JP3552145B2 - 圧粉体の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプ材やナット等の孔を有する部材、あるいは特有の孔、凹部、溝等を有する部材を、圧粉体から焼結体として得るにあたり、それら孔、凹部、溝等の空所が、圧粉体の成形時に圧縮方向と交差する方向とされる場合の圧粉体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、円筒状のパイプを、圧粉体から焼結体として得る場合、従来では、パイプの孔を形成し得る円柱状のコアロッド(中子)が上下方向に沿って挿入された成形型内のキャビティに粉末を充填し、この粉末を、上下のパンチによりパイプの軸方向に圧縮成形して圧粉体を得た後、この圧粉体を焼結していた。すなわち、上下のパンチによる圧縮方向はパイプの孔と平行であった。ところが、このような圧粉体の成形方法にあっては、成形型内への粉末の充填密度が不安定になったり、粉末の充填深さを深くとれず、部材の長さに制限が生じたりするなど、粉末の充填性に問題があった。また、粉末の圧縮密度がもっとも低くなる部分(上下のパンチ間の中央部分、いわゆるニュートラルゾーン)が明確に生じ、品質の低下を招くおそれがあった。さらに、圧粉体を成形型から抜き出し難く、かつ抜き出した圧粉体を取り扱い難いといった欠点を有していた。これら諸問題は、圧縮方向の長さが長ければ長いほど顕著であった。
【0003】
そこで、これら諸問題を解決するために、上記のようなパイプを成形する場合であれば、粉末の圧縮方向を、パイプの径方向とする、すなわちパイプの孔に直交する方向とする方法が種々提案されている。例えば、本出願人は、特開平4−327398号公報に、成形型に形成した横孔にコアロッドを挿入してキャビティ内に貫通させ、キャビティ内に充填した粉末を上下のパンチで圧縮して圧粉体を得る方法を提案している。このような方法によれば、粉末の充填深さが浅いことから、粉末の充填性が向上するとともに、ニュートラルゾーンの発生部分が極力小さくなり、さらに、圧粉体を成形型から抜き出しやすく、かつ取り扱いやすくなる。また、孔の内面にねじやギヤを形成する場合、その部分の圧縮密度が十分に確保されるといった利点もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報の圧粉体の成形方法によれば、粉末の圧縮時に、コアロッドはキャビティを横断してその両端部が成形型の横孔に挿入された状態となる。このため、コアロッドには撓みを生じさせる負荷がかかり、この負荷が大きくなることにより、コアロッドが変形したり、場合によっては折損したりする不具合が想定された。同公報には、このような不具合を回避するために、コアロッドを粉末のニュートラルゾーンの位置に配する旨の記載はあるものの、実際にはその制御が困難であり、よって実用化が困難であった。さらに言えば、上記パイプや上記公報に例示されるナットを成形する場合には、孔を形成するコアロッドを圧縮方向に直交させてニュートラルゾーンに配することができるが、孔が圧縮方向に対して斜めに交差したり、孔の位置が圧縮方向の中央部分から外れていてコアロッドをニュートラルゾーンに配することができない場合には、中子に負荷がかかるため実現不可能である。
【0005】
また、一般的に、成形型のキャビティ内の粉末は、振動充填等の手段によって充填密度の均一化が図られるものの、それでも均一性が不十分な場合があり、そのまま圧縮して得られた圧粉体は密度が不均一になって満足する品質を得ることができない。特に、肉厚の薄い部材の場合には粉末の充填密度を均一にすることが難しく、品質向上のための改善が望まれていた。
【0006】
したがって本発明は、上記コアロッドのような中子に圧縮の負荷がかからず、そのための制御を容易もしくは不要として圧粉体を容易に成形することができ、しかも、密度の均一性が十分となって品質の向上が図られる圧粉体の成形方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧粉体の成形方法は、圧縮方向と交差する方向に延びる空所を有する圧粉体を成形する方法において、次の、「工程1」から「工程4」を具備することを特徴としている。
