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JP3553769B2 - エアバッグ用ガス発生器 - Google Patents
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JP3553769B2 - エアバッグ用ガス発生器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の衝突事故等による衝撃から自動車の運転者及び乗員の安全を確保するためのエアバッグ安全装置に用いられるガス発生器であって、特にバッグの損傷防止効果に優れ、且つ小型化及び低コスト化を同時に実現できるガス発生器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のエアバッグ用ガス発生器(以下,単に「ガス発生器」という)としては、例えば実開平6−39631号公報に開示のものが知られている。即ち、図7に示す様に、ガス発生器210は、内側円筒壁214と外側円筒壁213と内外円筒壁214,213間及び内側円筒壁214内に延在する上蓋240とを有する上容器211と、内側円筒壁243と外側円筒壁242と少なくとも内外円筒壁243,242間に延在する下蓋244とを有する下容器212とを、内側円筒壁214,243の先端同士及び外側円筒壁213,242の先端同士の2ケ所246,247を突き合わせて摩擦溶接することにより、そのハウジング構造が形成されている。そして、内側円筒壁214,243と外側円筒壁213,242との間に両端に蓋240,244を有する環状空間249を区画し、内側円筒壁214,243内に少なくとも一端に蓋240を有する中央空間250を区画し、環状空間249には、ガス発生剤236、冷却部材237A,237B及びフィルター部材238を収納し、前記中央空間250に、点火手段235を収納したものである。
【0003】
そして、衝突信号が検知されて、ガス発生器210が作動すると、先ず点火手段235の着火ピン260が雷管233を打撃し、その衝撃で雷管233が爆発して伝火剤234に点火する。伝火剤234で発生した高温の火炎は、ガス孔220C,214Bを経て、環状空間249内に噴出し、この火炎によりガス発生剤236が着火され、窒素ガスを主成分とする高温高圧のエアバッグ展開ガスを発生させる。高温高圧のガスは、孔252Aを経て冷却部材237A,237Bを経て冷却され、フィルタ238でガス中の固形分が濾過され、ガス放出孔213Aからエアバッグ内に放出され、エアバッグを展開させる様になっている。
【0004】
図示の様なガス発生器は、それ以前の3室構造ハウジング(先端同士の突き合わせ摩擦溶接箇所が3か所ある構造のハウジング)の欠点を解消し、摩擦溶接部位を2か所にして、環状空間249にガス発生剤236,冷却部材237A,237B,フィルタ部材238をまとめて収納する構成にしているため、内部空間の利用効率が上がり、ガス発生器の小型化を可能とし得る点で有効と言える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のガス発生器においても、ガス発生剤の種類や燃焼条件によっては、ガス放出孔213Aを通過するガスの温度がかなり高く、しかもスラグがかなりの割合で残存する場合もあり得る事が分かってきた。この様なガスがエアバッグ内に放出されると、高温のスラグによりエアバッグが溶損する等の、エアバッグに損傷を与える虞れがあるため、安全性に対する信頼度を高めるためにも、その改善が要望されている。この改善策として先ず考えられる事は、冷却部材及びフィルタ部材の装填量を増やす事であるが、この方策ではガス発生器が大型化し、又、コスト高となるため採用は困難である。そこで、ガス発生器が大型化せず、しかもコスト高とならずに、出来れば、より小型化,低コスト化となる方向で、高温の残存スラグを含むガスを、何等かの手段でエアバッグに悪影響を及ぼさない性状にまで変えられる様な技術の開発が要望されている。
