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JP3548247B2 - レーザ投射装置 - Google Patents
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JP3548247B2 - レーザ投射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、投光装置から投光したレーザ光によって測距、測角あるいは基準平面を形成するレーザ投射装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
土木建築の分野において、回転する投光部から装置本体周囲の測量対象物に向けてレーザ光を走査してレーザ光による基準平面を形成するレーザ測量装置(所謂レーザプレーナ)を用い、測量対象物上に到達したレーザ光のスポットの高さを計測することにより基準出しや高さ計測が行なわれている。
【0003】
このようなレーザ測量装置は、レーザ光を射出する光源、レーザ光の光軸の傾きを自動的に補正する光軸自動補正部、光源から射出されたレーザ光を平行光束にするコリメータレンズ、そのレーザ光を水平または鉛直に回転投射する回転投射部を備えている。近年、装置の小型化や、消費電流の低減化のために、光源に、ヘリウムネオンレーザに代えて半導体レーザを用いたレーザ測量器が開発されている。
【0004】
この種の従来のレーザ測量装置は、例えば、0.5 〜1.5 mの近距離から100 〜200 mの遠距離までの広範囲において基準出しや高さ計測に使用される。このような使用においては、照準合わせが簡便にでき、検出器でビーム高さ位置を検出する際に測定距離により検出感度が変動することがなく、野外等で十分使用が可能なことなど、いわゆる検出器による検出精度の向上および目視における視認性の向上が望まれる。つまり、第1に照準合わせが簡便にできること、第2にビーム照射位置を検出器で検出する際に、検出感度にばらつきが生じないこと、第3に温度変化などの影響を受けず、野外での使用が可能なこと、第4に検出器による検出精度および目視による視認性がよいこと、が望まれる。これらを満足するためには、以下の条件が必要とされる。
【0005】
▲1▼ 所定の投射距離において投射ビーム径ができるかぎり小さいこと
▲2▼ 投射ビーム径の大きさが、投射距離にかかわらず一定であること
▲3▼ 波長変化、温度変化等の外乱により投射ビーム径が変化しないこと
▲4▼ 必要に応じて任意の距離(近距離から遠距離に亙って)にビームウエスト位置の設定が可能なこと
上記条件▲1▼および▲2▼は、レーザ投射装置の初期性能というべきもので、所要の投射距離に対して最適な射出ビーム径とビームウエスト位置を決定すべき設計技術、および光学部品の加工精度あるいは組み立て精度などの製作技術により克服することができる。
【0006】
条件▲3▼は、レーザ投射装置の安定性に関するもので、土木工事など屋外で多く使用されるレーザ測量装置では非常に重要である。特にレーザ測量装置は、−20℃〜50℃という、他の精密機器に比して格段に広い環境温度範囲における性能の保証が要求される。通常、温度変化に伴い、レンズ支持枠の膨張収縮、レンズ自体の屈折率の変化、および光源の波長の変化等により投射レーザビームのウエスト位置およびウエスト径が変化する。
【0007】
温度変化をパラメータとし、異なる投射距離におけるビーム径を測定し、変化の様子をグラフ化した一例を、図8および図9に示した。これらの図は、詳細は省略するが、レーザ投射装置において、適当な大きさの平行ビームを作り出すレンズ系を設定し、その投射装置の出射端における射出径(すなわち、射出ビーム径)と、所定のビームウエスト位置(投射装置の出射端からビームウエストを形成している位置までの距離)xを与えたときのおのおのの距離におけるビームの大きさ、すなわちビーム径をプロットしたものである。図8および図9はそれぞれ、射出ビーム径W=φ8(mm)、W=φ12.5(mm)である。
【0008】
図8は、投射装置の初期設定として温度20℃のときに射出ビーム直径が8mmで、ビームウエスト位置x=39.578m、すなわち、投射装置の射出口からビームウエストが生じている所までの距離がx=39.578(m) であり、この時の射出ビーム波面の曲率半径R=78(m) 、とした投射装置に対して、温度をそれぞれ50℃、−20℃と変化させた状態を示す。
図9は、同様に射出ビーム径W=φ12.5(mm)、ビームウエスト位置x=96.605(m) 、射出ビーム波面の曲率半径R=190(m)および温度20℃を初期設定とし、この初期設定から温度変化を与えたときの各距離に対するビーム径を示す。
【0009】