「工程1」組み合わせることにより成形すべき前記圧粉体の形状に相似する複数の予圧粉体を、ハンドリングが可能な密度に成形する。なお、ここでいう予圧粉体とは、粉末をハンドリングが可能な密度に圧縮したもの、もしくはこれよりも密度を低く設定し、最終的な圧粉体の焼結温度の約30〜65%程度の温度で仮焼結することによりハンドリングを可能としたものである。
「工程2」工程1で得た複数の前記予圧粉体を、前記圧粉体を成形し得る成形型のキャビティ内に、圧縮方向に移動可能に収容されて前記空所を形成する中子とともに、前記圧粉体の形状に相似するように組み合わせてセットする。
「工程3」前記キャビティ内にセットした複数の前記予圧粉体を、押し型で圧縮して相互に接合し、前記圧粉体を成形する。
「工程4」前記圧粉体を前記中子とともに前記成形型から抜き出し、この後、中子を圧粉体から抜き出す。
【0008】
この方法によれば、従来のように、はじめから圧粉体を成形する成形型のキャビティ内に粉末を充填せず、まず、「工程1」において、所定の成形型により、組み合わせることにより成形すべき圧粉体の形状に相似する、すなわち成形すべき圧粉体が分割された形状の複数の予圧粉体を、ハンドリングが可能な密度に成形する。ここで言うハンドリングが可能な密度とは、手に持って取り扱うことができ、その際に損壊しない状態を可能とする密度を指す。そして、これら予圧粉体を、「工程2」において、圧粉体を成形し得る成形型のキャビティ内に、空所を形成する中子とともに圧粉体の形状に相似するように組み合わせてセットする。この後、予圧粉体を本圧縮する「工程3」により、予圧粉体の成形とともに隣接する予圧粉体どうしの接合を行わしめて圧粉体を成形し、「工程4」で圧粉体を中子とともに成形型から抜き出し、さらに中子を圧粉体から抜き出す。
【0009】
ここで、予め成形しておく予圧粉体の密度は、上記のようにハンドリングが可能であることが前提であるが、これに加えて、「工程3」の圧縮時に、隣接する予圧粉体どうしが接合され得るような密度が求められる。予圧粉体どうしの接合は、密度が低ければ低いほど十分になされるものであるが、密度が低いと、今度はハンドリングが不可能となる。接合が可能な条件としては、密度比(同一組成の金属の真密度に対する成形体で得られた密度の比)が76%未満の場合と知られており、76%超の場合には、接合界面にクラックが生じる確率が高くなり好ましくない。したがって、予圧粉体の密度としては、密度比が76%未満で、なおかつハンドリングが可能な範囲内で選択され、その範囲としては、60〜75%の密度比が実現される密度が好適である。例えば、粉末がFe系の場合は4.7〜5.9g/cm3、Alの場合は1.6〜2g/cm3、Cu系の場合は5.3〜6.6g/cm3が好適とされる。
【0010】
また、予圧粉体の密度を低く設定しておき、その予圧粉体を圧縮成形した最終的な圧粉体を焼結する温度の約30〜65%程度の温度で脱ろうおよび仮焼結すると、予圧粉体の強度が高くなり、例えば予圧粉体を移送機械を用いて成形型に供給する際に好都合となる。仮焼結の温度が高い場合には強度が高まる反面、成形型で圧縮したときの接合が不十分となりやすい。例えば、鉄粉を主とする予圧粉体では、750℃程度を仮焼結の最高温度とするのが好ましい。
【0011】
本発明によれば、複数の予圧粉体を圧縮して接合させ最終的な圧粉体を成形するので、たとえ予圧粉体の状態で密度が不均一であっても、本圧縮の際にそれが是正されて密度の均一性が十分となり、品質の向上が図られる。予め予圧粉体を多量に作ってストックしておき、必要に応じて本圧縮して圧粉体を得るようにすれば、圧粉体を成形するたびに粉末の調整や充填を行う手間が省け、生産性の向上が図られる。
【0012】