【0006】
そこで、この問題を解決する方策として特開平2−164640号公報に開示されているものがある。この方式は、「ガス発生器に設けられた取付部材及び
その周辺の詳細を示す断面図」である図6に示す様に、ガス発生器のハウジング107eに形成されたガス放出口107aの対向位置に、フランジ107cに連続する縦壁部107bを設け、ガス放出口107aから噴出する高温ガスを、先ず前記縦壁部107dに衝突させる事によって、高温ガスが直接エアバッグ108に噴射するのを防止する様にしたものである。ところが、この構造では、エアバッグモジュールの組立時に、ガス発生器107、特にその縦壁部107dをエアバッグ108内に予め挿入しておくこと自体が極めて煩雑な作業である上、8ケ所の取付孔112でのボルト及びナットの締結作業も縦壁部107bの存在により、非常に困難なものとなり、生産性の低下からエアバッグモジュールのコストアップをもたらす問題点があった。
【0007】
本発明者等は、これらの問題に鑑み、特にガス発生器のハウジング構造の面から鋭意検討を続けた結果、本発明を完成したものであって、本発明の目的とするところは、ガス放出口からの高温の残留スラグを有するガスの噴出を許容しながらも、エアバッグには実質的な損傷を及ぼす事がなく、しかも、その不十分な処理状態でのガスの噴出を許容する事により、冷却部材やフィルタ部材の装填量の減少を可能とし、より小型化され且つ低コストのガス発生器を提供する事を第一の目的とし、更に、エアバッグモジュールの組立作業性の良好なハウジング構造を提供する事を第二の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、
上蓋(1a)と、該上蓋(1a)の外周縁部から垂下する外周円筒壁部(1b)と、該円筒壁部(1b)に配設される複数のガス放出口(8,8’)と、を有する上容器(1)と、
該上容器(1)の前記外周円筒壁部(1b)の下端と接合される下蓋(2a)と、該下蓋(2a)から前記接合された上容器(1)の外周円筒壁部(1b)を周りから囲む様に立ち上がるフランジ筒部(2b)と、該フランジ筒部(2b)に続いて水平に折れてその上面にエアバッグの開口端部(19a)が取り付けられるサイドフランジ(2c)と、を有する下容器(2)と、
前記上容器(1)と前記下容器(2)とが接合されて形成されるハウジング(3)と、
該ハウジング(3)内の中央部に配置された点火器(4)と、その周囲に配置されたガス発生剤(6,11)及び冷却・フィルタ部材(7)と、
を有するエアバッグ用ガス発生器であって、
前記上容器(1)に形成されたガス放出口(8,8’)の一部又は半数以上或いは全部の中心線(8a)が、前記サイドフランジ(2c)の上端面(2d)より下蓋(2a)側に位置する様に設定されてなる事を特徴とするものである。
【0009】
係る構成を採用する事により、ガス放出口から放出された高温のスラグを含有したガスは、下容器のフランジ筒部に衝突する事により含有スラグを該フランジ筒部に付着させ且つ冷却されて、清浄なガスとなって上方のエアバッグ内に流入する様になるので、エアバッグが高温の残留スラグによって損傷を受ける事が防止される。
【0010】
又、前記上容器及び下容器の材質をアルミ合金とし、且つ両容器を摩擦圧接法によって接合する事により、ガス発生器の軽量化と共に摩擦圧接による接合作業の容易性による組立コストの低減並びに接合強度の向上によるガス発生器の安全性向上を図る事も可能である。
【0011】
又、前記上容器及び下容器の材質をアルミ合金又はステンレスとなし、且つ両容器を融接して接合する事も可能である。これは、上容器と下容器との接合部は一ケ所のみとなる1室構造の本発明のガス発生器においては、アルミ合金製或いはステンレス製の上下容器を、汎用の融接機器を使用して溶接しても十分な接合強度を確保する事ができる事による。これにより、既存の溶接機器がそのまま使用でき、設備コストの低減のみならず、容易な接合作業でハウジングの接合を行う事が可能となる。