これらの図から分かるように、初期に適当な射出ビーム径、ビームウエスト径、ビームウエスト位置を設定していても、温度変化によりビームウエスト距離xが変化し、それぞれの距離xにおけるビーム径が変化することが分かる。このようなビーム径の変化により、レーザ投射装置として要求されている上記▲3▼等の条件が満たされない、という問題を生じていた。そして、▲3▼の条件が満たされないことによって、当初設定した▲1▼および▲2▼の条件も崩れてしまうのである。
【0010】かかる問題を解決するために、平行ビームを形成するレンズ系に対し、温度変化を補償するコリメータが提案されているが(米国特許第5,225,928 号公報)、補償を可能にする光学ガラスが離散的にしか存在しないため、他の収差を補正しつつ、なおかつ温度補償を完全に行なうことは困難であった。特に、光源として、光の放射角が大きな半導体レーザ等を用いる場合には、NA(開口数)の大きなコリメータレンズが必要になるので、温度補償を完全に行なうことはより一層困難であった。
【0011】
また、仮に、設計上温度補償ができたとしても、実際に温度変化の影響を完全に補償するのは困難であった。これは、レーザ投射装置を構成する各部材に温度分布が生じるためである。例えば、レーザ投射装置は、半導体レーザ等の光源を持っており、その光源自体が熱源となって外界の温度との間に温度差を生じ、温度分布を発生させていた。また、レーザビームを回転照射するためのモータなどの発熱も無視できず、したがって従来のレーザ投射装置では、温度補償をしたにも拘らず、現実には温度変化が生ずると、所定距離において所望のビーム径が得られていなかった。
【0012】
次に、条件▲4▼は、所定距離に投射されたビームの高さや位置を検出する際に、所定距離において、検出器で検出するときにはその検出器の大きさおよび感度等の仕様に応じて最適なビーム径を、目視する場合には視認性等の条件に対して最適なビーム径を、マニュアルあるいは自動的に得ようというものである。
【0013】
図10および図11は、いずれも同一の一定温度において、図10は射出ビーム径W=φ8(mm)、図11は射出ビーム径W=φ12.5(mm)のレーザビームの投射距離とビーム径との関係を示す図である。なお、いずれの場合もレーザビームの波長は同一であり、各図において符号“x”はビームウエスト距離を示している。
【0014】
ここで、両図ともビームウエスト位置xを変化させれば、各距離においてビーム径が変化することが分かる。例えば、図11において、投射装置を比較的近距離範囲(10〜70m程度)で使用する場合は、ビームウエスト距離x=50.879mに設定すればよいことが分かる。また、近距離から遠距離(100 〜200 m程度)まで使用する場合は、ビームウエスト距離x=97.505(m) に設定すればよいことも分かる。
このように一つのレーザ投射装置で任意のビームウエスト距離xを設定できることは、非常に有用である。
そこで、従来、ビームウエスト位置を変化させることを可能とし、さらに遠隔操作を可能にしたレーザ投射装置が特開平5−322564号公報に開示されている。
【0015】
しかし、この従来例では、投射ビームのビームウエスト位置(距離)、あるいはその位置でのビーム径(ウエスト径)を確認する手段はない。したがって、条件▲4▼を満足するためには、実際に所定距離離れた遠方位置(例えば数百メートル離反した位置)でビーム径を確認しなければならず、操作が複雑になるという問題があった。また、屋外の明るい所では、レーザビームを視認することは難しく、実際にビーム径を検出することは困難であった。特に、近赤外の半導体レーザのような不可視光源を用いたレーザ投射装置では目視ができず、ビーム径の検出がより一層困難であるという問題があった。そのため上記従来のビームウエスト位置を変更可能としたレーザ投射装置は、実際には、近距離で、しかも明るい可視レーザ光源でしか使用できない。また、一旦ビームウエスト位置およびビームウエスト径を決めたとしても、上記条件▲3▼は満足しておらず、温度変化などの外乱により投射ビームのビーム径が変化することに対しては何ら考慮もされていなかった。
【0016】
【発明の目的】
本発明は、上記従来のレーザ測量装置における問題点に基づき成されたものであって、所要の距離において、最適なあるいは所望とするビームウエスト位置およびビームウエスト径の設定を自動的に可能とし、さらに、温度、波長変化などの外乱に対しても設定したビームウエスト位置やビーム径を安定して維持するレーザ投射装置を提供することにある。さらに本発明は、投射レーザビームウエスト位置を検出可能とする検出系、さらに検出系の信号に基づいてビームウエスト位置の設定を自由に行なえるレーザ投射装置を提供すること、を目的とする。
【0017】
【発明の概要】
