JP3550751B2 - アクティブコントロール装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、自動車の車室内騒音や車体振動を能動的に低減するアクティブコントロール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のアクティブコントロール装置としては、例えば英国公開特許公報第2149614号記載の図30に示す能動型騒音制御装置がある。
【0003】
この従来装置は航空機の客室やこれに類する閉空間に適用されるもので、閉空間101内にラウドスピーカ103a,103b,103cおよびマイクロフォン105a,105b,105c,105dを備えており、ラウドスピーカ103a,103b,103cによって騒音に干渉させる制御音を発生し、マイクロフォン105s,105b,105c,105dによって残差信号(残留騒音)を測定するようになっている。これらラウドスピーカ103a,103b,103c、マイクロフォン105a,105b,105c,105dは信号処理機107に接続されており、信号処理機107は基本周波数測定手段によって測定した騒音源の基本周波数とマンクロホン105a,105b,105c,105dからの入力信号とを受けとり、閉空間101内の音圧レベルを最小にするようにラウドスピーカ103a,103b,103cに制御音信号を出力するものである。
【0004】
ここで閉空間101内には、3個のラウドスピーカ103a,103b,103cと4個のマイクロフォン105a,105b,105c,105dが設けられているが、説明を単純化するため、それぞれ103a,105aの一個ずつ設けられているものとする。
【0005】
今、騒音源からマイクロフォン105aまでの伝達関数をHとし、ラウドスピーカ103aからマイクロフォン105aまでの伝達関数をCとし、騒音源が発生する音源情報信号をXp とすると、マイクロフォン105aで観測される残差信号Eは、
E=Xp ・H+Xp ・G・C
となる。ここで、Gは、消音するために必要な伝達関数である。消音対象点において、騒音が完全に打ち消されてとき、E=0となる。このときGは、
G=−H/C
となる。そして、マイク検出信号Eが最小となるGを求め、このGに基づいて信号処理機107内のフィルター係数を適応的に更新するようにしている。マイク検出信号Eを最小にするようフィルター係数を求める手段として、最急降下法の一種であるLMSアルゴリズム(Least Mean Square)などがある。
【0006】
また、図30のように、マイクロフォンが複数設置されている場合には、各マイクロフォン105a,105b,105c,105dで検出した信号の総和が最小となるように制御される。
【0007】
そして、上記のような制御によって、例えば図31の(a)のような車室内籠り音に対して(b)のような逆相の相殺音を出力し、(c)のように籠り音を相殺音で打ち消す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来装置は、正弦成分などの定状確定信号からなる単一の騒音源、例えばエンジンから発生される騒音を低減する場合には効果的である。
【0009】
しかしながら、走行中の自動車の車室内騒音は、エンジン回転に伴なう騒音、サスペンションから伝達されるロードノイズ、風切り音、排気音など種々のものが存在し、しかも、ランダムな性質のものが多い。従って、エンジン回転に伴なう騒音の正弦成分のみを基準信号として騒音制御をしたのでは制御対象以外の騒音成分が演算の度に加算されて発散を招く恐れがあり、この場合はかえって騒音レベルの悪化を招くことがある。
【0010】
また、アクティブコントロール装置は、上記図30の能動型騒音制御装置以外に、サスペンションの振動制御などにも応用することができるが、サスペンションの振動入力はランダムな性質を有しており、これを適格に制御することは困難であった。
【0011】
このため、本願出願人はニューラルネットを用いた制御装置を採用することにより、複数の騒音原からの騒音が連成され、かつランダムな性質を有していても、的確な騒音制御を図ることができ、またランダムな振動であってもこれを的確に制振することのできるアクティブコントロール装置をすでに出願している(特願平5−5785参照)。
【0012】
ところで、このようなニューラルネットワークを用いたアクティブコントロール装置では低周波数領域において有効であるにしても、高周波数領域での非線形性の強いシステムに対して、同定学習速度及び制御精度の向上に限界を招いていた。
【0013】
これをさらに説明すると、ニューラルネットワークを用いた制御装置では、一般に最急降下法LMS(Least Mean Square)などのアルゴリズムを用いて、ニューラルネットワークの出力値から算出できる誤差評価関数の最小値を求め、ニューラルネットワークの制御パラメータの調整を行なうようにしている。
【0014】
しかし、ニューラルネットワークの誤差評価関数が示す誤差曲面にはグローバルな最小値の他に、数多くのローカルな極小値が存在しランダムな抽出を行なうためたまたま抽出によりローカルな極小値を見つけるとそこに収束してしまうものとなる。このため、検出した値がローカルな極小値かグローバルな最小値かの判断ができず、制御パラメータの調整に限界を招いていたからである。
【0015】
これに対して、最近ではもとの信号に雑音(ノイズ)を入れてグローバルな最小値が得られるニューラルネットワークのアルゴリズムが発表されている(USP284152参照)。これはもとの信号に一定レベルの周波数でノイズを入れ、このノイズの度合いを次第に小さくすることにより、グローバルな最小値を得るようにしたものである。
【0016】
しかしながら、どの程度のレベルのノイズを入たらいいのか、あるいはどの程度小さくしていったらいいのかを一義的に決めることが出来ず、場合によっては最小値が得られない恐れがある。
【0017】
そこで、この発明はニューラルネットを用いたアクティブコントロール装置でありながら、的確な学習速度と制御精度とを達成することの出来るアクティブコントロール装置の提供を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記、課題を解決するために請求項1の発明は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域でのカウント数を変更することを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返し中に極小値が得られないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録し、当該領域での極小値の検出を中止することを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明は、音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域でのカウント数を変更することを特徴とする。
【0022】
請求項5の発明は、音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返し中に極小値が得られないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録し、当該領域での極小値の検出を中止することを特徴とする。
【0023】
請求項6の発明は、音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことを特徴とする。
【0024】
請求項7の発明は、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記アクチュエータは、自動車の車室内騒音に干渉させる制御音を発生して騒音低減を図る制御音源であり、前記音振状態検出手段は、自動車の車室内の騒音状態を検出する騒音状態検出手段であることを特徴とする。
【0025】
請求項8の発明は、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記アクチュエータは、自動車のサスペンションに制御力を与えて振動低減を図る制振装置であり、前記音振状態検出手段は、自動車のサスペンションの振動状態を検出する振動状態検出手段であることを特徴とする。
【0026】
請求項9の発明は、請求項4〜請求項8のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記制御装置のニューラルネットは、制御ニューラルネットと同定ニューラルネットとからなり、前記制御ニューラルネットは、前記音振状態検出手段の出力が入力されて前記アクチュエータを制御する信号を出力し、前記同定ニューラルネットは、予め同定した前記アクチュエータの制御による自動車の応答に基づき前記制御予測値を出力することを特徴とする。
【0027】
請求項10の発明は、請求項4〜請求項9のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記制御装置は、前記音振状態検出手段が検出した現時点よりも前のデータとして、少なくとも前記アクチュエータの制御信号を入力するニューロン素子を有して現時点のアクチュエータの制御信号を出力し、前記検出時点よりも後の制御予測値を予測して出力することを特徴とする。
【0028】
請求項11の発明は、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記制御パラメータは、前記ニューラルネットの結合荷重を学習するときの学習の割合であることを特徴とする。
【0029】
請求項12の発明は、請求項1〜請求項11記載のいずれか1項にアクティブコントロール装置であって、前記ニューラルネットは、前記領域の個数であるステップ数に応じて複数並列に備えられていることを特徴とする。
【0030】
【作用】
上記手段の請求項1の発明のよれば、ニューラルネットを用いた制御装置は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータの修正を行なう。この場合、制御装置は制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行なうことができる。
【0031】
すなわち、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、その夫々から極小値を検出し、そのうち最も小さいものを最小値として算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を求めて制御パラメータの修正を行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて前記各領域でのカウント数を変更することができる。このため、例えば、カウント数が多く残存していても、検出値が大きく収束している場合には、以後の処理においてカウント数を減少させ、処理を早めることができる。
【0032】
請求項2の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータの修正を行なう。この場合、制御装置は制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行なうことができる。すなわち、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、その夫々から極小値を検出し、そのうち最も小さいものを最小値として算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を求めて制御パラメータの修正を行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域でカウント数の繰り返しにより検出値が収束しないとき、該当する領域を制約リストに登録し当該領域での極小値の検出を中止することができる。従って、極小値が得られる可能性のある領域にしぼって検出を続行することができる。
【0033】
請求項3の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータの修正を行なう。この場合、制御装置は制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行なうことができる。すなわち、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、その夫々から極小値を検出し、そのうち最も小さいものを最小値として算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を求めて制御パラメータの修正を行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことができる。従って、各領域で、検出値がより収束する方向に制御パラメータのランダムな値をとることができる。
【0034】
請求項4の発明では、音振状態検出手段が対象物の音振状態を検出し、その出力が制御装置に入力されるとニューラルネットによって生成された信号が出力される。この信号出力によって、アクチュエータが対象物の音振状態を制御する。また、ニューラルネットにより出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習が適応的に行われる。この際、制御装置は、制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値のカウントを計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記制御パラメータの修正を行なうことができる。すなわち、ニューラルネットを用いて制御パラメータを修正する際、各領域ごとに極小値を検出し得られた極小値の中から最小値を算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を的確に求めることができる。そして、このグローバルな最小値によって制御パラメータの修正を的確に行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて前記各領域でのカウント数を変更することができる。このため、例えば、カウント数が多く残存していても、検出値が大きく収束している場合には、以後の処理においてカウント数を減少させ、処理を早めることができる。
【0035】
請求項5の発明では、音振状態検出手段が対象物の音振状態を検出し、その出力が制御装置に入力されるとニューラルネットによって生成された信号が出力される。この信号出力によって、アクチュエータが対象物の音振状態を制御する。また、ニューラルネットにより出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習が適応的に行われる。この際、制御装置は、制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値のカウントを計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記制御パラメータの修正を行なうことができる。すなわち、ニューラルネットを用いて制御パラメータを修正する際、各領域ごとに極小値を検出し得られた極小値の中から最小値を算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を的確に求めることができる。そして、このグローバルな最小値によって制御パラメータの修正を的確に行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域でカウント数の繰り返しにより検出値が収束しないとき、該当する領域を制約リストに登録し当該領域での極小値の検出を中止することができる。従って、極小値が得られる可能性のある領域にしぼって検出を続行することができる。
【0036】
請求項6の発明では、音振状態検出手段が対象物の音振状態を検出し、その出力が制御装置に入力されるとニューラルネットによって生成された信号が出力される。この信号出力によって、アクチュエータが対象物の音振状態を制御する。また、ニューラルネットにより出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習が適応的に行われる。この際、制御装置は、制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値のカウントを計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記制御パラメータの修正を行なうことができる。すなわち、ニューラルネットを用いて制御パラメータを修正する際、各領域ごとに極小値を検出し得られた極小値の中から最小値を算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を的確に求めることができる。そして、このグローバルな最小値によって制御パラメータの修正を的確に行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことができる。従って、各領域で、検出値がより収束する方向に制御パラメータのランダムな値をとることができる。
【0037】
請求項7の発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、騒音状態検出手段が車室内の騒音状態を検出すると、その出力が制御装置に入力されニューラルネットによって生成された信号が出力される。この出力信号によって、制御音源が制御され自動車の車室内騒音に干渉させる制御音を発生して、騒音低減を図ることができる。またニューラルネットにより、出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習を行なうことができる。すなわちランダムな性質を有する騒音であっても、ニューラルネットを用いて正確にコントロールすることができる。