また、「工程2」において、成形型のキャビティ内に圧粉体の空所を形成するための中子をセットするが、そのセットの仕方は、キャビティ内に対し圧縮方向に移動可能に収容される状態とする。すなわち、この中子は、成形型とは係合せず縁が切れており、予圧粉体の圧縮時には成形型と関係なく圧縮方向に移動可能である。したがって、予圧粉体の圧縮時に、成形型が関わることによって変形を生じさせる負荷は中子にかからない。このため、圧縮時に中子が変形したり折損するといった不具合は起こらず、しかも、ニュートラルゾーンに中子を位置させることにそれほど厳密さを要求されず、よって成形を容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明は、好ましい態様として、上記「工程2」を行うにあたり、キャビティに対する中子のセット位置を一定に保持するジグを用いることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(1)第1の実施形態
図1は、本実施形態の成形方法で成形する圧粉体1を示している。この圧粉体1は、外径に比して軸方向が比較的長く、軸芯に全長にわたる孔(空所)1aを有する円筒状のパイプである。圧粉体1は、焼結工程を経て焼結体とされる。図2は、圧粉体1の元となる予圧粉体2を示し、図3(a)〜(d)は、成形装置により2つの予圧粉体2を圧縮して圧粉体1を成形する工程を示している。
【0015】
まず、成形装置を、この成形装置の正断面を示す図3および側断面を示す図4を参照して説明する。これら図で符合10はダイ(成形型)であり、このダイ10は、外部ダイ11と、外部ダイ11に上下からそれぞれ摺動自在に、かつ互いに当接可能に挿入される上下の内部ダイ12,13とを備えている。上下の内部ダイ12,13は上下対称の同形状とされ、互いの対向面には、幅方向(図3で左右方向)両端部に当接面を残して長手方向(図3で紙面表裏方向)に延びる断面半円弧状の溝14がそれぞれ形成されている。また、上下の内部ダイ12,13の幅方向中央には、溝14に通じて上下方向に延びる挿入孔15が貫通形成されている。上下の内部ダイ12,13が互いに当接して双方の溝14,14が合体することにより、圧粉体1を成形するためのキャビティ16が形成される。各挿入孔15,15には、上パンチ(押し型)17と下パンチ(押し型)18とがそれぞれ摺動自在に挿入される。符合19は、圧粉体1の孔1aを形成するためにキャビティ16内にセットされるコアロッド(中子)である。このコアロッド19は、孔1aを形成すべくその外径がその孔1aの径に対応しており、その軸方向長さは、図4に示すように、コアロッド19自身の軸方向がキャビティ16の長手方向と平行な状態でそのキャビティ16内に収容可能なように、キャビティ16の長さより僅かに短く設定されている。
次に、この成形装置により、圧粉体1を成形する工程を順を追って説明する。
【0016】
「工程1−予圧粉体の成形」
図示せぬ所定の成形型により、図2に示す予圧粉体2を2つ1組として成形する。この予圧粉体2は、圧粉体1を軸方向に縦に半割りした形状であって圧粉体1の孔1aを構成する断面半円弧状の溝2aを有している。2つの予圧粉体2の割面を互いに合わせると、圧粉体1の形状に相似する。予圧粉体2は、その密度比が60〜75%の範囲内になるように粉末が圧縮されて成形されてなり、ハンドリングが可能で、かつ後の本圧縮で互いに接合され得る密度を有している。なお、この場合の予圧粉体2の外周面には、余肉部2bが軸方向に延びる凸条として形成されている。この余肉部2bは周方向の中央に形成されており、前記挿入孔15に嵌合するようになっている。
【0017】
「工程2−成形装置への予圧粉体のセット」
工程1で得た2つの予圧粉体2を、成形装置にセットする。セットの仕方は、まず、図3(a)に示すように、外部ダイ11に下内部ダイ13を挿入してセット位置まで上昇させ、さらに、下パンチ18を、その上端が下内部ダイ13のキャビティ16(溝14)よりやや下に位置するまで上昇させる。そして、キャビティ16内に、一方の予圧粉体2を、その余肉部2bを挿入孔15に嵌合させることによりセットする。次いで、セットした予圧粉体2の溝2aにコアロッド19を嵌合し、もう一方の予圧粉体2の溝2aをコアロッド19に嵌合させることにより、2つの予圧粉体2,2をコアロッド19とともに組み合わせ、成形すべき圧粉体1に相似させる。予圧粉体2はハンドリングが可能であるから、上記のような成形装置へのセットを、手で持ちながら容易に行うことができる。