上記目的を達成する本発明は、レーザ光源からの光束をほぼ平行光束のレーザビームとして投射するレーザ投射装置において、上記レーザ光源から射出されたレーザビームのビームウエスト距離を変更するビームウエスト距離変更光学系と、該ビームウエスト距離変更光学系から射出されたレーザビームの一部を分岐する分岐光学系と、該分岐光学系で分岐されたレーザビームを受光して非点収差法によりレーザビームの波面の曲率半径Rに相当する量を検出するフォーカスエラー検出手段と、上記波面の曲率半径Rに相当する量と、予め設定された所定位置におけるレーザビーム径Wとから上記投射ビームのビームウエスト距離を演算する演算手段と、上記投射ビームのビームウエスト距離に基づいて前記ビームウエスト距離変更光学系を駆動制御する制御手段とを設けたことに特徴を有する。
【0018】
【発明の実施例】
本発明について、図示実施例に基づいて説明するが、本発明の構成の説明に先立って、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本原理を説明する。
本発明は、投射レーザビーム(一般にガウスビーム)のビームウエスト位置は任意の距離におけるビーム径(本発明の場合は投射装置の投射口を射出する射出ビーム径に相当)と、ビーム波面の曲率半径Rとが既知であれば一義的に決定される、という考え方に着眼している。そこで、ビーム波面の曲率半径を何らかの方法で検出すれば、射出ビーム径は予め投射装置の仕様に応じた初期設定により決まっているので、ビームウエスト位置が自動的に決定される。したがって、ビームウエスト径も自動的に決まる。
【0019】
一般にレーザビームなどのガウスビームにおいては、ビームウエスト位置でのビーム径をW 、ビームウエスト位置からx離れた位置でのビーム径をW、その位置での波面の曲率半径をR、レーザビームの波長をλとすると、ビーム径Wと波面の曲率半径Rは、下記式により表わすことができることが知られている(例えば、「結像光学入門」 松井吉哉著 啓学出版発行の第112 〜115 頁)。
W=W {1+(4λx/πW 1/2 ……1−1
R=x{1+(πW /4λx) } ……1−2
これらの式は、下記のように変形できる。
=W{1+(πW /4λR)−1/2 ……1−3
x=R{1+(4λR/πW−1 ……1−4
【0020】
ここで、対象となるレーザ投射装置が特定されれば、レーザビームの波長λおよびレーザ投射装置の投射口における射出ビームのビーム径Wが特定される。したがって、レーザ投射装置から射出するレーザビームの波面の曲率半径Rを計測すれば、ビームウエスト位置におけるビームウエスト径W を上記1−3式により、レーザ投射装置からビームウエストまでの距離xを上記1−4式により求めることができる。図12には、射出位置でのビーム径Wをパラメータとしたときの波面の曲率半径Rとビームウエスト距離xとの関係を示した。この図から、波面の曲率半径Rによりビームウエスト距離xが決まることが分かる。
【0021】
波面の曲率半径Rに相当する量を検出する手段としては、(1) 波面の曲率半径Rを直接検出する手段と、(2) 曲率半径Rの波面を有する光束をレンズで集光し、その集光状態により検出する手段がある。(1) の検出手段として、例えばラジアルシェアリング干渉計を使用できる。(2) の検出手段として、既知の光ディスク装置などに用いられている非点収差法などによるフォーカスエラー検出光学系を用いることができる。
【0022】
本発明の一実施例では、レーザ投射装置から射出するレーザビームの径Wを決めたときの波面の曲率半径Rを測定して、ビームウエスト距離xおよびビームウエスト径W を求めることに特徴がある。この実施例について、図1ないし図6を参照して説明する。
【0023】
図1には、第1の実施例として、(2) の方法の一つである非点収差法によるフォーカスエラー検出手段により射出レーザビームの波面の曲率半径Rを測定するレーザ投射装置を示してある。このレーザ投射装置は、投射レーザビームのビームウエスト位置を調整する手段を有するレーザ投射部として、レーザ光源部101と、レーザ光源部101から射出された光束の光軸と一致している回転軸心111cを軸心として回転し、回転軸心111cとほぼ直交する方向にレーザビームを回転投射(射出)する回転投光部111とを備えている。さらに波面の曲率半径Rの検出手段として、レーザ光源部101から射出された分岐レーザビームを受光し、波面の曲率半径Rを検出する、光ディスク装置などで用いられているフォーカスエラー検出系121と、フォーカスエラー検出系121が検出したフォーカスエラー信号に基づいてビームウエストBWの位置(距離x)の調整を行なうための制御部131とを備えている。
【0024】
