JP3546151B2 - 歪み検出素子及び歪み検出素子製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歪み抵抗効果に基づいて歪みを検出することにより、例えば物理的変位や加えられる力又は圧力等の各種の物理量を電気信号に変換する歪み検出素子及びその製造方法の技術分野に属し、より詳細には、溶融樹脂内又は車両のエンジンシリンダ内等の高温環境下でも歪みを検出して上記各種物理量を検出することが可能な歪み検出素子及びその製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、歪み検出素子としては、その中心材料として金属や半導体を用いたものがあり、また夫々の材料の使用形態としても、いわゆるバルクを用いたものや厚膜化して用いたもの或いは薄膜化して用いたもの等各種あり、夫々にその特徴を生かして種々の用途に対してより適したものが使用されている(歪み検出素子として具体的には、例えば、特開平10−38727号公報等参照)。
【0003】
このとき、従来から高感度の歪み検出素子として用いられている半導体薄膜ピエゾ抵抗素子は、ゲージ率が金属を用いた歪み検出素子より大きく、更にその比抵抗も金属を用いた歪み検出素子と比較し調節可能範囲が広いという特徴を有しており、歪み検出素子としては優れたものである。
【0004】
一方、半導体歪み検出素子として代表的な拡散型半導体歪み検出素子は、その形成方法から起歪部分との接合性に優れ信頼性が高い歪み検出素子である。
【0005】
ここで、起歪部分としての金属ダイアフラム等の上に形成して使用されるセンサとしてこれらの半導体歪み検出素子を利用する場合、その使用される環境には種々のものがあり、具体的には、エンジンシリンダ内の内圧を検出する場合のように高温下(例えば、400℃乃至500℃環境下)で使用されることが頻繁にあり得る。
【0006】
これに対し、従来から使用されている半導体(シリコン)薄膜ピエゾ抵抗素子では、その種類としては結晶性の異なるもので2乃至3種類あるが、最も高温で使用できる非晶質のものでもその使用温度としては150℃乃至250℃が上限となっており上記したような高温下では使用できないという欠点があった。
【0007】
ここで、半導体以外の材料を用いた歪み検出素子としては上記した金属を用いた歪み検出素子があるが、この金属の歪み検出素子では、いわゆるゲージ率が低く抵抗率も半導体に比べて千分の一以下と小さく、更に薄膜化した場合の素子形状のパターンに制約が多く、特に小型化には向いていないという欠点を有している。更に、抵抗率が低いため抵抗素子としての膜厚を薄くする必要があり、表面や絶縁膜との界面の変質の影響が大きくなりその抵抗特性が変化しやすいという欠点も有している。
【0008】
ところで、上述したように半導体として広く用いられているシリコンに対し、炭化珪素(SiC)は、半導体としてのエネルギーギャップがシリコンに対して約2倍広く、このため半導体素子としての特性を維持したまま400℃乃至500℃での高温動作が可能となる材料である。従って、この炭化珪素を薄膜化して起歪部に形成すれば、高温環境下でも高感度に歪みを検出できる歪み検出素子を構成することができることとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、炭化珪素を薄膜ピエゾ抵抗素子として起歪部分に薄膜化して形成するために従来のCVD法を用いるとすると、一般的には薄膜形成時の基板の温度を600℃乃至900℃にする必要があった。
【0010】
そして、この場合、歪み検出素子の起歪部分(基板)としての金属に起歪効果を高めるべく弾性体を使用する場合を考えると、当該金属が600℃より高い温度に加熱されたのではその弾性特性に悪影響があり、結果として炭化珪素膜を薄膜ピエゾ抵抗素子として用いた高温下で使用可能な高感度の歪み検出素子は実現できないという問題点があった。
【0011】
このことは、ピエゾ抵抗素子として半導体を用いると共に金属を起歪部として用いることで歪み検出素子としての用途を大きく広げる可能性のあるMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造の歪み検出素子が実現できなくなるという問題点にも繋がるものである。
【0012】