【0012】
又、前記上容器の前記外周円筒壁部の周方向の上下に、均一に2列のガス放出口が形成されており、下側のガス放出口の全ての中心線が、前記下容器のサイドフランジの上端面より下蓋側に位置するようにしてもよい
又、前記上容器の前記外周円筒壁部の周方向に均一に前記ガス放出口が形成されており、ガス放出口の全部の中心線が、前記サイドフランジの上端面より下蓋側に位置し、且つ前記点火器の外周側をリング状の仕切板によって上下部に分割し、上部にはガス発生剤が、下部には冷却・フィルタ部材が、夫々配置される様になす事もできる。これにより、ガス発生剤の形状がペレット形状のみならず、ディスク形状のものに対しても本発明の適用を可能としている。
【0013】
又、フランジ筒部の内面に、上下容器を構成するアルミ合金よりも高融点を有する金属製のリング部材(20)を設置する事も可能であり、これにより、フランジ筒部の内壁面の溶融防止と共に溶融アルミの飛散を防止してガス発生器の安全性を更に向上させる事が可能となる。
【0014】
更に、リング部材をL字状の断面を有するプレス成形品(21)となす事も可能であり、これにより、フランジ筒部に衝突した高温ガスによる上下容器の圧接バリの溶融飛散を防止して、ガス発生器の安全性を一層向上させる事が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1〜図5は、1室構造の本発明に係るガス発生器の一実施形態を示す概略説明図である。先ず、図1において、ガス発生器のハウジング3は、上容器1が下容器2に接合され、内部に単一空間Sを有する1室型の構造とされている。上容器1は、上蓋1aと該上蓋1aの外周縁部から垂下する外周円筒壁部1bとから構成されるアルミ合金製の成形体であり、外周円筒壁部1bの下側周囲には、複数のガス放出口8が形成されている。又、該外周円筒壁部1bの内壁面には、ガス放出口8を覆う金属箔9が貼着され、後述するガス発生剤6を外気から遮断すると共にガス発生剤の燃焼時の圧力調整を行う様にされている。一方、下容器2は、下蓋2aと、該下蓋2aから前記外周円筒壁部1bの外径側を上方向に立ち上がるフランジ筒部2bと、更にそれに続いて水平に折れるサイドフランジ2cとから構成されるアルミ合金製の成形体である。サイドフランジ2cには、図示されていないエアバッグモジュールのリテーナ17に取付けるための締結用孔18が周方向に複数穿設されている。
【0016】
ハウジング3は、上容器1の外周円筒壁部1bの下端周面が、下蓋2aの内底面周縁部に摩擦圧接されて形成されている。ハウジング3内の下蓋2aの中央部には、点火器4がOリング等のシール部材5を介して装着固定され、その周囲には、ガス発生剤6が装填され、更にその周囲には、冷却・フィルタ部材7が装入されている。
【0017】
尚、冷却・フィルタ部材7と外周円筒壁部1bの内壁面との間には、若干の空間12が形成される様に構成することが好ましい。これは、冷却・フィルタ部材7を通過すたガスを一旦均圧化する事により、ガス放出口8に向かって冷却・フィルタ部材7を局部的にガスが流通するのを防止し、冷却・フィルタ部材7のガス有効通過率を出来るだけ高めるためである。
【0018】
更に、ガス放出口8の中心線8aの位置は、サイドフランジ2cの端面(図では上面)2dより全て下蓋2a側に位置する様に設定されている。これにより、後述する様に、ガス放出口8から放出される高温ガス中に残留するスラグの除去とガスの冷却とを行う様にしている。
【0019】