レーザ光源部101は、半導体レーザ102と、半導体レーザ102から射出したレーザ光をほぼ平行光束にするコリメータレンズ103と、ほぼ平行光束とされたレーザビームの大部分、例えば約90%を透過し、残りをフォーカスエラー検出系121方向に反射するビームスプリッタ104とを備えている。回転投光部111は、図示しない駆動機構により回転軸心111cを中心として回転駆動される。コリメータレンズ103の光軸は、回転軸心111cと一致している。つまり、レーザ光源部101から射出されたレーザビームは、回転投光部111の回転軸心111cを中心にして進み、お互いの面の成す角度が45゜に設定された第1ミラー112および第2ミラー113により回転軸心111cと直交する方向に反射され、回転投光部111から射出される。このときの射出時のレーザビームの波面の曲率半径をR、射出ビーム径をWとする。
【0025】
コリメータレンズ103は、レンズ駆動機構105により、光軸と平行に進退動される。この進退動により、半導体レーザ102とコリメータレンズ103の間隔dが変化し、レーザビームの波面の曲率半径Rが変化してビームウエストBWが移動する。これらにより、ビームウエスト距離xとビームウエスト径W が変化する。
【0026】
回転投光部111から出射したレーザビームは、回転投光部111から所定距離x離れた位置において、ビーム径W のビームウエストBWを形成する。本レーザ投光装置の各光学部品が高精度に製作されていれば、レーザ投光装置から出射するレーザビームの波面の曲率半径RおよびビームウエストBWの距離xは、半導体レーザ102とコリメータレンズ103との間隔dのみによって一義的に決まる。
【0027】
一方、ビームスプリッタ104で反射されて分岐されたレーザビームは、集光レンズ122で集光され、さらにシリンダーレンズ123により4分割センサ124上に集光される。シリンダーレンズ123は、図においては紙面内ではレンズパワーを持たず、紙面に垂直な方向ではレンズパワーを有するように配置されている。4分割センサ124は、直交十字線により対称に4分割されていて、その分割線の方向がシリンダーレンズ123の母線方向(紙面内)と45゜を成して配置されている。レーザビームの波面の曲率半径Rが変化すると、ビームスポット形状は楕円、円、そして前記楕円とは長軸方向が直交する方向の楕円と変化する。このため、4分割センサ124の各センサ出力が変化する。
【0028】
4分割センサ124の出力は、制御部131の処理部132で増幅処理等されて、マイクロコンピュータ133で所定の演算処理に利用される。マイクロコンピュータ133は、この演算結果による波面の曲率半径R、ビームウエスト距離xなどを表示部134に表示する。また、マイクロコンピュータ133は、先の値に基づいて、例えばビームウエスト位置を所定位置に変更できるコリメータレンズ103の移動方向および移動量を演算し、その演算結果に基づいて制御部135を介してレンズ駆動機構105を駆動し、コリメータレンズ103を移動させる。この移動により、温度変化や波長変化などの外乱に対してビームウエストBWまでの距離xを一定に保ったり、あるいはビームウエストBWを所定距離に形成したりできる。
【0029】
距離xを一定に保つか所定距離に変更するかの選択、あるいは所定距離などの各種データの設定、選択は、オペレータが入力部136を操作して行なう。また、予め使用方法をプログラミングしておくことも可能である。それにより、スイッチオン状態で直ちに所定のモードでの計測などをスタートすることが可能になる。さらに以上の操作は、制御部131とは別体として形成された遠隔操作部141によっても実行できる。遠隔操作部141から出力された信号は、受信部137で受信され、入力部136を介して、入力部136からの信号と同様にマイクロコンピュータ133に入力される。遠隔操作部141からの信号は受信部137に、ワイヤ、赤外線、電波あるいは超音波などを介して伝達される。
【0030】
以上は本実施例の概要であるが、フォーカスエラー検出系121の構成、作用について、さらに図2および図3を参照してより詳細に説明する。図2は、フォーカスエラー検出系121の測定原理を説明するための図である。
【0031】
本実施例のフォーカスエラー検出系121は、光ディスク装置に使用されている非点収差法によるフォーカスエラー検出光学系と等価な光学系を備えている。4分割センサ124は、十字方向の分割線で分割された4個の独立した分割センサ1241、1242、1243、1244を有し、分割線の交点Oを中心として、ビームスプリッタ104で反射されたレーザビームが集光レンズ122およびシリンダーレンズ123により集光される。そして、一方の対角方向の分割センサ1241、1243の出力の和と、他方の対角方向の分割センサ1242、1244の出力の和、との差から、フォーカスエラー信号(FES)が得られる。各分割センサ1241、1242、1243、1244の出力をS 、S 、S 、S とすると、
FES=(S +S )−(S +S
で表わされる。フォーカスエラー検出系121に入射する光束の波面の曲率半径Rの大小によってフォーカスエラー信号FESの大きさは変化する。これを、光ディスク装置との対比でフォーカスエラー検出回路について説明する。
