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JP3553041B2 - 耐滑靴底 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐滑靴底に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
滑りの現象は、一般に摩擦力に置き換えて数値化され、評価される。まさつは、静摩擦と動摩擦に大別され、履き物の滑りも同様である。
静摩擦とは、いうならば滑り始めであり、例えば、着地時の滑りにくさを評価する際に使われる。それに対し、動摩擦は、滑っているときのストップ性、止まりにくさを評価する際に使われ、静摩擦と動摩擦がセットになって本当の意味での耐滑性のある履き物といえる。
【0003】
履き物として使用される材料には、ゴム、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー、エチレンビニルアセテート(EVA)などがあげられるが、油などが存在して、特に耐滑性が要求される環境で使用されることが多い安全靴の底材料は、合成ゴム、ポリウレタン(PU)が主流である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ゴムの静摩擦と動摩擦をみてみると、一般的にゴムの摩擦計数は、静摩擦係数の方が動摩擦係数よりも大きい。つまり、ゴムは、滑り出しにくいが、滑り出すと、止まりにくいということである。従って、ゴム底の場合は、動摩擦係数をいかに大きくするかが耐滑性に優れた靴底を開発するポイントであった。
【0005】
そこで、従来は、配合で底の硬さを低くして、柔軟性を出し、それにより摩擦抵抗を上げたり、接地面の意匠パターンを、例えば、図10及び図11に示すように「ノコギリ意匠」にしたり、図12及び図13に示すように「打ち込み意匠」にするなど工夫したりしていたが、特に油があるような床面において静摩擦、動摩擦ともに満足するような耐滑性に優れた履き物はこれまでなかった。
【0006】
例えば、図15に示す二層底3では、ミッドソール4が柔らかくて、接地部(アウトソール)5が薄い場合は、接地部(アウトソール)5のブロック意匠6の取付部が変形をおこし、床面を捉え続けることができず、滑ってしまう。
【0007】
また、図10及び図11に示すような「ノコギリ意匠」パターンは、図16に示すように容易に変形してしまうので、ふんばりがきかず、床面37を滑ってしまう。さらに、図12及び図13に示すような意匠のトップにさらに凹凸模様の「打ち込み意匠」38を付けた意匠パターンの場合は床面37に水や油などの流体があると、図17に示すようにこれらの膜を切ることができず、床面37を捉え続けることができなくなってしまう。
本発明は、床面に水膜や油膜があっても、ブロック意匠が変形することなく、これらの膜を切り、床面をがっちり捉え続ける耐滑靴底を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、
(1) 靴底接地部(アウトソール)が、54〜62(JIS−A 20℃)の硬さを有するゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンからなり、最薄部の厚さが1mm以上4mm以下であり、靴底接地部(アウトソール)の接地面部の形状が、多角形、円形などの独立したブロック意匠であって、それらが集合して靴底全体のパターンを形成し、ブロック意匠パターンのトップには、凹凸模様がなく、フラット(平面)であり、該ブロック意匠が陥没しにくく、かつ、倒れにくいような強度を有するように、該接地部(アウトソール)と同等以上の硬さを有する中底又はミッドソールを有して構成されていることを特徴とし、
(2) (1)項記載の耐滑靴底において、ブロック意匠パターンは、意匠高さが1mm以上7mm以下で、意匠勾配が0度〜3度、意匠パターンの最小寸法が2mm〜8mmであることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
接地部(アウトソール)の材料は、ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンであり、その硬さが、54〜62(JIS−A 20℃)であり、最薄部の厚さが1mm以上4mm以下であり、中底又はミッドソールの硬さを接地部(アウトソール)の硬さと同等以上にする。なお、最薄部の厚さが1mm未満であると、中底やミッドソールを硬くしても、接地部(アウトソール)が図15に示すように波打つ状態になり、ふんばりがきかなくなって、転んでしまう。最薄部の厚さが4mmを超えると、重量が増加するだけでなく、屈曲性が低下する。
【0010】
耐滑靴底の接地部(アウトソール)に設ける意匠は、多角形、円形などのブロック意匠とし、その意匠高さ、意匠勾配、最小寸法(幅)が相互に関係し、かつ、ブロック意匠のトップは、フラット(平面)で、凹凸模様がない方がよい。ブロック意匠の高さは、1mmから7mmが必要である。1mm未満では、着用中に荷重が加わることによって、ブロック意匠が変形し、ブロック意匠のないフラットな靴底と変わりなく、引っ掛かりがなくなってしまうので、滑りやすくなる。また、7mmを超えると、ブロック意匠が高くなりすぎて、逆に不安定になってしまう。