そこで、本発明は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題は、高温下でも高感度に歪みを検出することにより、各種物理量を検出することが可能な歪み検出素子を提供すると共に、当該歪み検出素子を実現することが可能な歪み検出素子製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、起歪部としての金属ダイアフラム等の金属基板と、前記金属基板上に積層された絶縁膜と、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、前記絶縁膜上に非晶質状態の炭化珪素を結晶化するための結晶化温度より低い温度であって歪み検出素子として必要な前記金属基板の弾性を損なわない温度である550℃以上600℃以下の温度範囲で積層されると共に、レーザアニール法により結晶化された炭化珪素膜と、を備え、前記炭化珪素膜のピエゾ抵抗効果により歪みを検出するように構成される。
【0014】
よって、結晶化された炭化珪素膜が絶縁膜を介して金属基板上に形成され、当該炭化珪素膜のピエゾ抵抗効果により歪みを検出するので、高温下でも高感度に歪みを検出することができる。また、起歪部として必要な金属基板の弾性を損なうことなく結晶化された炭化珪素膜が形成されているので、高感度で歪みを検出することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の歪み検出素子において、前記炭化珪素膜のゲージ率の温度変化特性が前記金属基板のヤング率の温度変化特性に対応して変化することにより当該炭化珪素膜の温度が変化しても前記歪み検出素子の出力特性が安定化されるように歪み検出素子の前記炭化珪素膜のゲージ率の温度変化特性が−1200ppm/℃に設定されている。
【0018】
よって、炭化珪素膜の温度が変化しても歪み検出素子の出力特性が安定化されているので、高温下でも安定して歪みを検出することができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の歪み検出素子において、前記炭化珪素膜の結晶化は、エキシマレーザを用いたレーザアニール法により行われている。
【0020】
よって、より高感度に歪みを検出することができる。
【0021】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、起歪部としての金属ダイアフラム等の金属基板上に絶縁膜を積層する絶縁膜積層工程と、プラズマCVD法を用いて、非晶質状態の炭化珪素を結晶化するための結晶化温度より低く且つ歪み検出素子として必要な前記金属基板の弾性を損なわない温度である550℃以上600℃以下の温度範囲で、ピエゾ抵抗効果により歪みを検出するための炭化珪素膜を前記積層された絶縁膜上に非晶質状態に積層する炭化珪素膜積層工程と、前記積層された炭化珪素膜をレーザアニール法により結晶化する結晶化工程と、を備える。
【0022】
よって、結晶化された炭化珪素膜を絶縁膜を介して金属基板上に形成し、当該炭化珪素膜のピエゾ抵抗効果により歪みを検出することにより、高温下でも高感度に歪みを検出することが可能な歪み検出素子を製造することができる。
【0023】
また、起歪部として必要な金属基板の弾性を損なうことなく結晶化された炭化珪素膜を形成することができるので、より高感度で歪みを検出することが可能な歪み検出素子を製造することができる。
【0024】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の歪み検出素子製造方法において、前記結晶化工程は、エキシマレーザを用いたレーザアニール法により行われる。
【0025】
よって、一般的に用いられている簡易な方法により結晶化された炭化珪素膜を形成することができる。
【0026】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の歪み検出素子製造方法において、前記炭化珪素膜積層工程及び前記結晶化工程においては、前記金属基板のヤング率の温度変化特性に対応して、当該炭化珪素膜の温度が変化しても前記歪み検出素子の出力特性が安定化されるように前記炭化珪素膜のゲージ率の温度変化特性を−1200ppm/℃に設定して前記炭化珪素膜の積層及び結晶化を行うように構成する。
【0027】