【0032】
今、仮に光ディスクの情報記録面151 上に、対物レンズ152を出射した光スポットが合焦していたとすると、情報記録面151 から反射してフォーカスエラー検出系に入射した光束は、Bの如く平行光束となり、したがって光束Bの波面の曲率半径R は∞となる。このとき、4分割センサ124上での光スポットはB′のように円形となり、フォーカスエラー信号FESは0となる。
【0033】
一方、情報記録面151がΔだけ対物レンズ152から遠ざかった場合、情報記録面151 からの反射光でフォーカスエラー検出系に入射する光束はAのようになり、そのときの波面の曲率半径はR となる。そして、4分割センサ124上での光スポットはA′の如く、分割センサ1241、1243の対角方向を長軸方向とする楕円形状となり、フォーカスエラー信号FES{(S +S )−(S +S )}は、プラスの値になる。
【0034】
また、情報記録面151がΔだけ対物レンズ152に近付いた場合、情報記録面151 からの反射光でフォーカスエラー検出系に入射する光束はCのようになり、そのときの波面の曲率半径はR となる。そして、4分割センサ124上での光スポットはC′の如く、光スポットA′とは直交する長軸を有する楕円形状となり、フォーカスエラー信号FES{(S +S )−(S +S )}は、マイナスの値になる。
光ディスク装置においては、フォーカスエラー信号FESが常に0になるように、すなわち波面の曲率半径がR となるように対物レンズをサーボコントロールし、常に光ディスクに対して合焦状態を作り出しているのである。
【0035】
以上述べたように、光ディスクと対物レンズの合焦点からのずれ量Δの大きさは、フォーカスエラー検出系121に入射する光束の波面の曲率半径Rの変化となり、さらに4分割センサ124上の光スポット形状変化を誘発し、フォーカスエラー信号FESを生成する。すなわち、フォーカスエラー検出系121は、そこに入射する波面の曲率半径を検出しているといえる。
【0036】
このフォーカスエラー信号FESの大きさは、デフォーカス量Δに応じて変化して、図3に示すようなSカーブ曲線が得られる。このSカーブ曲線は、光ディスク151 、151 と焦点距離f の対物レンズ152との間の合焦点からのずれ量Δ(デフォーカス量)と、そのとき得られるフォーカスエラー信号FESの大きさとの関係を示すものである。図2において、合焦位置に光ディスク151 があるときの入力波面がBであり、非合焦位置に光ディスク151 、151 があるときの入力波面がそれぞれA、Cである。フォーカスエラー信号FESは、入力波面がBのときにはO 点の値になり、入力波面がAのときにはO 点になる。つまり、フォーカスエラー信号FESの大きさが分かれば、ずれ量Δは容易に求まることが分かる。このとき、ずれ量Δに対するフォーカスエラー信号FESの変化、すなわちSカーブ曲線における直線領域の範囲や、O 点付近の感度は、フォーカスエラー検出系の光学系を最適化することにより、自由に設計できる。本実施例では、Bの光束の波面のときに4分割センサ124上でスポットがB′のように円形でフォーカスエラー信号FES=0となる構成で説明したが、光束がAのときにFES=0となるように設定することも容易である。これは、波面の曲率半径がR のときにFES=0になるような設定をすることと等価である。
【0037】
一方、ずれ量Δと波面の曲率半径Rとの関係は、以下の式で与えられる。
R=f /2Δ ……2−1
(ただし、f >>Δ)
つまり、光ディスク装置のフォーカスエラー検出系におけるSカーブ曲線は、ずれ量Δとフォーカスエラー信号FESとの関係を示すものであるが、同時にフォーカスエラー検出系に入射する光束の波面の曲率半径Rを検出しているともいえる。すなわち、焦点距離f を有する対物レンズと、それに対応するフォーカスエラー検出系の設定条件(検出感度など)とを決めたとすれば、ずれ量Δに対応した(波面の曲率半径Rの変化に対応した)フォーカスエラー信号FESが得られる。実際のレーザ投射装置においては対物レンズ、光ディスクなどは存在しないが、検出したい波面の曲率半径Rを有する光束を所定の設定条件を持たせたフォーカスエラー検出系に入射させれば、波面の曲率半径Rは演算により求まる。
以上の方法は、検出信号がアナログ信号でも得られるため、高速制御(リアルタイム制御)ができる。
【0038】
以上の曲率半径Rを求める処理は、コンピュータ133により統括的に制御され、実行される。先ずコンピュータ133は、射出波面の曲率半径Rおよび射出ビーム径Wに基づいて、先の式1−3および式1−4によりビームウエスト径W 、ビームウエスト距離xを演算する。そして、入力部136を介して入力されたビームウエスト距離に、あるいはコンピュータ133に予め設定(メモリ)されているビームウエスト距離に、演算したビームウエスト距離xが一致するように、制御部135、レンズ駆動機構105を介してコリメータレンズ103を移動させる。
