JP3550966B2 - 手術装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴画像装置(MRI装置:Magnetic Resonance Imaging)によって得られる情報と内視鏡などの局所を撮像する手段によって得られる情報とを利用して、同一の手術台上で治療或いは手術を可能にする医療機器又は医療施設に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−194616号公報には、被検体に挿入されるカテーテルのような挿入物の挿入状態をリアルタイムで確認できるようにし、挿入物の挿入操作を正しく行えるようにした手術支援システムが提案されている。この手術支援システムは、微動可能な天板を有する寝台とX線断層像撮影装置(X線CT装置)を備え、天板上に固定された被検体に対し、断層画像の撮影や3次元画像の生成を行うことができる。
【0003】
さらに特開平8−140958号公報には、オープンガントリー型MRI装置の検査環境の下で治療を行うことが提案されている。
【0004】
また特開平7−194609号公報には、医療用マスタースレーブ式マニピュレータと内視鏡を用いて治療を行う装置が提案されている。
【0005】
このように、体外から非侵襲で体内にある患部の計測や検査を可能にしたシステムや、体表を大きく切開しないで手術ができるような低侵襲手術を目的とした装置がそれぞれ提案されてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のうち、特開平7−194616号公報に記載された手術支援システムでは、患者に対して非侵襲で3次元の計測ができるが、手術に利用することについては考慮されていない。手術は長時間におよぶことがあり、長時間に亙って患部の撮影を行えることが必要である。また細部の詳細な画像が得られることも必要である。X線CT装置の場合、医療スタッフの被爆の問題があり、術中に長時間に亙って計測を続けることは困難であり、また手術に要求される詳細な(肉眼で見ているような)患部の画像を得ることも困難である。
【0007】
また、X線CT装置を手術支援システムとして利用する場合、X線CT装置で術前に患部の検査を行い、手術後にX線CT装置で検査行って手術効果を確認するという利用方法が一般的である。しかし、手術後の検査で効果が確認できなかった場合、再手術が必要になる。これは、患者、医師双方にとって負担が大きい。
【0008】
特開平8−140958号公報に記載されたオープンガントリー型MRI装置を手術に利用する場合、長時間に亙る手術中の医療スタッフの被爆の問題は解消される。しかし、手術に要求される詳細な(肉眼で見ているような)患部の画像を得ることが困難なことにかわりはない。さらにこの公報では、医師がMRI装置の極近くで治療を行うことが示されているが、高磁場による不慮の事故や万一金属を持ち込んだ場合などの影響を考えると、医師が近づかずに手術ができることが望ましい。
【0009】
一方、特開平7−194609号公報に記載されたマニピュレータを用いて低侵襲で手術を行う場合、手術位置で体表を大きく切開せず、マニピュレータの作動領域の近傍を内視鏡で観察する。このとき、内視鏡視野は狭く、手術領域の極限られた範囲しか見えず、手術領域或いは患部を広い範囲で観察することができない。
【0010】
また、高度な医療が可能な装置或いはシステムができても、医療の現場では安全性が全てに優先する。このため、診断技術とマニピュレータを駆使した手術装置においても、安全性を保つことが重要である。
【0011】
本発明の目的は、患部の詳細な画像を得て高い精度の手術を可能にするとともに、この手術中に、より広い範囲を撮影した画像によって患部の関係部位を観察することを可能にすることによって、安全性の高い手術を可能にした手術装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、術具を支持する操作マニピュレータと、この操作マニピュレータを操作者が操作するための操作入力手段と、術具の作業領域を局所的に観察する映像手段と、手術台と、これら各手段を制御する機器管理制御装置とを備えた手術装置において、映像手段の撮影領域よりも広い範囲を計測可能な核磁気共鳴画像装置と操作マニピュレータ及び映像手段を支持する支持体とを備え、核磁気共鳴画像装置の計測対象領域が手術台の面上に位置するように配置するとともに術具を核磁気共鳴画像装置の計測対象領域内で操作可能に配置し、核磁気共鳴画像装置による計測と術具による手術とを手術台上で可能にし、支持体は手術台の長手方向に沿う側端部にこの手術台の長手方向に移動可能かつ取り外し可能に設けられており、機器管理制御装置に接続され核磁気共鳴画像装置と映像手段とが撮影した画像を統合する画像統合装置と、核磁気共鳴画像装置と映像手段とが撮影した画像及び統合した画像を切換える画像切換入力装置とを有するものである。