【0038】
請求項8の発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の作用に加え、振動状態検出手段がサスペンションの振動状態を検出すると、その出力が制御装置に入力され、ニューラルネットにより生成された信号が出力される。この出力信号によって、制振装置が制御され自動車のサスペンションに制御力が与えられて、振動低減を図ることができる。またニューラルネットによって、前記出力信号に基づく制御予測値が出力され、制御目標値と比較することによりニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習を行なうことができる。すなわち、ランダムな性質を有するサスペンション振動をニューラルネットを用いてコントロールすることができる。
【0039】
請求項9の発明では、請求項4〜請求項8のいずれか1項に記載の作用に加え、音振状態検出手段の出力が制御ニューラルネットに入力され、アクチュエータを制御する信号が出力される。また、同定ニューラルネットは予め同定した自動車の応答に基づき制御予測値を出力することができる。したがって同定ニューラルネットから出力された制御予測値を制御目標値と比較することにより、制御ニューラルネットの制御パラメータの修正を行ないニューラルネットの学習を行なうことができる。すなわち、同定ニューラルネットの採用により制御ニューラルネットの制御パラメータを修正するための制御予測値を正確に出力することができる。
【0040】
請求項10の発明では、請求項4〜請求項9のいずれか1項に記載の作用に加え、制御装置において、音振状態検出手段が検出した現時点よりも前のデータとして少なくともアクチュエータの制御信号を入力し、現時点のアクチュエータの制御信号が出力される。また検出時点よりも後の制御予測値を予測して出力することができる。すなわちアクチュエータの制御信号は、過去のデータに基づいて出力され、かつ制御予測値が予測して出力されるので、ランダムな性質を有する騒音や振動に適応させることができる。
【0041】
請求項11の発明では、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の作用に加え、制御パラメータとしてニューラルネットの結合荷重を学習するときの学習の割合とすることができる。したがって最小値の検出に際して、学習の割合を適宜選択することができる。
【0042】
請求項12の発明では、請求項1〜請求項11のいずれかの発明の作用に加え、ニューラルネットを領域の個数であるステップ数に応じて複数並列に備えることができる。したがって各領域ごとに、各々のニューラルネットによって探索を行なうことができる。
【0043】
【実施例】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0044】
図1は、この発明の第1実施例に係るアクティブコントロール装置を適用したアクティブノイズコントロール装置の全体を示す概略図である。
【0045】
図1で示す車室1内は、エンジンからの騒音、サスペンションからのロードノイズ、マフラからの排気音、更には風切り音、車体パネルの振動などが合成され、非線形の連成空間を構成している。このような連成空間としての車室1内の音振状態として、騒音状態を検出するために、音振状態検出手段(騒音状態検出手段)であるマイクロフォン3及びピエゾ素子センサ5が設けられている。
【0046】
自動車の音振状態を制御するアクチュエータとしては、自動車の車室1内騒音に干渉させる制御音を発生して騒音低減を図る制御音源であるラウドスピーカ7が設けられている。
【0047】
また、この実施例では、自動車の音振状態を制御するアクチュエータとして車体パネルに外力を加えて車体の振動モードを制御するピエゾ素子アクチュエータ9が設けられている。
【0048】
そして、マイクロフォン3、ピエゾ素子センサ5の出力は、ニューラルネットを用いた制御装置11に入力され、制御装置11は、ラウドスピーカ7、ピエゾ素子アクチュエータ9を制御する信号を出力するようになっている。
【0049】
同時に当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより、ニューラルネットのパラメータ、例えば結合荷重の修正を行なう構成となっている。
【0050】
なお、この実施例では、前記のように車室1内の騒音を制御するためにマイクロフォン3、ラウドスピーカ7の他に、ピエゾ素子センサ5、ピエゾ素子アクチュエータ9を設けているが、これは、車室1内の騒音は車体の振動応答と車室1内の音場との連成となるからである。
【0051】
また、マイクロフォン3、ピエゾ素子センサ5、ラウドスピーカ7及びピエゾ素子アクチュエータ9は、説明簡単のために各1個のみ設けられているものとしているが、例えば、これらを複数とし、マイクロフォン3は各座席のヘッドレスト位置にそれぞれ設け、ラウドスピーカ7は車両の前席及び後席に対応する左右ドア部にそれぞれ配置し、ピエゾ素子センサ5及びピエゾ素子アクチュエータ9は車体ルーフ、左右ドア部などに分散して設けることもできる。
【0052】
図2は、前記制御装置11を示す概略ブロック図である。即ち、制御装置11は、制御ニューラルネット13と、同定ニューラルネット15と、評価・調整部17と、遅延器19と、図示しないが記憶部等を備えている。
【0053】
前記制御ニューラルネット13は、マイクロフォン3の出力mとピエゾ素子セ
【外1】
子アクチュエータ9を制御する信号Oc2とを出力する構成となっている。
【0054】
前記同定ニューラルネット15は、予め同定したアクチュエータの制御による自動車の応答に基づき制御予測値Of を出力する。即ち、制御ニューラルネット13の出力Oc1,Oc2及びマイクロフォン3の出力m等を入力し、制御予測値Of を出力する構成となっている。
【0055】
前記評価・調整部17は、同定ニューラルネット15が被制御体の動特性を充分に表した後、即ち、車室1の応答を充分に同定した後、同定ニューラルネット15の出力Of と制御目標値XT との差を演算し、この値を用いてバックプロパゲーションにより制御ニューラルネット13の結合荷重の修正を行なう。
【0056】
前記遅延器19,21及び図示しない記憶部は、ARMAモデルに基づいて制御ニューラルネット13と同定ニューラルネット15とを構成するものである。
【0057】
遅延器19はマイクロフォン3、ピエゾ素子センサ5が騒音状態を検出した時点tよりも前、即ち、(t−1),(t−2),…などの制御信号Oc1,Oc2を制御ニューラルネット13に入力する構成となっている。このため、制御ニューラルネット13は時間遅れ(過去)の信号を入力するニューロン素子を有している。
【0058】
遅延器21は、同定ニューラルネット15の出力信号Of の現時点tよりも前の(t−1)などのデータを同定ニューラルネット15及び制御ニューラルネット13に入力する構成となっている。従って、両ニューラルネット13,15は、同定ニューラルネット15の出力Of の過去のデータを入力するニューロン素子をそれぞれ有している。
【0059】
【外2】
入力により現時点の制御信号Oc1,Oc2を出力し、同定ニューラルネット15は、前記過去のデータとm,Oc1,Oc2との信号入力により、検出時点よりも後の(t+Δt)の制御予測値Of を予測して出力する。このため、自動車のように外部環境が激しく変化するような場合でも、将来を見越した制御ができるため、素早い対応をとることができる。又、その予測を行なう際、常に最前の値を用いて予測を行なっているため適確な予測を行なうことができる。
【0060】
図3(a),(b)は、ニューラルネットの構成の一部を示したもので(a)は全体(b)は中間層の1つ(例えば25c)を示したものである。
【0061】
このニューラルネットは、入力層と中間層と出力層とからなっている。入力層はニューロン素子23a,23bの2個を示し、中間層はニューロン素子25a,25b,25cの3個を示し、出力層はニューロン素子27の1個を示している。
【0062】
ここで説明するニューラルネットは、入力層のニューロン素子23a,23bでは入力x1 ,x2 に対して結合荷重Wijを付け、中間層のニューロン素子25a,25b,25cでは同様に結合荷重Hjrを付けている。ijはi番目の入力層に対して、j番目の中間層が結合していることを示し、jrはj番目の中間層に対してr番目の出力層が結合していることを示している。
【0063】
従って、結合荷重Wijによる各ニューロンの内部ポテンシャルO1 は、
O1 =ΣWijxi +Θi …(1)
となる。ここに、Θi はニューロン素子の閾値を示している。
【0064】
また、内部ポテンシャルO1 は、ニューロン素子への出力値と決める。出力は、例えば、図4で示すシグモイド関数で計算される。これは、
【数1】
と表される。
【0065】
ここに、u0 は図4の傾きを示すもので、この傾きu0 を決めることにより、ランダム信号に対応させることができる。出力は0から1の間の出力であり、例えば、物理量v=0〜100m/sec を出力するとしたら、
【数2】
として、0〜1の信号にするのである。
【0066】
結合荷重Wij等の修正は、同定ニューラルネット15の出力Of と制御目標値XT との誤差を、
E=Σ(XT −Of )2 …(4)
とし、最急降下法により、誤差Eを最小値とするWijを求め、結合荷重とするのである。
【0067】
ここで、入力xのニューロン素子の出力Of は、Of =f(y)で与えられるから、誤差Eはf(y)の関数となり、EをOf で偏微分し、Of をWijで偏微分して、
【数3】
とし、さらにOf をf(y)で偏微分し、f(y)をWijで偏微分して、
【数4】
となる。従って、f(y)とOf との関係でEを最小とするWijが求められる。
【0068】
上記のような関係でEを最小とするWijを求めることは、最急降下法を実装したものと等価であり、以下の式が成り立つ。
【0069】
【数5】
このような関係において、制御パラメータηがある程度大きいと誤差Eは収束せず、またηを小さくするとローカルな極小値で収束してしまい、グローバルな最小値を検出することができなくなる。これを図5を用いて説明すると、図5は入力xに対する誤差Eの変化として誤差関数f(y)を示している。この誤差関数f(y)において、制御パラメータηを大きくしてしまうと例えば誤差関数f(y)上においてSからPまで進んでしまい、最小値Rに収束することがなかなかできないものとなる。逆にηが小さいと例えばP点からQ点へ進んでローカルな極小値Qに収束してしまい、グローバルな最小値Rを検出することができなくなる恐れがある。したがって上記のように、単なる最急降下法を実装したものと等価なニューラルネットワークでは学習速度及び制御精度の向上に限界がある。このため、この発明の一実施例では制御パラメータの一つであるηを以下に説明する勾配式ランダム探索法によって決定するのである。すなわち、この実施例では最急降下法とランダム探索法とを結合したアルゴリズムとなっている。
【0070】
図6はランダム探索法の概略図を示している。ここでは、有る目的関数f(x)を制約条件のもとで最小にする問題を考える。このランダム探索法ではあらたにステップ数、カウント数の二つの定数を定義する。ステップ数とは探索を行なう近傍領域の個数であり、カウント数とは一つの近傍領域を探索する回数の上限値を表わす。制約条件を満足する解の第1次近似解(初期値)x0 とし、x0 の周りに近傍領域N(x0 ,hi )を設定する。ここにH=hi (i=1,…,r)はステップである。この探索法の考え方は、夫々の近傍領域の中でxをランダムに発生させ、これによるf(x)がf(x0 )より小さければ、その点をその領域内の極小値として記憶し、全近傍領域で選択された極小値の中で最も小さなxを第2次近似解x1 とし、x1 の周りに再度近傍領域を設けて探索を繰り返すものである。
【0071】
以上の手法を一変数関数の最小値の問題に適用すると以下のようになる。
【0072】
目的関数f(x)が与えられ、変数xの値域が(a,b)のとき、ステップを順次1/10づつ小さくし、ステップ数がr個で探索が行われた場合、ステップ(H)はベクトル表示して次のようになる。
【0073】
【数6】
すなわち図6の上段のようにh1 =b−aを最大の領域として、1/10のづつ小さくしhr =hr−1 /10.0を最小として、r個の領域に分割される。すなわち、ある起点x0 から夫々のステップに対し近傍領域(N)が設定される。次いで図6の中段のように近傍領域(N)でランダムにx0iが発生する。この結果、f(x0 )>f(x0i)ならばx0iは記憶され、そうでない場合はカウント数Kをプラスし同じ近傍領域で次のランダムなx0iが発生する。またカウント数Kが与えられた数より大きければ、他の近傍領域(N)への探索に移る。そして図6の下段のように、全ての近傍領域Nでの探索から極小値xsave(1),xsave(2),…xsave(r)を検出し、これら極小値の中から最小値xbestを算出し次解の初期値とするのである。この方法は多変数の場合についても、変数をベクトルと考えることにより、その対応は可能である。
【0074】
次に図7のフローチャートを用いて、上記ランダム探索を説明する。
【0075】
なお以下の説明において、ステップSはランダム探索法において、あらたに定義したステップhとは異なるものである。
【0076】
まずステップS1では、ステップhi の設定が行われる。このステップhi の設定は、上記のように探索を行なう近傍領域の個数の設定である。
【0077】
ステップS2では、領域の設定が行われる。この領域設定によって、xの許容範囲を複数の領域に分割する。
【0078】
次いでステップS3,S4,S5において初期設定が行われる。すなわち繰り返し数I=0、ステップ数i=1、カウント数K=0に設定される。繰り返し数Iは一回の領域設定によって得られた最小値を次解の初期値として、再度探索を繰り返す場合の数である。ステップ数iは1として設定し、ステップS2で設定した領域の最初の近傍領域を選定する。そして、初回はステップS6,ステップS7と移行してステップS8において最大の領域での探索が行われる。すなわち初期値x0iがランダムに発生し、ステップS6において目的関数f(x)との比較が行なわれる。f(x0 )>f(x0i)ならば初期値x0iはステップS9において極小値として記憶される。
【0079】
ステップS6においてNOと判断されれば、ステップS7においてカウント数Kが与えられた数より大きいかどうかが判断され、大きくなければステップS8において同じ領域であらためてxが発生し探索が行われる。このような探索において、極小値が見つからず、しかもカウント数が与えられた数より大きくなるとステップS10へ移行し、ステップhの個数iが設定した個数rを上回るかどうかの判断が行われ、iがrを下回っていればiの数をプラスしてステップS5へ移行する。
【0080】
ステップS5では再びK=0の設定が行われ、ステップS6,ステップS7,ステップS8へと移行し次の領域での探索が行われる。ステップS9において極小値の記憶が行われた場合にも、ステップS10の判断が行われステップの個数iのプラスが行われて次の領域での探索が行われるものである。
【0081】
このようにして、全てのステップでの探索が終了すると、ステップS11において極小値の中の最も小さい値を最小値x=xbestとして算出し記憶する。次にステップS11において記憶した最小値xbestを第2次近似解x1 とし、x1 の解りに再度近傍領域が設定され、ステップS13においてIが繰り返し数を上回ってない限りIがプラスされ、ステップS4へ移行する。したがって、あらたな領域設定において再度探索が行われ最小値の算出が行われる。
【0082】
そしてステップS13において、繰り返し数を満足したと判断されれば探索は終了する。
【0083】
このような処理によって、上記制御パラメータηの最小値を探索するものである。すなわち図6,図7において、xを制御パラメータηとして置き換え処理を行なうのである。制御パラメータηに置き換えて説明すると、制御装置11は制御パラメータηの初期値η0iをランダムに設定し、初期値η0iでの制御目標値に対する出力値の感度を計算する。次いで制御パラメータηの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータηのランダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値としてηの修正を行なうものである。
【0084】
したがって上記のように、大きさの異なった多領域に分割してηの解を探索するため、盲目的な探索を避けることができ探索に要する回数を減らすことができる。また多領域において夫々極小値を検出し、その中から最小値を算出するためローカルな極小値へ収束することを防ぐことができ、グルーバルな最小値を求めることができる。こうしてニューラルネットの学習の割合であるηの適正な値を求めることができ、精度良く高速に処理することができる。
【0085】
次に上記ランダム探索法の効果を目的関数f(x)として、一次元関数を定義し、さらに説明する。
【0086】
この一次元関数は、
【数7】
で定義する。この関数の形状は図8のようになっている。また関数の最小値を与えるx(=xbest)は17.039であり、そのときの関数値f(=fbest) は0.094となっている。この問題を最急降下法、ランダム探索法及び二つを組合せた方法を用いて探索した結果が図9である。ここで誤差Eは、
E=(f−fbest)/fbest
fbest=最適値
と定義され、xの初期値は各々図に示してある通り13.5,13.4,5.0としている。この図9より最急降下法は初期値の設定によって解が収束する場合(グローバルな最小値)とそうでない場合(ローカルな極小値)とがあり、初期値に対する依存性が強くあるのに対し、ランダム探索法ではどのような初期値に対しても精度よく解が収束した。