次に、ガス発生器の作動を図1により説明する。車両が重大な衝突事故に遭遇すると、その衝突信号を受けて点火器4に通電点火され、続いてガス発生剤6を着火し、ガス発生剤の燃焼が開始される。ガス発生剤6の燃焼により発生したガスによってハイジング3内の内圧が所定の圧力に達すると、ガス放出口8の内面に貼着されている金属箔9が破裂して、多量のスラグを含む高温高圧のガスが、冷却・フィルタ部材7を通過して、外部に放出される。ここで、前記スラグを含む高温高圧のガスは、前記冷却・フィルタ部材7を通過する間に冷却され、同時に含有スラグの相当量が除去されてガス放出口8から放出される。しかし、ガス放出口8を通過した時点のガスは、依然として高温で且つかなりのスラグが残存している状態にある。つまり、この状態のガスがエアバッグ19内に直接放出されたならば、残留する高温スラグによって、エアバッグ19を損傷するおそれがある。
【0020】
そこで、図1に示すガス発生器では、前記ガス放出口8の中心線8aの位置がサイドフランジ2cの端面(図では上面)2dより全て下蓋2a側に位置する様に設定されている。これにより、ハウジング内で発生したガスは、その全量がガス放出口8から噴出した後、一旦フランジ筒部2bの内壁面に衝突し、その後、方向を変えて上昇し、サイドフランジの端面を過ぎてバッグ内に放出される様になる。この間に、冷却・フィルタ部材7で除去されず、ガス中に残存するスラグは、前記フランジ筒部2bとの衝突時に、その大部分がいわゆる慣性捕捉によって除去されると共に、フランジ筒部2bとの熱交換によりガスの温度は下げられる。この結果、適温となり且つ残留スラグも殆ど除去された清浄なガスがエアバッグ19内に放出されることになり、従来問題とされていた高温の残留スラグによるエアバッグの溶損等の問題は解消される事になる。
【0021】
尚、上記スラグ除去の観点からは、ガス放出口8の中心線8aが、サイドフランジ部2cよりも余り下側に位置し過ぎない様にすべきである。好ましくは本例の様にガス放出口8の上縁がサイドフランジ2cの端面2dに略一致するか、僅かに下側に位置する様に構成するのがよい。即ち、中心線8aが下側に位置し過ぎると、換言すると、ガス放出口8が下側に位置し過ぎる場合には、フランジ筒部2bに衝突した後、上向きに方向を変えて上昇するガスの上昇流が強くなり、高温ガスが集中的に吹き付けられるエアバッグ19の中央付近を円環状に損傷し易くなるという問題を生じ易くなると共に、上容器1と下容器2との摩擦圧接に発生するバリを溶融して飛散させ、エアバッグ19を損傷する新たな問題を引き起こす可能性が生じるからである。
【0022】
即ち、図1の例の様に、ガス放出口8の上縁がサイドフランジ2cの端面2dに略一致するか、僅かに下側に位置する様に構成すれば、ガス放出口8から噴出してフランジ筒部2bに衝突したガスは、反転して垂直上向方向のガス流に規制される前にサイドフランジ2cの端面2dを過ぎるため、相当量のガスがエアバッグ19内に放射状に噴出する事になる。このため、エアバッグ19に損傷を与える虞れがなくなるだけでなく、バッグ19を円滑に膨張できる事にもなる。
【0023】
次に、複数のガス放出口8を外周円筒壁部1bに配設した本発明の他の方式について説明する。図2はその例を示すもので、ガス放出口は外周円筒壁部1bの上下に分散して配設されている。この場合には、図1のガス発生器の場合に比べて、エアバッグ19に対する噴出ガスが有する上向きの展開エネルギーは多少低下するが、上側のガス放出口8’から噴出するガスのエアバッグ19に対する横又は斜め向きの展開エネルギーが新たに付加されるため、トータルとしての展開エネルギーは略同一となる上、展開エネルギーの作用する方向がエアバッグ19に対して、よりスムースに展開し易い方向となる効果がある。
【0024】
