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JP3551845B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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JP3551845B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンを停止し再始動するエンジン停止再始動装置を有する車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費の低減、排気ガスの低減を目的として、エンジンの作動が不要の時(例えば、信号待ち、電車通過待ち、人待ち等をしている時の車両停止時)には自動的に車両を停止して、エンジン作動が必要になった時に再びエンジンを始動(再始動)するエンジン自動停止自動再始動装置を備える車両の制御装置が開発され実用化されている。
【0003】
そして、エンジンの再始動のために、従来通りスタータを利用するものや、スタータの代わりに別途備えた発電機能を有するモータ・ジェネレータを利用するもの、あるいは、スタータとモータ・ジェネレータの両方を利用するもの等、種々の形態のものが提案されている。例えば、特開平9−117012号公報に記載の装置は、モータ・ジェネレータを備えモータ・ジェネレータでも走行可能な所謂ハイブリッド車であって、そのモータ・ジェネレータで再始動をおこなうようにされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの場合においても、何らかの原因で始動手段によるエンジンの再始動ができなくなる可能性がある。
本発明は上記問題に鑑み、エンジン停止再始動装置を備えた車両において、始動手段によるエンジンの再始動ができなくなった場合に、車両を移動せしめることができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、エンジンを始動駆動する電動式の始動手段と、
エンジンを停止し、始動手段の発生する駆動力で停止したエンジンを再始動するエンジン停止再始動装置と、
始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合で、イグニッションスイッチがスタート位置にある場合に、始動手段により駆動力を発生せしめると共に、始動手段の発生した駆動力が車両の駆動輪に伝わるように伝達機構を制御する電動駆動制御手段と、を備える車両の制御装置が提供される。
この様に構成された車両の制御装置によれば、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合で、イグニッションスイッチがスタート位置にある場合に、始動手段の駆動力が車両の駆動輪に伝わるように伝達機構が制御され、車両を移動せしめることができる。
【0006】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、電動駆動制御手段が、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、始動手段の駆動力でオイルポンプを作動せしめ、オイルポンプの発生した作動油圧によって、変速機の動力伝達用クラッチを係合して、始動手段の駆動力を駆動輪へ伝達せしめるようにした車両の制御装置が提供される。
この様に構成されたエンジン自動停止自動再始動装置によれば、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、始動手段の駆動力でオイルポンプが作動され変速機の動力伝達用クラッチが係合されて駆動輪に始動手段の駆動力が伝達される。
【0007】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明において、さらに、電動オイルポンプを具備し、
電動駆動制御手段が、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、電動オイルポンプを作動させて電動オイルポンプの発生した作動油圧によって、変速機の動力伝達用クラッチを係合して、始動手段の駆動力を駆動輪へ伝達せしめるようにした車両の制御装置が提供される。
この様に構成された車両の制御装置では、変速機の動力伝達用クラッチを係合させるための作動油圧の発生は電動オイルポンプでおこなわれ、始動手段の発生した駆動力は作動油圧の発生のために消費されずに駆動輪に伝えられる。