【0087】
さらに二つの方法を組合せた場合、最急降下法だけのときに見られた初期値に対する依存性を十分に克服していると共に、ランダム探索法だけのときに比べ収束が早くなっている。この結果からランダム探索法は最適化問題を解く上で有効な方法であり、ランダム探索法と他のアルゴリズムを組合せることにより、さらに有効性が増すことが確認できた。
【0088】
またランダム探索法に用いる新たに定義した定数であるステップ数,カウント数が最適解への収束情況にどのような影響を及ぼすかを考慮してみる。これら二つの定数を変更したときの解の収束性を比較した結果を図10,図11に示す。目的関数は上記f(x)を用いている。これら図10,図11から明らかなように、ステップ数が増えるとより精度の良いきめこまかな解の探索が可能となる。またカウント数が増えると誤差が最小、すなわちグローバルな最小値にたどりつく確率が増すことになる。但し、この二つの考え方で注意しなければならないのは、この二つの定数をむやみに大きくすると無駄な探索時間や、プログラムの際、無駄なメモリ領域を使ってしまうので、これらの定数の決定には十分な注意を要する。
【0089】
図12から図20はランダム探索法の有効性をさらに説明するためのものである。すなわち一自由度のばね−質量モデル及び多自由度の梁の数値シミュレーション結果を示している。
【0090】
先ず図12から図16は一自由度系の変位励振による応答を示している。図12に示す一自由度のばね−質量モデルを考えると、この系に正弦波の外力を加え、ある時間経過した後の過渡応答を図13に示す。固有角振動数は約100rad/secで、時間ステップは1msecとした。ニューラルネットワークの入力としては、系の応答速度と加速度とを用い、次の時間ステップの加速度の変化分を出力とした。教師信号を図14に示し、図15に収束性、図16に同定結果を示している。図15,図16の結果よりランダム探索法の誤差の収束が極めて早いことが確認できた。これは高精度な学習を極めて短時間で行なうことができることを示し、ランダム探索法を用いたニューラルネットワークの写像能力が最急降下法に比べ、極めて優れていることが確認できた。
【0091】
図17から図20は片持梁のインパルス応答をオンライン同定することを試みた。ニューラルネットワークの入出力及びシステムの概略は図18に示している。この図18において、ニューラルネットワークの入力としては梁の先端(x6)の加速度と速度とし、加速度の変換を出力する。ここでも片持梁の応答、すなわち教師信号は数値計算により求めている。誤差の収束性を図19に示し、シミュレーション時間100秒付近における同定結果を図20に夫々示している。図19,図20より明らかなように、オンライン同定では最急降下法を用いた場合とランダム探索法及び最急降下法を組合せた方法を用いた場合とでは、学習時間及び誤差の収束性にかなりの違いがあった。同定結果も勾配式ランダム探索法では極めて精度良く行われていることが確認できた。
【0092】
以上説明したランダム探索法の処理は、一つのニューラルネットワークによって順番に行なうこともできるが、図21のように並列化ニューラルネットによって分散処理することも可能である。すなわちニューラルネットは夫々入力層,中間層,出力層を備えた複数のユニット1〜rを備えている。このユニットの個数は分割設定する領域の個数となっている。したがって各領域ごとに各ユニットにより分散処理制御を行なうことができる。すなわち分散処理制御システム61では全体領域での探索の情報制御及び各ユニットを分散制御する。そして各ユニットごとに各領域での探索が行われ、グローバルな最小値の算出が63によって行われる。そして、この最小値に基づきバックプロパゲーションによって各ユニットの制御パラメータが修正されるのである。このような並列化処理によって、処理時間を極めて短縮することができ、より高速な処理を行なうことができる。またこのように複数のニューラルネットを並設した場合、一つのユニットの処理が終了し、他のユニットの処理が終了していない場合には終了したユニットが他のユニットの支援を行なうことができ、さらに高速化処理することができる。
【0093】
なお上記処理において、制御装置11は各領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域でのカウント数を変更することも可能である。すなわちカウント数が多く残存していても、検出値が大きく収束している場合には、以後の処理においてカウント数を次第に減少し、処理を早めることができるのである。
【0094】
また制御装置11は、各領域でカウント数の繰り返しにより極小値が得られないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録し、該領域での極小値の検出を中止することもできる。このように構成することによって、極小値が得られないことが明らかな領域の探索を中止し、より処理を高速化することができる。
【0095】
さらに制御装置11は各領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことができる。すなわち図7で示すような領域において、初期値x0iを中心にしてランダムな値を発生させるのであるが、カウント数を繰り返しているうちに初期値に対する極小値の方向が領域の中で次第に明らかになってくるため、その方向に多くのランダムな値を発生させることによって、より精度の良い検出を行なうことができるのである。
【0096】
図22は、ARMAモデルに基づいたニューラルネットを一般的に示したものである。このニューラルネットは、入力層、中間層、出力層を有しており、時刻tにおける入力x(t)によって時刻(t+1)における出力y(t+1)を予測して出力する。即ち、予測される出力y(t+1)は、現在の入力x(t)と過去の状態とに関係する。このため、入力層には3つの短期記憶ユニット29,30,31に接続されたニューロン素子を新たに追加している。
【0097】
記憶ユニット29は、入力x(t)の過去のデータx(t−1)からx(t−n)を記憶し、それぞれ対応するニューロン素子に信号を入力するようになっている。記憶ユニット30は、出力y(t+1)の過去のデータy(t)からy(t−l)のデータを記憶し、それぞれ対応するニューロン素子に入力するようになっている。記憶ユニット31は、出力y(t+1)の過去のデータz(t−l−1)からz(t−g)を記憶し、それぞれ対応するニューロン素子に入力するようになっている。
【0098】
そして、入力x(t)の信号は予測係数α0 を付けて中間層のニューロン素子に入力され、記憶ユニット29の各信号は予測係数α1 からαn が付けられ、記憶ユニット30の信号は予測係数β0 からβ1 が付けられ、記憶ユニット31の信号は予測係数γl+1 からγg が付けられ、それぞれ中間層のニューロン素子に入力されるようになっている。
【0099】
このニューラルネットの出力y(t+1)と検出した状態量x(t+1)との関係は、予測誤差e(t+1)とすると、
x(t+1)=y(t+1)+e(t+1)
となる。この場合、出力y(t+1)は、
【数8】
で表される。
【0100】
従って、予測係数α,β,γは、誤差系列に最小2乗推定法を適用して適正な値へ修正されていくこととなる。
【0101】
次に、アクティブコントロール装置の作用を説明する。
【0102】
図23は、この発明の第1実施例に係る作用の概略を示したものである。アクティブコントロール装置は、大概この図23のように動作する。図1をも参照すると、まず、ピエゾ素子センサ5及びマイクロフォン3によって車室1内の代表点の応答を正確に把握し、制御装置11によってシステムの動的特性をより正確に同定する。制御装置11は、システムの同定に基づいて連成解析を行ない、ピエゾ素子アクチュエータ9及びラウドスピーカ7を制御するのである。即ち、図2を参照し、同定ニューラルネット15が車室1内の騒音に対する動特性を充分に表した後、評価・調整部17において同定ニューラルネット15の出力Of と制御目標値XT との差を演算し、この値を用いて制御ニューラルネット13の結合荷重をバックプロパゲーションにより修正するのである。
【0103】
図24は、車室1内の応答に対する制御のタイムチャートを示している。即ち、時刻tにおいて、ピエゾ素子センサ5及びマイクロフォン3で車室1内の状態を感知し、制御装置11が時刻tでラウドスピーカ7及びピエゾ素子アクチュエータ9に信号を出力し、時刻t+Δtにおいて車室1内の騒音制御が実現されるのである。
【0104】
そして、この制御結果を制御装置11のニューラルネットにフィードバックして結合荷重を修正するため、同定ニューラルネット15の入力はある時間ステップtにおける車室1内の騒音状態量とこれに対する制御量とし、出力は次のステップ(t+Δt)における状態量となる。この同定ニューラルネット15の出力Of に基づき、同定ニューラルネット15の制御評価関数Ef 、制御ニューラルネット13の制御評価関数Ec は、
【数9】
但し、X:現在の状態
XT :のぞましい状態
Of :ニューロが予測した状態
となる。
【0105】
Xは時間ステップt+Δtにおける検出状態量であり、XT は、制御目標となる状態量である。従って、同定ニューラルネット15が車室1内の騒音に対する動特性を正確に同定しているならば、評価関数Ef は所定値以下となり、同定ニューラルネット15の出力Of と目標状態量XT との誤差Ec は、全て制御ニューラルネット13によって発生したと考えられる。
【0106】
従って、図25のように誤差情報を逆伝搬し、制御ニューラルネット13迄戻すことによって、制御装置11全体についての調整が可能となるのである。
【0107】
次に、図26のフローチャートによりこの発明の第1実施例の制御作用を説明する。
【0108】
まず、ステップS21では、制御ニューラルネット13と同定ニューラルネット15との初期化を行なう。この初期化は、結合荷重Wと閾値Θ及びシグモイド関数の傾き係数u0 をランダム関数を用いて決定する。
【0109】
ステップS22では、同定ニューラルネット15の初期学習を行なう。この初期学習はオフラインで行なわれ、予め定められたプログラムで行なわれる。このステップS22での初期学習が完了すると、図2のように同定ニューラルネット15は制御装置11に組み込まれる。
【0110】
同定ニューラルネット15の初期学習が完了した後、制御ニューラルネット13が稼動され、その出力Oc がステップS23で出力される。この出力によってラウドスピーカ7及びピエゾ素子アクチュエータ9が駆動されると共に、出力Oc は同定ニューラルネット15に入力される。これにより、ステップS24において同定ニューラルネット15は、時刻t+Δtにおける予測した状態量Of を出力する。
【0111】
ステップS25では、時刻t+Δtにおける状態量Xの実測データがサンプリングされる。また、この実施例では、ARMAモデルを利用しているため、過去の状態量を記憶装置に書き込む。
【0112】
ステップS26では、同定の判断が行なわれる。即ち、このステップS26は、同定ニューラルネット15が車室1内の騒音に関する動特性を正確に同定しているかどうかを判断するものである。具体的には、実測された状態量Xと予測した出力Of とを用いて上式のように演算された同定ニューラルネット15の評価関数Ef を収束判定基準Tf より大きいか否かを判断する。Ef がTf より大きければ、同定ニューラルネット15がシステムを充分に同定していないため、ステップS27へ移行し、評価・調整部17によって同定ニューラルネット15の結合荷重Wの修正、学習が行なわれる。
【0113】
次いで、ステップS28へ移行し、適応制御の判断が行なわれる。この判断は、車室1内の騒音状態が目標の状態になっているかどうかを判断するものである。具体的には、目標とする状態量XT と同定ニューラルネット15の出力Of とによって上式のように演算される評価関数Ec を収束判定基準Tc より大きいか否かを判断する。Ec がTc よりも大きければ、制御ニューラルネット13が充分に同定されていないためステップS29に移行し、バックプロパゲーションによって制御ニューラルネット13の結合荷重Wの修正、学習が行なわれる。
【0114】
以後、ステップS23からステップS29が繰り返され、車室1内の騒音がフィードフォワードによって制御されることになる。
【0115】
即ち、図1、図2のように同定ニューラルネット15は、予めオフラインで車室1内の騒音に関する動特性を同定されている。そして、制御ニューラルネット
【外3】
制御ニューラルネット13の出力信号Oc1,Oc2の過去の信号及び同定ニューラルネット15の出力Of の過去の信号が入力され、制御信号Oc1,Oc2が出力される。ここで、制御ニューラルネット13は、過去のデータを反映させるために過去のデータを入力するために予め設けられた入力用のニューロン素子全てにデータが入力された後稼動し出力するのである。
【0116】
そして、出力Oc1によってラウドスピーカ7が駆動され、騒音に対する逆相の信号が車室1内に出力される。また、出力Oc2によって、ピエゾ素子アクチュエータ9が駆動され、車体の振動モードが制御される。これによって、車室1の非線形の連成空間が制御され、騒音低減を図ることができる。
【0117】
また、同定ニューラルネット15は、制御ニューラルネット13の出力Oc1,Oc2を入力すると共に、車室1内の状態量としてマイクロフォン3の出力m及び出力Of の過去のデータを入力し、時刻t+Δtにおける出力Of を予測して出力する。この出力Of は、現時点での車室1内の騒音状態及び外力と過去のデータとに基づいており、ランダムな入力による騒音状態であっても正確に予測しているものと言える。
【0118】
そして、出力Of と現時点tにおける車室1内の騒音状態の実測データXとを比較し、同定ニューラルネット15の学習が行なわれる。同定ニューラルネット15がシステムの動特性を正確に同定しているものとした場合に、同定ニューラルネット15の出力Of と目標の状態量XT とにより評価・調整部17が制御ニューラルネット13の学習を行なうのである。
【0119】
図27は、この発明の第1実施例に係るニューラルネットワークの具体的な構成を示している。
【0120】
上記のように、このニューラルネットワークは、ARMAモデルを考慮しており、制御ニューラルネット13として音場制御ニューラルネットワーク13aと構造制御ニューラルネットワーク13bとを備えている。各ニューラルネットワークは、入力層、中間層、出力層とからなっており、入力層は白丸、中間層は斜線の入った丸、出力層は黒丸で示している。
【0121】
音場制御ニューラルネットワーク13aの入力は、時刻tにおけるn個のマイクロフォンの音圧感知信号m=m1 s (t) 〜mn s (t) と、時刻(t−1)〜(t−k)迄の過去のデータm1 a (t−1) 〜m1 a (t−k) ,mn a (t−1) 〜mn a (t−k) と、n個のラウドスピーカの(t−1)〜(t−k)迄の過去における制御力S1 a (t−1) 〜S1 a (t−k) ,Sn a (t−1) 〜Sn a (t−k) とが入力層の各ニューロン素子に入力されている。ここに、上添字のsは検出信号を示し、同aはニューラルネットによる処理信号を示している。
【0122】
音場制御ニューラルネットワーク13aの現在の時刻tにおける出力Oc1は、
Oc1=S1 a (t) 〜Sn a (t)
であり、n個のラウドスピーカに制御力として出力されると共に、同定ニューラルネットワーク15の入力層の該当するニューロン素子に入力されている。
【0123】
この出力Oc1=S1 a (t) 〜Sn a (t) の過去のデータは記憶され、遅延器19により音場制御ニューラルネットワーク13aの入力層に入力されることは前述の通りである。
【0124】
同定ニューラルネットワーク15の入力層には、現時点tにおけるマイクロフォン音圧感知信号m=m1 s (t) 〜mn s (t) と音圧感知信号の過去のデータm1 a (t−1) 〜m1 a (t−k) ,mn a (t−1) 〜mn a (t−k) とが入力されている。
【0125】
また、構造制御ニューラルネットワーク13bの入力層には、n個のピエゾ素
【外4】
) が入力されている。また、n個のピエゾ素子アクチュエータの過去の制御信号P1 a (t−1) 〜P1 a (t−k) ,Pn a (t−1) 〜Pn a (t−k) が入力されている。
【0126】
構造ニューラルネットワーク13bの時刻tにおける出力Oc2は、
Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t)
である。この出力Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t) は、n個のピエゾ素子アクチュエータに出力されると共に、同定ニューラルネットワーク15の入力層に入力されている。
【0127】
また、出力Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t) は前記同様逐次記憶され、過去のデータとして構造制御ニューラルネットワーク13bの入力層に入力されるのは前述の通りである。
【0128】
同定ニューラルネットワーク15の入力層には、時刻tにおける検出した車体
【外5】
る。
【0129】
そして、同定ニューラルネットワーク15からは時刻t+Δtにおけるマイク検出信号の予測値として
Of =m1 a (t+Δt)〜mn a (t+Δt)
が出力され、ピエゾ素子センサの検出の予測値として
【数10】
が出力される。
【0130】
なお、同定ニューラルネットワーク15の出力Of =m1 a (t+Δt)〜mn a (t+Δt)は逐次記憶され、過去のデータとして同定ニューラルネットワーク15と音場制御ニューラルネットワーク13aとの各入力層に入力されている。
【0131】
【外6】
n a (t+Δt)も逐次記憶され、過去のデータとして同定ニューラルネットワーク15の入力層及び構造制御ニューラルネットワーク13bの入力層にそれぞれ入力されている。