一方、本例の様に、ガス放出口を上下に分散して配設したハウジング構造のガス発生器では、下側のガス放出口8についてだけ、その中心線がサイドフランジ2cの上端面2dより下側に位置する様に設定すればよい。この場合、下側のガス放出口8から噴出するガス量は減少するので、フランジ筒部2bに作用する熱負荷も抑制できる効果がある。尚、ガス放出口8の分散配置により、外周円筒壁部1bの上側のガス放出口8’からもスラグ含有高温ガスが噴出するが、分散配置により噴出の勢いも分散されるため、バッグへの熱的影響を十分許容範囲内に抑える事が可能となる。ガス放出口の上下の分散配置は、ガス発生剤の種類或いは燃焼条件等を考慮して適宜決定すればよいが、下側のガス放出口8から噴出するガス量が、全体の50%以上となる様に構成するのが好ましい。
【0025】
次に、本発明で使用するハウジング構造の他の例について説明する。図1に示したハウジング3の変形例として、同図(b)の様にサイドフランジ2cの内径側縁部に突起13を取り付けたものがある。この場合には、サイドフランジ2cにナット15付リテーナリング14及びボルト16でエアバッグ19を固定する様にしており、エアバッグ19の基部19aを、前記突起13によって熱風から保護する様にしている。
【0026】
又、ハウジングの他の変形例として、図3(a)に示す様に、フランジ筒部2bの内側に、上下容器1,2を構成するアルミ合金よりも耐熱性の高いステンレス(SUS)製リング部材20を配置し、ガス放出口8を通過した高温噴出ガス流が、フランジ筒部2bの内表面を直接衝突しない様にする構成も有効である。ガス発生剤の種類や燃焼条件等によっては、高温噴出ガス流がフランジ筒部2bに直接衝突する事により、アルミ合金製のフランジ筒部2bが溶融し、粒子の比較的大きな溶融金属粒子がガス流に混じって飛散し、エアバッグ19を損傷する事態の発生も予想される。特に、含窒素有機化合物を燃料とする非アジ化系燃料を用いるガス発生剤の場合には、燃焼温度がアジ化系化合物を燃料とする従来のガス発生剤に比べて、この傾向は顕著である。従って、リング部材20の配置により、上記構造のアルミ合金製ハウジングを用いても、係る事態の発生を未然に回避し、同時にエアバッグ19の損傷防止効果を高める事が可能となる。
【0027】
更に、ハウジングの他の変形例として、図3(b)に示す様に、L字状の断面を有するプレス成形品からなるSUS製のリング部材21を採用し、該リング部材の立壁21aは、フランジ筒部2bの内面に沿わせると共に、その底部21bの内径側先端部は、上下容器1,2の摩擦圧接の際に発生する圧接バリ1dを覆う様に当接配置する構成も有効である。上述の図3(a)に示した様に、フランジ筒部2bの内面に、SUS製のリング部材20を配置しておけば、該フランジ筒部2bは十分に保護される訳であるが、リング部材20に衝突した後の反転ガス流の乱れや勢いの程度によっては、前記圧接バリ1dが溶融して吹き飛ばされ、比較的大きな金属粒子(圧接バリ1dのかけら及びその溶融物)が噴出ガス流に混じって飛散し、エアバッグ19を損傷する虞れも予想される。しかしながら上記の如く、反転ガス流が圧接バリ1dに当たらない様に遮断する構成となす事により、係る事態の発生を未然に回避し、エアバッグ19の損傷防止効果をより万全なものとなす事が可能となる。この場合も、特に非アジ化系のガス発生剤を用いる場合に有効である。
【0028】
次に、図4は、本発明の他の実施形態を示すものであり、上容器1及び下容器2が共にSUS製であり、且つ上容器1の外周円筒壁部1bの下端で外側に折れて形成されたフランジ部1cが、下容器2の下蓋2aの内底面縁部に融接接合されている点に特徴があり、これ以外の基本的構成は図1例と同様である。尚、図4においては、上記融接は下蓋2aの下方から行われているが、融接の具体的な手段としては、レーザ溶接,電子ビーム溶接等を始め、通常の各種の溶接法が採用可能である。従って、図4のガス発生器では、図1に示したガス発生器で得られるエアバッグの損傷防止効果の他にも、既設の汎用溶接機を使用しながら、アルミ合金製に比べて溶接作業がし易く、十分な接合強度が得られる利点がある。又、1室構造であるため、重量の増加はそれほど問題とならず、更に上容器1及び下容器2のプレス成形を夫々1工程で行えるという利点がある。
