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JP3551355B2 - Ruターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば電極材に使用されるRu薄膜を製造するために用いられるRuターゲットの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の高集積化に伴い、半導体セル中のキャパシタには、より誘電率の高い酸化物系の材料が使用されるようになってきており、その電極材としては、誘電体である酸化物への還元性の低い白金族系の貴金属が使用されている。それらの貴金属の中でも、誘電体層との接合層に形成する貴金属自身の酸化物の比抵抗が低いRuのスパッタ膜が特に多く使用されている。
このような膜用のRuターゲットは、以下に挙げる3つの方法で製造されている。その方法とは、電子ビームまたはアークによる溶解法、原料粉末をホットプレスで固化して製造したインゴットを電子ビーム溶解処理して高純度化する方法、溶解法で製造したインゴットを熱間圧延する方法である。
【0003】
しかしながら、上記に挙げた3つの方法には、それぞれ固有の得失がある。
先ず、溶解法では、高密度のターゲットが得やすいという利点があるものの、組織中にボイドが発生し易く、成膜に悪影響を与えるという欠点があることが、例えば特開平8―311641号に記載されている。また、溶解条件によっては、樹状晶の凝固組織を現出してしまう危険性を本質的に持っている。
【0004】
また、ホットプレスしたインゴットを電子ビームで処理するという方法は、同じく高密度化できるという利点があるものの、電子ビーム処理という後工程が必要であるために工程が複雑化する。また、溶解を伴うため、上述した溶解法と同様に樹状晶の凝固組織を現出してしまう問題を有している。
【0005】
一般に、樹状晶の凝固組織は、膜の均質性、異常放電やパーティクルの発生などの成膜特性上好ましくなく、均一微細な組織が好ましいとされ、樹状晶組織は、均一微細な組織よりも、抗折力などの機械的性質において劣ることが、工具材料などにおいては広く知られており、この点においても、均一微細な組織が得られないという方法は好ましくない。
更にまた、電子ビーム溶解の場合には、インゴットの汚染を防止するために、スターティングブロックと呼ばれる友材の高純度インゴットブロックが不可欠であり、初期投資が大きいため、小ロットの生産には向いていない。
【0006】
最後に挙げた溶解圧延法は、圧延工程の付与により、ボイドの少ない組織が得られるという利点があるが、圧延という後工程が必要であるために、工程が複雑化するとともに、圧延組織を現出してしまう。圧延組織は、組織の等方性が低く、結晶学的に特定な面への強度の配向を示すため、スパッタ膜の不均一化や、成膜速度の低下の原因となる危険性がある。
以上のように、溶解法を基盤技術とする現状の製造方法では、組織、欠陥、配向性などに本質的問題を残している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上述の問題点を解決するための方法として、焼結後の溶解を伴わない焼結体ターゲットを適用すれば、溶解法に見られる樹状組織の発生やボイドの発生を防ぐことができること、さらに圧延によって発生する集合組織の影響を低減できることに着目した。そして、焼結体でなるRuターゲットの実現を検討した。
ここで、焼結体によるRuターゲットの実現に際して、最も大きな問題となったのは、ターゲットの密度とターゲットの製造性である。
【0008】
本発明者の検討によれば、Ru粉末を、製造工程における汚染の防止に有効な熱間静水圧プレスを適用して焼結体を得ようとしても、どうしても98%程度の相対密度しか得られなかった。ターゲットの密度が低いと、ターゲットの内部に欠陥が多数残留した状態になり、異常放電やそれに起因したパーティクルの発生が問題となる。
また、熱間静水圧プレス法を適用してRu粉末を加圧焼結しようとすると、加圧焼結変形が大きすぎて粉末を充填した容器が追随出来なくなり、破断してしまうことがある。また、変形も極めて不均一となり易く、製品歩留が低下する。
本発明においては、上記課題を解決し、高純度かつ高密度の焼結体でなるRuターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した。そして、その結果、焼結体の密度が高くならない原因及び製造工程中の歩留まり低下の原因は、原料粉末の形状にあることを見いだした。
高純度なRu粉末は、通常、還元法によって製造するため、珊瑚状の不定形、多孔質の粉末である。このRu粉末は、粉末自身の比重が低い上に、粉末の摩擦が大きいために、充填時の架橋を引き起こしやすく、充填密度を上げ難いという問題があり、これが焼結体の密度低下や歩留まり低下の原因であることを突き止めた。
【0010】