【0013】
そして好ましくは、画像統合装置から出力される画像を表示する立体モニタと操作入力手段とを有する操作卓を設け、この操作卓と操作マニピュレータが操作者の視野角内に位置するように操作卓と操作マニピュレータを配置する。また好ましくは、操作マニピュレータが操作卓の前面または最前部よりも後ろ側に位置するように操作卓を配置する。
【0014】
核磁気共鳴画像装置は、上下に分けて配された円筒状の磁気発生装置と、これらの磁気発生装置の間隔を維持するように支持する支柱とを有し、操作卓を手術台の長手方向において、核磁気発生装置の支柱よりも操作マニピュレータ及び映像手段を支持する支持体側に配置するのがよく、機器管理制御装置は、核磁気共鳴画像装置による計測と術具の操作とが互いに排他的に実行されるように、核磁気共鳴画像装置による計測モードと術具の操作モードとを切り換えるのがよい。
【0022】
映像手段は手術領域の極限られた範囲を詳細に画像表示(モニタ)し、術者の操作を支援する。術者はこの詳細な画像を観察しながら高い精度を必要とする手術を行うことができる。また、この手術中に、前記映像手段の画像よりも広い領域の画像を核磁気共鳴画像装置から得ることができるので、前記映像手段の画像の範囲外での変化や問題にも速やかに対応できる。
【0023】
このような映像手段の例としては、内視鏡とその撮影した画像を表示するディスプレイがある。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施例を、図を用いて説明する。図1は、オープンガントリー型のMRI装置1を用いて、その計測対象領域に、手術台10を設けた実施例を示している。
【0025】
MRI装置1は、ほぼ円筒形の上下2つに分かれた磁気発生器12と、それを支える支柱11と、図示していないが、これを制御するMRI制御装置からなっている。この装置の計測対象領域は、磁気発生器12に挟まれた間の一様磁界領域内の空間で、円筒形の円の中心付近に設定されている。
【0026】
手術台10は、このMRI装置1の計測対象領域に、患部のある手術位置を持っていくために、図1に示すように手術台の長手方向に平行に、送入、送出が可能になっている。これにより、容易に患部の位置を調整できる。
【0027】
支持装置9は、患部の体表組織を持ち上げ、術野を確保するための腹壁を持ち上げる装置(腹壁持ち上げ装置)を兼ねている。これと共に、内視鏡装置2、超音波スキャナ装置3を患部に侵入させ、位置・姿勢を外部から制御できる機構部を支持する。さらに、手術のために治療具を患部に侵入させ、位置・姿勢を外部から制御できる操作マニピュレータ4を支持する。
【0028】
内視鏡2は、操作卓5に設置している内視鏡制御装置によって制御し、患部の画像をを得る。
【0029】
超音波スキャナ装置3は、やはり操作卓6に設置した超音波スキャナ制御装置によって制御し、内蔵などの臓器内部の超音波画像を得る。これらの制御装置は、必ずしも操作卓に設置する必要はなく、独立あるいは、まとめて近い側の操作卓に設置しても良いし、管理装置8に設置しても良い。
【0030】
操作マニピュレータ4は、その先端に鉗子やレーザーメスなどの治療に用いる治療具を取り付け、その位置・姿勢を、外部の操作入力装置のある操作卓5や6から、医師の操作入力装置の操作によって制御される。
【0031】
ここで言う術具とは、医師の操作入力により遠隔で動かすことのできるマニピュレータ機能を持ち、その先端に手術のための道具をとりつけているものを表している。つまり、位置・姿勢を外部から制御できる内視鏡装置、超音波スキャナ装置や、やはり位置・姿勢を外部から制御できる鉗子、レーザーメスなどの治療具を備えたマニピュレータ等をいう。
【0032】
したがって、医師が操作する操作入力装置によって、医師の意図を位置や姿勢の変化で取り込み、この情報によって、術具の位置や姿勢は制御されている。いわゆるマスター・スレーブマニピュレータシステムを形成している。術具、または、手術道具を支持する装置には、触覚や力を検出する手段が設けてあり、術具が組織から受ける力や触覚情報は、医師の操作する操作入力装置にフィードバックされる。
【0033】
局所的な映像手段としては、内視鏡装置、超音波スキャナ装置などの撮像装置がある。内視鏡は、やはり位置・姿勢を変化できる支持装置によって支持されており、医師の指示によって、その位置や姿勢を医師の望むように変化する。同様に、超音波スキャナも、位置・姿勢を変化できる支持装置によって支持されており、医師の指示によって、その位置や姿勢を医師の望むように変化する。