【0029】
次に、図5は、本発明の他の実施形態を示すものであり、図1から図4に示す実施形態の内、点火器4の外周側に収納されるガス発生剤6と冷却・フィルタ部材7を、リング状の仕切板10によって上下に配置した点に特徴があり、前記仕切板10の上側にはディスク状のガス発生剤11を、下側には冷却・フィルタ部材7を配置したものである。これ以外の基本的構成は図1〜図4のものと基本的に同様であるので詳細説明は省略する。これにより、本発明を、ペレット状のガス発生剤6のみならず、ディスク状のガス発生剤11にも適用可能となり、汎用性を高める効果がある。
【0030】
尚、図1〜図5のいずれの形態のガス発生器においても、ガス発生器のモジュールへの取付作業が簡単に行えるハウジング構造を有している。即ち、ガス発生器の組立時には、例えば図1(b)において、リテーナ17に下容器2のサイドフランジ2cを係止させた後、予めエアバッグ19内にナット15付きのリテーナリング14を挿入して開口側端部19aにセットしたものをサイドフランジ2cの上面に合わせ置き、リテーナ17の下側から各ボルト16を夫々対応するナット15に取り付けて締結すればよい。
【0031】
この場合、組立時にエアバッグ19内に予め挿入しておくのは、ナット15付きのリテーナリング14だけであるため、挿入そのものが簡単な上、このリテーナリング14とサイドフランジ2c間にバッグ下側開口端部19aを挟持した状態でのボルト16,ナット15による締結も簡単に行う事ができる。従って、本発明のガス発生器によれば、エアバッグを含むモジュールの組立作業が簡単になり、効率良く行う事が可能となる。この結果、エアバッグモジュールの生産性が高まり、エアバッグモジュールのコスト低減を可能とする。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明においては、上容器の外周円筒壁部1bに形成された複数のガス放出口8,8’の内、一部或いは全部の中心線が、下容器2の外周端から立ち上がったフランジ筒部2bのサイドフランジ2cの上端面より下蓋側に位置する様に構成しているので、これにより、ガス放出口から噴出するスラグを含む高温ガスは、先ず、フランジ筒部2bの内壁面に衝突するので、衝突時にガス中に残存するスラグの大部分が所謂慣性捕捉によって除去されると共に、冷却される事になる。この結果、比較的降温され、スラグも殆ど除去された清浄なガスとなってエアバッグ内に放出される事になるので、エアバッグが、残留する高温スラグによって溶損等の損傷を受ける事が回避される事になる。
【0033】
特に、外周円筒壁部の上下にガス放出口を分散して配設したハウジング構造のガス発生器では、下側のガス放出口から噴出するガス量を低減できるので、フランジ筒部に作用する熱負荷も軽減されるので、燃焼温度が高い含窒素有機化合物を燃料とする非アジ化系ガス発生剤の適用も容易となる。尚、ガス放出口の分散配置により、外周円筒壁部の上側のガス放出口からもスラグ含有高温ガスが噴出されるが、分散配置によりガスの噴出の勢いも分散されるため、エアバッグへの熱的影響を十分許容範囲内に抑える事が可能となる。加えて本形態のガス発生器であれば、バッグの上向きの展開エネルギーが多少低下しても、エアバッグの横又は斜め向きの展開エネルギーの付加により、トータルとしての展開エネルギーは十分得られる上、展開エネルギーの作用する方向がエアバッグに対して、よりスムースに展開し易い方向となる効果が得られる。
【0034】
又、上容器及び下容器をアルミ合金製となし、且つ両容器を摩擦圧接法によって接合する事により、1室構造のハウジング構成と相まって、ガス発生器の一層の軽量化を図る事が可能となるのみならず、摩擦圧接による接合作業の容易性による組立コストの低減化及び接合強度の強さから、ガス発生器の安全性が一層向上する事が期待される。
【0035】
