたせることができる。
【0068】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の偏光分離素子において、等方性オーバーコート層が凹凸状であっても偏光分離素子として機能できる素子形態を提供することができる。
【0069】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の偏光分離素子において、偏光分離動作として格子ベクトル方向に振動する偏光成分を直進透過光、これと垂直方向に振動する偏光成分を回折光として分離させる際に、最大偏光分離度を出す条件を提示したので、偏光分離素子に最大の偏光分離度をもたせることができる。
【0070】
請求項6記載の発明によれば、請求項4記載の偏光分離素子において、偏光分離動作として格子ベクトル方向に振動する偏光成分を回折光、これと垂直方向に振動する偏光成分を直進透過光として分離させる際に、最大偏光分離度を出す条件を提示したので、偏光分離素子に最大の偏光分離度をもたせることができる。
【0071】
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6の何れかに記載の偏光分離素子において、無機物質の斜め蒸着により形成した異方性膜を用いるので、真空蒸着法により簡便に、大面積に、低コストで異方性膜を形成できる。
【0072】
請求項8記載の発明によれば、請求項1〜6の何れかに記載の偏光分離素子において、有機物質を配向して形成した異方性膜を用いるので、請求項7とは別の方法による真空蒸着法により簡便に、大面積に、低コストで異方性膜を形成できる。
【0073】
請求項9記載の発明によれば、請求項1〜8の何れかに記載の偏光分離素子において、比較的簡易な工程で長時間かけずに作製できる偏光分離素子を提供することができる。
【0075】
請求項10記載の発明によれば、請求項1〜9の何れかに記載の偏光分離素子を適用した、簡易構成で、高光利用効率の光ヘッドを提供することができる。
【0076】
請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の光ヘッドに用いる偏光分離素子を、請求項1〜9の何れかに記載の偏光分離素子と1/4波長板を接着一体化した構成としたことにより、光ヘッドの構成の簡易化に寄与することができる。
【0077】
請求項12記載の発明によれば、請求項10記載の光ヘッドに用いる偏光分離素子を、請求項1〜9の何れかに記載の偏光分離素子上に異方性膜を用いた1/4波長膜を形成した構成としたので、1/4波長板を光学結晶ではなく異方性膜で実現して、光ヘッドのより低コスト化、構成の簡易化に寄与することができる。
【0078】
請求項13記載の発明によれば、請求項10記載の光ヘッドにおいて、少なくとも光源と光検出器、あるいは光源と光検出器と偏光分離素子を、パッケージにより一体化したので、より簡易構成で、小型、組付け調整のし易い、高安定な光ヘッドを提供することができる。
【0079】
請求項14記載の発明によれば、異なる波長を持つ複数の光源と、請求項1〜9の何れかに記載の偏光分離素子あるいは請求項11または12記載の偏光分離素子を用い、光学系を共用したことにより、複数の波長を持つ光ヘッドを実現することができる。
【0080】
請求項15記載の発明によれば、請求項14記載の光ヘッドにおいて、少なくとも複数の光源と複数の光検出器、あるいは複数の光源と複数の光検出器と偏光分離素子を、パッケージにより一体化したので、より簡易構成で、小型、組付け調整のし易い、高安定な光ヘッドを提供することができる。
【0081】
請求項16記載の発明によれば、請求項14または15記載の光ヘッドにおいて、波長の異なる複数の光源の出射面が、光ヘッド光学系の光軸方向に互いにずれて配置されているので、基板厚さの異なる光ディスク媒体に対しても良好な集光性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏光分離素子の構成例を示す断面図である。
【図2】図1に示す偏光分離素子の動作の実施例を示す図である。
【図3】図1に示す偏光分離素子の動作の別の実施例を示す図である。