【0008】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明において、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、電動駆動制御手段が電源から始動手段にエンジンの自動再始動時よりも大きな電流を供給せしめ始動手段にエンジンの自動再始動時よりも大きな増大駆動力を発生せしめ、増大駆動力を駆動輪に伝えるようにした車両の制御装置が提供される。
この様に構成された車両の制御装置では、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、増大駆動力が駆動輪に伝えられるので車両の移動を速やかに実行できる。
【0009】
請求項5の発明によれば、請求項1の発明において、電源の充電状態が低下した時は、始動手段による駆動輪に伝達するための駆動力の発生を中止するようにした車両の制御装置が提供される。
この様に構成された車両の制御装置では、電源の充電状態が低下した時は、始動手段による駆動輪に伝達するための駆動力の発生が中止される。
【0010】
請求項6の発明によれば、請求項1の発明において、始動手段の発生した駆動力を駆動輪に伝達する場合は、補機類の駆動を停止するようにした車両の制御装置が提供される。
この様に構成された車両の制御装置では、始動手段の発生した駆動力を駆動輪に伝達する場合、補機類の駆動が停止され、補機駆動にエネルギを費やすことなく始動手段で駆動輪を駆動することができる。
【0011】
請求項7の発明によれば、エンジンを始動駆動する電動式の始動手段と、
エンジンを停止し、始動手段の発生する駆動力で停止したエンジンを再始動するエンジン停止再始動装置と、
始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に始動手段により駆動力を発生せしめると共に、始動手段の発生した駆動力が車両の駆動輪に伝わるように伝達機構を制御する電動駆動制御手段を具備し、
伝達機構がロックアップ機構付き自動変速機であって、
始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、電動駆動制御手段が、ロックアップ機構をONにして始動手段の駆動力を駆動輪へ伝達せしめる、ことを特徴とする車両の制御装置が提供される。
この様に構成された車両の制御装置では、ロックアップ機構をONにしてエンジンと変速機の歯車伝達機構が直結にされた状態で始動手段の駆動力が駆動輪へ伝達される
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図2は本実施形態の駆動システムを示している。図2において、1は車両に搭載されるエンジン、2は自動変速機で、10は駆動輪である。このエンジン1には該エンジン1を再始動させるためのモータ及び発電機として機能するモータジェネレータ3が、そのクランク軸1aに、電磁クラッチ26、プーリ22、ベルト8、プーリ23及び減速機構Rを介して連結されている。
減速機構Rは、遊星歯車式で、サンギア33、キャリア34、リングギア35を含み、ブレーキ31、ワンウェイクラッチ32を介してモータジェネレータ3及びプーリ23の間に組込まれている。
なお、ワンウェイクラッチ32はクラッチに置き換えることができる。
【0013】
自動変速機2にはエンジン1のクランク軸1aで直結駆動される従来タイプの機械式のオイルポンプ19が備えられているが、この実施の形態では、さらに電動オイルポンプ20を備えていて、電動オイルポンプ20は電磁クラッチ21を介してモータ・ジェネレータ3に接続されている。機械式のオイルポンプ19と電動オイルポンプ20は図5に示すようにチェックボール機構251を介して油圧制御機構203内のプライマリレギュレータ250に接続されている。
【0014】
また、従来タイプのスタータ6がエンジン1の本体の後端部の外側に付設されていて、スタータ6内のスタータギヤ6aは選択的に自動変速機2のトルクコンバータ部201内に配置されエンジン1のクランク軸1aに直結のフロントカバ−208に取り付けられているリングギヤ206と噛合される。
【0015】
図の符号11,16は補機類で、例えばそれぞれパワーステアリング用のポンプ、エアコン用のコンプレッサー等に相当しており、エンジンのクランク軸1a及びモータジェネレータ3とは、プーリ26、ディスク25′に電磁クラッチ25を介して取りつけられているプーリ24、プーリ9,14とベルト8によって連結されている。
【0016】