又、上容器及び下容器がアルミ合金製又はステンレス製となし、且つ両容器を溶接等の融接法により接合する事により、両容器の接合部は一ケ所となる本発明の1室構造のガス発生器にあっては、アルミ合金製の上容器及び下容器を汎用の溶接機器を使用して接合しても十分な接合強度が得易くなる。一方、上容器及び下容器をステンレス製とした場合は、溶接作業及びその接合強度の面で、より高い強度が得られる事になり、同時に、1室構造であるため、重量の増加はそれほど問題とならず、更に、接合前における上容器及び下容器を成形するためのプレス作業は1工程で済むという利点がある。
【0036】
又、前記点火器の外周側に、リング状の仕切板を配置して外周空間を上下に分割し、上側にはガス発生剤を配置し、冷却・フィルタ部材は、下側に配置する様にすれば、ガス発生剤をペレット状のみならず、ディスク状のガス発生剤に対しても本発明が適用可能となり、本発明の汎用性を高める事が可能となる。
【0037】
又、フランジ筒部の内面に、アルミ合金よりも高融点の金属製のリング部材20を配置する事により、ガス発生剤の種類や燃焼条件等によっては、高温の噴出ガス流によるフランジ筒部の溶融が防止され、引いては、ガス流への溶融金属粒子の同伴が防止され、エアバッグの損傷防止効果を高める事が可能となる。
【0038】
更に、前記リング部材を断面L字形のプレス成形品とする事により、高温の噴出ガス流による圧接バリの溶融飛散が防止される。その結果、エアバッグの高温スラグによる損傷防止のみならず、圧接バリから派生する比較的大きな金属粒子(圧接バリのかけら)や溶融金属(圧接バリの溶融物)によるエアバッグの損傷が防止される事になる。
【0039】
又、本発明のガス発生器においては、いずれも高温のスラグを含有したガスの噴出を許容する構成であるため、非アジ化系ガス発生剤を使用する場合においても、従来のアジ化系ガス発生剤を用いる場合に比べてて冷却・フィルタ部材の装填量を増加する必要は全くなく、むしろガス発生剤や燃焼条件等によっては、その装填量を積極的に減少する事も可能となるため、ガス発生器の一層の小型化,低コスト化を進める事が可能となる。
【0040】
又、本発明のガス発生器では、エアバッグモジュールの組立時に、エアバッグの開口部からエアバッグ内に予め挿入しておくのは、薄板円環状のリテーナリングだけであるため、挿入そのものが簡単な上、このリテーナリングとサイドフランジ間に、エアバッグ下側開口端部を挟持した状態で、ボルト,ナットによる締結も簡単に行う事ができる事になる。換言すれば、本発明のガス発生器は、エアバッグを含むエアバッグモジュールの組立作業を容易となし、エアバッグモジュールの生産性が向上し、組立コストを低減させる事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガス発生器の一実施形態を示す断面模式図であり、(a)は縦断面図、(b)は要部拡大図である。
【図2】本発明に係るガス発生器の他の実施形態を示すもので、ガス放出口を上下に分散配置したハウジング構造を有する例を示す断面模式図である。
【図3】本発明に係るガス発生器の他の実施形態を示す要部断面拡大模式図であり、(a)はリング部材を取り付けた例を、(b)は断面L字状のリング部材を取り付けた例を示している。
【図4】本発明の他の実施形態を示す断面模式図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す断面模式図である。
【図6】従来のエアバッグ装置におけるガス発生器とリテーナとエアバッグの取付部の一例を示す要部断面図である。
【図7】従来のガス発生器を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 上容器
1a 上蓋
1b 外周円筒壁部
1c フランジ部
1d 圧接バリ
2 下容器
2a 下蓋
2b フランジ筒部
2c サイドフランジ
3 ハウジング
4 点火器
5 シール部材
6 ガス発生剤