そして、さらに検討した結果、還元Ru粉末を焼結する前に、粉砕処理すれば、上記問題を解決できることを見いだし、本発明に到達した。
即ち、本発明は、還元Ru粉末を粉砕処理した後、密閉容器に封入して、熱間静水圧プレスを行い、相対密度99%以上に調整するRuターゲットの製造方法である。
好ましくは、粉砕処理は体積平均径で50μm以下に粉砕するものとする。
【0011】
上述した本発明のRuターゲットの製造方法により、従来にない相対密度99%以上、純度99.99%以上の粉末焼結体からなるRuターゲットを提供することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法における重要な特徴は、還元Ru粉末に対して、粉砕処理を適用することである。そしてこの工程を適用することにより、熱間静水圧プレスでの変形を抑えることができ、割れ等の欠陥なく、99%以上という高密度の本発明のRuターゲットが得られるのである。
【0013】
さらに、密封容器を使用する熱間静水圧プレスの適用は、製造過程における外部からの汚染を最小限にとどめることができ、99.99%以上の純度を有する焼結体からなるRuターゲットを実現することを可能にするものである。
なお、密封容器に対する充填密度を向上する方法として、振動機、ハンマー加振機、プレスなどを併用することにより、さらに充填密度を向上させることも可能である。
【0014】
本発明の相対密度99%以上、純度99.99%以上の粉末焼結体からなるRuターゲットは、粉末焼結体であることから組織が均一微細となり、特定結晶面への配向を有さないものとなる。
これによって、スパッタリング時のRuの堆積速度のバラツキを防ぎつつ異常放電の発生を抑制することが可能となる。
【0015】
本発明の製造方法においては、原料はできるだけ高純度であることが望ましく、好ましくは、純度99.995%以上の原料Ru粉末を使用する。
前記還元Ru粉末の粉砕処理は体積平均径で50μm以下に粉砕することが高い充填密度の確保による割れの発生の低減の点から望ましい。
熱間静水圧プレスの条件としては、密封容器に充填、脱気、封止して、温度1150℃以上で望ましくは1400℃以下かつ圧力1000気圧以上、時間45分以上の条件とすることが望ましい。
【0016】
熱間静水圧プレスの温度が、1150℃未満であると、熱間静水圧プレス後のターゲットの密度が99%以上に到達できない場合があり、1150℃以上が望ましい。1400℃を越えると、通常に密封容器として使用する鉄缶の強度が1400℃を越えると不足するためと、容器からの汚染が進行する場合があるためである。
また、圧力を1000気圧以では、ターゲットの密度を99%以上に高めることが難しい場合があるからである。
【0017】
上述した方法に加えて、粉砕時の汚染防止には、例えばボールミルでの粉砕処理には、アルゴン雰囲気中で、還元Ru粉末を予備粉砕処理することにより、容器壁面及びボール表面に、還元Ru層の被覆を形成しておき、容器からの粉末への汚染を防止すると良い。
粉砕処理には、上述したボールミル以外でも、プラネタリーボールミル、アトライター、ロッドミル等を用いて粉砕処理することが可能である。
【0018】
粉砕後のRu粉末の形状としては、たとえば平均粒径60μm程度の還元Ru粉末をボールミル粉砕すると、粉砕開始後の初期(たとえば数時間)の時点では、粉砕の進行によって、微細粉の割合が増大して、粒径が5μm以下の超微粉末と、粒径10μm程度の微粉末の二極分化するが、さらに粉砕処理を施せば、微細粉の再凝集によって、再度平均粒径が増大し、10μm〜50μmの粒径を持った粉末の割合が約70%に増加する。そして、50μmを超えるものも約10%程度となる一方で、粒径10μm以下の微粉末も約20%程度の割合となる。
このような粒度分布を呈する粉末は、充填率向上という点からみると特に望ましく、より高充填密度化が可能となる。
【0019】
また、この時、粉砕処理に要する時間によって、体積平均径が決定される。例えば、ボールミルでの粉砕時間を4時間以上にすると、体積平均径で50μm以下に調整することができる。
そしてさらに、上記のボールミルでの粉砕時間を例えば12時間以上にすれば、熱間静水圧プレス用の密閉容器への充填率を向上させるに好適な粒度分布に調整できた粉末形状が得られる。
なお、ここでは、ボールミルを使用した際の一例を述べたが、ボールミル以外の粉砕装置を用いる時は、高充填化に好適な粒径、粒度分布が得られるための所用時間に差異があることは言うまでもない。
【0020】
【実施例】
先ず、純Ruの原料粉として、純度99.995%の還元Ru粉末を用意した。
上記の還元Ru粉末をボールミルを用いて粉砕処理した。ボールミルは、ポッド、ボールともにステンレス製のものを使用した。
また、この時アルゴン雰囲気中で、還元Ru粉末を予備粉砕処理することにより、容器壁面及びボール表面に、還元Ru層の被覆を形成せしめて、容器からの粉末への汚染を防止した。このように準備したボールミル装置を利用して、アルゴン雰囲気下で、12時間の粉砕処理を行った。