【0011】
ブロック意匠の意匠勾配は、0度〜3度がよい。0度は、つまり直角であるが、引っ掛かりができて、ストップ性がよくなる。3度を超えると、ブロック意匠のエッジ部が寝てしまうので、引っ掛かりがなくなり、ストップ性が低下する。ブロック意匠に適度の剛性をもたせるために必要な勾配である。
【0012】
意匠パターンの最小寸法とは、例えば、円形のブロック意匠であれば、その直径、四角形であれば、相対する二辺の最短距離をいう。この最小寸法は、2mm以上8mm以下であることが必要である。2mm未満であると、図10及び図11に示す「ノコギリ意匠」と同様の現象になってしまう。8mmを超えると、床面との接触面積が大きくなりすぎ、無意匠と同じようになってしまう。なお、意匠パターンは、床面全面でも、踏み付け中央部、踵部など部分的でもよい。靴底には、縦、横に湾曲したカーブがあるので、静置した状態で床面と接触する部分さえ確保すれば、靴底全面でなくても同様の効果が得られる。
【0013】
耐滑靴底の構造において、接地面のブロック意匠そのものは、しなやかで、かつ、床面を捉えたまま放さない構造である方がよい。ブロック意匠に垂直方向から力がかかった場合、ブロック意匠が陥没せずに反発し、力を床面に伝える必要がある。また、ブロック意匠に横方向から力がかかった場合、ブロック意匠が変形しないで、滑り出しても、床面を捉え続ける必要がある。そのためには、接地部の硬さと最薄部の厚さ、その上部にある中底又はミッドソールの硬さとは重要なファクターとなる。
【0014】
上記発明の実施の形態に係る耐滑靴底では、床面に水や油などの流体があっても、ブロック意匠が変形することなく、これらの膜を切り、床面をがっちりと捉え続けることができる。
【0015】
【実施例】
以下図1乃至図8にもとづいて本発明の実施例を説明すると、図1において7は耐滑靴底で、これは、54〜62(JIS−A 20℃)の硬さを有するゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンにより、図3乃至図5に示した最薄部8の厚さが1mm以上4mm以下で、靴底面の不踏部9を除いた接地部には、小型長方形のブロック意匠10を図1に示すように交互に逆向きの斜線に沿って配列したブロック意匠パターン11を有するように成形されてなる。
【0016】
耐滑靴底7は図3又は図4に示すように中底12A又はミッドソール13と接地部(アウトソール)12の二層底として成形したりする。接地部(アウトソール)12の材料が、ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンで、54〜62(JIS−A20℃)であり、最薄部の厚さが上述のように1mm以上4mm以下である場合は、接地部(アウトソール)12の上部にある中底12A又はミッドソール13の硬さを接地部(アウトソール)12の硬さと同等以上の硬さにする。
【0017】
ブロック意匠パターン11は、図5に示した意匠高さが1mm以上7mm以下、図5に示した意匠勾配15が0度〜3度、図4及び図6に示した最小寸法が2mm〜8mmであり、トップには、凹凸模様がなく、フラットである。
【0018】
図2において17は耐滑靴底で、これは、上記耐滑靴底7の材料と同じ材料により、図3乃至図5に示した最薄部8の厚さが1mm以上4mm以下で、靴底面のうち、爪先部18と踵後端部19には、小型正方形のブロック意匠20が等間隔をおいて一列に並んだブロック意匠列21を複数列設け、爪先部18と不踏部22の間の部分には、中央部に「へ」の字型に折曲した8個のブロック意匠23を等間隔をおいて設け、ブロック意匠23の両側において、それらの各間隔へ喰い込む三角形であって、トップに1本の溝26を有する4個ずつのブロック意匠27、27を設け、ブロック意匠27、27に接近した位置及び爪先部18側と不踏部22側のブロック意匠24、24の間隔へ喰い込む位置から耐滑靴底17の側縁に至る角形であって、トップに1本の溝28を有する7個ずつのブロック意匠29、29(不踏部22側のブロック意匠29、29のトップには、別の溝30、30が追加されている。)を設け、踵後端部19と不踏部22の間の部分には、中央部に窪み31を設け、窪み31の両側から耐滑靴底17の側縁に至る角形であって、トップに1本の溝32を有する3個ずつのブロック意匠33、33を設けてなるブロック意匠パターン34を有するように成形されてなる。
【0019】
ブロック意匠パターン34のうち、溝24、26、28、30、32を有する二段意匠の場合の意匠高さ35と最小寸法36は、図7及び図8に示す通りであり、同パターン34は、図3乃至図5に示した意匠高さ14及び図5に示した意匠勾配15と同様に示した意匠勾配が0度〜3度、図3、図4及び図6に示した最小寸法16及び図8に示した最小寸法36が2mm〜8mmであり、トップには、凹凸模様がなく、フラットである。
【0020】