【0034】
支持装置9は、手術台10の長手方向に沿う両側部に取り付ける。MRI装置1を検査のみに用いる場合には、これを取り外すことができる。また、手術台10の両側部には、長手方向に沿うようにガイドレール17が設けてあり、支持装置9を患者190の手術する部位(患部)に合わせて、最適な位置に移動させることもできる。
【0035】
主操作卓5は、主術者100が使用するもので、操作マニピュレータ4を操作するために、操作入力装置や、MRI装置1の断層画像や内視鏡2の画像や超音波画像やその他の医療情報を表示させるディスプレイが備えられている。さらに、術前のMRI画像やガイダンス情報を表示する。立体モニタ51は、MRI装置の情報や超音波画像の立体画像を立体的に表示できる。また、サブモニタ52は、断層画像や超音波画像を表示しておくためのモニタである。画像の切り替えには、ペダルなどを用いて手を使わずに切り替えることができるようになっている。
【0036】
副操作卓6は、副術者110が使用するもので、主術者と同等の機能を持たせる。主術者に変わって、操作マニピュレータ4を操作するための操作入力装置や画像表示用のモニタを持っている。
【0037】
医療情報モニタ7は、主に麻酔医120が用いるもので、患者の生命維持、及び、生体機能のモニタに用いる。
【0038】
機器管理制御装置8は、手術装置の各装置とつながっていて、装置間のデータのやり取り、及び、各装置の機能をモニタし、異常が起こった場合、医療スタッフにそれを連絡するとともに、必要な場合には、装置を速やかに停止させる。
【0039】
図2は、本実施例を概念的な構成で示したものである。図2には、オープンガントリー型のMRI装置1の外観も示している。オープンガントリー型のMRI装置1の情報は、直接サブモニタ52に画像として表示するほかに、画像情報統合装置81に入いる。また、内視鏡2の内視鏡画像も画像情報統合装置81に入いる。さらにまた、超音波スキャナの画像情報も画像情報統合装置81に入いる。画像情報統合装置81は、これらの画像を再構成して、立体画像として、立体モニタ51に表示する。画像の切り替えには、ペダルのような画像切り替え装置54からの信号によって、画像情報統合装置81によって切り替える。
【0040】
また、操作マニピュレータ4は、操作入力装置41からの医師により操作の情報により、操作マニピュレータ制御装置42によって、位置・姿勢を制御される。
【0041】
MRI装置1、内視鏡2、超音波スキャナ3や画像情報統合装置81や操作マニピュレータ制御装置42、さらには、医療情報モニタ7は、機器管理制御装置8に接続され、各機器との情報のやり取りや機器の異常の監視を行う。
【0042】
本実施例での手術に際しては、図3に示すように、まず、手術台10をMRI装置の計測対象領域から送出した位置で、患者を手術台に固定し、患部の手術位置に対して、支持装置9を最適な位置に移動させ、手術台に固定する。次に、患部部位の術野を確保するために、体表組織を持ち上げる。これには、体表(主に腹壁など)に複数の小さな穴をあけ、そこから、支持装置9に設けている腹壁持ち上げ用の部材を挿入し、腹壁を上部に持ち上げる。持ち上げた状態で、固定する。さらに、内視鏡2や超音波スキャナ3、及び操作マニピュレータを同じく、体表にあけた小さな穴から、挿入する。腹壁持ち上げ用部材の進入穴と同じ穴を用いても良い。体表の侵襲をできるだけ小さくするには、腹壁持ち上げ用ジグの進入穴と、内視鏡や超音波スキャナ、操作マニピュレータなどの術具の挿入用穴を共有することが望ましい。これにより、内視鏡を1本、超音波スキャナを1本、操作マニピュレータを4本用いる手術でも、全部で6カ所の穴でよい。さらに、生命維持、及び生体監視用のセンサを患者に取り付ける。
【0043】
患者への装置の設定を終えると、図4のように、手術台をMRI装置の計測対象領域に送入し、患部を計測対象領域に位置させる。この状態で、最初にMRI装置により、患部部位の断層画像を計測する。これにより、患部の状態、取り付けた術具の位置、姿勢の関係を把握する。術具を操作し、患部に対して、もっともよく観察できる位置に内視鏡を移動させ、患部への治療を開始する。
【0044】
患部が、内臓内部の場合、超音波スキャナを内視鏡を見ながら、対象臓器に接触させ、超音波画像を得る。さらに、MRI装置を稼働させ、詳細な位置関係の把握と、患部の画像を得て、超音波画像と画像統合する事で、より正確な位置関係を得ることができる。
【0045】
このようにして得た患部の位置情報に基づき、医師は、操作入力装置のマスターアームを操り、スレーブアームである操作マニピュレータを所望の位置・姿勢に制御し、治療を行う。途中、必要であれば、MRI装置で計測を行い、その他の術具を駆使して、位置や患部の状態を確認しながら、治療を行う。