図2には示していないが、補機類としては前記のほかに、エンジンオイルポンプ、エンジンウォータポンプ等も連結されている。符号4aはモータジェネレータ3に電気的に接続されるインバータである。このインバータ4aはスイッチングにより電力源であるバッテリ5aからモータジェネレータ3への電気エネルギの供給を可変にしてモータジェネレータ3の回転速度を可変にする。また、モータジェネレータ3からバッテリ5aへの電気エネルギの充電を行うように切り換える。
【0017】
このバッテリ5aはモータジェネレータ3の駆動専用のバッテリであって定格電圧48Vあるいは36Vのものである。バッテリ5aにはバッテリの規格を識別するバッテリ識別IC53が付設されている。一方バッテリ5bは通常の補機用の定格電圧12Vのものであってバッテリ5bはインバータ4bを介してバッテリ5aに接続されている。なお、バッテリのかわりにキャパシタ、燃料電池を電源とすることもできる。
【0018】
符号7は電磁クラッチ26の断続の制御、及びインバータ4aのスイッチング制御等を行うためのコントローラである。このコントローラ7へは入力信号として、エアコンSW42からのオン・オフ信号、自動停止走行モード(エコラン)SW40のオン・オフ信号、エンジン回転速度センサ49からのエンジン回転速度信号、シフトレバー44のシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ45からの検出信号、エンジン冷却水温センサ47からの信号、車速センサ50からの車速信号、フットブレーキセンサ51からのフットブレーキ信号、ハンドブレーキセンサ52からのハンドブレーキ信号、バッテリ識別ICからの識別信号、アクセル開度センサ54からの信号等が入力される。
【0019】
なお、エンジン1の自動停止自動再始動、すなわちエコランを実施している場合に、そのことをドライバに知らせるためのインジケータ46、逆に実施していない場合にそのことをドライバに知らせるインジケータ48が備えられている。
【0020】
エンジン1が自動停止した状態では、コントローラ7は電磁クラッチ26に切断の制御信号を出力しており、プーリ22とエンジン1とは動力非伝達状態にある。
一方、エンジン1が停止中でもエアコンやパワーステアリングは作動させておきたい場合は、電磁クラッチ25をオン、電磁クラッチ26をオフとし、パワーステアリング用ポンプ、エアコン用コンプレッサの負荷等が考慮されたトルクでモータジェネレータ3が回転するように、コントローラ7はインバータ4aに対して相応のスイッチング信号を出力する。
そして、減速装置Rのブレーキ31はオフ(リングギヤ35固定)にする。このような状態とすることにより、モータジェネレータ3とプーリ23とはモータジェネレータ3から見て回転を減速して動力を伝達する状態となり、補機類11,16等を駆動するのに必要な回転速度を確保することができる。
【0021】
また、エンジンが運転されている際に、モータジェネレータ3を発電機として使用したり、補機類11,16等を駆動したりするには、ブレーキ31をオフにし、電磁クラッチ25、電磁クラッチ26はオン状態としておく。このようにすることにより、エンジン側から動力が伝達されモータジェネレータで動力が吸収されモータジェネレータ3とプーリ23とがワンウェイクラッチ32により直結状態となり、エンジンの回転速度が高くなってもモータジェネレータ3や補機類1,16等が高速で運転されるのを防止することができる。なお、ワンウェイクラッチ32をクラッチに置き換えても実質的に上記と同様な作用が得られる。
【0022】
次に、エコランモードでエンジン1を再始動する時は、コントローラ7はクラッチ26をONにする信号を出すとともに、減速機Rのブレーキ31にON信号を出力しリングギヤ35を回転不能にしておく。この状態でモータジェネレータ3を回転させるとサンギヤ33の回転はピニオンギヤ36に伝達され、リングギヤ35がロックされているのでピニオンギヤ36は自転しながらサンギヤ33の周りを公転する。よってピニオンギヤ36内のキャリア34もサンギヤ33の周りを公転し、キャリア34と同軸のプーリ23も回転する。このときのプーリ23の回転速度はサンギヤ33、リングギヤ35の歯数によって決まる減速比でモータジェネレータ3の軸の回転速度が減速されたものとなる。よってモータジェネレータ3からエンジン1へ始動に十分なトルクが伝達され、エンジンが再始動される。これはモータジェネレータ3を小型にできるという効果につながる。
なお、電磁クラッチ25をONにしておけば同時に補機も駆動される。
【0023】
エンジン1の自動停止自動再始動は、前記ROMに記憶された制御プログラムに従ってコントローラ7上に実現される。