【0132】
従って、同定ニューラルネットワーク15の評価関数Ef は、
【数11】
となる。
【0133】
また、音場制御ニューラルネットワーク13aの制御評価関数Ec は、
【数12】
となる。
【0134】
更に、構造制御ニューラルネットワーク13bの制御評価関数Ec は、
【数13】
となる。
【0135】
従って、これらの評価関数Ef ,Ec を用いて上記のように同定ニューラルネットワーク15と制御ニューラルネットワーク13との結合荷重Wの修正、学習を適格に行なうことができる。
【0136】
なお、この第1実施例では、同定ニューラルネット、制御ニューラルネットの双方にARMAモデルを考慮したニューラルネットを用いているが、少なくとも制御ニューラルネットにつきARMAモデルを考慮すればよい。
【0137】
図28は、この発明の第2実施例を示している。この実施例は、アクティブコントロール装置を自動車のサスペンションの振動制御に適用したものである。
【0138】
車体32は、前輪33と後輪35とで路面37に接地している。このようなサスペンションにおいて前輪33と車体32との間のバネ定数はKF2、減衰係数はCF1であり、前輪33と路面37との間のバネ定数はKF1、減衰係数はCF1である。また、後輪35と車体32との間のバネ定数はKR2であり、減衰係数はCR1である。後輪35と路面37との間のバネ定数はKR1、減衰係数はCR1である。
【外7】
ある。
【0139】
そして、前輪33と車体32との間には制御力PF を与えて振動低減を図る制振装置39が設けられ、後輪35と車体32との間には制御力PR を与えて振動低減を図る制振装置41が設けられている。
【0140】
制御装置40には、前輪33側における路面37の凹凸Y0Fを検出する前輪側路面検出器43及び後輪35側における路面の凹凸を検出する後輪側路面検出器45の信号が入力されるようになっている。
【0141】
また、前輪33の振動加速度を検出する前輪振動加速度検出器47と、後輪35の振動加速度を検出する後輪振動加速度検出器49との出力信号が入力されるようになっている。
【0142】
更に、車体32の前部振動加速度を検出する前部振動加速度検出器51と、後輪側の振動加速度を検出する後部振動加速度検出器53とからの信号が入力されるようになっている。
【0143】
これら、検出器43,45,47,49,51,53は、サスペンションの振動状態を検出する振動状態検出手段を構成している。そして、制御装置40は、第1実施例同様にニューラルネットが用いられており、検出器43,45,47,49,51,53の出力が入力され、前記制振装置39,41を制御する信号を出力する。また、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより、ニューラルネットの結合荷重の修正を行なう構成となっている。
【0144】
この制御装置40のニューラルネットワークの構成は図29のようになっている。
【0145】
このニューラルネットも前記実施例同様、制御ニューラルネット55と同定ニューラルネット57とからなっている。制御ニューラルネット55は、前輪制御ニューラルネット55aと後輪制御ニューラルネット55bとからなっている。各制御ニューラルネット55a,55bは白丸の入力層と、斜線を施した丸で示す2段の中間層と黒丸の出力層とからなっており、同定ニューラルネット57は白丸の入力層、斜線を施した丸の中間層、黒丸の出力層からなっている。
【0146】
そして、この実施例では、制御ニューラルネット55のみをARMAモデルを考慮したニューラルネットとしている。即ち、前輪制御ニューラルネット55aの入力層には、時刻tにおける前輪側路面検出器43の検出信号Y0F s (t) 、前
【外8】
制御力PF a (t) となる。この出力PF a (t) は、同定ニューラルネット15に入力されると共に逐次記憶され、過去のデータPF a (t−1) として前輪制御ニューラルネット55aの入力層に入力されるようになっている。
【0147】
また、後輪制御ニューラルネット55bも同様であり、入力は、検出器45,
【外9】
41の制御力Oc =PR a (t) の過去のデータPR s (t−1) となっている。出力Oc =PR a (t) は制振装置41に出力されると共に、同定ニューラルネット15に入力されるようになっている。同定ニューラルネット15の入力層には、更
【外10】
更に、同定ニューラルネット15の入力層には、中間層の出力が入力される構成となっている。これは、一般にレカレント(recurrent )と呼ばれ、信号のノイズを除去することができる。レカレントは、例えば、中間層の出力を再び中間層自体に入力することによっても行なうことができる。
【0148】
同定ニューラルネット15の出力Of は、次の時刻t+1における車体32の振動加速度
【数14】
となる。従って、同定ニューラルネット15の評価関数Ef は、
【数15】
となり、制御ニューラルネット55の評価関数Ec は、
【数16】
となる。
【0149】
従って、この実施例においても評価関数Ef が所定以下となり、同定ニューラルネット57が振動入力に対する車体32の動特性を正確に表しているならば、評価関数Ec によって制御ニューラルネット55の結合荷重を修正、学習し、サスペンション制御の適格なフィードフォワード制御を可能とする。
【0150】
なお、第2実施例で設けた同定ニューラルネット57のレカレントは、制御ニューラルネットに用いることもでき、更に、第1実施例のニューラルネットに適用することも可能である。また第2実施例では過去のデータとして(t−1)における1個のデータで説明したが、第1実施例と同様にいくつかの時間遅れのデータも考慮することが可能である。
【0151】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の構成によれば以下のような効果を奏する。
【0152】
請求項1の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置によりシステムの動特性を的確に同定することができる。しかも探索領域を大きさの異なった多領域に分割して探索を行なうため盲目的な探索を避けることができ、探索に要する回数を減らすことができる。しかもランダム探索を用いるため、ローカルな極小値へ収束することを防止し、グローバルな最小値を的確に求めることができる。したがって高速で精度のよい処理を行なうことができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。また、検出値に応じてカウント数を減少することが可能となり、より高速な処理が可能となる。
【0153】
請求項2の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置によりシステムの動特性を的確に同定することができる。しかも探索領域を大きさの異なった多領域に分割して探索を行なうため盲目的な探索を避けることができ、探索に要する回数を減らすことができる。しかもランダム探索を用いるため、ローカルな極小値へ収束することを防止し、グローバルな最小値を的確に求めることができる。したがって高速で精度のよい処理を行なうことができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。極小値が得られないことが明らかな場合にその領域の処理を中止し、処理をより高速に行なうことが可能である。
【0154】
請求項3の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置によりシステムの動特性を的確に同定することができる。しかも探索領域を大きさの異なった多領域に分割して探索を行なうため盲目的な探索を避けることができ、探索に要する回数を減らすことができる。しかもランダム探索を用いるため、ローカルな極小値へ収束することを防止し、グローバルな最小値を的確に求めることができる。したがって高速で精度のよい処理を行なうことができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。また、初期値に対する方向性に重み付けを行なうことにより、より高速で精度のよい検出を行なうことができる。
【0155】
請求項4の発明では、探索領域を大きさの異なった複数の領域に分割して、ランダム探索を行なうため、音又は振動状態の少なくとも一方を高速かつ精度よく制御することができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。また、検出値に応じてカウント数を減少することが可能となり、より高速な処理が可能となる。
【0156】
請求項5の発明では、探索領域を大きさの異なった複数の領域に分割して、ランダム探索を行なうため、音又は振動状態の少なくとも一方を高速かつ精度よく制御することができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。極小値が得られないことが明らかな場合にその領域の処理を中止し、処理をより高速に行なうことが可能である。
【0157】
請求項6の発明では、探索領域を大きさの異なった複数の領域に分割して、ランダム探索を行なうため、音又は振動状態の少なくとも一方を高速かつ精度よく制御することができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。初期値に対する方向性に重み付けを行なうことにより、より高速で精度のよい検出を行なうことができる。
【0158】
請求項7の発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項の発明の効果に加え、車室内騒音をフィードフォワード制御により的確に制御することができる。したがって車室内騒音がエンジン音、エンジンからの入力、サスペンションからの入力、マフラーからの排気音、風切り音などの連成に基づく場合でも連成を的確に解析して、騒音低減を図ることができる。
【0159】
請求項8の発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項の発明の効果に加え、サスペンションの信号制御をフィードフォワードにより的確に制御することができる。したがって高速道は勿論、オフロードであってもサスペンションの振動特性を的確に解析し、車体振動の低減を図ることができる。
【0160】
請求項9の発明では、請求項4〜請求項8のいずれか1項の発明の効果に加え、制御ニューラルネットの他に同定ニューラルネットを設けることによって、制御予測値を出力し、制御ニューラルネットの制御パラメータの修正を的確に行なうことができる。
【0161】
請求項10の発明では、請求項4〜請求項9のいずれか1項の発明の効果に加え、検出制御の現時点よりも前のデータを入力することによって、現時点よりも後の制御予測値を予測して出力するため、ランダムな入力であっても音振状態を的確に予測することができ、ランダムな入力に対して的確な制御が可能となる。
【0162】
請求項11の発明では、請求項1〜請求項10のいずれか1項の発明の効果に加え、ニューラルネットの結合荷重を学習するときの学習する割合を制御パラメータとして修正するため、学習の割合を適切な値にすることを高速かつ精度良く行なうことができ、最小値の検出をより高速かつ高精度に行なうことができる。
【0163】
請求項12の発明では、請求項1〜請求項11のいずれか1項の発明の効果に加え、ニューラルネットを領域の個数に応じて複数並列に備えたため、処理を高速に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る概略ブロック図である。
【図2】制御装置のブロック図である。
【図3】ニューラルネットの一部を示す説明図である。
【図4】シグモイド関数を示す説明図である。
【図5】最急降下法による収束状況を示す説明図である。
【図6】ランダム探索法の概略図である。
【図7】ランダム探索法のフローチャートである。
【図8】一次元関数の形状を示す図である。
【図9】各初期値における収束状況を説明するグラフである。
【図10】ステップ数を変更した場合の説明図である。
【図11】カウント数を変更した場合の説明図である。
【図12】一自由度系ばね−質量モデルの説明図である。
【図13】一自由度系ばね−質量モデルの過渡応答の説明図である。
【図14】教師信号のグラフである。
【図15】線形モデルの誤差の時刻歴のグラフである。
【図16】同定結果のグラフである。
【図17】片持梁にインパルス入力を行なう状況の説明図である。
【図18】片持梁の同定ニューラルシステムの説明図である。
【図19】片持梁のリアルタイム同定過程での誤差の履歴を示すグラフである。
【図20】ニューラルネットによる片持梁の同定結果のグラフである。
【図21】並列化ニューラルネットによる該略図である。
【図22】ARMAモデルに基づいたニューラルネットの説明図である。
【図23】作用の概略説明図である。
【図24】システムの応答図である。
【図25】バックプロパゲーションの説明図である。
【図26】フローチャートである。
【図27】一実施例に係るニューラルネットの構成図である。
【図28】他の実施例に係る概略ブロック図である。
【図29】他の実施例に係るニューラルネットワークの構成図である。
【図30】従来の能動型騒音制御装置の概略ブロック図である。
【図31】信号の干渉状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 車室
3 マイクロフォン(騒音状態検出手段、音振状態検出手段)
7 ラウドスピーカ(制御音源、アクチュエータ)
11 制御装置
39 制振装置(アクチュエータ)
40 制御装置
41 制振装置(アクチュエータ)
43 前輪側路面検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
45 後輪側路面検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
47 前輪振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
49 後輪振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
51 前部振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
53 後部振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
【産業上の利用分野】
この発明は、自動車の車室内騒音や車体振動を能動的に低減するアクティブコントロール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のアクティブコントロール装置としては、例えば英国公開特許公報第2149614号記載の図30に示す能動型騒音制御装置がある。
【0003】
この従来装置は航空機の客室やこれに類する閉空間に適用されるもので、閉空間101内にラウドスピーカ103a,103b,103cおよびマイクロフォン105a,105b,105c,105dを備えており、ラウドスピーカ103a,103b,103cによって騒音に干渉させる制御音を発生し、マイクロフォン105s,105b,105c,105dによって残差信号(残留騒音)を測定するようになっている。これらラウドスピーカ103a,103b,103c、マイクロフォン105a,105b,105c,105dは信号処理機107に接続されており、信号処理機107は基本周波数測定手段によって測定した騒音源の基本周波数とマンクロホン105a,105b,105c,105dからの入力信号とを受けとり、閉空間101内の音圧レベルを最小にするようにラウドスピーカ103a,103b,103cに制御音信号を出力するものである。
【0004】
ここで閉空間101内には、3個のラウドスピーカ103a,103b,103cと4個のマイクロフォン105a,105b,105c,105dが設けられているが、説明を単純化するため、それぞれ103a,105aの一個ずつ設けられているものとする。
【0005】
今、騒音源からマイクロフォン105aまでの伝達関数をHとし、ラウドスピーカ103aからマイクロフォン105aまでの伝達関数をCとし、騒音源が発生する音源情報信号をXp とすると、マイクロフォン105aで観測される残差信号Eは、
E=Xp ・H+Xp ・G・C
となる。ここで、Gは、消音するために必要な伝達関数である。消音対象点において、騒音が完全に打ち消されてとき、E=0となる。このときGは、
G=−H/C
となる。そして、マイク検出信号Eが最小となるGを求め、このGに基づいて信号処理機107内のフィルター係数を適応的に更新するようにしている。マイク検出信号Eを最小にするようフィルター係数を求める手段として、最急降下法の一種であるLMSアルゴリズム(Least Mean Square)などがある。
【0006】
また、図30のように、マイクロフォンが複数設置されている場合には、各マイクロフォン105a,105b,105c,105dで検出した信号の総和が最小となるように制御される。
【0007】
そして、上記のような制御によって、例えば図31の(a)のような車室内籠り音に対して(b)のような逆相の相殺音を出力し、(c)のように籠り音を相殺音で打ち消す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来装置は、正弦成分などの定状確定信号からなる単一の騒音源、例えばエンジンから発生される騒音を低減する場合には効果的である。
【0009】
しかしながら、走行中の自動車の車室内騒音は、エンジン回転に伴なう騒音、サスペンションから伝達されるロードノイズ、風切り音、排気音など種々のものが存在し、しかも、ランダムな性質のものが多い。従って、エンジン回転に伴なう騒音の正弦成分のみを基準信号として騒音制御をしたのでは制御対象以外の騒音成分が演算の度に加算されて発散を招く恐れがあり、この場合はかえって騒音レベルの悪化を招くことがある。