【0018】
「工程3−本圧縮」
図3(b)および図4(a)に示すように、下内部ダイ13および下パンチ18を圧縮位置まで下降させ、次いで、上内部ダイ12を下降させて下内部ダイ13に当接させる。これにより、上側の予圧粉体2は、その余肉部2bが上内部ダイ12の挿入孔15に嵌合して上内部ダイ12のキャビティ16(溝14)に嵌合する。次いで、図3(b)〜(c)および図4(a)〜(b)に示すように、上パンチ17を上内部ダイ12の挿入孔15に挿入し、上下のパンチ17,18により予圧粉体2,2を圧縮する。上下のパンチ17,18による圧縮方向は、コアロッド19に直交する。
予圧粉体2,2が圧縮されると、まず、各余肉部2bが筒状の本体側に流動し、それに追従して予圧粉体2,2どうしの境界面が相互に強く圧縮され、両者が接合されて圧粉体1が成形される。
【0019】
「工程4−取り出し」
図3(d)に示すように、上内部ダイ12および上パンチ17を上昇させて外部ダイ11から離し、次いで下内部ダイ13と下パンチ18を上昇させ、さらに下パンチ18を上昇させることにより、圧粉体1をコアロッド19とともに下内部ダイ13から抜き出す。この後、コアロッド19を圧粉体1から抜き出して圧粉体1を得る。圧粉体1においては、下内部ダイ13から抜き出された時点で圧縮による応力が解放されることによりスプリングバックが生じ、このため、コアロッド19を抜き出すことができる。
【0020】
上記第1の実施形態によれば、まずはじめに2つ1組の予圧粉体2,2を成形してから、これら予圧粉体2,2を成形装置のキャビティ16内にコアロッド19とともに組み合わせてセットし、本圧縮して最終的な圧粉体1を得る。ここで、たとえ予圧粉体2,2の状態で密度が不均一であっても、本圧縮の際にそれが是正されて密度の均一性が十分となり、品質の向上が図られる。また、予め予圧粉体2を多量に作ってストックしておき、必要に応じて本圧縮して圧粉体1を得るようにすれば、圧粉体1を成形するたびに粉末の調整や充填を行う手間が省け、生産性の向上が図られる。
【0021】
また、圧粉体1の孔1aを形成するコアロッド19は、ダイ10とは係合せず縁が切れており、予圧粉体2,2の圧縮時にはダイ10と関係なく圧縮方向に移動可能な状態でキャビティ16内にセットされる。したがって、予圧粉体2,2の圧縮時に、ダイ10が関わることによって変形を生じさせる負荷がコアロッド19にかからない。このため、予圧粉体2,2の圧縮時にコアロッド19が変形したり折損したりするといった不具合が起こらない。また、圧粉体1に相似して組み合わせられる予圧粉体2,2にコアロッド19を組み込むので、コアロッド19を自動的にニュートラルゾーンに配することが可能であり、したがって、コアロッド19を厳密にニュートラルゾーンに配する制御を必要としない。これらにより、成形を容易に行うことができる。
【0022】
なお、上記方法においては、上記成形装置に、図5に示す一対のジグ20とジグ支持ダイ21を組み込むことにより、コアロッド19をキャビティ16内に安定して保持することができる。ジグ20は矩形状の板材で、その片面の中心部に形成された穴にコアロッド19の端部が着脱可能に嵌合させられるようになっている。一方、ジグ支持ダイ21は外部ダイ11の内側に設けられ、その下方に配された図示せぬエアシリンダやスプリング等の緩衝支持装置により下方に向かって弾力的に移動可能に支持されている。ジグ20には上パンチ17が摺動自在に挿入され、ジグ支持ダイ21には下パンチ18が摺動自在に挿入されるようになっている。キャビティ16の長手方向(図5で左右方向)端面は、各ジグ20,20により形成される。
【0023】