【図4】図1に示す偏光分離素子の要部を部分的に拡大して示す断面図である。
【図5】偏光分離素子の別の構成例を示す部分断面図である。
【図6】請求項4記載の偏光分離素子の構成例を示す部分断面図である。
【図7】請求項7の実施例を示す図であって斜め蒸着膜の形成方法の説明図である。
【図8】請求項8の実施例を示す図であって有機異方性膜の形成方法の説明図である。
【図9】請求項9記載の偏光分離素子の作製工程の説明図である。
【図10】請求項1記載の偏光分離素子の具体的な構成例を示す断面図である。
【図11】請求項10記載の光ヘッドの一例を示す概略構成図である。
【図12】請求項10記載の光ヘッドの別の例を示す概略構成図である。
【図13】請求項11記載の偏光分離素子の構成例を示す断面図である。
【図14】請求項11記載の偏光分離素子の別の構成例を示す断面図である。
【図15】請求項12記載の偏光分離素子の構成例を示す断面図である。
【図16】請求項13記載の光ヘッドの一例を示す概略構成図である。
【図17】請求項13記載の光ヘッドの別の例を示す概略構成図である。
【図18】請求項13記載の光ヘッドのさらに別の例を示す概略構成図である。
【図19】請求項14記載の光ヘッドの一例を示す概略構成図である。
【図20】請求項15記載の光ヘッドの一例を示す概略構成図である。
【図21】請求項16記載の光ヘッドの一例を示す概略要部構成図である。
【図22】従来技術の一例を示す図であって、複屈折回折格子型偏光子の構造例を示す図である。
【図23】従来技術の別の例を示す図であって、偏光分離素子の構造例を示す図である。
【符号の説明】
1,1’,17a:偏光分離素子
2,17-4:透明基板
3,17-3:異方性膜
3’:有機異方性膜
4,4’:等方性オーバーコート層
5:配向膜
6:フォトレジスト
7,17-2,17-5:等方性接着層
8,17-4’:透明対向基板
11,11’:半導体レーザ
12,12’,13,13’:光検出器
14,14’:光ディスク
15:対物レンズ
16:コリメートレンズ
17:1/4波長板付偏光分離素子
17b:1/4波長板
17-1:複屈折性結晶からなる1/4波長板
17-6:1/4波長膜
18,18’,18'':パッケージ
Claims (16)
- 直交する2つの偏光成分を分離するため、透明基板上に入射光の異なる振動面に対し屈折率が異なる異方性膜がドライエッチングあるいはウェットエッチングにより基板に達するまでエッチングされて周期的格子として装荷され、さらにその上に等方性のオーバーコート層が被覆され、その上に第二の透明基板を備え、前記等方性オーバーコート層が前記透明基板と前記第二の透明基板とを前記異方性膜の格子間で接着する接着層であり、入射光の直交する偏光を0次光と回折光に分離することを特徴とする偏光分離素子。
- 請求項1記載の偏光分離素子において、異方性膜の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層の屈折率をn1、異方性膜の周期的格子の凹凸深さをh、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h=mλ
(ns−n1)h=(m±1/2)λ
を略満足することを特徴とする偏光分離素子。 - 請求項1記載の偏光分離素子において、異方性膜の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層の屈折率をn1、異方性膜の周期的格子の凹凸深さをh、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h=(m±1/2)λ
(ns−n1)h=mλ
を略満足することを特徴とする偏光分離素子。 - 請求項1記載の偏光分離素子において、等方性オーバーコート層の上面が異方性膜の周期的格子と位相の合った凹凸状となっていることを特徴とする偏光分離素子。
- 請求項4記載の偏光分離素子において、異方性膜の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層の屈折率をn1、異方性膜の周期的格子の凹凸深さをh、等方性オーバーコート層の上面の凹凸深さをh1、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h+(n1−1)h1=mλ