コントローラ7は、例えば、車速がゼロ、ブレーキペダルが踏まれていて、アクセルペダルが踏まれていなくて、エンジン水温やA/Tの作動油温が所定範囲内で、バッテリーのSOCが所定範囲内であり、かつシフトレバーのポジションがDまたはNにあることなど、あるいは、ただ単にシフトレバーがPポジションにあることなどを条件にエンジンを自動停止すべきと判定する。そして、エンジンを自動停止すべきであると判定されると、エンジン1への燃料供給をカットする指令を発する。
一方、例えば、アクセルペダルが踏まれるか、ブレーキがoffとなったときにエンジンを自動再始動すべきであると判定する。そして、エンジンを自動再始動すべきであると判定されると、エンジン1への燃料供給を再開してエンジンを再始動する指令を発する。
【0024】
次に、図2において2で示されている自動変速機2について説明する。図3は自動変速機2の内部のトルクコンバータ201および歯車変速機構202の構成を示すスケルトン図である。このトルクコンバータ201および歯車変速機構202を内蔵したケーシングの内部には、作動油としてオートマチック・トランスミッション・フルードが封入されている。
【0025】
トルクコンバータ201は、駆動側部材のトルクを流体により従動側部材に伝達するものである。このトルクコンバータ201は、ポンプインペラ207に一体化させたフロントカバー208と、タービンランナ209を一体に取付けたハブ210と、ロックアップクラッチ211とを有している。そして、ポンプインペラ207のトルクが流体を介してタービンランナ209に伝達される。また、従来周知のロックアップクラッチ211は、フロントカバー208とハブ210とを選択的に係合・解放するためのものである。なお、ロックアップクラッチ211を所定の係合圧で滑らせるスリップ制御をおこなうことも可能である。
【0026】
フロントカバー208はエンジン1のクランクシャフト1aに連なる軸212に連結されている。また、ポンプインペラ207およびタービンランナ208の内周側には、ステータ213が設けられている。このステータ213は、ポンプインペラ207からタービンランナ209に伝達されるトルクを増大するためのものである。さらに、ハブ210には歯車変速機構202の入力軸214が接続されている。したがって、エンジン1のクランクシャフト1aからの出力トルクはポンプインペラ207とタービンランナ209、またはロックアップクラッチ211を介して歯車変速機構202の入力軸214に伝達される。
【0027】
一方、歯車変速機構202は、副変速部215および主変速部216から構成されている。副変速部215は、オーバドライブ用の遊星歯車機構217を備えており、遊星歯車機構217のキャリヤ218に対して入力軸212が連結されている。この遊星歯車機構217を構成するキャリヤ218とサンギヤ219との間には、多板クラッチC0と一方向クラッチF0とが設けられている。この一方向クラッチF0は、サンギヤ219がキャリヤ218に対して相対的に正回転、つまり、入力軸214の回転方向に回転した場合に係合するようになっている。そして、副変速部215の出力要素であるリングギヤ220が、主変速部216の入力要素である中間軸221に接続されている。また、サンギヤ219の回転を選択的に止める多板ブレーキB0が設けられている。
【0028】
したがって、副変速部215は、多板クラッチC0もしくは一方向クラッチF0が係合した状態で遊星歯車機構217の全体が一体となって回転する。このため、中間軸221が入力軸214と同速度で回転し、低速段となる。また、ブレーキB0を係合させてサンギヤ219の回転を止めた状態では、リングギヤ220が入力軸214に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0029】
他方、主変速部216は、三組の遊星歯車機構222、223、224を備えており、三組の遊星歯車機構222、223、224を構成する回転要素が、以下のように連結されている。すなわち、第1遊星歯車機構222のサンギヤ225と、第2遊星歯車機構223のサンギヤ226とが互いに一体的に連結されている。また、第1遊星歯車機構222のリングギヤ227と、第2遊星歯車機構223のキャリヤ229と、第3遊星歯車機構224のキャリヤ231とが連結されている。さらに、キャリヤ231に出力軸232が連結されている。この出力軸232はトルク伝達装置(図示せず)を介して車輪(図示せず)に接続されている。さらにまた、第2遊星歯車機構223のリングギヤ233が、第3遊星歯車機構224のサンギヤ234に連結されている。
【0030】
