JP3552866B2 - ボタン形アルカリ電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はボタン形アルカリ電池の製造方法に関し、さらに詳しくは、ボタン形アルカリ電池の合成樹脂パッキングのシール剤塗布方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛を負極とするボタン形アルカリ電池には、用途に応じて二酸化マンガン、酸化銀、あるいは空気中の酸素をそれぞれ正極作用物質とする各種電池がある。これらの電池は、時計、補聴器、小型電子機器等に使用されている。
【0003】
これらのボタン形電池は、例えば図2や図3に示すような構造をしている。すなわち、図2はLR44型アルカリマンガン電池の断面図であって、図中、1は負極集電体、2はゲル状亜鉛負極、3はセパレータ、4は液保持材、5はパッキング、6は正極合剤、7は正極缶である。また、図3はPR44型空気電池の断面図であって、図中、11は負極集電体、12はゲル状亜鉛負極、13はセパレータ、14はパッキング、15は空気極、16は正極缶、17はテフロン膜、18は空気拡散紙である。
【0004】
上記したように、ボタン形電池の構造は、パッキング5、14が負極集電体と正極缶との間にあって電池を封口しているが、このパッキング(合成樹脂)と負極集電体との間、あるいは正極缶との間から内部の電解液が外部に漏液しやすい性質がある。この漏液をくい止めるため、パッキング、負極集電体あるいは正極缶に各種シール剤を塗布して、接着性や密着性を向上させている。
【0005】
シール剤の使用方法としては、電極組立て時にパッキングと他の部品の接触部分にディスペンサー等を使ってシール剤を塗布する方法や、予めパッキング全体に別工程でシール剤を塗布してから組立てを行う方法がある。
【0006】
このうち、電池組立て時にシール剤を塗布する方法は、個々の部品について管理しやすいが、工程が複雑になってしまう。また、部品1個づつに行うので効率が悪く、特にボタン形電池には直径4mm程度のごく小さな製品もあるので、組立て時にこの部品に塗布するのは簡単ではない。
【0007】
一方、予めパッキングにシール剤を塗布する方法は、製造方法は複雑にはならないが、次のような問題点がある。すなわち、この方法のシール剤塗布方法としては、シール剤溶液中に部品を浸し、取り出した後に乾燥させるディップ法が最も簡潔な方法としてあるが、この方法では一度に大量の部品を処理できるので効率的である反面、すべての部品に均一なシール剤塗布を行うことが難しいという問題がある。例えば、溶液に浸した時や乾燥時の部品の置き方や重なり方で、塗布量が左右され、乾燥前に液が垂れたり、部品の形状によっては液が溜まったりして、塗布不良の原因となる。また、乾燥後に部品同士が付着しあってしまうので、それを剥がす必要が生じ、工程が増えるばかりか部品が傷つく恐れもある。この様にして、大量の生産品の中には塗布不良品ができ、通常よりも漏液しやすい製品が発生してしまう恐れがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで市販されている電池の中で、少量とはいえ未だに水銀が使われているのは、ボタン形アルカリ電池だけである。ボタン形アルカリ電池では、亜鉛に水銀を添加しなければ亜鉛合金粉や負極集電体からの水素ガス発生が増大し、電池の膨れや漏液、貯蔵中の大幅な性能劣化等の問題が発生する。
【0009】
この問題を解決するため、従来様々な対策が考案されてきたが、その中で、負極集電体のゲル状負極と接触する表面部分を例えばインジウムやスズ等の亜鉛より水素過電圧の高い金属で被覆して、負極集電体からの水素ガスの発生を抑制することが提案されている。中でも、無電解法によるメッキは、負極集電体成形後にゲル状亜鉛と接触する銅面だけに選択的にメッキされるため、工程が簡潔でかつ効果が大きい。
【0010】
ところが無電解メッキは電気メッキに比較して表面状態が荒れやすく、そのため電解液が這い上がりやすくなる傾向があり、パッキングと負極集電体の間からアルカリ電解液が漏液しやすくなる。このような状態の中で、前述のようにパッキングへのシール剤塗布が不均一であれば、接着不良の部分から直ぐに漏液が始まり、一層問題が大きくなる。
本発明は上記状況に対処してなされたもので、ボタン形アルカリ電池において、耐漏液特性を向上することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためにボタン形アルカリ電池のパッキングに関して改良を加えたものであって、予めシール剤を塗布した合成樹脂パッキングを用いて組み立てを行うボタン形アルカリ電池の製造方法において、合成樹脂パッキングにシール剤を塗布する方法が、合成樹脂パッキングを回転流動させながらシール剤溶液を噴霧し、同時に乾燥空気を通気して合成樹脂パッキング表面にシール剤を乾燥固化させることからなることを特徴とする。
【0012】
多数のパッキングを回転流動させてシール剤溶液を噴霧するには、例えば回転するドラムを用い、その中にパッキングをいれて、流動しているパッキングにシール剤溶液をスプレーにより噴霧する等の方法がとられる。ドラム内には温度調整された空気を供給して塗布液を部品上で直ちに乾燥固化させる。
【0013】
この方法によれば、従来のディップ法に比べてスプレーされたシール剤が部品上で直ちに乾燥するので、液垂れや液溜まりが発生せず、少しづつ徐々に付着するので、塗布量が均一になる。また、部品同士の付着も生じない。また、塗布量の管理は塗布時間を調整することによって容易に行える。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に説明する。
(実施例)
シール剤としてポリアミド系樹脂を使用した。すなわち、ポリアミド系樹脂を溶剤(トルエン+イソプロピルアルコール)に溶解させて5%溶液を調製し、シール剤溶液とした。
【0015】