よって、温度が変化しても歪み検出素子の出力特性が安定化されるように、炭化珪素膜のゲージ率の温度変化特性が金属基板のヤング率の温度変化特性に基づいて設定されるので、高温下でも安定して歪みを検出すること可能な歪み検出素子を製造することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に好適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する各実施の形態は、例えばエンジンシリンダ内等の高温環境下において、その内部圧力等を測定する圧力センサに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
(I)第1実施形態
始めに、本発明に係る第1実施形態について、図1乃至図4を用いて説明する。なお、図1乃至図3は第1実施形態に係る圧力センサの構成を示す図であり、図4は当該圧力センサの製造工程を示す工程図である。
【0029】
先ず、第1実施形態の圧力センサの全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1は当該圧力センサの構成を示す平面図(図1(a))及び縦断面図(図1(b))であり、図2はその斜視図である。
【0030】
図1(a)及び図2に示すように、第1実施形態に係る圧力センサSは、その下面から加えられる圧力により変形し歪みを生じる起歪部として機能する金属基板としての金属ダイアフラム1と、当該金属ダイアフラム1上に絶縁膜3を介して形成され金属ダイアフラム1に加わっている圧力に基づいて生じる歪みに起因する電気抵抗の変化(いわゆるピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化)によりその圧力値を検出するゲージ部Gと、により構成されている。ここで、金属ダイアフラム1の材質としては、コバルト−ニッケル合金が用いられている。
【0031】
なお、実際の圧力センサSにおいては、当該ゲージ部Gの一部には当該ゲージ部Gを構成する後述の歪みゲージを保護するための保護層2として窒化珪素膜が当該歪みゲージ上に形成されているが、図1(a)及び図2においては説明の明確化のため当該保護膜2を破線で示している。
【0032】
次に、圧力センサSの断面構造について、図1(b)を用いて説明する。なお、図1(b)は図1(a)におけるA−A’部断面図である。
【0033】
図1(b)に示すように、圧力センサSにおいては、ゲージ部Gが形成されている領域における金属ダイアフラム1は他の部分に比して極めて薄く形成されており(具体的には、厚さ0.3mm程度)、その上に絶縁膜3として例えば酸化珪素膜が形成され、更にその上にゲージ部Gが形成され当該ゲージ部Gが保護膜2により保護されている構造となっている。
【0034】
そして、当該金属ダイアフラム1の薄膜化された部分が図1(b)中両矢印方向に生じる圧力の変化により歪み、この歪みに対応してピエゾ抵抗効果によりゲージ部Gの電気抵抗が変化することで当該圧力が電気的変化として検出される。
【0035】
次に、第1実施形態に係る圧力センサSにおけるゲージ部Gの細部構成について、図3を用いて説明する。なお、図3は当該ゲージ部Gの構成を示す平面図(図3(a))及び断面図(図3(b)、(c)及び(d))である。
【0036】
図3(a)に示すように、ゲージ部Gは、金属ダイアフラム1の薄膜化された領域に圧力が加わることにより当該薄膜化された領域に生じる歪みに対応して電気抵抗が変化する歪みゲージ5a乃至5dと、当該歪みゲージ5a乃至5dを保護するために当該歪みゲージ5a乃至5d上に形成されている窒化珪素膜よりなる保護膜2と、当該保護膜2上に形成されると共に各歪みゲージ5a乃至5dにコンタクトホール等を介して電気的に接続され、当該歪みゲージ5a乃至5dに生じている電気抵抗の変化を電気信号の変化として外部に取り出すためのチタニウム等よりなる金属電極4a乃至4dと、により構成されている。そして、これらの歪みゲージ5a乃至5d、保護膜2及び金属電極4a乃至4dは後述するようにいわゆるフォトリソグラフィ技術により金属ダイアフラム1上に予め形成されている絶縁膜3(厚さは10μm程度である。)の表面に形成されている。
【0037】
次に、各部の断面形状について説明する。なお、図3(b)は図3(a)中B−B’部断面図であり、図3(c)は図3(a)中C−C’部断面図であり、図3(d)は図3(a)中D−D’部断面図である。
【0038】