【0039】
図4には、手段(1) の波面の曲率半径Rを直接検出する手段として、ラジアルシェアリング干渉計を利用した本発明の第2の実施例を示してある。なお、図1に示した第1の実施例と同様の構造を有し、同様の作用を奏する部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
レーザ光源部101およびレーザ投光部111の構成は、図1に示した実施例と同一である。半導体レーザ102から射出され、コリメータレンズ103でほぼ平行光束にされ、ビームスプリッタ104で反射し、分岐されたレーザビームが干渉計221内に導かれる。
【0041】
干渉計221内に導かれたレーザビームは、第1のハーフミラー222により透過参照レーザビームと反射被検レーザビームとに二分割される。第1のハーフミラー222を透過した参照レーザビームは、ビーム拡大光学系(ビームエキスパンダー)223によりビーム径が拡大され、波面収差の小さい波面中央部が第1のミラー224および第2のハーフミラー226で反射されて、観測レンズ227によりCCDカメラ228(CCDイメージセンサの受光面)上に到達する。これは、被検波面から参照波面を形成していることとなる。
【0042】
一方、第1のハーフミラー222で反射された被検レーザビームは、ビーム径を保って、すなわち、被検レーザビーム自身の波面形状を保って第2のミラー225で第2のハーフミラー226に向かって反射され、第2のハーフミラー226を透過して観測レンズ227によりCCDカメラ228の撮像面上に到達する。つまり、CCDカメラ228上では、参照波面と被検波面とが重ね合わせられる。この重ね合わせにより参照レーザビームと被検レーザビームとが干渉し、CCDカメラ228によりその干渉状態が撮像される。
【0043】
この干渉縞は、CCDカメラ228で撮像され、画像メモリー232においてディジタル画像信号に変換されてメモリされる。そして、ディジタル画像信号は、画像メモリー232からコンピュータ233により読み込まれる。そして、コンピュータ233は、干渉縞の曲がり量から波面の曲率半径Rを算出し、さらに式1−3、1−4によりビームウエスト距離x、ビームウエスト径W を算出し、表示部234に表示する。さらにコンピュータ233は、算出した波面の曲率半径Rおよびビームウエスト距離xの値に基づいて、制御部235を介してレンズ駆動機構105を駆動し、コリメータレンズ103を移動して間隔dを調整する。このコリメータレンズ103の移動により、温度変化や波長変動などの外乱に対してビームウエスト距離xを一定に保ったり、ビームウエスト位置を所望の位置に移動させたりできる。なお、入力部236の機能は第1の実施例の入力部136と同様であり、第2の実施例においても受信部137および遠隔操作部141を備えた構成でもよい。
【0044】
CCDカメラ228で撮像した干渉縞から曲率半径Rを求める方法について、さらに図5および図6を参照して詳細に説明する。図6の(A)、(B)、(C)はそれぞれ、図5において、入射波面の曲率半径Rが変化した波面A、B、Cのときの干渉縞の様子である。
【0045】
撮像した干渉縞の波面の曲率半径Rによる曲がりの本数をkとすると、波面の曲率半径Rは次式により得られる。なお、本数kは、図6において、k=ΔP/Pにより求められる。
R=W /8λk ……3−1
(ただし、R>>W)
本数kは、公知の位相シフト法などの干渉縞解析法により容易に求めることができる。また、実際には波面の曲率半径Rのみだけでなく、高次の項である波面収差の影響も存在するが、この干渉法は、波面の形状を直接干渉縞の曲がりとして検出できるので、波面の曲率半径のみならず、その他の諸収差を求めることもできる。この諸収差により、初期性能はもとより、外乱または何らかの理由で初期性能の劣化が生じた場合の情報として取り出すことができる。したがって、レーザ投射装置の動作状態をモニターすることもできる。
【0046】
波面の曲率半径Rが求められれば、先の式1−3、1−4によりビームウエスト距離xおよびビームウエスト径W を求めることができる。
【0047】
さらに本発明の第3の実施例について、図7を参照して説明する。この実施例は、射出レーザビームの曲率半径Rを検出する検出系を、レーザ光源部101から射出されたレーザビームを相異なる3方向(水平、鉛直上方、鉛直下方方向)に投射するレーザ投射装置に適用したものである。図1および図4に示した実施例と同一の構成、同一の作用を奏する部材にはそれぞれ同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