【0046】
機器管理制御装置8は、各機器間で絶えず情報のやり取りを行い、データ交換している。従って、どこからでも必要なデータを入手できる。また、常時機器の状態を監視し、特定の機器が異常を発生した場合には、速やかに警報を発するとともに、異常箇所を表示し、医療スタッフに対処を求める。これにより、データの利用を容易にし、手術装置の安全性を高める。
【0047】
治療によっては、鉗子やレーザーメスのみでなく、縫合装置、吸引管、洗浄管、燒結装置、超音波治療器などを用いる。これらは、すべて、操作マニピュレータに設けてある導入管を通して、または、操作マニピュレータと差し替えて、用いられる。
【0048】
治療措置が終了するか、または、途中段階において、治療操作の正否や効果確認のため、MRI装置で、MRI断層画像を得る。血液の流れなどから、縫合が完全か、内臓が機能を始めたかなど、治療の正否や効果が確認できる。また、予想外の領域に出血がある場合などにも確認することができ、内視鏡のみでは、分からなかった内視鏡の視野外での出血などを発見できる。
【0049】
これにより、手術途中での種々の処置が確実に行われたことを確認しながら手術を行うことができ、手術後の検査による再手術の可能性が下がる。その結果として、患者の負担を軽減できる。また、内視鏡のみではわかりにくかった視野外の出血を事前に発見でき、手術の安全性が向上する。
【0050】
ペダルまたは、キー入力、または、音声入力などにより、画像情報の切り替えを術者が容易に行える。切り替えの指示としては、次のものがあげられる。内視鏡カメラの位置・姿勢の移動、超音波スキャナの位置・姿勢の移動、さらには、映し出される映像データの変更、例えば、MRI装置の画像の横断面を縦断面に変えたり、MRI装置の画像からX線CTの画像に変えたり、縮小したり、拡大したり、視点を変えたり、ズーム点を代えたりできる。
【0051】
マニピュレータの操作は、医師が、内視鏡や超音波スキャナ、さらには、MRI装置の画像を見ながら、操作を判断して行う。医師が快適に操作できるように、操作入力装置は、術具との対比が分かりやすいように設計されている。例えば、内視鏡画像に映るマニピュレータの映像は、位置的には、中央にあっても、姿勢が操作入力装置と対応していなければ、操作性が低下する。このため、操作入力装置は、できる限り内視鏡に映るマニピュレータの姿勢に近い姿勢を再現できるようになっている。このためには、操作入力装置のマニピュレータ部は、その姿勢が、画面に映っているスレーブマニピュレータと同じ姿勢がとれる構造になっている。
【0052】
MRI装置の高磁場内に存在する支持体、術具などは、弱磁性体、またはセラミック、または合成樹脂など、高磁場下でも磁場の影響を受けず、また、MRI装置の計測に障害を与えないものでつくられている。これらを駆動するアクチュエータについても、非磁性材料、弱磁性材料、セラミックまたは樹脂等の材料で、油圧・水圧などによる電磁力以外の駆動原理で駆動する。
【0053】
操作マニピュレータ4で構成されている術具や内視鏡、超音波スキャナ、そしてMRI装置などは、集中して機器管理制御装置8によってその機能を制御する。
【0054】
MRI計測中は、その検出結果に影響がでないように、操作マニピュレータ4、術具や内視鏡、超音波スキャナは、電気的に停止状態にあり、動作しない機械的ロック状態とするように制御する。また、操作マニピュレータ、術具や内視鏡、超音波スキャナ動作中は、MRI計測要求が、医師から指示されても、動作中の表示と警告を表示し、これら動作中装置の停止を勧告する。機器管理制御装置によって、これら装置の停止状態が検出されて初めて、MRI装置の計測を許可するように制御する。
【0055】
機器管理制御装置8は、常時異常を検出できるように、各機器に対し状態監視を行っている。これにより、全体システムの信頼性を確保する。
【0056】
手術者や副術者のそれぞれには、複数の画像モニターが用意されている。3画面の例を示しているが、それぞれの画面には、役割、映像データの指定がなされており、1つのモニタでマルチウィンドウにした場合に起こる、どこになにがでてくるかが曖昧になったり、ウィンドウの重なりによって、隠れた部分ができてしまうことを極力さけるシステムになっている。このうちの1つは、立体視ができるモニタになっている。
【0057】
本実施例におけるもう一つの特徴は、各装置の配置にある。
【0058】
本実施例では、マニピュレータの操作位置と治療位置とが分離しているため、術者が操作入力を行う位置をどうするかが安全性を考える上で重要になる。術者が患者の様子を把握しながら、かつ患者の容体が急変したときに迅速に行動できるシステムの構築が必要である。このために、医師が患者の状態を最小の視線の移動で確認できるように、医師から患者を見通すことのできる位置に各装置が必ず存在するように配置する。