【0010】
また、アクティブコントロール装置は、上記図30の能動型騒音制御装置以外に、サスペンションの振動制御などにも応用することができるが、サスペンションの振動入力はランダムな性質を有しており、これを適格に制御することは困難であった。
【0011】
このため、本願出願人はニューラルネットを用いた制御装置を採用することにより、複数の騒音原からの騒音が連成され、かつランダムな性質を有していても、的確な騒音制御を図ることができ、またランダムな振動であってもこれを的確に制振することのできるアクティブコントロール装置をすでに出願している(特願平5−5785参照)。
【0012】
ところで、このようなニューラルネットワークを用いたアクティブコントロール装置では低周波数領域において有効であるにしても、高周波数領域での非線形性の強いシステムに対して、同定学習速度及び制御精度の向上に限界を招いていた。
【0013】
これをさらに説明すると、ニューラルネットワークを用いた制御装置では、一般に最急降下法LMS(Least Mean Square)などのアルゴリズムを用いて、ニューラルネットワークの出力値から算出できる誤差評価関数の最小値を求め、ニューラルネットワークの制御パラメータの調整を行なうようにしている。
【0014】
しかし、ニューラルネットワークの誤差評価関数が示す誤差曲面にはグローバルな最小値の他に、数多くのローカルな極小値が存在しランダムな抽出を行なうためたまたま抽出によりローカルな極小値を見つけるとそこに収束してしまうものとなる。このため、検出した値がローカルな極小値かグローバルな最小値かの判断ができず、制御パラメータの調整に限界を招いていたからである。
【0015】
これに対して、最近ではもとの信号に雑音(ノイズ)を入れてグローバルな最小値が得られるニューラルネットワークのアルゴリズムが発表されている(USP284152参照)。これはもとの信号に一定レベルの周波数でノイズを入れ、このノイズの度合いを次第に小さくすることにより、グローバルな最小値を得るようにしたものである。
【0016】
しかしながら、どの程度のレベルのノイズを入たらいいのか、あるいはどの程度小さくしていったらいいのかを一義的に決めることが出来ず、場合によっては最小値が得られない恐れがある。
【0017】
そこで、この発明はニューラルネットを用いたアクティブコントロール装置でありながら、的確な学習速度と制御精度とを達成することの出来るアクティブコントロール装置の提供を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記、課題を解決するために請求項1の発明は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域でのカウント数を変更することを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返し中に極小値が得られないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録し、当該領域での極小値の検出を中止することを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明は、音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域でのカウント数を変更することを特徴とする。
【0022】
請求項5の発明は、音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返し中に極小値が得られないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録し、当該領域での極小値の検出を中止することを特徴とする。
【0023】
請求項6の発明は、音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことを特徴とする。
【0024】
請求項7の発明は、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記アクチュエータは、自動車の車室内騒音に干渉させる制御音を発生して騒音低減を図る制御音源であり、前記音振状態検出手段は、自動車の車室内の騒音状態を検出する騒音状態検出手段であることを特徴とする。
【0025】
請求項8の発明は、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記アクチュエータは、自動車のサスペンションに制御力を与えて振動低減を図る制振装置であり、前記音振状態検出手段は、自動車のサスペンションの振動状態を検出する振動状態検出手段であることを特徴とする。
【0026】
請求項9の発明は、請求項4〜請求項8のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記制御装置のニューラルネットは、制御ニューラルネットと同定ニューラルネットとからなり、前記制御ニューラルネットは、前記音振状態検出手段の出力が入力されて前記アクチュエータを制御する信号を出力し、前記同定ニューラルネットは、予め同定した前記アクチュエータの制御による自動車の応答に基づき前記制御予測値を出力することを特徴とする。
【0027】
請求項10の発明は、請求項4〜請求項9のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記制御装置は、前記音振状態検出手段が検出した現時点よりも前のデータとして、少なくとも前記アクチュエータの制御信号を入力するニューロン素子を有して現時点のアクチュエータの制御信号を出力し、前記検出時点よりも後の制御予測値を予測して出力することを特徴とする。
【0028】
請求項11の発明は、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、前記制御パラメータは、前記ニューラルネットの結合荷重を学習するときの学習の割合であることを特徴とする。
【0029】
請求項12の発明は、請求項1〜請求項11記載のいずれか1項にアクティブコントロール装置であって、前記ニューラルネットは、前記領域の個数であるステップ数に応じて複数並列に備えられていることを特徴とする。
【0030】
【作用】
上記手段の請求項1の発明のよれば、ニューラルネットを用いた制御装置は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータの修正を行なう。この場合、制御装置は制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行なうことができる。
【0031】
すなわち、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、その夫々から極小値を検出し、そのうち最も小さいものを最小値として算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を求めて制御パラメータの修正を行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて前記各領域でのカウント数を変更することができる。このため、例えば、カウント数が多く残存していても、検出値が大きく収束している場合には、以後の処理においてカウント数を減少させ、処理を早めることができる。
【0032】
請求項2の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータの修正を行なう。この場合、制御装置は制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行なうことができる。すなわち、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、その夫々から極小値を検出し、そのうち最も小さいものを最小値として算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を求めて制御パラメータの修正を行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域でカウント数の繰り返しにより検出値が収束しないとき、該当する領域を制約リストに登録し当該領域での極小値の検出を中止することができる。従って、極小値が得られる可能性のある領域にしぼって検出を続行することができる。
【0033】
請求項3の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置は、出力値と制御目標値との比較により制御パラメータの修正を行なう。この場合、制御装置は制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行なうことができる。すなわち、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、その夫々から極小値を検出し、そのうち最も小さいものを最小値として算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を求めて制御パラメータの修正を行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことができる。従って、各領域で、検出値がより収束する方向に制御パラメータのランダムな値をとることができる。
【0034】
請求項4の発明では、音振状態検出手段が対象物の音振状態を検出し、その出力が制御装置に入力されるとニューラルネットによって生成された信号が出力される。この信号出力によって、アクチュエータが対象物の音振状態を制御する。また、ニューラルネットにより出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習が適応的に行われる。この際、制御装置は、制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値のカウントを計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記制御パラメータの修正を行なうことができる。すなわち、ニューラルネットを用いて制御パラメータを修正する際、各領域ごとに極小値を検出し得られた極小値の中から最小値を算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を的確に求めることができる。そして、このグローバルな最小値によって制御パラメータの修正を的確に行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて前記各領域でのカウント数を変更することができる。このため、例えば、カウント数が多く残存していても、検出値が大きく収束している場合には、以後の処理においてカウント数を減少させ、処理を早めることができる。
【0035】
請求項5の発明では、音振状態検出手段が対象物の音振状態を検出し、その出力が制御装置に入力されるとニューラルネットによって生成された信号が出力される。この信号出力によって、アクチュエータが対象物の音振状態を制御する。また、ニューラルネットにより出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習が適応的に行われる。この際、制御装置は、制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値のカウントを計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記制御パラメータの修正を行なうことができる。すなわち、ニューラルネットを用いて制御パラメータを修正する際、各領域ごとに極小値を検出し得られた極小値の中から最小値を算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を的確に求めることができる。そして、このグローバルな最小値によって制御パラメータの修正を的確に行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域でカウント数の繰り返しにより検出値が収束しないとき、該当する領域を制約リストに登録し当該領域での極小値の検出を中止することができる。従って、極小値が得られる可能性のある領域にしぼって検出を続行することができる。
【0036】
請求項6の発明では、音振状態検出手段が対象物の音振状態を検出し、その出力が制御装置に入力されるとニューラルネットによって生成された信号が出力される。この信号出力によって、アクチュエータが対象物の音振状態を制御する。また、ニューラルネットにより出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習が適応的に行われる。この際、制御装置は、制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値のカウントを計算し、制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記制御パラメータの修正を行なうことができる。すなわち、ニューラルネットを用いて制御パラメータを修正する際、各領域ごとに極小値を検出し得られた極小値の中から最小値を算出するため、ローカルな極小値で収束することがなく、グローバルな最小値を的確に求めることができる。そして、このグローバルな最小値によって制御パラメータの修正を的確に行なうことができる。また、各領域での極小値の検出に際し、各領域の中に制御パラメータのランダムな値を各々複数個を選び、選んだ個数をカウント数として複数回繰り返すことができる。従って、グローバルな最小値を求める確率が増大する。また、各領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことができる。従って、各領域で、検出値がより収束する方向に制御パラメータのランダムな値をとることができる。
【0037】
請求項7の発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、騒音状態検出手段が車室内の騒音状態を検出すると、その出力が制御装置に入力されニューラルネットによって生成された信号が出力される。この出力信号によって、制御音源が制御され自動車の車室内騒音に干渉させる制御音を発生して、騒音低減を図ることができる。またニューラルネットにより、出力信号に基づく制御予測値が出力され、この制御予測値と制御目標値とが比較され、その結果ニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習を行なうことができる。すなわちランダムな性質を有する騒音であっても、ニューラルネットを用いて正確にコントロールすることができる。
【0038】
請求項8の発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の作用に加え、振動状態検出手段がサスペンションの振動状態を検出すると、その出力が制御装置に入力され、ニューラルネットにより生成された信号が出力される。この出力信号によって、制振装置が制御され自動車のサスペンションに制御力が与えられて、振動低減を図ることができる。またニューラルネットによって、前記出力信号に基づく制御予測値が出力され、制御目標値と比較することによりニューラルネットの制御パラメータの修正が行われ、ニューラルネットの学習を行なうことができる。すなわち、ランダムな性質を有するサスペンション振動をニューラルネットを用いてコントロールすることができる。
【0039】
請求項9の発明では、請求項4〜請求項8のいずれか1項に記載の作用に加え、音振状態検出手段の出力が制御ニューラルネットに入力され、アクチュエータを制御する信号が出力される。また、同定ニューラルネットは予め同定した自動車の応答に基づき制御予測値を出力することができる。したがって同定ニューラルネットから出力された制御予測値を制御目標値と比較することにより、制御ニューラルネットの制御パラメータの修正を行ないニューラルネットの学習を行なうことができる。すなわち、同定ニューラルネットの採用により制御ニューラルネットの制御パラメータを修正するための制御予測値を正確に出力することができる。
【0040】
請求項10の発明では、請求項4〜請求項9のいずれか1項に記載の作用に加え、制御装置において、音振状態検出手段が検出した現時点よりも前のデータとして少なくともアクチュエータの制御信号を入力し、現時点のアクチュエータの制御信号が出力される。また検出時点よりも後の制御予測値を予測して出力することができる。すなわちアクチュエータの制御信号は、過去のデータに基づいて出力され、かつ制御予測値が予測して出力されるので、ランダムな性質を有する騒音や振動に適応させることができる。
【0041】
請求項11の発明では、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の作用に加え、制御パラメータとしてニューラルネットの結合荷重を学習するときの学習の割合とすることができる。したがって最小値の検出に際して、学習の割合を適宜選択することができる。
【0042】
請求項12の発明では、請求項1〜請求項11のいずれかの発明の作用に加え、ニューラルネットを領域の個数であるステップ数に応じて複数並列に備えることができる。したがって各領域ごとに、各々のニューラルネットによって探索を行なうことができる。
【0043】
【実施例】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0044】
図1は、この発明の第1実施例に係るアクティブコントロール装置を適用したアクティブノイズコントロール装置の全体を示す概略図である。
【0045】