半導体レーザ102から出射したレーザビームは、コリメータレンズ103を経てほぼ平行光束になる。平行レーザビームは、ビームスプリッタ311に入射し、大部分は回転投光部111に向かって(第2の対象方向O に)反射し、一部は透過する。なお、このレーザ投射装置は、第2の対象方向O と回転軸心111cとは平行である。通常、これらが鉛直上方向と一致するように設置されており、鉛直上方基準ビームとして機能する。
【0049】
ビームスプリッタ311を透過したレーザビームは、一部が第3の反射板312を透過し、残りが反射して光路を逆行し、ビームスプリッタ311において第3の対象方向O に反射する。第3の反射板312を透過したレーザビームは、第1のフォーカスエラー検出・処理系321に入射する。この第1のフォーカスエラー検出・処理系321は、先のフォーカスエラー検出系121、制御部131と同様の構成である。なお、第3の対象方向O と第2の対象方向O とは、方向のみが互いに逆であり、通常、鉛直下方向と一致するように配置されており、鉛直下方基準ビームとして機能する。
【0050】
ビームスプリッタ311で回転投光部111方向に反射されたレーザビームは、ビームエキスパンダー313により所定のビーム径に拡大される。なお、このビームエキスパンダー313は、凹レンズ314および凸レンズ315を有するガリレオタイプであって、凹レンズ314は凸レンズ315に対して光軸方向で接離移動可能に設けられている。
【0051】
拡径されたレーザビームは、大部分が第1の反射鏡316を透過して回転投光部111に入射し、一部が第1の反射鏡316で反射する。第1の反射鏡316で反射したレーザビームは、第1の実施例に示したフォーカスエラー検出系121および制御部131と同様の第2のフォーカスエラー検出・処理系331に入射する。
【0052】
第1の反射鏡316を透過し、回転投光部111に入射したレーザビームは、第1の実施例と同様に、一部はハーフミラー112を透過して第2の対象方向O に射出し、他はハーフミラー112で反射され、さらにミラー113で反射されて、回転軸心111cと直交する第1の対象方向O に射出される。通常、第1の対象方向O に射出されたビームは第2の対象方向O を軸として回転することにより平面を形成し、水平基準面として機能する。
【0053】
第1のフォーカスエラー検出・処理系321は、主に、第3の対象方向O に射出するレーザビームL の波面の曲率半径Rのモニターを行なうもので、コリメータレンズ103から射出したときのレーザビーム波面の曲率半径Rを測定する。また、第1のフォーカスエラー検出・処理系321は、コリメータレンズ103から射出時の波面の曲率半径Rを検出するので、第1、第2の対象方向のレーザビームL 、L の曲率半径の大部分の影響もモニターしていることになる。
【0054】
ここで、第1のフォーカスエラー検出・処理系321は、検出結果に基づいて、レンズ駆動機構105によりコリメータレンズ103を移動し、波面の曲率半径Rを調整する。この調整により、第1、第2、第3対象方向O 、O 、O に射出するレーザビームL 、L 、L の波面の曲率半径Rが変化し、ビームウエスト位置の移動が可能になる。
【0055】
第2のフォーカスエラー検出・処理系331は、第3の対象方向O へのレーザビームL に無関係に、主に第1、第2の対象方向O 、O のレーザビームL 、L の波面の曲率半径Rの測定、モニターを行なう。そして、測定結果に基づいて、レンズ駆動機構333を駆動して凹レンズ314を凸レンズ314に対して接離移動し、レーザビームL 、L の波面の曲率半径Rを調整して、ビームウエスト位置を移動する。
【0056】
この第3の実施例では、外乱の影響を受け易いのは、投射距離の長い第1、第2対象方向のレーザビームL 、L であり、第3の対象方向O へのレーザビームL には影響が少ない。したがって、第2のフォーカスエラー検出・処理系331と、レンズ駆動機構105およびレンズ駆動機構333が存在すれば、レーザビームL 、L のビームウエスト位置の調整ができる。
【0057】
しかし、実際にはレーザビームL 、L 側の波面の曲率半径Rを変化させる要因の内、最大なものは、コリメータレンズ103と半導体レーザ102間の距離変化によるものである。したがって、外乱によって変化するコリメータレンズ103射出後のレーザビーム波面をモニターするということであれば、第1のフォーカスエラー検出・処理系321のみであっても、外乱の影響を受け易いレーザビームL 、L のビームウエスト距離xの調整もできる。
【0058】
以上、本発明についてレーザ投射装置に適用した実施例に基づいて説明したが、本発明は、図示実施例に限定されない。例えば、フォーカスエラー検出系としては、ナイフエッジ法や、スポットサイズ法でもよい。また、干渉法の場合も、ラテラルシェアリング干渉計でもよい。要するに本発明は、レーザビームの射出時の波面の曲率半径Rを検出する手段を備えていれば、光学系の構成は問わない。