【0059】
さらに、その配置において、MRI装置の磁場の影響を受けず、かつ、影響を与えないように、所定の磁場強度以下の領域に配置する。例えば、所定磁場強度が5ガウスとすると、MRI装置周辺の磁場分布において、この磁場強度より小さい領域で、かつ、医師が患者を見通せる位置にあるように手術支援システムの各装置を配置する。
【0060】
図1において、領域を区切る線15は、所定磁場強度の等磁場強度線を示している。所定の磁場強度の等磁場強度線15を境界として、この境界の外側に配置する。
【0061】
これにより、各装置に対する磁場の影響は許容レベル以下になり、医師の患者に対する注意力は最大となる。
【0062】
ここでいう各装置とは、当然高磁場下で動く術具や支持体などではなく、医師が操作を入力する操作入力装置、内視鏡2や超音波スキャナ3やMRI装置1の画像をモニタする装置、機器管理制御装置8、麻酔医モニタ7など直接磁場下に置く必要がなく、また、磁場の影響を受けやすいブラウン管等を含む装置のことである。
【0063】
上記の各装置の配置に関する原則は以下に述べる他の実施例でも同様である。
【0064】
本発明に係る手術装置には少なくとも1つ以上の操作卓があり、本実施例の手術装置では主・副の操作卓5、6がある。これらは、主操作卓5と手術位置とが主術者の視野角内に配置され、また、副操作卓6と手術位置とが副術者の視野角内になるように配置される。
【0065】
一般的には、視野角は180度、すなわち真正面から左右にそれぞれ90度程度と考えられる。このとき、操作マニピュレータ4が、操作卓5、6の前面或いは最前部よりも後ろ側に存在するように操作卓を配置すれば、操作卓5、6と手術位置とが術者100、110の視野角内に配置されることになる。すなわち、図1の操作卓5の一点鎖線Aよりも後ろ側に、或いは、操作卓6の一点鎖線Bよりも後ろ側に操作マニピュレータ4が存在するようにすればよい。
【0066】
また、核磁気共鳴画像装置は、上下に分けて配された円筒状の磁気発生装置と、これらの磁気発生装置12の間隔を維持するように支持する支柱11とを有するオープンガントリー型のMRI装置の場合、操作卓5、6を、手術台10の長手方向において、支柱11よりも支持装置9側に配置すれば、操作卓5、6と手術位置とが術者100、110の視野角内に配置されることになる。
【0067】
上述の説明では視野角を約180度として、この範囲内に操作卓5、6と手術位置とが存在するようにしたが、より好ましくは、90度以内に配置するとよい。これにより、頭を左右に振ることなく、しかも視認性が確実に向上する。さらに好ましくは、術者から見て、操作卓5、6と手術位置とが一直線上に並ぶことが理想的でる。このとき、操作卓5、6の高さは邪魔にならないよう低い方が好ましい。
【0068】
さらに、主装置卓5および副操作卓6は、磁場強度に依存して限定された領域内に配置される。例えば、磁場強度として5ガウスをしきい値とした場合、5ガウス以下の領域が、磁場強度に依存して限定された領域内にあたる。
【0069】
また、麻酔医モニタも、その磁場強度に依存して限定された領域に配置する。すなわち、麻酔医モニタは、その磁場強度が所定磁場強度より大きな領域の外に、配置する。
【0070】
上記の所定磁場強度は各装置に許されている磁場強度によって変わるものである。
【0071】
また、従来のMRI装置は操作室が計測室とは別室で設けられていた。しかし本実施例では、MRI装置が配置される手術室内に特別な壁を設けることなくMRI装置の操作装置を配置することにより、緊急の場合に医師が患者に近づきやすく安全性が高くなり、操作性が向上する。
【0072】
図5は、第2の実施例を示している。これは、左右に分離したオープンガントリー型のMRI装置での手術台を設けた本発明の実施例である。磁気発生装置は1aは、図のように、左右に分離し、その1つずつはドーナツ型になっていて、ドーナツ型の中心部に患者や手術台が送入される。この場合でも、MRI装置の構造を除けば、その他の装置は図1と同様の構成、配置である。
【0073】
この場合には、支持装置9や術具なしに、通常の手術も可能である。
【0074】
また、この場合、低侵襲手術のために各装置を取り付けるには、手術台に患者を固定した状態で、患部の手術位置をMRI装置の計測対象領域に手術台を送入して位置させ、その後に、支持装置や術具を取り付けることが可能である。
【0075】
さらに、図5のような装置構成のMRI装置に対しても、所定の磁場強度以下の領域に、操作卓を配置する。すなわち、磁場強度が所定の磁場強度より大きな領域の外に、操作卓を配置する。