図1で示す車室1内は、エンジンからの騒音、サスペンションからのロードノイズ、マフラからの排気音、更には風切り音、車体パネルの振動などが合成され、非線形の連成空間を構成している。このような連成空間としての車室1内の音振状態として、騒音状態を検出するために、音振状態検出手段(騒音状態検出手段)であるマイクロフォン3及びピエゾ素子センサ5が設けられている。
【0046】
自動車の音振状態を制御するアクチュエータとしては、自動車の車室1内騒音に干渉させる制御音を発生して騒音低減を図る制御音源であるラウドスピーカ7が設けられている。
【0047】
また、この実施例では、自動車の音振状態を制御するアクチュエータとして車体パネルに外力を加えて車体の振動モードを制御するピエゾ素子アクチュエータ9が設けられている。
【0048】
そして、マイクロフォン3、ピエゾ素子センサ5の出力は、ニューラルネットを用いた制御装置11に入力され、制御装置11は、ラウドスピーカ7、ピエゾ素子アクチュエータ9を制御する信号を出力するようになっている。
【0049】
同時に当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより、ニューラルネットのパラメータ、例えば結合荷重の修正を行なう構成となっている。
【0050】
なお、この実施例では、前記のように車室1内の騒音を制御するためにマイクロフォン3、ラウドスピーカ7の他に、ピエゾ素子センサ5、ピエゾ素子アクチュエータ9を設けているが、これは、車室1内の騒音は車体の振動応答と車室1内の音場との連成となるからである。
【0051】
また、マイクロフォン3、ピエゾ素子センサ5、ラウドスピーカ7及びピエゾ素子アクチュエータ9は、説明簡単のために各1個のみ設けられているものとしているが、例えば、これらを複数とし、マイクロフォン3は各座席のヘッドレスト位置にそれぞれ設け、ラウドスピーカ7は車両の前席及び後席に対応する左右ドア部にそれぞれ配置し、ピエゾ素子センサ5及びピエゾ素子アクチュエータ9は車体ルーフ、左右ドア部などに分散して設けることもできる。
【0052】
図2は、前記制御装置11を示す概略ブロック図である。即ち、制御装置11は、制御ニューラルネット13と、同定ニューラルネット15と、評価・調整部17と、遅延器19と、図示しないが記憶部等を備えている。
【0053】
前記制御ニューラルネット13は、マイクロフォン3の出力mとピエゾ素子セ
【外1】
子アクチュエータ9を制御する信号Oc2とを出力する構成となっている。
【0054】
前記同定ニューラルネット15は、予め同定したアクチュエータの制御による自動車の応答に基づき制御予測値Of を出力する。即ち、制御ニューラルネット13の出力Oc1,Oc2及びマイクロフォン3の出力m等を入力し、制御予測値Of を出力する構成となっている。
【0055】
前記評価・調整部17は、同定ニューラルネット15が被制御体の動特性を充分に表した後、即ち、車室1の応答を充分に同定した後、同定ニューラルネット15の出力Of と制御目標値XT との差を演算し、この値を用いてバックプロパゲーションにより制御ニューラルネット13の結合荷重の修正を行なう。
【0056】
前記遅延器19,21及び図示しない記憶部は、ARMAモデルに基づいて制御ニューラルネット13と同定ニューラルネット15とを構成するものである。
【0057】
遅延器19はマイクロフォン3、ピエゾ素子センサ5が騒音状態を検出した時点tよりも前、即ち、(t−1),(t−2),…などの制御信号Oc1,Oc2を制御ニューラルネット13に入力する構成となっている。このため、制御ニューラルネット13は時間遅れ(過去)の信号を入力するニューロン素子を有している。
【0058】
遅延器21は、同定ニューラルネット15の出力信号Of の現時点tよりも前の(t−1)などのデータを同定ニューラルネット15及び制御ニューラルネット13に入力する構成となっている。従って、両ニューラルネット13,15は、同定ニューラルネット15の出力Of の過去のデータを入力するニューロン素子をそれぞれ有している。
【0059】
【外2】
入力により現時点の制御信号Oc1,Oc2を出力し、同定ニューラルネット15は、前記過去のデータとm,Oc1,Oc2との信号入力により、検出時点よりも後の(t+Δt)の制御予測値Of を予測して出力する。このため、自動車のように外部環境が激しく変化するような場合でも、将来を見越した制御ができるため、素早い対応をとることができる。又、その予測を行なう際、常に最前の値を用いて予測を行なっているため適確な予測を行なうことができる。
【0060】
図3(a),(b)は、ニューラルネットの構成の一部を示したもので(a)は全体(b)は中間層の1つ(例えば25c)を示したものである。
【0061】
このニューラルネットは、入力層と中間層と出力層とからなっている。入力層はニューロン素子23a,23bの2個を示し、中間層はニューロン素子25a,25b,25cの3個を示し、出力層はニューロン素子27の1個を示している。
【0062】
ここで説明するニューラルネットは、入力層のニューロン素子23a,23bでは入力x1 ,x2 に対して結合荷重Wijを付け、中間層のニューロン素子25a,25b,25cでは同様に結合荷重Hjrを付けている。ijはi番目の入力層に対して、j番目の中間層が結合していることを示し、jrはj番目の中間層に対してr番目の出力層が結合していることを示している。
【0063】
従って、結合荷重Wijによる各ニューロンの内部ポテンシャルO1 は、
O1 =ΣWijxi +Θi …(1)
となる。ここに、Θi はニューロン素子の閾値を示している。
【0064】
また、内部ポテンシャルO1 は、ニューロン素子への出力値と決める。出力は、例えば、図4で示すシグモイド関数で計算される。これは、
【数1】
と表される。
【0065】
ここに、u0 は図4の傾きを示すもので、この傾きu0 を決めることにより、ランダム信号に対応させることができる。出力は0から1の間の出力であり、例えば、物理量v=0〜100m/sec を出力するとしたら、
【数2】
として、0〜1の信号にするのである。
【0066】
結合荷重Wij等の修正は、同定ニューラルネット15の出力Of と制御目標値XT との誤差を、
E=Σ(XT −Of )2 …(4)
とし、最急降下法により、誤差Eを最小値とするWijを求め、結合荷重とするのである。
【0067】
ここで、入力xのニューロン素子の出力Of は、Of =f(y)で与えられるから、誤差Eはf(y)の関数となり、EをOf で偏微分し、Of をWijで偏微分して、
【数3】
とし、さらにOf をf(y)で偏微分し、f(y)をWijで偏微分して、
【数4】
となる。従って、f(y)とOf との関係でEを最小とするWijが求められる。
【0068】
上記のような関係でEを最小とするWijを求めることは、最急降下法を実装したものと等価であり、以下の式が成り立つ。
【0069】
【数5】
このような関係において、制御パラメータηがある程度大きいと誤差Eは収束せず、またηを小さくするとローカルな極小値で収束してしまい、グローバルな最小値を検出することができなくなる。これを図5を用いて説明すると、図5は入力xに対する誤差Eの変化として誤差関数f(y)を示している。この誤差関数f(y)において、制御パラメータηを大きくしてしまうと例えば誤差関数f(y)上においてSからPまで進んでしまい、最小値Rに収束することがなかなかできないものとなる。逆にηが小さいと例えばP点からQ点へ進んでローカルな極小値Qに収束してしまい、グローバルな最小値Rを検出することができなくなる恐れがある。したがって上記のように、単なる最急降下法を実装したものと等価なニューラルネットワークでは学習速度及び制御精度の向上に限界がある。このため、この発明の一実施例では制御パラメータの一つであるηを以下に説明する勾配式ランダム探索法によって決定するのである。すなわち、この実施例では最急降下法とランダム探索法とを結合したアルゴリズムとなっている。
【0070】
図6はランダム探索法の概略図を示している。ここでは、有る目的関数f(x)を制約条件のもとで最小にする問題を考える。このランダム探索法ではあらたにステップ数、カウント数の二つの定数を定義する。ステップ数とは探索を行なう近傍領域の個数であり、カウント数とは一つの近傍領域を探索する回数の上限値を表わす。制約条件を満足する解の第1次近似解(初期値)x0 とし、x0 の周りに近傍領域N(x0 ,hi )を設定する。ここにH=hi (i=1,…,r)はステップである。この探索法の考え方は、夫々の近傍領域の中でxをランダムに発生させ、これによるf(x)がf(x0 )より小さければ、その点をその領域内の極小値として記憶し、全近傍領域で選択された極小値の中で最も小さなxを第2次近似解x1 とし、x1 の周りに再度近傍領域を設けて探索を繰り返すものである。
【0071】
以上の手法を一変数関数の最小値の問題に適用すると以下のようになる。
【0072】
目的関数f(x)が与えられ、変数xの値域が(a,b)のとき、ステップを順次1/10づつ小さくし、ステップ数がr個で探索が行われた場合、ステップ(H)はベクトル表示して次のようになる。
【0073】
【数6】
すなわち図6の上段のようにh1 =b−aを最大の領域として、1/10のづつ小さくしhr =hr−1 /10.0を最小として、r個の領域に分割される。すなわち、ある起点x0 から夫々のステップに対し近傍領域(N)が設定される。次いで図6の中段のように近傍領域(N)でランダムにx0iが発生する。この結果、f(x0 )>f(x0i)ならばx0iは記憶され、そうでない場合はカウント数Kをプラスし同じ近傍領域で次のランダムなx0iが発生する。またカウント数Kが与えられた数より大きければ、他の近傍領域(N)への探索に移る。そして図6の下段のように、全ての近傍領域Nでの探索から極小値xsave(1),xsave(2),…xsave(r)を検出し、これら極小値の中から最小値xbestを算出し次解の初期値とするのである。この方法は多変数の場合についても、変数をベクトルと考えることにより、その対応は可能である。
【0074】
次に図7のフローチャートを用いて、上記ランダム探索を説明する。
【0075】
なお以下の説明において、ステップSはランダム探索法において、あらたに定義したステップhとは異なるものである。
【0076】
まずステップS1では、ステップhi の設定が行われる。このステップhi の設定は、上記のように探索を行なう近傍領域の個数の設定である。
【0077】
ステップS2では、領域の設定が行われる。この領域設定によって、xの許容範囲を複数の領域に分割する。
【0078】
次いでステップS3,S4,S5において初期設定が行われる。すなわち繰り返し数I=0、ステップ数i=1、カウント数K=0に設定される。繰り返し数Iは一回の領域設定によって得られた最小値を次解の初期値として、再度探索を繰り返す場合の数である。ステップ数iは1として設定し、ステップS2で設定した領域の最初の近傍領域を選定する。そして、初回はステップS6,ステップS7と移行してステップS8において最大の領域での探索が行われる。すなわち初期値x0iがランダムに発生し、ステップS6において目的関数f(x)との比較が行なわれる。f(x0 )>f(x0i)ならば初期値x0iはステップS9において極小値として記憶される。
【0079】
ステップS6においてNOと判断されれば、ステップS7においてカウント数Kが与えられた数より大きいかどうかが判断され、大きくなければステップS8において同じ領域であらためてxが発生し探索が行われる。このような探索において、極小値が見つからず、しかもカウント数が与えられた数より大きくなるとステップS10へ移行し、ステップhの個数iが設定した個数rを上回るかどうかの判断が行われ、iがrを下回っていればiの数をプラスしてステップS5へ移行する。
【0080】
ステップS5では再びK=0の設定が行われ、ステップS6,ステップS7,ステップS8へと移行し次の領域での探索が行われる。ステップS9において極小値の記憶が行われた場合にも、ステップS10の判断が行われステップの個数iのプラスが行われて次の領域での探索が行われるものである。
【0081】
このようにして、全てのステップでの探索が終了すると、ステップS11において極小値の中の最も小さい値を最小値x=xbestとして算出し記憶する。次にステップS11において記憶した最小値xbestを第2次近似解x1 とし、x1 の解りに再度近傍領域が設定され、ステップS13においてIが繰り返し数を上回ってない限りIがプラスされ、ステップS4へ移行する。したがって、あらたな領域設定において再度探索が行われ最小値の算出が行われる。
【0082】
そしてステップS13において、繰り返し数を満足したと判断されれば探索は終了する。
【0083】
このような処理によって、上記制御パラメータηの最小値を探索するものである。すなわち図6,図7において、xを制御パラメータηとして置き換え処理を行なうのである。制御パラメータηに置き換えて説明すると、制御装置11は制御パラメータηの初期値η0iをランダムに設定し、初期値η0iでの制御目標値に対する出力値の感度を計算する。次いで制御パラメータηの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき各領域の中に制御パラメータηのランダムな値を選んで、制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値としてηの修正を行なうものである。
【0084】
したがって上記のように、大きさの異なった多領域に分割してηの解を探索するため、盲目的な探索を避けることができ探索に要する回数を減らすことができる。また多領域において夫々極小値を検出し、その中から最小値を算出するためローカルな極小値へ収束することを防ぐことができ、グルーバルな最小値を求めることができる。こうしてニューラルネットの学習の割合であるηの適正な値を求めることができ、精度良く高速に処理することができる。
【0085】
次に上記ランダム探索法の効果を目的関数f(x)として、一次元関数を定義し、さらに説明する。
【0086】
この一次元関数は、
【数7】
で定義する。この関数の形状は図8のようになっている。また関数の最小値を与えるx(=xbest)は17.039であり、そのときの関数値f(=fbest) は0.094となっている。この問題を最急降下法、ランダム探索法及び二つを組合せた方法を用いて探索した結果が図9である。ここで誤差Eは、
E=(f−fbest)/fbest
fbest=最適値
と定義され、xの初期値は各々図に示してある通り13.5,13.4,5.0としている。この図9より最急降下法は初期値の設定によって解が収束する場合(グローバルな最小値)とそうでない場合(ローカルな極小値)とがあり、初期値に対する依存性が強くあるのに対し、ランダム探索法ではどのような初期値に対しても精度よく解が収束した。
【0087】
さらに二つの方法を組合せた場合、最急降下法だけのときに見られた初期値に対する依存性を十分に克服していると共に、ランダム探索法だけのときに比べ収束が早くなっている。この結果からランダム探索法は最適化問題を解く上で有効な方法であり、ランダム探索法と他のアルゴリズムを組合せることにより、さらに有効性が増すことが確認できた。
【0088】
またランダム探索法に用いる新たに定義した定数であるステップ数,カウント数が最適解への収束情況にどのような影響を及ぼすかを考慮してみる。これら二つの定数を変更したときの解の収束性を比較した結果を図10,図11に示す。目的関数は上記f(x)を用いている。これら図10,図11から明らかなように、ステップ数が増えるとより精度の良いきめこまかな解の探索が可能となる。またカウント数が増えると誤差が最小、すなわちグローバルな最小値にたどりつく確率が増すことになる。但し、この二つの考え方で注意しなければならないのは、この二つの定数をむやみに大きくすると無駄な探索時間や、プログラムの際、無駄なメモリ領域を使ってしまうので、これらの定数の決定には十分な注意を要する。
【0089】
図12から図20はランダム探索法の有効性をさらに説明するためのものである。すなわち一自由度のばね−質量モデル及び多自由度の梁の数値シミュレーション結果を示している。
【0090】
先ず図12から図16は一自由度系の変位励振による応答を示している。図12に示す一自由度のばね−質量モデルを考えると、この系に正弦波の外力を加え、ある時間経過した後の過渡応答を図13に示す。固有角振動数は約100rad/secで、時間ステップは1msecとした。ニューラルネットワークの入力としては、系の応答速度と加速度とを用い、次の時間ステップの加速度の変化分を出力とした。教師信号を図14に示し、図15に収束性、図16に同定結果を示している。図15,図16の結果よりランダム探索法の誤差の収束が極めて早いことが確認できた。これは高精度な学習を極めて短時間で行なうことができることを示し、ランダム探索法を用いたニューラルネットワークの写像能力が最急降下法に比べ、極めて優れていることが確認できた。
【0091】
図17から図20は片持梁のインパルス応答をオンライン同定することを試みた。ニューラルネットワークの入出力及びシステムの概略は図18に示している。この図18において、ニューラルネットワークの入力としては梁の先端(x6)の加速度と速度とし、加速度の変換を出力する。ここでも片持梁の応答、すなわち教師信号は数値計算により求めている。誤差の収束性を図19に示し、シミュレーション時間100秒付近における同定結果を図20に夫々示している。図19,図20より明らかなように、オンライン同定では最急降下法を用いた場合とランダム探索法及び最急降下法を組合せた方法を用いた場合とでは、学習時間及び誤差の収束性にかなりの違いがあった。同定結果も勾配式ランダム探索法では極めて精度良く行われていることが確認できた。
【0092】