【0059】
また、本発明は、投射されるレーザビームがガウスビームとして1−1〜1−4式を論を進めてきたが、実際には途中光学系の絞りなどにより回折の影響が出る。あるいは、実際には光学系の収差などの影響も生じる。
しかし、その場合であっても、1−1〜1−4式に何らかの補正項を加えるか、あるいは実際に1回だけ波面の曲率半径Rを変化させながらビームウエスト位置およびビームウエスト径などのデータを取得しておき、そのデータに基づいて補正を行なうなどの処理を行なえばよい。要するに本発明は、波面の曲率半径をその場その場でレーザ投射装置自身で計測できるところに枢要な特徴がある。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り本発明は、射出時のレーザビームの波面の曲率半径Rに相当する量を検出し、予め設定された射出時のレーザビームの径とからレーザビームのビームウエスト距離を検出し、所定のビームウエスト距離となるように制御するので、ビームウエスト距離を一定に保つことが可能になり、さらに照射されたレーザビームを観察しなくても、ビームウエスト位置を所望の距離に容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したレーザ投射装置の第1の実施例の主要構成を示す図である。
【図2】第1の実施例に適用したフォーカスエラー検出系の概要を説明する図である。
【図3】第1の実施例のフォーカスエラー信号をグラフで示す図である。
【図4】本発明をレーザ投射装置に適用した第2の実施例の主要構成を示す図である。
【図5】第2の実施例に適用したラジアルシェアリング干渉計の概要を説明する図である。
【図6】同ラジアルシェアリング干渉計により観測する干渉縞とレーザビームの波面の曲率半径との関係を説明する図である。
【図7】本発明をレーザ投射装置に適用した第3の実施例の概要を説明する図である。
【図8】レーザビームのビーム投射ビーム径と温度との関係をグラフで示した図である。
【図9】レーザビームのビームウエスト距離と温度との関係をグラフで示した図である。
【図10】ビームウエスト位置とビーム径との関係をグラフで示した図である。
【図11】ビームウエスト位置の変化とビーム径との関係をグラフで示した図である。
【図12】射出時の波面の曲率半径とビームウエスト距離との関係をグラフで示した図である。
【符号の説明】
101 レーザ光源部
102 半導体レーザ
103 コリメータレンズ
105 レンズ駆動機構
111 回転投光部
112 ハーフミラー(第1ミラー)
113 ミラー(第2ミラー)
121 フォーカスエラー検出系
131 演算・制御部
221 干渉計
321 第1のフォーカスエラー検出・処理系
331 第2のフォーカスエラー検出・処理系

Claims (5)

  1. レーザ光源からの光束をほぼ平行光束のレーザビームとして投射するレーザ投射装置において、
    上記レーザ光源から射出されたレーザビームのビームウエスト距離を変更するビームウエスト距離変更光学系と、
    該ビームウエスト距離変更光学系から射出されたレーザビームの一部を分岐する分岐光学系と、
    該分岐光学系で分岐されたレーザビームを受光して非点収差法によりレーザビームの波面の曲率半径Rに相当する量を検出するフォーカスエラー検出手段と、
    上記波面の曲率半径Rに相当する量と、予め設定された所定位置におけるレーザビーム径Wとから上記投射ビームのビームウエスト距離を演算する演算手段と、
    上記投射ビームのビームウエスト距離に基づいて前記ビームウエスト距離変更光学系を駆動制御する制御手段とを備えたことを特徴とするレーザ投射装置。
  2. 請求項1に記載のレーザ投射装置において、上記演算手段は、上記レーザ投射装置の出射端からビームウエスト位置までのビームウエスト距離xを式、
    x=R{1+(4λR/πW22-1
    により算出すること、を特徴とするレーザ投射装置。
  3. 請求項2に記載のレーザ投射装置において、上記制御手段は、上記ビームウエスト距離変更光学系を駆動して上記レーザビームウエスト距離を一定に保つこと、を特徴とするレーザ投射装置。
  4. 請求項3に記載のレーザ投射装置は、上記レーザ光源から射出されたレーザビームを平行光束にする光学部材を備え、上記ビームウエスト距離変更光学系は、上記光学部材を光軸方向に移動させるレンズ駆動手段を含むこと、を特徴とするレーザ投射装置。
  5. 請求項4に記載のレーザ投射装置において、上記レーザビームを平行光束にする光学部材は、少なくとも二群のレンズ系からなるビームエキスパンダーであって、一方のレンズ群を光軸と平行に移動させるレンズ駆動手段を含むこと、を特徴とするレーザ投射装置。
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