(ns−n1)h+(n1−1)h1=(m±1/2)λ
を略満足することを特徴とする偏光分離素子。 - 請求項4記載の偏光分離素子において、異方性膜の周期的格子の格子ベクトル方向の偏波に対する屈折率をnp、これと垂直方向の偏波に対する屈折率をnsとし、等方性オーバーコート層の屈折率をn1、異方性膜の周期的格子の凹凸深さをh、等方性オーバーコート層の上面の凹凸深さをh1、光の波長をλ、mを0を含む正負の自然数(m=0,±1,±2,・・・)とするとき、次の条件、
(np−n1)h+(n1−1)h1=(m±1/2)λ
(ns−n1)h+(n1−1)h1=mλ
を略満足することを特徴とする偏光分離素子。 - 請求項1から6の何れかに記載の偏光分離素子において、無機物質の斜め蒸着により形成した異方性膜を用いることを特徴とする偏光分離素子。
- 請求項1から6の何れかに記載の偏光分離素子において、有機物質を配向して形成した異方性膜を用いることを特徴とする偏光分離素子。
- 請求項1から8の何れかに記載の偏光分離素子において、透明基板上に形成した異方性膜の上に感光性樹脂を装荷し、光あるいは電子線で周期パターンを露光し、現像後、感光性樹脂をエッチングマスクとして用い、ウェットエッチングあるいはドライエッチングで異方性膜の周期的格子構造を形成した後、感光性樹脂を除去し、異方性膜上部に等方性オーバーコート層を形成して成ることを特徴とする偏光分離素子。
- 光源と、光源と光ディスクの間に配置された対物レンズと、光源と対物レンズの間に配置された請求項1から9の何れかに記載の偏光分離素子と、偏光分離素子と対物レンズの間に配置された1/4波長板と、偏光分離素子による回折光を検出する光検出器を備え、光源からの光を少なくとも対物レンズにより光ディスク面に集光し、光ディスクからの反射光を偏光分離素子により回折分離して光検出器で検出することを特徴とする偏光分離素子を用いた光ヘッド。
- 請求項10記載の光ヘッドに用いられる偏光分離素子であって、請求項1から9の何れかに記載の偏光分離素子に1/4波長板が接着され一体化されていることを特徴とする偏光分離素子。
- 請求項10記載の光ヘッドに用いられる偏光分離素子であって、請求項1から9の何れかに記載の偏光分離素子上に異方性膜を用いた1/4波長膜が形成されていることを特徴とする偏光分離素子。
- 請求項10記載の光ヘッドにおいて、請求項11または12記載の偏光分離素子を備え、少なくとも光源と光検出器が1つのパッケージ内に実装されているか、あるいは光源と光検出器が実装されたパッケージに請求項11または12記載の偏光分離素子が接着により一体化されていることを特徴とする偏光分離素子を用いた光ヘッド。
- 波長の異なる複数の光源と、その複数の光源と光ディスクの間に配置された対物レンズと、複数の光源と対物レンズの間に配置された請求項1から9の何れかに記載の偏光分離素子と1/4波長板、あるいは請求項11または12記載の偏光分離素子と、偏光分離素子による回折光を検出する複数の光検出器を備え、少なくとも対物レンズにより複数の波長の異なる光をそれぞれ異なる光ディスク面に集光し、光ディスクからの反射光を前記偏光分離素子により波長毎に回折分離して波長毎の光検出器で独立に検出することを特徴とする偏光分離素子を用いた光ヘッド。
- 請求項14記載の光ヘッドにおいて、少なくとも複数の光源と複数の光検出器が1つのパッケージ内に実装され、あるいは複数の光源と複数の光検出器が実装されたパッケージに請求項1〜9の何れかに記載の偏光分離素子あるいは請求項11または12記載の偏光分離素子が接着により一体化されていることを特徴とする偏光分離素子を用いた光ヘッド。
- 請求項14または15記載の光ヘッドにおいて、波長の異なる複数の光源の出射面が、光ヘッド光学系の光軸方向に互いにずれて配置されていることを特徴とする偏光分離素子を用いた光ヘッド。
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