【0076】
分離型のオープンガントリー型MRI装置においては、主術者100は、分離している電磁コイルに挟まれた空間の手術台10に対して、一方に位置する。また、副術者110は、主術者100とは、手術台10を挟んで反対側に位置する。このとき、麻酔医120は、じゃまにならない分離している電磁コイル1aの一方の、患者190を目視できる位置に配置する。麻酔医120の医療情報モニタ7は、患者190の生体のモニタがし易いように、かつ、磁場の影響が小さい磁場強度に依存して限定された領域内で、術者などと干渉しない位置に配置する。本実施例では、医療情報モニタ7を手術台10の長手方向で患者の頭部側の延長線上に配置する。
【0077】
図6は、第3の実施例を示したものである。中空円筒状のMRI装置に手術台を設けたものである。この場合には、図1の場合と同じように、患者を手術台に固定し、各機器を取り付けたあとで、手術台をMRI装置の計測対象領域へ移動させる。この場合でも、図1の場合と全く同様に機能させることができる。
【0078】
また、図6のような装置構成のMRI装置に対しても、やはり所定の磁場強度以下の領域に、操作卓を配置する。すなわち、磁場強度が所定の磁場強度より大きな領域の外に、操作卓を配置する。
【0079】
図7は、第4の実施例を示したものである。MRI装置が専用の手術室701に設置されている場合のものである。本実施例においても主術者100の操作卓5、副術者110の操作卓6、麻酔医120の医療情報モニタ7は患者を見通せる位置に配置する。このため、専用の手術室701の壁面702には適当な場所に窓を設けるか、壁全体を透明にする。また、手術室701の壁面702は磁気強度を考慮して設けられる。このとき、手術室701の壁面702に磁気シールド効果をもたせても良い。専用の手術室701にMRI装置1bを設置し、術具を制御・操作する機器を手術室701外に設置することで、金属性のものを身に付けていないかどうかチェックしていない者でも術具を制御・操作することが可能になる。
【0080】
本実施例は特に磁場強度が強い場合に有効であり、操作卓は所定の磁場強度以下の領域に配置されることになる。すなわち、磁場強度が所定の磁場強度より大きな領域の外に、操作卓が配置される。
【0081】
本実施例において、壁702を可撓性の透明なカーテンにすることにより、術者に対してMRI装置への接近について注意を促すことができ、さらに緊急の場合に術者が患者に接近するときの迅速性を損なうことがない。
【0082】
図8には、第5の実施例を示している。頭部の手術を行う場合の装置の設置の一例を示している。頭部用の術具は、手術台の長手方向の一端に取り付けられている。さらに、MRI装置に対しての手術台の設定や患者の設置には、より医師が確認しやすいように、開口部の大きな方に術具を配置できるようにしている。
【0083】
この場合においてもMRI装置に対しても、やはり所定の磁場強度以下の領域に、操作卓を配置する。すなわち、磁場強度が所定の磁場強度より大きな領域の外に、操作卓を配置する。この装置において、磁場強度に依存して限定された領域内で、主術者は、ワイドオープン側に位置する。また、副術者は、ワイドオープン側、あるいはまた、バックオープン側に位置する。さらにまた、麻酔医は、バックオープン側に位置する。
【0084】
上述の各実施例において、支持装置9や術具は、樹脂または、セラミック、または、磁気による影響が小さい材料(金属でも、アルミニウムや非磁性ステンレスなど)によって構成されている。
【0085】
また、これらの実施例における手術台は、検査用の寝台と差し替え、または、追加取り付けなどによって設置しても良い。
【0086】
図9を用いて、本発明にかかる手術装置のMRI装置による計測と術具操作の切換について説明する。図9のフローチャートに示される制御は、医師からの要求(操作卓5,6のスイッチ操作など)によって、機器管理制御装置9がMRI装置1、マスタ・スレーブマニピュレータ制御装置42、超音波スキャナ装置3、内視鏡装置2等の各装置からのステータス情報を受け取り、逆に各装置に対して、制御信号を送ることによって実行される。
【0087】
MRI装置では、強磁場を発生するため、術具操作時にMRI装置での計測を行うと、計測中の術具動作に伴い、正しい画像情報を得られない可能性が生じる。また、MRI装置の計測は、内視鏡装置と併用しているため、手術中を通じて連続的に行う必要はない。したがって、MRI装置の計測と、マニピュレータを含む術具の使用は、通常、排他的に操作することが望ましい。ただし、ごく限られた場所での使用では同時に使えるモードを用意しておく。
【0088】