この主変速部216の歯車列においては、後進側の1つの変速段と、前進側の4つの変速段とを設定することができる。このような変速段を設定するための摩擦係合装置、つまりクラッチおよびブレーキが、以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、リングギヤ233およびサンギヤ234と、中間軸221との間に第1クラッチC1が設けられている。また、互いに連結されたサンギヤ225およびサンギヤ226と、中間軸221との間に第2クラッチC2が設けられている。
【0031】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1はハンドブレーキであって、第1遊星歯車機構222のサンギヤ225、および第2遊星歯車機構223のサンギヤ226の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ225、226とケーシング235との間には、第1一方向クラッチF1と、多板ブレーキである第2ブレーキB2とが直列に配列されている。第1一方向クラッチF1はサンギヤ225、226が逆回転、つまり入力軸214の回転方向とは反対方向に回転しようとする際に係合するようになっている。
【0032】
また、第1遊星歯車機構222のキャリヤ237とケーシング235との間に、多板ブレーキである第3ブレーキB3が設けられている。そして第3遊星歯車機構224はリングギヤ238を備えており、リングギヤ238の回転を止めるブレーキとして、多板ブレーキである第4ブレーキB4と、第2一方向クラッチF2とが設けられている。第4ブレーキB4および第2一方向クラッチF2は、ケーシング235とリングギヤ238との間に相互に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2はリングギヤ238が逆回転しようとする際に係合するように構成されている。さらに、歯車変速機構4の入力回転数を検出する入力回転数センサ(タービン回転数センサ)240と、歯車変速機構4の出力軸232の回転数を検出する出力回転数センサ(車速センサ)50とが設けられている。
【0033】
上記のように構成された歯車変速機構202においては、各クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置を、図4の作動係合表に示すように係合・解放することにより、前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。なお、図4において○印は摩擦係合装置が係合することを示し、◎印は、エンジンブレーキ時に摩擦係合装置が係合することを示し、△印は摩擦係合装置が係合・解放のいずれでもよいこと、言い換えれば、摩擦係合装置が係合されてもトルクの伝達には無関係であることを示し、空欄は摩擦係合装置が解放されることを示している。
これらの摩擦係合装置の係合は油圧制御機構203(図2参照)内の油圧回路の弁類をECU7からの信号で制御することによっておこなわれる。
【0034】
図8に示すのはシフトセレクタ60であって、いわゆるゲート式のものであって、シフトレバー44のマニュアル操作により、各種のシフトレバーポジションを設定することが可能である。すなわち、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションの各ポジションを設定可能であって、図示のように、Dポジションと4ポジション、および、2ポジションとLポジションは左右方向の移動で選択できる。
【0035】
以下、上記ハード構成を有する車両の本発明による制御について説明する。
図1がこの制御のフローチャートである。図1のフローチャートにおいては、まず、ステップ10で制御がスタートすると、まずステップ20で各種検出信号の入力処理がおこなわれ、ステップ30においてはシフトポジションセンサ45からの信号により変速機2のシフトセレクタ44のシフトポジションが走行可能なポジション、すなわち、P,Nを除くD,4、3、2、Lにあるか否かが判定される。
【0036】
ステップ30で否定判定された場合はステップ160に飛びリターンするが、肯定判定された場合はステップ40に進みエンジン自動再始動の条件が確立したか否かが判定される。ステップ40で否定判定された場合はステップ160に飛びリターンするが、肯定判定された場合はステップ50に進みエンジン自動再始動処理をおこなう。さらに、ステップ60ではエンジンが自動再始動したか否かが判定され、肯定判定された場合は、ステップ70に進み通常のエンジンでの走行を実行する。
【0037】
一方、ステップ60で否定判定された場合は、自動再始動すべき時に、自動再始動がおこなわれないということを意味している。そこで、先ず、ステップ80で、イグニッションスイッチがスタート位置にあるか否かから、運転者が車両を動かしたいという意思を有しているか否かの判定をおこない、肯定判定された場合、すなわち、運転者が車両を動かしたいという意思を有している場合には、本発明に基づき、ステップ90以降を実行する。