上記各実施例に係る耐滑靴底では、床面に水や油などの流体があっても、図9に示すようにブロック意匠10や、ブロック意匠20、23、25、27、29、33が変形することなく、これらの膜を切り、床面39を捉え続けることができる。
【0021】
図1に示した耐滑靴底であって、ミッドソールと接地部かからなる二層底について、安全靴技術指針(労働省産業安全研究所1991年3月)の耐滑性試験方法により動摩擦係数の計測をしたところ、次のような実験結果が得られた。
Figure 0003553041
Figure 0003553041
計測した動摩擦係数と体感値(傾斜床で体滑性を体感によって評価)とから、動摩擦係数が0.36以上であると、安定感があり、動摩擦係数が0.36みまんであると、色々な流体を想定した場合、重心の位置によって不安定になることがわっかた。
【0022】
以上の実験結果により、接地部の上部を接地部(アウトソール)よりも硬いものでおさえた場合は、最薄部の厚さは1mm以上あればよい。しかし、実用上4mmを超えると、重量が増加するだけでなく、屈曲性が低下するので、4mm以下にした方がよい。また、接地部の硬さは54〜62(JIS−A 20℃)が優れた耐滑性を示す。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、叙上のように構成したから、次のような効果を奏する。
(1)請求項1記載の発明では、接地部(アウトソール)のブロック意匠取付部が変形をおこさず、水や油などの流体がある床面において、これらの膜を切ることができて、床面をがっちりと捉え続けることができ、滑りを防止できる。
(2)請求項2記載の発明では、ブロック意匠が変形することがなく安定し、床面に対して引っ掛かりができて、ストップ性がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐滑靴底のブロック意匠パターンの一例を示す図である。
【図2】同耐滑靴底のブロック意匠パターンの別の例を示す図である。
【図3】同耐滑靴底を中底と接地部(アウトソール)とからなる二層に成形する場合の一部断面図である。
【図4】同耐滑靴底をミッドソールと接地部(アウトソール)とからなる二層に成形する場合の一部断面図である。
【図5】中底及びミッドソールを省き、同耐滑靴底のブロック意匠パターンにおける最薄部、意匠高さ、意匠勾配の関係を説明する図である。
【図6】上記ブロック意匠パターンにおける最小寸法を説明する図である。
【図7】上記ブロック意匠パターンにおける二段意匠の意匠高さを説明する図である。
【図8】上記二段意匠における最小寸法を説明する図である。
【図9】本発明に係る中底及びミッドソールを省いた耐滑靴底のブロック意匠が変形することなく油膜を切り床面をがっちり捉え続ける状態を示す図である。
【図10】従来の耐滑靴底におけるノコギリ意匠の断面図である。
【図11】図10の平面図である。
【図12】従来の耐滑靴底における打ち込み意匠の断面図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】従来の耐滑靴底であって接地部(アウトソール)が柔らかい場合にブロック意匠が変形する状態を示す図である。
【図15】従来の耐滑靴底であってミッドソールが柔らかくて接地部(アウトソール)が薄い場合にブロック意匠の取付部が変形する状態を示す図である。
【図16】上記ノコギリ意匠が床面を滑ってしまう状態を示す図である。
【図17】上記打ち込み意匠が床面の油膜を切れず床面を捉えられずに滑ってしまう状態を示す図である。
【符号の説明】
7 耐滑靴底
8 最薄部
9 不踏部
10 ブロック意匠
11 意匠パターン
12 接地部(アウトソール)
12A 中底
13 ミッドソール
14 意匠高さ
15 意匠勾配
16 最小寸法
17 耐滑靴底
18 耐滑靴底
19 踵後端部
20 ブロック意匠
21 ブロック意匠列
22 不踏部
23 ブロック意匠
24 溝
25、25 ブロック意匠
26 溝
27、27 ブロック意匠
28 溝
29、29 ブロック意匠
30、30 溝
31 窪み
32 溝
33、33 ブロック意匠
34 意匠パターン
35 意匠高さ
36 最小寸法
39 床面

Claims (2)

  1. 靴底接地部(アウトソール)が、54〜62(JIS−A20℃)の硬さを有するゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンからなり、最薄部の厚さが1mm以上4mm以下であり、靴底接地部(アウトソール)の接地部面の形状が、多角形、円形などの独立したブロック意匠であって、それらが集合して靴底全体のパターンを形成し、ブロック意匠パターンのトップには、凹凸模様がなく、フラット(平面)であり、該ブロック意匠が陥没しにくく、かつ、倒れにくいような強度を有するように、該接地部(アウトソール)と同等以上の硬さを有する中底又はミッドソールを有して構成されていることを特徴とする耐滑靴底。
  2. ブロック意匠パターンは、意匠高さが1mm以上7mm以下で、意匠勾配が0度〜3度、意匠パターンの最小寸法が2mm〜8mmである請求項1記載の耐滑靴底。
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