図9は、排他的な使用時のフローチャートを示している。ステップS901、S904からS908は、MRI装置で計測する場合の判断・制御フローを示している。また、ステップS903、S909からS913は、術具を使うときの制御フローを示している。Yは、肯定を、Nは否定を表している。
【0089】
まず、医師の操作として、MRI装置の計測を行うか、術具を使用するかの選択を行う。(S902,S903)このような選択は、医師が操作卓5,6などに備えられたスイッチを切り替えることによって行う。または、音声など手によらない切換入力手段によって切り替えても良い。
【0090】
MRI装置での計測が選択された場合、機器管理制御装置は、MRI装置が計測中かどうかを最初にステータス情報から判断する(S904)。計測中の場合は、継続して計測を行えばよい。計測中でない場合、術具が使用中かどうかをやはり、術具のステータス情報から判断する。(S905)術具が使用中の場合、その状態を表示して注意を促すとともに、術具使用停止処理にはいる。(S907)次に、術具停止を確認後、MRI装置の計測を開始することを表示し、計測動作に入る。術具を使用中でなければ、即座に、MRI装置の計測を開始する。
【0091】
また、術具を使用する場合には、術具が使用中かを判断し、使用中なら、継続する。(S909)使用中でなければ、MRI装置が計測中かを判断し(S910)、使用中であれば、計測停止動作にはいる(S912)。その後、術具の使用を開始する。また、計測中でなければ、即座に術具使用を開始する(S913)。
【0092】
このフローチャートによれば、MRI装置の計測と術具の使用を排他的に制御することができる。また、このフローでは、MRI装置も術具も使用しない状態を仮定しているが、通常の状態をどちらかにしておくことも可能である。
【0093】
本実施例の他、MRI装置での計測を中断するよう機器管理制御装置9に指示するスイッチを操作卓5、6に設けてもよい。
【0094】
上述の各実施例では、手術する部位の局所的な映像手段として、内視鏡を使用している。しかし、この内視鏡のように、テレビカメラ(TVカメラ)で撮影したような、すなわち肉眼で観察したような画像または映像が得られるものであれば、たの画像取り込み装置であってもかまわない。いずれにしても、この映像手段は、手術を行いやすいように鮮明な画像であることが好ましい。
【0095】
本発明に係る上述の実施例の手術装置により、外部からMRI装置によって患部の状態を把握しながら、手術を行うので、医療スタッフのX線被爆がない。
【0096】
支持手段を手術台の長手方向に移動できるので、手術位置に最適な位置に容易に設置できる。
【0097】
また、手術部位によっては、長手方向の一端に術具や支持体を設置することで、手術部位に応じた最適な位置に容易に設置することができる。
【0098】
さらに、支持手段を取り外すことができるため、洗浄や消毒が容易である。また、容易にMRI装置として検査にも供する事ができ、手術装置の利用率を高めることができる。
【0099】
手術台をMRI装置の計測対象領域に送入、送出できることで、容易に、患者の患部の手術位置を計測対象領域に位置させることができ、医療スタッフの負担が低減できる。
【0100】
さらにまた、低侵襲手術を行いながら、内視鏡のみでなく、MRI装置を併用することで、内視鏡の視野外の出血を事前に発見でき、手術の安全性が向上する。
【0101】
医師は、操作入力装置で、操作マニピュレータを制御し、治療自体は。操作マニピュレータによる手術のため、体液接触の機会が少ないので、院内感染の防止に効果がある。
【0102】
医療スタッフは、内視鏡画像や、超音波画像、MRI画像を見ながら作業できるが、画像統合装置によって、術前に検査で得た膨大な情報を術中に随時確認することができ、手術の安全性を高めることができる。
【0103】
それぞれの機器は、機器管理制御装置で絶えず監視され手いるため、安全性を確保できる。
【0104】
外部からMRI装置によって患部の状態を把握しながら、手術を行うので、手術の治療効果を確認しながら、手術が行えるので、手術の信頼性が向上する。
【0105】
また、高信頼な低侵襲手術が可能となるので、入院期間が短縮でき、全体としての医療費が削減できる。
【0106】
マニピュレータによる治療操作が行えるため、手術感染防止や院内感染の防止に効果がある。
【0107】
さらに、 MRI装置下での手術が低侵襲で行えるため、入院期間短縮による医療費の低減や機械利用による省人化、そして、高度な治療テクニックが一般化される等の効果がある。
【0108】