回転するドラム((株)パウレック製ドリアコーター)内で、図2に示すようなLR44型アルカリマンガン電池に使用するナイロンパッキングに上記のシール剤溶液を噴霧し、同時に乾燥空気を通気して、ナイロンパッキングに上記シール剤を乾燥固化させた。
【0016】
(比較例1)
次に、同じポリアミド系樹脂を、同じ溶剤に溶解させて、10%溶液を調製した。このシール剤溶液中に、LR44型アルカリマンガン電池用ナイロンパッキングを浸し、その後取り出して、熱風乾燥機で乾燥し、比較例の部品を作成した。乾燥後、部品同士が付着しあっているので、ほぐしが必要であった。
上記の実施例の部品および比較例の部品へのシール剤付着量の変化を調べるため、以下の実験を行った。
【0017】
実施例及び比較例の部品、各100個の重量を測定し、シール剤塗布前の部品の重量からシール剤の付着量を測定した。
表1及び図1にその結果を示す。図1において、(a)は実施例の結果を、(b)は比較例1の結果を表している。
【0018】
【表1】
【0019】
表1の分散値や図1から明らかなように、本発明の実施例は、比較例よりもシール剤の付着量のバラつきが少なく均一である。
次に上記実施例および比較例の各部品を用いてそれぞれ水銀無添加電池を下記に示すように作成した。
【0020】
パッキングとして、前述の実施例および比較例1によるナイロンパッキングをそれぞれ使用した。次に、ニッケル−ステンレス−銅の3層クラッド材を負極ケースを兼ねた負極集電体に成形し、その銅面に無電解法により、スズメッキを施した。上記の各ナイロンパッキングおよび負極集電体を用いて、図2に示すようなLR44型アルカリマンガン電池を作成した。なお、亜鉛負極は無汞化亜鉛合金粉、水酸化カリウム水溶液、ポリアクリル酸、さらにガス発生抑制のための添加剤としての酸化インジウム及びパーフルオロアルキルポリオキシエチレン系界面活性剤で構成したものを用いた。また、正極合剤は電解二酸化マンガン及び鱗状黒鉛を撹拌混合した後に成形して構成されるものを用いた。これらを実施例電池及び比較例1電池とした。
【0021】
(比較例2)
負極ケースを兼ねた負極集電体にスズメッキはせず、3%汞化亜鉛合金粉をゲル状亜鉛負極に使用して、他は比較例と同様にして、図2に示すようなLR44型アルカリマンガン電池を作成して、比較例2電池とした。
【0022】
以上のように作成した実施例及び比較例1,2の各試作電池を使用し、耐漏液試験を行った。試験方法は、各試作電池500個を45℃−93%RHの環境下で貯蔵し、40日目及び60日目の漏液発生数を調べた。
表2に耐漏液試験の結果を示す
【表2】
【0023】
実施例と比較例1の電池で比較すると、明らかに差があり、本発明による部品を使用した実施例の電池は、耐漏液特性に優れている。
また、比較例2の電池は、無電解スズメッキをキャップに施していないので、電解液のはい上がりは少なく、本来は漏液が発生しにくい仕様である。しかしながら、比較例1の部品を使用した場合は、シール剤付着量が不均一なので、表2のように少数の漏液が発生する。これは、貯蔵が進むほどに差が現れ、60日目では、比較例2でも漏液数が増加するが、実施例では漏液していない。
なお、本発明は上記実施例により限定されるものではない。
【0024】
本発明に直接影響を及ぼさない、亜鉛合金粉の組成等の要素については本発明の範囲を逸脱しない限り、変更して差支えない。
上記実施例ではボタン形アルカリマンガン電池について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ボタン形酸化銀電池、空気亜鉛電池等のゲル状亜鉛を負極とする各種ボタン形アルカリ電池に適用できる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ボタン形アルカリ電池の合成樹脂パッキングにシール剤を均一に塗布することができるので、耐漏液特性の優れたボタン形アルカリ電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例のシール剤塗布量の頻度グラフ、(b)は比較例1のシール剤塗布量の頻度グラフ。
【図2】本発明の実施例で作成したLR44型アルカリマンガン電池の断面図。
【図3】PR44型空気亜鉛電池の断面図。
【符号の説明】
1,11…負極集電体、2,12…ゲル状亜鉛負極、3,13…セパレータ、4…液保持材、5,14…パッキング、6…正極合剤、7,16…正極缶、15…空気極、17…テフロン膜、18…空気拡散紙。
Claims (2)
- 予めシール剤を塗布した合成樹脂パッキングを用いて組み立てを行うボタン形アルカリ電池の製造方法において、合成樹脂パッキングにシール剤を塗布する方法が、合成樹脂パッキングを回転流動させながらシール剤溶液を噴霧し、同時に乾燥空気を通気して合成樹脂パッキング表面にシール剤を乾燥固化させることからなることを特徴とするボタン形アルカリ電池の製造方法。
- 温度調整された空気が供給される回転ドラムの中で合成樹脂パッキングにシール剤溶液を噴霧する請求項1記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP02625997A JP3552866B2 (ja) | 1997-02-10 | 1997-02-10 | ボタン形アルカリ電池の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP02625997A JP3552866B2 (ja) | 1997-02-10 | 1997-02-10 | ボタン形アルカリ電池の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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1997
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