この場合、まずジグ支持ダイ21を外部ダイ11と同じレベルに上昇させた状態で、上記「工程1」と同様に下側の予圧粉体2をセットしてから、コアロッド19の端部が嵌合された各ジグ20をジグ支持ダイ21の長手方向両端部に載置することによりコアロッド19をセットする。なお、予圧粉体2の長さは、コアロッド19がジグ20,20に嵌合する長さ分だけ上記実施形態よりも短く設定される。次に、上側の予圧粉体2をコアロッド19上にセットしてから、図5(a)に示すように、ジグ支持ダイ21とジグ20,20をともに下降させ、さらに、図5(b)に示すように上パンチ17を下降させて予圧粉体2,2を圧縮し、圧粉体1を成形する。この後、上パンチ17およびジグ支持ダイ21を上昇させることにより圧粉体1をコアロッド13および各ジグ20,20とともに下内部ダイ13から抜き出し、各ジグ20,20をコアロッド19から外し、さらにコアロッド19を圧粉体1から抜き出して圧粉体1を得る。
【0024】
このような手段を用いることにより、キャビティ16に対するコアロッド19のセット位置が、ジグ支持ダイ21に支持されるジグ20,20により一定に保持される。本圧縮時において圧縮力がコアロッド19、ジグ20,20を経てジグ支持ダイ21に伝わる場合があるが、そのときにはジグ支持ダイ21は前記緩衝支持装置により下方に向かって若干移動する。したがって、圧縮力の負荷がコアロッド19にかからず、コアロッド19が変形したり破損したりする不具合は起こらない。
【0025】
(2)第2の実施形態
次に、上記圧粉体1を成形する本発明の第2の実施形態を説明する。
図6(a)は、本実施形態の予圧粉体30を示している。この予圧粉体30は、上記第1の実施形態の予圧粉体2のように圧粉体1を軸方向に沿って縦に半割りした形態であることは同様であるが、その横断面形状が、外周部の周方向両端から中央に向かうにしたがってしだいに肉厚となり、図6(b)に示すように、断面半円弧状の溝30aを対向させて圧粉体1に相似するよう組み合わせると、楕円状となる。図6(b)で二点鎖線は成形後の圧粉体1の外周面を示し、この外周面と予圧粉体30自身の外周面との間の三日月状の肉部が、余肉部30bとして形成されている。この予圧粉体30は、もちろん上記第1の実施形態の予圧粉体2と同様に、ハンドリングが可能で、かつ圧縮時に隣接するものどうしが接合され得る密度を有している。
【0026】
この予圧粉体30を圧縮する成形装置は、図7に示すように、ダイ(成形型)40と、上下のパンチ(押し型)41,42と、上記コアロッド19とを備えている。ダイ40には、上下のパンチ41,42が摺動自在に挿入される挿入孔43がそれぞれ形成されている。上下のパンチ41,42の互いに対向する加圧面は、圧粉体1の外周面を形成すべく断面半円状の溝44をなし、これら溝44,44およびダイ40により、キャビティ45が形成される。なお、厳密には、図8に示すように、上下のパンチ41,42の各溝44の両側(図8で左右側)には、予圧粉体30の圧縮時に互いに衝突しないように、あるいは互いに衝突しても破損しにくいように、ある一定幅の逃げ面41a,42aがそれぞれ形成されている。
【0027】
次に、上記成形装置により予圧粉体30を圧縮して圧粉体1を成形する工程を、順を追って説明する。
「工程1−予圧粉体の成形」
図示せぬ所定の成形型により、2つ1組とされる上記予圧粉体30を、ハンドリングが可能で、かつ互いに接合が可能な密度を有するように成形する。
【0028】
「工程2−成形装置への予圧粉体のセット」
工程1で得た2つの予圧粉体30,30を、図7(a)に示すように成形装置にセットする。セットの仕方は、まず、ダイ40に下パンチ42を挿入してセット位置まで上昇させ、ダイ40と下パンチ42とにより形成されるキャビティ45内に、一方の予圧粉体30を、溝30aを上に向けた状態にしてセットする。次いで、セットした予圧粉体30の溝30aにコアロッド19を入れ、他方の予圧粉体30の溝30aをコアロッド19に合わせることにより、双方の予圧粉体30,30をコアロッド19とともに組み合わせ、成形すべき圧粉体1の形状に相似させる。
【0029】
「工程3−本圧縮」