図3(b)に示すように、図3(a)中B−B’部においては、金属ダイアフラム1の薄膜化された領域に形成されている絶縁膜3上に歪みゲージ5aが形成されており、更にその上に当該歪みゲージ5aを保護するように保護膜2が形成されている。そして、当該保護膜2の表面に金属電極4b及び4aが形成されている。このとき、金属電極4aと歪みゲージ5aとは、保護膜2に開口されたコンタクトホールHを介して電気的に接続されている。
【0039】
次に、図3(c)に示すように、図3(a)中C−C’部においては、絶縁膜3上に歪みゲージ5b及び5dが形成されており、更にその上に保護膜2が形成されている。
【0040】
更に、図3(d)に示すように、図3(a)中D−D’部においては、絶縁膜3上に歪みゲージ5cが形成されており、更にその上に保護膜2が形成されている。そして、当該保護膜2の表面に金属電極4c及び4dが形成されている。
【0041】
上述した構成を有するゲージ部Gにおいては、上述したように金属ダイアフラム1の薄膜化された領域に生じた歪みにより各歪みゲージ5a乃至5dにも同様に歪みが生じ、これに起因してピエゾ抵抗効果により各歪みゲージ5a乃至5dの電気抵抗の値が変化し、これを電気的に各金属電極4a乃至4dを介して検出することにより当該歪みの原因となった圧力の値が検出される。
【0042】
なお、各歪みゲージ5a乃至5dの電気抵抗の変化を外部に取り出すための線は、各金属電極4a乃至4dにおける円形部分にいわゆるボンディング等の方法により接続される。
【0043】
次に、上述した構成を有するゲージ部Gを製造する際の製造工程について、図4を用いて説明する。なお、図4に示す各工程図は、上記図3(b)に断面を示した部分を例としてゲージ部Gの製造工程を説明するものである。
【0044】
ゲージ部Gをフォトリソグラフィ技術により製造する際には、先ず、図4(a)に示すように、金属ダイアフラム1の薄膜化された領域上に絶縁膜3としての酸化珪素(SiO2)膜を厚さ10μm程度形成する。この工程においては、具体的には、一般的な常圧CVD法又は減圧CVD法により、例えばSiH4とN2O2等を原料ガスとして酸化珪素膜が形成される。
【0045】
次に、絶縁膜3が形成されると、その上に、ピエゾ抵抗膜としての炭化珪素膜10を以下の表1に示す諸元にて非晶質状態に厚さ0.6μmだけ堆積する(図4(b)参照。)。この炭化珪素膜10の堆積は、具体的には平行平板型プラズマCVD装置を用いて行われる。
【0046】
【表1】
【0047】
ここで、堆積の際の基板温度は、金属ダイアフラム1として用いられているコバルト−ニッケル合金の起歪部としての弾性を加熱により損なうことがない温度として設定されているものである。また、表1において、各ガス流量の単位としては、「Standard Cubic Centimeter/Minute」を用いている。
【0048】
なお、このとき、非晶質状態の炭化珪素膜10という場合には、アモルファス状態の炭化珪素膜と微結晶状態の炭化珪素膜の双方又は少なくともいずれか一方が含まれているものとする(以下、同じ。)。
【0049】
次に、非晶質状態で堆積されている炭化珪素膜10をレーザアニール法によりアニール処理して結晶化させ、結晶化された炭化珪素膜10’を形成する(図4(c)参照。)。
【0050】
このときのアニール処理にはエキシマレーザアニール装置を用い、そのアニール条件としては、以下の表2に示す諸元を用いる。
【0051】
【表2】
【0052】
なお、上述した表1及び2には、炭化珪素膜10の製造諸元及びそのアニール諸元を具体的に示したが、これらの諸元は、一般的には、アニールされて結晶化された後の炭化珪素膜10’のゲージ率の温度変化特性が、当該温度変化特性が金属ダイアフラム1のヤング率の温度変化特性に対応して変化することにより、当該炭化珪素膜10’の温度が変化してもゲージ部Gとしての出力特性が安定化されるように最適化されて設定されるものである。
【0053】
また、上記した諸元によるアニール処理後の結晶化した炭化珪素膜10’の特性は、以下の表3に示すようなものとなる。
【0054】
【表3】
【0055】
次に、アニール処理により結晶化した炭化珪素膜10’上にレジスト11を塗布すると共に、フォトリソグラフィ技術を用いて当該レジスト11を歪みゲージ5a乃至5dを形成するためのマスクパターンにパターニングする(図4(d)参照。)。
【0056】