以上説明したランダム探索法の処理は、一つのニューラルネットワークによって順番に行なうこともできるが、図21のように並列化ニューラルネットによって分散処理することも可能である。すなわちニューラルネットは夫々入力層,中間層,出力層を備えた複数のユニット1〜rを備えている。このユニットの個数は分割設定する領域の個数となっている。したがって各領域ごとに各ユニットにより分散処理制御を行なうことができる。すなわち分散処理制御システム61では全体領域での探索の情報制御及び各ユニットを分散制御する。そして各ユニットごとに各領域での探索が行われ、グローバルな最小値の算出が63によって行われる。そして、この最小値に基づきバックプロパゲーションによって各ユニットの制御パラメータが修正されるのである。このような並列化処理によって、処理時間を極めて短縮することができ、より高速な処理を行なうことができる。またこのように複数のニューラルネットを並設した場合、一つのユニットの処理が終了し、他のユニットの処理が終了していない場合には終了したユニットが他のユニットの支援を行なうことができ、さらに高速化処理することができる。
【0093】
なお上記処理において、制御装置11は各領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域でのカウント数を変更することも可能である。すなわちカウント数が多く残存していても、検出値が大きく収束している場合には、以後の処理においてカウント数を次第に減少し、処理を早めることができるのである。
【0094】
また制御装置11は、各領域でカウント数の繰り返しにより極小値が得られないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録し、該領域での極小値の検出を中止することもできる。このように構成することによって、極小値が得られないことが明らかな領域の探索を中止し、より処理を高速化することができる。
【0095】
さらに制御装置11は各領域でのカウント数の繰り返しによる検出値に応じて、各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことができる。すなわち図7で示すような領域において、初期値x0iを中心にしてランダムな値を発生させるのであるが、カウント数を繰り返しているうちに初期値に対する極小値の方向が領域の中で次第に明らかになってくるため、その方向に多くのランダムな値を発生させることによって、より精度の良い検出を行なうことができるのである。
【0096】
図22は、ARMAモデルに基づいたニューラルネットを一般的に示したものである。このニューラルネットは、入力層、中間層、出力層を有しており、時刻tにおける入力x(t)によって時刻(t+1)における出力y(t+1)を予測して出力する。即ち、予測される出力y(t+1)は、現在の入力x(t)と過去の状態とに関係する。このため、入力層には3つの短期記憶ユニット29,30,31に接続されたニューロン素子を新たに追加している。
【0097】
記憶ユニット29は、入力x(t)の過去のデータx(t−1)からx(t−n)を記憶し、それぞれ対応するニューロン素子に信号を入力するようになっている。記憶ユニット30は、出力y(t+1)の過去のデータy(t)からy(t−l)のデータを記憶し、それぞれ対応するニューロン素子に入力するようになっている。記憶ユニット31は、出力y(t+1)の過去のデータz(t−l−1)からz(t−g)を記憶し、それぞれ対応するニューロン素子に入力するようになっている。
【0098】
そして、入力x(t)の信号は予測係数α0 を付けて中間層のニューロン素子に入力され、記憶ユニット29の各信号は予測係数α1 からαn が付けられ、記憶ユニット30の信号は予測係数β0 からβ1 が付けられ、記憶ユニット31の信号は予測係数γl+1 からγg が付けられ、それぞれ中間層のニューロン素子に入力されるようになっている。
【0099】
このニューラルネットの出力y(t+1)と検出した状態量x(t+1)との関係は、予測誤差e(t+1)とすると、
x(t+1)=y(t+1)+e(t+1)
となる。この場合、出力y(t+1)は、
【数8】
で表される。
【0100】
従って、予測係数α,β,γは、誤差系列に最小2乗推定法を適用して適正な値へ修正されていくこととなる。
【0101】
次に、アクティブコントロール装置の作用を説明する。
【0102】
図23は、この発明の第1実施例に係る作用の概略を示したものである。アクティブコントロール装置は、大概この図23のように動作する。図1をも参照すると、まず、ピエゾ素子センサ5及びマイクロフォン3によって車室1内の代表点の応答を正確に把握し、制御装置11によってシステムの動的特性をより正確に同定する。制御装置11は、システムの同定に基づいて連成解析を行ない、ピエゾ素子アクチュエータ9及びラウドスピーカ7を制御するのである。即ち、図2を参照し、同定ニューラルネット15が車室1内の騒音に対する動特性を充分に表した後、評価・調整部17において同定ニューラルネット15の出力Of と制御目標値XT との差を演算し、この値を用いて制御ニューラルネット13の結合荷重をバックプロパゲーションにより修正するのである。
【0103】
図24は、車室1内の応答に対する制御のタイムチャートを示している。即ち、時刻tにおいて、ピエゾ素子センサ5及びマイクロフォン3で車室1内の状態を感知し、制御装置11が時刻tでラウドスピーカ7及びピエゾ素子アクチュエータ9に信号を出力し、時刻t+Δtにおいて車室1内の騒音制御が実現されるのである。
【0104】
そして、この制御結果を制御装置11のニューラルネットにフィードバックして結合荷重を修正するため、同定ニューラルネット15の入力はある時間ステップtにおける車室1内の騒音状態量とこれに対する制御量とし、出力は次のステップ(t+Δt)における状態量となる。この同定ニューラルネット15の出力Of に基づき、同定ニューラルネット15の制御評価関数Ef 、制御ニューラルネット13の制御評価関数Ec は、
【数9】
但し、X:現在の状態
XT :のぞましい状態
Of :ニューロが予測した状態
となる。
【0105】
Xは時間ステップt+Δtにおける検出状態量であり、XT は、制御目標となる状態量である。従って、同定ニューラルネット15が車室1内の騒音に対する動特性を正確に同定しているならば、評価関数Ef は所定値以下となり、同定ニューラルネット15の出力Of と目標状態量XT との誤差Ec は、全て制御ニューラルネット13によって発生したと考えられる。
【0106】
従って、図25のように誤差情報を逆伝搬し、制御ニューラルネット13迄戻すことによって、制御装置11全体についての調整が可能となるのである。
【0107】
次に、図26のフローチャートによりこの発明の第1実施例の制御作用を説明する。
【0108】
まず、ステップS21では、制御ニューラルネット13と同定ニューラルネット15との初期化を行なう。この初期化は、結合荷重Wと閾値Θ及びシグモイド関数の傾き係数u0 をランダム関数を用いて決定する。
【0109】
ステップS22では、同定ニューラルネット15の初期学習を行なう。この初期学習はオフラインで行なわれ、予め定められたプログラムで行なわれる。このステップS22での初期学習が完了すると、図2のように同定ニューラルネット15は制御装置11に組み込まれる。
【0110】
同定ニューラルネット15の初期学習が完了した後、制御ニューラルネット13が稼動され、その出力Oc がステップS23で出力される。この出力によってラウドスピーカ7及びピエゾ素子アクチュエータ9が駆動されると共に、出力Oc は同定ニューラルネット15に入力される。これにより、ステップS24において同定ニューラルネット15は、時刻t+Δtにおける予測した状態量Of を出力する。
【0111】
ステップS25では、時刻t+Δtにおける状態量Xの実測データがサンプリングされる。また、この実施例では、ARMAモデルを利用しているため、過去の状態量を記憶装置に書き込む。
【0112】
ステップS26では、同定の判断が行なわれる。即ち、このステップS26は、同定ニューラルネット15が車室1内の騒音に関する動特性を正確に同定しているかどうかを判断するものである。具体的には、実測された状態量Xと予測した出力Of とを用いて上式のように演算された同定ニューラルネット15の評価関数Ef を収束判定基準Tf より大きいか否かを判断する。Ef がTf より大きければ、同定ニューラルネット15がシステムを充分に同定していないため、ステップS27へ移行し、評価・調整部17によって同定ニューラルネット15の結合荷重Wの修正、学習が行なわれる。
【0113】
次いで、ステップS28へ移行し、適応制御の判断が行なわれる。この判断は、車室1内の騒音状態が目標の状態になっているかどうかを判断するものである。具体的には、目標とする状態量XT と同定ニューラルネット15の出力Of とによって上式のように演算される評価関数Ec を収束判定基準Tc より大きいか否かを判断する。Ec がTc よりも大きければ、制御ニューラルネット13が充分に同定されていないためステップS29に移行し、バックプロパゲーションによって制御ニューラルネット13の結合荷重Wの修正、学習が行なわれる。
【0114】
以後、ステップS23からステップS29が繰り返され、車室1内の騒音がフィードフォワードによって制御されることになる。
【0115】
即ち、図1、図2のように同定ニューラルネット15は、予めオフラインで車室1内の騒音に関する動特性を同定されている。そして、制御ニューラルネット
【外3】
制御ニューラルネット13の出力信号Oc1,Oc2の過去の信号及び同定ニューラルネット15の出力Of の過去の信号が入力され、制御信号Oc1,Oc2が出力される。ここで、制御ニューラルネット13は、過去のデータを反映させるために過去のデータを入力するために予め設けられた入力用のニューロン素子全てにデータが入力された後稼動し出力するのである。
【0116】
そして、出力Oc1によってラウドスピーカ7が駆動され、騒音に対する逆相の信号が車室1内に出力される。また、出力Oc2によって、ピエゾ素子アクチュエータ9が駆動され、車体の振動モードが制御される。これによって、車室1の非線形の連成空間が制御され、騒音低減を図ることができる。
【0117】
また、同定ニューラルネット15は、制御ニューラルネット13の出力Oc1,Oc2を入力すると共に、車室1内の状態量としてマイクロフォン3の出力m及び出力Of の過去のデータを入力し、時刻t+Δtにおける出力Of を予測して出力する。この出力Of は、現時点での車室1内の騒音状態及び外力と過去のデータとに基づいており、ランダムな入力による騒音状態であっても正確に予測しているものと言える。
【0118】
そして、出力Of と現時点tにおける車室1内の騒音状態の実測データXとを比較し、同定ニューラルネット15の学習が行なわれる。同定ニューラルネット15がシステムの動特性を正確に同定しているものとした場合に、同定ニューラルネット15の出力Of と目標の状態量XT とにより評価・調整部17が制御ニューラルネット13の学習を行なうのである。
【0119】
図27は、この発明の第1実施例に係るニューラルネットワークの具体的な構成を示している。
【0120】
上記のように、このニューラルネットワークは、ARMAモデルを考慮しており、制御ニューラルネット13として音場制御ニューラルネットワーク13aと構造制御ニューラルネットワーク13bとを備えている。各ニューラルネットワークは、入力層、中間層、出力層とからなっており、入力層は白丸、中間層は斜線の入った丸、出力層は黒丸で示している。
【0121】
音場制御ニューラルネットワーク13aの入力は、時刻tにおけるn個のマイクロフォンの音圧感知信号m=m1 s (t) 〜mn s (t) と、時刻(t−1)〜(t−k)迄の過去のデータm1 a (t−1) 〜m1 a (t−k) ,mn a (t−1) 〜mn a (t−k) と、n個のラウドスピーカの(t−1)〜(t−k)迄の過去における制御力S1 a (t−1) 〜S1 a (t−k) ,Sn a (t−1) 〜Sn a (t−k) とが入力層の各ニューロン素子に入力されている。ここに、上添字のsは検出信号を示し、同aはニューラルネットによる処理信号を示している。
【0122】
音場制御ニューラルネットワーク13aの現在の時刻tにおける出力Oc1は、
Oc1=S1 a (t) 〜Sn a (t)
であり、n個のラウドスピーカに制御力として出力されると共に、同定ニューラルネットワーク15の入力層の該当するニューロン素子に入力されている。
【0123】
この出力Oc1=S1 a (t) 〜Sn a (t) の過去のデータは記憶され、遅延器19により音場制御ニューラルネットワーク13aの入力層に入力されることは前述の通りである。
【0124】
同定ニューラルネットワーク15の入力層には、現時点tにおけるマイクロフォン音圧感知信号m=m1 s (t) 〜mn s (t) と音圧感知信号の過去のデータm1 a (t−1) 〜m1 a (t−k) ,mn a (t−1) 〜mn a (t−k) とが入力されている。
【0125】
また、構造制御ニューラルネットワーク13bの入力層には、n個のピエゾ素
【外4】
) が入力されている。また、n個のピエゾ素子アクチュエータの過去の制御信号P1 a (t−1) 〜P1 a (t−k) ,Pn a (t−1) 〜Pn a (t−k) が入力されている。
【0126】
構造ニューラルネットワーク13bの時刻tにおける出力Oc2は、
Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t)
である。この出力Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t) は、n個のピエゾ素子アクチュエータに出力されると共に、同定ニューラルネットワーク15の入力層に入力されている。
【0127】
また、出力Oc2=P1 a (t) 〜Pn a (t) は前記同様逐次記憶され、過去のデータとして構造制御ニューラルネットワーク13bの入力層に入力されるのは前述の通りである。
【0128】
同定ニューラルネットワーク15の入力層には、時刻tにおける検出した車体
【外5】
る。
【0129】
そして、同定ニューラルネットワーク15からは時刻t+Δtにおけるマイク検出信号の予測値として
Of =m1 a (t+Δt)〜mn a (t+Δt)
が出力され、ピエゾ素子センサの検出の予測値として
【数10】
が出力される。
【0130】
なお、同定ニューラルネットワーク15の出力Of =m1 a (t+Δt)〜mn a (t+Δt)は逐次記憶され、過去のデータとして同定ニューラルネットワーク15と音場制御ニューラルネットワーク13aとの各入力層に入力されている。
【0131】
【外6】
n a (t+Δt)も逐次記憶され、過去のデータとして同定ニューラルネットワーク15の入力層及び構造制御ニューラルネットワーク13bの入力層にそれぞれ入力されている。
【0132】
従って、同定ニューラルネットワーク15の評価関数Ef は、
【数11】
となる。
【0133】
また、音場制御ニューラルネットワーク13aの制御評価関数Ec は、
【数12】
となる。
【0134】
更に、構造制御ニューラルネットワーク13bの制御評価関数Ec は、
【数13】
となる。
【0135】
従って、これらの評価関数Ef ,Ec を用いて上記のように同定ニューラルネットワーク15と制御ニューラルネットワーク13との結合荷重Wの修正、学習を適格に行なうことができる。
【0136】
なお、この第1実施例では、同定ニューラルネット、制御ニューラルネットの双方にARMAモデルを考慮したニューラルネットを用いているが、少なくとも制御ニューラルネットにつきARMAモデルを考慮すればよい。
【0137】
図28は、この発明の第2実施例を示している。この実施例は、アクティブコントロール装置を自動車のサスペンションの振動制御に適用したものである。
【0138】
車体32は、前輪33と後輪35とで路面37に接地している。このようなサスペンションにおいて前輪33と車体32との間のバネ定数はKF2、減衰係数はCF1であり、前輪33と路面37との間のバネ定数はKF1、減衰係数はCF1である。また、後輪35と車体32との間のバネ定数はKR2であり、減衰係数はCR1である。後輪35と路面37との間のバネ定数はKR1、減衰係数はCR1である。
【外7】
ある。
【0139】
そして、前輪33と車体32との間には制御力PF を与えて振動低減を図る制振装置39が設けられ、後輪35と車体32との間には制御力PR を与えて振動低減を図る制振装置41が設けられている。
【0140】
制御装置40には、前輪33側における路面37の凹凸Y0Fを検出する前輪側路面検出器43及び後輪35側における路面の凹凸を検出する後輪側路面検出器45の信号が入力されるようになっている。
【0141】
また、前輪33の振動加速度を検出する前輪振動加速度検出器47と、後輪35の振動加速度を検出する後輪振動加速度検出器49との出力信号が入力されるようになっている。
【0142】
更に、車体32の前部振動加速度を検出する前部振動加速度検出器51と、後輪側の振動加速度を検出する後部振動加速度検出器53とからの信号が入力されるようになっている。
【0143】
これら、検出器43,45,47,49,51,53は、サスペンションの振動状態を検出する振動状態検出手段を構成している。そして、制御装置40は、第1実施例同様にニューラルネットが用いられており、検出器43,45,47,49,51,53の出力が入力され、前記制振装置39,41を制御する信号を出力する。また、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより、ニューラルネットの結合荷重の修正を行なう構成となっている。
【0144】
この制御装置40のニューラルネットワークの構成は図29のようになっている。
【0145】