なお、ステップ80で否定判定された場合は、ステップ160に飛んでリターンする。
【0038】
ステップ90以降で実行するのは、バッテリ5aでモータ・ジェネレータ3を回転せしめ、モータ・ジェネレータ3の回転駆動力で、エンジン1、自動変速機2を介して、駆動輪300を駆動することであるが、以下のその詳細を説明する。
まず、ステップ90で実行するのは補機駆動の中止であるが、これは、本実施の形態においては、モータ・ジェネレータ3は補記類も駆動する機能を有しているが、モータ・ジェネレータ3の発生するトルクを駆動輪300の駆動に集中して使用し、できるだけ車両を速く、遠くまで、移動することができるようにするためにおこなうものであって、具体的には、電磁クラッチ25をOFFにすることである。
【0039】
次に、ステップ100でおこなうのは、電動オイルポンプ20の強制駆動であって、これはモータ・ジェネレータ3と電動オイルポンプ20の間に配設されている電磁クラッチ21を係合せしめることでおこなう。これによって、自動変速機2の係合要素(クラッチ、ブレーキ類)を作動せしめる油圧を得る。
ステップ110では、ステップ100で得た油圧を用いて発進に必要な自動変速機2内のクラッチC1(前進走行用のシフトポジションが選択されている場合)、または、クラッチC2(後進走行用のシフトポジションが選択されている場合)を係合せしめる。
なお、電動オイルポンプ20を有していない場合は、このステップ110を省略し、後述のファーストアプライを実行する。
【0040】
ステップ120ではロックアップクラッチ211をONにする、これは、ロックアップクラッチ211を直結にした方がトルクを効率良く駆動輪へ伝達することができるためである。具体的には、油圧制御機構203内の図示しないロックアップクラッチ制御用ソレノイドをONにすることによりおこなわれる。なお、使用されるギヤ段でロックアップクラッチを係合できない構造にされている時は、このステップ120は省略される。
【0041】
そして、ステップ130では、始動手段であるモータ・ジェネレータ3またはスタータ6の特殊制御を実施する。この特殊制御は具体的には、バッテリ5aからモータ・ジェネレータ3に、および、または、バッテリ5bからスタータ6に短時間だけ大電流を流すようにし、モータ・ジェネレータ3に大きなトルクを発生せしめ、その大きなトルクで車両を移動せしめるものである。
【0042】
ステップ140ではバッテリの充電状態SOCが予め定めた値以下であるか否かの判定をおこなう。これは、バッテリ5a,5bがモータ・ジェネレータ3またはスタータ6の特殊制御に耐えられる状態であるかを判定するためのものであって、肯定判定された場合、すなわち、バッテリの充電状態SOCが予め定めた値以下であればステップ150に進んでモータ・ジェネレータ3またはスタータ6の特殊制御を中止する。
逆に、否定判定された場合、すなわち、バッテリの充電状態SOCが予め定めた値以下でなければ、ステップ130に戻って、モータ・ジェネレータ3またはスタータ6の特殊制御を続行する。
このステップ140を設けたことによりモータ・ジェネレータ3またはスタータ6の特殊制御を実行し続けてバッテリが完全放電の状態に到ってしまうことを防止している。
【0043】
本実施の形態は上記のように作用し、自動停止後の再始動ができない場合に、モータ・ジェネレータ3、あるいは、スタータ6が、大きなトルクを発生し、このトルクが駆動輪10に伝達され車両を移動せしめることができる。
【0044】
次に、電動オイルポンプ20を備えない場合に実行する急速増圧制御について前進クラッチC1に油圧を供給する場合を例にとって図6、7を参照しながら説明する。なお、後進用のクラッチC2を使用する場合に、クラッチC2を同様に急速増圧制御することもできる。
【0045】
図6において、プライマリレギュレータバルブ250で調圧されたライン圧は、マニュアルバルブ254を介して最終的には前進クラッチC1に供給される。ここで、コントローラ7から急速増圧制御の指令を受けてソレノイド260が切換弁258を開に制御しているときは、マニュアルバルブ254を通過したライン圧PLは、大オリフィス256を通過した後、そのまま前進クラッチC1に供給される。なお、この急速増圧制御が実行されている段階では、スプリング274のばね定数の設定によりアキュムレータ270は機能しない。
【0046】