7 冷却・フィルタ部材
8,8’ ガス放出口
8a 中心線
9 金属箔
10 リング状の仕切板
11 ガス発生剤
12 空間
19 エアバッグ
19a エアバッグの基部
20,21 リング部材

Claims (6)

  1. 上蓋(1a)と該上蓋(1a)の外周縁部から垂下する外周円筒壁部(1b)と該円筒壁部(1b)に配設される複数のガス放出口(8,8')とを有する上容器(1)と、
    該上容器(1)の前記外周円筒壁部(1b)の下端と接合される下蓋(2a)と、
    該下蓋(2a)から前記接合された上容器(1)の外周円筒壁部(1b)を周りから囲む様に立ち上がるフランジ筒部(2b)と該フランジ筒部(2b)に続いて水平に折れてその上面にエアバッグの開口端部(19a)が取り付けられるサイドフランジ(2c)とを有する下容器(2)と、
    前記上容器(1)と前記下容器(2)とが接合されて形成されるハウジング(3)と、
    該ハウジング(3)内の中央部に配置された点火器(4)と、
    の周囲に配置されたガス発生剤(6,11)及び冷却・フィルタ部材(7)とを有するエアバッグ用ガス発生器であって、
    前記上容器(1)の前記外周円筒壁部(1b)の周方向の上下に、均一に2列のガス放出口(8,8 ' )が形成されており、下側のガス放出口(8)の全ての中心線(8a)が、前記下容器(2)のサイドフランジ(2c)の上端面(2d)より下蓋(2a)側に位置する事を特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  2. 上蓋(1a)と該上蓋(1a)の外周縁部から垂下する外周円筒壁部(1b)と該円筒壁部(1b)に配設される複数のガス放出口(8,8 ' )とを有する上容器(1)と、
    該上容器(1)の前記外周円筒壁部(1b)の下端と接合される下蓋(2a)と該下蓋(2a)から前記接合された上容器(1)の外周円筒壁部(1b)を周りから囲む様に立ち上がるフランジ筒部(2b)と該フランジ筒部(2b)に続いて水平に折れてその上面にエアバッグの開口端部(19a)が取り付けられるサイドフランジ(2c)とを有する下容器(2)と、
    前記上容器(1)と前記下容器(2)とが接合されて形成されるハウジング(3)と、
    該ハウジング(3)内の中央部に配置された点火器(4)と、
    その周囲に配置されたガス発生剤(6,11)及び冷却・フィルタ部材(7)とを有するエアバッグ用ガス発生器であって、
    前記上容器(1)の前記外周円筒壁部(1b)の周方向に均一に前記ガス放出口(8)が形成されており、その全ての中心線(8a)が、前記下容器(2)のサイドフランジ(2c)の上端面(2d)より下蓋(2a)側に位置し、
    且つ、前記点火器(4)の外周側をリング状の仕切板(10)によって上下部に分割し、上部にはガス発生剤(11)が、下部には冷却・フィルタ部材(7)が、夫々配置されている事を特徴とするエアバッグ用ガス発生器。
  3. 前記上容器(1)及び下容器(2)がアルミ合金製であり、且つ前記接合手段が摩擦圧接法によるものである請求項1又は2に記載のエアバッグ用ガス発生器。
  4. 前記上容器(1)及び下容器(2)がアルミ合金製又はステンレス製であり、且つ前記接合手段が融接法によるものである請求項1乃至請求項のいずれかに記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 前記フランジ筒部(2b)の内面に、前記上容器(1)及び下容器(2)を構成するアルミ合金よりも高融点の金属製のリング部材(20)を設置してなる請求項記載のエアバッグ用ガス発生器。
  6. 前記リング部材がL字状の断面を有するプレス成形品(21)からなるものである請求項記載のエアバッグ用ガス発生器。
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