【0021】
粉砕処理前後の粉末形状を比較するために、粉砕処理前の粉末の電子顕微鏡写真を図3に、粉砕処理後の粉末の電子顕微鏡写真を図4にそれぞれ示す。
図3および図4を比較すると、粉砕処理により、粉末が球状化し、粉末中に存在していた小孔が消失ないし大幅に減少して、充填率を向上するに好適な形状を呈している。
また、粉砕処理前後の粉末粒径の変化を比較するために、粉末の粒度分布を図2に示す。12時間の粉砕の時点では、粒度分布がシャープになっている。
粒度分布がシャープで、比較的粒径の大きい粉末は、充填率向上という点からみると望ましい粒度分布に調整されていることが分かり、体積平均粒径も16.63μmとなった。
【0022】
続いて、上述の粉末を密閉容器に封入した。
粉砕処理前後の充填率の変化を比較するために、粉末の充填率を表1に、粉砕処理前後の粉末の組成を比較するために、粉末の不純物分析結果を表2にそれぞれ示す。
【0023】
【表1】
Figure 0003551355
【0024】
【表2】
Figure 0003551355
【0025】
前記の予備粉砕処理により、酸素以外の不純物については、分析限界以下のままで変化しておらず、粉砕中の汚染は無視出来る程度であると言える。
また、ここで粉砕処理を施した粉末をNb箔を内貼りした鉄缶に、面圧0.68MPaの荷重を加えて充填した。Nb箔は、鉄缶との離型、反応防止の効果の他に、粉砕処理によって上昇した酸素濃度を低減する効果がある。
【0026】
粉末を充填した鉄缶を、脱気封止して、1180℃、100MPa、保持時間3時間で、熱間静水圧プレス処理を施した。
熱間静水圧プレスして得られた、焼結体を機械加工して、Ruターゲットを得た。Ruターゲットは、相対密度が100%であり、完全に緻密化していた。
【0027】
Ruターゲットの断面を光学顕微鏡観察し、写真を図1に示す。
図1に示すように、本発明のRuターゲットは、樹状晶のない均一微細な組織である。このように均一微細な組織は、一般に、スパッタ時のパーティクルや異常放電の低減、膜の均質性の向上などの点で好ましいものである。
ターゲット中に含まれる不純物の分析結果を表3に示す。表2の粉末中の不純物と比較して酸素濃度が低下している。これは、Ru粉末からNb箔へ酸素が移動することによって、酸素が低減したためである。
【0028】
【表3】
Figure 0003551355
【0029】
また、ターゲットのX線回折の主なピークの一覧を表4に示す。
回折データの標準データベースであるJCPDSカードに示された粉末Ruのピーク強度と殆ど一致している。具体的には、数式1に基づいて、測定した回折強度IとJCPDSカードに記載された回折強度Rを用いて、主ピークである(100)、(002)、(101)の3つについてX(I)を求めると、いずれも25〜40%の範囲に入っており、ランダムな配向である。また、極端な粗大粒が存在していないことが分かる。
【0030】
【数1】
Figure 0003551355
【0031】
【表4】
Figure 0003551355
【0032】
本発明のターゲットは、配向性が低く、粗大粒を含まないターゲットは、スパッタ時のパーティクルや異常放電の低減、膜の均質性の向上、スパッタリングレートの向上などの点において好ましく、相対密度99%以上の粉末焼結体からなる純Ruターゲットとすることができる。
【0033】
[比較例]
実施例と同じ還元Ru粉末(図2還元粉末(未処理))を、粉砕処理を施さないままで鉄缶に充填、脱気封止して、1320℃、185MPa、保持時間0.75時間で、熱間静水圧プレス処理を施した。この焼結体の密度は、97%であった。
熱間静水圧プレス処理中の収縮変形量が大きく、鉄缶が異常変形し、焼結体本体に、皺状の割れが発生し、良好な素性の焼結体を得ることができなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、均一微細で配向性の無い純Ruターゲットを飛躍的に省工程で製造することができ、純Ruターゲットの製造にとって欠くことのできない技術となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ターゲットの断面の顕微鏡観察写真を示す。
【図2】粉砕処理前後のRu粉末の粒度分布を示す図である。
【図3】Ru粉末の粉砕処理前の粉末の形状の一例を示す顕微鏡写真である。
【図4】Ru粉末の粉砕処理後の粉末の形状の一例を示す顕微鏡写真である。

Claims (2)

  1. 還元Ru粉末を粉砕処理した後、密閉容器に封入して、熱間静水圧プレスを行い、相対密度99%以上に調整することを特徴とするRuターゲットの製造方法。
  2. 粉砕処理は体積平均径で50μm以下に粉砕することを特徴とする請求項に記載のRuターゲットの製造方法。
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