そして、当該パターニングしたレジスト11を含む炭化珪素膜11’をドライエッチング法等によりエッチングして歪みゲージ5a乃至5dを形成し、更に当該形成した歪みゲージ5a乃至5dを保護する領域に当該歪みゲージ5a乃至5d上に積層して保護層2を形成する。この保護層2の形成はCVD法等を用いて窒化珪素膜を形成することにより行う。この時、当該形成された保護膜2内に、後述する処理により金属電極4a乃至4dと歪みゲージ5a乃至5dとを接続するためのコンタクトホールHをやはりドライエッチング法等により形成しておく(図4(e)参照。)。
【0057】
次に、形成されているコンタクトホールHを含めた保護層2上の領域に金属電極4a乃至4dとなるチタニウム膜12を真空蒸着法等により形成する。このときのチタニウム膜12の厚さは、例えば0.8μm程度である(図4(f)参照。)。
【0058】
そして、チタニウム膜12が形成されると、次に、当該チタニウム膜12上にレジスト13を塗布すると共に、フォトリソグラフィ技術を用いて当該レジスト13を金属電極4a乃至4dを形成するためのマスクパターンにパターニングする(図4(g)参照。)
そして、当該パターニングしたレジスト13を含むチタニウム膜12をドライエッチング法等によりエッチングして金属電極4a乃至4dを形成し、ゲージ部Gが完成する(図4(h)参照。)。
【0059】
以上説明したように、第1実施形態の圧力センサSによれば、結晶化された炭化珪素膜10’よりなる歪みゲージ5a乃至5dが絶縁膜3を介して金属ダイアフラム1上に形成され、当該歪みゲージ5aのピエゾ抵抗効果により歪みを検出するので、高温下でも高感度に歪みを検出することができる。
【0060】
また、炭化珪素膜10’が、その結晶化温度より低い温度であって金属ダイアフラム1の弾性を損なわない温度で絶縁膜3上に非晶質状態で炭化珪素膜10が堆積された後、レーザアニール法により結晶化されて形成されているので、起歪部として必要な金属ダイアフラム1の弾性を損なうことなく歪みゲージ5a乃至5dとしての炭化珪素膜10’が結晶化されていることとなり、高感度で歪みを検出することができる。
【0061】
更に、歪みゲージ5a乃至5dの温度が変化してもゲージ部Gの出力特性が安定化されているので、高温下でも安定して歪みを検出することができる。
【0062】
更にまた、結晶化前の炭化珪素膜10がプラズマCVD法により絶縁膜3上に堆積されて形成されると共に、堆積された炭化珪素膜10の結晶化がエキシマレーザを用いたレーザアニール法により行われているので、より高感度に歪みを検出することができる。
【0063】
一方、第1実施形態の歪みゲージ5a乃至5dの製造方法によれば、ピエゾ抵抗効果により歪みを検出する結晶化された炭化珪素膜10’を絶縁膜3を介して金属ダイアフラム1上に形成するので、高温下でも高感度に歪みを検出することが可能な歪みゲージ5a乃至5dを製造することができる。
【0064】
また、起歪部として必要な金属ダイアフラム1の弾性を損なうことなく結晶化された炭化珪素膜10’を形成することができるので、より高感度で歪みを検出することが可能な歪みゲージ5a乃至5dを製造することができる。
【0065】
また、炭化珪素膜積層工程がプラズマCVD法を用いて実行されると共に、結晶化工程がエキシマレーザを用いたレーザアニール法により行われるので、一般的に用いられている簡易な方法により結晶化された炭化珪素膜10’を形成することができる。
【0066】
更に、温度が変化してもゲージ部Gの出力特性が安定化されるように、炭化珪素膜10’のゲージ率の温度変化特性が金属ダイアフラム1のヤング率の温度変化特性に基づいて設定されるので、高温下でも安定して歪みを検出すること可能な歪みゲージ5a乃至5dを製造することができる。
(ii)第2実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第2実施形態について説明する。
【0067】
上述した第1実施形態においては、圧力センサS上のゲージ部Gを図4に示す工程により表1及び2に示した諸元を用いて製造したが、第2実施形態においては、当該ゲージ部Gを構成する歪みゲージ5a乃至5dとなる結晶化された炭化珪素膜10’を以下の表4に示す堆積諸元及び表5に示すアニール諸元により製造する。
【0068】
なお、第2実施形態の製造方法により製造されるゲージ部を備える圧力センサの構造は、第1実施形態の圧力センサSと全く同様であり、更に、その製造工程も上記表4及び5に示した諸元以外は第1実施形態の製造方法と全く同様であるので、夫々の細部説明は省略する。
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