やがて、コントローラ7より急速増圧制御の終了指令を受けてソレノイド260が切換弁258を遮断制御すると、大オリフィス256を通過したライン圧PLは小オリフィス264を介して比較的ゆっくりと前進クラッチC1に供給される(従来と略同等のルート)。また、この段階では、前進クラッチC1に供給される油圧は高まっているため、アキュムレータ270につながっている油路266の油圧がスプリング274に抗してピストン272を図の上方に移動させる。その結果、このピストン272が移動している間、前進クラッチC1に供給される油圧の上昇速度が緩和し、前進クラッチC1は非常に円滑に係合する。
【0047】
図7に前進クラッチC1の油圧の供給特性を示す。図7において、細線は急速増圧制御を実行しなかった場合、太線は実行した場合をそれぞれ示している。また、Tfastと付された部分が急速増圧制御を実行している期間(所定期間)を示している。この期間Tfastは、定性的には前進クラッチC1の図示せぬピストンが、いわゆるクラッチパックを詰める期間に対応し、また、エンジン回転速度が所定のアイドル回転速度に至る若干前までの期間に対応する。なお、Tc,Tc′は前進クラッチC1のクラッチパックが詰められる期間に相当している。
【0048】
もし急速増圧制御が実行されない場合には、切換弁258をバイパスした従来と略同等のルートでオイルが供給されるため、前進クラッチC1のピストンのクラッチパックが詰められるまでの間にかなりの時間Tc′が経過し、図の細線のような経過を辿って時刻t2で係合を完了する。
【0049】
なお、図7の表示から明らかなように、急速増圧制御の開始タイミングTsは、エンジン回転速度NEが所定値NE1となったときに設定されている。このように、急速増圧制御をエンジンの再始動指令Tcom と同時に開始させないようにしたのは、エンジン1が回転速度零の状態から若干立ち上がった状態(NE1程度の値にまで立ち上がった状態)になるまでの時間T1が、走行環境によって大きくばらつく可能性があるためである。
【0050】
もし、急速増圧制御をエンジンの再始動指令Tcom と同時に開始させた場合、このばらつきの影響を受けて、前進クラッチC1は、ときに該急速増圧制御が実行されている間に係合を開始し、大きな係合ショックが発生する虞がある。そこで、ばらつきの大きなエンジンの再始動直後を避け、エンジンが若干上昇し始めた時点Tsを急速増圧制御の開始タイミングとすることにより、走行環境の違いにかかわらず、ばらつきの小さな(安定した)オイルの供給制御を実現することができる。
【0051】
以上のような急速増圧制御により、電動オイルポンプ20を備えない場合でも変速機2内のクラッチC1が速やかに係合され、モータ・ジェネレータ3またはスタータ6の発生した駆動力を駆動輪10に伝達して車両を移動せしめることができる。
【0052】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合で、イグニッションスイッチがスタート位置にあり、運転者が車両を移動させたいという意志がある場合に、始動手段が発生した駆動力が車両の駆動輪に伝えられる。
特に請求項2のようにすれば、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、始動手段の駆動力で変速機のオイルポンプの作動と駆動輪の駆動がおこなわれるのでコストをかけて電動オイルポンプ等を設けることなく目的を達成することができる。
特に請求項3のようにすれば、変速機の動力伝達用クラッチを係合させるための作動油圧の発生は電動オイルポンプでおこなわれ、始動手段の発生した駆動力は作動油圧の発生のために消費されずに駆動輪に伝えられるので、変速機の動力伝達用クラッチの作動油圧を早期に立ち上げることができると共に、高い駆動力を駆動輪に伝えることができる。
特に請求項4のようにすれば、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、電源から始動手段にエンジンの自動再始動時よりも大きな電流が供給され始動手段はエンジンの自動再始動時よりも大きな増大駆動力を発生し、その増大駆動力が駆動輪に伝えられので車両の移動を速やかに実行できる。
特に請求項5のようにすれば、電源の充電状態が低下した時は、始動手段による駆動輪に伝達するための駆動力の発生が中止されるので、電源が完全放電するまで始動手段が駆動力の発生を続けることが防止される。
特に請求項6のようにすれば、補機駆動にエネルギを費やすことなく始動手段で駆動輪を駆動することができるので大きな駆動力を駆動輪に伝えることができる。