また、医師は患者やMRI装置に近づかなくても作業することができ、高磁場の影響を小さくすることができる。さらに、医師が患者を見通す位置に位置でき、かつ所定の磁場強度以下の領域において、各装置を配置する。これにより、各装置は、磁場の影響が最小になり、医師の注意は患者に対して、最大となる。
【0109】
ここでいう各装置とは、当然高磁場下で動く術具や支持体などではなく、医師が操作を入力する操作入力装置、内視鏡や超音波スキャナ、MRI装置の画像をモニタする装置、機器管理制御装置、麻酔医モニタなど直接磁場下に置く必要がなく、また磁場の影響を受けやすいブラウン管等を含む装置のことである。
【0110】
【発明の効果】
本発明によれば、手術を行う患部の詳細な画像を観察しながら高い精度の手術を行うことができるとともに、この手術中に、より広い範囲を撮影した画像によって患部の関係部位を観察することができるので、安全性の高い手術が可能な手術装置を提供できる。
【0111】
本発明によれば、手術位置と操作卓とが術者の視野角内に存在するように操作卓を配置したことにより、患者への注意力が損なわれにくくなり、安全性の高い手術が可能な手術装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の配置説明図。
【図2】本発明の第1の実施例の構成図。
【図3】本発明の第1の実施例の術前の状態の説明図。
【図4】本発明の第1の実施例の術中の状態の説明図。
【図5】本発明の第2の実施例の配置説明図。
【図6】本発明の第3の実施例の配置説明図。
【図7】本発明の第4の実施例の配置説明図。
【図8】本発明の第5の実施例の配置説明図。
【図9】本発明に係る手術装置のMRI計測と術具操作の切換を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…MRI装置、2…内視鏡装置、3…超音波スキャナ装置、4…操作マニピュレータ、7…麻酔医モニタ、8…機器管理制御装置、15…所定磁場強度の等磁場強度境界、41…操作入力装置、42…マスター・スレーブマニピュレータ制御装置、51…統合立体画像モニタ、52…参照用2次元画像モニタ、54…画像切換入力装置、81…画像統合装置、82…生体センサ
100…主術者、110…副術者、120…麻酔医、190…患者。
Claims (5)
- 術具を支持する操作マニピュレータと、この操作マニピュレータを操作者が操作するための操作入力手段と、前記術具の作業領域を局所的に観察する映像手段と、手術台と、これら各手段を制御する機器管理制御装置とを備えた手術装置において、
前記映像手段の撮影領域よりも広い範囲を計測可能な核磁気共鳴画像装置と前記操作マニピュレータ及び前記映像手段を支持する支持体とを備え、前記核磁気共鳴画像装置の計測対象領域が手術台の面上に位置するように配置するとともに前記術具を前記核磁気共鳴画像装置の計測対象領域内で操作可能に配置し、核磁気共鳴画像装置による計測と前記術具による手術とを前記手術台上で可能にし、前記支持体は前記手術台の長手方向に沿う側端部にこの手術台の長手方向に移動可能かつ取り外し可能に設けられており、前記機器管理制御装置に接続され前記核磁気共鳴画像装置と前記映像手段とが撮影した画像を統合する画像統合装置と、前記核磁気共鳴画像装置と前記映像手段とが撮影した画像及び統合した画像を切換える画像切換入力装置とを有することを特徴とする手術装置。 - 前記画像統合装置から出力される画像を表示する立体モニタと前記操作入力手段とを有する操作卓を設け、この操作卓と前記操作マニピュレータが操作者の視野角内に位置するように前記操作卓と前記操作マニピュレータを配置したことを特徴とする請求項1に記載の手術装置。
- 前記操作マニピュレータが操作卓の前面または最前部よりも後ろ側に位置するように前記操作卓を配置したことを特徴とする請求項2に記載の手術装置。
- 前記核磁気共鳴画像装置は、上下に分けて配された円筒状の磁気発生装置と、これらの磁気発生装置の間隔を維持するように支持する支柱とを有し、前記操作卓を前記手術台の長手方向において、前記核磁気発生装置の支柱よりも前記操作マニピュレータ及び前記映像手段を支持する支持体側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の手術装置。
- 前記機器管理制御装置は、核磁気共鳴画像装置による計測と術具の操作とが互いに排他的に実行されるように、核磁気共鳴画像装置による計測モードと術具の操作モードとを切り換え、核磁気共鳴画像装置による計測と術具による手術とを同一の前記手術台上で可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の手術装置。
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