ここで、表4に示す諸元における基板温度は、金属ダイアフラム1の材質としてJIS規格SUS630ステンレス鋼を用いる場合の温度であり、第1実施形態の場合(上述したように、金属ダイアフラム1の材質としてコバルト−ニッケル合金を用いている。)に比して低い値となっている。この温度は、第1実施形態の場合と同様に、起歪部としての金属ダイアフラム1に用いられるSUS630ステンレス鋼の弾性を損なうことがない温度として設定されているものである。
【0072】
なお、第2実施形態の製造方法においては、非晶質状態の炭化珪素膜10の堆積は第1実施形態の場合と同様のプラズマCVD装置を用いて表3に示す諸元により行うのであり、更に堆積された炭化珪素膜10の結晶化も、第1実施形態の場合と同様のエキシマレーザアニール装置を用いて表4に示す諸元により行う。
【0073】
更に、上述した表3及び4に示される各諸元は、第1実施形態の場合と同様に、アニールされて結晶化された後の炭化珪素膜10’のゲージ率の温度変化特性が、金属ダイアフラム1のヤング率の温度変化特性に基づき当該炭化珪素膜10’の温度が変化してもゲージ部Gの出力特性が安定化されるように最適化されて設定されているものである。
【0074】
以上説明した第2実施形態の製造方法によっても、第1実施形態の場合と同様の効果を奏するゲージ部Gが得られる。
【0075】
なお、上述した各実施形態においては、本発明を圧力センサSにおけるゲージ部Gに対して適用した場合について説明したが、これ以外に、例えば、ピエゾ抵抗効果を用いた変位計における歪みゲージとして本発明の製造方法により製造された炭化珪素膜を用いることも可能であるし、更に、電気抵抗の温度変化を利用した温度計における測温部として本発明の製造方法により製造された炭化珪素膜を用いることも可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、結晶化された炭化珪素膜が絶縁膜を介して金属基板上に形成され、当該炭化珪素膜のピエゾ抵抗効果により歪みを検出するので、高温下でも高感度に歪みを検出することができる。
【0077】
従って、起歪効果の高い金属基板を用いて高温下でも高感度に歪みを検出し、これにより種々の物理量を高温下で高感度に検出することができる。
【0078】
また、プラズマCVD法により、炭化珪素膜がその結晶化温度より低い温度であって歪み検出素子として必要な金属基板の弾性を損なわない温度である550℃以上600℃以下の温度範囲で絶縁膜上に非晶質状態で堆積された後、レーザアニール法により結晶化されて形成されているので、起歪部として必要な金属基板の弾性を損なうことなく炭化珪素膜が結晶化されていることとなり、高感度で歪みを検出することができる。
【0079】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、炭化珪素膜の温度が変化しても歪み検出素子の出力特性が安定化されているので、高温下でも安定して歪みを検出することができる。
【0080】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、炭化珪素膜の結晶化がエキシマレーザを用いたレーザアニール法により行われているので、より高感度に歪みを検出することができる。
【0081】
請求項4に記載の発明によれば、プラズマCVD法を用いてピエゾ抵抗効果により歪みを検出する結晶化された炭化珪素膜を絶縁膜を介して金属基板上に形成するので、高温下でも高感度に歪みを検出することが可能な歪み検出素子を製造することができる。
【0082】
従って、起歪効果の高い金属基板を用いて高温下でも高感度に歪みを検出し、これにより種々の物理量を高温下で高感度に検出することが可能な歪み検出素子を製造することができる。
【0083】
また、起歪部として必要な金属基板の弾性を損なうことなく結晶化された炭化珪素膜を形成することができるので、より高感度で歪みを検出することが可能な歪み検出素子を製造することができる。
【0084】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加えて、結晶化工程がエキシマレーザを用いたレーザアニール法により行われるので、一般的に用いられている簡易な方法により結晶化された炭化珪素膜を形成することができる。