請求項7に記載の発明によれば、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合にロックアップ機構をONにしてエンジンと変速機の歯車伝達機構が直結にされた状態で始動手段の駆動力が駆動輪へ伝達されるのでロス無く駆動力が駆動輪へ伝達される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1の制御のフローチャートである。
【図2】本発明が適用されたエンジン自動停止自動再始動装置の構成を示す図である。
【図3】図2に示された歯車変速機構およびトルクコンバータの構成を示すスケルトン図である。
【図4】図3に示された歯車変速機構で各変速段を設定するための摩擦係合装置の作動状態を示す図である。
【図5】機械式オイルポンプと電動式オイルポンプの接続を示す図である。
【図6】前進クラッチのオイルの供給特性等を時間軸に沿って示した図である。
【図7】急速増圧制御を実行するための油圧制御装置の要部を示す油圧回路図。
【図8】シフトセレクタのシフトポジションを示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン
2…自動変速機
3…モータ・ジェネレータ
6…スタータ
20…電動オイルポンプ
201…トルクコンバータ
202…歯車変速機構
211…ロックアップクラッチ

Claims (7)

  1. エンジンを始動駆動する電動式の始動手段と、
    エンジンを停止し、始動手段の発生する駆動力で停止したエンジンを再始動するエンジン停止再始動装置と、
    始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合で、イグニッションスイッチがスタート位置にある場合に始動手段により駆動力を発生せしめると共に、始動手段の発生した駆動力が車両の駆動輪に伝わるように伝達機構を制御する電動駆動制御手段と、を備える、ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 電動駆動制御手段が、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、始動手段の駆動力でオイルポンプを作動せしめ、オイルポンプの発生した作動油圧によって、変速機の動力伝達用クラッチを係合して、始動手段の駆動力を駆動輪へ伝達せしめることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. さらに、電動オイルポンプを具備し、
    電動駆動制御手段が、始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、電動オイルポンプを作動させて電動オイルポンプの発生した作動油圧によって、変速機の動力伝達用クラッチを係合して、始動手段の駆動力を駆動輪へ伝達せしめることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  4. 始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、電動駆動制御手段が電源から始動手段にエンジンの再始動時よりも大きな電流を供給せしめ始動手段にエンジンの自動再始動時よりも大きな増大駆動力を発生せしめ、増大駆動力を駆動輪に伝えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  5. 電源の充電状態が低下した時は、始動手段による駆動輪に伝達するための駆動力の発生を中止することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  6. 始動手段の発生した駆動力を駆動輪に伝達する場合は、補機類の駆動を停止することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  7. エンジンを始動駆動する電動式の始動手段と、
    エンジンを停止し、始動手段の発生する駆動力で停止したエンジンを再始動するエンジン停止再始動装置と、
    始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に始動手段により駆動力を発生せしめると共に、始動手段の発生した駆動力が車両の駆動輪に伝わるように伝達機構を制御する電動駆動制御手段を具備し、
    伝達機構がロックアップ機構付き自動変速機であって、
    始動手段でのエンジンの再始動が不能の場合に、電動駆動制御手段が、ロックアップ機構をONにして始動手段の駆動力を駆動輪へ伝達せしめる、ことを特徴とする車両の制御装置。
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