図7(b)に示すように、下パンチ42を圧縮位置まで下降させ、次いで、上パンチ41を下降させて挿入孔43に挿入し、上下のパンチ41,42により予圧粉体30,30を圧縮する。上下のパンチ41,42による圧縮方向は、コアロッド19に直交する。予圧粉体30,30が圧縮されると、まず、各余肉部30bが筒状の本体側に流動し、それに追従して予圧粉体30,30どうしの境界面が相互に強く圧縮され、図7(c)に示すように両者が接合されて圧粉体1が成形される。
【0030】
「工程4−取り出し」
図7(d)に示すように、上パンチ41を上昇させ、次いで下パンチ42を上昇させることにより圧粉体1をコアロッド19とともにダイ40から抜き出す。この後、コアロッド19を圧粉体1から抜き出して圧粉体1を得る。
【0031】
得られた圧粉体1は、図8に示すように、上下のパンチ41,42に逃げ面41a,42aが形成されていることにより、これら逃げ面41a,42aに挟まれる部分に予圧粉体30,30の一部が流出して圧縮され、その部分が軸方向に延びる凸条1cとして形成される。これら凸条1c,1cは、圧粉体1を焼結し、その焼結体にサイジング等の仕上げ加工を施すことにより消滅させられる。
【0032】
上記第2の実施形態によれば、予圧粉体30,30を圧縮することおよび圧縮時においてコアロッド19を変形させる負荷がかからないことに基づく効果を、第1の実施形態と同様に得ることができる。これに加え、余肉部30bを圧粉体1の外周部に楕円状(予圧粉体単体では三日月状)に形成した形態をとっているので、その余肉部30bが圧粉体1としての肉部に流動しやすく、したがって、密度の均一化が促進され、特に肉厚の薄い場合にきわめて有効である。
【0033】
(3)予圧粉体の形状について
上記各実施形態における予圧粉体2,30は、いずれも成形すべき円筒状の圧粉体1を軸方向に沿って縦に半割りした形状であるが、例えば、図9に示す予圧粉体50を用いることもできる。この予圧粉体50は、圧粉体1を径方向に沿って輪切りにし、軸芯に孔50aを、また、外周面の等分2カ所に余肉部50bを有する形状である。この予圧粉体50は、軸方向に複数並べて圧縮されることにより、隣接するものどうしが接合されて圧粉体1に成形される。
なお、本発明における予圧粉体の形状は、成形する圧粉体の形状に基づき任意に設定される。
また、上記各実施形態は図1に示した圧粉体1を成形するものであったが、本発明はもちろんこれに限定されず、圧縮方向に交差する方向に延びる孔、凹部あるいは溝等の空所を有する部材であれば、いかなるものにも適用できる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数の予圧粉体を圧縮して接合させ最終的な圧粉体を成形するので、たとえ予圧粉体の状態で密度が不均一であっても、本圧縮の際にそれが是正されて密度の均一性が十分となり、品質の向上が図られる。また、予め予圧粉体を多量に作ってストックしておき、必要に応じて本圧縮して圧粉体を得るようにすれば、圧粉体を成形するたびに粉末の調整や充填を行う手間が省け、生産性の向上が図られる。さらに、粉末の圧縮時に中子は成形型と関係なく圧縮方向に移動可能であり、変形を生じさせる負荷が中子にかからないので、中子の変形もしくは折損といった不具合は起こらず、また、ニュートラルゾーンに中子を位置させることにそれほど厳密さを要求されず、よって成形を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2の実施形態により成形される圧粉体の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る予圧粉体の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る成形装置により圧粉体を成形する工程を順に示す正断面図である。
【図4】(a)は図3(b)の側断面図、(b)は図3(c)の側断面図ある。