【0085】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4又は5に記載の発明の効果に加えて、温度が変化しても歪み検出素子の出力特性が安定化されるように、炭化珪素膜のゲージ率の温度変化特性が金属基板のヤング率の温度変化特性に基づいて−1200ppm/℃に設定されるので、高温下でも安定して歪みを検出することが可能な歪み検出素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る圧力センサの構成を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)は(a)におけるA−A’部縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る圧力センサの構成を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態のゲージ部の構成を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)は(a)におけるB−B’部断面図であり、(c)は(a)におけるC−C’部断面図であり、(d)は(a)におけるD−D’部断面図である。
【図4】第1実施形態のゲージ部の製造工程を示す断面工程図であり、(a)は第1工程を示す断面工程図であり、(b)は第2工程を示す断面工程図であり、(c)は第3工程を示す断面工程図であり、(d)は第4工程を示す断面工程図であり、(e)は第5工程を示す断面工程図であり、(f)は第6工程を示す断面工程図であり、(g)は第7工程を示す断面工程図であり、(h)は第8工程を示す断面工程図である。
【符号の説明】
1…金属ダイアフラム
2…保護膜
3…絶縁膜
4a、4b、4c、4d…金属電極
5a、5b、5c、5d…歪みゲージ
10、10’…炭化珪素膜
11、13…レジスト
12…チタニウム膜
G…ゲージ部
H…コンタクトホール
S…圧力センサ
Claims (6)
- 起歪部としての金属基板と、
前記金属基板上に積層された絶縁膜と、
プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、前記絶縁膜上に非晶質状態の炭化珪素を結晶化するための結晶化温度より低い温度であって、歪み検出素子として必要な前記金属基板の弾性を損なわない温度である550℃以上600℃以下の温度範囲で積層されると共に、レーザアニール法により結晶化された炭化珪素膜と、を備え、
前記炭化珪素膜のピエゾ抵抗効果により歪みを検出することを特徴とする歪み検出素子。 - 請求項1に記載の歪み検出素子において、
前記炭化珪素膜のゲージ率の温度変化特性が前記金属基板のヤング率の温度変化特性に対応して変化することにより当該炭化珪素膜の温度が変化しても前記歪み検出素子の出力特性が安定化されるように、歪み検出素子の前記炭化珪素膜のゲージ率の温度変化特性が−1200ppm/℃に設定されていることを特徴とする歪み検出素子。 - 請求項1又は2に記載の歪み検出素子において、
前記炭化珪素膜の結晶化は、エキシマレーザを用いたレーザアニール法により行われていることを特徴とする歪み検出素子。 - 起歪部としての金属基板上に絶縁膜を積層する絶縁膜積層工程と、
プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、非晶質状態の炭化珪素を結晶化するための結晶化温度より低く且つ歪み検出素子として必要な前記金属基板の弾性を損なわない温度である550℃以上600℃以下の温度範囲で、ピエゾ抵抗効果により歪みを検出するための炭化珪素膜を前記積層された絶縁膜上に非晶質状態に積層する炭化珪素膜積層工程と、
前記積層された炭化珪素膜をレーザアニール法により結晶化する結晶化工程と、
を備えることを特徴とする歪み検出素子製造方法。 - 請求項4に記載の歪み検出素子製造方法において、
前記結晶化工程は、エキシマレーザを用いたレーザアニール法により行われることを特徴とする歪み検出素子製造方法。 - 請求項4又は5に記載の歪み検出素子製造方法において、
前記炭化珪素膜積層工程及び前記結晶化工程においては、前記金属基板のヤング率の温度変化特性に対応して、当該炭化珪素膜の温度が変化しても前記歪み検出素子の出力特性が安定化されるように前記炭化珪素膜のゲージ率の温度変化特性を−1200ppm/℃に設定して前記炭化珪素膜の積層及び結晶化を行うことを特徴とする歪み検出素子製造方法。
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