このニューラルネットも前記実施例同様、制御ニューラルネット55と同定ニューラルネット57とからなっている。制御ニューラルネット55は、前輪制御ニューラルネット55aと後輪制御ニューラルネット55bとからなっている。各制御ニューラルネット55a,55bは白丸の入力層と、斜線を施した丸で示す2段の中間層と黒丸の出力層とからなっており、同定ニューラルネット57は白丸の入力層、斜線を施した丸の中間層、黒丸の出力層からなっている。
【0146】
そして、この実施例では、制御ニューラルネット55のみをARMAモデルを考慮したニューラルネットとしている。即ち、前輪制御ニューラルネット55aの入力層には、時刻tにおける前輪側路面検出器43の検出信号Y0F s (t) 、前
【外8】
制御力PF a (t) となる。この出力PF a (t) は、同定ニューラルネット15に入力されると共に逐次記憶され、過去のデータPF a (t−1) として前輪制御ニューラルネット55aの入力層に入力されるようになっている。
【0147】
また、後輪制御ニューラルネット55bも同様であり、入力は、検出器45,
【外9】
41の制御力Oc =PR a (t) の過去のデータPR s (t−1) となっている。出力Oc =PR a (t) は制振装置41に出力されると共に、同定ニューラルネット15に入力されるようになっている。同定ニューラルネット15の入力層には、更
【外10】
更に、同定ニューラルネット15の入力層には、中間層の出力が入力される構成となっている。これは、一般にレカレント(recurrent )と呼ばれ、信号のノイズを除去することができる。レカレントは、例えば、中間層の出力を再び中間層自体に入力することによっても行なうことができる。
【0148】
同定ニューラルネット15の出力Of は、次の時刻t+1における車体32の振動加速度
【数14】
となる。従って、同定ニューラルネット15の評価関数Ef は、
【数15】
となり、制御ニューラルネット55の評価関数Ec は、
【数16】
となる。
【0149】
従って、この実施例においても評価関数Ef が所定以下となり、同定ニューラルネット57が振動入力に対する車体32の動特性を正確に表しているならば、評価関数Ec によって制御ニューラルネット55の結合荷重を修正、学習し、サスペンション制御の適格なフィードフォワード制御を可能とする。
【0150】
なお、第2実施例で設けた同定ニューラルネット57のレカレントは、制御ニューラルネットに用いることもでき、更に、第1実施例のニューラルネットに適用することも可能である。また第2実施例では過去のデータとして(t−1)における1個のデータで説明したが、第1実施例と同様にいくつかの時間遅れのデータも考慮することが可能である。
【0151】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の構成によれば以下のような効果を奏する。
【0152】
請求項1の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置によりシステムの動特性を的確に同定することができる。しかも探索領域を大きさの異なった多領域に分割して探索を行なうため盲目的な探索を避けることができ、探索に要する回数を減らすことができる。しかもランダム探索を用いるため、ローカルな極小値へ収束することを防止し、グローバルな最小値を的確に求めることができる。したがって高速で精度のよい処理を行なうことができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。また、検出値に応じてカウント数を減少することが可能となり、より高速な処理が可能となる。
【0153】
請求項2の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置によりシステムの動特性を的確に同定することができる。しかも探索領域を大きさの異なった多領域に分割して探索を行なうため盲目的な探索を避けることができ、探索に要する回数を減らすことができる。しかもランダム探索を用いるため、ローカルな極小値へ収束することを防止し、グローバルな最小値を的確に求めることができる。したがって高速で精度のよい処理を行なうことができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。極小値が得られないことが明らかな場合にその領域の処理を中止し、処理をより高速に行なうことが可能である。
【0154】
請求項3の発明では、ニューラルネットを用いた制御装置によりシステムの動特性を的確に同定することができる。しかも探索領域を大きさの異なった多領域に分割して探索を行なうため盲目的な探索を避けることができ、探索に要する回数を減らすことができる。しかもランダム探索を用いるため、ローカルな極小値へ収束することを防止し、グローバルな最小値を的確に求めることができる。したがって高速で精度のよい処理を行なうことができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。また、初期値に対する方向性に重み付けを行なうことにより、より高速で精度のよい検出を行なうことができる。
【0155】
請求項4の発明では、探索領域を大きさの異なった複数の領域に分割して、ランダム探索を行なうため、音又は振動状態の少なくとも一方を高速かつ精度よく制御することができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。また、検出値に応じてカウント数を減少することが可能となり、より高速な処理が可能となる。
【0156】
請求項5の発明では、探索領域を大きさの異なった複数の領域に分割して、ランダム探索を行なうため、音又は振動状態の少なくとも一方を高速かつ精度よく制御することができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。極小値が得られないことが明らかな場合にその領域の処理を中止し、処理をより高速に行なうことが可能である。
【0157】
請求項6の発明では、探索領域を大きさの異なった複数の領域に分割して、ランダム探索を行なうため、音又は振動状態の少なくとも一方を高速かつ精度よく制御することができる。また、領域の中での探索を複数回繰り返すことによって、極小値を確実に検出することができる。したがって精度のよい処理を行なうことが可能である。初期値に対する方向性に重み付けを行なうことにより、より高速で精度のよい検出を行なうことができる。
【0158】
請求項7の発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項の発明の効果に加え、車室内騒音をフィードフォワード制御により的確に制御することができる。したがって車室内騒音がエンジン音、エンジンからの入力、サスペンションからの入力、マフラーからの排気音、風切り音などの連成に基づく場合でも連成を的確に解析して、騒音低減を図ることができる。
【0159】
請求項8の発明では、請求項4〜請求項6のいずれか1項の発明の効果に加え、サスペンションの信号制御をフィードフォワードにより的確に制御することができる。したがって高速道は勿論、オフロードであってもサスペンションの振動特性を的確に解析し、車体振動の低減を図ることができる。
【0160】
請求項9の発明では、請求項4〜請求項8のいずれか1項の発明の効果に加え、制御ニューラルネットの他に同定ニューラルネットを設けることによって、制御予測値を出力し、制御ニューラルネットの制御パラメータの修正を的確に行なうことができる。
【0161】
請求項10の発明では、請求項4〜請求項9のいずれか1項の発明の効果に加え、検出制御の現時点よりも前のデータを入力することによって、現時点よりも後の制御予測値を予測して出力するため、ランダムな入力であっても音振状態を的確に予測することができ、ランダムな入力に対して的確な制御が可能となる。
【0162】
請求項11の発明では、請求項1〜請求項10のいずれか1項の発明の効果に加え、ニューラルネットの結合荷重を学習するときの学習する割合を制御パラメータとして修正するため、学習の割合を適切な値にすることを高速かつ精度良く行なうことができ、最小値の検出をより高速かつ高精度に行なうことができる。
【0163】
請求項12の発明では、請求項1〜請求項11のいずれか1項の発明の効果に加え、ニューラルネットを領域の個数に応じて複数並列に備えたため、処理を高速に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る概略ブロック図である。
【図2】制御装置のブロック図である。
【図3】ニューラルネットの一部を示す説明図である。
【図4】シグモイド関数を示す説明図である。
【図5】最急降下法による収束状況を示す説明図である。
【図6】ランダム探索法の概略図である。
【図7】ランダム探索法のフローチャートである。
【図8】一次元関数の形状を示す図である。
【図9】各初期値における収束状況を説明するグラフである。
【図10】ステップ数を変更した場合の説明図である。
【図11】カウント数を変更した場合の説明図である。
【図12】一自由度系ばね−質量モデルの説明図である。
【図13】一自由度系ばね−質量モデルの過渡応答の説明図である。
【図14】教師信号のグラフである。
【図15】線形モデルの誤差の時刻歴のグラフである。
【図16】同定結果のグラフである。
【図17】片持梁にインパルス入力を行なう状況の説明図である。
【図18】片持梁の同定ニューラルシステムの説明図である。
【図19】片持梁のリアルタイム同定過程での誤差の履歴を示すグラフである。
【図20】ニューラルネットによる片持梁の同定結果のグラフである。
【図21】並列化ニューラルネットによる該略図である。
【図22】ARMAモデルに基づいたニューラルネットの説明図である。
【図23】作用の概略説明図である。
【図24】システムの応答図である。
【図25】バックプロパゲーションの説明図である。
【図26】フローチャートである。
【図27】一実施例に係るニューラルネットの構成図である。
【図28】他の実施例に係る概略ブロック図である。
【図29】他の実施例に係るニューラルネットワークの構成図である。
【図30】従来の能動型騒音制御装置の概略ブロック図である。
【図31】信号の干渉状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 車室
3 マイクロフォン(騒音状態検出手段、音振状態検出手段)
7 ラウドスピーカ(制御音源、アクチュエータ)
11 制御装置
39 制振装置(アクチュエータ)
40 制御装置
41 制振装置(アクチュエータ)
43 前輪側路面検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
45 後輪側路面検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
47 前輪振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
49 後輪振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
51 前部振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
53 後部振動加速度検出器(振動状態検出手段、音振状態検出手段)
Claims (12)
- 出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、
該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、
前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域でのカウント数を変更することを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、
該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、
前記各領域での検出の繰り返し中に極小値が得られないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録し、当該領域での極小値の検出を中止することを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 出力値と制御目標値との比較により制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置を備え、
該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する出力値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、
前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、
音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、
前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、
該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、
前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域でのカウント数を変更することを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、
音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、
前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、
該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、
前記各領域での検出の繰り返し中に極小値が得られないと判断するとき、該当する領域を制約リストに登録し、当該領域での極小値の検出を中止することを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 音又は振動状態の少なくとも一方を制御するアクチュエータと、
音又は振動状態の少なくとも一方を検出する音振状態検出手段と、
前記音振状態検出手段の出力が入力され、前記アクチュエータを制御する信号を出力すると共に、当該出力信号に基づく制御予測値を制御目標値と比較することにより制御パラメータを修正するニューラルネットを用いた制御装置とを備え、
該制御装置は、前記制御パラメータの初期値をランダムに設定し、該初期値での制御目標値に対する制御予測値の感度を計算し、前記制御パラメータの許容範囲を複数の領域に分割し、前記感度に基づき前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を選んで制御目標値に対する制御予測値の差の極小値を各領域で並列に検出し、該各領域から得られた極小値の中から最小値を算出し、該最小値を次回の初期値として前記修正を行ない、
制御目標値に対する出力値の差の極小値を各領域で検出するに当たり、前記各領域の中に前記制御パラメータのランダムな値を各々複数個選び、選んだ個数をカウント数とし、前記各領域での検出を、カウント数以下で且つ複数回だけ繰り返し、
前記各領域での検出の繰り返しにおいて得られる検出値に応じて、前記各領域で選ぶ制御パラメータのランダムな値の初期値に対する方向性に重み付けを行なうことを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、
前記アクチュエータは、自動車の車室内騒音に干渉させる制御音を発生して騒音低減を図る制御音源であり、
前記音振状態検出手段は、自動車の車室内の騒音状態を検出する騒音状態検出手段であることを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、
前記アクチュエータは、自動車のサスペンションに制御力を与えて振動低減を図る制振装置であり、
前記音振状態検出手段は、自動車のサスペンションの振動状態を検出する振動状態検出手段であることを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 請求項4〜請求項8のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、
前記制御装置のニューラルネットは、制御ニューラルネットと同定ニューラルネットとからなり、
前記制御ニューラルネットは、前記音振状態検出手段の出力が入力されて前記アクチュエータを制御する信号を出力し、
前記同定ニューラルネットは、予め同定した前記アクチュエータの制御による自動車の応答に基づき前記制御予測値を出力することを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 請求項4〜請求項9のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、
前記制御装置は、前記音振状態検出手段が検出した現時点よりも前のデータとして、少なくとも前記アクチュエータの制御信号を入力するニューロン素子を有して現時点のアクチュエータの制御信号を出力し、前記検出時点よりも後の制御予測値を予測して出力することを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のアクティブコントロール装置であって、
前記制御パラメータは、前記ニューラルネットの結合荷重を学習するときの学習の割合であることを特徴とするアクティブコントロール装置。 - 請求項1〜請求項11記載のいずれか1項にアクティブコントロール装置であって、
前記ニューラルネットは、前記領域の個数であるステップ数に応じて複数並列に備えられていることを特徴とするアクティブコントロール装置。
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