【図5】本発明の第1の実施形態の別形態を示す側断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る予圧粉体の(a)斜視図、(b)正面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る成形装置により圧粉体を成形する工程を順に示す正断面図である。
【図8】図7(c)をより詳細に示す図である。
【図9】予圧粉体の別形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…圧粉体、1a…孔(空所)、2,30,50…予圧粉体、
10,40…ダイ(成形型)、16,45…キャビティ、
17,41…上パンチ(押し型)、18,42…下パンチ(押し型)、
19…コアロッド(中子)、20…ジグ。
Claims (4)
- 圧縮方向と交差する方向に延びる空所を有する圧粉体を成形する方法であって、
次の、「工程1」から「工程4」を具備することを特徴とする圧粉体の成形方法。
「工程1」中子に嵌合する溝を有し、かつ、外周に余肉部を有するとともに、組み合わせて成形することにより余肉部が流動して前記圧粉体の形状に相似する形状となる複数の予圧粉体を、ハンドリングが可能な密度に成形する。
「工程2」工程1で得た複数の前記予圧粉体を、前記圧粉体を成形し得る成形型のキャビティ内に、圧縮方向に移動可能に収容されるとともに、長さがキャビティ長さよりも短く設定された前記空所を形成する中子とともに、前記圧粉体の形状に相似するように組み合わせてセットする。
「工程3」前記キャビティ内にセットした複数の前記予圧粉体を、押し型で圧縮して前記余肉部を流動させつつ相互に接合し、前記圧粉体を成形する。
「工程4」前記圧粉体を前記中子とともに前記成形型から抜き出し、この後、中子を圧粉体から抜き出す。 - 上パンチおよび下パンチと、
圧粉体の空所を形成するための中子と、
外部ダイと、
この外部ダイの内側に設けられ、その下方に配された緩衝支持装置により下方に向かって弾力的に移動可能に支持されるとともに、前記下パンチが摺動自在に挿入されるジグ支持ダイと、
前記中子の端部が着脱自在に嵌合する状態で該中子を支持し、その状態で、前記ジグ支持ダイ上に載置されるとともに、前記上パンチが摺動自在に挿入される一対のジグと
を備えた成形装置を用い、
圧縮方向と交差する方向に延びる空所を有する圧粉体を成形する方法であって、次の「工程1」から「工程4」を具備することを特徴とする圧粉体の成形方法。
「工程1」前記中子に嵌合する溝を有し、かつ、外周に余肉部を有するとともに、組み合わせて成形することにより余肉部が流動して前記圧粉体の形状に相似する形状となる複数の予圧粉体を、ハンドリングが可能な密度に成形する。
「工程2」前記ジグ支持ダイを、前記外部ダイと同じレベルになるまで上昇させた状態で、形成されたキャビティ内に、前記「工程1」で得た下側に配置され得る予圧粉体を、前記溝を上方に向けた状態にセットしてから、前記中子が嵌合された一対のジグを、ジグ支持ダイ上にそれぞれ載置して中子をセットした後、「工程1」で得た上側に配置され得る予圧粉体を、溝を中子に対応させて該中子上にセットする。
「工程3」前記ジグ支持ダイと前記一対のジグをともに下降させ、さらに、前記上パンチを下降させて、前記キャビティ内にセットした複数の前記予圧粉体を上下のパンチで挟んで圧縮することにより、前記余肉部を流動させつつ相互に接合し、前記圧粉体を成形する。
「工程4」前記上パンチおよび前記ジグ支持ダイを上昇させることにより、前記圧粉体を前記中子および前記一対のジグとともに前記ダイから抜き出し、この後、前記一対のジグを中子から外し、さらに中子を圧粉体から抜き出す。 - 前記余肉部は、軸方向に延びる凸状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉体の成形方法。
- 前記余肉部は、横断面形状として外周部の周方向両端から中央に向かうにしたがって肉厚となる三日月状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉体の成形方法。
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